JP7215347B2 - ガスセンサ、及びガスセンサの製造方法 - Google Patents

ガスセンサ、及びガスセンサの製造方法 Download PDF

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本発明は、ガスセンサ、及びガスセンサの製造方法に関する。
呼気や大気に含まれるガスを検出するガスセンサには様々なタイプがある。なかでも、グラフェンを利用したガスセンサは、ガス分子によってグラフェンの電子状態が変化することを利用しており、高感度かつ簡便にガスを検出できると期待されている。
但し、グラフェンとの静電的な相互作用が弱いガス分子はグラフェンの電子状態を変化させ難いため、グラフェンを利用したガスセンサでは検出可能なガスが限られてしまう。特に、一酸化窒素(NO)はグラフェンとの静電的な相互作用が弱いため、グラフェンを利用したガスセンサで検出するのが困難である。
F. Schedin et al., "Detection of individual gas molecles adsorbed on graphene", Nature Materials, 6, 652 (2007) M. Gautam et al., "Gas sensing properties of graphene synthesized by chemical vapor deposition", Materials Science and Engineering C 31, 1405 (2011) R. Pearce et al., "Epitaxially grown graphene based gas sensors for ultra sensitive NO2 detection", Sensors and Actuators B, 155, 451 (2011)
国際公開WO2017/002854号公報
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、一酸化窒素を検出することが可能なガスセンサ、及びガスセンサの製造方法を提供することを目的とする。
以下の開示の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板の表層に形成されたソース領域と、前記半導体基板の前記表層に形成されたドレイン領域と、前記ソース領域とドレイン領域との間の前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層の上に形成されたグラフェン層と、前記グラフェン層の第1の領域における表面に形成されたゲート電極と、前記グラフェン層の第2の領域における前記表面に形成されたクロムフタロシアニン層である金属フタロシアニン層と、を有するガスセンサが提供される。また、半導体基板と、前記半導体基板の表層に形成されたソース領域と、前記半導体基板の前記表層に形成されたドレイン領域と、前記ソース領域とドレイン領域との間の前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層の上に形成されたグラフェン層と、前記グラフェン層の第1の領域における表面に形成されたゲート電極と、前記グラフェン層の第2の領域における裏面に形成された金属フタロシアニン層と、を有するガスセンサが提供される。
本発明によれば、一酸化窒素の分子が結合したときのグラフェン層の仕事関数の変化量が金属フタロシアニン層によって大きくなるため、一酸化窒素を検出することが可能となる。
図1は、グラフェンの結晶構造を示す平面図である。 図2は、本願発明者が検討したグラフェンを利用したガスセンサの断面図である。 図3は、ガスセンサのエネルギバンド図である。 図4は、ガスセンサにおけるゲート電圧とドレイン電流との関係を示す模式図である。 図5(a)~(c)は、第1実施形態に係るグラフェン層の製造途中の断面図である。 図6(a)~(c)は、第1実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その1)である。 図7(a)~(c)は、第1実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その2)である。 図8は、第1実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その3)である。 図9は、第1実施形態に係るガスセンサの平面図である。 図10は、第1実施形態に係るガスセンサの使用方法について説明するための模式図である。 図11は、金属フタロシアニンの分子構造を示す平面図である。 図12は、第1実施形態に係るガスセンサでガス分子を検出するメカニズムを示す模式図(その1)である。 図13は、第1実施形態に係るガスセンサでガス分子を検出するメカニズムを示す模式図(その2)である。 図14(a)、(b)は、金属フタロシアニン層を形成しない単体のグラフェン層でシミュレーションを行って得られたエネルギバンド図である。 図15(a)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層に一酸化窒素のガス分子が吸着する前の計算モデルの平面図であり、図15(b)はその側面図である。 図16(a)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層に一酸化窒素のガス分子が吸着した後の計算モデルの平面図であり、図16(b)はその側面図である。 図17(a)~(c)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層として銅フタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。 図18(a)~(c)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層としてニッケルフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。 図19(a)~(c)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層としてコバルトフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。 図20(a)~(c)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層としてマンガンフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。 図21(a)~(c)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層としてクロムフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。 図22(a)~(c)は、第1実施形態に係る金属フタロシアニン層としてチタンフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。 図23は、図17~図22の結果をまとめた表である。 図24(a)~(c)は、第2実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その1)である。 図25(a)~(c)は、第2実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その2)である。 図26は、第2実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その3)である。 図27は、第2実施形態に係るガスセンサの平面図である。 図28は、第2実施形態に係るガスセンサの使用方法について説明するための断面図である。 図29は、第2実施形態に係るガスセンサでガス分子を検出するメカニズムを示す模式図(その1)である。 図30は、第2実施形態に係るガスセンサでガス分子を検出するメカニズムを示す模式図(その2)である。 図31(a)は、第2実施形態においてグラフェン層に一酸化窒素のガス分子が吸着する前の計算モデルの側面図であり、図31(b)は、第2実施形態においてグラフェン層に一酸化窒素のガス分子が吸着した後の計算モデルの側面図である。 図32(a)、(b)は、第2実施形態におけるシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。 図33は、第2実施形態で想定されるドレイン電流の変化量を示す図である。 図34(a)、(b)は、第3実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その1)である。 図35(a)~(c)は、第3実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その2)である。 図36は、第3実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図(その3)である。
