[第1実施形態]
以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。本実施形態に係る車両用電子キーシステムは、図1に示すように車両Hvに搭載されている車載システム1と、車両Hvのユーザに携帯されるスマートキー2と、を備える。スマートキー2は、車載システム1と対応付けられている携帯型の通信装置(いわゆる携帯機)であって、車両Hvの鍵として機能するように構成されている。
本実施形態では一例として車両Hvは、動力源としてエンジンのみを備えるエンジン車とする。もちろん、車両Hvは、動力源としてエンジンとモータを備える、いわゆるハイブリッド車であってもよいし、モータのみを動力源として備える電気自動車であってもよい。また、ここでは一例として車両Hvは、前部座席と後部座席とを備えるとともに、右側に運転席が設けられている。運転席が車両Hvの右側に配置されているため、以降における運転席用のドアとは、車両Hvの右側に設けられている前部座席用のドア(以降、前部右側ドア)を指す。また、以降における助手席用のドアとは、車両Hvの左側に設けられている前部座席用のドアを指す。
<車両用電子キーシステムの概要>
車載システム1は、スマートキー2と所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施することで、スマートキー2の位置を判定し、スマートキー2の位置に応じた所定の車両制御を実施するシステム(いわゆるスマートエントリーシステム)を実現する。
例えば車載システム1は、スマートキー2が車両Hvに対して予め設定されている作動エリアLx内に存在することを確認できている場合には、後述するドアボタン5に対するユーザ操作に基づいて、ドアの施錠や開錠といった制御を実行する。また、車載システム1は、スマートキー2との無線通信によってスマートキー2が車室内に存在することを確認できている場合には、後述するスタートボタン6に対するユーザ操作に基づいて、エンジンの始動制御を実行する。
作動エリアLxとは、当該エリア内にスマートキー2が存在することに基づいて、車載システム1がドアの施錠や開錠といった所定の車両制御を実行するためのエリアである。例えば、運転席用のドア付近や、助手席用のドア付近が作動エリアLxに設定される。ドア付近とは、外側ドアハンドルから、所定距離(例えば0.7メートル)以内となる範囲を指す。ここでの外側ドアハンドルとは、ドアの外側面に設けられた、ドアを開閉するための把持部材を指す。
本実施形態では一例として、車室外のうち、運転席用の外側ドアハンドル及び助手席用の外側ドアハンドルから所定距離(例えば0.7メートル)以内となる領域が作動エリアLxに設定されているものとする。便宜上、車両右側に設定されている作動エリアLxのことを右側エリアLa、車両左側に設定されている作動エリアLxのことを左側エリアLbとも記載する。作動エリアLxが所定範囲に相当する。
車載システム1は、スマートキー2と無線通信を実施するための機能として、LF帯に属する所定の周波数の信号を送信する機能と、スマートキー2から送信されるUHF帯の信号を受信する機能を有する。スマートキー2は、車載システム1と無線通信を実施するための機能として、車載システム1から送信されるLF帯の信号を受信する機能と、車載システム1に対してUHF帯に属する所定の周波数の信号を返送する機能を有する。なお、ここでのLF帯とは300kHz以下の周波数帯を指し、20kHz~30kHzなどの周波数も含むものとする。UHF帯は300MHz~3GHzを指す。
車両用電子キーシステムにおいて車載システム1からスマートキー2への信号送信に使用されるLF帯の周波数(以降、第1周波数)は、例えば125kHzや134kHzである。また、スマートキー2から車載システム1への信号送信に使用されるUHF帯の周波数(以降、第2周波数)とは、例えば、315MHzや、920MHzなどである。ここでは一例として、第1周波数としては134kHzが採用されており、かつ、第2周波数としては315MHzが採用されている場合を例にとり、各部の構成について説明する。
なお、第1周波数は、1MHz以下の周波数に設定されていればよく、必ずしもLF帯に属している必要はない。第1周波数としては、20kHz~30kHzなどの周波数も採用可能である。第1周波数は別途後述する送信エリアの形成のしやすさの観点から、20kHzから200kHzまでの周波数帯に属する周波数に設定されていることが好ましい。第2周波数もまた、上述した以外の周波数に設定されていても良い。例えば、第2周波数は、近距離無線通信で使用される周波数であってもよい。近距離無線通信で使用される周波数とは、例えば、2400MHzから2480MHzまでの帯域(以降、2.4GHz帯)に属する周波数である。
以降では便宜上、車載システム1が送信するLF帯の無線信号のことをLF信号と記載するとともに、スマートキー2が送信するUHF帯の無線信号のことをUHF信号とも記載する。なお、スマートキー2が発する無線信号は、RF信号とも称される。RFは、Radio Frequencyの略である。
車載システム1によるLF信号の送信電力は、送信エリアが車室内及び作動エリアLx内に限定されるように調整されている。送信エリアは、車載システム1が送信したLF信号に対してスマートキー2が応答信号を返送しうる範囲に相当する。
上記構成において車載システム1は定期的にLF信号(後述する位置確認用信号)を送信し、スマートキー2からの応答が得られたことに基づいて、スマートキー2が車両Hvの送信エリア内に存在することを検出する。位置確認用信号は、スマートキー2に対して所定の応答信号の返送を要求するLF信号である。なお、スマートキー2から車載システム1への応答には、前述の通りUHF帯の(より具体的には第2周波数の)電波が用いられる。つまり、スマートキー2が返送する応答信号はUHF帯の無線信号である。
また、車載システム1はスマートキー2が車両Hvの送信エリア内に存在することに基づいて、スマートキー2と無線通信による認証処理を実施する。車載システム1によるスマートキー2の認証は、例えばチャレンジ-レスポンス方式によって実施されればよい。なお、スマートキー2と車載システム1のそれぞれには、認証処理に用いられる共通の暗号鍵が保存されている。また、スマートキー2には固有の識別番号(以降、キーID)が割り当てられており、車載システム1には、当該キーIDが登録されている。キーIDは、スマートキー2毎に異なる。認証処理に供される前述の暗号鍵は、キーIDであってもよい。なお、車載システム1にも固有の識別番号(以降、車両ID)が割り当てられており、各スマートキー2には当該車両IDが登録されている。
車載システム1は、スマートキー2の認証が成功したことに基づいて、車載システム1はスマートキー2の位置に応じた制御(ドアの施開錠やエンジン始動等)を実行する。ここでの認証処理とは、車載システム1が、自分自身と無線通信を実施している通信端末(以降、通信対象)が、当該車載システム1と対応付けられているスマートキー2(つまり、正規のスマートキー2)であることを確認する処理である。認証が成立したということは、正規のスマートキー2であると判定したことに相当する。
以上で述べたように車載システム1が無線通信によってスマートキー2を認証することにより、スマートキー2を携帯したユーザは、キーとしてのスマートキー2を操作すること無く、ドアの施錠/開錠、エンジンの始動/停止などを実現することができる。以下、車載システム1及びスマートキー2の構成について説明する。
