JP7207997B2 - プロピレン系重合体を含む延伸フィルム - Google Patents
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Description
特に、ポリプロピレンなどの高立体規則性ポリオレフィンを製造する際には、通常、内部ドナー(内部電子供与体)を含む固体状チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部ドナー(外部電子供与体)とからなる触媒が用いられている。例えば、内部ドナーとしてカルボン酸エステル類を含む塩化マグネシウム担持型固体状チタン触媒と、有機アルミニウム化合物とともに、外部ドナーとして有機ケイ素化合物とからなるオレフィン重合用触媒が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
プロピレン系重合体、または、それを含む樹脂組成物を用いて得られた延伸フィルムにおける高性能化の期待は大きく、これまでにないレベルの高立体規則性を有する、高剛性、高耐熱性、または寸法安定性に優れたプロピレン系重合体が求められている。
(1)メソ平均連鎖長が800~10万である。
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分である。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.2~20である。
(4)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合をA重量%とし、前記要件(2)のメルトフローレートをBg/10分とした場合、下記式(I)を満たす。
100≧A≧20×EXP(-0.01×B)・・・(I)
(5)23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%である。
(6)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が15~50重量%である。
[プロピレン系重合体]
本発明に係る一軸または二軸延伸フィルム(以下、単に「本発明の延伸フィルム」ともいう。)に含まれるプロピレン系重合体の第1の態様は、下記要件(1)~(4)を満たすことを特徴とし、本発明に係る延伸フィルムに含まれるプロピレン系重合体の第2の態様は、下記要件(1)~(6)を満たすことを特徴とする。以下、第1の態様と第2の態様を総称して「本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体」ともいう。
(1)メソ平均連鎖長が800~10万である。
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分である。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.2~20である。
(4)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合をA重量%とし、前記要件(2)のメルトフローレートをBg/10分とした場合、下記式(I)を満たす。
100≧A≧20×EXP(-0.01×B)・・・(I)
(5)23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%である。
(6)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が15~50重量%である。
以下、各要件について説明する。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体は、メソ平均連鎖長が800~10万、好ましくは900~50,000、より好ましくは1,000~10,000である。メソ平均連鎖長が前記範囲内であると、プロピレン系重合体の立体規則性が充分に高くなり、成形体の耐熱性、および寸法安定性等の性能が向上する。メソ平均連鎖長は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体は、MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が 0.5~1000g/10分、好ましくは0.5~100g/10分、より好ましくは0.7~10g/10分である。MFRが前記範囲内であると、プロピレン系重合体の成形性と機械強度とのバランスが優れる。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体は、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.2~20、好ましくは4.5~15、より好ましくは5~12である。Mw/Mnが前記範囲内であると、プロピレン系重合体の成形性の観点から好ましい。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体は、TREFにより122℃以上の温度で溶出する成分の割合をA重量%とし、前記要件(2)のメルトフローレートをBg/10分とした場合、下記式(I)を満たす。
100≧A≧20×EXP(-0.01×B)・・・(I)
上記式(I)を満たすプロピレン系重合体は、MFRが一定以上であっても一定の耐熱性および高剛性を示す立体規則性を有する点で好ましい。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体は、23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%、好ましくは0.1~1.8重量%、より好ましくは0.1~1.2重量%である。デカン可溶成分量が前記範囲内であると、高結晶性成分が充分に確保され、低立体規則性成分の生成が抑制される。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体は、TREFにより122℃以上の温度で溶出する成分の割合が15~50重量%、好ましくは18~50重量%、より好ましくは30~45重量%である。前記溶出成分の割合が前記範囲内であると、プロピレン系重合体の立体規則性が充分に高くなり、フィルムの耐熱性および寸法安定性等の性能が向上する。
