JP7210218B2 - 塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は塗料組成物に関する。さらに詳しくは、防食塗装などにおける下塗り塗料として用いることができる塗料組成物に関する。
従来、船舶、橋梁、タンク、プラントなどの鉄構造物や金属製品には、厳しい腐食環境において長期にわたる防食性を保持するために、防食塗装が施されている。防食塗装は、一般的に、防錆を目的とする下塗り塗装を実施した後に、高耐候性仕上げや美装仕上げ用途の上塗り塗装を組み合わせて、複層塗膜を形成する。また、一般に防食性は、塗膜の厚みに関連することが知られており、被塗物となる基材がどのような形状であっても、均一で厚みのある塗膜を形成することのできる塗料組成物が求められている。
防錆用の下塗り塗装に用いられる塗料としては、例えば、エポキシ樹脂をバインダーとし、防錆顔料を配合した一液型下塗り塗料が知られている(特許文献1および2参照)。
特許文献1においては、シリル基を有するビニル系ポリマーとエポキシ樹脂、防錆顔料からなる水系防錆塗料組成物が開示されている。また、特許文献2においては、エポキシ樹脂および/または変性エポキシ樹脂、紫外線吸収剤および光安定化剤、防錆顔料、および溶剤を必須成分とする、一液型下塗り塗料組成物が開示されている。
特開平06-041471号公報 特開2008-106177号公報
しかしながら、従来、エポキシ樹脂をバインダーとし、防錆顔料を配合した下塗り塗料組成物は、ミルスケールが付着した鋼材(例えば黒皮鋼板、黒板鋼板など)や濃色系の旧塗膜が残存する基材に適用した場合には、塗膜の隠蔽性が不十分となり、基材の色が透けて見える場合があった。特に、被塗物の塗装面が垂直に近づくにつれて、塗装した塗料が流れやすくなるため、形成される膜厚が薄くなり、隠蔽性がさらに不足する傾向があった。一方で、水平な塗装面の場合にも、塗装した塗料の広がりにくさに起因して、刷毛目やローラーマークの凹部では膜厚が薄くなり、隠蔽性が悪くなる問題があった。そこで、被塗物がどのような形状であっても、隠蔽性が良好な下塗り塗料組成物が求められている。
本発明は、被塗物となる基材がどのような形状であっても、基材の隠蔽性が良好な塗膜を形成することができる、下塗り塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、基材の隠蔽性を向上させる方法について鋭意検討を行った。そして、塗料組成物に、有機変性粘土鉱物とポリエーテルリン酸エステルとを配合すれば、塗装時の塗料の耐ダレ性と塗装直後の塗膜の平滑性(フロー性)を両立することができ、その結果、塗料組成物の塗着性が向上し、基材がどのような形状であっても均一で厚い塗膜が形成できるため、基材の隠蔽性が良好な塗膜となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、(a)バインダー成分と、(b)有機変性粘土鉱物と、(c)ポリエーテルリン酸エステルと、を含む塗料組成物である。
前記(b)有機変性粘土鉱物と前記(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分の合計は、前記(a)バインダー成分の固形分100質量部に対して1.5~4.0質量部であってもよい。
前記(b)有機変性粘土鉱物と前記(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分質量比は、90/10~70/30であってもよい。
前記(a)バインダー成分は、(a-1)エポキシ樹脂と(a-2)ポリアミンを含んでいてもよい。
前記(b)有機変性粘土鉱物は、棒状鉱物と層状鉱物との混合物であってもよい。
さらに亜鉛末および/または防錆顔料を含んでいてもよい。
塗料組成物は、下塗り塗料であってもよい。
本発明の塗料組成物は、十分な塗着性を有するため、垂直面の基材に対しても均一で厚い塗膜を形成することができる。また、本発明の塗料組成物は、どのような形状の基材に適用した場合であっても、厚みがある塗膜を形成できるため、十分に基材を隠蔽することができる。特に、隠蔽性が要求されるダークカラーの基材や、濃色系の旧塗膜が残存する基材に適用した場合であっても、良好な塗膜を得ることができる。したがって、本発明の塗料組成物は、防錆などを目的とする防食塗装の下塗り塗装用の塗料として、好適に用いることができる。
<塗料組成物>
本発明の塗料組成物は、(a)バインダー成分と、(b)有機変性粘土鉱物と、(c)ポリエーテルリン酸エステルとを、必須成分として含む。本はつめいにおいては、これら成分以外の成分が、塗料組成物に含まれていてもよい。
[(a)バインダー成分]
本発明の塗料組成物に含まれる(a)バインダー成分は、一般的な塗料組成物に適用できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイソシアネート、アルキルシリケート化合物などが挙げられる。なかでも、(a-1)エポキシ樹脂と(a-2)ポリアミンを含むことが好ましい。