<スマートキー2の構成>
まずは、スマートキー2の構成について説明する。スマートキー2は、図2に示すように、LFアンテナ21、キー側受信部22、キー側制御部23、キー側送信部24、及びUHFアンテナ25を備える。キー側制御部23は、キー側受信部22、及びキー側送信部24のそれぞれと相互通信可能に接続されている。
LFアンテナ21は、車載システム1から送信されるLF信号を受信するためのアンテナである。LFアンテナ21はキー側受信部22と接続されており、受信した電波を電気信号に変換してキー側受信部22に出力する。
キー側受信部22は、車載システム1から送信されたLF信号を、LFアンテナ21を介して受信する構成である。キー側受信部22はLFアンテナ21と接続されており、LFアンテナ21が受信したLF信号が入力される。キー側受信部22は、LFアンテナ21にて受信した信号に対して、アナログデジタル変換や、復調、復号などといった、所定の処理を施すことで、受信信号に含まれるデータを抽出する。そして、その抽出したデータをキー側制御部23に提供する。なお、車載システム1から送信されてくるLF信号とは、例えば位置確認用信号や、車載システム1とスマートキー2との照合のためのチャレンジ信号などである。位置確認用信号やチャレンジ信号は何れも、スマートキー2に対して応答の返送を要求するLF信号(つまり応答要求信号)に相当する。
キー側制御部23は、スマートキー2の動作を制御する構成であって、例えば専用ICを用いて実現されている。なお、キー側制御部23は、CPU、RAM、及びROM等を備えた、コンピュータを用いて実現されていてもよい。加えて、キー側制御部23は、MPUやGPUを用いて実現されていても良い。
キー側制御部23は、キー側受信部22から受信データが入力されると、このデータに対応する応答信号に相当するベースバンド信号を生成し、このベースバンド信号をキー側送信部24に出力する。例えばキー側制御部23は、車載システム1が発した位置確認用信号をキー側受信部22が受信した場合には、応答信号として所定のビット列を示すベースバンド信号を生成し、キー側送信部24に出力する。当該応答信号としてのベースバンド信号は、キー側送信部24で所定の変調処理が施され、無線信号として送信される。
また、キー側制御部23は、チャレンジ信号を受信した場合には、スマートキー2に予め登録されている暗号鍵を用いてレスポンスコードを算出するとともに、当該レスポンスコードを含むベースバンド信号を生成する。キー側制御部23が生成したレスポンスコードを含むベースバンド信号は、キー側送信部24に出力されて、無線信号(いわゆるレスポンス信号)として送信される。
キー側送信部24は、キー側制御部23及びUHFアンテナ25と電気的に接続されている。キー側送信部24は、キー側制御部23から入力されたベースバンド信号に対して変調処理やデジタルアナログ変換などの所定の処理を施して、UHFアンテナ25に出力する。UHFアンテナ25はUHF帯の信号を送信するために用いられるUHFアンテナである。UHFアンテナ25は、キー側送信部24から入力された電気信号をUHF帯の電波に変換して空間に放射する。
<車載システム1の構成>
次に、車載システム1の構成について述べる。車載システム1は、図3に示すようにスマートECU3、複数の車載送信アンテナ4、ドアボタン5、スタートボタン6、ボディECU7、及びエンジンECU8を備える。各部材名称中のECUはElectronic Control Unitの略であって、電子制御装置を指す。スマートECU3及び車載送信アンテナ4を含む構成が、携帯機位置判定装置に相当する。
スマートECU3は、スマートキー2との無線通信に基づくスマートキー2の認証等を実行するECUである。スマートECU3は、複数の車載送信アンテナ4と電気的に接続されている。また、スマートECU3は、ドアボタン5、スタートボタン6、ボディECU7、及びエンジンECU8のそれぞれと、車両内に構築されている通信ネットワーク又は専用の信号線を介して、相互通信可能に接続されている。
このスマートECU3は、より細かい構成要素として、情報処理部31、車載受信アンテナ32、車両側受信部33、及び、送信制御部34を備える。情報処理部31は、コンピュータを用いて実現されている。すなわち、情報処理部31は、CPU311、フラッシュメモリ312、RAM313、I/O314、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。CPU311は、種々の演算処理を実行する演算処理装置である。フラッシュメモリ312は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。RAM313、揮発性の記憶媒体である。RAM313は、CPU311がプログラムやデータをキャッシュしたり、作業領域を展開したりするための主記憶装置に相当する。I/O314は、スマートECU3が、他の装置と通信するためのインターフェースとして機能する回路モジュールである。I/O314は、アナログ回路素子やICなどを用いて実現されればよい。
フラッシュメモリ312には、コンピュータを情報処理部31として機能させるためのプログラム(以降、スマートプログラム)等が格納されている。なお、上述のスマートプログラムは、非遷移的実体的記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に格納されていればよい。プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等、多様な記憶媒体を採用可能である。CPU311がスマートプログラムを実行することは、スマートプログラムに対応する方法が実行されることに相当する。情報処理部31についての詳細は別途後する。
なお、情報処理部31は、CPU311の代わりに、MPUやGPUを用いて実現されていてもよい。また、情報処理部31は、CPU311や、MPU、GPUなど、複数種類の演算処理装置を組み合せて実現されていてもよい。さらに、情報処理部31は、FPGA(field-programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit)を用いて実現されていても良い。
車載受信アンテナ32は、スマートキー2から送信されるUHF帯の電波を受信するためのアンテナである。車載受信アンテナ32は、受信した電波を電気信号に変換して車両側受信部33に提供する。車両側受信部33は、車載受信アンテナ32から入力される信号に対して、アナログデジタル変換や、復調、復号などといった、所定の処理を施すことで、受信信号に含まれるデータを抽出する。そして、その抽出したデータを情報処理部31に提供する。車両側受信部33が受信機に相当する。
送信制御部34は、情報処理部31から入力されたデータに対して符号化、変調、デジタルアナログ変換等といった所定の処理を施すことで、搬送波信号に変換する。そして、その搬送波信号を車載送信アンテナ4に出力し、電波として放射させる。すなわち、送信制御部34は、車載送信アンテナ4の駆動回路としての役割を担う。送信制御部34は、複数の車載送信アンテナ4のそれぞれと電気的に接続されている。
送信制御部34は、図4に示すように、アンテナ選択部341と、車載送信アンテナ4毎の出力調整部342を備える。アンテナ選択部341は、情報処理部31から入力された制御信号に基づいて、送信制御部34に接続する複数の車載送信アンテナ4のうち、電波を放射させるアンテナを選択する構成である。情報処理部31から入力されたベースバンド信号に対応する電波は、アンテナ選択部341によって選択されている車載送信アンテナ4から放射される。アンテナ選択部341は、例えばスイッチング素子を用いて実現されればよい。
