以下、添付図面に従って本発明に係るレーザー加工方法及び装置の実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
(レーザー加工装置及びレーザー加工機)
まず、本発明の第1の実施形態に係るレーザー加工装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るレーザー加工装置の外観を示す側面図である。なお、以下の説明では、被加工物Wが載置されるステージSTをXY平面と平行な平面とし、Z方向を被加工物Wの深さ方向とする3次元直交座標系を用いる。
本実施形態に係るレーザー加工装置1は、レーザー加工機本体12、亀裂測定器本体52及びステージSTを含んでいる。
レーザー加工機本体12は、ステージST上に載置された被加工物Wにレーザー光を照射して、被加工物Wの内部に改質領域を形成するためのレーザー光源14及びレーザー照明光学系16(図2参照)を含んでいる。被加工物Wの内部に改質領域が形成されると、その改質領域を起点として被加工物Wの深さ方向に亀裂が伸展する。
亀裂測定器本体52は、レーザー加工機本体12によってレーザー加工された被加工物Wの内部の亀裂を検出し、亀裂の形成位置、例えば、Z方向の深さ位置及び長さを測定するための各種の光学系(図3参照)を含んでいる。
図1に示すように、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52は、ともに略直方体状であり、亀裂測定器本体52は、レーザー加工機本体12の前面(-X側の面)に固定されている。
図2に示すように、レーザー加工機本体12は、Z駆動部32及びY駆動部34(図3参照)によってそれぞれZ方向及びY方向に移動可能に取り付けられており、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52は、Z方向及びY方向に沿って一体的に移動可能となっている。また、図1に示すように、ステージSTは、X駆動部36(図3参照)によってX方向に移動可能となっている。
本実施形態に係るレーザー加工装置1は、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52をYZ方向に移動させ、ステージSTをX方向に移動させることにより、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52と、ステージSTとを相対的に移動させる。これにより、ステージSTに載置された被加工物Wの所望の位置においてレーザー加工を行ったり、亀裂の検出を行うことが可能となっている。
なお、本実施形態では、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52を略直方体状としたが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態に係るレーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52は、一体的に移動可能であれば、どのような外観形状であってもよい。
また、本実施形態では、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52をYZ方向に移動可能に取り付けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52をXYZ方向に移動可能として、ステージSTを固定してもよいし、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52を固定して、ステージSTをXYZ方向に移動可能としてもよい。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るレーザー加工装置を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係るレーザー加工装置1は、レーザー加工機10、亀裂測定器50及び駆動部30を含んでいる。
レーザー加工機10は、レーザー光源14、レーザー照明光学系16、レーザー加工機制御部20、操作部22及び表示部24を含んでいる。レーザー光源14及びレーザー照明光学系16(以下、レーザー加工用光学系)は、レーザー加工機本体12内に設けられている。
レーザー光源14は、被加工物Wの内部に改質領域を形成するためのレーザー光を出力する光源である。レーザー光源14としては、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)を用いることができる。
レーザー照明光学系16は、レーザー光源14から出力されたレーザー光を被加工物Wに導光するための導光レンズと、被加工物Wの内部の所望の深さ位置に集光させるための集光レンズとを含んでいる。
レーザー加工機制御部20は、レーザー加工機10の各部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用可能なSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)及びストレージデバイス(例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive))を含んでいる。レーザー加工機制御部20は、操作部22を介して操作者による操作入力を受け付け、操作入力に応じた制御信号をレーザー加工機10の各部に送信して各部の動作を制御する。レーザー加工機制御部20は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーションであってもよい。レーザー加工機制御部20は、亀裂測定器50の亀裂測定器制御部500と通信可能に接続されている。
