物品認識システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
物品認識システム1は、物品Wの外面の撮像画像に基づき、当該外面に付された識別情報10(図2参照)を認識するシステムである。本実施形態では、図1に例示するような物流設備100に、物品認識システム1を適用している。なお、図1には、物流設備100における受入箇所Pの近傍のみを示している。受入箇所Pは、物流設備100の外部から物品Wが搬入される場所である。受入箇所Pには、物品Wを搬送する搬送装置40が設けられている。本実施形態では、搬送装置40は、パレット等の支持体4を搬送するように構成されており、物品Wは、支持体4に載せられた状態で搬送装置40によって搬送される。搬送装置40によって受入箇所Pから搬出された物品Wは、例えば自動倉庫に入庫される。図1に示す例では、受入箇所Pにおいて、物品Wが載せられた状態の支持体4が、フォークリフト9によって搬送装置40に搬入される。
図1に示すように、搬送装置40による物品Wの搬送経路上に設定される撮像位置Qにおいて、識別情報10を認識するための、物品Wの外面の撮像が行われる。すなわち、物品認識システム1が備える撮像装置20は、撮像位置Qにおいて物品Wの外面を撮像する。撮像装置20による物品Wの外面の撮像は、物品Wが撮像装置20に対して停止している状態で行っても、物品Wが撮像装置20に対して移動している状態で行ってもよい。
本実施形態では、撮像装置20は固定状態で設けられている。そのため、搬送装置40の作動によって、搬送装置40の搬送経路に沿う方向に物品Wが移動している状態が、物品Wが撮像装置20に対して移動している状態となる。また、本実施形態では、物品Wを回転軸R(ここでは、鉛直方向Vに沿う軸)周りに回転(旋回を含む、以下同様)させる回転機構3が、撮像位置Qに設けられている。よって、回転機構3の作動によって、回転軸R周りに物品Wが回転している状態も、物品Wが撮像装置20に対して移動している状態となる。詳細は省略するが、回転機構3は、支持体4を下方から支持する回転台3aを回転軸R周りに回転させることで、支持体4に載せられた物品Wを回転軸R周りに回転させるように構成されている。
物品認識システム1は、撮像装置20による物品Wの外面の撮像画像に基づき、物品Wの外面に付された識別情報10を認識する。ここでは、物品認識システム1は、支持体4に載せられた複数の物品Wの群である物品群WGの外面の撮像画像に基づき、物品群WGを構成する物品Wのそれぞれの外面に付された識別情報10を認識する。すなわち、認識対象(識別情報10の認識対象)の物品Wを認識対象物5とすると、支持体4に載せられた物品群WGを構成する物品Wのそれぞれが、認識対象物5とされる。認識された物品Wの識別情報10は、例えば、物流設備100の外部から搬入された物品Wの種類及び個数を、搬送オーダの内容(例えば、配送伝票に記載された内容)と照合する作業(検品作業)に用いられる。また、認識された物品Wの識別情報10は、例えば、物流設備100の外部から搬入された物品Wの種類及び個数をデータベース化する作業に用いられる。
本実施形態では、図2に示すように、物品Wは、外形が直方体状に形成されている。物品Wは、例えば、段ボールケースとされる。物品Wは6つの外面を有する。具体的には、物品Wは、互いに反対側を向く2つの第1側面S1と、互いに反対側を向く2つの第2側面S2と、上面S3と、下面とを有する。2つの第1側面S1は互いに平行に配置され、2つの第2側面S2は互いに平行に配置されている。また、第1側面S1と第2側面S2とは、互いに直角に交差している。そして、物品Wの外面には、当該物品Wを識別するための識別情報10が付されている。
識別情報10は、例えば印刷や貼付等によって、物品Wの外面に付される。図2では識別情報10を簡略化して図形で表しているが、識別情報10は、例えば、文字、図形、写真、絵、記号、又はこれらの組み合わせ等によって表される。なお、文字には、図案化された文字(デザイン文字)や、装飾文字が含まれる。本実施形態では、識別情報10は、作業者等の人が情報の内容を認識可能な形態で表される。図2に示す例では、第1側面S1に、2つの識別情報10(具体的には、第1識別情報11及び第2識別情報12)が付され、第2側面S2に、1つの識別情報10(具体的には、第3識別情報13)が付されている。上面S3に識別情報10が付されていてもよい。図2では、第1識別情報11、第2識別情報12、及び第3識別情報13を互いに異なる図形で表すことで、これら3つの識別情報10が互いに異なる情報を表していることを示している。すなわち、図2に示す例では、物品Wの複数の外面に、互いに異なる識別情報10が付されている。なお、同じ識別情報10(同じ内容の情報を表す識別情報10)が、物品Wの複数の外面に付されていてもよい。
図1及び図2に示すように、支持体4は、物品Wを下方から支持する支持面が水平面に沿うように配置されている。ここで、互いに直交する2つの水平方向である第1水平方向H1及び第2水平方向H2を、支持体4を基準として定義する。第1水平方向H1及び第2水平方向H2は、支持体4の回転軸R周りの回転に応じて、第1水平方向H1と第2水平方向H2とが直交する関係を維持して回転するように定義される。本実施形態では、支持体4は、平面視(鉛直方向Vに沿う方向視)で、第1水平方向H1に沿う2辺と第2水平方向H2に沿う2辺とを有する矩形状(正方形状を含む)に形成されている。
図2に示すように、物品Wは、第1側面S1が第1水平方向H1及び第2水平方向H2の一方に沿い、且つ、第2側面S2が第1水平方向H1及び第2水平方向H2の他方に沿う向きで、支持体4に載せられる。そして、本実施形態では、1つの支持体4に、複数の物品Wが、第1水平方向H1及び第2水平方向H2に並べて配置される。また、本実施形態では、1つの支持体4に、複数の物品Wが段積みされる(言い換えれば、鉛直方向Vに重ねて配置される)。本実施形態では、1つの支持体4には、同じ外形を有する複数の物品Wが載せられる。図2に示す例では、1つの支持体4に載せられた複数の物品Wの中に、第1側面S1が第1水平方向H1に沿い、且つ、第2側面S2が第2水平方向H2に沿う向きで配置された物品Wと、第1側面S1が第2水平方向H2に沿い、且つ、第2側面S2が第1水平方向H1に沿う向きで配置された物品Wとが混在している。
物品認識システム1は、認識対象物5の外面を撮像する撮像装置20を備えている。ここでは、物品認識システム1は、2種類の撮像装置20である第1撮像装置21及び第2撮像装置22を備えている。そして、第1撮像装置21及び第2撮像装置22のそれぞれは、支持体4に載せられた物品群WGを撮像対象として、物品群WGの外面を撮像する。本実施形態では、第1撮像装置21及び第2撮像装置22は、物品群WGを互いに同じ側から撮像するように構成される。なお、第1撮像装置21の一部と第2撮像装置22の一部とが共通の部品により構成されてもよいが、その場合であっても、少なくとも撮像素子及び光学系は、第1撮像装置21と第2撮像装置22とに各別に設けられる。
