[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態を図1~9に基づいて説明する。図4に示すように、第1実施形態の携帯用切断機1は、被切断材Wに載せ掛ける矩形平板形状のベース2と、切断機本体10を備えている。切断機本体10は、ベース2の上面側に支持されている。切断機本体10は、略円板状の回転刃具(刃物)11を回転可能に支持している。ベース2には、設けた窓部2aを経て回転刃具11の下側がベース2の下面側に突き出されている。ベース2の下面側に突き出された回転刃具11を切り込ませて被切断材Wの切断加工が行われる。
図1に示すように、切断機本体10に使用者が把持するハンドル部30が設けられている。使用者は、図1において携帯用切断機1の左側に位置してハンドル部30を把持し、図1において右方に移動させることにより切断加工を進行させることができる。以下の説明では、部材及び構成の前後方向については、携帯用切断機1を移動させて切断加工が進行する方向を前側とし、使用者側を後側とする。また、部材及び構成の左右方向については使用者を基準にして用いる。
図3,4に示すように、切断機本体10は、前側支持部3と後側支持部4を介してベース2の上面に支持されている。前側支持部3と後側支持部4は、切断機本体10をベース2に対して傾斜させるための構成を備えている。切断機本体10は、例えば右方に約50°まで傾斜させることができる。図では明確に見えていないが、前側支持部3と後側支持部4には、それぞれ左右傾動支軸が相互に同軸に配置されている。前後の左右傾動支軸を介して切断機本体10がベース2に対して左右に傾動可能に支持されている。固定レバー3aを緩めることにより、切断機本体10の左右傾動角度を調整することができる。切断機本体10を傾斜させることにより、ベース2の下面に対して回転刃具11が傾斜した傾斜切りを行うことができる。
図1,4に示すように、前側支持部3の後方のベース2上には上下揺動支軸5が設けられている。切断機本体10は、上下揺動支軸5を中心にして上下に揺動させることができる。切断機本体10のベース2に対する上下揺動位置を変更することにより、回転刃具11のベース2の下面側への突き出し寸法を変更することができ、これにより回転刃具11の被切断材Wに対する切り込み深さを調整することができる。後側支持部4には、固定レバー4a(図3参照)と、切り込み深さ調整用のデプスガイド4bが設けられている。固定レバー4aを緩めることにより、上下揺動支軸5を中心にして切断機本体10の上下揺動位置(切り込み深さ)を調整することができる。
図4に示すように、切断機本体10は、回転刃具11の上側ほぼ半周の範囲を覆う金属製の固定カバー16を備えている。回転刃具11の下側ほぼ半周の範囲は、可動カバー15で覆われるようになっている。可動カバー15は、回転刃具11の周方向に開閉可能に支持されており、閉じ方向(図4において時計回り)にばね付勢されている。可動カバー15がばね付勢力により閉じられると、回転刃具11の下側ほぼ半周の範囲がこの可動カバー15で覆われる。ばね付勢力に抗して図4において反時計回りに可動カバー15が開かれると、回転刃具11の周縁部(刃先)が露出される。通常の切断作業では、可動カバー15の前端が被切断材Wの端部に当接され、当接状態で携帯用切断機1を前側へ移動させることにより、可動カバー15がそのばね付勢力に抗して徐々に開かれていく。可動カバー15は、手動操作によって強制的に開閉させることもできる。
図1に示すように、固定カバー16の右側には、ギヤハウジング24が設けられている。ギヤハウジング24と固定カバー16は、例えばアルミニウム等の金属材料を素材として一体に形成されている。ギヤハウジング24の右側には、略円筒形状のモータハウジング20がねじ結合されている。モータハウジング20の右側面には、複数の吸気口20aが設けられている。
図5に示すように、モータハウジング20には、DCブラシレスモータと称される電動モータ21が収容されている。電動モータ21は、モータ軸21aを回転刃具11の面方向に略直交させた横向き姿勢で配置されている。電動モータ21の固定子21bは、モータハウジング20の内周面に回転不能に支持されている。電動モータ21の回転子21cは、固定子21bの内周側に配置されている。回転子21cは、モータ軸21aに取付けられ、モータ軸21aとともにモータハウジング20に対して回転可能に支持されている。回転子21cの回転角度は、センサ基板21dによって検知される。