操作部22は、操作者からの操作入力を受け付ける部材である。操作部22としては、例えば、キーボード、並びにマウス及びタッチパネル等のポインティングデバイスを用いることができる。
表示部24は、レーザー加工機10の操作のための操作GUI(Graphical User Interface)及び画像(例えば、亀裂の検出結果等)を表示する装置である。表示部24としては、例えば、液晶ディスプレイを用いることができる。
亀裂測定器50は、亀裂測定器本体52に加えて、亀裂測定器制御部500、操作部506及び表示部508を含んでいる。亀裂測定器本体52には、亀裂検出のための各種の光学系(図3に示す光源部100、照明光学系200、界面検出用光学系300、亀裂検出用光学系400、フォーカス調整機構502及び集光レンズ504。以下、これらを総称して測定用光学系という。)が設けられている。亀裂測定器50については、図3を参照して後述する。
駆動部30は、Z駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を含んでいる。Z駆動部32は、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52をZ方向に沿って移動させるための駆動機構(例えば、モータ)を含んでいる。Y駆動部34は、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52をY方向に沿って移動させるための駆動機構(例えば、モータ)を含んでいる。X駆動部36は、ステージSTをX方向に沿って移動させるための駆動機構(例えば、モータ)を含んでいる。
レーザー加工機制御部20は、Z駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を制御して、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52と、ステージSTとの相対位置を調整する。これにより、被加工物Wが載置されたステージSTが、レーザー加工機10によりレーザー加工を行う加工位置と、亀裂測定器50により亀裂検出を行う測定位置との間を相対的に移動可能となっている。
レーザー加工時には、レーザー加工機制御部20は、Z駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を制御して、ステージSTを加工位置に配置する。そして、レーザー加工機制御部20は、レーザー光源14及びレーザー照明光学系16を制御して、被加工物Wにレーザー光を照射して、分割予定ラインに沿って被加工物Wの内部に改質領域を形成する。
亀裂の検出時には、レーザー加工機制御部20は、Z駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を制御して、ステージSTを測定位置に配置する。そして、レーザー加工機制御部20は、亀裂測定器制御部500に対して、被加工物Wの内部の亀裂を検出する指示(測定依頼)を送信する。
亀裂測定器制御部500は、被加工物Wの内部に形成された亀裂を検出する。亀裂測定器制御部500は、亀裂の検出結果を解析して、被加工物Wの内部における亀裂の形成状態(伸展長さ及び位置等)を判定する(図11から図14参照)。この亀裂の解析結果は、亀裂測定器制御部500からレーザー加工機制御部20に送信される。
レーザー加工機制御部20(フィードバック手段)は、亀裂の解析結果に基づいて、亀裂の伸展が十分であるか否かを判定する。そして、レーザー加工機制御部20は、亀裂の伸展が不十分であると判定した場合、亀裂の解析結果をレーザー加工の加工条件にフィードバックして、レーザー加工の加工条件を変更する。すなわち、レーザー加工機制御部20は、亀裂の解析結果に基づいて、レーザー加工におけるレーザーの強度及び照射時間等の加工条件について最適な条件を求めて、次の被加工物Wのレーザー加工に適用する。レーザー加工機制御部20は、被加工物Wの材質及び厚さごとに、レーザー光の強度及び照射時間と、亀裂の形成状態(伸展長さ及び位置等)との関係を示す加工条件データを記憶している。レーザー加工機制御部20は、操作部22から入力された被加工物Wの材質及び厚さと、亀裂の解析結果に基づいて、レーザー光の強度及び照射時間と、亀裂の形成状態との関係を変更することにより、この加工条件データを最適化する。具体的には、亀裂の伸展が不十分な場合には、レーザー加工機制御部20は、例えば、レーザー光の強度を強くしたり、照射時間を長くしたり、又は被加工物Wの深さ方向のレーザーの集光点の数(図12及び図14参照)を増加させる。一方、亀裂の伸展が過剰な場合(例えば、被加工物Wが割断前に割れている場合)には、レーザー加工機制御部20は、例えば、レーザー光の強度を弱くしたり、照射時間を短縮したり、又は被加工物Wの深さ方向のレーザーの集光点の数を減少させる。
レーザー加工機制御部20は、加工条件の変更が終了すると、被加工物Wを加工位置に再配置する。そして、レーザー加工機制御部20は、変更後の加工条件を用いて、被加工物Wにレーザー光を照射して、別の分割予定ラインに沿って被加工物Wの内部に改質領域を形成する。
本実施形態によれば、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52を一体的に移動可能として、加工位置と測定位置との間でステージSTを相対的に移動可能としたので、レーザー加工機10の装置状態の変化に起因する加工品質の低下を迅速に検知することが可能になる。さらに、本実施形態によれば、被加工物Wのレーザー加工を行う際の加工条件を効率的に決定することが可能である。