本実施形態の説明に先立ち、本願発明者が検討した事項について説明する。
前述のように、呼気や大気に含まれるガスを検出するガスセンサとしてグラフェンを利用したセンサがある。
図1は、そのグラフェンの結晶構造を示す平面図である。
図1に示すように、グラフェンは、グラファイトの一原子層に相当するシート状の物質であって、炭素原子が蜂の巣状に結合した結晶構造を持つ。このような結晶構造に起因してグラフェンの比表面積はグラファイトのそれよりも大きくなり、外界の雰囲気等にグラフェンの電子状態が大きく影響されることになる。この特徴を利用すれば、大気や呼気に含まれる特定のガスでグラフェンの電子状態が変化し、そのガスを検出することができると考えられる。
図2は、本願発明者が検討したグラフェンを利用したガスセンサの断面図である。
このガスセンサ1は、p型のシリコン基板2の表層にn型のソース領域3とドレイン領域4とを有しており、ソース領域3とドレイン領域4との間のシリコン基板2の表面にゲート絶縁層5として酸化シリコン層が形成される。
そのゲート絶縁層5の上には、ガスを検出するためのグラフェン層6が形成される。そして、グラフェン層6の第1の領域R1の表面にゲート電極7を形成すると共に、グラフェン層6の第2の領域R2を大気に露出した状態とする。ゲート電極7は例えばアルミニウム層をパターニングすることで形成され、そのゲート電極7と同時にソース電極8とドレイン電極9が形成される。
このようなガスセンサ1によれば、シリコン基板2、ゲート絶縁層5、及びゲート電極7をこの順に形成したことにより、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と同様の構造が得られる。そして、第2の領域R2に露出しているグラフェン層6に検出対象のガス分子が結合し、これによりグラフェン層6の電子状態が変化する。この電子状態の変化を反映して、ソース領域3とドレイン領域4との間のチャネル2aを流れるドレイン電流Idが以下のように変化することになる。
図3は、このガスセンサ1のエネルギバンド図である。
図3に示すように、ゲート電極7の仕事関数φmは、真空準位E0とフェルミ準位EFとの差で定義される。シリコン基板2においては、価電子帯BSVと伝導帯BSCとの間のバンドギャップGにそのフェルミ準位EFが位置しており、そのフェルミ準位EFと真空準位E1との差がシリコン基板2の仕事関数φsとなる。
図4は、このガスセンサ1におけるゲート電圧とドレイン電流との関係を示す模式図である。
MOSFETのフラットバンド電圧VFBは、各仕事関数φm、φsを用いてVFB = φm-φsと書くことができる。ここで、グラフェン層6にガス分子が吸着すると、グラフェン層6の仕事関数が変化し、ゲート電極7の仕事関数もφmからφm+Δφに変化する。この場合、前述のフラットバンド電圧VFBの変化量ΔVFBもΔφとなる。
これにより、例えばゲート電極7に一定のバイアス電圧Vbiasを印加しておけば、ドレイン電流がId1からId2へΔIdだけ増加する。よって、このドレイン電流の増加量ΔIdを検出することによりガス分子を検出することができる。
そして、サブスレショルド領域にバイアス電圧Vbiasをとれば、ドレイン電流が指数関数的に変化するため、仕事関数の変化量Δφがわずかであっても増加量ΔIdを大きくでき、ガス分子を高感度に検出できると考えられる。
ドレイン電流の変化量をId2/Id1で定義すると、その変化量はId2/Id1=10(Δφ/SS)を満たす。なお、SSは、単位電圧当たりのドレイン電流変化量(サブスレショルドスイング)である。これによれば、サブスレショルドスイングSSが65mV/decade程度のMOSFETにおいては、仕事関数の変化量Δφが60mVの場合にドレイン電流が一桁増えることになる。
このような原理により、このガスセンサ1では、二酸化窒素やアンモニアの各分子がグラフェン層6に結合することで増加量ΔIdが大きくなり、これらのガス分子を高い感度で検出することができる。
しかしながら、グラフェン層6との間における静電的な相互作用が少ないガス分子ではグラフェン層6の仕事関数がほとんど変化せず、そのガス分子をガスセンサ1で検出するのは困難である。
特に、一酸化窒素は、喘息の病理判断を行うために高い感度で検出できるのが好ましいが、グラフェン層6と静電的な相互作用が少ないためガスセンサ1で検出するのは困難である。
以下に、一酸化窒素を検出することが可能な各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係るガスセンサについて、その製造工程を追いながら説明する。そのガスセンサはグラフェン層を利用して一酸化窒素を検出する。そこで、まずグラフェン層の形成方法について説明する。
図5(a)~(c)は、本実施形態に係るグラフェン層の製造途中の断面図である。
まず、図5(a)に示すように、触媒金属箔20として銅箔を用意し、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置のチャンバに触媒金属箔20を入れる。そして、チャンバ内を10-1Pa以下の圧力に減圧し、更に触媒金属箔20を1000℃以上の温度に加熱しながら、チャンバに水素ガスを供給して触媒金属箔20の表面の酸化物を還元して除去する。その後に、触媒金属箔20が1000℃以上の温度に加熱された状態を維持しながら、チャンバ内にメタンガスと水素ガスとを供給する。この状態を60分程度維持することにより銅の触媒作用によってメタンが分解し、これにより生成された炭素原子が触媒金属箔20の表面で再構成してグラフェン層21が形成される。
そのグラフェン層21によって雰囲気内のメタンが触媒金属箔20から隔離されるため、グラフェン層21の上に新たにグラフェンが成長することはなく、一原子層の厚さのグラフェン層21を形成することができる。
次に、図5(b)に示すように、グラフェン層21の表面21aにレジストやPDMS(polydimethylsiloxane)等のポリマを塗布し、それをベークすることで支持層22を形成する。
続いて、図5(c)に示すように、塩化鉄溶液等のエッチング液で触媒金属箔20を溶解して除去し、グラフェン層21の裏面21bを露出させる。
次に、このグラフェン層21を利用した本実施形態に係るガスセンサの製造方法について説明する。
図6~図8は、本実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図である。
まず、図6(a)に示すように、半導体基板30としてp型のシリコン基板を用意し、その半導体基板30の表層にリンやヒ素等のn型不純物をイオン注入してn型のソース領域31とドレイン領域32を形成する。なお、そのイオン注入ではレジスト層がマスクとして使用され、そのレジスト層で覆われた部分の半導体基板30にはn型不純物は注入されない。
また、半導体基板30の導電型はp型に限定されず、n型の半導体基板30にp型のソース領域31とドレイン領域32とを形成してもよい。
その後、半導体基板30の表面を酸化することにより、ゲート絶縁層33として酸化シリコン層を1nm~100nm程度の厚さに形成する。
次に、図6(b)に示すように、前述の図5(c)の工程で得たグラフェン層21の裏面21bをゲート絶縁層33に密着させ、支持層22を押圧することによりゲート絶縁層33にグラフェン層21を圧着する。