図5に示すように、電動モータ21の左側には、略円筒形状のバッフルプレート22が設けられている。バッフルプレート22の径方向内側には、冷却ファン23がモータ軸21aと一体に回転可能に取り付けられている。電動モータ21を起動させて冷却ファン23が回転すると、吸気口20aからモータハウジング20内に冷却風が導入される。導入された冷却風が左方の冷却ファン23に向かって流れる。冷却ファン23に軸方向に向かって流れる冷却風は、冷却ファン23の径方向外方に向かい、さらにバッフルプレート22によってギヤハウジング24側(左側)へと曲げられる。かくして、冷却風によって電動モータ21等が冷却される。
ギヤハウジング24には、減速ギヤ列で構成される減速ギヤ部25が収容されている。電動モータ21の回転動力は、減速ギヤ部25の減速ギヤ列を介して図4に示すスピンドル26に伝達される。スピンドル26の先端部側(左端側)は、固定カバー16内に突き出されており、この突き出し部分に回転刃具11が取り付けられている。回転刃具11は、インナフランジ12と不図示のアウタフランジで面直方向(左右方向)に挟まれ、この挟み込み状態がスピンドル26の先端に締め込んだ固定ボルト13によりロックされている。これにより、回転刃具11は、スピンドル26に対して軸方向変位不能かつ軸回りに回転不能に固定されている。
図1,3に示すように、固定カバー16の右側面側であってモータハウジング20及びギヤハウジング24の後方には、バッテリベース40が設けられている。バッテリベース40は、上下方向を板厚方向とした略平板形状を有しており、その下面側に2つのバッテリパック42を前後方向に横並び状態で取り付け可能なバッテリ取付部41が設けられている。バッテリパック42は、ねじ締め機等その他の電動工具に取り付け可能な汎用性の高い18V出力のリチウムイオンバッテリであり、バッテリ取付部41から取り外して別途用意した充電器で充電することにより繰り返し電源として利用することができる。2つのバッテリパック42は、電気的には直列に接続されており、電動モータ21に対して合計36Vの電力を供給することができる。
図1,4に示すように、切断機本体10の上部及び後部には、ハンドル部30が設けられている。ハンドル部30の前端部は、モータハウジング20とギヤハウジング24の上部に配置されている。ハンドル部30は、その前端部からバッテリベース40の上面と連結しつつ後方に延び、その後端部がバッテリベース40の後端部よりも後方へと延びている。図4に示すように、ハンドル部30の後部であって、ベース2の後端部より後方には、側面視で2つのループ形状が上下に並んだグリップ部31が設けられている。グリップ部31は、使用者が携帯用切断機1を使用するときに手で把持する把持部として設けられている。グリップ部31の下部はバッテリベース40の後端部と連結されている。グリップ部31の下端部には、側面視でループ形状のダンパ部31aが設けられている。ダンパ部31aは、携帯用切断機1を例えば作業台等に置いたとき、ダンパ部31aよりも上部のグリップ部31に衝撃が伝わることを抑制する。
図1,4に示すようにグリップ部31の上側のループ形状の内周側には、スイッチレバー32が設けられている。スイッチレバー32は、使用者がグリップ部31を把持したときに例えば第2指(人差し指)を引き掛けて引き操作することができる。スイッチレバー32の上方には、押し操作可能なロックオフボタン33が設けられている。ロックオフボタン33を押し操作することで、スイッチレバー32のロックオフ状態が解除されて、スイッチレバー32の引き操作が可能となる。ロックオフボタン33によって、スイッチレバー32の不用意な引き操作が防止される。スイッチレバー32を引き操作すると電動モータ21が起動して回転刃具11が回転する。
図1に示すように、ハンドル部30の前端部の上方には、フロントハンドル34が設けられている。フロントハンドル34は、モータハウジング20の上面と固定カバー16の右側部との間を跨る門形を有している。フロントハンドル34の上部であって左右方向に延びる部位が、使用者が把持する部位となっている。使用者は、一方の手でこのフロントハンドル34を把持し、他方の手でグリップ部31を把持して、携帯用切断機1を移動操作することができる。
