JP7208762B2 - 新規アラビノフラノシダーゼ - Google Patents
新規アラビノフラノシダーゼ Download PDFInfo
- Publication number
- JP7208762B2 JP7208762B2 JP2018202165A JP2018202165A JP7208762B2 JP 7208762 B2 JP7208762 B2 JP 7208762B2 JP 2018202165 A JP2018202165 A JP 2018202165A JP 2018202165 A JP2018202165 A JP 2018202165A JP 7208762 B2 JP7208762 B2 JP 7208762B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- arabinofuranosidase
- biomass
- amino acid
- seq
- acid sequence
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E50/00—Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
- Y02E50/10—Biofuels, e.g. bio-diesel
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
例えば、非特許文献1には、ペニシリウムカプスラタム(Penicillium copsulatum)から64.5kDa及び62.7kDaのα-L-アラビノフラノシダーゼについてその特性が開示され、また、特許文献3には、Aspergillus niger由来のα-L-アラビノフラノシダーゼ及びそのアミノ酸配列が開示されている。
1)下記(a)~(d)から選ばれるアミノ酸配列からなり、且つアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質:
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号2の1番から301番で示されるアミノ酸配列;
(c)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(d)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列。
2)1)のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
3)2)のポリヌクレオチドを含むベクター。
4)2)のポリヌクレオチド、又は3)のベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法。
5)2)のポリヌクレオチド、又は3)のベクターを導入された形質転換体。
6)1)のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質を含有するバイオマス糖化剤。
7)1)のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質、又は6)のバイオマス糖化剤を用いる、バイオマスからの糖の製造方法。
タンパク質のアラビノフラノシダーゼ活性は、例えば、p-ニトロフェニル-α-Lアラビノフラノシドを基質として当該タンパク質と反応させ、遊離するp-ニトロフェノールを測定することによって決定することができる。アラビノフラノシダーゼ活性の測定の具体的手順は、後述の実施例に詳述されている。
本発明のアラビノフラノシダーゼは、下記(a)~(d)から選ばれるアミノ酸配列からなり、且つアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質である。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号2の1番から301番で示されるアミノ酸配列;
(c)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(d)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列。
ここで、上記(b)のタンパク質は、配列表に記載のとおり、(a)のタンパク質のアミノ酸配列から菌体外分泌シグナルペプチドを除いた成熟タンパク質である。
該タンパク質は、例えば、上述した配列番号2で示されるアミノ酸配列又は配列番号2の1番から301番で示されるアミノ酸配列からなるF81ABFの天然又は人工的に作製された変異体が挙げられる。当該変異体は、例えば、上記F81ABFをコードする遺伝子に対して紫外線照射や部位特異的変異導入(Site-Directed Mutagenesis)のような公知の突然変異導入法により突然変異を導入し、当該突然変異を有する遺伝子を発現させ、所望のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質を選択することによって、作製することができる。このような変異体作製の手順は、当業者に周知である。
また、CAZY(http://www.cazy.org/)に登録されている真核生物由来のGH62のα-L-アラビノフラノシダーゼ67タンパク質のアミノ酸配列についてマルチプルアライメントを行い、近隣結合法により分子系統樹を作成すると大きく2つのグループに分類されるが、これによると、F81ABFは、EAK85771.1及びCAM07245.1とは同一のグループに属し、EAA59562.1とは別のグループに属する(図5)。
本発明のアラビノフラノシダーゼは、例えば、上記本発明のアラビノフラノシダーゼをコードするポリヌクレオチドを発現させることにより生産することができる。好ましくは、本発明のアラビノフラノシダーゼは、本発明のアラビノフラノシダーゼをコードするポリヌクレオチドを導入した形質転換体から生産することができる。例えば、本発明のアラビノフラノシダーゼをコードするポリヌクレオチド、又はそれを含むベクターを宿主に導入して形質転換体を得た後、該形質転換体を適切な培地で培養すれば、該形質転換体に導入した本発明のアラビノフラノシダーゼをコードするポリヌクレオチドから本発明のアラビノフラノシダーゼが生産される。生産されたアラビノフラノシダーゼを該培養物から単離又は精製することにより、本発明のアラビノフラノシダーゼを取得することができる。