このとき、グラフェン層21とゲート絶縁層33との密着力を高めるために、半導体基板30を加熱してグラフェン層21の表面の水分を蒸発させるのが好ましい。このときの基板温度は特に限定されないが、例えば100℃以上の温度で半導体基板30を加熱し得る。
その後に、図6(c)に示すように、アセトン等の有機溶媒で支持層22を溶解して除去し、ゲート絶縁層33の上にグラフェン層21を残す。
続いて、図7(a)に示すように、グラフェン層21の上にレジストを塗布し、それを露光、現像することにより島状の第1のレジスト層35を形成する。そして、その第1のレジスト層35をマスクにしながら、酸素ガスをエッチングガスとして使用するRIE(Reactive Ion Etching)により、第1のレジスト層35で覆われていない部分のグラフェン層21を除去する。
その後に、有機溶媒により第1のレジスト層35を除去する。
次に、図7(b)に示すように、半導体基板30の上側全面に再びレジストを塗布し、それを露光、現像することにより、グラフェン層21の側面21c、21dを覆うように第2のレジスト層36を形成する。そして、ソース領域31とドレイン領域32との間にゲート絶縁層33を残しながら、第2のレジスト層36で覆われていない部分のゲート絶縁層33をフッ酸溶液でエッチングして除去する。
この後に、有機溶媒により第2のレジスト層36を除去する。
この例では、前述のようにグラフェン層21のソース領域31寄りの側面21cを覆うように第2のレジスト層36を形成した。そのため、側面21cが、ゲート絶縁層33のソース領域31寄りの側面33aからドレイン領域32側に後退するようになる。これにより、ソース領域31からグラフェン層21が離れるようになり、ソース領域31とグラフェン層21とが電気的に接続されるのを抑制できる。同様に、グラフェン層21のドレイン領域32寄りの側面21dが、ゲート絶縁層33のドレイン領域32寄りの側面33bからソース領域31側に後退する。これにより、ドレイン領域32とグラフェン層21とが電気的に接続されるのを抑制することが可能となる。
次に、図7(c)に示す工程について説明する。
まず、電極形状の開口を備えたレジスト層(不図示)を半導体基板30の上側に形成し、更にその開口内に蒸着法でアルミニウム層を10nm~1000nm程度の厚さに形成する。そして、レジスト層を除去することによりソース領域31とドレイン領域32の各々の上のアルミニウム層をソース電極37及びドレイン電極38にすると共に、グラフェン層21の上のアルミニウム層をゲート電極39とする。このような電極のパターニング方法はリフトオフ法とも呼ばれる。
また、本実施形態では、グラフェン層21の第1の領域R1における表面21aのみにゲート電極39を形成し、グラフェン層21の第2の領域R2の表面21aは露出した状態とする。
次に、図8に示すように、10-1Pa以下の圧力に減圧された蒸着チャンバ内に半導体基板30を入れ、その蒸着チャンバ内で半導体基板30を室温~200℃程度に加熱する。そして、200℃~300℃程度の温度で蒸発した金属フタロシアニンを蒸着チャンバに供給して、第2の領域R2におけるグラフェン層21の表面21aに金属フタロシアニン層40を1Å/秒以下の成長速度で形成する。
なお、その金属フタロシアニン層40は、ソース電極37、ドレイン電極38、ゲート電極39の各々の上にも形成される。
金属フタロシアニン分子同士の分子間力は、グラフェン層21と金属フタロシアニン分子との分子間力と比較して弱い。そのため、このように半導体基板30を加熱すると、グラフェン層21に金属フタロシアニン分子が一分子層の厚さだけ堆積した後は、余分な金属フタロシアニン分子が熱で離脱する。これにより、第2の領域R2における金属フタロシアニン層40の厚さを一分子層にすることができる。
なお、金属フタロシアニン層40の形成方法は上記に限定されない。例えば、金属フタロシアニン分子が溶解した有機溶剤をスピンコート法やディップ法でグラフェン層21の上に塗布することで金属フタロシアニン層40を形成してもよい。
以上により、本実施形態に係るガスセンサ50の基本構造が完成する。
そのガスセンサ50は、p型の半導体基板30、ゲート絶縁層33、及びゲート電極39がこの順に積層されたn型のMOSFETであって、第2の領域R2がガス検出領域として機能する。
図9は、このガスセンサ50の平面図である。
なお、図9では金属フタロシアニン層40を省いてある。また、前述の図8は、図9のI-I線に沿う断面図に相当する。
図9に示すように、第2の領域R2においてグラフェン層21は矩形状の平面形状を有する。なお、第2の領域R2の大きさは特に限定されないが、この例では第2の領域R2の一辺の長さがを1μm~100μm程度とする。
次に、このガスセンサ50の使用方法について説明する。
図10は、ガスセンサ50の使用方法について説明するための断面図である。
図10に示すように、実使用下においては、ソース電極37とドレイン電極38の各々に第1の端子45と第2の端子46を接続する。また、これと共に、ゲート電極39に第3の端子47を当接させる。これらの端子45~47は、半導体基板30を挟むクリップ状の金属端子でもよいし、ボンデイングワイヤ等の金属細線でもよい。
前述のように金属フタロシアニン層40の厚さは一分子層程度と薄いため、第3の端子47は容易に金属フタロシアニン層40を突き抜けてゲート電極39に接触する。第1の端子45と第2の端子46も同様である。
そして、第3の端子47からゲート電極39にバイアス電圧Vbiasを印加し、第1の端子45と第2の端子46との間にドレイン電圧Vdを印加する。
これによりソース領域31とドレイン領域32との間のチャネル30aにドレイン電流Idが流れることになるが、第2の領域R2の金属フタロシアニン層40にガス分子48が結合するとドレイン電流Idの大きさも変化する。これについて以下に説明する。
図11は、金属フタロシアニンの分子構造を示す平面図である。
図11に示すように、金属フタロシアニンは、金属原子Mを中心にして4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された環状化合物である。金属原子Mは特に限定されず、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、及びコバルトのいずれかが金属原子Mとして配置された金属フタロシアニンを使用し得る。
図12は、ガスセンサ50でガス分子48を検出するメカニズムを示す模式図である。なお、図12では、金属フタロシアニン層40とガス分子48のそれぞれのHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)とLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)を例示している。また、グラフェン層21については、価電子帯BGVと伝導帯BGCの各々のエネルギバンド曲線も併記してある。価電子帯BGVと伝導帯BGCはディラック点Dの上下に延びており、ドットのハッチングがかけられたエネルギまで電子が充填されているものとする。これについては後述の図13でも同様である。
金属フタロシアニン層40にガス分子48が吸着すると、ガス分子48のHOMOから金属フタロシアニン層40のHOMOを経てグラフェン層21に電子e-が移動する。これにより、グラフェン層21の伝導帯BGCにおける電子数が増えることになる。
図13は、図12とは逆の方向に電子が移動する場合の模式図である。
この場合は、グラフェン層21の伝導帯BGCから金属フタロシアニン層40のLUMOを経てガス分子48のLUMOに電子e-が移動し、グラフェン層21の伝導帯BGCにおける電子数が減る。
図12と図13のどちらの電子移動が起きるかは様々な要因で定まる。そのような要因としては、例えば、金属フタロシアニン層40に対するガス分子48の吸着エネルギ、両者の電気陰性度の差、及びグラフェン層21と金属フタロシアニン層40とのバンドアラインメント等がある。
図12と図13のいずれの場合であっても、伝導帯BGCにおける電子数が変化することでグラフェン層21のフェルミ準位EFがΔEFだけ変化することになる。電子数の変化に伴う伝導帯BGCのキャリア濃度の変化量をρとすると、フェルミ準位EFの変化量ΔEFはρ/D程度となる。なお、Dは電子の状態密度である。特に、グラフェン層21は、ディラック点Dの近傍での電子の状態密度が金属のそれよりも小さいため、このような電子数の変化によりフェルミ準位EFが顕著に変化する。そして、フェルミ準位EFの変化とこれにより生じる双極子の効果とが相まって、グラフェン層21の仕事関数が変化する。これによりガスセンサ50のMOSFETの閾値電圧が変調してドレイン電流が変化し、その変化量を測定することでガス分子48の有無や濃度を知ることができる。