図1に示すように、フロントハンドル34の右側基端部の後方には、フック支持部35aが設けられている。フック支持部35aは、略C字形のフック35の基端部を軸回りに回転可能に支持している。フック35の基端部には、係合ピン35bが、フック35の延在方向と交差する方向に突出して設けられている。フック支持部35aには、係合ピン35bと係合可能な略V字形の係合凹部35cが3つ設けられている。3つの係合凹部35cは、フック35の基端部の軸回りに概ね90°間隔で配置されている。3つの係合凹部35cのいずれかに係合ピン35bが嵌まり込むことにより、フック35が収納位置、第1使用位置あるいは第2使用位置の3つの位置のいずれかにおいて位置保持される。フック35の収納位置は、図1に示す位置であり、フック35が切断機本体10に対してコンパクトに配置される。収納位置にあるフック35は、バッテリ取付部41に取り付けられたバッテリパック42が例えば作業台等に当たることを抑制するガードとしても機能する。フック35の第1使用位置は、図1に示す状態から90°右方に回動させた位置である。フック35の第2使用位置は、図1に示す状態から180°回動させて上方に移動させた位置である。第1使用位置や第2使用位置にあるフック35は、例えば脚立や作業台の端部に引き掛け可能な引掛部として機能する。
図1に示すように、フロントハンドル34の前側下方であって、固定カバー16の前部右側には、ダストノズル(切粉排出通路)17が設けられている。ダストノズル17は、回転刃具11と交差するように左右方向に延在する略円筒形状を有している。ダストノズル17の左端の入口部17aは、固定カバー16の前部の内側と連通している。ダストノズル17の右端の排出口17bは、右方に向かって開口している。排出口17bは、携帯用切断機1とは別に用意した集塵機とホース等を介して接続可能である。
図2に示すように、排出口17bには、キャップ45を取付けることができる。図8,9に示すように、キャップ45は、外蓋45aと軸部45bと封止部45cを備えている。略円柱状の軸部45bの一方の端部には、軸部45bの軸中心を中心とした略円板状の外蓋45aが設けられている。図2に示すように、外蓋45aは、ダストノズル17の外径と概ね同じ大きさで設けられており、排出口17bを外側から覆うことができる。図8に示すように、外蓋45aと反対側の軸部45bの端部には、封止部45cが設けられている。封止部45cは、軸部45bよりも径方向に張り出しており、張出形状が周方向一周にわたって形成されている。図2に示すように、キャップ45の軸部45bをダストノズル17に挿し込んだ場合、封止部45cがダストノズル17の内壁との間を気密に封止する。従って、キャップ45を排出口17bに取り付けることにより、入口部17a側から排出口17bに向かって切粉が流れないようにすることができる。
図3に示すように、固定カバー16の内側は、回転刃具11の径方向外周を覆う内周壁部16aと、内周壁部16aの左右両側にそれぞれ設けられた左内側側部16bと右内側側部16cとを有している。左内側側部16bと右内側側部16cは、互いに平行であり、かつ内周壁部16aと略直交している。従って、固定カバー16の内側は、内周壁部16aと左内側側部16bと右内側側部16cとによって、回転刃具11の径方向及び左右側方の三方が囲まれている。
図4~7に示すように、入口部17a近傍の固定カバー16の前部内側には、案内部16eが設けられている。案内部16eは、内周壁部16aから固定カバー16の径方向内方に向けて壁形状に張り出している。案内部16eは、図4のようにスピンドル26の軸方向から見て略三角形の断面山形形状を有している。案内部16eの最も張り出した先端部は、回転刃具11の外径より外側に位置するように形成されている。案内部16eの下側側面は、内周壁部16aに対して略直交するように設けられており、一方で案内部16eの上側側面は、内周壁部16aに対する傾斜が小さく設けられている。
図4に示すように、回転刃具11の前側領域が被切断材Wを切断する切断部位Cは、固定カバー16の前部内側の下方、かつ窓部2a近傍に相当する。案内部16eの下側領域である案内部上流部16dは、案内部16eよりも切断部位Cに近い。案内部16eの上側領域である案内部下流部16gは、案内部16eよりも切断部位Cから遠い。