本発明のアラビノフラノシダーゼをコードするポリヌクレオチドの好ましい例としては、下記(e)~(h)から選ばれるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。
(e)配列番号1で示されるヌクレオチド配列;
(f)配列番号1の73番から975番で示されるヌクレオチド配列;
(g)(e)又は(f)で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列;
(h)(e)又は(f)で示されるヌクレオチド配列において、1又は複数個のヌクレオチドが欠失、挿入、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列。
ここで、上記(f)のポリヌクレオチドは、配列表に記載のとおり、(e)のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列から菌体外分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを除いた成熟タンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
上記本発明のアラビノフラノシダーゼは、後述の実施例に示す通り、従来公知のアラビノフラノシダーゼと比較して、バイオマスを糖化する活性が顕著に高い。したがって、本発明のアラビノフラノシダーゼは、バイオマス糖化のために、バイオマス糖化剤に含有して使用することができる。
本発明のアラビノフラノシダーゼ又はこれを含有するバイオマス糖化剤は、バイオマスから糖を製造するために用いられる。すなわち、本発明の糖の製造方法は、バイオマスを、上記本発明のアラビノフラノシダーゼ又はこれを含有するバイオマス糖化剤で糖化処理する工程が含まれる。
バイオマスは、前述したとおりであるが、入手容易性、原料コスト、及び糖化効率向上の観点からは、該バイオマスとしては、木材、木材の加工物又は粉砕物、植物の茎、葉又は果房などが好ましく、バガス、EFB、アブラヤシ(幹部)、エリアンサスがより好ましく、バガスがさらに好ましい。該バイオマスは、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。また該バイオマスは乾燥されていてもよい。
<1>下記(a)~(d)から選ばれるアミノ酸配列からなり、且つアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質:
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号2の1番から301番で示されるアミノ酸配列;
(c)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(d)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列。
<2><1>のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
<3>下記(e)~(h)から選ばれるヌクレオチド配列からなる、<2>のポリヌクレオチド:
(e)配列番号1で示されるヌクレオチド配列;
(f)配列番号1の73番から975番で示されるヌクレオチド配列;
(g)(e)又は(f)で示されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列;
(h)(e)又は(f)で示されるヌクレオチド配列において、1又は複数個のヌクレオチドが欠失、挿入、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列。
<4><2>又は<3>のポリヌクレオチドを含むベクター。
<5><2>又は<3>のポリヌクレオチド、又は<4>のベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法。
<6><2>又は<3>のポリヌクレオチド、又は<4>のベクターが導入された形質転換体。
<7><1>のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質を含有する、バイオマス糖化剤。
<8><1>のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質、又は<7>のバイオマス糖化剤を用いる、バイオマスからの糖の製造方法。
<9><5>における宿主がトリコデルマ属の糸状菌である、<5>の製造方法又は<6>の形質転換体。
<10>バイオマス糖化剤の総タンパク質量中における、アラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質の含有量が0.1質量%以上70質量%以下である、<7>のバイオマス糖化剤。
Penicillium sp.由来アラビノフラノシダーゼF81ABFを製造した。
土壌より単離された糸状菌Penicillium sp.をキシランによる誘導条件下で培養した。培養4日後、Miracloth(メルクミリポア)を用いてろ過することにより菌糸及び培養上清を得た。得られた菌糸は、液体窒素中にて速やかに凍結後、マルチビーズショッカー(安井器械)を用いて破砕した。得られた破砕細胞から、RNeasy Mini Kit(キアゲン)を用いてRNA溶液を得た。RNA溶液から、SuperScript II Reverse Transcriptase(ライフテクノロジーズ)を用いてcDNAを合成した。