本実施形態では、第1撮像装置21は、物品群WGを異なる2つ以上の方向から撮像するように構成されている。ここでは、第1撮像装置21は、物品群WGを異なる5つの方向から撮像するように構成されている。具体的には、第1撮像装置21は、物品群WGを、第1水平方向H1の両側、第2水平方向H2の両側、及び鉛直方向Vの上側から撮像するように構成されている。また、本実施形態では、第2撮像装置22は、物品群WGを異なる2つ以上の方向から撮像するように構成されている。ここでは、第2撮像装置22は、物品群WGを異なる5つの方向から撮像するように構成されている。具体的には、第2撮像装置22は、物品群WGを、第1水平方向H1の両側、第2水平方向H2の両側、及び鉛直方向Vの上側から撮像するように構成されている。
例えば、撮像装置20が、互いに異なる方向から物品群WGを撮像する複数のカメラを備える構成(以下、「第1構成」という)とすることで、物品群WGを異なる2つ以上の方向から撮像するように、撮像装置20を構成することができる。また、物品認識システム1が、物品群WGに対する撮像装置20の撮像方向を相対的に変更する撮像方向変更機構2を備える構成(以下、「第2構成」という)とすることでも、物品群WGを異なる2つ以上の方向から撮像するように、撮像装置20を構成することができる。撮像方向変更機構2は、物品群WG及び撮像装置20の少なくとも一方を、撮像装置20の撮像方向(光軸方向)に交差する(例えば、直交する)軸周りに回転(旋回を含む)させることで、物品群WGに対する撮像装置20の撮像方向を相対的に変更するように構成される。本実施形態では、これら第1構成及び第2構成の双方を採用することで、第1撮像装置21及び第2撮像装置22を、物品群WGを異なる5つの方向から撮像するように構成している。
具体的には、図1に示すように、本実施形態では、第1撮像装置21は、物品群WGを特定水平方向Hの一方側から撮像する第1カメラ21aと、物品群WGを特定水平方向Hの他方側から撮像する第1カメラ21aと、物品群WGを鉛直方向Vの上側から撮像する第1カメラ21aとの、3つの第1カメラ21aを備えている。すなわち、第1撮像装置21は、これら3つの第1カメラ21aを備えることで、互いに異なる3つの方向から物品群WGを同時に撮像することが可能に構成されている。また、本実施形態では、第2撮像装置22は、物品群WGを特定水平方向Hの一方側から撮像する第2カメラ22aと、物品群WGを特定水平方向Hの他方側から撮像する第2カメラ22aと、物品群WGを鉛直方向Vの上側から撮像する第2カメラ22aとの、3つの第2カメラ22aを備えている。すなわち、第2撮像装置22は、これら3つの第2カメラ22aを備えることで、互いに異なる3つの方向から物品群WGを同時に撮像することが可能に構成されている。ここで、特定水平方向Hは、特定の水平方向である。特定水平方向Hは、第1水平方向H1及び第2水平方向H2とは異なり、物流設備100が設けられた空間に固定された方向として定義される。図1に示すように、本実施形態では、特定水平方向Hは、搬送装置40による物品Wの搬送方向に直交する水平方向とされている。
上述したように、本実施形態では撮像位置Qに回転機構3が設けられており、物品認識システム1は、撮像位置Qにおいて物品群WGを回転軸R周りに回転させることで(具体的には、90度回転させることで)、第1水平方向H1が特定水平方向Hに沿うように物品群WGが配置される第1状態と、第2水平方向H2が特定水平方向Hに沿うように物品群WGが配置される第2状態と、を切り替えることが可能に構成されている。第1状態では、第1撮像装置21及び第2撮像装置22によって、物品群WGを、第1水平方向H1の両側、及び鉛直方向Vの上側から撮像することができる。また、第2状態では、第1撮像装置21及び第2撮像装置22によって、物品群WGを、第2水平方向H2の両側、及び鉛直方向Vの上側から撮像することができる。すなわち、第1撮像装置21及び第2撮像装置22は、第1状態での撮像と第2状態での撮像とを行うことで、物品群WGを異なる5つの方向から撮像するように構成されている。
このように、本実施形態では、物品認識システム1は、物品群WGに対する第1撮像装置21及び第2撮像装置22の撮像方向を相対的に変更する撮像方向変更機構2を備えている。本実施形態では、上述した回転機構3が撮像方向変更機構2を構成している。すなわち、撮像方向変更機構2は、物品群WGを回転軸R周りに回転させることで、物品群WGに対する第1撮像装置21及び第2撮像装置22の撮像方向を相対的に変更するように構成されている。具体的には、物品群WGを特定水平方向Hの両側から撮像する2つの第1カメラ21a及び2つの第2カメラ22aのそれぞれの撮像方向は、回転軸Rに直交する。そのため、物品群WGを回転軸R周りに回転させることで、これらの4つのカメラ(2つの第1カメラ21a及び2つの第2カメラ22a)の物品群WGに対する撮像方向が変更される。
図3に示すように、物品認識システム1は、制御装置30を備えている。制御装置30は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御装置30の各機能が実現される。物品認識システム1は記憶部39を備えており、制御装置30は、記憶部39からデータを抽出可能に構成されている。記憶部39には、識別情報10に係るマッチング用データ50が記憶されている。記憶部39は、例えばフラッシュメモリやハードディスク等の、情報を記憶及び書き換え可能な記憶媒体をハードウェア構成として備える。なお、図3では、記憶部39が制御装置30とは別の装置により構成される場合を例示しているが、制御装置30が備える記憶装置を用いて記憶部39を構成してもよい。また、記憶部39が、制御装置30と通信可能なサーバ又はクラウドサーバに設けられてもよい。
図3に示すように、本実施形態では、制御装置30は、撮像画像取得部34と、画像分割部31と、識別情報認識部32と、物品数認識部33と、を備えている。図示は省略するが、制御装置30は、搬送装置40の作動を制御する機能部と、回転機構3の作動を制御する機能部とを更に備えている。制御装置30が備えるこれら複数の機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。なお、制御装置30が備える複数の機能部は、少なくとも論理的に区別されるものであり、物理的には必ずしも区別される必要はない。また、制御装置30が備える複数の機能部は、共通のハードウェアで実現される必要はなく、互いに通信可能な複数のハードウェアに分かれて実現されてもよい。すなわち、制御装置30は、1つのハードウェアではなく、互いに通信可能な複数のハードウェアを用いて構成されてもよい。