図6,7に示すように、案内部16eは、左右方向について左内側側部16bと右内側側部16cとの間に設けられている。案内部16eは、左内側側部16bから右内側側部16cに向かうに従って、下方から上方へと向かって傾斜して延びている。案内部16eの左端部は、左内側側部16bと連結されている。案内部16eの右端部と右内側側部16cとの間には、開口部16fが設けられている。開口部16fは、案内部上流部16dと案内部下流部16gとを固定カバー16の周方向(上下方向)に沿って連通する溝形状を有している。開口部16fは、左右方向の幅が略一定に設けられている。案内部16eの右端部の延長方向の右内側側部16cには、入口部17aが配置されており、入口部17aから右方へとダストノズル17内に繋がっている。すなわち、入口部17aは、開口部16fの右方に配置されている。
図4,6を参照して切断部位Cで発生した切粉の流れを説明する。切断部位Cで発生した切粉は、概ね回転刃具11の接線方向に沿って、回転刃具11の回転方向へと移動する。すなわち、切断部位Cから上方に向かって内周壁部16aに沿って切粉が流れる。固定カバー16の前部内側に進入した切粉は、排出口17bにホース等を接続させて集塵機と繋げた場合、図中矢印で示した切粉の流れDaのように流れる。具体的には、案内部上流部16dから案内部16eの方へ流れ、案内部16eに当たることで入口部17aに向かって曲げられる。そして、入口部17aからダストノズル17内を通って排出口17bへと流れ、ホース等を介して集塵機に集塵される。
図2に示すように排出口17bをキャップ45によって封止した場合、固定カバー16の前部内側に進入した切粉は、図中矢印で示した切粉の流れDbのように流れる。具体的には、図4,6に示すように、案内部上流部16dから案内部16eの方へ流れ、案内部16eに当たることで案内部16eに沿って右方へと流れる。そして、案内部16eと右内側側部16cとの間の開口部16fから案内部下流部16g側(固定カバー16の後方)へと流れる。
以上説明した第1実施形態の携帯用切断機1によれば、固定カバー16の前部の内側に設けられた案内部16eは、回転刃具11の接線方向に沿って上方へ向かう切粉の流れDaを、ダストノズル17の入口部17aに向けて右側方へ曲げるように設けられている。これにより、固定カバー16の前部の内側に進入した切粉の流れは、案内部16eに沿って曲げられることでダストノズル17内へとスムーズに導かれる。従って、固定カバー16の前部の内側に進入した切粉を効率良く取り除くことができ、回転刃具11の特に前側領域の周りからも切粉を効率良く取り除くことができ、切粉の飛散が防止される。かくして、切断加工の作業性(作業環境)や被切断材Wの切断箇所の視認性等をより良くすることができ、携帯用切断機1の使い勝手を高めることができる。
また、携帯用切断機1によれば、案内部16eは、左内側側部16bと連結されている。また、案内部16eと右内側側部16cとの間には、回転刃具11の接線方向(上下方向)に開口する開口部16fが設けられている。これにより、例えば排出口17bをキャップ45で封止して使用する場合(集塵機を接続しない場合)において、切粉の流れDbを、回転刃具11の接線方向に沿って案内部上流部16dから開口部16fを介して案内部下流部16gへと流すことができる。従って、切粉の流れDbを案内部下流部16gへとスムーズに案内することができ、案内部上流部16dに進入した切粉を効率良く取り除くことができる。
また、携帯用切断機1によれば、排出口17bを封止せず、例えば排出口17bと集塵機とをホース等を介して接続して使用する場合において、切粉の流れDaを、案内部16eに沿って下流側であるダストノズル17内へとスムーズに導くことができる。従って、切粉の流れDaの上流側である切断部位Cの周囲や案内部上流部16dから切粉を効率良く取り除くことができる。このように集塵器を接続する場合と接続しない場合の双方について、固定カバー16の前部付近における切断粉の効率よい除去を両立させることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図10に基づいて説明する。第2実施形態の携帯用切断機50は、第1実施形態の携帯用切断機1の固定カバー16に代えて、固定カバー51を有している。固定カバー51の内周壁部51a、左内側側部51b、右内側側部51c、案内部51e、及び開口部51fは、それぞれ固定カバー16の内周壁部16a、左内側側部16b、右内側側部16c、案内部16e、及び開口部16fと同様に設けられている。