特開2017-12006号公報にて構築されたpUC-cbh1-amdSを鋳型として、表1に示したフォワードプライマー1(配列番号6)とリバースプライマー1(配列番号7)を用いてPCRすることで、amdS(Aspergillus nidurans由来アセトアミダーゼ)をほぼ除いた約7.2kbp断片(A)を増幅した。また、Trichoderma reesei由来のpyr4(配列番号3)を鋳型として、表1に示したフォワードプライマー2(配列番号8)とリバースプライマー2(配列番号9)を用いてPCRすることで、約2.7kbp断片(B)を増幅した。得られたDNA断片(A)及び(B)は、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)のプロトコルに従って処理し、コンピテントセルE.coli HB101(タカラバイオ)へと形質転換した。アンピシリン耐性株として得られた形質転換体の中から、コロニーPCRにより目的の遺伝子が挿入されたプラスミドを保持する菌株を選別した。選別した形質転換体をLB寒天培地を用いて培養し(37℃、1日間)、得られた細胞からHigh Pure Plasmid Isolation kit(Roche)を用いてプラスミドを回収、精製した。得られたベクターを、pUC-cbh1-pyr4と名付けた。
T.reeseiJN11株(J.Ind.Microbiol.Biotechnol.(2012)1741-9に示されるX3AB1株)に対して上記(2)で構築したベクターの形質転換を行った。導入はプロトプラストPEG法で行った。形質転換体は選択培地(2% グルコース、1.1M ソルビトール、2% アガー、0.2% KH2PO4(pH5.5)、0.06% CaCl2・2H2O、0.06% CsCl2、0.06% MgSO4・7H2O、0.06% (NH4)2SO4、0.1% Trace element1;%はいずれもw/v%)にて選抜した。Trace element1の組成は以下のとおりである:0.5g FeSO4・7H2O、0.2g CoCl2、0.16g MnSO4・H2O、0.14g ZnSO4・7H2Oを蒸留水にて100mLにメスアップ。選抜した形質転換体を植え継ぎにより安定化した後、コロニーPCRにより目的の遺伝子が安定に保持された菌株をさらに選別した。
胞子を2×105個/mLになるように50mLのシード培地(500mL容三角フラスコ)に接種し、28℃で往復振とう220rpmにて2日間振盪培養(PRECi:PRXYg-98-R型)を行った。本培養:250mlジャーファーメンター(Biott製)にて行った。100mLの本培養液に対して10mLの前培養液を植菌し、28℃、pH4.5、通気量0.5vvm、DO3ppm制御により約5日間培養した。なおpH制御には5%アンモニア水を使用した。培養液は遠心分離によって沈殿画分と培養液上清に分離後、フィルターろ過した。使用した培地組成は下記のとおりである。
(NH4)2SO4 0.14%
KH2PO4 0.2%
CaCl2・2H2O 0.03%
MgSO4・7H2O 0.03%
ハイポリペプトンN 0.1%
Bact yeast extract 0.05%
Tween 80 0.1%
Trace element* 0.1%
Tartrate buffer(pH4.0)** 10%
グルコース 1%
・H3BO3 6mg
・(NH4) 6Mo7O24・4H2O 6mg
・FeCl3・6H2O 100mg
・CuSO4・5H2O 40mg
・MnCl2・4H2O 8mg
・ZnCl2 200mg
A:0.5M C4H4Na2O6・2H2O 92.032g/800ml
B:0.5M C4H6O6 15.009g/200ml
A:B=4:1でpH4に調整
(NH4)2SO4 0.42%
KH2PO4 0.2%
CaCl2・2H2O 0.03%
MgSO4・7H2O 0.03%
ハイポリペプトンN 0.1%
Bact yeast extract 0.05%
Tween 80 0.1%
Trace element* 0.1%
Antifoam PE-L 0.2%
Trace element** 0.1%
FD-101 10%
上記(4)で得た培養上清を用い、下記の条件にて精製を行った。
装置:HPLC分取システムPLC-561(GLサイエンス)
カラム:TSKgel G2000SW 21.5x300mm(東ソー)
溶離液:20mM 酢酸バッファー(pH5)、
流速:4mL/min、
モニター波長:280nm
28分前後に溶出するピークにF81ABFが含まれることが確認されたことから、27分~28分までのフラクションを分取した。さらに下記条件にてゲルろ過による精製を行った。
カラム:POROS HS 20μmカラム 4.6×100mm
(ライフテクノロジーズ)
溶離液A:20mM Tris-HCl バッファー(pH8)
溶離液B:20mM Tris-HCl バッファー(pH8)1M NaCl
流速:1mL/min
モニター波長:280nm
リニアグラジエント:5min A:B=100:0、
15min A:B=20:80
9分前後に溶出するピークに大部分の純粋なF81ABFが含まれることが確認されたことから、7分~11分までのフラクションを分取し、濃縮・脱塩したサンプルをF81ABF粗酵素液とした。
精製したF81ABFは、アラビノフラノシダーゼプレタンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)から推定シグナル配列(1-24位)を除いた成熟アラビノフラノシダーゼ(配列番号2の25-325位で示されるアミノ酸配列)である。なお、シグナル配列の予測にはsignalP(Bendtsenら,J.Mol.Biol.340:783-795,2004)を用いた。タンパク質の濃度は、bradford法にて測定した。bradford法では、Quick Startプロテインアッセイ(BioRad)を使用し、ウシγグロブリンを標準タンパク質とした検量線をもとにタンパク質量を計算した。
F81ABFと市販品α-L-アラビノフラノシダーゼ活性の比較を行った。カビ等の真核微生物由来のα-L-アラビノフラノシダーゼは,GH43,51,54及び62に分類されている。F81ABFはGH62に属する。市販品は表2に示したMegazyme社のAFAM2(GH43)、AFASE(GH51)、ABFAN(GH62)、ABFUM(GH62)を用いた。基質はp-ニトロフェニル-α-Lアラビノフラノシド(図1A)及び小麦アラビノキシランを用い(図1B)、α-L-アラビノフラノシダーゼ活性を測定した。