オレフィン重合用触媒は、上述した本発明の延伸フィルムに用いたプロピレン系重合体を得ることができれば特に限定されないが、例えば、
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ、下記要件(k1)~(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii)下記式(II)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔A〕、または、
前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを含む触媒〔B〕
が挙げられる。
(k1)チタン含有量が2.5重量%以下である。
(k2)電子供与体の含有量が8~30重量%である。
(k3)電子供与体/チタン(重量比)が7以上である。
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
R1Si(OR2)2(NR3R4) ・・・(II)
式(II)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は炭素数1~4の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。
以下、前記オレフィン重合用触媒を構成する各成分について説明する。
前記固体状チタン触媒成分(i)は、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)液状チタン、および
(d)電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製することができる。
前記固体状チタン(a)は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体(内部ドナー)などを種々の方法により接触させることにより、公知の固体状チタン触媒成分の調製法(例えば特開平4-096911号公報、特開昭58-83006号公報、特開平8-143580号公報等参照)により製造することができる。
Ti(OR5)gX4-g ・・・(III)
式(III)中、R5は炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
前記電子供与体(内部ドナー)としては、例えば、下記式(IV)で表わされる化合物(以下「化合物(IV)」ともいう。)が挙げられる。
前記固体状チタン(a)は、前記マグネシウム化合物と、前記チタン化合物と、前記電子供与体との接触により調製することができる。この際、固体状態のマグネシウム化合物を炭化水素溶媒に懸濁して用いることが好ましい。また、これら各成分を接触させる際に、液状形態のチタン化合物を1回用いて固形物(1)を生成させてもよく、得られた固形物(1)にさらに液状形態のチタン化合物を接触させて固形物(2)を生成させてもよい。さらに、この固形物(1)または(2)を必要に応じて炭化水素溶媒で洗浄してから固体状チタン(a)を調製することが好ましい。
このようにして得られた固体状チタン(a)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる芳香族炭化水素(b)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、これらのハロゲン含有炭化水素などが挙げられる。これらの中では、キシレン(特にパラキシレン)が好ましい。前記固体状チタン(a)を、このような芳香族炭化水素(b)と接触させることにより、低立体規則性成分を副生する、いわゆる「剰余チタン化合物」を低減することができる。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる液状チタン(c)としては、該固体状チタン(a)を調製する際に用いたチタン化合物と同様のものを挙げることができる。それらの中でも、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる電子供与体(d)の例としては、上述した電子供与体(内部ドナー)で例示したものと同じものを挙げることができる。それらの中でも、前記固体状チタン(a)の調製に使用した電子供与体と同じものを用いることが好ましい。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)の接触は、通常110~160℃、好ましくは115℃~150℃の温度で、1分間~10時間、好ましくは10分間~5時間行われる。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)は、不活性ガス雰囲気下、攪拌下に接触させることが好ましい。例えば、充分に窒素置換された攪拌機付きガラス製フラスコ中で、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)のスラリーを、上記温度で、攪拌機を100~1000rpm、好ましくは200~800rpmの回転数で、上記の時間、攪拌して、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)を接触させることが望ましい。
このような固体状チタン(a)と芳香族炭化水素(b)との接触により、固体状チタン(a)よりもチタン含有量が減少された固体状チタン触媒成分(i)が得られる。具体的には、チタン含有量が固体状チタン(a)よりも25重量%以上、好ましくは30~95重量%より好ましくは40~90重量%少ない固体状チタン触媒成分(i)が得られる。
(k2)電子供与体の含有量は8~30重量%、好ましくは9~25重量%、より好ましくは10~20重量%である。
(k3)電子供与体/チタン(重量比)は7以上、好ましくは7.5~35、より好ましくは8~30、特に好ましくは8.5~25である。
(k4)固体状チタン触媒成分(i)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。なお、固体状チタン触媒成分(i)のヘキサン洗浄とは、固体状チタン触媒成分(i)1gに対して、通常10~500ml、好ましくは20~100mlの量のヘキサンで5分間洗浄することをいう。室温とは15~25℃である。また、チタンが実質的に脱離されることがないとは、ヘキサン洗浄液中のチタン濃度が0.1g/リットル以下であることを意味する。