出力調整部342は、車載送信アンテナ4から放射させる電波の信号強度(すなわち出力レベル)を、情報処理部31によって指示されているレベルに調整変更する構成である。出力レベルが大きいほど、車載送信アンテナから送信された電波の到達範囲(ひいては送信エリア)は広くなる。出力調整部342は、信号レベルを減衰させるアッテネータや、増幅度合いを調整可能な可変利得アンプを用いて実現すればよい。例えば出力レベル調整部342は、スイッチング素子を用いてアッテネータを搬送波信号の伝達経路に接続したり切り離したりすることで、出力レベルを動的に変更する構成とすればよい。
送信制御部34が車載送信アンテナ4毎の出力調整部342を備えることにより、情報処理部31は、各車載送信アンテナ4から送信するLF信号の出力レベルを、出力調整部342が設定可能な範囲内において任意のレベルに調整することができる。なお、LF信号の出力レベルとは、換言すれば送信電力に相当する。
本実施形態の出力調整部342は一例として、出力レベルをデフォルトレベル、補助レベルの2段階に調整できるように構成されている。デフォルトレベルと補助レベルの設計思想及び技術意義については別途後述する。なお、出力調整部342は、出力レベルを線形的に(換言すれば連続的に)調整可能に構成されていてもよい。アンテナ選択部341及び出力調整部342は、ハードウェアとして実現されても良いし、ソフトウェアとして実現されてもよい。もちろん、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
車載送信アンテナ4は、スマートECU3(より具体的には送信制御部34)から入力された搬送波信号をLF帯の電波に変換して空間へ放射するアンテナである。車載送信アンテナ4としては、ループアンテナなどの多様な磁界型アンテナを採用可能である。ここでは一例として複数の車載送信アンテナ4は何れも、フェライトなどの透磁率の高い棒状のコア部材に、表面を絶縁被覆した電線を巻き付けてなるバーアンテナとして構成されている。なお、LF帯の電波は波長が長いため、LF信号を送受信するためのアンテナとしては、電界型アンテナよりも、バーアンテナ等の磁界型アンテナが採用されることが一般的である。
車載送信アンテナ4は、車載システム1全体として、車室内及び車両周辺の所定領域に送信エリアを形成するように複数配置されている。送信エリアとは、前述の通り、車載システム1から送信されたLF信号に対して、スマートキー2が応答信号を返送しうる範囲である。例えば送信エリアは、車載システム1が送信したLF信号が、所定の信号強度を保って伝搬する範囲とすることができる。別の観点によれば、送信エリアは、車載システム1から送信されたLF信号のスマートキー2での受信強度が所定の閾値(以降、応答閾値)以上となる範囲に相当する。1つの車載送信アンテナ4が提供する送信エリアの大きさは、当該車載送信アンテナ4でのLF信号の送信電力や、スマートキー2での受信感度などによって調整可能である。
本実施形態では一例として、車両Hvには車載送信アンテナ4として、図5に示すように、室内右側アンテナ4Aと、室内左側アンテナ4Bと、を備えるものとする。なお、図5において一点鎖線で囲まれる領域は、右側エリアLaや左側エリアLbといった作動エリアLxを概念的に表している。
室内右側アンテナ4Aは、車室内及び右側エリアLa(つまり車室外の運転席用ドア付近)を送信エリアとするための車載送信アンテナ4である。室内右側アンテナ4Aは、車室内の右側領域(換言すれば運転席付近)に配置されている。例えば室内右側アンテナ4Aは、運転席用ドアの車室内側の面(以降、車室内側面)の所定位置に配置されている。例えば室内右側アンテナ4Aは、運転席用ドアの内側ドアハンドル付近において、コア部材の軸方向(換言すればコイルの軸方向)が車両前後方向に沿う姿勢で設けられている。ここでの内側ドアハンドルとは、ドアの車室内側面に設けられているドアを開閉するための把持部材を指す。
室内左側アンテナ4Bは、車室内及び左側エリアLb(つまり車室外の助手席用ドア付近)を送信エリアとするための車載送信アンテナ4である。室内左側アンテナ4Bは、車室内の左側領域(換言すれば助手席付近)に配置されている。例えば室内左側アンテナ4Bは、助手席用ドアの車室内側面の所定位置に配置されている。より具体的には、室内左側アンテナ4Bは、助手席用ドアの内側ドアハンドル付近において、コア部材の軸方向が車両前後方向に沿う姿勢で設けられている。
室内右側アンテナ4A及び室内左側アンテナ4Bは何れも、送信制御部34から入力された信号を出力レベル調整部342にて調整されている電力で無線送信する。室内右側アンテナ4Aは、図6に示すように、デフォルトレベルでの駆動時には車両右側に設定されている作動エリアLxと車室内の大部分を送信エリアとする一方、補助レベルでの駆動時には車室内にのみを送信エリアとするように構成されている。なお、車室内の大部分とは、半分以上の領域を指す。
図6の(A)においてドットパターンのハッチングを施している領域は、室内右側アンテナ4Aからデフォルトレベルで送信された電波が応答閾値以上で伝播する範囲(つまり送信エリア)を概念的に示している。また、図6の(B)においてドットパターンのハッチングを施している領域は、室内右側アンテナ4Aから補助レベルで送信された電波が応答閾値以上で伝播する範囲(つまり送信エリア)を概念的に示している。
室内左側アンテナ4Bもまた図7に示すように、デフォルトレベルでの駆動時には車両左側に設定されている作動エリアLxと車室内の大部分を送信エリアとする一方、補助レベルでの駆動時には車室内のみを送信エリアとするように構成されている。図7の(A)は、室内左側アンテナ4Bからデフォルトレベルで送信された電波が応答閾値以上で伝播する範囲(つまり送信エリア)を概念的に示している。また、図7の(B)は、室内左側アンテナ4Bから補助レベルで送信された電波が応答閾値以上で伝播する範囲(つまり送信エリア)を概念的に示している。図7においてドットパターンのハッチングを施している領域は、室内左側アンテナ4Bから送信された電波が応答閾値以上で伝播する範囲を表している。
なお、他の図においてもドットパターンのハッチングを施している領域は、特段の注釈が無い限り、車載送信アンテナ4から送信された信号が応答閾値以上の信号レベルを保って伝播する範囲を表す。つまり、ドットパターンのハッチングを施している領域は送信エリアを概念的に示す。また、別の観点によれば、ドットパターンのハッチングを施している領域は、スマートキー2が応答信号を返送しうる範囲を表す。
前述のデフォルトレベルとは、別の観点によれば、車室内に配置されている車載送信アンテナ4から送信した信号が、作動エリアLxを送信エリアとするレベルである。また、補助レベルとは、車室内に配置されている車載送信アンテナ4から送信した信号が、応答閾値以上の強度を維持したまま車室外に漏れ出ないレベル、換言すれば車室外に存在するスマートキー2が応答しないレベルである。