20μLの2.5 mM p-ニトロフェニル-α-Lアラビノフラノシド(pNP-Ara、Sigma)、20μLの250 mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5)、40μLのイオン交換水を混合した80μLの基質溶液に対して、適宜希釈した酵素溶液を20μLずつ添加し、50℃で10分間反応した。100μLの0.4M 炭酸ナトリウム溶液を添加し、反応を停止させると同時に反応液をアルカリ性にすることで、酵素分解により遊離したp-ニトロフェニルを黄色に発色させた。反応溶液を吸光度420nmにて測定した。1unit(U)は1分間に1μmolのp-ニトロフェノールを遊離する酵素量とした。
結果を表3に示す。F81ABFのpNP-Ara分解活性(pNPA)は0.46U/mgと低いもののABFANと同等の活性を示した。
50μLの1.0%(w/v)小麦アラビノキシラン、低粘性(Megazyme)、20μLの50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5)、20μLのイオン交換水を混合した。90μLの基質溶液に対し、適宜希釈した酵素溶液を10μL添加し、50℃で10分間反応した。100μLのDNS溶液(1.6%水酸化ナトリウム、0.5%3,5-ジニトロサリチル酸、30%酒石酸ナトリウムカリウム)を添加し反応を停止させた後、99.9℃にて10分間加熱処理した。冷却後、反応溶液を吸光度540nmにて測定した。対照は、90μLの基質溶液に100μLのDNS溶液を添加し、混和した後に10μLの酵素溶液を加えたものを使用した。1unit(U)は1分間に1μmolのL-アラビノース相当の還元糖を遊離する酵素量とした。結果を前記表3に併せて示す。F81ABFの小麦アラビノキシラン分解活性(WAX)は121.3U/mgであり、市販酵素と比較して最も高い値を示した。
実施例2よりF81ABFはアラビノキシラン分解活性が市販酵素と比較して高いことから、バイオマスの糖化性に効果を示すことが期待された。そこでバイオマスとしてアラビノキシランを多く含む小麦ふすまの糖化に対するF81ABFの効果を調べた。
セルラーゼとしてJN11を使用した。JN11は、J.Ind.Microbiol.Biotechnol.(2012)1741-9に示されるX3AB1株であり、実施例1(4)と同様の手順で培養することで調製した。
蓋つきスクリュー管(株式会社マルエム製、No.3、φ21×45mm)に、基質として小麦ふすまを乾燥原料換算で50mgと、0.1mLの0.5M酢酸ナトリウムバッファー(pH5)を添加し、ここに上記(1)で調製したJN11(酵素タンパク量として6mg/g-基質)、及び実施例1(5)で調製したF81ABF酵素液(酵素タンパク量として0.1mg/g-基質)を添加後、基質濃度が5wt%になるように水を添加して反応液を調製した。比較のため、Megazyme社のAFAM2(GH43)、AFASE(GH51)、ABFAN(GH62)及びABFUM(GH62)、(いずれも0.1mg/g-基質)を添加した反応液を調製した。対照としては、酵素としてJN11のみを添加した反応液を調製した。各反応液は、50℃、150rpmで往復振とうしながら2日間糖化反応させた。なお、各酵素の量はbradford法にて測定したタンパク質量を基準にした。反応終了後、遠心分離(15000rpm、5min、4℃)にて上清を回収し、DX500クロマトグラフィーシステム(日本ダイオネクス社製)にて上清中のグルコース、キシロース、アラビノースの濃度を測定した。JN11を用いた際に得られるグルコース、キシロース、アラビノース糖量を100%とし、各種α-L-アラビノフラノシダーゼを添加することにより得られた糖量を相対値として算出した。
実施例3より小麦ふすまの糖化にF81ABFが有効であることが示されたことから、T.reeseiにF81ABFの遺伝子を導入し、F81ABFを発現した糖化酵素を調製し、小麦ふすまの糖化性を調べた。
pUC118を鋳型として、表1に示したフォワードプライマー5(配列番号14)とリバースプライマー5(配列番号15)を用いてPCRすることで約3.2kbp断片(A)を増幅した。また、Trichoderma reesei由来のcre1の上流から下流領域(配列番号4)を鋳型として、表1に示したフォワードプライマー6(配列番号16)とリバースプライマー6(配列番号17)を用いてPCRすることで、約2.9kbp断片(B)を増幅した。得られたDNA断片(A)及び(B)は、実施例1の(2)と同様の手法でベクターに組み込み、pUC-cre1を作製した。
トリコデルマ・リーゼ JN11株(J.Ind.Microbiol.Biotechnol.(2012)1741-9に示されるX3AB1株)に対して上記(1)で構築したベクターの形質転換を行った。導入は実施例1の(3)に記載の通り行い、得られた形質転換体をTK16とした。
(2)にて得られた菌株を用い、実施例1(4)と同様の手順で培養することで調製した。
(3)にて得られたTK16糖化酵素を用い、実施例3(2)と同様の手順で小麦ふすまの糖化を行った。結果を図3に示す。小麦ふすまをTK16で糖化することで、グルコース、キシロース及びアラビノースの生成糖量はそれぞれ103%、106%及び127%向上した。この結果から、F81ABFを導入したTK16はバイオマス糖化酵素として有用であることが示された。
(1)アライメント解析
F81ABFと市販酵素ABFUM及びABFANに相当するEAK85771.1及びEAA59562.1、前記特許文献3のCAM07245.1の成熟ペプチドについてそれぞれアミノ酸配列の相同性解析を行った。解析は遺伝情報処理ソフトウェアであるGenetyx Ver.12(株式会社ゼネティクス)のfastpプログラムを用いた。結果、EAK85771.1、EAA59562.1及びCAM07245.1は、F81AFBとそれぞれ66、72及び82%同一性を示した。これら4種類のα-L-アラビノフラノシダーゼのマルチプルアライメントを図4に示す。