(k5)固体状チタン触媒成分(i)は、平均粒径が5~70μmであり、好ましくは7~65μmであり、より好ましくは8~60μmであり、特に好ましくは10~55μmである。
前記オレフィン重合用触媒を構成する有機ケイ素化合物成分(ii)は、下記式(II)で表わされる。
R1Si(OR2)2(NR3R4) ・・・(II)
式(II)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は炭素数1~4の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、ter-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中ではメチル基およびエチル基が特に好ましい。
前記固体状チタン触媒成分(i)と前記有機ケイ素化合物成分(ii)とを組み合わせて用いることにより、これまでにないレベルの高立体規則性を有するプロピレン系重合体を得ることができる。
前記オレフィン重合用触媒を構成する有機金属化合物成分(iii)は、周期律表の1族、2族または13族に属する金属を含む有機金属化合物であり、例えば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、第2族金属の有機金属化合物などが挙げられる。なお、有機金属化合物成分(iii)は、2種以上を併用してもよい。
前記有機アルミニウム化合物は、例えば下記式で示される。
Ra nAlX3-n
式中、Raは炭素原子数1~12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1~3である。
Ra nAlY3-n
式中、Raは上記と同様であり、Yは-ORb基、-OSiRc 3基、-OAlRd 2基、-NRe 2基、-SiRf 3基または-N(Rg)AlRh 2基であり、nは1~2であり、Rb、Rc、RdおよびRhはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Reは水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RfおよびRgはメチル基、エチル基などである。
・ Ra nAl(ORb)3-n で表される化合物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど。
・Ra nAl(OSiRc)3-n で表される化合物、例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu) 2Al(OSiEt3)など。
・Ra nAl(OAlRd 2)3-nEt2AlOAlEt2、(iso-Bu) 2AlOAl(iso-Bu) 2 など。
上記のような有機アルミニウム化合物のうちでも、Ra 3Alで表される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
前記オレフィン重合用触媒は、前記固体状チタン触媒成分(i)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体の製造方法では、上述したオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させる。
有機金属化合物(iii)は、該化合物(iii)中の金属原子が重合系中のチタン原子1モルに対し、通常約1~2000モル、好ましくは約2~500モルとなるような量で用いられる。
前記重合は、通常、約20~150℃、好ましくは約50~100℃の温度で、また常圧~100kg/cm2、好ましくは約2~50kg/cm2の圧力下で行われる。
前記重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。また、本発明では、プロピレンの単独重合体を製造してもよく、またプロピレン以外のオレフィンからランダム共重合体またはブロック共重合体などを製造してもよい。
本発明の延伸フィルムは、上述した本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体を必須構成成分として、特に限定されるものではないが用途に応じて公知の成分を配合したプロピレン系樹脂組成物を用いて製造してもよい。
前記核剤としては、例えば、ソルビトール系核剤、フォスフェート系核剤(有機リン酸金属塩)、芳香族カルボン酸の金属塩、脂肪族カルボン酸の金属塩、ロジン系化合物等の有機系の核剤;無機化合物等の無機系の核剤などが挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の延伸フィルム用プロピレン系樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、樹脂、ゴム、充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、顔料、染料、可塑剤、塩酸吸収剤、天然油、合成油、ワックス、などの他の成分を配合することができる。前記他の成分の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、特に限定されるものではない。
本発明の延伸フィルムは、上述した本発明の延伸フィルム用プロピレン系重合体または本発明の延伸フィルム用プロピレン系樹脂組成物を用いて成形される。前記プロピレン系重合体は、従来にない極めて高く且つ均質な立体規則性を示すことから、本発明の延伸フィルムは、高剛性および高耐熱性を有する、または寸法安定性に優れている。
得られるフィルムの厚みは、用途によって異なるが好ましくは20~80μm、さらに好ましくは20~50μm、最も好ましくは20~30μmである。
1.測定条件