以下、制御装置30の各機能部の構成について説明するが、本明細書で開示する制御装置30の技術的特徴は、物品Wの外面に付された識別情報10を認識する物品認識方法にも適用可能であり、そのような物品認識方法も、本明細書によって開示される。
撮像画像取得部34は、撮像装置20による物品W(言い換えれば、認識対象物5)の外面の撮像画像を取得する機能部である。すなわち、撮像画像取得部34は、物品Wの外面の画像を表す画像データを取得する。ここでは、撮像画像取得部34は、撮像装置20による物品群WGの撮像画像を取得する。具体的には、撮像画像取得部34は、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像を取得すると共に、第2撮像装置22による物品群WGの撮像画像を取得する。
画像分割部31は、撮像装置20による物品群WGの撮像画像(物品群画像G)を、当該物品群WGを構成する物品Wごとの画像である単位画像GUに分割する機能部である。画像分割部31は、撮像画像取得部34から物品群WGの撮像画像のデータ(物品群画像Gのデータ)を取得して、単位画像GUのデータを生成する。ここでは、画像分割部31は、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像に基づき、第2撮像装置22による物品群WGの撮像画像を単位画像GUに分割する。
このように第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像は、物品群画像Gの単位画像GUへの分割に用いられるため、第1撮像装置21による撮像画像の取得条件(第1撮像装置21の特性や撮像条件等)は、物品群画像Gの単位画像GUへの分割に適した取得条件とされる。一方、第2撮像装置22による撮像画像の取得条件(第2撮像装置22の特性や撮像条件等)は、識別情報10の認識に適した取得条件とされる。単位画像GUへの分割に適した取得条件と、識別情報10の認識に適した取得条件とは必ずしも一致しないが、第1撮像装置21による撮像画像の取得条件と第2撮像装置22による撮像画像の取得条件とを上記のように各別に設定することで、物品群WGを構成する物品Wのそれぞれの外面に付された識別情報10を適切に認識しやすくなる。
本実施形態では、画像分割部31は、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像にエッジ検出処理を施して得られるエッジ画像に基づいて、第2撮像装置22による物品群WGの撮像画像を単位画像GUに分割する。なお、エッジは、例えば、撮像画像上の輝度の変化に基づき検出される。エッジ画像上のエッジに基づき物品W同士の境界や物品Wと背景との境界を認識することができるため、図6に模式的に示すように、認識された物品W同士の境界や物品Wと背景との境界に基づいて、第2撮像装置22による物品群WGの撮像画像(物品群画像G)を単位画像GUに分割することができる。画像分割部31がこのように構成されるため、本実施形態では、第1撮像装置21による撮像画像の取得条件は、エッジの検出に適した取得条件とされる。例えば、第1撮像装置21としてモノクロの撮像装置を用いる取得条件を、第1撮像装置21による撮像画像の取得条件とすることができる。
識別情報認識部32は、物品Wの外面(言い換えれば、認識対象物5の外面)に付された識別情報10を認識する機能部である。ここでは、識別情報認識部32は、画像分割部31が生成した単位画像GUのデータを取得する。そして、識別情報認識部32は、単位画像GUに基づき、物品群WGを構成する物品Wの外面に付された識別情報10を認識する。このように識別情報10を認識することで、識別情報認識部32は、物品群WGを構成する物品Wのそれぞれの外面に付された識別情報10を、物品Wごとの画像である単位画像GUに基づき適切に認識することができる。
識別情報認識部32は、撮像装置20による物品W(言い換えれば、認識対象物5)の撮像画像と、記憶部39に記憶されているマッチング用データ50とのマッチング処理によって、物品W(言い換えれば、認識対象物5)の外面に付された識別情報10を認識する。ここでは、識別情報認識部32は、単位画像GUと、記憶部39に記憶されているマッチング用データ50とのマッチング処理によって、物品群WGを構成する物品Wの外面に付された識別情報10を認識する。具体的には、識別情報認識部32は、記憶部39に記憶されているマッチング用データ50をマッチング候補として、単位画像GUとの一致度が閾値以上となるマッチング用データ50を抽出する。そして、識別情報認識部32は、マッチング処理によって抽出したマッチング用データ50に基づき、物品Wの外面に付された識別情報10を認識する。なお、マッチング用データ50は、識別情報10に基づき生成されるデータであり、生成元の識別情報10が表す情報に関連付けられて記憶部39に記憶されている。よって、識別情報認識部32は、抽出したマッチング用データ50に関連付けられた、当該マッチング用データ50の生成元の識別情報10が表す情報を、物品Wの外面に付された識別情報10として認識する。このように、本実施形態では、識別情報認識部32は、物品Wの外面に付された識別情報10を文字として認識せず、抽出したマッチング用データ50に関連付けられた情報を、物品Wの外面に付された識別情報10として認識するように構成されている。
物品Wの外面に付される可能性のある複数の識別情報10の情報(例えば、画像)は予め収集されており、収集された識別情報10のそれぞれに基づきマッチング用データ50が生成されて記憶部39に記憶されている。例えば、流通している様々な物品Wの情報(例えば、画像)を収集することで、物品Wの外面に付される可能性のある複数の識別情報10の情報が収集される。マッチング用データ50は、例えば、識別情報10を表す画像データとされ、又は、識別情報10を表す画像データに対して特徴量抽出処理を行ったデータとされる。後者の場合、マッチング処理では、撮像装置20による撮像画像(ここでは、単位画像GU)に対しても同様の特徴量抽出処理が行われる。第2撮像装置22による撮像画像の取得条件は、マッチング用データ50とのマッチング処理に適した取得条件とされる。よって、マッチング用データ50が、識別情報10を表す画像データに対して特徴量抽出処理を行ったデータとされる場合、第2撮像装置22による撮像画像の取得条件は、識別情報10の特徴量の抽出に適した取得条件とされる。