補助レベルは、例えばデフォルトレベルの半分程度に設定されている。室内右側アンテナ4Aのデフォルトレベルと、室内左側アンテナ4Bのデフォルトレベルは同じ値であっても良いし、異なる値に設定されていても良い。各車載送信アンテナ4のデフォルトレベルは、アンテナの取付位置や姿勢、ボディ形状等に応じて適宜調整されれば良い。補助レベルについても同様である。なお、或る車載送信アンテナ4をデフォルトレベルで駆動させることは、当該車載送信アンテナ4から所定のLF信号をデフォルトレベルで送信させることを指す。また、或る車載送信アンテナ4を補助レベルで駆動させることは、当該車載送信アンテナ4から所定のLF信号を補助レベルで送信させることを指す。
室内右側アンテナ4A及び室内左側アンテナ4Bはいずれも車室内に設置されているアンテナである。以降では室内右側アンテナ4A及び室内左側アンテナ4Bといった、車室内に設置されている車載送信アンテナ4のことを車室内アンテナとも記載する。なお、車両に搭載される車載送信アンテナ4の数や設置位置、取付姿勢は適宜変更可能である。車載システム1は、上述した位置以外にも、トランク内部を送信エリアとする車載送信アンテナ4や、車室外のトランクドア付近を送信エリアとする車載送信アンテナ4が設けられていてもよい。
ドアボタン5は、車両Hvのドアの開閉に係る車両制御の実行をユーザが指示するためのボタンである。ドアボタン5は、ユーザによって押下されると、その旨を示す電気信号を、スマートECU3に出力する。ドアの開閉に係る車両制御とは、例えば、ドアを施錠する制御(ロック制御)や、ドアを開錠する制御(以降、アンロック制御)などである。なお、ドアボタン5が配されているドアがパワースライドドアとして構成されている場合には、ドアボタン5は、スライドドアの開閉をユーザが指示入力するための構成として機能しうる。
ドアボタン5は、車両Hvのドアの外側面の所定位置、例えば外側ドアハンドルに配置されている。なお、図3ではドアボタン5を1つしか図示していないが、車載システム1はドアボタン5を複数備えうる。ここでは一例として、ドアボタン5は、各ドアの外側ドアハンドルに配置されているものとする。
なお、ユーザによるドアの開閉に係る車両制御の実行指示を受け付けるための構成としては、タッチセンサを採用することもできる。タッチセンサは、ユーザがそのドアハンドルを触れていることを検出する装置である。タッチセンサもまた、車両Hvの各ドアハンドルに装備されていればよい。車載システム1は、ドアの開閉に係るユーザの指示操作及び実行予約を受け付けるための構成として、ドアボタン5とタッチセンサを組み合わせて実現されていても良い。
スタートボタン6は、ユーザがエンジンを始動させるためのプッシュスイッチである。スタートボタン6は、ユーザによってプッシュ操作がされると、その旨を示す制御信号を情報処理部31に出力する。なお、スタートボタン6は、走行用電源(ここではイグニッション電源)をオンに設定するボタンに相当する。
ボディECU7は、車両に搭載された種々のアクチュエータを制御するECUである。例えばボディECU7は、スマートECU3からの指示に基づき、車両に設けられたドアの施開錠を制御するための駆動信号を各車両ドアに設けられたドアロックモータに出力し、各ドアの施開錠を行う。また、ボディECU7は、車両に設けられた各ドアの開閉状態や、各ドアの施錠/開錠状態などを示す情報を取得する。なお、ドアの開閉状態は、カーテシスイッチによって検出されれば良い。
エンジンECU8は、エンジンの動作を制御するECUである。例えばエンジンECU8は、スマートECU3からエンジンの始動を指示する始動指示信号を取得すると、エンジンを始動させる。
<情報処理部31の機能について>
情報処理部31は、CPU311が上述のスマートプログラムを実行することで実現する機能ブロックとして、図8に示すように車両情報取得部F1、位置判定部F2、認証処理部F3、及び制御実行部F4を備える。
車両情報取得部F1は、ドアボタン5やスタートボタン6などの車両に搭載されたスイッチや、センサ、ECUなどから、車両Hvの状態を示す種々の情報(つまり車両情報)を取得する。車両情報としては、例えば、ドアボタン5の押下の有無、スタートボタン6の押下の有無、ブレーキペダルの位置(実体的には踏込量)、シフトポジション、各ドアの施錠状態、各ドアの開閉状態などが該当する。以降における車両情報には、ドアボタン5やスタートボタン6等を介した、車両Hvに対するユーザ操作も含まれる。また、車両情報に含まれる情報の種類は、上述したものに限らない。例えばパーキングブレーキの作動状態なども車両情報に含めることができる。
位置判定部F2は、スマートキー2からの応答信号の受信状況に基づいて、車室内にスマートキー2の位置を判定する構成である。位置判定部F2は、具体的には、スマートキー2からの応答信号の受信状況に基づいて、車室内、作動エリアLx内、及び、エリア外の何れのエリアにスマートキー2が存在するかを判定する。ここでのエリア外とは、車室外のうち、作動エリアLxの外側となる領域を指す。
位置判定部F2は、概略的には、送信制御部34と協働して複数の車載送信アンテナ4からスマートキー2に向けて応答要求信号を送信し、当該応答要求信号に対する応答信号を受信したか否かに基づいて、スマートキー2の位置を判定する。スマートキー2の位置判定のために送信する応答要求信号(以降、位置確認用信号)は、スマートキー2に対して応答信号の返送を要求するLF信号であればよい。例えば位置判定部F2は、位置確認用信号として、予め定められた一定のビット列を示す応答信号(以降、簡易応答信号)の返送を要求する信号を送信制御部34と協働して所定の車載送信アンテナ4から送信する。なお、他の態様として、位置確認用信号は、チャレンジ信号であってもよい。
認証処理部F3は、チャレンジコードを用いて、スマートキー2との無線通信による認証処理を実施する構成である。チャレンジコードは、スマートキー2を認証するためのコードである。チャレンジコードは、乱数表など用いて生成された乱数とすればよい。認証処理部F3は、例えばスマートキー2が車室内又は作動エリアLx内に存在することが確認できた場合に、チャレンジコードを生成し、所定の車載送信アンテナ4からチャレンジ信号として無線送信させる。
チャレンジ信号は、チャレンジコードを含み、スマートキー2に対してレスポンス信号の返送を要求するLF信号である。なお、スマートキー2は前述の通り、チャレンジコードを含む信号を受信した場合、スマートキー2に予め登録されている暗号鍵で当該チャレンジコードを暗号化してなるレスポンスコードを含むRF信号(いわゆるレスポンス信号)を返送する。
なお、認証処理部F3は、チャレンジコードを生成した場合には、予め登録されているスマートキー2毎の暗号鍵を用いて、スマートキー2毎の照合用コードを生成する。照合用コードは、スマートキー2の暗号鍵を用いてチャレンジコードを暗号化したコードである。そして、認証処理部F3はスマートキー2から返送されてきたレスポンスコードが、照合用コードと一致する場合に、通信相手が正規のスマートキー2であると判定する(つまり認証成功と判定する)。
制御実行部F4は、ドアの施錠や開錠等の車両制御を、ボディECU7と協働して実行する。例えば制御実行部F4は、位置判定部F2に作動エリアLxにスマートキー2が存在すると判定されていることを条件として、ボディECU7に対して車両Hvのドアを施錠するように要求する。なお、ボディECU7は前述の通り、スマートECU3からの要求に基づきドアロックモータを駆動させて各ドアを施錠する。また、制御実行部F4は位置判定部F2によってスマートキー2は車室内に存在すると判定されていることを条件として、ユーザによるスタートボタン6の押下をトリガとしてエンジンECU8に対してエンジンの始動を指示する。エンジンECU8は、スマートECU3からの指示に基づきエンジンを始動させる。