装置:ブルカー・バイオスピン製AVANCE III cryo-500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00マイクロ秒)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:o-ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20体積%)混合溶媒
試料濃度:50mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフト基準:21.59ppm(メソpentad methyl peak shifts)
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたメソペンタッド分率(mmmm, %)は、上記1の測定条件により得られた13C-NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
ここで、本発明における測定対象のような、これまでにないレベルの高い立体規則性を有するポリプロピレンの場合、rmmr、mmrm、rmrr、rmrm、mrrr領域を積分値に含めると、「ノイズ」の積分値への影響度が大きくなり、一般的な算出方法におけるS2を過大評価、即ちmmmm(%)を過少評価してしまうという問題があると考える。Prog. Polym. Sci. 26(2001), 443-533においても、95%以上の立体規則性を有するポリプロピレンの場合、一定要件を満たせば、rmmr、mmrm、rmrr、rmrm、mrrr領域の積分値は、理論上、合計0.1%以下となることが報告されており、一般的な算出方法におけるS2の過大評価に繋がることを示唆している。
mmmm(ノイズ除去法)(%)= S1/S2 * 100 ・・・(式1)
S1 = (mmmm, mmmrを含むピーク)-(n-プロピル末端)-(n-ブチル末端)- mrrm * 2
S2 = S1 + mmmr + mmrr + mrrm + rrrr
= S1 + 5 * mrrm + rrrr
mmmm, mmmrを含むピーク:21.2~22.0ppmのピーク面積
mmmr = mrrm * 2
mmrr = mrrm * 2
mrrm:19.5~19.7ppmのピーク面積
rrrr:20.0~20.2ppmのピーク面積
n-プロピル末端:(A1 + A3)/2
A1:14.2ppmのピーク面積
A3:39.4ppmのピーク面積
n-ブチル末端:36.7ppmのピーク面積
メソ平均連鎖長Ln(m)は下記式に基づいて算出した。
Ln(m)=3+5X/(1-X)
X=mmmm(ノイズ除去法)(%)/100
立体規則性の指標の1つと考えられるTREF高温溶出成分量は、下記条件における昇温分別測定によって得られる122℃以上で溶出したポリマー濃度から算出した。
装置:Polymer Char製CFC2型クロス分別クロマトグラフ
検出器:Polymer Char製IR4型赤外分光光度計(内蔵)
移動相:o-ジクロロベンゼン、BHT添加
流速:1.0mL/min
試料濃度:90mg/30mL
注入量:0.5mL
溶解条件:145℃、30min
安定化条件:135℃、30min
降温速度:1.0mL/min
溶出区分:-20℃~0℃ 10℃刻み、0℃~80℃ 5℃刻み、
80℃~104℃ 3℃刻み、104~126℃ 2℃刻み
溶出時間:3min
分子量分布の指標であるMw/Mn値は、下記条件で測定したクロマトグラムを公知の方法によって解析することによって得た。
装置:Waters製ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC2000型
カラム:東ソー製TSKgel GMH6-HT x2 + TSKgel GMH6-HTL x2
移動相:o-ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
流速:1.0ml/min
温度:140℃
カラム校正:東ソー製単分散ポリスチレン
試料濃度:0.15%(w/v)
注入量:0.4ミリリットル
ASTM D1238Eに準拠し、測定温度は230℃とした。
ガラス製の測定容器にプロピレン系重合体約6グラム(この重量を、下式においてb(グラム)と表した)、デカン500ml、およびデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン重合体を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間掛けて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G-4規格のグラスフィルターにて減圧濾過した。濾液の100mlを採取し、これを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得た。この重量を、下式においてa(グラム)と表した。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
デカン可溶成分含有率(重量%)=100×(500×a)/(100×b)
ISO 178に準拠して、以下の条件でヤング率(MPa)を測定した。
雰囲気温度:23℃
試験片:JISK-6781
引張速度:50mm/分
チャック間:80mm
熱風式オーブンに仕込み、120℃雰囲気下で15分間加熱した。熱収縮率は、加熱前の寸法に対して収縮した分の長さの割合とした。また、縦延伸方向をMD、横延伸方向をTDとした。
<固体状チタン(a-1)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製)を充分窒素置換した後、該装置に精製灯油700ml、塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよびソルビタンジステアレート(花王アトラス(株)製「エマゾール320」)3gを装入した。この系を撹拌下で昇温し、120℃および800rpmの条件で30分間撹拌した。高速撹拌下、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め-10℃に冷却された精製灯油1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移液した。得られた固体を濾過し、精製n-ヘキサンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