図10に示すように、案内部51eの左端部は、左内側側部51bと連結されている。案内部51eの右端部と右内側側部51cとの間には、開口部51fが設けられている。開口部51fは、案内部51eより下側の案内部上流部51dと、案内部51eより上側の案内部下流部51gとを固定カバー51の周方向(上下方向)に沿って連通している。案内部51eの右端部の延長方向の右内側側部51cには、入口部17aが配置されており、入口部17aから右方へとダストノズル17内に繋がっている。
図10に示すように、固定カバー51の周方向において案内部51eの下側(前側)である案内部上流部51dには、突部51hが設けられている。第2実施形態は、この突部51hを追加設定した点で第1実施形態とは異なっている。突部51hは、内周壁部51aから固定カバー51の径方向内方に向けて壁形状に張り出しており、かつ頂部が回転刃具11の外径より外側に位置するように形成されている。突部51hは、図10のように張出方向から見て三角形状を有している。突部51hは、三角形状の一つの頂点が切粉の流れの上流側である下側に位置し、切粉の流れの下流側である上方に向かって左右方向の幅が徐々に広がっている。突部51hは、図では明確に見えていないが、スピンドル26の軸方向から見て略三角形の断面山形形状を有している。突部51hの下側側面は、内周壁部51aに対して略直交するように設けられており、一方で突部51hの上側側面は、内周壁部51aに対する傾斜が小さく設けられている。
図10を参照して切断部位Cで発生した切粉の流れを説明する。まず、切断部位Cから回転刃具11の接線方向に沿って上方の案内部上流部51dまで切粉が流れる。案内部上流部51dから上方へ向かう切粉の流れは、張出方向から見て略三角形状の突部51hによって、突部51hの左右に振り分けられる。これにより、切粉の流れに乱流を生じさせて流速が下げられる。排出口17bにホース等を接続させて集塵機と繋げた場合の切粉の流れDaは、案内部上流部51dから案内部51eの方へ流れ、案内部51eに当たることで入口部17aに向かって曲げられる。そして、入口部17aからダストノズル17内を通って排出口17bへと流れ、ホース等を介して集塵機に集塵される。
図10に示すように、排出口17bをキャップ45によって封止した場合(図2参照)の切粉の流れDbは、案内部上流部51dから案内部51eの方へ流れ、案内部51eに当たることで案内部51eに沿って右方へと流れる。そして、案内部51eと右内側側部51cとの間の開口部51fから案内部下流部51g側へと上方(後方)へと流れる。
以上説明した第2実施形態の携帯用切断機50によれば、切粉の流れDaについて入口部17aより上流側である案内部上流部51dに突部51hが設けられている。これにより、案内部上流部51dにおいて、切粉の流れDaの流速を落とすことができる。これにより、案内部51eが切粉をダストノズル17へと案内しやすくなる。
また、携帯用切断機50によれば、突部51hは、張出方向から見て、切粉の流れDaの上流側から下流側に向かうに従って左右方向の幅が広くなる略三角形状を有している。これにより、案内部上流部51dにおいて乱流を生じさせ、切粉の流れの流速を落とすことができる。従って、流速が十分に落ちた切粉を案内部51eに沿ってダストノズル17へと好適に導くことができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図11に基づいて説明する。第3実施形態の携帯用切断機60は、第1実施形態の携帯用切断機1の固定カバー16に代えて、固定カバー61を有している。固定カバー61の内周壁部61a、左内側側部61b、右内側側部61c、案内部61e、及び開口部61fは、それぞれ固定カバー16の内周壁部16a、左内側側部16b、右内側側部16c、案内部16e、及び開口部16fと同様に設けられている。