特に、本実施形態のようにグラフェン層21の厚さを一原子層とすると、グラフェン層21のエネルギバンド曲線が線型となる。これにより、伝導帯BGCにおける電子数が僅かに変化しただけでもフェルミ準位EFが大きく変化するようになり、ガス分子48の吸着に伴うドレイン電流の変化量を大きくすることが可能となる。
しかも、金属フタロシアニン層40は、グラフェン層21と比較して一酸化窒素のガス分子48との静電的な相互作用が大きいため、ガスセンサ50によって一酸化窒素の有無や濃度を測定することができる。
なお、金属フタロシアニン層40が厚すぎると、ガス分子48とグラフェン層21とが金属フタロシアニン層40によって大きく隔てられてしまい、ガス分子48の吸着に伴うグラフェン層21の電子状態の変化が僅かとなる。そのため、本実施形態のように金属フタロシアニン層40の厚さを一分子層とし、ガス分子48の吸着によってグラフェン層21の電子状態が大きく変化するようにするのが好ましい。
本願発明者は、一酸化窒素のガス分子48が吸着したときのグラフェン層21のフェルミ準位EFがどのように変化するのかを確かめるためにシミュレーションを行った。以下に、そのシミュレーションについて説明する。
図14(a)、(b)は、金属フタロシアニン層40を形成しない単体のグラフェン層21でシミュレーションを行って得られたエネルギバンド図である。
このうち、図14(a)は、一酸化窒素のガス分子48が吸着していないグラフェン層21のエネルギバンド図である。また、図14(b)は、一酸化窒素のガス分子48が吸着したグラフェン層21のエネルギバンド図である。これらのエネルギバンド図において、横軸は逆格子空間における電子の波数を示し、縦軸は電子のエネルギを示す。これについては後述の各エネルギバンド図においても同様である。
図14(a)、(b)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.879eVであり、ガス分子48の吸着後のフェルミ準位EFは-3.922eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-43meV(=-3.922eV-(-3.879eV))となる。
次に、本実施形態のようにグラフェン層21の上に金属フタロシアニン層40を形成した場合のシミュレーション結果について説明する。
図15(a)は、金属フタロシアニン層40に一酸化窒素のガス分子48が吸着する前の計算モデルの平面図であり、図15(b)はその側面図である。
なお、図15(a)、(b)はユニットセルを示しており、実際の計算は3×3のスーパーセルで行った。これについては後述の図16(a)、(b)でも同様である。
図15(b)に示すように、ガス分子48が吸着する前の計算モデルでは、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z1とした。
一方、図16(a)は、金属フタロシアニン層40に一酸化窒素のガス分子48が吸着した後の計算モデルの平面図であり、図16(b)はその側面図である。
図16(b)に示すように、ガス分子48が吸着した後の計算モデルでは、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z2とした。
以下に、図15及び図16の計算モデルを用いて、金属フタロシアニン層40の金属原子Mを様々に変えたときのシミュレーション結果について説明する。
・銅フタロシアニン
図17(a)~(c)は、金属フタロシアニン層40として銅フタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。
このうち、図17(a)は、グラフェン層21の単体でのエネルギバンド図である。また、図17(b)は、金属フタロシアニン層40として銅フタロシアニン層を形成した場合において、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のエネルギバンド図である。なお、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z1(図15(b)参照)は3.00Åとした。
そして、図17(c)は、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着した後のグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合のグラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z2(図16(b)参照)は3.36Åとした。
図17(b)、(c)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.741eVであり、吸着後のフェルミ準位EFは-3.764eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-23meV(=-3.764eV-(-3.741eV))となる。
・ニッケルフタロシアニン
図18(a)~(c)は、金属フタロシアニン層40としてニッケルフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。
このうち、図18(a)は、グラフェン層21の単体でのエネルギバンド図である。また、図18(b)は、金属フタロシアニン層40としてニッケルフタロシアニン層を形成した場合において、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のエネルギバンド図である。なお、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z1(図15(b)参照)は3.12Åとした。
そして、図18(c)は、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着した後のグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合のグラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z2(図16(b)参照)は3.23Åとした。
図18(b)、(c)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.703eVであり、吸着後のフェルミ準位EFは-3.745eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-42meV(=-3.745eV-(-3.703eV))となる。
・コバルトフタロシアニン
図19(a)~(c)は、金属フタロシアニン層40としてコバルトフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。
このうち、図19(a)は、グラフェン層21の単体でのエネルギバンド図である。また、図19(b)は、金属フタロシアニン層40としてコバルトフタロシアニン層を形成した場合において、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のエネルギバンド図である。なお、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z1(図15(b)参照)は3.07Åとした。
そして、図19(c)は、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着した後のグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合のグラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z2(図16(b)参照)は3.26Åとした。