充分に窒素置換された200mlのガラス製反応器に、得られた固体状チタン(a-1)6.8g、パラキシレン113ml、デカン11ml、四塩化チタン2.5ml(23ミリモル)及びジイソブチルフタレ-ト0.34ml(1.2ミリモル)を入れた。反応器内の温度を130℃に昇温し、その温度で1時間攪拌して接触処理した後、熱ろ過により固体部を採取した。この固体部を101mlのパラキシレンに再懸濁させ、さらに四塩化チタン1.7ml(15ミリモル)及びジイソブチルフタレート0.22ml(0.8ミリモル)を添加した。
窒素置換された200mlのガラス製反応器に、ヘキサン50ml、トリエチルアルミニウム2.5ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシラン0.5ミリモル、および得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.25ミリモル装入した後、系内の温度を20℃に保ちながら、1.47リットル/時間の量でプロピレンを1時間供給した。この操作により、固体状チタン触媒成分(i-1)1g当り3gのプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p-1)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素3.0リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.7ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランを0.14ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-1)をチタン原子換算で0.0028ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン303gを得た。得られたポリプロピレンの評価結果を表1に示す。
得られたポリプロピレン(A-1)に、酸化防止剤としてのテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを500ppm、リン系酸化防止剤[トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト]を500ppm、ステアリン酸カルシウム1000ppmを混合した。その後、20mmφ単軸造粒機に投入して造粒温度230℃、およびスクリュー回転数80rpmで混練しペレットを得た。
・予熱温度:159℃
・予熱時間:60秒
・延伸速度:143%/s MD/TDは逐次延伸
・延伸倍率:MD/TD = 5倍/7倍
得られた延伸フィルムの評価結果を表2に示す。
ヘプタン7mlを入れた30mlガラス容器に、トリエチルアルミニウムを0.25ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシランを0.05ミリモル、および得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.002ミリモル装入し、20℃で10分間接触させてオレフィン重合用触媒を調製した。次いで、プロピレン500gを装入した内容積2リットルのオートクレーブ内に、前記オレフィン重合用触媒を装入して20℃で10分間重合を行った後、さらに水素2.5リットルを装入し、系内の温度を70℃に昇温して1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン258gを得た。得られたポリプロピレンの評価結果を表1に示す。
また、得られたポリプロピレンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムを作成した。得られた延伸フィルムの評価結果を表2に示す。
Claims (5)
- 下記要件(1)~(4)を満たすプロピレン系重合体を含む、一軸または二軸延伸フィルム:
(1)メソ平均連鎖長が1,665~10,000である;
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分である;
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.2~20である;
(4)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合をA重量%とし、前記要件(2)のメルトフローレートをBg/10分とした場合、下記式(I)を満たす。
100≧A≧20×EXP(-0.01×B)・・・(I) - 下記要件(1)~(6)を満たすプロピレン系重合体を含む、一軸または二軸延伸フィルム:
(1)メソ平均連鎖長が1,665~10,000である;
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分である;
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.2~20である;
(4)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合をA重量%とし、前記要件(2)のメルトフローレートをBg/10分とした場合、下記式(I)を満たす;
100≧A≧20×EXP(-0.01×B)・・・(I)
(5)23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%である;
(6)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が15~50重量%である。 - 請求項1または2に記載の一軸または二軸延伸フィルムを用いることを特徴とするガスバリアフィルム。
- 請求項1または2に記載の一軸または二軸延伸フィルムを用いることを特徴とするプロテクトフィルム。
- 請求項1または2に記載の一軸または二軸延伸フィルムを用いることを特徴とする二次電池を含む蓄電池用セパレータフィルム。
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