((a-1)エポキシ樹脂)
本発明の塗料組成物において(a)バインダー成分を構成する(a-1)エポキシ樹脂は、末端にエポキシ基を有する樹脂である。末端にエポキシ基を有する樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
さらに詳細には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加型エポキシ樹脂、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などを挙げることができる。なかでも、ノボラック型エポキシ樹脂、またはビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
(a)バインダー成分を構成する(a-1)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100~4000の範囲が好ましく、200~3000の範囲がより好ましい。また、エポキシ基の数は好ましくは2個である。
(a)バインダー成分を構成する(a-1)エポキシ樹脂は、市販品を適用することもでき、例えば、三菱ケミカル社製のjER828、jER1001、jER1004、jER1007、およびjER1009(いずれも商品名)、DIC社製のEPICLON 1040-70X、EPICLON 5920-70MS、EPICLON 5970-60、などを挙げることができる。
(a)バインダー成分を構成する(a-1)エポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
((a-2)ポリアミン)
本発明の塗料組成物における(a)バインダー成分を構成する(a-2)ポリアミンは、1分子中に2個以上のアミノ基を有する化合物である。
例えば、エチレンジアミン、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびジエチレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、およびイソホロンジアミンなどの脂環族ポリアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、ベンジジン、およびフェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン、キシリレンジアミン、およびテトラメチルキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族ポリアミン、ならびにこれらポリアミンと重合脂肪酸との反応によって得られるポリアミドアミンなどを挙げることができる。
当該ポリアミンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(a)バインダー成分における(a-2)ポリアミンの含有量は、(a-1)エポキシ樹脂におけるエポキシ基と2重結合との当量和に対して、(a-2)ポリアミン中の活性水素が、0.5~1.5当量となる範囲とすることが好ましい。
(その他成分)
本発明の塗料組成物における(a)バインダー成分には、(a-1)エポキシ樹脂と(a-2)ポリアミン以外の成分が含まれていてもよい。(a)バインダー成分となるその他の成分としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイソシアネート、アルキルシリケート化合物などが挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、例えば、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルアルコキシシラン、およびこれらの部分縮合物などを挙げることができる。テトラアルコキシシランの部分縮合物として市販されているものとしては、MKCシリケートMS51(三菱化学社製テトラアルコキシシランの縮合物)、エチルシリケート40(コルコート社製テトラエトキシシランの縮合物)などを挙げることができる。
[(b)有機変性粘土鉱物]
本発明の塗料組成物に含まれる(b)有機変性粘土鉱物は、粘土鉱物が有機変性された物質である。具体的には、水溶性の粘土鉱物と、カチオン系界面活性剤などの水溶性のカチオン系変性剤とを反応させて、有機溶剤に溶解可能な有機変性粘土鉱物となったものである。
(b)有機変性粘土鉱物は、カチオン系変性剤でコーティングされていないエッジ部に、親水基が残っている。そして、溶剤中で分散することによりこの親水基同士が水素結合によってカードハウス構造を形成することで粘性を発現する。塗装時に剪断力が加わることで一時的に水素結合がほどけ、粘度が低下するが、塗装後すぐに近傍の親水基同士が水素結合することで直ちに粘度が回復する。したがって、本発明において(b)有機変性粘土鉱物は、主として、耐ダレ性に寄与する。
なお、本発明の塗料組成物に適用できる(b)有機変性粘土鉱物は、棒状鉱物と層状鉱物との混合物であることが好ましい。棒状鉱物が存在することにより、より低い剪断力で系中に均一に分散させることが可能となる上、水素結合の数が増えることで剪断力が加わっていない時の粘度が上昇し、耐ダレ性を向上させることができる。
(b)有機変性粘土鉱物は、市販品を適用することもでき、例えば、Zhejiang Fenghong New Material社製、BP-183NS、エレメンティス社製、ベントン34、BYK社製、ガラマイト(登録商標)7303、1958、7305などが挙げられる。
本発明においては、(b)有機変性粘土鉱物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[(c)ポリエーテルリン酸エステル]
本発明の塗料組成物に含まれる(c)ポリエーテルリン酸エステルは、ポリエーテルのリン酸エステルであり、1分子中に複数のリン酸エステル基を有する化合物である。
リン酸エステル基は、顔料などの他の物質への吸着官能基として作用する。具体的には、1分子中に複数のリン酸エステル基を有することにより、複数個所で他の化合物に吸着して塗料組成物全体に及ぶネットワークを形成する。顔料などの吸着対象物質に対して量が少ない場合は、顔料同士を繋ぐことで粘性を発現する。一方で、吸着対象物質に対して量が多い場合は、立体障害による安定化(分散剤)や、粘性発現の遅延(レベリング剤)といった機能を発現する。本発明において(c)ポリエーテルリン酸エステルは、主として、塗料組成物の塗装直後のレベリングに必要な時間の調整に寄与する。
本発明の塗料組成物に適用できる(c)ポリエーテルリン酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
なかでも、下記式(1)および/または下記式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルが好ましい。
[式1]
RO(CHCHO)PO(OH) (1)
[式2]
(RO(CHCHO)PO(OH) (2)
(上記式(1)および上記式(2)中、Rは、炭素数4~20のアルキル基、炭素数6~20のアルキルアリール基、または炭素数6~20のアルキルフェノキシ基であり、nは、1~50の整数である。)
(c)ポリエーテルリン酸エステルは、市販品を適用することもでき、例えば、ディスパロン3500(楠本化成社製)、ディスパロンDA-375(楠本化成社製)、ディスパロンAQ-320(楠本化成社製)、ディスパロンAQ-330(楠本化成社製)プライサーフA215C(第一工業製薬社製)、プライサーフA217E(第一工業製薬社製)、ネオスコアCM57(東邦化学社製)、アデカコールTS、アデカコールCS(旭電化社製)(いずれも商品名)などが挙げられる。
本発明においては、(c)ポリエーテルリン酸エステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルとを併用することで、これらの相互作用により特異的な効果が表れる。具体的には、剪断力が加わっていない状態では、(b)有機変性粘土鉱物の水素結合により形成されたカードハウス構造の中に、(c)ポリエーテルリン酸エステルの水酸基が入り込むことで、水素結合が三次元的に複雑になり、粘度が大幅に上昇して耐ダレ性が向上する。一方で、剪断力が加わる塗装直後には、一度解離した(b)有機変性粘土鉱物の水素結合が回復する前に、(c)ポリエーテルリン酸エステルの水酸基が(b)有機変性粘土鉱物の表面に吸着することで、水素結合の回復を一時的に妨げる。したがって、この間、塗料は低粘度となるためレベリングすることができるが、時間の経過とともに(b)有機変性粘土鉱物の水素結合が回復するため、垂直面であっても塗料がダレることを抑制できる。
[(b)有機変性粘土鉱物の配合量と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分の合計]
(b)有機変性粘土鉱物と前記(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分の合計は、前記(a)バインダー成分の固形分100質量部に対して1.5~4.0質量部であることが好ましい。さらに好ましくは、2.5~4.0質量部であり、最も好ましくは、3.1~3.3質量部である。
(b)有機変性粘土鉱物の配合量と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分の合計が、(a)バインダー成分の固形分100質量部に対して1.5~4.0質量部の範囲であれば、(b)有機変性粘土鉱物および(c)ポリエーテルリン酸エステルの樹脂や顔料との相互作用による耐ダレ性とフロー性のバランスが最も良くなることから、基材の隠蔽性をより発揮することができる。
[(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分質量比((b)/(c))]
(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分質量比((b)/(c))は、90/10~70/30であることが好ましい。さらに好ましくは、85/15~75/25の範囲であり、最も好ましくは、82/18~80/20の範囲である。
(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分質量比((b)/(c))が、90/10~70/30の範囲であれば、(b)有機変性粘土鉱物の配合量と(c)ポリエーテルリン酸エステルとの相互作用により、低剪断粘度が上昇して基材への塗料の塗着量が増加するとともに、塗着した塗料がフローするため、厚みのある均一な塗膜を形成することができ、その結果、基材の隠蔽性をより発揮することができる。
[その他の成分]
本発明の塗料組成物は、(a)バインダー成分と、(b)有機変性粘土鉱物と、(c)ポリエーテルリン酸エステルと、を必須成分として含んでいれば、これら以外の他の成分が任意に含まれていてもよい。他の成分としては、特に限定されるものではなく、得られる塗膜に機能性などを付与する公知の物質を、適宜選択して配合することができる。
任意の成分としては、例えば、亜鉛末、顔料、溶剤、硬化触媒、添加剤などが挙げられる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、硬化性調整剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、有色粒子、消泡剤、発泡剤、粘調剤、防蟻剤、防かび剤などが挙げられる。
本発明の塗料組成物は、なかでも、亜鉛末および/または防錆顔料を含むことが好ましい。鋼材よりも卑な電位を持つ亜鉛末を配合することにより、犠牲防食作用によって鋼材の腐食を防ぐことができる。このとき、塗膜厚が大きいほど防錆効果の持続期間は長くなるところ、本発明の塗料組成物であれば、その効果を十分に発揮させることが可能となる。また、塗膜は多孔性となるため、下塗り塗料を直接塗り重ねると発泡する場合がある。発泡を防止する目的で、下塗り塗装前にミストコートを塗付する場合があるが、亜鉛末を含む塗料が塗装後にダレることで、置換発泡を起こしやすくなる。これに対して、本発明の塗料組成物を適用することで、ダレることなく厚い塗膜を得ることができ、置換発泡の抑制を期待できる。
また、防錆顔料が配合された下塗り塗料により得られる塗膜は、膜厚が大きいほど腐食因子の浸透を抑制し、鋼材の腐食反応を抑制することができる。このため、厚くて均一な塗膜とすることが求められるところ、本発明の塗料組成物であれば、その効果を十分に発揮させることが可能となる。また、防錆顔料を含む塗料組成物は、バインダーの選定によって密着性が高くなるため、さびの除去が完全には行えない現場継手部の下塗りや、塗り替え塗装の下塗りとしても、好適に適用できる。
(亜鉛末)
亜鉛末としては、防食塗装などにおける下塗り塗料において、通常使用されているものを使用することが可能である。本実施形態における亜鉛末の具体的な製品としては、東洋亜鉛社製の亜鉛末シリーズ、UMICORE社製の亜鉛末シリーズ、日本ペイント防食コーティングス社製の亜鉛末シリーズなどを挙げることができる。亜鉛末の配合量は、上記(a)バインダー成分と、(b)有機変性粘土鉱物と、(c)ポリエーテルリン酸エステルと、亜鉛末を除くその他の成分と、亜鉛末とを混合した際の加熱残分中において、金属亜鉛量が75%以上となる量であることが好ましい。
(顔料)
顔料としては、防食塗料に一般的に適用できる顔料を含有することができ、例えば、無機充填剤などの体質顔料や、着色顔料、防錆顔料などを用いることができる。顔料としては、1種のみが用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシウム、石膏、雲母状酸化鉄(MIO)、ガラスフレーク、スゾライト・マイカ、クラライト・マイカなどが挙げられる。石膏を用いる場合には、焼石膏(CaSO・1/2HO)を含有させることで、防錆塗膜の耐水性、防食性をより向上させることができる。
着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、鉛白、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、キナクリドン類、アゾ系赤・黄色顔料などが挙げられる。
防錆顔料としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、アルミ粉(Al)などが挙げられる。
[調製方法]
本発明の塗料組成物は、当業者において通常用いられる方法を適用して、調製することができる。例えば、各成分を、ディスパー、ボールミル、S.G.ミル、ロールミル、プラネタリーミキサーなどで混合することにより調製することができる。
[用途]
本発明の塗料組成物は、十分な塗着性を有するため、垂直面の基材に対しても均一で厚い塗膜を形成できる。その結果、どのような形状の基材に適用した場合であっても、厚みがある塗膜を形成して、十分に基材を隠蔽することができる。特に、隠蔽性が要求されるダークカラーの基材や、濃色系の旧塗膜が残存する基材に適用した場合であっても、良好な塗膜を得ることができる。したがって、本発明の塗料組成物は、防錆などを目的とする防食塗装の下塗り塗料として、好適に用いることができる。
(基材)
本発明の塗料組成物を適用する基材は、特に限定されるものではないが、例えば、鉄鋼、亜鉛、アルミニウム、銅、およびスズなどの金属基材が挙げられる。特に、ミルスケールが付着した鋼材(例えば黒皮鋼板、黒板鋼板など)や、濃色系の旧塗膜が残存する基材など対して好適である。また、鉄鋼などにおいて、防食性をより向上させることを目的として下地処理されている基材にも適用できる。下地処理としては、例えば、ジンクリッチペイント、亜鉛メッキ、金属溶射などが挙げられる。なお、基材は、その用途に応じて様々な形状が存在し、いずれの形状にも適用することができる。
(塗装体)
本発明の塗料組成物が適用された塗装体の具体例としては、防食性を必要とするものであれば特に限定されるものではないが、例えば、橋梁、海上構築物、プラント、石油タンクなどのタンク、パイプ、鋼管、鋳鉄管などの鋼製構造物や建築物などの鋼性部分、船舶、鉄道車両、大型車両などの車両などが挙げられる。
以下、実施例などによって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例および比較例においては、以下の物質を用いて塗料組成物を作製した。
(a-1)エポキシ樹脂
EPICLON 5920-70MS(DIC社製、ノボラック型エポキシ樹脂)
(a-2)ポリアミン
フジキュアー FXP-8088(富士化成工業社製、変性脂肪族ポリアミン)
(b)有機変性粘土鉱物
BP-183NS(Zhejiang Fenghong New Material社製)
(c)ポリエーテルリン酸エステル
DISPARLON 3500(楠本化成社製)
(d)アマイドワックス
DISPARLON 6820-10M(楠本化成社製)
(e)顔料
酸化チタン TI-PURE R-706(デュポン社製)
焼成カオリン NEOGEN 2000(IMERYS社製)
炭酸カルシウム LW-350(清水工業社製)
硫酸バリウム バライトパウダーFBA(富士タルク工業社製)
焼石膏 TK-1(サンエス石膏社製)
タルク RS415(富士タルク工業社製)
防錆顔料 YKM-555(Guangxi Xinjing Science & Technology社製)
(f)消泡剤
BYK-053N(BYK社製)
(g)溶剤
トクソル(昭永ケミカル社製、ミネラルスピリット)
ソルベッソ100J(昭永ケミカル社製、芳香族炭化水素系)
<実施例1~9>
[塗料組成物の調製]
表1および表2に示される配合処方に従い、二液混合系塗料組成物とするための塗料液と硬化剤とを調整した。
Figure 0007210218000001
Figure 0007210218000002
<比較例1~3>
[塗料組成物の調製]
表3に示される配合処方に従い、二液混合系塗料組成物とするための塗料液と硬化剤とを調整した。
Figure 0007210218000003
[評価]
作成した塗料液と硬化剤を用いて塗料組成物を調整し、以下の方法で、フロー性、耐ダレ性、塗着性、隠蔽性について、評価を行った。結果を表4~6に示す。また、表4~6には、表1~3に示した配合処方を、(a)バインダー成分の固形分100質量部に対する固形分質量部に換算した値を示す。
(フロー性)
塗料液と硬化剤とを混合後、希釈シンナーによって5%に希釈した希釈塗料組成物を、塗布量235~250g/mでブリキ板にローラー塗装して乾燥させることで、塗膜を得た。得られた塗膜の状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。
◎: 均一な塗膜を形成
○: ローラーマークが目立たない
△: わずかにフロー
×: ローラーマークが顕著
(耐ダレ性)
塗料液と硬化剤とを混合後、希釈シンナーによって5%に希釈した希釈塗料組成物を、ガラス板にサジングテスターにて塗装した。塗装したガラス板をただちに垂直に立てかけて、タレが発生しない膜厚を評価した(23℃)。評価基準を以下に示す。
◎: 22MIL以上