図19(b)、(c)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.651eVであり、吸着後のフェルミ準位EFは-3.731eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-80meV(=-3.731eV-(-3.651eV))となる。この結果から、金属フタロシアニン層40としてコバルトフタロシアニン層を形成すると、グラフェン層21のみの場合(-43meV)よりもフェルミ準位EFの変化が大きくなることが明らかとなった。
・マンガンフタロシアニン
図20(a)~(c)は、金属フタロシアニン層40としてマンガンフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。
このうち、図20(a)は、グラフェン層21の単体でのエネルギバンド図である。また、図20(b)は、金属フタロシアニン層40としてマンガンフタロシアニン層を形成した場合において、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のエネルギバンド図である。なお、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z1(図15(b)参照)は3.04Åとした。
そして、図20(c)は、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着した後のグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合のグラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z2(図16(b)参照)は3.32Åとした。
図20(b)、(c)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.556eVであり、吸着後のフェルミ準位EFは-3.763eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-207meV(=-3.763eV-(-3.556eV))となる。
この結果から、金属フタロシアニン層40としてマンガンフタロシアニン層を形成すると、グラフェン層21のみの場合(-43meV)よりもフェルミ準位EFの変化が大きくなることが明らかとなった。
・クロムフタロシアニン
図21(a)~(c)は、金属フタロシアニン層40としてクロムフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。
このうち、図21(a)は、グラフェン層21の単体でのエネルギバンド図である。また、図21(b)は、金属フタロシアニン層40としてクロムフタロシアニン層を形成した場合において、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のエネルギバンド図である。なお、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z1(図15(b)参照)は3.36Åとした。
そして、図21(c)は、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着したときのグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合のグラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z2(図16(b)参照)は3.36Åとした。
図21(b)、(c)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.603eVであり、吸着後のフェルミ準位EFは-3.819eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-216meV(=-3.819eV-(-3.603eV))となる。
この結果から、金属フタロシアニン層40としてクロムフタロシアニン層を形成すると、グラフェン層21のみの場合(-43meV)よりもフェルミ準位EFの変化が大きくなることが明らかとなった。
・チタンフタロシアニン
図22(a)~(c)は、金属フタロシアニン層40としてチタンフタロシアニン層を形成したときのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。
このうち、図22(a)は、グラフェン層21の単体でのエネルギバンド図である。また、図22(b)は、金属フタロシアニン層40としてチタンフタロシアニン層を形成した場合において、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のエネルギバンド図である。なお、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z1(図15(b)参照)は2.29Åとした。
そして、図22(c)は、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着した後のグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合のグラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔Z2(図16(b)参照)は3.38Åとした。
図22(b)、(c)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.801eVであり、吸着後のフェルミ準位EFは-3.728eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは73meV(=-3.728eV-(-3.801eV))となる。
この結果から、金属フタロシアニン層40としてチタンフタロシアニン層を形成すると、グラフェン層21のみの場合(-43meV)よりもフェルミ準位EFの変化が大きくなることが明らかとなった。
図23は、図17~図22の結果をまとめた表である。
なお、図23においては、前述のフェルミ準位EFの変化量ΔEFの他に、結合エネルギEbinとドレイン電流の変化量をId2/Id1も併記してある。このうち、結合エネルギEbinは、金属フタロシアニン層40と一酸化窒素のガス分子48との間の結合エネルギである。その結合エネルギEbinは、クロムフタロシアニン層40において特に強くなっており、一酸化窒素のガス分子48がクロム原子に吸着することが示唆された。
また、ドレイン電流の変化量Id2/Id1は、図4を参照して説明したように、ガス分子48の吸着によってフラットバンド電圧VFBがΔVFBだけ変化した前後でのドレイン電流の比である。前述のように変化量Id2/Id1はId2/Id1=10(Δφ/SS)を満たすが、図23では変化量Id2/Id1を算出するに際してサブスレショルドスイングSSを65mV/decadeとした。
更に、図23においては、バナジウムフタロシアニンと鉄フタロシアニンの結果も併せて記載している。
図14(a)、(b)に示したように、金属フタロシアニン層40を形成しない場合にはグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-43meVである。図23によれば、チタンフタロシアニン、バナジウムフタロシアニン、クロムフタロシアニン、マンガンフタロシアニン、鉄フタロシアニン、及びコバルトフタロシアニンの各々で変化量ΔEFの絶対値が43meVを超えている。その結果、これらの金属フタロシアニンを用いた場合のドレイン電流の変化量Id2/Id1は10以上となり、一酸化窒素のガス分子48の有無をガスセンサ50で高い感度で測定できることが明らかとなった。
特に、クロムフタロシアニンでは変化量Id2/Id1が2000を超えている。金属フタロシアニン層40を形成しない場合の変化量ΔEFは-43meVであり、この場合の変化量Id2/Id1は4.5程度である。よって、金属フタロシアニン層40としてクロムフタロシアニン層を形成すると、金属フタロシアニン層40を形成しない場合と比較して一酸化窒素に対する感度が約450倍も高くなる。なお、変化量ΔEFが負の金属原子では、一酸化窒素のガス分子48の吸着によって金属フタロシアニン層40からグラフェン層21に電子が移動し、グラフェン層21がn型にドープされたことを示唆している。これにより、図12のモデルの電子移動が実際に生じることも明らかとなった。