本実施形態では、単位画像GUとマッチング用データ50とのマッチング処理では、単位画像GUの全体画像ではなく、単位画像GUから1つの識別情報10を含むように抽出された部分画像が用いられる。例えば、図6に示す例では、物品Wの第1側面S1を表す単位画像GUから抽出された部分画像である第1対象画像G1を用いて、当該第1対象画像G1に含まれる識別情報10を認識するためのマッチング処理が行われ、物品Wの第1側面S1を表す単位画像GUから抽出された別の部分画像である第2対象画像G2を用いて、当該第2対象画像G2に含まれる識別情報10を認識するためのマッチング処理が行われる。また、物品Wの第2側面S2を表す単位画像GUから抽出された部分画像である第3対象画像G3を用いて、当該第3対象画像G3に含まれる識別情報10を認識するためのマッチング処理が行われる。
上述したように、本実施形態では、第1撮像装置21は、物品群WGを異なる2つ以上の方向(具体的には、5つの方向)から撮像するように構成されている。そのため、物品群WGを構成する物品Wの配置状態を異なる2つ以上の視点から認識することができ、例えば図2に示す例のように物品群WGを構成する物品Wの向きが揃っていない場合(すなわち、物品群WGの撮像画像に物品Wの互いに異なる外面が含まれる場合)であっても、物品Wの立体形状を考慮することで、物品群WGの撮像画像の単位画像GUへの分割を適切に行いやすくなっている。また、本実施形態では、第2撮像装置22は、物品群WGを異なる2つ以上の方向(具体的には、5つの方向)から撮像するように構成されている。そのため、物品Wの複数の外面に付された識別情報10を認識することができ、物品Wの一部の外面にのみ付される識別情報10が存在する場合であっても、当該識別情報10を認識しやすくなっている。また、物品Wの互いに異なる外面に付された識別情報10を1つの物品群WG又は1つの物品Wに関連付けることで、物品Wを適切に管理することもできる。
物品数認識部33は、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像に基づき、当該物品群WGを構成する物品Wの数を認識する機能部である。上述したように、本実施形態では、第1撮像装置21は、物品群WGを異なる2つ以上の方向(具体的には、5つの方向)から撮像するように構成されている。そのため、物品群WGを構成する物品Wの配置状態を異なる2つ以上の視点から認識することで、物品群WGを構成する物品Wの数を高精度に認識しやすくなっている。
本実施形態では、物品数認識部33は、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像にエッジ検出処理を施して得られるエッジ画像(例えば、画像分割部31が生成したエッジ画像)に基づいて、物品群WGを構成する物品Wの数を認識する。具体的には、物品数認識部33は、エッジ画像上のエッジに基づき物品W同士の境界や物品Wと背景との境界を認識することで、物品Wの積み付けパターンを認識し、認識した積み付けパターンに基づき物品群WGを構成する物品Wの数を認識する。例えば、想定される複数の積み付けパターンが、各積み付けパターンを構成する物品Wの数に関連付けて記憶部39に記憶され、認識した物品Wの積み付けパターンと記憶部39に記憶された積み付けパターンとのマッチング処理を行うことで、物品群WGを構成する物品Wの数を認識する構成とすることができる。なお、物品数認識部33が、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像に加えて他の情報(例えば、物品群WGの高さの情報や、物品群WGの重量の情報)にも基づいて、物品群WGを構成する物品Wの数を認識する構成としてもよい。
次に、本実施形態の物品認識システム1により実行される物品認識処理の手順について、図4を参照して説明する。図4に示すように、撮像画像取得部34は、撮像装置20による物品W(ここでは、物品群WG)の外面の撮像画像を取得する撮像画像取得処理(撮像画像取得工程)を実行する(ステップ#01)。撮像画像取得処理では、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像と、第2撮像装置22による物品群WGの撮像画像とが取得される。また、本実施形態では、撮像画像取得処理では、異なる2つ以上の方向(ここでは、5つの方向)からの物品群WGの撮像画像が取得される。なお、本実施形態では、撮像位置Qにおいて物品群WGが停止している状態で、撮像装置20による物品群WGの撮像が行われる。
次に、画像分割部31は、撮像装置20による物品群WGの撮像画像(物品群画像G)を単位画像GUに分割する画像分割処理(画像分割工程)を実行する(ステップ#02)。画像分割処理では、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像に基づき、第2撮像装置22による物品群WGの撮像画像が単位画像GUに分割される。本実施形態では、物品群WGに対して互いに同じ側から撮像された第1撮像装置21及び第2撮像装置22のそれぞれによる撮像画像を用いて、異なる2つ以上の方向からの第2撮像装置22による物品群WGの撮像画像のそれぞれについて画像分割処理が行われる。例えば、第1撮像装置21による特定水平方向Hの一方側からの物品群WGの撮像画像を用いて、第2撮像装置22による特定水平方向Hの当該一方側からの物品群WGの撮像画像が単位画像GUに分割される。
次に、識別情報認識部32は、物品Wの外面(言い換えれば、認識対象物5の外面)に付された識別情報10を認識する識別情報認識処理(識別情報認識工程)を実行する(ステップ#03)。識別情報認識処理では、画像分割処理によって生成された単位画像GUのそれぞれについてマッチング処理を行うことで、物品群WGを構成する物品Wのそれぞれの外面に付された識別情報10を認識する。本実施形態では、異なる2つ以上の方向からの物品群WGの撮像画像のそれぞれについて識別情報認識処理が行われる。これにより、物品Wの複数の外面に付された識別情報10を認識することができる。識別情報認識処理についての詳細は後述する。
次に、物品数認識部33は、撮像装置20による物品群WGの撮像画像に基づき、当該物品群WGを構成する物品Wの数を認識する物品数認識処理(物品数認識工程)を実行する(ステップ#04)。物品数認識処理では、第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像に基づき、当該物品群WGを構成する物品Wの数が認識される。なお、ここでは、物品数認識処理(ステップ#04)を識別情報認識処理(ステップ#03)の後に行う場合を例として説明したが、物品数認識処理(ステップ#04)を、識別情報認識処理(ステップ#03)と同時に或いはそれより前に行ってもよい。
次に、本実施形態の物品認識システム1により実行される識別情報認識処理の手順について、図5~図9を参照して説明する。ここでは、一例として、識別情報10が、第1カテゴリT1、第2カテゴリT2、及び第3カテゴリT3の3つのカテゴリTに分類され、識別情報認識処理において、第1マッチング処理、第2マッチング処理、及び第3マッチング処理の3つのマッチング処理(図5参照)が行われる場合を例として説明する。