図11に示すように、案内部61eの左端部は、左内側側部61bと連結されている。案内部61eの右端部と右内側側部61cとの間には、開口部61fが設けられている。開口部61fは、案内部61eより下側の案内部上流部61dと、案内部61eより上側の案内部下流部61gとを固定カバー61の周方向(上下方向)に沿って連通している。案内部61eの右端部の延長方向の右内側側部61cには、入口部17aが配置されており、入口部17aから右方へとダストノズル17内に繋がっている。第3実施形態は、第1実施形態に複数の突部61hを追加設定した構成を備えている。第3実施形態は、突部51hに代えて複数の突部61hを設けた点で第2実施形態とは異なっている。
図11に示すように、固定カバー61の周方向において案内部61eの下側(前側)である案内部上流部61dには、複数の突部61hが設けられている。突部61hは、内周壁部61aから固定カバー61の径方向内方に向けて壁形状に張り出しており、かつ頂部が回転刃具11の外径より外側に位置するように形成されている。突部61hは、図11のように張出方向から見て左右方向に延びる線状に形成されている。複数の突部61hは、互いに略平行であり、一の突部61hと他の突部61hとの間には、固定カバー61の径方向に凹形状の凹部61iが形成されている。従って、案内部上流部61dには、固定カバー61の周方向に沿って突部61hと凹部61iが交互に配置されている。突部61hは、図では明確に見えていないが、スピンドル26の軸方向から見て、案内部61eより張り出し高さの低い略三角形の断面山形形状を有している。突部61hの下側面は、内周壁部61aに対して略直交するように設けられており、一方で突部61hの上側面は、内周壁部61aに対する傾斜が小さく設けられている。
図11を参照して切断部位Cで発生した切粉の流れを説明する。まず、切断部位Cから回転刃具11の接線方向に沿って上方の案内部上流部61dまで切粉が流れる。案内部上流部61dには、複数の突部61hと複数の凹部61iが、切粉の流れと交差する方向に延びており、かつ交互に配置されている。案内部上流部61dから上方へ向かう切粉の流れは、突部61hと凹部61iに対する摩擦によって流速が下げられる。排出口17bにホース等を接続させて集塵機と繋げた場合の切粉の流れDaは、案内部上流部61dから案内部61eの方へ流れ、案内部61eに当たることで入口部17aに向かって曲げられる。そして、入口部17aからダストノズル17内を通って排出口17bへと流れ、ホース等を介して集塵機に集塵される。
図11に示すように、排出口17bをキャップ45によって封止した場合(図2参照)の切粉の流れDbは、案内部上流部61dから案内部61eの方へ流れ、案内部61eに当たることで案内部61eに沿って右方へと流れる。そして、案内部61eと右内側側部61cとの間の開口部61fから案内部下流部61g側へと上方(後方)へと流れる。
以上説明した第3実施形態の携帯用切断機60によれば、切粉の流れDaについて入口部17aより上流側である案内部上流部61dに突部61hが設けられている。これにより、案内部上流部61dにおいて、切粉の流れDaの流速を落とすことができる。これにより、案内部61eが切粉をダストノズル17へと案内しやすくなる。
また、携帯用切断機60によれば、突部61hは、案内部上流部61dに形成される複数の凹部61iの間に左右方向に延在して複数設けられている。これにより、切粉の流れDaについて案内部61eの上流側に当たる案内部上流部61dにおいて、複数の突部61hと複数の凹部61iの摩擦によって、切粉の流れDaの流速を効果的に落とすことができる。従って、案内部61eは、流速が十分に落ちた切粉をダストノズル17へと好適に導くことができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図12に基づいて説明する。第4実施形態の携帯用切断機70は、第1実施形態の携帯用切断機1の固定カバー16に代えて、固定カバー71を有している。固定カバー71の内周壁部71a、左内側側部71b、及び右内側側部71cは、それぞれ固定カバー16の内周壁部16a、左内側側部16b、及び右内側側部16cと同様に設けられている。
図12に示すように、入口部17a近傍の固定カバー71の前部内側には、案内部71eが設けられている。案内部71eは、内周壁部71aから固定カバー71の径方向内方に向けて壁形状に張り出している。図では明確に見えていないが、図4に示す案内部16eと同様に、案内部71eはスピンドル26の軸方向から見て略三角形の断面山形形状を有しており、かつ案内部71eの最も張り出した先端部は回転刃具11の外径より外側に位置するように形成されている。