CAZY (http://www.cazy.org/)に登録されている真核生物由来のGH62のα-L-アラビノフラノシダーゼ67タンパク質のアミノ酸配列についてclustalXにてマルチプルアライメントを行い、近隣結合法(Neighbor-Joining method:NJ法)により分子系統樹を作成した。Genetyx Ver.12にて67タンパク質の中に市販酵素ABFUM及びABFANに相当するEAK85771.1及びEAA59562.1、WO2006125438号のCAM07245.1が含まれている。結果を図5に示す。GH62のα-L-アラビノフラノシダーゼは大きく2つのグループに分類され、F81ABFはグループ1に属した。実施例5(1)において最も高い相同性を示したCAM07245.1が同じグループ1であることが示された。一方で、またEAK85771.1が最も相同性が低かったが、分子系統樹解析から同じグループ1であることが示された。一方で、EAA59562.1はEAK85771.1より相同性が高いものの、グループ2に属した。
Claims (10)
- 下記(a)~(d)から選ばれるアミノ酸配列からなり、且つアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質:
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号2の1番から301番で示されるアミノ酸配列;
(c)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列;
(d)(a)又は(b)で示されるアミノ酸配列において、1~10個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列。 - セルラーゼの存在下、セルロースの分解を促進する、請求項1記載のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質。
- 請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
- 下記(e)~(h)から選ばれるヌクレオチド配列からなる、請求項3記載のポリヌクレオチド:
(e)配列番号1で示されるヌクレオチド配列;
(f)配列番号1の73番から975番で示されるヌクレオチド配列;
(g)(e)又は(f)で示されるヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列;
(h)(e)又は(f)で示されるヌクレオチド配列において、1~30個のヌクレオチドが欠失、挿入、置換若しくは付加されたヌクレオチド配列。 - 請求項3又は4記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
- 請求項3又は4記載のポリヌクレオチド、又は請求項5記載のベクターを宿主に導入することを含む、形質転換体の製造方法。
- 請求項3又は4記載のポリヌクレオチド、又は請求項5記載のベクターが導入された形質転換体。
- 請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質を含有する、バイオマス糖化剤。
- さらに、セルラーゼを含有する、請求項8記載のバイオマス糖化剤。
- 請求項1又は2記載のアラビノフラノシダーゼ活性を有するタンパク質、又は請求項8記載のバイオマス糖化剤を用いる、バイオマスからの糖の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018202165A JP7208762B2 (ja) | 2018-10-26 | 2018-10-26 | 新規アラビノフラノシダーゼ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018202165A JP7208762B2 (ja) | 2018-10-26 | 2018-10-26 | 新規アラビノフラノシダーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020065514A JP2020065514A (ja) | 2020-04-30 |
JP7208762B2 true JP7208762B2 (ja) | 2023-01-19 |
Family
ID=70388623
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018202165A Active JP7208762B2 (ja) | 2018-10-26 | 2018-10-26 | 新規アラビノフラノシダーゼ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7208762B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021160999A (ja) | 2020-04-01 | 2021-10-11 | 株式会社ノベルクリスタルテクノロジー | 半導体基板及びその製造方法 |
WO2023225459A2 (en) | 2022-05-14 | 2023-11-23 | Novozymes A/S | Compositions and methods for preventing, treating, supressing and/or eliminating phytopathogenic infestations and infections |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016095856A1 (en) | 2014-12-19 | 2016-06-23 | Novozymes A/S | Compositions comprising polypeptides having xylanase activity and polypeptides having arabinofuranosidase activity |
-
2018