図7に概念的に示すように、記憶部39には、識別情報10を分類した複数のカテゴリT毎に、それぞれのカテゴリTに属する識別情報10のマッチング用データ50が記憶されている。ここで、複数のカテゴリTに含まれる2つのカテゴリTを第1カテゴリT1及び第2カテゴリT2とする。図7に示す例では、複数のカテゴリTには、更に、第3カテゴリT3が含まれている。以下では、第1カテゴリT1に分類される識別情報10を第1識別情報11とし、第2カテゴリT2に分類される識別情報10を第2識別情報12とし、第3カテゴリT3に分類される識別情報10を第3識別情報13とする(図6参照)。
図7に示すように、1つのカテゴリTに含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、当該カテゴリTの1つ下位のカテゴリTに含まれる複数のマッチング用データ50の1つ以上に関連付けられた状態で記憶部39に記憶されている。ここでは、第1カテゴリT1の1つ下位のカテゴリTが第2カテゴリT2であり、第2カテゴリT2の1つ下位のカテゴリTが第3カテゴリT3である。すなわち、第1カテゴリT1に含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、第2カテゴリT2に含まれる複数のマッチング用データ50の1つ以上に関連付けられた状態で記憶部39に記憶されている。また、第2カテゴリT2に含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、第3カテゴリT3に含まれる複数のマッチング用データ50の1つ以上に関連付けられた状態で記憶部39に記憶されている。図7では、マッチング用データ50同士が関連付けられていることを、線分(実線又は破線)で示している。
なお、物品Wの外面に付される識別情報10は、当該物品Wを識別するためものであるため、1つの物品Wの外面に付される複数のカテゴリTの識別情報は、一般に、互いに関連性を有する。よって、上記のようなマッチング用データ50同士の関連付けは、複数のカテゴリTの間での識別情報10の関連性に基づき行われる。
図5に示すように、識別情報認識部32は、認識対象物5の外面に付された第1識別情報11(第1カテゴリT1に属する識別情報10)を認識するためのマッチング処理である第1マッチング処理(第1マッチング工程)を実行する(ステップ#11)。次に、識別情報認識部32は、認識対象物5の外面に付された第2識別情報12(第2カテゴリT2に属する識別情報10)を認識するためのマッチング処理である第2マッチング処理(第2マッチング工程)を実行する(ステップ#12)。すなわち、識別情報認識部32は、第1マッチング処理を行った後、第2マッチング処理を行う。次に、識別情報認識部32は、認識対象物5の外面に付された第3識別情報13(第3カテゴリT3に属する識別情報10)を認識するためのマッチング処理である第3マッチング処理(第3マッチング工程)を実行する(ステップ#13)。すなわち、識別情報認識部32は、第2マッチング処理を行った後、第3マッチング処理を行う。これら3つのマッチング処理を行うことで、例えば図6に示す例での3つの識別情報10(第1識別情報11、第2識別情報12、及び第3識別情報13)を認識することができる。
図7は、第1マッチング処理の実行により、第1カテゴリT1に含まれる複数のマッチング用データ50の中から、認識対象物5の外面に付された第1識別情報11を含む撮像画像(図6に示す例では、第1対象画像G1)との一致度が閾値以上となるマッチング用データ50が抽出された状態を示している。以下では、マッチング処理によって抽出されたマッチング用データ50を、抽出マッチング用データ52という。なお、図7に示す例では、第1カテゴリT1に含まれるマッチング用データ50のそれぞれは、各マッチング用データ50の生成元の第1識別情報11が表す情報“AN”(N=1,2,・・・)に関連付けられている。そして、図7に示す例では、第1マッチング処理によって抽出された抽出マッチング用データ52は、情報“A2”に関連付けられているため、第1マッチング処理の実行により、情報“A2”が認識対象物5の外面に付された第1識別情報11として認識される。
そして、第2マッチング処理以降のマッチング処理では、1つ前のマッチング処理で認識された識別情報10に係るマッチング用データ50に関連付けられたマッチング用データ50をマッチング候補51として、認識対象物5の外面に付された識別情報10を認識する。よって、第2マッチング処理は、第1マッチング処理で認識された識別情報10に係るマッチング用データ50に関連付けられた、第2カテゴリT2のマッチング用データ50をマッチング候補51として、認識対象物5の外面に付された第2識別情報12を認識するためのマッチング処理とされる。また、第3マッチング処理は、第2マッチング処理で認識された識別情報10に係るマッチング用データ50に関連付けられた、第3カテゴリT3のマッチング用データ50をマッチング候補51として、認識対象物5の外面に付された第3識別情報13を認識するためのマッチング処理とされる。
図7に示す例では、第1マッチング処理で認識された識別情報10に係るマッチング用データ50(抽出マッチング用データ52)は、情報“A2”に関連付けられたマッチング用データ50である。そして、第2マッチング処理では、当該抽出マッチング用データ52に関連付けられた第2カテゴリT2のマッチング用データ50(図7に示す例では、4つのマッチング用データ50)をマッチング候補51としてマッチング処理が行われる。このように、第1マッチング処理での第1識別情報11の認識結果に基づき、認識対象物5の外面に付されている可能性が低い第2識別情報12に係るマッチング用データ50をマッチング候補51から除外してマッチング候補51を絞り込むことで、第2カテゴリT2に属する識別情報が誤認識される割合を低く抑えることが可能となっている。
図8は、第2マッチング処理の実行により、第2カテゴリT2に含まれる複数のマッチング用データ50の中から、認識対象物5の外面に付された第2識別情報12を含む撮像画像(図6に示す例では、第2対象画像G2)との一致度が閾値以上となるマッチング用データ50が抽出された状態を示している。なお、図8に示す例では、第2カテゴリT2に含まれるマッチング用データ50のそれぞれは、各マッチング用データ50の生成元の第2識別情報12が表す情報“BN”(N=1,2,・・・)に関連付けられている。そして、図8に示す例では、第2マッチング処理によって抽出された抽出マッチング用データ52は、情報“B7”に関連付けられているため、第2マッチング処理の実行により、情報“B7”が認識対象物5の外面に付された第2識別情報12として認識される。