(亀裂測定器)
次に、亀裂測定器について、図3から図14を参照して説明する。図3は、亀裂測定器を示すブロック図である。
本実施形態に係る亀裂測定器50は、被加工物Wに対して検出光L1を照射し、被加工物Wからの反射光L2を検出することで、被加工物Wの内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する。亀裂測定器50は、被加工物Wの内部に改質領域を形成するレーザー加工機10と組み合わせて使用される。
図3に示すように、本実施形態に係る亀裂測定器50は、光源部100、照明光学系200、界面検出用光学系300、亀裂検出用光学系400、亀裂測定器制御部500、フォーカス調整機構502、集光レンズ504、操作部506及び表示部508を含んでいる。
光源部100は、被加工物Wの界面の検出及び被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの検出に用いられる検出光L1を出射する。ここで、被加工物Wがシリコンウェハの場合、検出光L1としては、波長1060nm以上の赤外光を用いるのが望ましい。
光源部100は、光源102、コリメートレンズ104及び制限部材108を含んでいる。光源102、コリメートレンズ104及び制限部材108は、集光レンズ504のレンズ光軸と同軸の主光軸AXに沿って配置されている。
光源102は、主光軸AXに沿って検出光L1を出射する。光源102としては、例えば、LD(Laser Diode)光源を用いることができる。光源102は、亀裂測定器制御部500と接続されており、亀裂測定器制御部500により光源102の出射制御が行われる。
コリメートレンズ104は、光源102から出射された検出光L1が平行光になるように調整する。
制限部材108には、開口部108Aが形成されている。制限部材108は、コリメートレンズ104からの検出光L1の一部を遮光する遮光部材である。制限部材108は、不図示の駆動機構により、検出光L1の光路上に対して出没させることが可能となっている。亀裂測定器制御部500は、不図示のアクチュエータを制御して、制限部材108の出没の制御を行う。制限部材108は、亀裂検出用光学系400により亀裂Kを検出するときに、検出光L1の一部を遮光して、検出光L1を主光軸AXに対して偏心させる。制限部材108については後述する。
照明光学系200は、光源部100から出射された検出光L1を集光レンズ504に導光する。照明光学系200は、リレーレンズ202及び206並びにミラー204を含んでいる。光源部100から出射された検出光L1は、リレーレンズ202を透過して、ミラー204により反射されて光路が折り曲げられる。ここで、ミラー204としては、例えば、波長1060nm以上の赤外光を選択的に反射し、それ以外の波長帯の光を透過させるダイクロイックミラーを用いることができる。ミラー204によって反射された検出光L1は、リレーレンズ206を透過して集光レンズ504に向けて出射される。
集光レンズ504は、照明光学系200から出射された検出光L1を被加工物Wに集光(合焦)させる。集光レンズ504は、被加工物Wに対向する位置に配置され、主光軸AXと同軸に配置される。
フォーカス調整機構502は、被加工物Wにおける検出光L1の集光位置を調整する。フォーカス調整機構502は、集光レンズ504、及び被加工物Wが載置されるステージSTのうちの少なくとも一方を移動させる駆動部を含んでいる。フォーカス調整機構502は、集光レンズ504とステージSTとの間のXYZ方向の相対位置を調整することにより、検出光L1の集光位置をXYZ方向に移動させることが可能となっている。
集光レンズ504によって集光され、被加工物Wによって反射された反射光L2は、界面検出用光学系300及び亀裂検出用光学系400に導光され、それぞれ、被加工物Wの界面検出及び亀裂の検出に用いられる。
亀裂測定器制御部500は、亀裂測定器50の各部の動作を制御するCPU、制御プログラムを格納するROM、CPUの作業領域として使用可能なSDRAM及びストレージデバイスを含んでいる。亀裂測定器制御部500は、操作部506を介して操作者による操作入力を受け付け、操作入力に応じた制御信号を亀裂測定器50の各部に送信して各部の動作を制御する。亀裂測定器制御部500は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーションであってもよい。
なお、本実施形態では、レーザー加工機10及び亀裂測定器50にそれぞれレーザー加工機制御部20及び亀裂測定器制御部500が設けられているが、これらの制御部(制御PC)は兼用であってもよい。
操作部506は、操作者からの操作入力を受け付ける部材である。操作部506としては、例えば、キーボード、並びにマウス及びタッチパネル等のポインティングデバイスを用いることができる。
表示部508は、亀裂測定器50の操作のための操作GUI(Graphical User Interface)及び画像(例えば、亀裂の検出結果等)を表示する装置である。表示部508としては、例えば、液晶ディスプレイを用いることができる。
(界面検出用光学系)
次に、被加工物Wの界面検出について説明する。以下の説明では、被加工物Wの裏面(ステージSTに接する面)の界面の検出を行って、被加工物Wの裏面の界面位置を基準として亀裂深さを検出する場合について説明する。なお、亀裂深さの検出では、被加工物Wの表面を基準としてもよいし、被加工物Wの表裏両方の面を基準として検出した亀裂深さの平均値をとるようにすることも可能である。
界面検出用光学系300は、被加工物Wの界面(表面又は裏面)の検出を行うための光学系であり、ハーフミラー302、リレーレンズ304、ハーフミラー306及び光検出器308を含んでいる。
被加工物Wの界面を検出するときには、亀裂測定器制御部500は、制限部材108を検出光L1の光路から退避させた状態で、検出光L1を被加工物Wに照射する。ここで、亀裂測定器制御部500及び界面検出用光学系300は、それぞれ界面検出手段の一部として機能する。
ハーフミラー302は、照明光学系200からの検出光L1を集光レンズ504側に透過させ、被加工物Wからの反射光L2(第1の反射光)を反射する。被加工物Wからの反射光L2は、ハーフミラー302によって反射されて光路が折り曲げられ、リレーレンズ304に導光される。リレーレンズ304を透過した反射光L2は、ハーフミラー306によって反射されて光検出器308に導光される。
光検出器308は、被加工物Wからの反射光L2を受光して、被加工物Wの界面の検出を行うための装置であり、検出器本体308A及びピンホールパネル308Bを含んでいる。
検出器本体308Aとしては、受光した光を電気信号に変換して亀裂測定器制御部500に出力するフォトディテクタ(例えば、フォトダイオード)を用いることができる。
ピンホールパネル308Bには、入射光の一部を通過させるためのピンホールが形成されている。ピンホールパネル308Bは、検出器本体308Aの受光面側に、ピンホールが反射光L2の光軸上になるように配置されている。
界面検出用光学系300は、ピンホールパネル308Bのピンホールの位置が、集光レンズ504の集光点の位置と光学的に共役関係にある光学系となっている。
亀裂測定器制御部500は、制限部材108を検出光L1の光路から退避させて検出光L1を被加工物Wに照射しながら、集光レンズ504とステージSTとをZ方向に相対的に移動させる。亀裂測定器制御部500は、被加工物Wの界面(表面又は裏面)において検出光L1が合焦したときの反射光L2を検出し、そのときの集光点の位置から被加工物Wの界面のZ方向の位置を算出する。
(亀裂検出用光学系)
次に、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの検出について説明する。
亀裂検出用光学系400は、リレーレンズ402、ハーフミラー404、光検出器406及び408を含んでいる。
被加工物Wの内部に形成された亀裂Kを検出するときには、亀裂測定器制御部500は、制限部材108を検出光L1の光路上に挿入する。ここで、亀裂測定器制御部500、制限部材108及び亀裂検出用光学系400は、それぞれ亀裂検出手段の一部として機能する。制限部材108には、主光軸AXからずれた位置に開口部108Aが設けられており、検出光L1のうち開口部108Aを透過した光が被加工物Wに照射される。これにより、主光軸AXに対して偏心した検出光L1が被加工物Wに照射される。
本実施形態では、亀裂検出を行うときに、偏射照明の方法(以下、照明方法ともいう。)を切り替えて、亀裂深さの検出を複数回行い、その複数回の検出結果の平均値を亀裂深さとして算出することが可能となっている。ここで、照明方法の切り替えとは、検出光L1の偏心の態様(例えば、検出光L1が出射する開口部と主光軸との距離及び位置)を切り替えることをいう。
制限部材108には、それぞれ開閉可能な開口部108A及び108Bが形成されている。本実施形態では、被加工物Wに対して偏射照明を行う場合に、制限部材108の開口部108A及び108Bのいずれか一方を開放することにより、検出光L1の偏心の態様を変更することが可能となっている。
被加工物Wからの反射光L2(第2の反射光)は、ハーフミラー302によって反射された後、リレーレンズ304及びハーフミラー306を順次透過してリレーレンズ402に入射する。リレーレンズ402を透過した反射光L2は、ハーフミラー404を介して光検出器406及び408により受光される。ここで、ハーフミラー404に入射する光の透過率及び反射率はそれぞれ約50%とする。
光検出器406及び408は、被加工物Wからの反射光L2を受光して、被加工物Wの内部の亀裂Kの検出を行うための装置である。光検出器406は、検出器本体406A及びピンホールパネル406Bを含んでおり、光検出器408は、検出器本体408A及びピンホールパネル408Bを含んでいる。
検出器本体406A及び408Aとしては、受光した光を電気信号に変換して亀裂測定器制御部500に出力するフォトディテクタ(例えば、フォトダイオード)を用いることができる。
ピンホールパネル406B及び408Bには、入射光の一部を通過させるためのピンホールが形成されている。ピンホールパネル406B及び408Bは、それぞれ検出器本体406A及び408Aの受光面側に配置されている。ピンホールパネル406B及び408Bは、それぞれピンホールが反射光L2の光軸からずれた位置になるように配置されている。
図4から図6は、被加工物Wに対して検出光L1の偏射照明が行われたときの様子を示した説明図である。なお、以下の説明では、制限部材108の開口部108Aを用いて偏射照明を行った場合について説明する。制限部材108の開口部108Bを用いて偏射照明を行った場合については、集光レンズ504の集光レンズ瞳と検出器本体406A及び408Aとの関係が変わるだけであるため、説明を省略する。
図4は集光レンズ504の集光点に亀裂Kが存在する場合、図5は集光レンズ504の集光点に亀裂Kが存在しない場合、図6は集光レンズ504の集光点と亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)とが一致する場合をそれぞれ示している。図7から図9は、光検出器406及び408に受光される反射光L2の様子を示した図であり、それぞれ図4から図6に示した場合に対応するものである。図10は、被加工物Wからの反射光L2が集光レンズ瞳504aに到達する経路を説明するための図である。なお、ここでは、検出光L1は、集光レンズ瞳504aの一方側(図10の右側)の第1領域G1を通過して、被加工物Wに対して偏射照明が行われる場合について説明する。