- 2018-10-26 JP JP2018202165A patent/JP7208762B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016095856A1 (en) | 2014-12-19 | 2016-06-23 | Novozymes A/S | Compositions comprising polypeptides having xylanase activity and polypeptides having arabinofuranosidase activity |
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
BISCHOFF, K. M. et al.,Purification and characterization of arabinofuranosidase from the corn endophyte Acremonium zeae.,Biotechnology letters,2011年,Vol. 33,P. 2013-2018 |
WILKENS, C. et al.,An efficient arabinoxylan-debranching α-L-arabinofuranosidase of family GH62 from Aspergillus nidulans contains a secondary carbohydrate binding site.,Applied Microbiology and Biotechnology,2016年,Vol. 100,P. 6265-6277 |
WILKENS, C. et al.,GH62 arabinofuranosidases: Structure, function and applications.,Biotechnology Advances,2017年,Vol. 35,P. 792-804 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020065514A (ja) | 2020-04-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8790894B2 (en) | Mutant cellobiohydrolase | |
US10550376B2 (en) | Xylanase | |
CN111770996B (zh) | 突变β-葡萄糖苷酶 | |
JP7208762B2 (ja) | 新規アラビノフラノシダーゼ | |
EP2529013B1 (en) | Novel beta-glucosidase and uses thereof | |
US10266814B2 (en) | Systems and methods for production and use of fungal glycosyl hydrolases | |
WO2015137334A1 (ja) | 変異キシラナーゼ | |
WO2013176205A1 (ja) | キシラナーゼおよびそれを用いた糖の製造方法 | |
JP7051492B2 (ja) | 変異β-グルコシダーゼ | |
JP6849749B2 (ja) | 新規キシラナーゼ | |
JP6470967B2 (ja) | 変異キシラナーゼ | |
EP3262164B1 (en) | Hemicellulose-degrading compositions and uses thereof | |
JP2023145205A (ja) | バイオマス糖化のための酵素組成物 | |
JP2023145206A (ja) | バイオマス糖化のための酵素組成物 | |
WO2015076260A1 (ja) | 耐熱性キシラナーゼ | |
JP2013243954A (ja) | キシラナーゼおよびそれを用いた糖の製造方法 | |
JP2013243953A (ja) | キシラナーゼおよびそれを用いた糖の製造方法 | |
Chen et al. | Characterization of Classification, Function and Enzymolysis Mechanism of Cellulase | |
BR112017028171B1 (pt) | Polinucleotídeo que codifica uma proteína tendo atividade de xilanase, vetor compreendendo o dito polinucleotídeo, método para fabricação de um transformante, transformante transformado com o dito vetor, agente de sacarificação de biomassa compreendendo proteína com atividade de xilanase e método para fabricação de açúcar a partir de biomassa | |
KR20120053725A (ko) | 네오사토리아 피쉐리 유래 신규 베타글루코시다아제 및 그 생산 방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210915 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220714 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220802 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20221003 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221130 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230104 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230106 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7208762 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |