JP7212506B2 - 含油スラッジの処理方法、及び廃水の処理方法 - Google Patents

含油スラッジの処理方法、及び廃水の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、含油スラッジの処理方法、及び廃水の処理方法に関する。
製鉄所においては、高炉中で焼結鉱及びコークスを原料として鉄分(銑鉄)を作り出す工程(銑鉄工程)が行われ、また、その銑鉄を精錬して各種の鉄鋼製品を製造する工程(鉄鋼製造工程)が行われている。鉄鋼製造工程では、転炉にて精錬された鋼(溶鋼)を鋳型に連続的に流し込み、冷却して固めて鋼片を作る工程(連続鋳造工程)が行われ、その後、熱間圧延工程及び冷間圧延工程等の圧延工程を経て、各種の鉄鋼製品が製造されている。
上述の鉄鋼製造工程では、製造過程にある鋼材及び製造に使用される設備を、冷却や洗浄等するために、水が使用されることにより、廃水が発生する。例えば、連続鋳造工程や熱間圧延工程では、製造過程にある鋼材を冷却するために鋼材の表面に水が噴射されて使用されることにより、廃水(直接冷却廃水と称される。)が生じる。また、冷間圧延工程では、その前段階の熱間圧延工程において鋼材の表面に生じたスケール(鉄の酸化物)を洗い落とすために塩酸等の酸が使用されることにより、廃水が生じる。
上述の鉄鋼製造工程で生じる廃水には、鋼材表面から剥がれ落ちたスケール、連続鋳造及び圧延等で用いられるロール等の各工程の設備で使用される潤滑油及び圧延油等の油分、並びにロール等の設備と鋼材との摩擦により生じる鉄粉等が含まれ得る。このような廃水は、一般的に、製鉄所の廃水処理場において、減容化して廃棄物の発生量を抑えるために、沈降分離及びろ過等により固液分離され、また、油分や懸濁物質が除去された処理水は、循環使用されることもある(例えば特許文献1及び2参照)。この固液分離の際に、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジ(以下、「含油スラッジ」と記載することがある。)が発生する。
含油スラッジは、油分を含有することに起因して、そのままでは製鉄原料として再利用することは困難であり、各種の処理方法で処理することが行われている。含油スラッジ中の鉄分を取り出して製鉄原料として再利用するためには、含油スラッジから油分を除去又は分離する必要があり、その処理方法も種々提案されている(例えば特許文献3及び4参照)。一方、含油スラッジは、油分を含有することから、例えば油分量が多い場合や多種の油分を含有する場合、さらには油分の種類等によっては、含油スラッジから油分の分離がより難しくなることもある。そのため、含油スラッジの一部はまた、産業廃棄物として廃棄処理されているという実情もある。
特開2013-202500号公報 国際公開第2013/077977号 特開2005-230704号公報 特開2007-260484号公報
一般的に、含油スラッジは、製鉄所における沈殿池や濃縮槽等の槽に一時的に貯留されている。含油スラッジが、廃棄のために処理される際や製鉄原料としての再利用のために処理される際には、上述の槽から、ショベル、ポンプ、又はバケット等を用いた浚渫により、含油スラッジが取り出され、ベルトコンベア及びトラック等の輸送手段に積まれて、処理施設へ運搬される。この際、含油スラッジは、含水率が比較的高く、流動しやすい(流動性が高い)ものである場合が多く、さらには油分を含有することから、運搬時において含油スラッジ、及びそれに含まれる油分が流出することが懸念される。それゆえ、流動性が高い含油スラッジは、自然乾燥(風乾)させてから運搬することが好ましいが、自然乾燥させるためには広いスペースも必要となる。そのため、含油スラッジは、油分を含有しないスラッジ等のような、そのまま製鉄原料として利用され得るスラッジ(原料系スラッジ)と比べて、運搬の際の運搬量や乾燥等の制限を受ける場合がある。
そこで本発明は、上述した実情と問題に鑑み、含油スラッジを運搬しやすい処理物にすることが可能な含油スラッジの処理方法を提供しようとするものである。
本発明は、鉄鋼製造工程において生じる廃水から固液分離により回収される、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジに、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合する工程を含む、含油スラッジの処理方法を提供する。
本発明によれば、含油スラッジを運搬しやすい処理物にすることが可能な含油スラッジの処理方法を提供することができる。
試験例A1~A5において、含油スラッジと水溶性重合体とを混合した直後の状態、及び得られた処理物の性状を確認する試験直後の状態を撮影した写真を、処理前の含油スラッジの状態を撮影した写真と対比して表した図表である。 試験例B1で得られた処理物について、処理物の性状を確認する試験直後の状態を撮影した写真と、4日経過後の状態を撮影した写真を、処理前の含油スラッジの状態を撮影した写真と対比して表した図表である。 試験例Cで用いた処理前の含油スラッジと、試験例C1~C6において得られた処理物について、性状を確認する試験直後の状態を撮影した写真を対比して表した図表である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「~」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
<含油スラッジの処理方法>
本発明の一実施形態の含油スラッジの処理方法では、鉄鋼製造工程において生じる廃水から固液分離により回収される、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジ(含油スラッジ)を処理対象とする。
一般に、製鉄所における水処理ピット内に堆積したスラッジの主体として、鉄鉱石、石炭、コークス、及び鉄等が挙げられることがある。これは、一の製鉄所において、製鉄原料を野積みして保管するためのヤード;焼結鉱やコークスを製造する工場;焼結鉱及びコークスを原料として銑鉄を作り出す高炉;並びに銑鉄を転炉にて精錬して各種の鉄鋼製品を製造する工場;等が存在する場合があるためである。具体的には、ヤードにおいては、野積みされた製鉄原料(鉄鉱石や石炭)が降雨や粉塵防止用の散水により流出することがあることから、そこでの水処理ピットでは、鉄鉱石や石炭を主体とするスラッジが生じると考えられる。焼結鉱を製造する工程(焼結工場)においては、鉄鉱石及び石灰石を高温で焼き固めて焼結鉱を製造することから、そこでの水処理ピットでは、鉄鉱石を主体とするスラッジが生じると考えられる。また、コークスを製造する工程(コークス工場)においては、石炭を高温で蒸し焼きにしてコークスを製造することから、そこでの水処理ピットでは、石炭やコークスを主体とするスラッジが生じると考えられる。さらに、銑鉄を転炉にて精錬して各種の鉄鋼製品を製造する鉄鋼製造工程(例えば鋼片工場、条鋼工場、熱延工場、冷延工場、及び厚板工場等)においては、すでに銑鉄が注ぎ込まれた転炉での工程を経て作り出された鋼が用いられることから、そこでの水処理ピットでは、鉄分を主体とするスラッジが生じると考えられる。
本発明の一実施形態の方法では、鉄鋼製造工程において生じる廃水から、その廃水を固液分離することによって回収される含油スラッジを処理対象とする。この含油スラッジは、固形分として、鉄鉱石、石炭、又はコークスを主体とするスラッジとは異なり、通常、固形分としては鉄分が主体となり得る。
処理対象である含油スラッジが回収される廃水が生じる鉄鋼製造工程としては、廃水が生じ得る工程であれば特に制限されない。例えば、連続鋳造工程(以下、「連鋳工程」)、熱間圧延工程(以下、「熱延工程」;熱延工程には、厚板製造工程及び条鋼製造工程等も含まれる。)、及び冷間圧延工程(以下、「冷延工程」)等を挙げることができる。含油スラッジは、連鋳工程、熱延工程、又は冷延工程で生じる廃水から回収されたものが好適である。これらの工程で生じる廃水の1種又は2種以上の混合廃水から回収された含油スラッジを処理対象としてもよい。
鉄鋼製造工程において生じる廃水の好適な具体例としては、鉄鋼製造工程において、製造過程にある鋼材及び製造に使用される設備を、冷却や洗浄等するために使用された水に由来する廃水を挙げることができる。例えば、連鋳工程及び熱延工程等では、製造過程にある鋼材を冷却するために鋼材の表面に水が噴射されて使用されることにより、廃水(直接冷却廃水)が生じる。また、冷延工程では、熱延工程を経た鋼材(いわゆる熱延コイル)が常温でより薄く圧延されるが、その前に、熱延工程の際に鋼材の表面に生じたスケール(鉄の酸化物)を洗い落とすために塩酸等の酸が使用されることにより、廃水(洗浄廃水)が生じる。さらには、各工程における設備の冷却や洗浄等による廃水も生じ得る。これらのような廃水には、鋼材表面から剥がれ落ちたスケール(鉄の酸化物)、ロール等の各工程の設備で使用される潤滑油等の油分、並びにロール等の設備と鋼材との摩擦により生じる鉄粉等が含まれ得る。このような廃水から、処理対象である含油スラッジを回収することができる。
上述の通り、鉄鋼製造工程において生じる廃水から回収される含油スラッジにおける水分は、鉄鋼製造工程における製造過程にある鋼材又はその製造に使用される設備の冷却又は洗浄に使用された水に由来するものであることが好ましい。
含油スラッジが廃水から回収される際の固液分離の手法は、特に限定されない。例えば、凝集・沈殿処理、膜分離・ろ過処理、浮上分離処理、及び遠心分離処理等を挙げることができる。これらのうちの1種又は2種以上の方式の固液分離処理により廃水から回収された含油スラッジが好適であり、それらの中でも、沈殿処理や凝集沈殿処理等の沈降分離処理により廃水から回収された含油スラッジがより好適である。
鉄鋼製造工程において生じる廃水から回収される含油スラッジの好適な具体例としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。上述した鉄鋼製造工程で生じた廃水は、鉄鋼製造設備内におけるスケールスルース(開放樋)に流れ落ち、スケールスルースを通じて水処理設備に送られることがある。その水処理設備では、廃水中の鉄粉及び鉄の酸化物等を含む懸濁物質(SS)を除去して、循環使用され得る処理水を得る処理が行われる。水処理設備では、例えば、廃水がスケールスルースから、スケールピット、凝集・沈殿槽、ろ過機等に送られる。それら水処理設備から回収された、SSを含む含油スラッジを処理対象とすることが好ましい。
また、水処理設備から回収された含油スラッジは、廃棄処理のための処理施設や製鉄原料として再利用するための処理施設へ送られる前に、一時的な置場として、沈殿池、ラグーン、及び濃縮槽等の槽に貯留されることがある。これらの槽における含油スラッジを処理対象とすることがより好ましい。さらには、含油スラッジ中の油分に起因して、製鉄原料として再利用するための処理が困難であるために廃棄処理される、廃棄処理用の含油スラッジが、処理対象としてより好適である。
含油スラッジは鉄鋼製造工程において生じる廃水から回収されるものであるため、水分、鉄分、及び油分を含有する。処理対象とするのに好適な含油スラッジである観点から、含油スラッジ中の水分の含有量は、含油スラッジの全質量を基準として、30~90質量%であることが好ましく、30~80質量%であることがより好ましく、40~70質量%であることがさらに好ましい。乾燥後(水分除去後)の含油スラッジ中の油分の含有量は、含油スラッジの全乾燥質量を基準として、2~20質量%であることが好ましく、4~15質量%であることがより好ましく、6~10質量%であることがさらに好ましい。また、乾燥後(水分除去後)の含油スラッジ中の鉄分を含むSSの含有量は、含油スラッジの全乾燥質量を基準として、30~90質量%であることが好ましく、40~80質量%であることがより好ましく、50~70質量%であることがさらに好ましい。
含油スラッジに含有される鉄分としては、鉄屑及び鉄粉等に由来する金属鉄(M.Fe)、並びにスケールに由来する酸化第一鉄(FeO)、及び酸化第二鉄(Fe)等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上が含油スラッジに含有されていてもよい。乾燥後(水分除去後)の含油スラッジ中の鉄分の含有量は、鉄の総量(T.Fe)として、20~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましく、40~60質量%であることがさらに好ましい。
含油スラッジに含有されていてもよい鉄分以外のSSとしては、例えば、カルシウム、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化マンガン、及び硫黄等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上が含油スラッジに含有されていてもよい。
含油スラッジに含有される鉄分等のSSの平均粒径は、1~50μmであることが好ましく、5~40μmであることがより好ましく、8~30μmであることがさらに好ましい。本明細書において、SSの平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定される、質量基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(D50)を意味する。
本発明の一実施形態の含油スラッジの処理方法は、前述の含油スラッジに、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合する工程を含む。
本明細書において、「(メタ)アクリル」との文言には、アクリル及びメタクリルの両方の文言が含まれることを意味する。「水溶性重合体」における「水溶性」とは、当該水溶性重合体の25℃の水100gに対する溶解度が2g以上であることをいう。「水溶性重合体」との文言には、1種の単量体の単独重合体(ホモポリマー)、及び2種以上の単量体の共重合体(コポリマー)が含まれる。「構造単位」とは、水溶性重合体を構成する単量体単位を意味する。「単量体に由来する構造単位」には、例えば、単量体における重合性二重結合(C=C)が開裂して単結合(-C-C-)となった構造単位等が含まれる。また、以下では、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩のことを、「(メタ)アクリル酸(塩)」と記載することがある。
水溶性重合体における構造単位を構成し得る(メタ)アクリル酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びアミン塩等を挙げることができる。これらのなかでも、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましい。好ましい(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸カリウム、及び(メタ)アクリル酸アンモニウム等を挙げることができる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸ナトリウムがより好ましく、アクリル酸ナトリウムがさらに好ましい。