図4に示すように、集光レンズ504の集光点に亀裂Kが存在する場合には、検出光L1は亀裂Kで全反射して、その反射光L2は主光軸AXに対して検出光L1の光路と同じ側の経路をたどって、集光レンズ瞳504aの検出光L1と同じ側の領域に到達する成分となる。すなわち、図10に示すように、光源102からの検出光L1が集光レンズ504を介して被加工物Wに照射されるときの検出光L1の経路をR1としたとき、被加工物Wの内部の亀裂Kで全反射した反射光L2は、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して同じ側(図10の右側)の経路R2をたどって集光レンズ瞳504aの第1領域G1を通過する。
図5に示すように、集光レンズ504の集光点に亀裂Kが存在しない場合には、検出光L1は被加工物Wの裏面で反射し、その反射光L2は集光レンズ瞳504aの検出光L1と反対側の領域に到達する成分となる。すなわち、図10に示すように、被加工物Wの裏面で反射した反射光L2は、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して反対側(図10の左側)の経路R3をたどって集光レンズ瞳504aの第2領域G2を通過する。
図6に示すように、集光レンズ504の集光点と亀裂Kの下端位置とが一致する場合には、検出光L1は、亀裂Kで全反射して集光レンズ瞳504aの検出光L1と同じ側の領域に到達する反射光成分L2aと、亀裂Kで全反射されずに被加工物Wの裏面で反射して集光レンズ瞳504aの検出光L1と反対側の領域に到達する非反射光成分L2bとに分割される。すなわち、図10に示すように、反射光L2のうち、被加工物Wの内部の亀裂Kで全反射した反射光成分L2aは、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して同じ側(図10の右側)の経路R2をたどって集光レンズ瞳504aの第1領域G1を通過するとともに、亀裂Kで全反射されずに被加工物Wの裏面で反射した非反射光成分L2bは、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して反対側(図10の左側)の経路R3をたどって集光レンズ瞳504aの第2領域G2を通過する。
ピンホールパネル406B及び408Bは、それぞれピンホールが集光レンズ瞳504aの第1領域G1及び第2領域G2と光学的に共役な位置となるように配置されている。これにより、検出器本体406A及び検出器本体408Aは、それぞれ集光レンズ瞳504aの第1領域G1及び第2領域G2を通過した光を選択的に受光可能となっている。
図4に示す例(集光レンズ504の集光点に亀裂Kが存在する場合)では、図7に示すように、検出器本体406A及び検出器本体408Aのうち、検出器本体406Aの受光面406Cに反射光L2が受光し、受光面406Cから出力される検出信号のレベルが検出器本体408Aの受光面408Cから出力される検出信号のレベルよりも高くなる。
一方、図5に示す例(集光レンズ504の集光点に亀裂Kが存在しない場合)では、図8に示すように、検出器本体406A及び検出器本体408Aのうち、検出器本体408Aの受光面408Cに反射光が受光し、受光面408Cから出力される検出信号のレベルが受光面406Cから出力される検出信号のレベルよりも高くなる。
また、図6に示す例(集光レンズ504の集光点と亀裂Kの下端位置とが一致する場合)では、図9に示すように、受光面406C及び408Cに反射光L2の各成分L2a、L2bがそれぞれ受光し、受光面406C及び408Cから出力される検出信号のレベルが略等しくなる。
このように、受光面406C及び408Cで受光される光量は、集光レンズ504の集光点に亀裂Kが存在するか否かによって変化する。本実施形態では、このような性質を利用して、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することができる。
具体的には、受光面406C及び408Cから出力される検出信号の出力をそれぞれD1及びD2としたとき、集光レンズ504の集光点と亀裂Kの亀裂深さとの関係を示す評価値Sは、次式で表すことができる。
S=(D1-D2)/(D1+D2) ・・・(1)
式(1)において、S=0の条件を満たすとき、すなわち、受光面406C及び408Cによって受光される光量が一致するとき、集光レンズ504の集光点と亀裂下端位置(又は亀裂上端位置)とが一致した状態を示す。
亀裂測定器制御部500は、フォーカス調整機構502(集光点変更手段)を制御して、集光レンズ504の集光点を、裏面の界面位置Z(0)から被加工物Wの深さ方向(Z方向)に順次変化させながら、受光面406C及び408Cから出力される検出信号を順次取得し、この検出信号に基づいて式(1)で示される評価値Sを算出し、この評価値Sを評価することによって亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することができる。
なお、本実施形態では、検出器本体308A、406A及び408Aとしてフォトディテクタを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フォトディテクタに代えて、赤外線カメラ等を用いてもよい。
また、亀裂Kの検出を行う場合には、反射光L2の光路上からハーフミラー306を退避させるようにしてもよい。この場合、界面検出用光学系300のハーフミラー306は、全反射ミラー又はダイクロイックミラー等に置換してもよい。
また、本実施形態では、ハーフミラー404に入射する光の透過率及び反射率をそれぞれ約50%としたが、本発明はこれに限定されない。ハーフミラー404の透過率と反射率が異なる場合には、評価値Sの算出に当たって、光検出器406及び408からの検出信号の出力D1及びD2に、ハーフミラー404の透過率と反射率に応じた重み係数を掛けてもよい。
次に、亀裂の検出及び測定結果の解析について、図11から図15を参照して説明する。なお、以下の説明では、レーザー加工において、被加工物Wの深さ方向(Z方向)の2か所にレーザー光を集光させて各集光位置に改質領域A1及びA2をそれぞれ形成し、2つの改質領域からそれぞれ亀裂を伸展させる場合について説明する。
図12及び図14は、亀裂の形成状態を示す断面図である。図12は、亀裂がつながった状態を示しており、図14は、亀裂が途切れた状態を示している。図11及び図13は、それぞれ図12及び図14に示す亀裂の検出信号を示すグラフである。
図12に示す例では、2つの改質領域A1及びA2からそれぞれ伸展した亀裂がつながって、亀裂K0が形成されている。この場合、被加工物Wの裏面の界面位置Z(0)から表面側に検出光L1を走査していくと、被加工物Wの裏面で反射した反射光L2は、亀裂K0が存在する深さ位置では亀裂K0により全反射される(図10参照)。このため、反射光L2のうち、偏射照明された検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して反対側の経路R3には反射光L2が到達しない。よって、図11の丸で囲った部分に示すように、経路R3を通った反射光L2の成分(非反射光成分L2b)を検出する検出器本体(406A及び408Aのうちの一方)から出力される検出信号の強度が、亀裂K0の深さ位置で弱くなる(ゼロになる)。一方、図示は省略するが、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して同じ側の経路R2を通った反射光L2の成分(反射光成分L2a)を検出する検出器本体(406A及び408Aのうちの他方)から出力される検出信号の強度は、亀裂K0の深さ位置では強くなる。
図14に示す例では、2つの改質領域A1及びA2からそれぞれ伸展した亀裂K1及びK2がつながっていない。この場合、被加工物Wの裏面の界面位置Z(0)から表面側に検出光L1を走査していくと、反射光L2は、亀裂K1及びK2が存在する深さ位置では亀裂K1及びK2により全反射されるが、亀裂K1及びK2の間の深さ位置では亀裂K1とK2との間を通過する。このため、図13の丸で囲った部分に示すように、経路R3を通った反射光L2の成分を検出する検出器本体(406A及び408Aのうちの一方)から出力される検出信号の強度が、亀裂K1及びK2の深さ位置では弱くなり、亀裂K1とK2の間の深さ位置では強くなる。一方、図示は省略するが、経路R2を通った反射光L2の成分を検出する検出器本体(406A及び408Aのうちの他方)から出力される検出信号の強度は、亀裂K1及びK2の深さ位置では強くなり、亀裂K1とK2の間の深さ位置では弱くなる。
亀裂測定器制御部500は、検出光L1を走査したときの検出信号の強度の変化を解析して、亀裂が形成された深さ位置、亀裂がつながっていない場合の亀裂間の距離等の亀裂の形成状態を判定する。そして、レーザー加工機制御部20は、亀裂の解析結果を取得して、レーザー加工の加工条件を変更する。
なお、図11から図15に示す例では、レーザー光の集光点が2つの場合について説明したが、集光点の数が3以上であっても、同様の方法で、亀裂の形成状態を判定することが可能である。
(レーザー加工方法)
次に、本実施形態に係るレーザー加工方法について、図15を参照して説明する。図15は、本発明の第1の実施形態に係るレーザー加工方法を示すフローチャートである。
まず、レーザー加工機制御部20は、Z駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を制御して、ステージSTを加工位置に配置(セット)する(ステップS10)例えば、被加工物Wがシリコンウェハの場合には、シリコンウェハのデバイス面が被加工物Wの裏面(すなわち、ステージST側の面)となるように配置する。そして、レーザー加工機制御部20は、レーザー光源14及びレーザー照明光学系16を制御して、被加工物Wにレーザー光を照射して、被加工物Wの内部に改質領域を形成する(ステップS12:レーザー加工工程)。ステップS12では、レーザー加工機本体12とステージSTとを相対的に移動させながら、被加工物Wにレーザー光を照射することにより、被加工物Wの分割予定ラインに沿って改質領域を形成する。これにより、被加工物Wの内部において、改質領域を起点として被加工物Wの深さ方向に亀裂が形成される。
次に、レーザー加工機制御部20は、Z駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を制御して、ステージSTを測定位置に配置する。そして、レーザー加工機制御部20は、亀裂測定器制御部500に対して、被加工物Wの内部の亀裂を検出する指示(測定依頼)を送信する(ステップS14)。
次に、亀裂測定器制御部500は、被加工物Wの内部に形成された亀裂を検出して、その深さ位置及び長さを測定する(ステップS16:亀裂検出工程)。亀裂検出工程については、図16を用いて後述する。そして、亀裂測定器制御部500は、亀裂の検出結果を解析して、被加工物Wの内部における亀裂の形成状態を判定する(ステップS18:解析工程)。亀裂測定器制御部500は、亀裂の解析結果をレーザー加工機制御部20に送信する(ステップS20)。
次に、レーザー加工機制御部20は、亀裂測定器制御部500から亀裂の解析結果を受信すると(ステップS22)、亀裂の解析結果を加工条件にフィードバックして、加工条件を最適化して変更する(ステップS24:フィードバック工程)。フィードバック工程については、図17を参照して後述する。
次に、ステップS10に戻って、レーザー加工機制御部20は、Z駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を制御して、ステージSTを加工位置に再配置(セット)する(ステップS10)。そして、レーザー加工機制御部20は、変更後の加工条件により被加工物Wの別の分割予定ラインに対するレーザー加工を行う。そして、レーザー加工機制御部20は、終了指示を受け付けるまで(ステップS26)、被加工物Wに対するレーザー加工と亀裂検出を繰り返す。
なお、本実施形態では、複数の分割予定ラインに対してレーザー加工を行う場合に、最初の(1本目の)分割予定ラインに対してレーザー加工を行った後に、亀裂検出及び亀裂の解析結果の加工条件へのフィードバック実施し、残りの分割予定ラインに対しては、変更後の加工条件によりレーザー加工を行うようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、被加工物Wの所定本数の分割予定ラインに対するレーザー加工が終了するごとに、又は所定枚数の被加工物Wのレーザー加工が終了するごとに、上記の処理を実施するようにしてもよい。また、上記の処理を行うタイミング(ライン数又は被加工物Wの枚数)は、操作者が選択できるようにしてもよい。これにより、被加工物Wの種類等に応じて、加工条件の調整の頻度を増やす等の調整が可能となる。また、亀裂の伸展が不十分であると判定した被加工物Wに対して追加のレーザー加工を行ってもよい。
(亀裂検出工程)
次に、図15の亀裂検出工程について、図16を参照して説明する。図16は、亀裂検出工程を示すフローチャートである。
まず、亀裂測定器制御部500は、制限部材108を検出光L1の光路から退避させた状態で、被加工物Wに検出光L1を照射する。そして、亀裂測定器制御部500は、被加工物Wからの反射光L2を光検出器308により検出し、この光検出器308からの検出信号に基づいて、被加工物Wの裏面の界面位置Z(0)を検出する(ステップS180:界面検出工程)。
次に、亀裂測定器制御部500は、k=1として(ステップS182)、照明方法k(k=1)を設定する(ステップS184)。ここで、照明方法1は、制限部材108の開口部108Aを開放して偏射照明を行う方法とし、照明方法2は、制限部材108の開口部108Bを開放して偏射照明を行う方法とする。
次に、亀裂測定器制御部500は、照明方法1の下、第1の実施形態と同様に、亀裂深さを検出する(ステップS186からステップS200)。
亀裂測定器制御部500は、i=1として(ステップS186)、集光レンズの集光位置を、被加工物Wの裏面の界面位置Z(0)から被加工物Wの内部側(図1の+Z側)にdZ移動させた位置Z(1)に移動させる(ステップS188)。なお、Z(i)=Z(i-1)+dZである。
次に、亀裂測定器制御部500は、制限部材108を検出光L1の光路上に挿入して、主光軸AXに対して偏心した検出光L1により被加工物Wを偏射照明する(ステップS190)。そして、光検出器406及び408から検出信号D1及びD2を取得し(ステップS192)、式(1)により評価値Sを算出する(ステップS194)。
次に、亀裂測定器制御部500は、i=i+1(ステップS198)として、i=n(ステップS196のYes)になるまで、ステップS188からS198を繰り返す。ここで、nは、被加工物Wの厚さTと、dZに基づいて定められるパラメータであり、例えば、n≧T/dZ-1の条件を満たす整数である。これにより、集光位置Z(i)ごとの評価値S(i)が算出される。
次に、i=n(ステップS196のYes)になると、亀裂測定器制御部500は、集光位置Z(i)ごとの評価値S(i)に基づいて、亀裂Kの深さ位置、すなわち、亀裂Kの下端位置及び上端位置の被加工物Wの裏面からの距離を算出する(ステップS200)。亀裂測定器制御部500は、例えば、集光レンズ504の集光位置を、被加工物Wの裏面の界面位置Z(0)から順次移動させたときに、最初にS(i)=0となる位置Z(i)を亀裂Kの下端位置、次にS(i)=0となる位置Z(i)を亀裂Kの上端位置として検出する。また、亀裂測定器制御部500は、S(i)=0となる位置がない場合には、S(i)の符号が反転する位置Z(i-1)及びZ(i)と、その位置における評価値S(i-1)及びS(i)から、内挿により、S=0となる位置のZ座標を求めるようにしてもよい。
次に、亀裂測定器制御部500は、照明方法を照明方法2に切り替える(ステップS202のNo、ステップS204及びS184)。そして、亀裂測定器制御部500は、集光レンズ504の集光点の位置を、被加工物Wの裏面の界面位置Z(0)に移動させ、照明方法2の下、亀裂深さを検出する(ステップS186からステップS200)。
次に、亀裂測定器制御部500は、各照明方法の下で算出された亀裂深さの平均値を算出する。そして、亀裂測定器制御部500は、亀裂の検出結果に基づいて、亀裂Kの形成状態を判定する(ステップS206)。ステップS206で算出した亀裂Kの深さ位置及び形成状態の判定結果を含む亀裂の解析結果のデータは、表示部508に表示され、亀裂測定器制御部500に設けられたストレージデバイスに記憶され、レーザー加工機制御部20に送信される。
なお、本実施形態では、開閉可能な2つの開口部108A及び108Bを設けたが、偏射照明のための構成は上記に限定されるものではない。例えば、制限部材108に開口部を3つ以上形成して、偏射照明の方法を3以上としてもよい。また、例えば、制限部材に設ける開口部を1つのみとして、この制限部材を主光軸AX周りに回転させることにより、偏射照明の方法を変更可能としてもよい。