また、金属フタロシアニンと類似の分子構造を有する分子層を金属フタロシアニン層40に代えて形成しても、上記と同様にドレイン電流の変化量Id2/Id1が大きくなると考えられる。そのような分子としては、金属元素を内包したポルフィリンやその異性体があり、これらの分子層を金属フタロシアニン層40に代えて形成してもよい。なお、ポルフィリンの異性体としては、例えばポルフィセン、コルフィセン、及びヘミポルフィセン等がある。
以上説明した本実施形態によれば、グラフェン層21の上に金属フタロシアニン層40を形成することで、一酸化窒素のガス分子48が吸着したときのグラフェン層21のフェルミ準位EFが大きく変化する。これにより一酸化窒素の有無や濃度をガスセンサ50で高精度に測定することができ、喘息の病理判断等にガスセンサ50を応用することができる。
その金属フタロシアニン層40としては、チタンフタロシアニン層、バナジウムフタロシアニン層、クロムフタロシアニン層、マンガンフタロシアニン層、鉄フタロシアニン層、及びコバルトフタロシアニン層がある。図23の結果によれば、これらの金属フタロシアニン層40を用いることでドレイン電流の変化量Id2/Id1が10倍以上になり、金属フタロシアニン層40を使用しない場合と比較して一酸化窒素の検出感度が大幅に高くなる。
(第2実施形態)
ガスセンサでガス分子を検出した後は、加熱によりガス分子をガスセンサから脱離させるリフレッシュを行い、ガスセンサを再利用できるようにするのが好ましい。本実施形態では、リフレッシュによってガス分子を脱離させ易いガスセンサについて説明する。
図24~図26は、本実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図である。なお、図24~図26において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
まず、第1実施形態の図6(a)と同じ工程を行うことにより、図24(a)に示すように、半導体基板30の上にゲート絶縁層33が形成された構造を得る。
続いて、図24(b)に示すように、蒸着チャンバ内に半導体基板30を入れ、その蒸着チャンバ内で半導体基板30を室温~200℃程度に加熱する。なお、蒸着チャンバ内の圧力は10-1Pa以下とする。そして、200℃~300℃程度の温度で蒸発した金属フタロシアニンを蒸着チャンバに供給し、ゲート絶縁層33の上に金属フタロシアニン層40を1Å/秒以下の成長速度で形成する。その金属フタロシアニン層40の厚さは特に限定されないが、この例では一分子層の厚さに金属フタロシアニン層40を形成する。
なお、第1実施形態と同様に、金属元素を内包したポルフィリンやその異性体の分子層を金属フタロシアニン層40に代えて形成してもよい。そのポルフィリンの異性体としては、例えばポルフィセン、コルフィセン、及びヘミポルフィセン等がある。
次に、図24(c)に示す工程について説明する。
まず、第1実施形態の図5(a)~(c)の工程を行うことにより、支持層22の上にグラフェン層21が形成された構造を作製する。そして、そのグラフェン層21の裏面21bを金属フタロシアニン層40に密着させ、支持層22を押圧することにより、金属フタロシアニン層40にグラフェン層21を圧着する。
なお、金属フタロシアニン層40が酸化するのを防止するために、減圧雰囲気中や不活性ガス雰囲気中で本工程を行うのが好ましい。また、図24(b)の工程で金属フタロシアニン層40を形成した後、金属フタロシアニン層40を大気に曝すことなくその上にグラフェン層21を密着させることにより、金属フタロシアニン層40が酸化するのを効果的に抑制することができる。
次に、図25(a)に示すように、アセトン等の有機溶媒で支持層22を溶解して除去し、金属フタロシアニン層40の上にグラフェン層21を残す。
続いて、図25(b)に示すように、グラフェン層21の上にレジストを塗布し、それを露光、現像することにより島状の第1のレジスト層35を形成する。そして、その第1のレジスト層35をマスクにしながら、酸素ガスをエッチングガスとして使用するRIEにより、第1のレジスト層35で覆われていない部分のグラフェン層21と金属フタロシアニン層40とを除去する。
その後に、有機溶媒により第1のレジスト層35を除去する。
次に、図25(c)に示すように、半導体基板30の上側全面に再びレジストを塗布し、それを露光、現像することにより、グラフェン層21の側面21c、21dを覆うように第2のレジスト層36を形成する。
そして、ソース領域31とドレイン領域32との間にゲート絶縁層33を残しながら、第2のレジスト層36で覆われていない部分のゲート絶縁層33をフッ酸溶液でエッチングして除去する。
この後に、有機溶媒により第2のレジスト層36を除去する。
第1実施形態と同様に、本実施形態においてもグラフェン層21の各側面21c、21dを覆うように第2のレジスト層36を形成することで側面21c、21dがゲート絶縁層33の各側面33a、33bから後退する。その結果、ソース領域31とドレイン領域32の各々からグラフェン層21が離れるようになり、グラフェン層21がソース領域31やドレイン領域32と電気的に接続されるのを抑制できる。
次に、図26に示すように、第1実施形態の図7(c)と同じ工程を行うことにより、ソース領域31とドレイン領域32の各々の上にソース電極37とドレイン電極38を形成する。これと共に、グラフェン層21の第2の領域R2が露出するように、グラフェン層21の第1の領域R1における表面21aにゲート電極39を形成する。
以上により、本実施形態に係るガスセンサ60の基本構造が完成する。
図27は、このガスセンサ60の平面図である。なお、前述の図26は、図27のII-II線に沿う断面図に相当する。
図27に示すように、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40の各々は第2の領域R2において矩形状にパターニングされる。そして、第2の領域R2がガス検出領域として機能し、第2の領域R2のグラフェン層21に吸着したガス分子によってガスセンサ60のドレイン電流が変化することになる。
次に、本実施形態に係るガスセンサ60の使用方法について説明する。
図28は、本実施形態に係るガスセンサ60の使用方法について説明するための断面図である。なお、図28において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのを同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
図28に示すように、実使用下においては、第1の端子45と第2の端子46との間にドレイン電圧Vdを印加しながら、第3の端子47からゲート電極39にバイアス電圧Vbiasを印加する。
このとき、第2の領域R2におけるグラフェン層21にガス分子48が結合すると、グラフェン層21の仕事関数が変化する。これにより、ソース領域31とドレイン領域32との間を流れるドレイン電流Idが変化し、この変化量を測定することで一酸化窒素のガス分子48の有無や濃度を知ることができる。
しかも、この例ではグラフェン層21の下に金属フタロシアニン層40を形成したため、金属フタロシアニン層40とガス分子48との間に働く結合力がグラフェン層21によって弱まる。そのため、測定を終えたガスセンサ60を加熱することでグラフェン層21からガス分子48が容易に脱離し、ガスセンサ60をリフレッシュすることが容易となる。
更に、グラフェン層21によって金属フタロシアニン層40が覆われているため、大気中の酸素等によって金属フタロシアニン層40が酸化するのを防止することもできる。また、金属フタロシアニン層40にガス分子48が直接触れないため、ガス分子48によって金属フタロシアニン層40が化学変化するのを防止することもできる。
次に、ガスセンサ60でガス分子48を検出するメカニズムについて更に詳細に説明する。
図29は、ガスセンサ60でガス分子48を検出するメカニズムを示す模式図である。