水溶性重合体は、それを構成する単量体として、実質的に(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上の単量体に由来する構造単位のみからなるものでもよい。また、水溶性重合体は、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミド以外の他の単量体に由来する構造単位を含んでもよい。他の単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸、並びにそれらの塩等の不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸及び無水イタコン酸等のカルボン酸無水物;スチレン及びα-メチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物;ビニルスルホン酸、及びスチレンスルホン酸、並びに2-アクリロイルアミノ-2-メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸、並びにそれらの塩等の不飽和スルホン酸類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル等を挙げることができる。
水溶性重合体としては、ポリアクリル酸(塩)系重合体、ポリメタクリル酸(塩)系重合体、ポリアクリルアミド系重合体、ポリメタクリルアミド系重合体、及び(メタ)アクリル酸(塩)-(メタ)アクリルアミド系共重合体等を挙げることができる。これらにおいても、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミド以外の他の単量体に由来する構造単位が含まれていてもよい。
水溶性重合体の重量平均分子量(Mw)は、500万~3000万であることが好ましく、1000万~2500万であることがより好ましい。この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、測定することができる。
上述の(メタ)アクリル酸(塩)及び/又は(メタ)アクリルアミドに由来する構造単位を含む水溶性重合体は、前述の含油スラッジに添加され、混合されると、含油スラッジ中の懸濁物質に吸着し、懸濁物質どうしを結合させて粗大な粒子とすることができる。その際、粗大粒子における懸濁物質どうしの結合に伴う間隙に含油スラッジ中の水が捕捉されることにより、含油スラッジの流動性が低下した、運搬しやすい処理物(スラッジ処理物)を得ることができる。
上述の作用及び効果をより高める観点からは、水溶性重合体として、(メタ)アクリル酸(塩)-(メタ)アクリルアミド系共重合体を用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸(塩)-(メタ)アクリルアミド系共重合体は、(メタ)アクリル酸及びその塩の少なくともいずれかに由来する構造単位と、(メタ)アクリルアミドに由来する構造単位とを含む共重合体である。この共重合体のなかでも、(メタ)アクリル酸(塩)-アクリルアミド共重合体がより好ましく、アクリル酸(塩)-アクリルアミド共重合体がさらに好ましく、アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体が特に好ましい。
上述の(メタ)アクリル酸(塩)-アクリルアミド共重合体は、前述の含油スラッジに添加され、混合されると、その共重合体におけるポリアクリルアミド部分が、含油スラッジに含まれる自由水の一部に溶解し、含油スラッジ中の懸濁物質にポリアクリルアミド部分の吸着に基づく接着架橋作用が起こると考えられる。懸濁物質どうしがこの接着架橋作用により粗大粒子となり、その間隙に含油スラッジ中の自由水の大部分が捕捉される結果、含油スラッジは流動性が低下し、団粒状又は団塊状となり、見かけ上、含水率が低下したような外観の処理物になると考えられる。
上述の通り、水溶性重合体は、その作用及び効果から、水分を吸収する機能を有する吸水性ポリマーとは異なり、含油スラッジ中の懸濁物質に吸着し、懸濁物質どうしを結合させて粗大粒子とし、その結合に伴って生じる間隙に水分を捕捉することができる。そして、粗大粒子に間隙が発生することにより、その表面積が増加するため、陽当たり、風通しによる乾燥が促進される。
含油スラッジに添加される際の水溶性重合体の形態としては、特に限定されず、粉末状のほか、水溶液状及びエマルジョン状等の液体状の形態等を挙げることができる。含油スラッジの水分を増加させずに使用することができ、また、含油スラッジ中の水分に溶解し、水溶性重合体を素早く混合することができることから、粉末状、又は水溶性重合体が分散質として分散媒に分散されたエマルジョン状の形態が好ましい。この場合、エマルジョン状の水溶性重合体としては、油中水滴型(W/O型)エマルジョンであることがより好ましく、水素化精製軽質留出油(石油)に水溶性重合体が分散されたエマルジョン状の形態であることがさらに好ましい。油中水滴型エマルジョンにおける油分は、含油スラッジの油分にも混ざりやすいことからも、水溶性重合体を含油スラッジに素早く混合することができると考えられる。一方、粉末状の水溶性重合体は、含油スラッジの油分も増加させずに使用することができる観点からも利点がある。
一方、含油スラッジに添加された水溶性重合体が含油スラッジの全体によりいきとどきやすい観点から、含油スラッジに添加される際の水溶性重合体の形態としては、水溶性重合体の含有量が0.1~2質量%である希薄液の形態が好ましい。この希薄液中の水溶性重合体の含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、また、1.8質量%以下であることが好ましく、1.6質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。希薄液を用いることで、含油スラッジに対する水溶性重合体としての添加量がより少量でも、含油スラッジを運搬しやすい処理物にする効果を発揮することができる。
希薄液の好適な形態としては、水中油滴(O/W)型エマルジョン状;水性分散液等の分散液状;並びに水溶液等の溶液状等を挙げることができる。これらのなかでも、製造しやすい観点、及び希薄液中の水溶性重合体が含油スラッジの全体にさらにいきとどきやすい観点から、希薄液は、水溶性重合体を溶質として含有する水溶液、又は水溶性重合体を分散媒として含有する水中油滴型エマルジョン状であることがより好ましい。
希薄液としては、例えば、水溶性重合体の製造時から、0.1~2質量%の水溶性重合体と分散媒とを含有する分散液(分散液状の希薄液)を用いることができる。また、希薄液としては、例えば、水溶性重合体(例えば10~50質量%)と分散媒を含有する分散液(例えば、市販の水溶性重合体を含有する液状製品)を、水溶性重合体の濃度が0.1~2質量%となる量の液状媒体で希釈して得られた希薄液を用いることもできる。さらに、希薄液としては、例えば、市販の粉末状の水溶性重合体0.1~2質量%を溶媒で溶解した溶液(溶液状の希薄液)を用いることもできる。希薄液は、水溶性重合体、並びに上述した分散媒、溶媒、及び希釈に用い得る液状媒体等の少なくとも1種の液分を含有し、また、不可避的不純物(例えば水溶性重合体を構成するモノマーの残存分等)を含有してもよい。