図12に示すように、案内部71eは、左右方向について左内側側部71bと右内側側部71cとの間に設けられている。案内部71eは、左内側側部71bから右内側側部71cに向かうに従って、下方から上方へと向かって傾斜して延びている。案内部71eの左端部と左内側側部71bとの間には、開口部71fが設けられている。第4実施形態では、開口部71fが案内部71eの左側に配置されており、第1~第3実施形態とは左右反対側に配置されている。開口部71fは、案内部71eより下側の案内部上流部71dと、案内部71eより上側の案内部下流部71gとを固定カバー71の周方向(上下方向)に沿って連通する溝形状を有している。開口部71fは、左右方向の幅が略一定に設けられている。案内部71eの右端部は、右内側側部71cと連結されている。案内部71eの右端部と右内側側部71cとの連結部の前側には、入口部17aが配置されており、入口部17aから右方へとダストノズル17内に繋がっている。
図12を参照して切断部位Cで発生した切粉の流れを説明する。まず、切断部位Cから回転刃具11の接線方向に沿って上方の案内部上流部71dまで切粉が流れる。排出口17bにホース等を接続させて集塵機と繋げた場合の切粉の流れDaは、案内部上流部71dから案内部71eの方へ流れ、案内部71eに当たることで入口部17aに向かって曲げられる。そして、入口部17aからダストノズル17内を通って排出口17bへと流れ、ホース等を介して集塵機に集塵される。排出口17bをキャップ45によって封止した場合(図2参照)の切粉の流れDbは、案内部上流部71dから、案内部71eと左内側側部71bとの間の開口部71fに向かい、開口部71fから案内部下流部71g側へと上方(後方)へと流れる。
以上説明した第4実施形態の携帯用切断機70によれば、案内部71eは、右内側側部71cと連結されている。また、案内部71eと左内側側部71bとの間には、回転刃具11の接線方向(上下方向)に開口する開口部71fが設けられている。これにより、例えば排出口17bをキャップ45で封止して使用する場合(集塵機を接続しない場合)において、切粉の流れDbを、回転刃具11の接線方向に沿って案内部上流部71dから開口部71fを介して案内部下流部71gへと流すことができる。従って、切粉の流れDbを案内部下流部71gへとスムーズに案内することができ、案内部上流部71dに進入した切粉を効率良く取り除くことができる。
また、携帯用切断機70によれば、排出口17bを封止せず、例えば排出口17bと集塵機とをホース等を介して接続して使用する場合において、切粉の流れDaを、案内部71eに沿って右内側側部71cに設けられた入口部17aに向けて曲げることができ、ダストノズル17内へとスムーズに導くことができる。従って、切粉の流れDaの上流側である切断部位Cの周囲や案内部上流部71dから切粉を効率良く取り除くことができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を図13に基づいて説明する。第5実施形態の携帯用切断機80は、第1実施形態の携帯用切断機1の固定カバー16に代えて、固定カバー81を有している。固定カバー81の内周壁部81a、左内側側部81b、右内側側部81c、案内部81e、及び開口部81fは、それぞれ固定カバー16の内周壁部16a、左内側側部16b、右内側側部16c、案内部16e、及び開口部16fと同様に設けられている。第1~第4実施形態では、案内部16e(51e,61e,71e)の右側若しくは左側に開口部16f(51f,61f,71f)を設けた構成を例示したが、第5実施形態では、案内部81eの左右方向ほぼ中央に開口部81fが設けられている。
図13に示すように、入口部17a近傍の固定カバー81の前部内側には、案内部81eが設けられている。案内部81eは、内周壁部81aから固定カバー81の径方向内方に向けて壁形状に張り出している。図では明確に見えていないが、図4に示す案内部16eと同様に、案内部81eはスピンドル26の軸方向から見て略三角形の断面山形形状を有しており、かつ案内部81eの最も張り出した先端部は回転刃具11の外径より外側に位置するように形成されている。