なお、図29では、ガス分子48のHOMOとLUMOを例示している。また、グラフェン層21については、価電子帯BGVと伝導帯BGCの各々のエネルギバンド曲線も併記してある。図12と同様に、価電子帯BGVと伝導帯BGCはディラック点Dの上下に延びており、ドットのハッチングがかけられたエネルギまで電子が充填されているものとする。これについては後述の図30でも同様である。
図29に示すように、グラフェン層21の表面にガス分子48が吸着すると、ガス分子48のHOMOからグラフェン層21の伝導帯BGCに電子e-が移動する。これにより、第1実施形態と同様にグラフェン層21の伝導帯BGCにおける電子数が増えることになる。
図30は、図29とは逆の方向に電子が移動する場合の模式図である。
この場合は、グラフェン層21の伝導帯BGCからガス分子48のLUMOに電子e-が移動する。
図30と図29のどちらの電子移動が起きるかは、グラフェン層21に対するガス分子48の吸着エネルギ、両者の電気陰性度の差、及びグラフェン層21とガス分子48とのバンドアラインメント等により定まる。
図30と図29のいずれの場合であっても、伝導帯BGCにおける電子数が変化することでグラフェン層21のフェルミ準位EFが変化することになる。また、グラフェン層21の下の金属フタロシアニン層40は、グラフェン層21の電子状態を変化させる作用を有する。これにより、バンドアライメント等のガス分子48とグラフェン層21との相対的なエネルギ位置が変わり、これらの間を移動する電子e-の量を制御することが可能となる。
次に、本実施形態のようにグラフェン層21の下に金属フタロシアニン層40を形成した場合のシミュレーション結果について説明する。
図31(a)は、グラフェン層21に一酸化窒素のガス分子48が吸着する前の計算モデルの側面図である。なお、図31(a)はユニットセルを示しており、実際の計算は3×3のスーパーセルで行った。これについては後述の図31(b)でも同様である。
また、図31(a)の計算モデルでは、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔をZ3とした。
一方、図31(b)は、グラフェン層21に一酸化窒素のガス分子48が吸着した後の計算モデルの側面図である。この計算モデルでは、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間隔をZ4とした。また、ガス分子48とグラフェン層21との間隔はZ5とした。
本願発明者は、図31(a)、(b)の計算モデルを利用して、一酸化窒素のガス分子48が吸着したときのグラフェン層21のフェルミ準位EFがどのように変化するのかを確かめるためにシミュレーションを行った。
図32(a)、(b)は、そのシミュレーション結果を示すエネルギバンド図である。
そのシミュレーションでは、金属フタロシアニン層40としてクロムフタロシアニン層を形成した。
図32(a)は、グラフェン層21に一酸化窒素のガス分子48が吸着する前のグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合の間隔Z3(図31(a)参照)は2.32Åとした。
一方、図32(b)は、グラフェン層21に一酸化窒素のガス分子48が吸着した後のグラフェン層21のエネルギバンド図である。この場合の間隔Z4(図31(b)参照)は2.36Åとした。また、ガス分子48とグラフェン層21との間隔Z5(図31(b)参照)は2.38Åとした。
図32(a)、(b)に示すように、一酸化窒素のガス分子48が金属フタロシアニン層40に吸着する前のグラフェン層21のフェルミ準位EFは-3.603eVであり、ガス分子48の吸着後のフェルミ準位EFは-3.668eVである。これにより、一酸化窒素のガス分子48が吸着する前と後でのグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量ΔEFは-65meV(=-3.668eV-(-3.603eV))となる。
この変化量の絶対値は、金属フタロシアニン層40を形成しない場合のグラフェン層21のフェルミ準位EFの変化量(-43meV)の絶対値よりも大きい。これにより、グラフェン層21の下に金属フタロシアニン層40を形成することが、一酸化窒素のガス分子48の吸着に伴うフェルミ準位EFの変化量ΔEFを増加させるのに有効であることが明らかとなった。
図33は、本実施形態で想定されるドレイン電流の変化量Id2/Id1を示す図である。なお、図33においては、比較のために、金属フタロシアニン層40がない場合のグラフェン層21単体での変化量Id2/Id1も併記している。
第1実施形態で説明したように、変化量Id2/Id1はId2/Id1=10(Δφ/SS)を満たす。図33における変化量Id2/Id1の算出に際しては、サブスレショルドスイングSSが65mV/decadeに等しいと仮定した。
図33に示すように、本実施形態のようにグラフェン層21の下に金属フタロシアニン層40を形成すると、金属フタロシアニン層40を形成しない場合と比較して変化量Id2/Id1が2倍以上となった。この結果から、グラフェン層21の下に金属フタロシアニン層40を形成しても、一酸化窒素を高い感度で検出できることが明らかとなった。
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態とは異なる方法でグラフェン層21と金属フタロシアニン層40とを積層する。
図34~図36は、本実施形態に係るガスセンサの製造途中の断面図である。なお、図34~図36において、第1実施形態や第2実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
まず、第1実施形態で説明した図5(a)~(c)の工程を行うことにより、図34(a)に示すように、支持層22の上にグラフェン層21が形成された構造を作製する。
次に、図34(b)に示すように、グラフェン層21の裏面21bの上に蒸着法で金属フタロシアニン層40を一分子層の厚さに形成する。その金属フタロシアニン層40の成長条件は特に限定されず、例えば圧力が10-1Pa以下の蒸着チャンバ内でグラフェン層21を室温~200℃程度の温度とする条件で金属フタロシアニン層40を形成し得る。その場合、200℃~300℃程度の温度で蒸発した金属フタロシアニンを蒸着チャンバに供給することにより、1Å/秒以下の成長速度で金属フタロシアニン層40が成長する。
続いて、図35(a)に示すように、第2実施形態の図24(a)の工程と同様にして、半導体基板30の上にゲート絶縁層33が形成された構造を得る。
そして、図35(b)に示すように、前述の図34(b)の工程で形成した金属フタロシアニン層40の表面40aをゲート絶縁層33に密着させる。そして、支持層22を押圧することにより、金属フタロシアニン層40をグラフェン層21と共にゲート絶縁層33に圧着する。
次に、図35(c)に示すように、アセトン等の有機溶媒で支持層22を溶解して除去し、ゲート絶縁層33の上にグラフェン層21と金属フタロシアニン層40とを残す。
この後は、第2実施形態の図25(b)~図26の工程を行うことにより、図36に示すように、本実施形態に係るガスセンサ60の基本構造を得る。
そのガスセンサ60においては、第2の領域R2においてグラフェン層21の表面21aが露出しており、一酸化窒素の分子がその表面21aに結合することで一酸化窒素を検出することができる。
以上説明した本実施形態によれば、図35(b)の工程において、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40とが積層された状態でこれらをゲート絶縁層33に同時に転写する。そのため、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との間に水分等の不純物が入り込む余地が少なくなり、グラフェン層21と金属フタロシアニン層40との密着性が良好となる。
更に、本実施形態においても第2実施形態と同様にグラフェン層21の下に金属フタロシアニン層40を形成するため、加熱によりガス分子をグラフェン層21から離脱させてガスセンサ60をリフレッシュすることができる。
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 半導体基板と、