より好適な希薄液としては、水溶性重合体(例えば10~50質量%)及び分散媒を含有する分散液(例えば、上記市販の液状製品)を、水溶性重合体の濃度が0.1~2質量%となる量の水で希釈し、撹拌して得られた希薄液を挙げることができる。この希薄液の希釈前の分散液における分散媒としては、例えば、水(例えばアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の塩を含有する水溶液を含む)や水素化精製軽質留出油(石油)等を挙げることができる。
上述のような希薄液のさらに好適な具体例としては、分散質である水溶性重合体と、分散媒である水素化精製軽質留出油(石油)とを含有する油中水滴(W/O)型エマルジョンを、水溶性重合体の濃度が0.1~2質量%となる量の水で希釈し、撹拌して得られた希薄液を挙げることができる。この希薄液には、分散媒に比べて大量の水で希釈されることで、連続相が油から水に転相し、その連続相(水)中に水溶性重合体が溶解し、かつ、連続相であった油が分散質となった、水中油滴(O/W)型エマルジョン状の希薄液を用いることができる。
また、上述のような希薄液のさらに好適な具体例としては、水溶性重合体と、分散媒である硫酸塩水溶液(例えば、硫酸アンモニウム水溶液及び硫酸マグネシウム水溶液等)とを含有する水性分散液(水性ディスパージョン)を、水溶性重合体の濃度が0.1~2質量%となる量の水で希釈し、撹拌して得られた希薄液を挙げることもできる。この希薄液には、分散媒に比べて大量の水で希釈され、連続相である水溶液中の水の含有量が増大することで、その水(水溶液)中に水溶性重合体が溶解した、水溶液状の希薄液を用いることができる。さらに、希薄液の好適な具体例としては、粉末状の水溶性重合体0.1~2質量%を水で溶解した水溶液状の希薄液を挙げることもできる。
なお、希薄液中の液分には、上述した水、及び水素化精製軽質留出油(石油)以外の他の液分を含有してもよい。他の液分としては、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、及びグリコールエーテル等の水溶性有機溶剤を挙げることができ、それらの1種又は2種以上を用いることができる。
含油スラッジへの水溶性重合体の添加量は、特に限定されず、水溶性重合体を添加する際の含油スラッジの水分量や状態等に応じて、調整することができる。例えば、含油スラッジ100質量部当たり、水溶性重合体を0.001~1質量部添加することが好ましく、0.01~1質量部添加することがより好ましい。
水溶性重合体を前述の粉末状又は油中水滴型エマルジョン状の形態で用いる場合、本方法の処理を行うことにより適した含油スラッジでは、含油スラッジ100質量部当たり、水溶性重合体として0.01~1質量部添加することが好ましい。この場合の水溶性重合体としての添加量は、含油スラッジ100質量部当たり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.02質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることがさらに好ましい。また、この場合の水溶性重合体としての添加量は、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以下であることがさらに好ましい。この場合の水溶性重合体としての添加量は、含油スラッジ中の水分量等に応じて、適宜変更することができる。
また、前述の通り、水溶性重合体を、水溶性重合体の含有量が0.1~2質量%である希薄液の形態で用いる場合、含油スラッジに対する水溶性重合体としての添加量をより少量とすることができる。その希薄液が前述の水溶液又は前述の水中油滴型エマルジョンである場合、含油スラッジ100質量部当たり、水溶性重合体として0.001~0.5質量部添加することが好ましい。この場合の水溶性重合体としての添加量は、含油スラッジ100質量部当たり、0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることがさらに好ましい。また、この場合の水溶性重合体としての添加量は、0.5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以下であることがさらに好ましい。この場合の水溶性重合体としての添加量は、含油スラッジ中の水分量等に応じて、適宜変更することができる。
含油スラッジに水溶性重合体を混合する方法は、特に限定されず、例えば、ショベルや、各種の混練機、混合機、及び撹拌機等(以下、これらを「混練機等」と記載することがある。)を用いて、含油スラッジと水溶性重合体を混合することができる。混合時間は、例えば、0.5~10分間程度とすることができる。
水溶性重合体は、前述した一時的な置場としての槽(沈殿池、ラグーン、及び濃縮槽等)に貯留されている含油スラッジに対して、添加されることが好ましい。具体的には、含油スラッジが貯留されている槽に直接、水溶性重合体を添加し、その槽において、含油スラッジと水溶性重合体とをショベルやバケット等で混合する方法を採ることができる。この方法では、含油スラッジと水溶性重合体との混合、及び含油スラッジが貯留されている槽からの処理物の取り出しを、同じショベルやバケット等を用いて行うことができるという利点がある。この方法により、含油スラッジの流動性が低下した処理物を得た後、その処理物をショベルで取り出し、ベルトコンベアやトラック等の輸送手段で処理施設等へ容易に運搬することができる。
また、別の方法として、含油スラッジを前述の槽から取り出して、その槽又はその近傍に設置した混練機等に入れ、含油スラッジが入れられた混練機等に水溶性重合体を入れ、その混練機等にて含油スラッジと水溶性重合体とを混合する方法を採ることができる。この方法は、前述のショベルを用いた混合よりも、含油スラッジと水溶性重合体とを効率よく混合することができ、流動性が低下した処理物を安定して得ることができるという利点がある。この方法により、含油スラッジの流動性が低下した処理物を得た後、その処理物を混練機からベルトコンベアに移送し、場合によってはさらにトラック等の輸送手段を用いて、処理施設等へ容易に運搬することができる。
混練機等を用いることにより、含油スラッジと水溶性重合体を短時間に混合することができるという利点もある。混練機等による含油スラッジと水溶性重合体との混合時間は、300秒以下(例えば10~300秒)にすることができ、より好ましくは120秒以下(例えば10~120秒)にすることができ、さらに好ましくは90秒以下(10~90秒)にすることができる。
本発明の一実施形態の方法では、前述の含油スラッジに、前述の水溶性重合体を添加し、混合する工程により、含油スラッジの流動性が低下した、運搬しやすい処理物を得ることができる。含油スラッジに水溶性重合体を添加し、混合する工程により、含油スラッジが団粒状、又は団塊状に形成された処理物を得ることが好ましい。より具体的には、含油スラッジに水溶性重合体を添加し、混合する工程は、前述の含油スラッジを、以下に述べる試験(流動性確認試験)によって得られる、x値が80~85mm(より好ましくは80~83mm)、y値が25~50mm(より好ましくは30~50mm、さらに好ましくは40~50mm)である処理物(スラッジ処理物)に形成する工程であることがより好ましい。この試験は、上端開口部の内径が80mm、下端底部の内径が50mm、及び高さが90mmの円錐台状の容器に、含油スラッジと水溶性重合体の混合物(処理物)を高さ50mmまで入れた後、その上(上記上端開口部)に平板を置いて蓋をし、それをその状態のまま逆さにして平板側を水平な試験台上に置いてから上記容器を上方に引き抜く試験である。このとき、試験台(平板)上に残った処理物の水平方向(容器の径方向)に拡がった長さをx値として、処理物の高さをy値として測定することができる。試験に用いた試料(処理物)の流動性が低い程、y値は最大50mmで高く、x値は最小80mmで小さい値をとる。なお、上記試験は、JIS A1101で規定されるコンクリートのスランプ試験方法を参考にした試験である。
また、上記試験を、上記円錐台状の容器に、含油スラッジと水溶性重合体の混合物(処理物)をすりきりに(高さ90mmまで)入れること以外は、上記と同様の方法により行われる試験に変更した場合、上記工程を次の工程とすることが好ましい。すなわち、含油スラッジに水溶性重合体を添加し、混合する工程は、前述の含油スラッジを、上記試験によって得られる、x値が80~100mm(より好ましくは80~95mm、さらに好ましくは80~90mm)、y値が50~90mm(より好ましくは55~90mm、さらに好ましくは80~90mm)である処理物(スラッジ処理物)に形成する工程であることがより好ましい。
得られた含油スラッジの処理物の運搬方法は、特に限定されないが、ベルトコンベアやトラック等の輸送手段を用いることが好ましい。処理物は、処理前の含油スラッジに比べて、流動性が低下しているため、ベルトコンベアやトラック等による運搬時において、含油スラッジ(処理物)やそれに含まれる油分が流出し難い。よって、含油スラッジ(処理物)の運搬時における、運搬量や運搬速度等についての大きな制限を受けることなく、処理物を容易に運搬することができる。
<廃水の処理方法>
前述の本発明の一実施形態の含油スラッジの処理方法は、廃水の処理方法における一部として組み込まれてもよい。そのような廃水の処理方法は、鉄鋼製造工程において生じる廃水を固液分離して、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジを回収する工程と、回収されたスラッジに、前述の水溶性重合体を添加し、混合する工程とを含むことができる。これら各工程では、前述の含油スラッジの処理方法で述べた通りの手法を用いることができる。
以上詳述した含油スラッジの処理方法では、前述の含油スラッジに前述の水溶性重合体を添加し、混合する工程により、廃水中のSSに由来する、含油スラッジ中の粒子に水溶性重合体が吸着し、粒子(SS)どうしを結合させて粗大粒子とすることができる。その際、粗大粒子における粒子(SS)どうしの結合に伴って間隙が生じ、その間隙に含油スラッジ中の水を捕捉することができる。それにより、含油スラッジの流動性が低下した、運搬しやすい処理物を得ることができる。この処理物をベルトコンベアやトラック等の輸送手段によって、廃棄処理のための処理施設や製鉄原料として再利用するための処理施設に容易に運搬することができる。このように、上述の処理方法で処理された含油スラッジ(処理物)は、その後、廃棄のための処理や、製鉄原料としての再利用のための処理等がなされてもよいことから、上述の処理方法は、含油スラッジの改質方法や前処理方法であってもよい。
以上の通り、本発明の一実施形態の方法は、次の構成をとることが可能である。
[1]鉄鋼製造工程において生じる廃水から固液分離により回収される、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジに、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合する工程を含む、含油スラッジの処理方法。
[2]前記水溶性重合体は、粉末状の形態で、前記スラッジに添加される前記[1]に記載の含油スラッジの処理方法。
[3]前記水溶性重合体は、エマルジョン状の形態で、前記スラッジに添加される前記[1]に記載の含油スラッジの処理方法。
[4]前記水溶性重合体は、前記水溶性重合体の含有量が0.1~2質量%である希薄液の形態で、前記スラッジに添加される前記[1]に記載の含油スラッジの処理方法。
[5]前記希薄液は、前記水溶性重合体を溶質として含有する水溶液、又は前記水溶性重合体を分散媒として含有する水中油滴型エマルジョンである前記[4]に記載の含油スラッジの処理方法。
[6]前記スラッジ100質量部当たり、前記水溶性重合体を0.001~1質量部添加する前記[1]~[5]のいずれかに記載の含油スラッジの処理方法。
[7]前記水溶性重合体は、(メタ)アクリル酸及びその塩の少なくともいずれかに由来する構造単位と、(メタ)アクリルアミドに由来する構造単位とを含む、(メタ)アクリル酸(塩)-(メタ)アクリルアミド系共重合体である前記[1]~[6]のいずれかに記載の含油スラッジの処理方法。
[8]前記廃水が、前記鉄鋼製造工程における、連続鋳造工程、熱間圧延工程、又は冷間圧延工程で生じる廃水である前記[1]~[7]のいずれかに記載の含油スラッジの処理方法。
[9]鉄鋼製造工程において生じる廃水を固液分離して、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジを回収する工程と、回収された前記スラッジに、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合する工程を含む、廃水の処理方法。
[10]鉄鋼製造工程において生じる廃水を固液分離して、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジを回収する工程と、回収された前記スラッジを、前記[1]~[8]のいずれかに記載の処理方法で処理する工程を含む、廃水の処理方法。
以下、試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
<試験例A>
試験例Aでは、製鉄所における一時的な置場としての沈殿池から採取してきた含油スラッジに、(メタ)アクリル酸(塩)及び/又は(メタ)アクリルアミドに由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合することによる効果を確認する試験を行った。
処理対象である含油スラッジとして、製鉄所において、鉄鋼製造工程の一種である熱延工程で生じた廃水から、沈降分離等の固液分離により、回収された含油スラッジを用いた。この含油スラッジは、熱延工程において、製造過程にある鋼材及び製造に使用された設備の冷却や洗浄等に使用された水に由来する、直接冷却廃水及び洗浄廃水等を含む廃水から回収されたものである。
採取した直後の含油スラッジの質量(乾燥前質量)と、乾燥後の含油スラッジの質量(乾燥後質量)を測定し、含油スラッジの水分量(含水率)を、含水率(%)=[乾燥前質量-乾燥後質量]/乾燥前質量×100の式により、算出した。その結果、含油スラッジの水分量(含水率)は、48.2質量%であった。なお、含油スラッジの乾燥条件は、含油スラッジを110±5℃の恒温槽で24時間置くことにより水分を除去する条件である。
また、参考として、乾燥後の含油スラッジについて、エネルギー分散型X線分析(EDX分析)装置(商品名「Quantax70」、ブルカー社製)を用いて、組成分析を行った。その結果、乾燥後の含油スラッジについて、鉄分(Feの総量(T.Fe))が65質量%、金属鉄(M.Fe)が1.0質量%、酸化第一鉄(FeO)が40質量%、酸化第二鉄(Fe)が42質量%の値として検出された(なお、これらの値は、それら成分が重複して検出される場合が含まれる。)。溶剤としてヘキサンを用いたソックスレー抽出法により測定した、乾燥後の含油スラッジ中の油分は8質量%であった。SSの平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置(商品名「LMS-30」、セイシン企業社製)を用いて測定した結果、22μmであった。