<位置判定処理>
次に図9に示すフローチャートを用いてスマートECU3が実施する位置判定処理について説明する。図9に示すフローチャートは、例えば所定の周期で定期的に実行されれば良い。位置判定処理の実効周期は例えば200ミリ秒などに設定されれば良い。なお、位置判定部F2は、ユーザによってドアボタン5やスタートボタン6が押下された場合など、車両Hvに対する所定のユーザ操作を検出した場合に位置判定処理を実行するように構成されていても良い。本実施形態の位置判定処理は一例として、ステップS101~S109を備える。各ステップは位置判定部F2が送信制御部34や車両側受信部33と協働することにより実行される。
まずステップS101では、右方重点送信処理として、室内右側アンテナ4Aからデフォルトレベルで応答要求信号として機能する所定の位置確認用信号を送信させる。また、それと同時に、室内左側アンテナ4Bから、位置確認用信号を補助レベルで送信させる。すなわち、室内右側アンテナ4Aと室内左側アンテナ4Bの両方から同時にそれぞれ異なる送信電力で位置確認用信号を送信させる。ここでの同時とは、送信タイミングのずれ度合いが、混信による復調の失敗が生じないレベルに収まっている状態を指す。送信電力の調整は、各車載送信アンテナ4に接続している出力調整部342との協働により実現されれば良い。
上記の右方重点送信処理によって形成される送信エリアは、図10に示すように、室内右側アンテナ4Aをデフォルトレベルで駆動させた際に形成される送信エリアと、室内左側アンテナ4Bを補助レベルで駆動させた際に形成される送信エリアとを組み合わせた(結合/合成した)範囲となる。すなわち、右側エリアLaと車室内全域を含む範囲が送信エリアとなる。なお、右方重点送信処理では、室内左側アンテナ4Bの出力レベルは補助レベルに抑制されているため、車両左側の車室外には送信エリアは形成されない。ステップS101が完了するとステップS102を実行する。
ステップS102では、スマートキー2からの応答信号を受信したか否かを判定する。スマートキー2からの応答信号を受信した場合には、ステップS103を実行する。すなわち、右側フラグをONに設定してステップS105に移る。一方、位置確認用信号を送信してから所定の応答待機時間経過しても応答信号を受信しなかった場合にはステップS102を否定判定してステップS104を実行する。すなわち、右側フラグをOFFに設定してステップS105に移る。
右側フラグは、車室内及び右側エリアLaの何れかにスマートキー2が存在するか否かを示す処理上のフラグである。右側フラグがONの状態は、車室内及び右側エリアLaの何れかにスマートキー2が存在することを示す。また、右側フラグがOFFの状態は、車室内及び右側エリアLaの何れにもスマートキー2が存在しないことを示す。
ステップS105では、左方重点送信処理として、室内左側アンテナ4Bからデフォルトレベルで応答要求信号として機能する所定の位置確認用信号を送信する。また、それと同時に、室内右側アンテナ4Aから、同一の位置確認用信号を補助レベルで送信させる。すなわち、室内右側アンテナ4Aと室内左側アンテナ4Bの両方から同時にそれぞれ異なる送信電力で位置確認用信号を送信させる。
上記の左方重点送信処理によって形成される送信エリアは、図11に示すように、室内右側アンテナ4Aを補助レベルで駆動させた際に形成される送信エリアと、室内左側アンテナ4Bをデフォルトレベルで駆動させた際に形成される送信エリアとを組み合わせた(結合/合成した)範囲となる。すなわち、左側エリアLbと車室内全域を含む範囲が送信エリアとなる。なお、左方重点送信処理では室内右側アンテナ4Aの出力レベルは補助レベルに抑制されているため、車両右側の車室外には送信エリアは形成されない。ステップS105が完了するとステップS106を実行する。
ステップS106では、スマートキー2からの応答信号を受信したか否かを判定する。スマートキー2からの応答信号を受信した場合には、ステップS107を実行する。すなわち、左側フラグをONに設定してステップS109に移る。一方、位置確認用信号を送信してから所定の応答待機時間経過しても応答信号を受信しなかった場合にはステップS106を否定判定してステップS108を実行する。すなわち、左側フラグをOFFに設定してステップS109に移る。
左側フラグは、車室内及び左側エリアLbの何れかにスマートキー2が存在するか否かを示す処理上のフラグである。左側フラグがONの状態は、車室内及び左側エリアLbの何れかにスマートキー2が存在することを示す。また、左側フラグがOFFの状態は、車室内及び左側エリアLbの何れにもスマートキー2が存在しないことを示す。
ステップS109では、以上の処理で得られた右側フラグ及び左側フラグの設定値からスマートキー2の位置を論理判定する。すなわち、図12に示すように、右側フラグと左側フラグの両方がONである場合にはスマートキー2は車室内に存在すると判定する。右側フラグがONであって左側フラグがOFFである場合にはスマートキー2は右側エリアLaに存在すると判定する。右側フラグがOFFであって左側フラグがONである場合にはスマートキー2は左側エリアLbに存在すると判定する。右側フラグと左側フラグの両方がOFFである場合にはスマートキー2はエリア外に存在すると判定する。
ステップS109での判定処理が完了すると本フローを終了する。なお、以降の処理としては、例えば認証処理部F3がスマートキー2の認証処理を実行し、当該認証処理が成功したことに基づいて制御実行部F4がスマートキー2の位置に応じた車両制御を実行する。
<実施形態の効果について>
以上の構成によれば、車室内において室内右側アンテナ4Aだけでは送信エリアとすることができない領域を、室内左側アンテナ4Bを補助レベルで動作させることでカバーする。また、車室内において室内左側アンテナ4Bだけでは送信エリアとすることができない領域を、室内右側アンテナ4Aを補助レベルで動作させることでカバーする。つまり、1つの車室内アンテナではカバーできない領域を、他の車室内アンテナを同時駆動することで補完し、車室内全域を送信エリアとする。
このような構成によれば、車室内の隅部等が、スマートキー2が応答しないエリア(つまり死角エリア)となることを抑制できる。つまり、車室内に死角エリアが形成されることを抑制できる。その結果、スマートキー2が車室内に存在するにも関わらず、車室外の作動エリアLxにスマートキー2が存在すると誤判定することを抑制できる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる第2実施形態や種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば下記の種々の変形例は、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。なお、前述の実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
[第2実施形態]
次に本開示の第2の実施形態について説明する。第2実施形態の車載システム1は、図13~図15に示すように、車載送信アンテナ4として、室外右側アンテナ4Cと、室外左側アンテナ4Dとを備える。室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dは、後述の通り、何れも車両Hvの外面部に設置されている車載送信アンテナ4である。以降では室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dといった、車両Hvの外面部に設置されている車載送信アンテナ4のことを車室外アンテナとも記載する。なお、車両Hvの外面部とは、車両Hvのボディや外装パネル部材において車室外空間に接する面部を指す。