図8に示す例では、第2マッチング処理で認識された識別情報10に係るマッチング用データ50(抽出マッチング用データ52)は、情報“B7”に関連付けられたマッチング用データ50である。そして、第3マッチング処理では、当該抽出マッチング用データ52に関連付けられた第3カテゴリT3のマッチング用データ50(図8に示す例では、3つのマッチング用データ50)をマッチング候補51としてマッチング処理が行われる。このように、第2マッチング処理での第2識別情報12の認識結果に基づき、認識対象物5の外面に付されている可能性が低い第3識別情報13に係るマッチング用データ50をマッチング候補51から除外してマッチング候補51を絞り込むことで、第3カテゴリT3に属する識別情報が誤認識される割合を低く抑えることが可能となっている。
図9は、第3マッチング処理の実行により、第3カテゴリT3に含まれる複数のマッチング用データ50の中から、認識対象物5の外面に付された第3識別情報13を含む撮像画像(図6に示す例では、第3対象画像G3)との一致度が閾値以上となるマッチング用データ50が抽出された状態を示している。なお、図9に示す例では、第3カテゴリT3に含まれるマッチング用データ50のそれぞれは、各マッチング用データ50の生成元の第3識別情報13が表す情報“CN”(N=1,2,・・・)に関連付けられている。そして、図9に示す例では、第3マッチング処理によって抽出された抽出マッチング用データ52は、情報“C4”に関連付けられているため、第3マッチング処理の実行により、情報“C4”が認識対象物5の外面に付された第3識別情報13として認識される。
一例として、第1カテゴリT1が、認識対象物5の出荷元を表す情報の分類であり、第2カテゴリT2が、認識対象物5の物品種別を表す情報の分類であり、第3カテゴリT3が、認識対象物5の性質を表す情報の分類である構成とすることができる。この場合、第1カテゴリT1に含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、複数の出荷元のいずれかに関連付けられて、記憶部39に記憶される。また、第2カテゴリT2に含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、複数の物品種別のいずれかに関連付けられると共に、当該物品種別の物品Wが出荷される可能性がある出荷元に関連付けられて、記憶部39に記憶される。そして、第3カテゴリT3に含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、複数の性質のいずれかに関連付けられると共に、当該性質を有する可能性がある物品種別に関連付けられて、記憶部39に記憶される。この場合、図7~図9に示す例では、情報“AN”(N=1,2,・・・)は、認識対象物5の出荷元を表す情報とされ、情報“BN”(N=1,2,・・・)は、認識対象物5の物品種別を表す情報とされ、情報“CN”(N=1,2,・・・)は、認識対象物5の性質を表す情報とされる。
このような構成とする場合、第1マッチング処理で認識した認識対象物5の出荷元に基づき、当該出荷元から出荷される可能性がある物品種別に関連付けられたマッチング用データ50にマッチング候補51を絞り込んで、第2マッチング処理を行うことができる。また、第2マッチング処理で認識した認識対象物5の物品種別に基づき、当該物品種別が有する可能性がある性質に関連付けられたマッチング用データ50にマッチング候補51を絞り込んで、第3マッチング処理を行うことができる。
例えば、認識対象物5を、農産物を収容する容器(例えば、段ボールケース)とすることができる。この場合、出荷元を表す情報を、認識対象物5に収容された農産物の産地及び当該農産物の取り扱い者の少なくとも一方を示す情報とし、物品種別を表す情報を、認識対象物5に収容された農産物の種別及び当該農産物の商品名(ブランド)の少なくとも一方を示す情報とし、性質を表す情報を、認識対象物5に収容された農産物の量及び品質の少なくとも一方を示す情報とすることができる。
なお、農産物の産地は、例えば、都道府県等の行政区画を表す標章(文字、図形、写真、絵、記号、又はこれらの組み合わせ等)や、地域を表す標章によって示される。また、農産物の取り扱い者は、例えば、組織を表す標章や、団体を表す標章によって示される。具体的には、農産物の取り扱い者は、例えば、農業者によって組織された協同組合(農業協同組合)を表す標章によって示される。また、農産物の種別は、例えば、品目を表す標章や、品種を表す標章によって示される。また、農産物の品質は、例えば、等級を表す標章や、階級(サイズ)を表す標章によって示される。
ここでは、識別情報10が、第1カテゴリT1、第2カテゴリT2、及び第3カテゴリT3の3つのカテゴリTに分類される場合を例として説明したが、識別情報10が、第1カテゴリT1及び第2カテゴリT2の2つのカテゴリTに分類される構成や、識別情報10が、第1カテゴリT1、第2カテゴリT2、第3カテゴリT3、及び他の1つ以上のカテゴリTを含む、4つ以上のカテゴリTに分類される構成とすることもできる。
また、ここで説明した1つのカテゴリTを複数の分割カテゴリに分割してもよい。例えば、第1カテゴリT1を、認識対象物5の出荷元を表す情報の分類とする場合に、第1カテゴリT1を、認識対象物5に収容された農産物の産地を表す情報の分類である分割カテゴリと、認識対象物5に収容された農産物の取り扱い者を表す情報の分類である分割カテゴリとに分割することができる。また、第2カテゴリT2を、認識対象物5の物品種別を表す情報の分類とする場合に、第2カテゴリT2を、認識対象物5に収容された農産物の品目を表す情報の分類である分割カテゴリと、認識対象物5に収容された農産物の品種又は商品名を表す情報の分類である分割カテゴリとに分割することができる。