(試験例A1)
採取した含油スラッジをプラスチックカップに入れ、そこに、含油スラッジ100質量部当たり、水溶性重合体エマルジョンを水溶性重合体としての量で0.04質量部添加し、薬さじで30秒間混合した。水溶性重合体エマルジョンとしては、アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合物を40質量%含有する混合物であるアニオン性W/O型エマルジョン(商品名「NSドライ-322L」、日鉄住金環境社製;アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体及び水素化精製軽質留分(石油)を成分とする。)を用いた。このようにして、試験例A1による含油スラッジの処理物を得た。
(試験例A2)
上記水溶性重合体の添加量を、含油スラッジ100質量部当たり、0.12質量部に変更したこと以外は、試験例A1と同様の方法により、試験例A2による含油スラッジの処理物を得た。
(試験例A3)
上記水溶性重合体の添加量を、含油スラッジ100質量部当たり、0.2質量部に変更したこと以外は、試験例A1と同様の方法により、試験例A3による含油スラッジの処理物を得た。
(試験例A4)
試験例A1で使用した水溶性重合体エマルジョンの代わりに、粉末状の水溶性重合体を用い、その水溶性重合体としての添加量を、含油スラッジ100質量部当たり、0.05質量部としたこと以外は、試験例A1と同様の方法により、試験例A4による含油スラッジの処理物を得た。試験例A4では、水溶性重合体として、粉末状のアクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体(商品名「NSドライ-924S」、日鉄住金環境社製)を用いた。
(試験例A5)
試験例A4で用いた水溶性重合体の添加量を、含油スラッジ100質量部当たり、0.1質量部に変更したこと以外は、試験例A4と同様の方法により、含油スラッジの処理物を得た。
(流動性確認試験)
試験例A1~A5で得られた処理物について、流動性を確認する試験を行った。具体的には、各試験例において、プラスチックカップ(上端開口部の内径が80mm、下端底部の内径が50mm、及び高さが90mmの円錐台状)に、含油スラッジと水溶性重合体の混合物(処理物)を高さ50mmまで入れ、その上(上記上端開口部)に平板を置いて蓋をした。プラスチックカップの上端開口部を平板で蓋をした状態のまま逆さにして平板側を水平な試験台上に置き、プラスチックカップを上方に引き抜いた。そして、試験台(平板)上に残った処理物について、y値(mm)及びx値(mm)を測定した。y値はプラスチックカップを引き抜いた後に試験台上に残った処理物の高さ(試験台に垂直方向の高さ)を表し、x値はその処理物の長さ(試験台に水平方向に拡がった長さ)を表す。処理物が団粒状又は団塊状等の形態のように固まった状態に形成されているほど、形状を維持できることから、y値は高い値(50mmにより近い値)をとり、x値は小さい値(80mmにより近い値)をとる。なお、各試験例では、相対評価のために全て同じ条件で試験を行った。また、比較のために、ブランクとして、処理前の含油スラッジについても同様の試験を行った。試験の結果を表1に示す。
(含水率の測定)
処理前の含油スラッジと、試験例A1~A5で得られた処理物について、24時間経過後、及び48時間経過後の含水率を測定した。その結果を表1に示す。
(処理物の状態)
各試験例において、含油スラッジと水溶性重合体を混合した直後の状態(以下、「状態1」と記す。)を撮影した写真と、上記流動性確認試験の際に試験台上に載置された処理物の状態(以下、「状態2」と記す。)を上面側及び側面側から撮影した写真を、対比表の形式で表した図1に示す。なお、図1には、ブランクとして、上記状態1及び2のそれぞれに対応する状態の処理前の含油スラッジを撮影した写真も示す。
Figure 0007212506000001
表1及び図1に示す試験例A1~A5の結果から、含油スラッジに、アクリル酸ナトリウム及びアクリルアミドに由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合することにより、見かけ上含水率が低下したような外観の団粒状又は団塊状の処理物が得られたことが確認された。また、この処理物は、処理前の含油スラッジに比べて、流動性確認試験によるy値が高く、x値が低い結果となり、流動性が低下していることが確認され、運搬しやすい処理物であることが認められた。
なお、試験例A1~A5で処理対象とした含油スラッジを、連鋳工程、厚板工程、条鋼工程、及び冷延工程の各工程で生じた廃水から固液分離により回収された含油スラッジに変えて、試験例A1~A5と同様の試験も行った。その結果、各含油スラッジについて、試験例A1~A5と同様の傾向の結果が得られたことが確認された。
<試験例B>
試験例Bでは、本発明の一実施形態の含油スラッジの処理方法を実際の現場で実行する場合を想定した試験を行った。
まず、製鉄所における一時的な置場としての沈殿池に貯留されている含油スラッジを処理対象とした。この含油スラッジは、試験例Aで処理対象とした含油スラッジと同様、製鉄所における熱延工程で生じた廃水から、沈降分離等の固液分離により、回収されたものである。この含油スラッジが回収された廃水は、熱延工程において、製造過程にある鋼材及び製造に使用された設備の冷却や洗浄等に使用された水に由来する、直接冷却廃水及び洗浄廃水等を含む廃水である。含油スラッジの含水率を、試験例Aで述べた算出方法と同様に求めた結果、含油スラッジの水分量(含水率)は、35.0質量%であった。
また、乾燥後の含油スラッジについて、試験例Aで述べた分析方法と同様に、ソックスレー抽出法により測定した、乾燥後の含油スラッジ中の油分は3.2質量%であった。
(試験例B1)
上述の沈殿池から含油スラッジをショベルで取り出し、沈殿池に設置された混練機に含油スラッジ500kgを入れた。また、その混練機に、試験例A1で使用した水溶性重合体エマルジョンを水溶性重合体として400g入れた。このように、試験例B1では、含油スラッジ100質量部に対して、水溶性重合体を0.08質量部添加した。そして、廃棄物・副産物の有効利用、有価物の資源回収を目的として使用されるリサイクルプラントである混練機により、含油スラッジと水溶性重合体を60秒間混合した。混合を停止した後、混練機の下部に設けられている排出口より、含油スラッジと水溶性重合体の混合物(処理物)を排出し、排出口に対応して設置されたベルトコンベアにて、処理物を移送した。この処理物は、処理前の含油スラッジに比べて、固まった状態で、見かけ上含水率が低下したような外観を呈しており、ベルトコンベアから処理物が流れ落ちることなく、運搬しやすいものであった。
処理前の含油スラッジとその処理物を採取し、それらをサンプルとして、流動性確認試験及び含水率の測定を行った。試験例Bでの流動性確認試験では、サンプルを、試験台に置いた塩化ビニル管(高さ10cm、呼び径40A)に摺り切りで充填した後、塩化ビニル管を引き抜き、塩化ビニル管が引き抜かれた後のサンプルのy値及びx値を測定した。含水率の測定は、0~4日経過後までの経過日数毎に行った。これらの結果を表2に示す。