送信制御部34は、室内右側アンテナ4A及び室内左側アンテナ4Bに加えて、室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dのそれぞれと電気的に接続されている。送信制御部34は、情報処理部31からの指示に基づいてこれらの車載送信アンテナ4から、情報処理部31から入力されたデータに対応するLF信号をデフォルトレベルで送信させる。無線信号を送信させる車載送信アンテナ4の切り替え/取捨選択は、アンテナ選択部341との協働によって実現される。なお、送信制御部34は、室内右側アンテナ4A及び室内左側アンテナ4Bの動作を制御する室内送信制御部と、室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dの動作を制御する室外送信制御部に分割されていても良い。
室外右側アンテナ4Cに接続する出力調整部342、及び、室外左側アンテナ4Dに接続する出力調整部342は何れも、これらのアンテナからの出力レベルをデフォルトレベルと漏れ包含レベルの2段階に調整できるように構成されているものとする。室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dに適用されるデフォルトレベルと漏れ包含レベルの設計思想及び技術意義については別途後述する。
本実施形態の室内右側アンテナ4Aは、デフォルトレベルで駆動した場合には、図13に示す通り、車室内全域及び運転席用ドア付近を送信エリアとするように構成されている。換言すれば、本実施形態における室内右側アンテナ4Aのデフォルトレベルは、車室内全域を送信エリアとするレベルに設定されている。
さらに、本実施形態の室内左側アンテナ4Bは、デフォルトレベルで駆動した場合には、図14に示す通り、車室内全域及び助手席用ドア付近を送信エリアとするように構成されている。換言すれば、本実施形態における室内左側アンテナ4Bのデフォルトレベルは、車室内全域を送信エリアとするレベルに設定されている。
本実施形態の室内右側アンテナ4Aの室内左側アンテナ4Bのデフォルトレベルは、車室外へLF信号が漏れるレベル、すなわち、漏れ許容レベルに相当する。なお、以降では便宜上、室内右側アンテナ4Aや室内左側アンテナ4Bをデフォルトレベルで駆動させた場合に車室外に形成される送信エリアのことを漏れ領域と称する。図中の符号Daで示す領域は室内右側アンテナ4Aが形成する漏れ領域を示しており、図中の符号Dbで示す領域は室内左側アンテナ4Bが形成する漏れ領域を示している。図13及び図14では、漏れ領域Da、Dbが作動エリアLxを包含するように形成される態様を例示しているが、漏れ領域Da、Dbの大きさはこれに限らない。漏れ領域Da、Dbの大きさは、作動エリアLxよりも小さくなるように設定されていても良い。
室外右側アンテナ4Cは、右側エリアLaを送信エリアとするための車載送信アンテナ4である。室外右側アンテナ4Cは、車両Hvの右側外面部の所定位置に配置されている。例えば、室外右側アンテナ4Cは、運転席用ドアの外側ドアハンドル内部にて、コア部材の軸方向がドアハンドルの長手方向に沿う姿勢で収容されている。なお、ここでの右側外面部とは、車両Hvの右側に位置する外面部を指す。
なお、室外右側アンテナ4Cの設置位置及び搭載姿勢は上述した態様に限定されない。室外右側アンテナ4Cは、運転席用の外側ドアハンドルに内蔵されていなくともよく、例えば、運転席用の外側ドアハンドル付近に配置されていても良い。また、室外右側アンテナ4Cは、車両右側のBピラーの車室外側の面(以降、車室外面部)や、運転席用ドアの下側に位置する領域(いわゆるロッカー部分)に配されていてもよい。室外右側アンテナ4Cは、コア部材の軸方向が車幅方向や車両高さ方向に沿う姿勢で取り付けられていても良い。
室内左側アンテナ4Bは、左側エリアLbを送信エリアとするための車載送信アンテナ4である。室外左側アンテナ4Dは、車両Hvの左側外面部の所定位置に配置されている。例えば、室外左側アンテナ4Dは、助手席用ドアの外側ドアハンドル内部にて、コア部材の軸方向がドアハンドルの長手方向に沿う姿勢で収容されている。なお、ここでの左側外面部とは、車両Hvの左側の外面部を指す。
なお、室外左側アンテナ4Dの設置位置及び搭載姿勢は上述した態様に限定されない。室外左側アンテナ4Dは、助手席用の外側ドアハンドルに内蔵されていなくともよく、例えば、助手席用の外側ドアハンドル付近に配置されていても良い。また、室外左側アンテナ4Dは、車両左側のBピラーの外面部や、助手席用ドアのロッカー部分に配されていてもよい。室外左側アンテナ4Dは、コア部材の軸方向が車幅方向や車両高さ方向に沿う姿勢で取り付けられていても良い。
室外右側アンテナ4C及び室内左側アンテナ4Bは何れも、送信制御部34から入力された電気信号を出力調整部342で調整された送信電力で無線送信する。室外右側アンテナ4Cは、図15に示すように、デフォルトレベルでの駆動時には右側エリアLaを送信エリアとする位置及び姿勢で取り付けられている。また、室外左側アンテナ4Dは、図15に示すように、デフォルトレベルでの駆動時には、左側エリアLbを送信エリアとする位置及び姿勢で取り付けられている。なお、室外右側アンテナ4C及び室内左側アンテナ4Bは何れも、車室内には電波が入り込まないように取り付けられているものとする。
図15において符号Acで示す領域は、室外右側アンテナ4Cからデフォルトレベルで送信された電波が応答閾値以上の強度を保って伝播する範囲(つまり送信エリア)を概念的に示している。また、符号Adで示す領域は、室外左側アンテナ4Dからデフォルトレベルで送信された電波が応答閾値以上の強度を保って伝播する範囲(つまり送信エリア)を概念的に示している。
また、室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dは何れも、所定の漏れ包含レベルで送信された場合に、漏れ領域Da、Dbを包含する範囲を送信エリアとするように構成されている。換言すれば、漏れ包含レベルは、漏れ領域Da、Dbを包含する値に設定されている。図15において符号Ncで示す領域は、室外右側アンテナ4Cを漏れ包含レベルで駆動した場合に送信エリアとなる範囲を示している。また、図15において符号Ndで示す領域は、室外左側アンテナ4Dを漏れ包含レベルで駆動した場合に送信エリアとなる範囲を示している。
このように車室外アンテナに適用されるデフォルトレベルは、送信エリアと作動エリアLxとが一致するように調整されている。また、漏れ包含レベルは、車室内アンテナをデフォルトレベルで駆動させた際に生じる漏れ領域Da、Dbを必要十分にカバーする値に調整されている。
<位置判定処理(第2実施形態)>
次に、第2実施形態の位置判定部F2によるスマートキー2の位置を判定する処理(つまり位置判定処理)について図16に示すフローチャートを用いて説明する。第2実施形態の位置判定処理は一例としてステップS201~S212を備える。各ステップは主として位置判定部F2が送信制御部34や車両側受信部33と協働することにより実行される。