このように1つのカテゴリTを複数の分割カテゴリに分割する場合、上述した複数のカテゴリTに対する処理と同様の処理を、1つのカテゴリTにおける複数の分割カテゴリに対して行う構成とすることができる。具体的には、認識対象物5に収容された農産物の産地を表す情報の分類である分割カテゴリを第1分割カテゴリとし、認識対象物5に収容された農産物の取り扱い者を表す情報の分類である分割カテゴリを第2分割カテゴリとして、第1分割カテゴリに含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれが、第2分割カテゴリに含まれる複数のマッチング用データ50の1つ以上に関連付けられた状態で記憶部39に記憶され、識別情報認識部32が、認識対象物5の外面に付された第1分割カテゴリに属する識別情報10を認識するためのマッチング処理を行った後、当該マッチング処理で認識された識別情報10に係るマッチング用データ50に関連付けられた、第2分割カテゴリのマッチング用データ50をマッチング候補51として、認識対象物5の外面に付された第2分割カテゴリに属する識別情報10を認識するためのマッチング処理を行う構成とすることができる。この場合、第1分割カテゴリに含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、複数の産地のいずれかに関連付けられて、記憶部39に記憶される。また、第2分割カテゴリに含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、複数の取り扱い者のいずれかに関連付けられると共に、当該取り扱い者が存在する産地に関連付けられて、記憶部39に記憶される。また、認識対象物5に収容された農産物の品目を表す情報の分類である分割カテゴリを第1分割カテゴリとし、認識対象物5に収容された農産物の品種又は商品名を表す情報の分類である分割カテゴリを第2分割カテゴリとする場合には、第1分割カテゴリに含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、複数の品目のいずれかに関連付けられて、記憶部39に記憶される。また、第2分割カテゴリに含まれる複数のマッチング用データ50のそれぞれは、複数の品種又は商品名のいずれかに関連付けられると共に、当該品種又は商品名が存在する品目に関連付けられて、記憶部39に記憶される。
〔その他の実施形態〕
次に、物品認識システムのその他の実施形態について説明する。
(1)上記の実施形態では、物品認識システム1(具体的には、制御装置30)が、物品数認識部33を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、物品群WGを構成する物品Wの数を物品認識システム1で認識しない場合には、制御装置30が物品数認識部33を備えなくてよい。
(2)上記の実施形態では、第1撮像装置21が3つの第1カメラ21aを備え、第2撮像装置22が3つの第2カメラ22aを備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1撮像装置21が備える第1カメラ21aの個数や、第2撮像装置22が備える第2カメラ22aの個数は、適宜変更することが可能である。
(3)上記の実施形態では、撮像方向変更機構2が、物品群WGを回転させることで、物品群WGに対する第1撮像装置21及び第2撮像装置22の撮像方向を相対的に変更する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、撮像方向変更機構2が、撮像装置20を回転させること、或いは撮像装置20及び物品群WGの双方を回転させることで、物品群WGに対する第1撮像装置21及び第2撮像装置22の撮像方向を相対的に変更する構成とすることもできる。なお、物品認識システム1が撮像方向変更機構2を備えない構成としてもよい。
(4)上記の実施形態では、第1撮像装置21及び第2撮像装置22が、物品群WGを、第1水平方向H1の両側、第2水平方向H2の両側、及び鉛直方向Vの上側から撮像するように構成される場合を例として説明した。しかし、第1撮像装置21及び第2撮像装置22による物品群WGの撮像方向は適宜変更することができる。例えば、物品数認識部33が第1撮像装置21による物品群WGの撮像画像に基づかずに物品群WGを構成する物品Wの数を認識する場合、物品認識システム1が物品数認識部33を備えない場合、或いは、物品群WGを構成する物品Wが鉛直方向Vにのみ並べて配置される場合等において、第1撮像装置21が、物品群WGを鉛直方向Vの上側から撮像しないように構成されてもよい。また、例えば、物品Wの上面S3に識別情報10が付されない場合や、物品Wの上面S3に付された識別情報10の認識を行わない場合等において、第2撮像装置22が、物品群WGを鉛直方向Vの上側から撮像しないように構成されてもよい。
(5)上記の実施形態では、物品認識システム1が、第1撮像装置21及び第2撮像装置22の2種類の撮像装置20を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、物品認識システム1が、撮像装置20を1種類のみ備える構成とすることもできる。この場合、当該1種類の撮像装置20を上記実施形態での第1撮像装置21及び第2撮像装置22として用いて、上記実施形態と同様の処理を行うことができる。このように物品認識システム1が撮像装置20を1種類のみ備える場合、例えば、画像分割部31が、撮像装置20による物品群WGの撮像画像に基づき(具体的には、当該撮像画像にエッジ検出処理を施して得られるエッジ画像に基づいて)、当該撮像装置20による物品群WGの撮像画像を単位画像GUに分割する構成とすることができる。この場合に、撮像装置20によって物品群WGの複数の撮像画像を取得し(例えば、撮像条件の異なる複数の撮像画像を取得し)、画像分割部31が、撮像装置20による物品群WGの撮像画像に基づき、当該撮像装置20による物品群WGの別の撮像画像を単位画像GUに分割する構成としてもよい。
(6)上記の実施形態では、撮像装置20が、支持体4に載せられた物品群WGの外面を撮像する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、撮像装置20が、1つの物品W(すなわち、1つの認識対象物5)の外面を撮像する構成としてもよい。この場合、撮像装置20による物品Wの撮像画像を単位画像GUとして用い、上記実施形態と同様に識別情報10を認識することができる。例えば、搬送装置40が、搬送方向に互いに離間させた状態で、複数の物品Wを搬送するように構成される場合に、撮像装置20が1つの物品Wの外面を撮像する構成とすることができる。この場合、制御装置30は画像分割部31を備えなくてよい。
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品認識システムの概要について説明する。
物品の外面の撮像画像に基づき、当該外面に付された識別情報を認識する物品認識システムであって、認識対象の物品である認識対象物の外面を撮像する撮像装置と、前記識別情報を分類した複数のカテゴリ毎に、それぞれのカテゴリに属する前記識別情報のマッチング用データを記憶した記憶部と、前記撮像装置による前記認識対象物の撮像画像と、前記記憶部に記憶されている前記マッチング用データとのマッチング処理によって、前記認識対象物の外面に付された前記識別情報を認識する識別情報認識部と、を備え、複数の前記カテゴリに含まれる2つのカテゴリを第1カテゴリ及び第2カテゴリとして、前記第1カテゴリに含まれる複数の前記マッチング用データのそれぞれは、前記第2カテゴリに含まれる複数の前記マッチング用データの1つ以上に関連付けられた状態で前記記憶部に記憶され、前記識別情報認識部は、前記認識対象物の外面に付された前記第1カテゴリに属する前記識別情報を認識するための前記マッチング処理である第1マッチング処理を行った後、前記第1マッチング処理で認識された前記識別情報に係る前記マッチング用データに関連付けられた、前記第2カテゴリの前記マッチング用データをマッチング候補として、前記認識対象物の外面に付された前記第2カテゴリに属する前記識別情報を認識するための前記マッチング処理である第2マッチング処理を行う。