図13に示すように、案内部81eは、左右方向について左内側側部81bと右内側側部81cとの間に設けられている。案内部81eは、左内側側部81bから右内側側部81cに向かうに従って、下方から上方へと向かって傾斜して延びている。案内部81eの左端部は、左内側側部81bと連結されている。案内部81eの右端部は、右内側側部81cと連結されている。案内部81eの左右方向について略中間位置には、開口部81fが設けられている。開口部81fは、案内部81eより下側の案内部上流部81dと、案内部81eより上側の案内部下流部81gとを固定カバー81の周方向(上下方向)に沿って連通するスリット形状を有している。開口部81fは、左右方向の幅が略一定に設けられている。開口部81fは、案内部81eの上流側の端縁から下流側の端縁に至る前後幅方向の全幅で貫通する状態に設けられている。案内部81eの右端部と右内側側部81cとの連結部の前側には、入口部17aが配置されており、入口部17aから右方へとダストノズル17内に繋がっている。
図13を参照して切断部位Cで発生した切粉の流れを説明する。まず、切断部位Cから回転刃具11の接線方向に沿って上方の案内部上流部81dまで切粉が流れる。排出口17bにホース等を接続させて集塵機と繋げた場合の切粉の流れDaは、案内部上流部81dから案内部81eの方へ流れ、案内部81eに当たることで入口部17aに向かって曲げられる。そして、入口部17aからダストノズル17内を通って排出口17bへと流れ、ホース等を介して集塵機に集塵される。排出口17bをキャップ45によって封止した場合(図2参照)の切粉の流れDbは、案内部上流部81dから、案内部81eに設けられた開口部81fを介して、案内部下流部81g側へと上方(固定カバー81の後方)へと流れる。
以上説明した第5実施形態の携帯用切断機80によれば、案内部81eは、右内側側部81cと連結されている。また、案内部81eの左右方向について略中間位置には、回転刃具11の接線方向(上下方向)に開口する開口部81fが設けられている。これにより、例えば排出口17bをキャップ45で封止して使用する場合(集塵機を接続しない場合)において、切粉の流れDbを、回転刃具11の接線方向に沿って案内部上流部81dから開口部81fを介して案内部下流部81gへと流すことができる。従って、切粉の流れDbを案内部下流部81gへとスムーズに案内することができ、案内部上流部81dに進入した切粉を効率良く取り除くことができる。
また、携帯用切断機80によれば、排出口17bを封止せず、例えば排出口17bと集塵機とをホース等を介して接続して使用する場合において、切粉の流れDaを、案内部81eに沿って右内側側部81cに設けられた入口部17aに向けて曲げることができ、ダストノズル17内へとスムーズに導くことができる。従って、切粉の流れDaの上流側である切断部位Cの周囲や案内部上流部81dから切粉を効率良く取り除くことができる。
以上説明した携帯用切断機1,50,60,70,80には、種々変更を加えてもよい。案内部に1つの開口部を設ける場合を例示したが、案内部に複数の開口部を設ける構成としてもよい。左右方向の幅が略一定である開口部を例示したが、例えば開口部の左右方向の幅を、上流側(下方)から下流側(上方)に向かうに従って徐々に狭くなる構成、あるいは徐々に広くなる構成としてもよい。
例えば、第2実施形態に係る携帯用切断機50の案内部上流部51dに設けた突部51hを、第4実施形態に係る携帯用切断機70の案内部上流部71dに設け、あるいは第5実施形態に係る携帯用切断機80の案内部上流部81dに設けてもよい。例えば、第3実施形態に係る携帯用切断機60の案内部上流部61dに設けた複数の突部61h及び複数の凹部61iを、第4実施形態に係る携帯用切断機70の案内部上流部71dに設け、あるいは第5実施形態に係る携帯用切断機80の案内部上流部81dに設けてもよい。例えば突部51hを複数個設ける構成としてもよい。突部61h及び凹部61iの形状は例示したものに限らず、例えば固定カバー61をダイキャスト成形する場合において鋳型をよりスムーズに抜けるように、例えば鋳型の抜き方向に沿って張り出した突部と鋳型の抜き方向に沿って窪んだ凹部としてもよい。
2つのバッテリパック42を電源として電動モータ21を駆動させる携帯用切断機について例示したが、取付けるバッテリの個数や出力電圧を適宜変更させてもよい。また、例えばAC電源を電力供給源として電動モータを駆動させる構成としてもよい。