まずステップS201では、車室内送信処理として、室内右側アンテナ4Aからデフォルトレベルで位置確認用信号を送信させる。また、それと同時に、室外右側アンテナ4Cから、所定のノイズ信号を漏れ包含レベルで送信させる。すなわち、室内右側アンテナ4Aと室外右側アンテナ4Cの両方から同時にそれぞれ異なる信号を送信させる。ノイズ信号は、位置確認用信号と混ざることで、スマートキー2が室内右側アンテナ4Aから送信された位置確認用信号を復調できなくなる信号であればどのような信号でも良い。例えばノイズ信号は、位置確認用信号とは異なる所定のビット列を示す信号とすることができる。
当該構成によれば、車室内では、位置確認用信号がノイズ信号と混ざることなく伝搬する。故に、スマートキー2が車室内に存在する場合には、スマートキー2は位置確認用信号を正常に受信し、応答信号を返送することとなる。一方、室内右側アンテナ4Aの漏れ領域Daでは、室内右側アンテナ4Aから送信された位置確認用信号と、室外右側アンテナ4Cから送信されたノイズ信号とが混ざり合い、スマートキー2は応答信号を返送しなくなる。
つまり、室内右側アンテナ4Aから位置確認用信号を送信させている間に室外右側アンテナ4Cからノイズ信号を送信させることにより、図17に示すように、漏れ領域Daが無効化され、実質的に車室内のみが送信エリアとして機能する。
なお、車室内送信処理として室外右側アンテナ4Cから送信させる信号(つまりノイズ信号)は、室内右側アンテナ4Aから送信させる位置確認用信号と干渉することで、スマートキー2に応答信号を返送させなくする信号であれば何でも良い。送信タイミングをある程度ずらせば、位置確認用信号もまたノイズ信号として機能させることができる。
なお、車室内送信処理は、室内右側アンテナ4Aの代わりに室内左側アンテナ4Bを用いて実現されても良い。すなわち、位置判定部F2は車室内送信処理として、室内左側アンテナ4Bからデフォルトレベルで位置確認用信号を送信させると同時に、室外左側アンテナ4Dから、所定のノイズ信号を漏れ包含レベルで送信させるように構成されていても良い。ステップS201が完了するとステップS202を実行する。
ステップS202では、スマートキー2からの応答信号を受信したか否かを判定する。スマートキー2からの応答信号を受信した場合には、ステップS203を実行する。ステップS203では、車室内にスマートキー2が存在すると判定してステップS205に移る。一方、位置確認用信号を送信してから所定の応答待機時間経過しても応答信号を受信しなかった場合にはステップS202を否定判定してステップS204を実行する。ステップS204では、車室内にはスマートキー2は存在しないと判定してステップS205に移る。
ステップS205では、室外右側送信処理として、室外右側アンテナ4Cからデフォルトレベルで位置確認用信号を送信させてステップS206に移る。ステップS206では、スマートキー2からの応答信号を受信したか否かを判定する。スマートキー2からの応答信号を受信した場合には、ステップS207を実行する。ステップS207では、右側エリアLaにスマートキー2が存在すると判定してステップS209に移る。一方、ステップS205にて位置確認用信号を送信してから所定の応答待機時間経過しても応答信号を受信しなかった場合にはステップS206を否定判定してステップS208を実行する。ステップS208では、右側エリアLaにはスマートキー2は存在しないと判定してステップS209に移る。
ステップS209では、室外左側送信処理として、室外左側アンテナ4Dからデフォルトレベルで位置確認用信号を送信させてステップS210に移る。ステップS210では、スマートキー2からの応答信号を受信したか否かを判定する。スマートキー2からの応答信号を受信した場合には、ステップS211を実行する。ステップS211では、左側エリアLbにスマートキー2が存在すると判定して本フローを終了する。一方、ステップS209にて位置確認用信号を送信してから所定の応答待機時間経過しても応答信号を受信しなかった場合にはステップS210を否定判定してステップS212を実行する。ステップS212では、左側エリアLbにはスマートキー2は存在しないと判定して本フローを終了する。
<第2実施形態の効果>
以上の構成では、車室内アンテナが車室外に形成する漏れ領域を、車室外アンテナからノイズ信号を送信することで無効化し、実質的に車室内のみを送信エリアとして機能させる。このような構成によれば、スマートキー2が車室外に存在するにも関わらず、車室外に存在すると誤判定する恐れを低減できる。
なお、上述した第2実施形態では、車両Hvに対して複数のスマートキー2が発行することを想定し、仮にステップS203にて車室内にスマートキー2があると判定した場合であっても、ステップS205以降の処理を継続するものとしたが、これに限らない。スマートキー2が車室内に存在すると判定した場合には、ステップS205以降の処理を省略しても良い。なお、上述した第2実施形態における位置判定処理によれば、車両Hvの周辺/内部に複数のスマートキー2が存在する状況下において、各スマートキー2の位置を特定することができる。
[変形例1]
第2実施形態では車室内アンテナとして室内右側アンテナ4Aと室内左側アンテナ4Bを備える態様を開示したが、これに限らない。車室内アンテナは1つであってもよい。例えば、車載システム1は車室内アンテナとして図18に示すように、室内中央アンテナ4Eを備えていても良い。
室内中央アンテナ4Eは、例えば天井部の中央部付近に設けられてあって、例えば所定のデフォルトレベルで駆動した場合に、車室内全域と車室外の一部を送信エリアとするように構成されている。すなわち、室内中央アンテナ4Eは、車室内全域を送信エリアとする一方、車室外の一部にも漏れ領域De、Dfを形成するように構成されている。
位置判定部F2は、車室内にスマートキー2が存在するか否かの確認のためには室内中央アンテナ4Eから位置確認用信号を送信する場合には、それと同時に、室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dからノイズ信号を送信させる。室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dから送信されるノイズ信号の出力レベルは、各アンテナに接続する出力調整部342との協働により、所定の漏れ包含レベルに調整される。これにより、室内中央アンテナ4Eが形成する漏れ領域を無効化し、車室内のみが送信エリアとして機能させる。
室外右側アンテナ4Cの漏れ包含レベルは、車両右側に形成される漏れ領域Deを十分にカバーする値に設定されていればよい。室外左側アンテナ4Dの漏れ包含レベルは、車両左側に形成される漏れ領域Dfを十分にカバーする値に設定されていればよい。つまり、送信制御部34は、車室内アンテナが車室外に漏れ領域を形成することを前提として、車室内アンテナを動作させる際には、車室内アンテナの漏れ領域を覆い尽くすように(換言すればカバーするように)各車室外アンテナからノイズ信号を送信させる。
以上の構成は、別の観点によれば、LF帯の電波で車室内が充填されるように、1つの車室内アンテナを配置/駆動させる構成に相当する。このような車室内アンテナの配置・運用態様によれば、車室内の隅部まで送信エリアとすることができる。故に、スマートキー2が車室内に存在するにも関わらず、車室外に存在すると誤判定する恐れを低減することができる。