前記半導体基板の表層に形成されたソース領域と、
前記半導体基板の前記表層に形成されたドレイン領域と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の上に形成されたグラフェン層と、
前記グラフェン層の第1の領域における表面に形成されたゲート電極と、
前記グラフェン層の第2の領域における前記表面と裏面のいずれかに形成された金属フタロシアニン層と、
を有することを特徴とするガスセンサ。
(付記2) 前記グラフェン層の厚さは、一原子層の厚さであることを特徴とする付記1に記載のガスセンサ。
(付記3) 前記金属フタロシアニン層は、前記表面に一分子層の厚さに形成されたことを特徴とする付記1に記載のガスセンサ。
(付記4) 前記金属フタロシアニン層は、チタンフタロシアニン層、バナジウムフタロシアニン層、クロムフタロシアニン層、マンガンフタロシアニン層、鉄フタロシアニン層、及びコバルトフタロシアニン層のいずれかであることを特徴とする付記1に記載のガスセンサ。
(付記5) 前記金属フタロシアニン層が前記裏面に形成され、
前記第2の領域における前記グラフェン層が露出していることを特徴とする付記1に記載のガスセンサ。
(付記6) 前記金属フタロシアニン層が前記表面に形成され、前記第2の領域において前記金属フタロシアニン層が露出していることを特徴とする付記1に記載のガスセンサ。
(付記7) 前記ソース領域寄りの前記グラフェン層の側面が、前記ソース領域寄りの前記ゲート絶縁層の側面から前記ドレイン領域側に後退していることを特徴とする付記1に記載のガスセンサ。
(付記8) 半導体基板の表層にソース領域を形成する工程と、
前記半導体基板の前記表層にドレイン領域を形成する工程と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板の上にゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層の上にグラフェン層を形成する工程と、
前記グラフェン層の第1の領域における表面にゲート電極を形成する工程と、
前記グラフェン層の第2の領域における前記表面に金属フタロシアニン層を形成する工程と、
を有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
(付記9) 前記グラフェン層を形成する工程は、
前記グラフェン層を加熱しながら、支持層の上に形成された前記グラフェン層を前記ゲート絶縁層に圧着する工程と、
前記圧着の後、前記支持層を除去する工程とを有することを特徴とする付記8に記載のガスセンサの製造方法。
(付記10) 前記金属フタロシアニン層を形成する工程は、前記半導体基板を加熱しながら蒸着法により行われることを特徴とする付記8に記載のガスセンサの製造方法。
(付記11) 半導体基板の表層にソース領域を形成する工程と、
前記半導体基板の前記表層にドレイン領域を形成する工程と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板の表面にゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層の上に金属フタロシアニン層を形成する工程と、
前記金属フタロシアニン層の上にグラフェン層を形成する工程と、
前記グラフェン層の第2の領域が露出するように、前記グラフェン層の第1の領域における表面にゲート電極を形成する工程と、
を有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
(付記12) 前記金属フタロシアニン層を形成する工程と、前記グラフェン層を形成する工程は、
支持層の上に前記グラフェン層を形成する工程と、
前記グラフェン層の上に前記金属フタロシアニン層を形成する工程と、
前記金属フタロシアニン層を、前記グラフェン層と共に前記ゲート絶縁層に圧着する工程と、
前記圧着の後、前記支持層を除去する工程とを有することを特徴とする付記11に記載のガスセンサの製造方法。
1…ガスセンサ、2…シリコン基板、2a…チャネル、3…ソース領域、4…ドレイン領域、5…ゲート絶縁層、6…グラフェン層、7…ゲート電極、8…ソース電極、9…ドレイン電極、20…触媒金属箔、21…グラフェン層、21a…表面、21b…裏面、21c、21d…側面、22…支持層、30…半導体基板、30a…チャネル、31…ソース領域、32…ドレイン領域、33…ゲート絶縁層、33a、33b…側面、35…第1のレジスト層、36…第2のレジスト層、37…ソース電極、38…ドレイン電極、39…ゲート電極、40…金属フタロシアニン層、40a…表面、45…第1の端子、46…第2の端子、47…第3の端子、48…ガス分子、50、60…ガスセンサ。

Claims (6)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の表層に形成されたソース領域と、
    前記半導体基板の前記表層に形成されたドレイン領域と、
    前記ソース領域とドレイン領域との間の前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層の上に形成されたグラフェン層と、
    前記グラフェン層の第1の領域における表面に形成されたゲート電極と、
    前記グラフェン層の第2の領域における前記表面に形成されたクロムフタロシアニン層である金属フタロシアニン層と、
    を有することを特徴とするガスセンサ。
  2. 半導体基板と、
    前記半導体基板の表層に形成されたソース領域と、
    前記半導体基板の前記表層に形成されたドレイン領域と、
    前記ソース領域とドレイン領域との間の前記半導体基板の上に形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層の上に形成されたグラフェン層と、
    前記グラフェン層の第1の領域における表面に形成されたゲート電極と、
    前記グラフェン層の第2の領域における裏面に形成された金属フタロシアニン層と、
    を有することを特徴とするガスセンサ。
  3. 前記グラフェン層の厚さは、一原子層の厚さであることを特徴とする請求項1または2に記載のガスセンサ。
  4. 前記金属フタロシアニン層は、一分子層の厚さに形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスセンサ。
  5. 半導体基板の表層にソース領域を形成する工程と、
    前記半導体基板の前記表層にドレイン領域を形成する工程と、
    前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板の上にゲート絶縁層を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁層の上にグラフェン層を形成する工程と、
    前記グラフェン層の第1の領域における表面にゲート電極を形成する工程と、
    前記グラフェン層の第2の領域における前記表面にクロムフタロシアニン層である金属フタロシアニン層を形成する工程と、
    を有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
  6. 半導体基板の表層にソース領域を形成する工程と、
    前記半導体基板の前記表層にドレイン領域を形成する工程と、
    前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体基板の上にゲート絶縁層を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁層の上に金属フタロシアニン層を形成する工程と、
    前記金属フタロシアニン層の上にグラフェン層を形成する工程と、
    前記グラフェン層の第2の領域が露出するように、前記グラフェン層の第1の領域における表面にゲート電極を形成する工程と、
    を有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
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