また、本実施形態では、制限部材108を用いて検出光L1の一部を遮光することにより偏射照明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光源部100の光源102を主光軸AXからずらして配置することにより、偏射照明を行ってもよい。この場合、光源102の光軸は主光軸AXと平行であることが好ましい。また、主光軸AXからずれた複数の位置にそれぞれ光源102を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、亀裂検出用光学系400に光検出器を2つ設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ハーフミラー404、光検出器406及び408に代えて、受光面が2つに分割された2分割フォトディテクタを1つ設け、各受光面の出力から評価値Sを算出してもよい。また、受光面が照明方法の種類に応じた数に分割されたフォトディテクタを用いてもよい。
また、検出光L1及び反射光L2の導光のための構成はあくまで一例であって、上記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、ミラー204を設けずに、光源102、集光レンズ504及び被加工物Wが載置されるステージSTを一直線上に配置することも可能である。
なお、本実施形態では、照明方法を切り替えて、各照明方法の下で算出された亀裂深さの平均値を算出するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、偏射照明の方法を1つだけにして、亀裂深さの検出を1回だけ行うようにしてもよい。但し、本実施形態によれば、照明方法を切り替えて、各照明方法の下で算出された亀裂深さの平均値を算出することにより、集光レンズ504と被加工物Wとのアライメント精度が十分でない場合でも、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを精度よくかつ安定して検出することが可能となる。
また、亀裂深さの検出では、被加工物Wの表面を基準としてもよいし、被加工物Wの表裏両方の面を基準として検出した亀裂深さの平均値をとるようにすることも可能である。
(フィードバック工程)
次に、図15のフィードバック工程について、図17を参照して説明する。図17は、フィードバック工程を示すフローチャートである。
まず、レーザー加工機制御部20は、亀裂の解析結果を亀裂測定器制御部500から取得すると(ステップS240)、この解析結果から亀裂の形成状態を取得する(ステップS242)。そして、被加工物Wの内部において亀裂が途切れている場合には(ステップS244のYes)、レーザー加工機制御部20は、被加工物Wの加工条件を変更する(ステップS246)。一方、被加工物Wの内部において亀裂が途切れていない場合には(ステップS244のNo)、レーザー加工機制御部20は、被加工物Wの加工条件を維持する(ステップS248)。なお、ステップS244では、被加工物Wの内部において亀裂が途切れているか否かを基準として場合分けをしたが、亀裂の間隔が許容範囲内であるか否かを基準として場合分けをしてもよい。
本実施形態によれば、加工位置と測定位置との間でステージSTを相対的に移動可能としたので、レーザー加工機10の装置状態の変化に起因する加工品質の低下を迅速に検知することが可能になる。さらに、本実施形態によれば、被加工物Wのレーザー加工を行う際の加工条件を効率的に決定することが可能である。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、図18及び図19を参照して説明する。図18は、本発明の第2の実施形態に係るレーザー加工装置の外観を示す側面図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態に係るレーザー加工装置1Aでは、レーザー加工機本体12及び亀裂測定器本体52は別々に移動可能となっている。
レーザー加工機本体12は、Z駆動部32及びY駆動部34によってそれぞれZ方向及びY方向に移動可能に取り付けられている。
亀裂測定器本体52は、Z駆動部62及びY駆動部64によってそれぞれZ方向及びY方向に移動可能に取り付けられている。
図19に示すように、本実施形態に係るレーザー加工装置1Aは、駆動部30に代えて、第1駆動部30A及び第2駆動部60を備えている。
第1駆動部30Aは、駆動部30と同様のZ駆動部32、Y駆動部34及びX駆動部36を含んでいる。
第2駆動部60は、Z駆動部62及びY駆動部64を含んでいる。Z駆動部62は、亀裂測定器本体52をZ方向に沿って移動させるための駆動機構(例えば、モータ)を含んでいる。Y駆動部64は、亀裂測定器本体52をY方向に沿って移動させるための駆動機構(例えば、モータ)を含んでいる。
本実施形態のように、レーザー加工機本体12と亀裂測定器本体52とが別々に移動可能な構成であっても、被加工物Wが載置されたステージSTを加工位置と測定位置との間で移動させることが可能である。
なお、上記の各実施形態では、亀裂が途切れているか否かの判定結果に応じて、加工条件を変更するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、亀裂の長さ、又は界面(被加工物Wの裏面又は表面)からの距離等に応じて、加工条件を変更するようにしてもよい。
また、上記の各実施形態に係るレーザー加工方法及び装置は、シリコンウェハに改質領域を形成して割断する場合のほか、ガラス基板に改質領域を形成する場合に適用することも可能である。