また、上記構成によれば、スマートキー2が車室内に存在するか否かを判定する際には、車室外アンテナからノイズ信号が送信される。そのため、車室内アンテナがもたらす漏れ領域によってスマートキー2の位置を誤判定することを抑制できる。つまり、車室内に設置するアンテナの数の低減と、スマートキー2の位置の誤判定の抑制を両立することができる。具体的には、すなわち、上記の構成によれば1つの車室内アンテナによって車室内全域を送信エリアとする事ができるとともに、スマートキー2が車室外に存在するにも関わらず、スマートキー2は車室内に存在すると誤判定する恐れを低減することができる。
[変形例2]
第2実施形態において室内右側アンテナ4Aは、図19に示すように、デフォルトレベルで駆動させた場合に車両左側にも漏れ領域Dgが形成されるように構成されていても良い。当該構成においては、位置判定部F2は、ステップS201の車室内送信処理として位置確認用信号を送信する場合、それと同時に、室外右側アンテナ4C及び室外左側アンテナ4Dのそれぞれからノイズ信号を所定の漏れ包含レベルで送信させる。
これにより、室内右側アンテナ4Aが車両の左右に形成する漏れ領域Da、Dgを無効化し、車室内のみを送信エリアとして機能させることが可能となる。なお、車室送信処理時に適用する室外右側アンテナ4Cの漏れ包含レベルは、車両右側に形成される漏れ領域Daを十分にカバーする値に設定されていればよい。車室送信処理時に適用する室外左側アンテナ4Dの漏れ包含レベルは、車両左側に形成される漏れ領域Dgを十分にカバーする値に設定されていればよい。以上の構成によっても上述した第2実施形態と同様の効果を奏する。なお、上記の構成は、室内左側アンテナ4Bにも適用可能である。
[変形例3]
本変形例2として開示の思想は、第1実施形態にも適用可能である。第1実施形態の室内右側アンテナ4Aは、デフォルトレベルで送信したLF信号が車両左側にも漏れ出るように構成されていてもよい。その場合には、位置判定部F2は、右方重点送信処理として、室内右側アンテナ4Aからデフォルトレベルで位置確認要信号を送信させるとともに、当該漏れ領域を無効化するように、室外左側アンテナ4Dからノイズ信号を所定の漏れ包含レベルで送信させる。
このような構成によれば、スマートキー2が車両左側の漏れ領域に存在する状況下において、スマートキー2が車室内に存在すると誤判定する恐れを低減できる。なお、上記の構成は、室内左側アンテナ4B及び左方重点送信処理にも適用可能である。
[変形例4]
室内右側アンテナ4Aや室内左側アンテナ4Bの設置位置は上述した態様に限定されない。例えば室内右側アンテナ4Aは、天井部の右側端部付近に配されていても良い。天井部の右側端部とは、運転席用のドアの上端部が当接する部分に相当する。また、室内右側アンテナ4Aは、車両右側に配されているAピラーやBピラーの車室内側面に配されていても良い。室内左側アンテナ4Bもまた、天井部の左側端部付近に配されていても良い。天井部の左側端部とは、助手席用のドアの上端部が当接する部分に相当する。さらに、室内左側アンテナ4Bは車両左側に配されているAピラーやBピラーの車室内側面に配されていても良い。ここでのBピラーとは前部座席用のドアと後部座席用のドアの間に位置するピラーを指す。その他、室内右側アンテナ4Aや室内左側アンテナ4Bは、前部座席のヘッドレストや背もたれ部の内部、オーバヘッドコンソールなど、多様な位置に搭載可能である。
また、室内右側アンテナ4Aや室内左側アンテナ4Bの搭載姿勢は、上述した態様に限定されない。室内右側アンテナ4Aや室内左側アンテナ4Bは、図20の(A)に示すように、コア部材の軸方向が車幅方向に沿う姿勢で取り付けられていても良い。室内左側アンテナ4B及び室内左側アンテナ4Bは、コア部材の軸方向が車両高さ方向に沿う姿勢で取り付けられていても良い。室内右側アンテナ4Aは室内左側アンテナ4Bとは異なる搭載姿勢で取り付けられていても良い。例えば室内右側アンテナ4Aはコア部材の軸方向が車両前後方向に沿う姿勢で取り付けられている一方、室内左側アンテナ4Bはコア部材の軸方向が車幅前後方向に沿う姿勢で取り付けられていてもよい。
その他、室内右側アンテナ4Aや室内左側アンテナ4Bは、図20の(C)に示すように、複数軸一体アンテナであってもよい。例えば室内右側アンテナ4Aは、2つ又は3つのバーアンテナを互いに直交する向きに並べたアンテナであっても良い。
以上では室内右側アンテナ4Aや室内左側アンテナ4Bの搭載姿勢及び構成について多様な変形例を記載したが、室内中央アンテナについても同様に、多様な搭載姿勢及び構成を採用可能である。また、車室内アンテナと同様に、室外右側アンテナ4Cなどの車室外アンテナについても同様に多様な搭載姿勢及び構成を採用可能である。
[変形例5]
以上では、車載システム1とスマートキー2とは、LF帯の電波及びUHF帯の電波を用いて無線通信を実施する構成を開示したが、車載システム1とスマートキー2との通信方式はこれに限らない。車載システム1とスマートキー2とは、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信規格に準拠した無線通信(以降、近距離通信)を実施するように構成されていても良い。また、車載システム1とスマートキー2とは、NFC(Near Field Communication)の規格に従った無線通信(以下、近接場通信)を実施可能に構成されていてもよい。ここでの近接場通信とは、通信可能な距離が数cmから数十cm程度となる通信を指す。近接場通信を実現するための具体的な通信規格としては、例えばISO/IEC 14443やISO/IEC 18092等の多様な規格を採用することができる。
また、車載システム1とスマートキー2は、UWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)方式の無線通信を実施可能に構成されていてもよい。すなわち、車載システム1とスマートキー2は、超広帯域(UWB :Ultra Wide Band)通信で使用されるインパルス状の電波(以降、インパルス信号)を送受信可能に構成されている。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が極短時間(例えば2ns)であって、かつ、500MHz以上の帯域幅(つまり超広帯域幅)を有する信号である。
<付言1:スマートキー2について>
スマートキー2は、ユーザに携帯され、かつ、車両Hvの電子キーとしての機能を備えるデバイスであればよい。車両Hvの電子キーとしての機能とは、具体的には、車載システム1からの要求に基づいて車両Hvの鍵であることを証明する情報を含む信号(例えばレスポンス信号)を送信する機能である。スマートキー2は、長方形型、楕円型(フォブタイプ)、又はカード型の小型デバイスであってもよい。スマートキー2は、ユーザの指や腕等に装着されるウェアラブルデバイスとして構成されていてもよい。さらに、スマートキー2はスマートフォンやタブレット端末などといった情報処理端末であってもよい。
<付言2:スマートECU3の実現手段について>
本開示に記載のスマートECU3及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。さらに、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。つまり、スマートECU3が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。スマートECU3が備える機能の一部又は全部はハードウェアとして実現されても良い。或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。