また、処理前の含油スラッジとその処理物の各サンプルについて、流動性確認試験直後の状態(以下、「状態3」と記す。)を側面側及び上面側から撮影した写真と、4日経過後の状態(以下、「状態4」と記す。)を上面側から撮影した写真を、対比表の形式で表した図2に示す。
Figure 0007212506000002
表2及び図2に示す通り、試験例B1で得られた処理物は、処理前の含油スラッジに比べて、y値が高く、x値が低い結果となり、流動性が低下していることが確認され、団粒状又は団塊状の運搬しやすい処理物であることが認められた。また、試験例B1で得られた処理物は、処理前の含油スラッジに比べて、水抜けが速く、乾燥が促進されたことが認められた。
<試験例C>
試験例Cでは、試験例Aと同様、製鉄所における一時的な置場としての沈殿池から採取してきた含油スラッジに、(メタ)アクリル酸(塩)及び/又は(メタ)アクリルアミドに由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合することによる効果を確認する試験を行った。
処理対象である含油スラッジとして、製鉄所において、鉄鋼製造工程の一種である連鋳工程で生じた廃水から、沈降分離等の固液分離により回収された、水分、鉄分、及び油分を含有するスラッジを用いた。この含油スラッジは、連鋳工程において、製造過程にある鋼材及び製造に使用された設備の冷却や洗浄等に使用された水に由来する、直接冷却廃水及び洗浄廃水等を含む廃水から回収されたものである。この含油スラッジの含水率を、試験例Aで述べた算出方法と同様に求めた結果、含油スラッジの水分量(含水率)は、57.5質量%であった。また、乾燥後の含油スラッジについて、試験例Aで述べた分析方法と同様に、ソックスレー抽出法により測定した、乾燥後の含油スラッジ中の油分は、10.1質量%であった。さらに、乾燥後の含油スラッジについて、試験例Aで述べた分析方法と同様の方法に分析した結果、乾燥後の含油スラッジ中の鉄分の含有量は、鉄の総量として、42.2質量%であった。
(試験例C1)
採取した含油スラッジをプラスチックカップに300g入れた。そこに、含油スラッジに添加する液体(添加液)として、水溶性重合体を含有する水性分散液製品を原液で0.3g添加し、薬さじで10秒間混合した。水性分散液製品には、アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体を20質量%含有する水性分散液(商品名「NSドライ-709L」、日鉄住金環境社製;アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体及び硫酸アンモニウム水溶液を成分とする。)を用いた。このようにして、含油スラッジ100質量部当たり、上記添加液を0.1質量部(すなわち、水溶性重合体であるアクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体として0.02質量部)添加し、混合したことにより、含油スラッジの処理物を得た。
(試験例C2)
試験例C2では、上記試験例C1と比較して、使用した添加液及びその量を変更したこと以外は、試験例C1と同様の手順及び方法にて、含油スラッジの処理物を得た。具体的には、試験例C2では、含油スラッジへの添加液として、試験例C1で使用した水性分散液製品を水で20倍に希釈した希薄液(したがって、希薄液中の水溶性重合体(アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体)の含有量は1質量%である)を用いた。この希薄液(添加液)は、元の水性分散液における分散媒に比べて大量の水で希釈され、連続相である水溶液中の水の含有量が増大したことで、その水(水溶液)中に水溶性重合体が溶解した水溶液状の希薄液である。また、試験例C2では、上記希薄液の添加量を含油スラッジ100質量部に対し、2質量部とした。このようにして、含油スラッジ100質量部当たり、上記添加液を2質量部(すなわち、水溶性重合体であるアクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体として0.02質量部)添加し、混合したことにより、含油スラッジの処理物を得た。
(試験例C3)
試験例C3では、含油スラッジ300gに、含油スラッジへの添加液として、試験例C1で使用したものと同一の水性分散液製品を原液で0.15g添加し、薬さじで30秒間混合したこと以外は、試験例C1と同様の手順及び方法にて、含油スラッジの処理物を得た。このようにして、含油スラッジ100質量部当たり、上記添加液を0.05質量部(すなわち、水溶性重合体であるアクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体として0.01質量部)添加し、混合したことにより、含油スラッジの処理物を得た。
(試験例C4)
試験例C4では、上記試験例C1と比較して、使用した添加液及びその量を変更したこと以外は、試験例C1と同様の手順及び方法にて、含油スラッジの処理物を得た。具体的には、試験例C4では、含油スラッジへの添加液として、試験例C2で使用したものと同一の希薄液を用い、この希薄液の添加量を含油スラッジ100質量部に対し、1質量部とした。このようにして、含油スラッジ100質量部当たり、上記添加液を1質量部(すなわち、水溶性重合体であるアクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体として0.01質量部)添加し、混合したことにより、含油スラッジの処理物を得た。
(試験例C5)
試験例C5では、上記試験例C1と比較して、使用した添加液及びその量を変更したこと以外は、試験例C1と同様の手順及び方法にて、含油スラッジの処理物を得た。具体的には、試験例C5では、含油スラッジへの添加液として、アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合物を40質量%含有する混合物であるアニオン性W/O型エマルジョン(商品名「NSドライ-322L」、日鉄住金環境社製;アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体及び水素化精製軽質留分(石油)を成分とする。)を原液で用い、含油スラッジ300gに、上記原液(添加液)を0.15g添加した。このようにして、含油スラッジ100質量部当たり、上記原液(添加液)を0.05質量部(すなわち、水溶性重合体であるアクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体として0.02質量部)添加し、混合したことにより、含油スラッジの処理物を得た。
(試験例C6)
試験例C6では、上記試験例C1と比較して、使用した添加液及びその量を変更したこと以外は、試験例C1と同様の手順及び方法にて、含油スラッジの処理物を得た。具体的には、試験例C6では、含油スラッジへの添加液として、試験例C5で使用したW/O型エマルジョン製品を水で100倍に希釈した希薄液(したがって、希薄液中の水溶性重合体(アクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体)の含有量は0.4質量%である)を用いた。この希薄液(添加液)は、元のW/O型エマルジョンにおける分散媒に比べて大量の水で希釈されたことで、連続相が油から水に転相し、その連続相(水)中に水溶性重合体が溶解し、かつ、連続相であった油が分散質となった、水中油滴型エマルジョン状の希薄液である。また、試験例C6では、上記希薄液の添加量を含油スラッジ100質量部に対し、5質量部とした。このようにして、含油スラッジ100質量部当たり、上記添加液を5質量部(すなわち、水溶性重合体であるアクリル酸ナトリウム-アクリルアミド共重合体として0.02質量部)添加し、混合したことにより、含油スラッジの処理物を得た。