○: 16、18、20MIL
△: 12、14MIL
×: 10MIL以下
(塗着性)
塗料液と硬化剤とを混合後、希釈シンナーによって5%に希釈した希釈塗料組成物を、一度だけローラーに含ませてタレなくなるまで待ち、200mm×300mmのブリキ板に塗装したときの塗付量を測定した。評価基準を以下に示す。
◎: 245g/m
○: 240±5g/m
×: 235g/m未満
(隠蔽性)
塗料液と硬化剤とを混合後、希釈シンナーによって5%に希釈した希釈塗料組成物を、平置き、縦置きした黒皮鋼板のそれぞれに塗布量235~250g/m2でローラー塗装して乾燥させることで、塗膜を得た。得られた塗膜につき、黒皮鋼板の隠蔽性について目視で観察し、以下の評価基準で評価した。
◎: 平置き、縦置きの両方で、隠蔽が良い
○: 平置き、縦置きの両方で、隠蔽が少し良い
△: どちらか一方で、隠蔽性が良い
×: どちらの隠蔽性も悪い
Figure 0007210218000004
Figure 0007210218000005
Figure 0007210218000006
表4から、実施例2~4の塗料組成物の方が、実施例1および5の塗料組成物よりも、塗膜形成時の隠蔽性が良好であることが分かった。この結果から、(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分質量比((b)/(c))が一定の場合には、(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分の合計を、(a)バインダー成分の固形分100質量部に対して、1.5~4.0質量部の範囲とすることで、隠蔽性がより向上することが確認された。
表5から、実施例7、8の塗料組成物の方が、実施例6および9の塗料組成物よりも、塗膜形成時の隠蔽性が良好であることが分かった。この結果から、(b)有機変性粘土鉱物の固形分と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分との合計が、(a)バインダー成分の固形分100質量部に対して一定の場合((a)バインダー成分の固形分100質量部に対する[(b)+(c)]の固形分が一定の場合)、(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分質量比((b)/(c))を、90/10~70/30とすることで、隠蔽性がより向上することが確認された。
また、実施例3の塗料組成物の方が、比較例1の塗料組成物よりも、塗膜形成時の隠蔽性が良好であることが分かった。この結果から、アマイドワックスではなく(b)有機変性粘土鉱物を、(c)ポリエーテルリン酸エステルと併用することで、隠蔽性が向上することが確認された。
また、実施例1~9の塗料組成物の方が、比較例2および3の塗料組成物よりも、塗膜形成時の隠蔽性が良好であることが分かった。この結果から、(b)有機変性粘土鉱物と(c)ポリエーテルリン酸エステルはそれぞれ単独で使用するのではなく、併用することで、隠蔽性が向上することが確認された。

Claims (4)

  1. (a)バインダー成分と、(b)有機変性粘土鉱物と、(c)ポリエーテルリン酸エステルと、を含み、
    前記(c)ポリエーテルリン酸エステルは、下記式(1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルおよび/または下記式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルであり、
    前記(b)有機変性粘土鉱物と前記(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分の合計は、前記(a)バインダー成分の固形分100質量部に対して1.5~4.0質量部であり、
    前記(b)有機変性粘土鉱物と前記(c)ポリエーテルリン酸エステルの固形分質量比は、90/10~70/30である、塗料組成物。
    [式1]
    RO(CH CH O) PO(OH) (1)
    [式2]
    (RO(CH CH O) PO(OH) (2)
    (上記式(1)および上記式(2)中、Rは、炭素数4~20のアルキル基、炭素数6~20のアルキルアリール基、または炭素数6~20のアルキルフェノキシ基であり、nは、1~50の整数である。)
  2. 前記(a)バインダー成分は、(a-1)エポキシ樹脂と(a-2)ポリアミンを含む、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. さらに亜鉛末および/または防錆顔料を含む請求項1または2に記載の塗料組成物。
  4. 下塗り塗料である、請求項1~いずれかに記載の塗料組成物。
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