物品の外面に付される識別情報は、当該物品を識別するためものであるため、1つの物品の外面に付される複数のカテゴリの識別情報は、一般に、互いに関連性を有する。上記の構成によれば、このような複数のカテゴリの間での識別情報の関連性を利用することで、物品の外面に付された複数のカテゴリの識別情報を当該外面の撮像画像に基づき認識する場合に、誤認識の発生率を低く抑えることが可能となっている。
具体的には、上記の構成では、第1カテゴリに含まれる複数のマッチング用データのそれぞれが、第2カテゴリに含まれる複数の前記マッチング用データの1つ以上に関連付けられた状態で記憶部に記憶されている。このような関連付けは、第1カテゴリと第2カテゴリとの間での識別情報の関連性に基づき行うことができる。そして、第2マッチング処理では、第2カテゴリに含まれる複数のマッチング用データの中の、第1マッチング処理で認識された識別情報に係るマッチング用データに関連付けられたものが、マッチング候補とされる。すなわち、第1マッチング処理での第1カテゴリに属する識別情報の認識結果に基づき、認識対象物の外面に付されている可能性が低い識別情報に係るマッチング用データをマッチング候補から除外して、第2マッチング処理を行うことができる。よって、第2マッチング処理において第2カテゴリに含まれる全てのマッチング用データがマッチング候補とされる場合に比べて、マッチング候補を絞り込むことで、第2カテゴリに属する識別情報が誤認識される割合を低く抑えることができる。
以上のように、上記の構成によれば、物品の外面に付された複数のカテゴリの識別情報を当該外面の撮像画像に基づき認識する場合に、誤認識の発生率を低く抑えることが可能となっている。なお、誤認識の発生率を低く抑えるための本開示の技術は、識別情報を文字として認識する場面に限らず適用することが可能である。
ここで、前記第1カテゴリは、前記認識対象物の出荷元を表す情報の分類であり、前記第2カテゴリは、前記認識対象物の物品種別を表す情報の分類であり、前記第1カテゴリに含まれる複数の前記マッチング用データのそれぞれが、複数の出荷元のいずれかに関連付けられて、前記記憶部に記憶され、前記第2カテゴリに含まれる複数の前記マッチング用データのそれぞれが、複数の物品種別のいずれかに関連付けられていると共に、当該物品種別の物品が出荷される可能性がある出荷元に関連付けられて、前記記憶部に記憶されていると好適である。
この構成によれば、第1マッチング処理で認識した認識対象物の出荷元に基づき、当該出荷元から出荷される可能性がある物品種別に関連付けられたマッチング用データにマッチング候補を絞り込んで、第2マッチング処理を行うことができる。よって、第1カテゴリが、認識対象物の出荷元を表す情報の分類であり、第2カテゴリが、認識対象物の物品種別を表す情報の分類である場合に、第2カテゴリに属する識別情報が誤認識される割合を低く抑えることができる。
上記のように、前記第1カテゴリが、前記認識対象物の出荷元を表す情報の分類であり、前記第2カテゴリが、前記認識対象物の物品種別を表す情報の分類である構成において、前記認識対象物は、農産物を収容する容器であり、前記出荷元を表す情報は、前記認識対象物に収容された農産物の産地及び当該農産物の取り扱い者の少なくとも一方を示す情報であり、前記物品種別を表す情報は、前記認識対象物に収容された農産物の種別及び当該農産物の商品名の少なくとも一方を示す情報であると好適である。
一般に、農産物の産地や農産物の取扱者に基づき、そこから出荷される可能性のある農産物の種別や商品名を一部の種別や商品名に絞り込むことができる。よって、このように認識対象物が農産物を収容する容器である場合には、複数の物品種別のいずれかに関連付けられた、第2カテゴリに含まれる複数のマッチング用データのそれぞれを、当該物品種別の物品が出荷される可能性がある出荷元に適切に関連付けることができる。よって、本開示の技術は、認識対象物が農産物を収容する容器である場合に特に適している。
また、前記識別情報認識部は、前記第2マッチング処理を行った後、前記第2マッチング処理で認識された前記識別情報に係る前記マッチング用データに関連付けられた、第3カテゴリの前記マッチング用データをマッチング候補として、前記認識対象物の外面に付された前記第3カテゴリに属する前記識別情報を認識するための前記マッチング処理である第3マッチング処理を行うように構成され、前記第3カテゴリは、前記認識対象物の性質を表す情報の分類であり、前記第3カテゴリに含まれる複数の前記マッチング用データのそれぞれが、複数の性質のいずれかに関連付けられていると共に、当該性質を有する可能性がある物品種別に関連付けられて、前記記憶部に記憶されていると好適である。
この構成によれば、第2マッチング処理での第2カテゴリに属する識別情報の認識結果に基づき、認識対象物の外面に付されている可能性が低い識別情報に係るマッチング用データをマッチング候補から除外して、第3マッチング処理を行うことができる。具体的には、第2マッチング処理で認識した認識対象物の物品種別に基づき、当該物品種別が有する可能性がある性質に関連付けられたマッチング用データにマッチング候補を絞り込んで、第3マッチング処理を行うことができる。よって、第3カテゴリに属する識別情報が誤認識される割合を低く抑えることができる。
上記のように、前記第3カテゴリが、前記認識対象物の性質を表す情報の分類である構成において、前記認識対象物は、農産物を収容する容器であり、前記性質を表す情報は、前記認識対象物に収容された農産物の量及び品質の少なくとも一方を示す情報であると好適である。
一般に、農産物の物品種別(種別や商品名等)に基づき、当該農産物が有する可能性のある量や品質を一部の量や品質に絞り込むことができる。よって、このように認識対象物が農産物を収容する容器である場合には、複数の性質のいずれかに関連付けられた、第3カテゴリに含まれる複数のマッチング用データのそれぞれを、当該性質を有する可能性がある物品種別に適切に関連付けることができる。よって、本開示の技術は、認識対象物が農産物を収容する容器である場合に特に適している。
本開示に係る物品認識システムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。