(流動性確認試験)
試験例C1~C6で得られた処理物について、流動性を確認する試験を行った。具体的には、各試験例において、プラスチックカップ(上端開口部の内径が80mm、下端底部の内径が50mm、及び高さが90mmの円錐台状)に、含油スラッジと水溶性重合体の混合物(処理物)をすりきりに(高さ90mmまで)入れ、その上(上記上端開口部)に平板を置いて蓋をした。プラスチックカップの上端開口部を平板で蓋をした状態のまま逆さにして平板側を水平な試験台上に置き、プラスチックカップを上方に引き抜いた。そして、試験台(平板)上に残った処理物について、前述と同様のy値(mm)及びx値(mm)を測定した。処理物が団粒状又は団塊状等の形態のように固まった状態に形成されているほど、形状を維持できることから、y値は高い値(90mmにより近い値)をとり、x値は小さい値(80mmにより近い値)をとる。なお、各試験例では、相対評価のために全て同じ条件で試験を行った。また、比較のために、ブランクとして、処理前の含油スラッジについても同様の試験を行った。試験の結果を表3に示す。
(含水率の測定)
処理前の含油スラッジと、試験例C1~C6で得られた処理物について、0~4日経過後までの経過日数毎に含水率の測定を行った。これらの結果を表3に示す。
(処理物の状態)
ブランク、及び試験例C1~C6において、上記流動性確認試験の際に試験台上に載置された処理物の状態を上面側及び側面側から撮影した写真を、対比表の形式で表した図3に示す。
Figure 0007212506000003
表3及び図3に示す試験例C1~C6の結果から、含油スラッジに、アクリル酸ナトリウム及びアクリルアミドに由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合することにより、見かけ上含水率が低下したような外観の団粒状又は団塊状の処理物が得られたことが確認された。また、この処理物は、処理前の含油スラッジに比べて、流動性確認試験によるy値が高く、x値が低い結果となり、流動性が低下していることが確認され、運搬しやすい処理物であることが認められた。
さらに、含油スラッジに添加する際の水溶性重合体の形態を、希薄液(具体的には、水溶性重合体を溶質として含有する水溶液や水溶性重合体を分散媒として含有する水中油滴型エマルジョン)とすることによって、含油スラッジと水溶性重合体(希薄液)との混合時間が短い場合でも、流動性が低下した処理物を得ることができた。このことから、水溶性重合体の含有量が0.1~2質量%である希薄液を含油スラッジに添加することによって、水溶性重合体が含油スラッジの全体にいきとどきやすくなり、その結果、水溶性重合体としての添加量がより少量でも、含油スラッジを運搬しやすい処理物にできたことが認められた(試験例C2、C4、及びC6)。また、含水率の測定結果から、試験例C2、C4、及びC6で得られた処理物は、水抜けがより速く、乾燥がより促進されたことが認められた。

Claims (13)

  1. 鉄鋼製造工程における、連続鋳造工程、熱間圧延工程、又は冷間圧延工程で生じる廃水から固液分離により回収される、水分鉄分を含む懸濁物質;及び油分を含有するスラッジに、
    (メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合する処理工程を含み、
    前記スラッジ中の前記油分の含有量は、前記スラッジの全乾燥質量を基準として、2~20質量%であり、
    前記処理工程は、前記スラッジへの前記水溶性重合体の添加及び混合により、前記水溶性重合体が前記スラッジ中の前記懸濁物質に吸着して前記懸濁物質どうしを結合させ、その結合に伴って生じる間隙に前記スラッジ中の水を捕捉することで前記スラッジの流動性を低下させた処理物を得る工程である、含油スラッジの処理方法。
  2. 前記水溶性重合体は、粉末状の形態で、前記スラッジに添加される請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。
  3. 前記水溶性重合体は、エマルジョン状の形態で、前記スラッジに添加される請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。
  4. 前記水溶性重合体は、前記水溶性重合体の含有量が0.1~2質量%である希薄液の形態で、前記スラッジに添加される請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。
  5. 前記希薄液は、前記水溶性重合体を溶質として含有する水溶液、又は前記水溶性重合体を分散媒として含有する水中油滴型エマルジョンである請求項4に記載の含油スラッジの処理方法。
  6. 前記水溶性重合体として、前記水溶性重合体と、その分散媒である硫酸塩水溶液とを含有する水性分散液を用いる請求項1に記載の含油スラッジの処理方法。
  7. 前記スラッジ100質量部当たり、前記水溶性重合体を0.001~1質量部添加する請求項1~のいずれか1項に記載の含油スラッジの処理方法。
  8. 前記水溶性重合体は、(メタ)アクリル酸及びその塩の少なくともいずれかに由来する構造単位と、(メタ)アクリルアミドに由来する構造単位とを含む、(メタ)アクリル酸(塩)-(メタ)アクリルアミド系共重合体である請求項1~のいずれか1項に記載の含油スラッジの処理方法。
  9. 前記水溶性重合体の重量平均分子量は、500万~3000万である請求項1~8のいずれか1項に記載の含油スラッジの処理方法。
  10. 前記処理工程において、前記スラッジが貯留されている槽に直接、前記水溶性重合体を添加し、その槽において、前記スラッジと前記水溶性重合体とをショベル又はバケットで混合する請求項1~9のいずれか1項に記載の含油スラッジの処理方法。
  11. 前記スラッジ中の前記水分が、前記鉄鋼製造工程における製造過程にある鋼材又はその製造に使用される設備の冷却又は洗浄に使用された水に由来するものである請求項1~10のいずれか1項に記載の含油スラッジの処理方法。
  12. 前記スラッジ中の前記懸濁物質の含有量は、前記スラッジの全乾燥質量を基準として、30~90質量%である請求項1~11のいずれか1項に記載の含油スラッジの処理方法。
  13. 鉄鋼製造工程における、連続鋳造工程、熱間圧延工程、又は冷間圧延工程で生じる廃水を固液分離して、水分鉄分を含む懸濁物質;及び油分を含有するスラッジを回収する工程と、
    回収された前記スラッジに、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含む水溶性重合体を添加し、混合する処理工程を含み、
    前記スラッジ中の前記油分の含有量は、前記スラッジの全乾燥質量を基準として、2~20質量%であり、
    前記処理工程は、前記スラッジへの前記水溶性重合体の添加及び混合により、前記水溶性重合体が前記スラッジ中の前記懸濁物質に吸着して前記懸濁物質どうしを結合させ、その結合に伴って生じる間隙に前記スラッジ中の水を捕捉することで前記スラッジの流動性を低下させた処理物を得る工程である、廃水の処理方法。
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