JP7204428B2 - 偏心計測方法、レンズ製造方法、および偏心計測装置 - Google Patents

偏心計測方法、レンズ製造方法、および偏心計測装置 Download PDF

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Description

本発明は、偏心計測方法、レンズ製造方法、および偏心計測装置に関する。
近年、カメラや半導体露光装置などの光学機器では、具備される光学系の小型化のために、非球面レンズが用いられている。また、光学機器により得られる像の高精細化のために、非球面レンズの製造には高精度化が求められる。そのため、非球面レンズの両面の相対的な偏心(面間偏心)を高精度に計測する技術が求められる。
特許文献1には、貫通穴を備えたホルダーで非球面レンズを保持して面間偏心を求める方法が開示されている。この方法では、まず、非球面レンズの第1面と貫通穴を走査し、両者の位置関係を求める。次に、非球面レンズをホルダーごと反転させ、非球面レンズの第2面と貫通穴を走査し、両者の位置関係を求める。その後、貫通穴の位置を基準として、第1面と第2面との位置関係、すなわち面間偏心を求める。
特許第4767255号
しかしながら、特許文献1の方法では、非球面レンズを反転させて非球面レンズの両面を走査する必要があり、面間偏心の計測に時間を要する。
本発明は、被検レンズの面間偏心を高速かつ高精度に計測する偏心計測方法、レンズ製造方法、および偏心計測装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての偏心計測方法は、被検レンズの第1面および第2面からの反射光を、同一面内に等間隔で配置された複数の光学素子で分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する形成ステップと、第1スポット群および第2スポット群に基づいて第2面に対する第1面の偏心量を算出する偏心算出ステップと、を有し、偏心算出ステップでは、第1スポット群の第1シフト量および第2スポット群の第2シフト量に基づいて偏心量が算出され、第1および第2のスポット群を撮像して得られたスポット像に対して、周期関数の和である関数でフィッティングを行うことで、第1シフト量および第2シフト量のうち少なくとも一方として周期関数の位相が算出されることを特徴とする。
本発明の他の側面としての偏心計測方法は、被検レンズの第1面および第2面からの反射光を複数の光学素子で分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する形成ステップと、第1スポット群および第2スポット群に基づいて第2面に対する第1面の偏心量を算出する偏心算出ステップと、を有し、偏心算出ステップでは、第1スポット群の第1シフト量および第2スポット群の第2シフト量に基づいて偏心量が算出され、第1および第2のスポット群を撮像して得られたスポット像のフーリエ変換像に基づいて第1シフト量および第2シフト量のうち少なくとも一方が算出されることを特徴とする。
本発明の他の側面としての偏心計測方法は、被検レンズの第1面および第2面からの反射光を複数の光学素子で分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する形成ステップと、第1スポット群および第2スポット群に基づいて第2面に対する第1面の偏心量を算出する偏心算出ステップと、を有し、被検レンズは、被検レンズの光軸回りに回転可能であり、偏心算出ステップでは、被検レンズが第1の回転位置に位置する場合に第1スポット群および第2スポット群に基づいて算出された第1偏心データと、被検レンズが第2の回転位置に位置する場合に第1スポット群および第2スポット群に基づいて算出された第2偏心データと、に基づいて偏心量が算出されることを特徴とする。
本発明によれば、被検レンズの面間偏心を高速かつ高精度に計測する偏心計測方法、レンズ製造方法、および偏心計測装置を提供することができる。
被検レンズの構成を説明する模式図である。 偏心計測装置の構成を説明する模式図である。 検出部の構成を説明する模式図である。 マイクロレンズアレイの構成を説明する模式図である。 撮像されるスポット像の模式図である。 実施例1の被検レンズの面間偏芯の計測手順を示すフローチャートである。 実施例1のスポットパラメータ群の算出処理を示すフローチャートである。 測定光軸の近傍の第1面反射光が検出部に入射してスポットを形成する様子を説明する模式図である。 実施例1の仮の裏面傾斜の算出処理を示すフローチャートである。 2つの波面から構成される光束について、光電場の位相をシミュレーションした結果を示す図である。 スポット群のシフト量算出誤差に関するシミュレーションの結果を示す図である。 実施例3の被検レンズの面間偏心の計測手順を示すフローチャートである。 実施例7の仮の裏面傾斜を算出する処理の詳細な手順を説明するフローチャートである。 実施例8の被検レンズの構成を説明する模式図である。 実施例10の偏心計測手順を示すフローチャートである。 実施例10の第1予備スポット像の取得手順を示すフローチャートである。 実施例10のステップS405の手順を示すフローチャートである。 実施例10の第1差分スポット像に含まれるノイズのシミュレーション結果を示す図である。 実施例12のステップS405の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
[被検レンズと面間偏心の説明]
図1は、計測対象である被検レンズ12の構成を説明する模式図である。被検レンズ12には、第1面12aと第2面12bが形成されている。第1面12aは、非球面軸12cに対して軸対称な形状を示す非球面(軸対称非球面)となっている。すなわち、被検レンズ12は、非球面レンズである。第2面12bは、本実施例では球面であるが、非球面であってもよい。また、被検レンズ12は、本実施例では両凸レンズであるが、両凹レンズやメニスカスレンズであってもよい。また、被検レンズ12は、研削・研磨加工によって形成されてもよいし、モールド加工によって形成されてもよい。
xyz直交座標系を図1に示されるように定義した場合、本実施例で計測する被検レンズ12の面間偏心は、第1面12aの非球面軸12cに対する第2面12bの光軸のx方向の光軸シフト量Δl,xとy方向の光軸シフト量Δl,yである。ここで、第2面12bの光軸とは、非球面軸12cに対して平行であり、第2面12bに対して垂直に交わる線である。また、非球面軸12cに対する第2面12bのθ方向の傾きΔθl,xとθ方向の傾きΔθl,yなど、光軸シフト量Δl,x,Δl,yと1対1で対応するものであれば、これらを面間偏心として計測してもよい。本実施例では、傾きΔθl,x,Δθl,yを裏面傾斜という。なお、図1では、第2面12bが-θ方向へ傾斜しているため、図中の裏面傾斜Δθl,yは負の値を取る。
[偏心計測装置の説明]
図2は、偏心計測装置100の構成を説明する模式図である。偏心計測装置100は、光源1、シングルモード光ファイバー1a、光ファイバーコネクタ1b、レンズ4,5、ステージ7、ステージコントローラー7a、ホルダー7b、ハーフミラー8、検出部9、処理部10、モニタ10e、および測長機15を備える。
光源1から射出された光は、シングルモード光ファイバー1aを介して光ファイバーコネクタ1bから射出され、測定光軸1cに沿って球面波として進行する。光源1として、本実施例では単色のレーザーを用いるが、発光ダイオードなどを用いてもよい。
ステージ7は、ステージコントローラー7aからの指令に基づいて被検レンズ12を移動させる。ステージ7では、被検レンズ12と同様に、図2に示されるxyz直交座標系が定義されている。z軸は測定光軸1cに平行であり、測定光軸1c上でx=y=0である。ステージ7は、この座標系に基づいて、x,y,z,θ,θ,θの6軸方向へ駆動可能に構成されている。ホルダー7bは、ステージ7に取り付けられ、被検レンズ12を保持する。
レンズ4は、ハーフミラー8を透過した光ファイバーコネクタ1aからの光を収束光に変換し、被検レンズ12の第1面12aを照明する。ハーフミラー8は、測定光軸1cに対して45°傾斜して配置されている。これにより、被検レンズ12の反射光の進行方向は、測定光軸1cに平行な方向から、測定光軸1cに対して直交する測定光軸1dに平行な方向に変換される。測定光軸1c,1dは、ハーフミラー8上で交わっている。レンズ5は、ハーフミラー8およびレンズ4とともに、第1面12aで反射された直後の光を結像倍率mで検出部9に結像する光学系を構成する。すなわち、レンズ5、ハーフミラー8、およびレンズ4は結像レンズ14として機能し、第1面12aと検出部9は結像レンズ14を介して共役な位置関係にある。
レンズ4,5のフォーカス距離や有効径は、第1面12aの有効径および曲率半径と、検出部9の検出面の大きさとによって決定される。レンズ4と被検レンズ12との距離は、レンズ4を透過した光が第1面12aの曲率中心近傍に収束するように設定する。これにより、レンズ4を透過した光は第1面12aに対して全面に亘ってほぼ垂直に入射し、その反射光はハーフミラー8に至るまで入射光とほぼ同じ光路を進行する。設計形状の異なる被検レンズ12に対して上記条件が常に満たされるように、結像レンズ14は可動機構や交換機構を備えてもよい。ただし、第1面12aの反射光の角度は、第1面12aの非球面量(球面からの偏差)や形状誤差に依存する。第1面12aの非球面量が大きい場合、第1面12aの反射光の角度は入射光の角度からずれる。
図3は、検出部9の構成を説明する模式図である。検出部9は、複数の光学素子である複数のマイクロレンズ(ML:microlens)2aを備えるマイクロレンズアレイ(MLA:microlens array)2、および撮像素子3から構成される。撮像素子3として、CCDカメラを用いてもよいし、CMOSカメラを用いてもよい。また、MLA2の代わりに、複数の微小な凹面ミラーが配列しているミラーアレイなどを導入してもよい。検出部9では、図3に示されるように、ξη直交座標系が定義されている。ξ軸およびη軸はいずれも測定光軸1dに対して直交し、測定光軸1d上ではξ=η=0となる。撮像素子3の受光面3aとMLA2はいずれもξη平面に対して平行に配置され、両者は面間隔lだけ離れている。検出部9は、光波面センサーとして汎用に使用されているシャックハルトマンセンサー(SHS:Shack-Hartmann Sensor)と同様の構成であり、市販のSHSを用いてもよい。
本実施例では、MLA2を、第1面12aの共役面に一致させている。ただし、受光面3aなど、検出部9内のその他の面を第1面12aの共役面に一致させてもよい。
図4は、MLA2の構成を説明する模式図である。MLA2は、同一面内に等間隔で配置されている円形のML2a、およびML2a以外の箇所に入射した光を遮光するための遮光マスク2bから構成される。ML2aの焦点距離はいずれもfであり、受光面3aとMLA2との間の面間隔lにほぼ等しい。遮光マスク2bの非遮光領域は円形であり、その中心はML2aの光軸とほぼ一致している。ただし、ML2aや遮光マスク2bの形状は円形に限らず、方形や六角形でもよい。本実施例では、図4に示されるように、ξ方向およびη方向に沿ってML2aが間隔pで正方格子状に配置されている。例えば、ML2aの1つであるML2cであれば、「k行j列目のML」と表現する。ただし、ML2aは、必ずしも正方格子状に配置されていなくてもよい。また、本実施例では、表記の便宜上、測定光軸1dに最も近いMLを「0行0列目のML」とする。
ML2aの光軸の位置(ξ0,j,k,η0,j,k)は、例えば、Applied Optics Vol.44,No.30,p6419に記載の方法で事前に取得しておく。検出部9は距離lが焦点距離fに等しくなるように組み立てられているが、その組立には有限の誤差が存在する。そこで、距離lについても、校正し、精密な値を事前に取得しておく。本実施例では、全てのML2aと受光面3aとの距離が面間隔lで均一であるとして扱うが、ML2aごとに受光面3aとの距離lj,kを求め、後述の裏面傾斜の算出式などに反映してもよい。
処理部10は、演算機能を持つCPU10aを備え、算出部として機能する。また、処理部10は、不図示のインターフェースを介して撮像素子3の出力信号を入力したり、ステージコントローラー7aに対して被検レンズ12の位置制御情報を出力したりすることが可能である。処理部10は、これらの機能を利用して、後述する被検レンズ12の面間偏芯の計測手順に従って計測処理を行う。計測処理を行うためには、計測処理を行うプログラム、検出部9の構成に関する情報、およびレンズ4,5、ハーフミラー8や被検レンズ12の形状と配置に関する情報などが必要となる。これらのデータは、例えば、処理部10に備えられたROM10bやRAM10cなどのメモリの所定領域に格納しておく。
さらに、処理部10は、例えば、IEEE802.3規格のネットワークインターフェースなどから構成される通信手段10dを有し、モニタ10eに接続されている。CPU10aは、例えば、被検レンズ12の面間偏心の計測結果、またはそれに基づく被検レンズ12の評価結果を、モニタ10eに表示したり、通信手段10dを介して偏心計測装置100が設置されたレンズ製造プラントの他の機器に送信したりすることができる。
[スポット像の説明]
被検レンズ12がホルダー7bに設置されると、レンズ4で収束された光の一部は第1面12aで反射される。反射された直後の光の波面には、第1面12aの非球面形状が反映される。第1面12aで反射された光(第1面反射光)は、レンズ4を通過し、ハーフミラー8で反射されてレンズ5でおおよそコリメートされ、検出部9に入射する。また、レンズ4で収束された光の一部は、第1面12aを通過し、第2面12bで反射される。第2面12bで反射された光(第2面反射光)は、一旦第1面12aの近傍で集光した後に発散光となり、レンズ4でおおよそコリメートされ、レンズ5に入射する。ただし、レンズ5に入射する第2面反射光は、その光束径がレンズ5の口径を大きく上回るため、そのほとんどがレンズ5を保持するホルダー5aによって遮られる。ホルダー5aに遮られなかった測定光軸1dの近傍の第2面反射光のみが、レンズ5によって収束され、検出部9の中央部に入射する。
図3では、第1面反射光L1と第2面反射光L2が検出部9に入射する様子が示されている。図3は模式図であり、MLやスポットの数は図示された数に限定されない。検出部9は結像レンズ14を介して第1面12aと共役な位置関係にあるため、検出部9に入射する第1面反射光L1の波面W1には第1面12aの非球面形状が反映される。その後、第1面反射光L1は、MLA2によって分割され、撮像素子3の受光面3aにスポット群SP1を形成する。具体的には、スポット群SP1は、各MLの中心を通過する波面W1の法線(光線R1)と受光面3aの交点に形成される。第2面反射光L2は、MLA2によって分割され、受光面3aにスポット群SP2を形成する。具体的には、スポット群SP2は、各MLの中心を通過する第2面反射光L2の波面W2の法線(光線R2)と受光面3aの交点に形成される。
図5は、撮像素子3によって撮像されるスポット像の模式図である。図5は模式図であり、スポットの数は図示された数に限定されない。スポット群SP1およびスポット群SP2はそれぞれ、白丸および黒丸で示されている。第1面12aは非球面であるため、その形状を反映する波面W1は非球面波となる。そのため、MLA2ではML2aが等間隔に配列しているにも関わらず、スポット群SP1は不等間隔に配列する。ただし、非球面軸12cの近傍では第1面12aは球面で近似されるので、波面W1も測定光軸1dの近傍では球面波となり、測定光軸1dの近傍(受光面3aの中央部)に限ってスポット群SP1は等間隔に配列する。検出部9に入射した第2面反射光L2は収束光であり、これによって形成されるスポット群SP2は、コリメート光によって形成されるスポット群SP1と比較して、狭い間隔で密集する。さらに、第2面12bは球面であるため、第2面反射光L2は球面波であり、スポット群SP2は等間隔に配列する。すなわち、測定光軸1dの近傍では、スポット群SP1,SP2のいずれもが略等間隔に配列される。
ここで、「k行j列目のML」を透過した第1面反射光L1が形成するスポットの位置を(ξu,j,k,ηu,j,k)、第2面反射光L2が形成するスポットの位置を(ξb,j,k,ηb,j,k)とする。「k行j列目のML」が測定光軸1dの近傍にある場合、これらのスポット位置は以下の式(1)~(4)で近似される。
Figure 0007204428000001
はスポット群SP1のスポット間隔、qはスポット群SP2のスポット間隔である。(ξu,0,0,ηu,0,0)は、「0行0列目のML」を透過した第1面反射光L1が形成するスポットの位置であるとともに、スポット群SP1のシフト量(第1シフト量)である。また、(ξb,0,0、ηb,0,0)は、「0行0列目のML」を透過した第2面反射光L2が形成するスポットの位置であるとともに、スポット群SP2のシフト量(第2シフト量)を表す。
[面間偏心の計測手順の説明:パラメータ算出]
図6は、本実施例の被検レンズ12の面間偏芯の計測手順を示すフローチャートである。被検レンズ12の面間偏心の計測は、レンズを製造する際、加工対象物(ワーク)を加工してレンズを製作する加工ステップの後に実行される。
ステップS101では、処理部10は、撮像素子3で撮像される可能性のあるスポットについて、関連するパラメータ群(スポットパラメータ群)を装置設計値から算出する。
図7は、ステップS101のスポットパラメータ群の算出処理を示すフローチャートである。ステップS101aでは、処理部10は、パラメータ群X(=(ξu,0,0,ηu,0,0,ξb,0,0,ηb,0,0,q,q))を算出する。パラメータ群Xを構成するパラメータはいずれも、式(1)~(4)において、スポット位置を表現するために用いられているものである。パラメータ群Xの各パラメータは、以下の式(5)~(10)で算出される。
Figure 0007204428000002
ここで、ρ,ρはそれぞれ、検出部9に入射する波面W1,W2の曲率を表す。p、l、ξ0,0,0、η0,0,0については、事前に取得した値を代入すればよい。ρとρについては、被検レンズ12に入射する光波面の曲率の設計値、結像レンズ14の結像倍率の設計値、および被検レンズ12の設計形状や屈折率から解析的に算出してもよいし、これらのパラメータに基づいて光線追跡を行って算出してもよい。
図8は、測定光軸1dの近傍の第1面反射光L1が検出部9に入射してスポットを形成する様子を説明する模式図である。図示されていないが、第2面反射光L2が検出部9に入射してスポットを形成する様子も、これと同じである。式(5)~(10)は、図8より幾何学的に導出される。ただし、図8では、第2面反射光L2の光軸が測定光軸1dと一致している。これは、図8と式(7)~(10)において、偏心計測装置100を構成する全ての光学面が測定光軸1c,1dに対して軸対称であることが前提とされていることを意味する。具体的には、非球面軸12cが測定光軸1cに一致し、被検レンズ12に裏面傾斜がなく、レンズ4,5がそれぞれ測定光軸1c,1dに対して軸対称な形状を示すことが前提とされている。
ステップS101bでは、処理部10は、パラメータ群W(=(w,w,I,I))を算出する。wとwはそれぞれ、スポット群SP1とSP2を構成するスポットの半径を表す。IとIはそれぞれ、スポット群SP1とSP2のピーク強度を表す。いずれのパラメータもスポット形状に関連している。スポット半径w,wについては、ML2aの設計値と、MLA2と受光面3aとの間の面間隔lから、フレネル回折やフラウンホーファ回折などの光伝搬公式を用いて計算する。光伝搬公式を用いる代わりに角スペクトル法やFDTD法などで光伝搬の計算を行ってもよいし、計算の際に第1面反射光L1の波面W1や第2面反射光の波面W2の形状を考慮してもよい。ピーク強度I,Iについては、検出部9に入射する第1面反射光L1と第2面反射光L2の照射密度、スポット半径w,wおよび撮像素子3の受光感度から算出する。第1面反射光L1と第2面反射光L2の照射密度については、光源1の出力や結像レンズ14の結像倍率などに基づいて解析的に算出してもよいし、光線追跡によってシミュレーションしてもよい。
ステップS101cでは、処理部10は、パラメータ群R(=(r,r,rap,r))を算出する。rとrはそれぞれ、図5に示されるように、受光面3aに入射する第1面反射光L1の光束半径と第2面反射光L2の光束半径を表す。rapとrはそれぞれ、後述のプレフィッティング工程とフィッティング工程でスポット像に対して解析する領域の半径(解析半径)を表す。いずれのパラメータもスポット像の解析領域に関連している。光束半径r,rは、被検レンズ12の外径や結像レンズ14の結像倍率などに基づいて解析的に算出してもよいし、光線追跡によってシミュレーションしてもよい。解析半径rapは、スポット間隔qに対して2~3倍程度に設定することが好ましい。これにより、プレフィッティング工程について、必要最低限の精度を確保しつつ、高速化を実現することができる。解析半径rは、第2面12bの光束半径rに対してスポット間隔q程度小さい値とすることが好ましい。これにより、レンズ5の縁のケラれて光量が低下しているスポットを除きつつ、多くのスポット群SP2をフィッティングすることが可能となり、高精度なフィッティングを実現することができる。
以上で、ステップS101の処理が終了する。ステップS101で算出されたパラメータ群X,W,Rは、ROM10b(またはRAM10c)に格納される。
なお、ステップS101の処理は、面間偏心の計測を開始する前に事前に行っておいてもよい。また、パラメータ群は、本実施例では装置設計値に基づいて算出されたが、偏心計測装置100上で実測されてもよい。
[面間偏心の計測手順:仮の裏面傾斜の取得]
ステップS102では、被検レンズ12がホルダー7bに設置される。その際、非球面軸12cを測定光軸1cにおおよそ一致させる。そのために、あらかじめホルダー7bに目印を備えてこれに合わせて被検レンズ12を設置してもよいし、ホルダー7bに不図示の位置決めピンなどを備えて被検レンズ12を突き当ててもよい。また、ステージ7のθ方向における位置は、0°に設定しておく。被検レンズ12をホルダー7bに設置した結果、受光面3aには、図5に示されるように、スポット群SP1,SP2が形成される。ステップS102の処理は、形成ステップに相当する。
ステップS103aでは、被検レンズ12をx方向、y方向、θ方向、およびθ方向においてアライメントする。
ステップS103bでは、被検レンズ12をz方向においてアライメントする。
ステップS104では、処理部10は、撮像素子3にスポット群SP1,SP2に基づくスポット像を撮像させ、撮像素子3からスポット像として受光面3における光強度分布I(ξ,η)を取得する。ステップS104の処理は、撮像ステップに相当する。
以下のステップS105以降の処理は、偏心算出ステップに相当する。
ステップS105では、処理部10は、ステップS104で取得されたスポット像から仮の裏面傾斜(Δθl,x,Δθl,y)を算出する。
図9は、ステップS105の仮の裏面傾斜の算出処理を示すフローチャートである。ステップS105は、スポット像をプレフィッティングするステップS105a、スポット像をフィッティングするステップS105b、および仮の裏面傾斜を算出するステップS105cから構成される。
ステップS105を構成する3つのステップのうち、まず、スポット像をフィッティングする2つ目のステップS105bについて説明する。このフィッティングでは、取得したスポット像と以下の式(11)で算出されるスポット像との差が最小となるスポット位置を表すパラメータ群Xが算出される。
Figure 0007204428000003
算出の際には、Excelソフトのソルバー機能や、Matlabソフトのfminsearch関数などの、非線形最適化プログラムを使用すればよい。フィッティング対象とするスポット像は、ステップS101cで算出された半径rの解析領域AR1内に限定する。
ここで、フィッティングにおいてスポット像のモデリングに用いた式(11)について説明する。式(11)では、各スポットの強度分布をガウス関数で、スポット像をその重ね合わせとして表現している。スポットの強度分布を適切に表現するものであればガウス関数に限定されることはなく、ベッセル関数やsinc関数などを用いてもよい。スポットは、スポット群SP1,SP2の両方において、等間隔に配列され、式(1)~(4)に従うことを前提としている。この前提は、解析領域AR1が受光面3の中央部に限られていることに基づく。その結果、スポット群SP1を表現する右辺第1項は、周期q、位相(2πξu,0,0/q,2πηu,0,0/q)の2次元周期関数となっている。スポット群SP2を表現する第2項は、周期q、位相(2πξb,0,0/q,2πηb,0,0/q)の2次元周期関数となっている。すなわち、右辺全体は周期関数の和となっている。スポット群のシフト量は周期関数の位相と比例関係にあり、1対1で対応している。
以下、被検レンズ12の裏面傾斜と式(11)との関係について説明する。上述したように、裏面傾斜は、第1面12aの傾斜と第2面12bの傾斜との差として定義されている。第1面12aが傾斜すると、第1面反射光L1の波面W1が傾斜し、スポット群SP1がシフトする。第2面12bが傾斜すると、第2面反射光L2の波面W2が傾斜し、スポット群SP2がシフトする。その結果、裏面傾斜は、スポット群SP1のシフト量(ξu,0,0,ηu,0,0)とスポット群SP2のシフト量(ξb,0,0,ηb,0,0)とのずれ、すなわち、式(11)における右辺第1項と右辺第2項との位相のずれに反映されることとなる。なお、パラメータ群Xは、これらのシフト量(位相)を表すパラメータを包含しており、これは裏面傾斜に関する情報を含んでいることと等価である。本実施例ではこの点に注目し、ステップS105bにおいてパラメータ群Xを算出する理由は、この点にある。
ステップS105bにおいて式(11)を用いてスポット像を正しくフィッティングするためには、高精度なパラメータ群Wを入力する必要がある。ステップS101bではパラメータ群Wを算出しているが、これは装置設計値から算出したものであり、偏心計測装置100の製造誤差が反映されていない。そのため、ステップS101bで算出されたパラメータ群Wは、ステップS105bで使用するには精度が不足している。
また、広域においてスポット像を非線形最適化プログラムでフィッティングする場合、パラメータ群Xを構成するスポット間隔q,qの初期値には高い精度が求められる。スポット間隔q,qの初期値が実際のスポット間隔からずれていると、外周部のスポットの位置が大きくずれた状態からフィッティングが開始されることとなり、その収束性が低下する。ステップS101aではスポット間隔q,qを算出しているが、これは装置設計値から算出したものであり、偏心計測装置100の製造誤差が反映されていない。そのため、ステップS101aで算出されたスポット間隔q,qは、ステップS105bで使用するには精度が不足している。
そこで、本実施例では、ステップS105bの処理の前に、スポット像をプレフィッティングするステップS105aの処理が実行される。ステップS105aでは、解析領域AR1よりも小さい解析領域AR2のスポット像に対して式(11)でプレフィッティングを施し、パラメータ群X,Wが算出される。プレフィッティングにおけるパラメータ群X,Wの初期値として、ステップS101で算出された値を用いる。プレフィッティングの解析領域AR2は十分に小さいため、装置設計値に基づくパラメータ群X、Wを初期値としても、高い収束性を得ることができる。ステップS105bのフィッティングでは、パラメータ群WをステップS105aで算出した値に固定するとともに、ステップS105aで算出されたパラメータ群Xを初期値とする。このようなプレフィッティング工程を事前に導入することにより、ステップS105bでは高精度なフィッティングを実現することができる。
ステップS105aのプレフィッティングでは、式(11)を用いており、スポットシフト量(ξu,0,0,ηu,0,0),(ξb,0,0,ηb,0,0)のフィッティング初期値には式(7)~(10)の結果を用いている。上述したように、式(7)~(10)は、波面W1の光軸が測定光軸1dと一致していることを前提としている。すなわち、プレフィッティングの対象とするスポット像は、波面W1の光軸が測定光軸1dと一致している状態で取得されている必要がある。そのためには、非球面軸12cが測定光軸1cと一致している必要がある。これらの軸が一致していないと、第1面12aや第2面12bで反射される光の波面が大きく傾斜し、波面W1,W2も大きく傾斜する。その結果、スポット群SP1,SP2のシフト量が大きくずれることとなり、式(11)で算出されるシフト量を初期値としてフィッティングを行っても、安定した収束性は期待できない。ステップS102では突き当て機構などを利用して非球面軸12cを測定光軸1cとおおよそ一致させるものの、これだけではプレフィッティングに必要な設置精度は得られない。
そこで、本実施例では、ステップS104でスポット像を撮像する前に、ステップS103aにおいて、被検レンズ12をx方向、y方向、θ方向、およびθ方向においてアライメントする。具体的にはまず、ステップS104と同様に、スポット像を撮像する。上述したように、処理部10には第1面反射光L1と第2面反射光L2が入射しており、光束径は第1面反射光L1の方が大きい。そのため、受光面3aには、第1面反射光L1によるスポット群SP1のみが形成された、ドーナツ状の領域が存在する。この領域であれば、スポット群SP2が存在しないので、従来の簡易な方法に従ってスポット群SP1の位置を検出することができる。そこで、本実施例では、特開2016-38300に記載された方法などに従い、処理部10によってドーナツ状の領域に存在するスポット群SP1の位置を検出し、そこから第1面反射光L1の波面W1の傾斜成分とコマ収差成分とを算出する。さらに、特開2015-75396に記載された方法などに従い、波面W1の傾斜成分とコマ収差成分から、測定光軸1cに対する非球面軸12cのx方向、y方向、θ方向、およびθ方向の位置ずれを算出する。すなわち、スポット群SP1から非球面軸12cを算出する。その後、処理部10は、ステージコントローラー7aに指令を出し、算出された位置ずれ量を相殺するようにステージ7を駆動させる。本実施例では、波面W1の傾斜成分を参照してアライメントする。波面W1の傾斜成分はスポット群SP1のシフト量から求めているため、ステップS103aではスポット群SP1のシフト量に基づいてアライメントを行っていることとなる。
ステップS103aを実施することにより、被検レンズ12はアライメントされ、非球面軸12cは測定光軸1cに一致する。これにより、撮像されるスポット群SP1のシフト量が式(7)~(8)で算出される値にほぼ一致するのに加え、スポット群SP2のシフト量が式(9)~(10)で算出される値に近づく。その結果、ステップS105aにおけるプレフィッティングの収束性が向上する。
スポットS105cでは、処理部10は、仮の裏面傾斜を算出する。ここで、非球面軸12cが測定光軸1cに一致し、レンズ4,5がそれぞれ測定光軸1c,1dに対して精密に軸対称で、裏面傾斜が有限の値を持つ場合を考える。このとき、第1面12aは測定光軸1cに対して傾斜していないので、処理部10に入射する波面W2の傾斜(φξ,b,φη,b)は、裏面傾斜(Δθl,x、Δθl,y)、結像レンズ14の結像倍率m、被検レンズ12の屈折率nだけを用いて、以下の式(12),(13)で表される。
Figure 0007204428000004
一方、スポット群SP2のシフト量(ξb,0,0、ηb,0,0)は、波面W2の傾斜(φξ,b、φη,b)と以下の式(14),(15)の関係にある。
Figure 0007204428000005
以下の式(12)~(15)より、被検レンズ12の裏面傾斜が以下の式(16),(17)で算出される。
Figure 0007204428000006
ステップS105cでは、ステップS105bで算出されたシフト量(ξb,0,0,ηb,0,0)とスポット間隔qを用いて式(16),(17)から裏面傾斜を算出し、これを仮の裏面傾斜(Δθ’l,x(θ=0),Δθ’l,y(θ=0))とする。
本実施例では、スポット群SP1のシフト量を式(7)~(10)で指定される位置にアライメントで合わせ込んだ上で、スポット群SP2のシフト量を検出し、その結果を式(16),(17)に代入して裏面傾斜を算出する。これは、スポット群SP1,SP2の両方のシフト量に基づいて裏面傾斜を算出すること、すなわち、スポット群SP1が形成する周期関数の位相とスポット群SP2が形成する周期関数の位相とのずれに基づいて裏面傾斜を算出することに相当する。
なお、面間偏心の計測を実施する前に、ξ0,0,0=η0,0,0=0となるように検出部9の配置を調整しておいてもよい。この際、簡略化された式(16),(17)(Δθl、x=mηb,0,0/(2nl)やΔθl、y=-mξb,0,0/(2nl))から、スポット間隔q,qを用いることなく裏面傾斜を算出することができる。また、極端に高精度な面間偏心の計測値が必要でない場合、ステップS105bを実施することなく、ステップS105aのプレフィッティングによって取得したパラメータ群Xから仮の裏面傾斜を算出してもよい。
結像レンズ14の結像倍率は、第1面12aが検出部9の共役面に設置されている場合、設計値であるmである。しかしながら、第1面12aが共役面からずれると、結像倍率はmからずれ、式(16),(17)で算出される裏面傾斜に誤差が生じる。そこで、結像レンズ14の結像倍率をmに一致させるために、スポット像を撮像するステップS104の処理前に、被検レンズ12をz方向においてアライメントし、第1面12aを共役面に一致させるステップS103bを設けている。ステップS103bでは、測長機15で被検レンズ12のz位置ずれをモニタしながら、その位置ずれを相殺するようにステージ7をz方向において移動させる。その際、測長機15によるz位置測定結果を処理部10に取り込み、その結果に基づいて、処理部10からステージコントローラー7aにステージ駆動量を送信する。測長機15には不図示の可動機構が備えられており、普段は光路から離れた場所に設置されているが、ステップS103bではレンズ4と被検レンズ12との間に挿入される。測長機15として、三角測量による測長機、レーザー測長機、または白色干渉計を用いればよい。
[面間偏心の計測手順:系統誤差の補正]
式(12),(13)では、レンズ4,5がそれぞれ測定光軸1c,1dに対して精密に軸対称であることを前提としており、ここから導出される式(16),(17)も同じ前提に基づいている。しかしながら、実際には、レンズ4,5には製造誤差や設置誤差があるため、厳密に軸対称となることはない。そのため、式(16),(17)で算出される裏面傾斜には、レンズ4,5の非軸対称性に由来する系統誤差が発生する。そこで、本実施例では、計測した仮の裏面傾斜からレンズ4,5の非軸対称性に由来する系統誤差を抽出し、補正する。本実施例では、前述したように、被検レンズ12は、被検レンズ12の光軸回りに回転可能であるため、第1の回転位置に位置する場合と第2の回転位置に位置する場合の偏心データを算出することで系統誤差を補正する。
ステップS106では、処理部10は、ステージ7のθ方向の位置が180°であるかどうかを判定する。ステージ7のθz方向の位置が180°である場合、ステップS108に進み、ステージ7のθz方向の位置が180°でない場合、ステップS107に進む。
ステップS107では、処理部10は、ステージ7をθ方向へ180°回転させる。その後、ステップS103a,S103b,S104,S105の処理を再び行い、仮の裏面傾斜(Δθ’l,x(θ=π)、Δθ’l,y(θ=π))を算出する。
ステップS108では、処理部10は、以下の式(18),(19)を用いて、仮の裏面傾斜に含まれる系統誤差(Δθs,x,Δθs,y)を算出する。
Figure 0007204428000007
式(18),(19)は、仮の裏面傾斜が以下の式(20)~(23)で表されることに由来する。
Figure 0007204428000008
ステップ109では、処理部10は、仮の裏面傾斜(Δθ’l,x(0),Δθ’l,y(0))から系統誤差(Δθs,x,Δθs,y)を除去することで、裏面傾斜を算出する。すなわち、仮の裏面傾斜(偏心データ)に含まれる系統誤差を補正する。なお、系統誤差の算出とそれに必要な仮の裏面傾斜(Δθ’(π)l,x,Δθ’(π)l,y)の取得は偏心計測装置100の組立後の初回計測のみで行い、2回目以降のステップS109では初回に取得した系統誤差で仮の裏面傾斜を補正してもよい。また、ステップS108を実施することなく、式(20)~式(23)からΔθs,x、Δθs,yを消去して導出される式で直接裏面傾斜を算出してもよい。
ステップS110では、処理部10は、ステップS109で取得された裏面傾斜に第2面12bの曲率半径の設計値Rを乗じ、第2面12bの光軸シフト量Δl,x,Δl,yに換算する。その上で、処理部10は、光軸シフト量Δl,x,Δl,yを偏心データとして出力する。偏心データを出力する場合、モニタ10eに表示してもよいし、通信手段10dを介して他の機器に送信してもよい。また、ステップS109で取得された裏面傾斜を、そのまま偏心データとして出力してもよい。出力した偏心データに基づいて、被検レンズ12の出荷の可否を判断してもよいし、偏心を抑制するように被検レンズ12に対してさらに加工を施してもよい。
[先行技術との比較]
上述したように、処理部10の構成は、一般的なSHSの構成と類似している。SHSは波面センサーとして知られており、なだらかな単一波面(等位相面)から構成される光束を計測対象とする。一方、本実施例において、処理部10の計測対象は、2つの波面から構成される光束である。図10は、2つの波面から構成される光束について、光電場の位相をシミュレーションした結果を示す図である。等位相面には単なる2πごとの折り返し以外にも急峻な段差が発生しており、この光束がなだらかな単一波面で構成されているとは言えない。すなわち、本実施例において、処理部10の計測対象は、一般的なSHSの計測対象とは異なる。
一方、単一波面で構成されていない光束を計測対象とする光計測機としては、オートコリメーターによる偏心計測が知られている。この方法では、被検レンズの第1面反射光と第2面反射光を共通のレンズで集光し、それぞれが撮像素子上に形成する1つずつ(都合2つ)のスポットの位置を検出する。その後、これらのスポット位置から、第1面と第2面の傾斜の差(偏心)を取得する。しかしながら、この方法では、非球面レンズの非球面軸を検出することはできず、これを基準とした裏面傾斜も計測することもできない。
SHSは、巨大な撮像素子と複数のマイクロレンズから構成されており、「オートコリメーターを複数並べたもの」として捉えることができる。さらに、SHSでは、単一のオートコリメーターでは検出できない非球面軸を検出することができる。本実施例ではこの点に注目し、従来から(単一)波面センサーとして知られているSHSに対し、2つのスポット群を解析する機能を加え、単一波面を形成しない光束の計測に転用した。これにより、従来のオートコリメーターでは計測できない、非球面軸を基準とした裏面傾斜を計測することができる。
[効果]
一般的に撮像素子の受光面は、10um程度に区切られた画素から構成されている。一方、上述したように、処理部10は一般的なSHSで代用することができ、一般的なSHSのスポット径は40um程度である。すなわち、画素サイズはスポットサイズの1/4程度であり、十分小さいとは言えない。このような状況において、2つのスポット群のシフト量をステップS105bのフィッティングによって高精度に算出できることは、決して自明ではない。
そこで、撮像素子の画素サイズとスポット群のシフト量の算出誤差の関係について、シミュレーションを行った。図11は、スポット群のシフト量の算出誤差に関するシミュレーションの結果を示す図である。図11(a)は、2つのスポット群から構成されるスポット像をシミュレーションした結果を示している。図11(b)は、撮像素子の画素サイズとシフト量の算出誤差との関係をシミュレーションした結果を示している。
シミュレーションでは、まず、1次元のスポット群SP1とスポット群SP2を合成し、所定の画素サイズで離散化することでスポット像を算出する。図11(a)には、一例として、画素サイズ/スポットサイズ=0.27として算出したスポット像が示されている。次に、スポット像を2つの周期関数の和でフィッティングし、シフト量の算出誤差を見積もる。このシミュレーションを画素サイズごとに行うことで、画素サイズとシフト量の算出誤差の関係が図11(b)に示されるように算出される。画素サイズとシフト量の算出誤差のいずれについても、スポットサイズで規格化した上で表示している。この結果によると、画素サイズがスポットサイズの半分以下であれば、スポット群のシフト量の算出誤差はスポットサイズの0.04倍(=1.6um)以下に抑制されることが示唆されている。算出誤差1.6umは、裏面傾斜の誤差に換算すると0.4分であり、一般的なレンズに求められる偏心精度としては十分である。
本実施例によれば、フィッティングによって各スポット群の精密なシフト量を取得することができるので、そこから高精度な面間偏心を取得することができる。また、測定プローブや被検レンズを走査する必要がないので、面間偏心を高速に取得することができる。
本実施例では、図2の偏心計測装置100を使用し、図6のフローチャートに従って面間偏心の計測を行う点で、実施例1と同じであるが、ステップS105を構成するステップS105cにて仮の裏面傾斜を算出する方法が実施例1と異なる。
実施例1では、式(16),(17)を用いて、仮の裏面傾斜が算出される。式(16),(17)では、ステップS103aにて被検レンズ12をアライメントしていることに鑑み、非球面軸12cが測定光軸1cと完全に一致していることを前提としている。しかしながら、アライメントの基準となる波面計測結果には有限の誤差が存在し、アライメント後の被検レンズ12にも有限の設置誤差が存在する。そこで、本実施例では、被検レンズ12に存在する設置誤差も考慮した上で、仮の裏面傾斜を算出する。
非球面軸12cが測定光軸1cに対してθ方向へθx,u、θ方向へθy,uだけ傾斜している場合、検出部9に入射する第1面反射光L1の波面W1の傾斜(φξ,u,φη,u)は、以下の式(24),(25)で表される。
Figure 0007204428000009
また、第2面12bがθ方向へθx,b、θ方向にθy,bだけ傾斜している場合、検出部9に入射する第2面反射光L2の波面W2の傾斜(φξ,b,φη,b)は、以下の式(26),(27)で表される。
Figure 0007204428000010
したがって、第1面12aと第2面12bとの傾斜の差である裏面傾斜(Δθl,x,Δθ)は、以下の式(28),(29)により算出される。
Figure 0007204428000011
ステップS105cでは、式(28),(29)を用いて仮の裏面傾斜を算出する。
本実施例では、ステップS103aで発生するアライメント誤差まで考慮して面間偏心を取得するので、実施例1と比較して、より高精度な計測を実現可能である。
本実施例では、図2の偏心計測装置100を使用する点で、実施例1と同じであるが、被検レンズ12の面間偏心の計測手順が実施例1と異なる。図12は、本実施例の被検レンズ12の面間偏心の計測手順を示すフローチャートである。
ステップS301~S305の処理はそれぞれ、図6のステップS101~S105の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例では、実施例1と比較して、仮の裏面傾斜の算出回数が2回からN回(N≧3)に変更される。
ステップS306では、処理部10は、ステージ7のθ方向の位置が2π(N-1)/Nであるかどうかを判定する。ステージ7のθz方向の位置が2π(N-1)/Nである場合、ステップS308に進み、ステージ7のθz方向の位置が2π(N-1)/Nでない場合、ステップS307に進む。
ステップS307では、処理部10は、ステージ7をθ方向へ2π/Nだけ回転させる。これにより、Nセットの仮の裏面傾斜(Δθ’l,x(θ=2πi/N)、Δθ’l,y(θ=2πi/N))(i=0、1、・・・、(N-1))が取得される。本実施例では、ステージ7をθ方向へ2π/Nだけ毎回回転させるが、回転角が把握されていれば、必ずしも毎回同じ角度である必要はない。
ステップS308では、処理部10は裏面傾斜の系統誤差を算出するが、算出方法が実施例1とは異なる。本実施例では、取得された仮の裏面傾斜の値を、以下の式(30),(31)でフィッティングする。
Figure 0007204428000012
式(30),(31)により、系統誤差(Δθs,x,Δθs,y)が算出される。
本実施例では、実施例1と比較して、多くの仮の裏面傾斜データに基づいて系統誤差を算出する。そのため、より高精度に系統誤差を算出し、仮の裏面傾斜をより高精度に補正することが可能となる。
第2面が平面である非球面レンズについて、本実施例に基づいて裏面傾斜を計測する実験を行ったところ、誤差0.1分以下で計測できることを確認した。この実験からも、本実施例の有効性が示唆されている。
本実施例では、図2の偏心計測装置100を使用し、図6のフローチャートに従って面間偏心の計測を行う点で、実施例1と同じであるが、ステップS105を構成するステップS105bにてスポット像をフィッティングする方法が異なる。
実施例1のステップS105bでは、ξ,η方向へ正方行列状にML2aが配列していることを前提とする。しかしながら、実際には、MLA2の製造誤差や、MLA2の光軸周りの回転方向の設置誤差が存在するため、ML2aが厳密に正方行列状に配置されることはない。そこで、本実施例におけるステップS105bでは、これらの誤差まで考慮された、例えば、以下の式(32)を用いてスポット像をフィッティングする。
Figure 0007204428000013
上述したように、各ML2aの位置(ξ0,j,k,η0,j,k)は校正済みであり、フィッティングではこの校正値を式(32)に代入する。
本実施例では、MLA2の製造誤差や配置誤差まで考慮してスポット像をフィッティングする。そのため、実施例1と比較してフィッティング精度が向上し、より精密な裏面傾斜の値を取得することができる。
なお、本実施例の計測方法は、MLが設計上、正方行列状に配列されていることを前提とし、その製造誤差や配置誤差に対応することを目的としたが、MLがそもそもランダムに配列する様に設計されている場合にも適用することができる。
本実施例では、図2の偏心計測装置100を使用し、図6のフローチャートに従って面間偏心の計測を行う点で、実施例1と同じであるが、ステップS105で仮の裏面傾斜を算出する方法が異なる。
具体的には、ステップS105を構成するステップS105aでスポット像をプレフィッティングしたり、ステップS105bでスポット像をフィッティングしたりする際に、式(11)の代わりに、以下の式(33)を用いる。
Figure 0007204428000014
これにより、検出部9に入射する第1面反射光L1の波面W1の傾斜(φξ,u,φη,u)と、第2面反射光L2の波面W2の傾斜(φξ,b,φη,b)を取得する。ステップS105cでは、取得された波面傾きを以下の式(34),(35)に代入し、仮の裏面傾斜を算出する。
Figure 0007204428000015
本実施例で仮の裏面傾斜(偏心データ)を算出する際に用いた式(34),(35)に、スポット群SP1,SP2のシフト量は陽に含まれていない。しかしながら、波面W1の傾き(φξ,u,φη,u)と波面W2の傾き(φξ,b,φη,b)は含まれており、これらはスポット群SP1,SP2のシフト量と1対1で対応する。すなわち、本実施例でも、スポット群SP1,SP2のシフト量に基づいて面間偏心を算出していることに相当する。
実施例1では、第1面反射光L1と第2面反射光L2が処理部10に入射する際、測定光軸1dの近傍に限って、波面W1,W2は球面波で近似できるとしている。この前提の下、スポット群SP1,SP2がいずれも等間隔に配列される式(1)~(4)のモデルを立て、中央部のスポット像をフィッティングする。しかしながら、第1面12aの非球面量が大きい場合や、フィッティング領域を拡大して精度を向上させる必要がある場合、波面W1,W2を非球面波として扱う必要があり、実施例1のモデルが成立しない。本実施例では、このような場合であっても被検レンズ12の面間偏心を高精度に計測する方法について説明する。
第1面12aの非球面量が増加すると、波面W1,W2にはそれぞれ、例えば、以下の式(36),(37)で表される軸対称な形状ΔW(ξ,η),ΔW(ξ,η)が付加される。
Figure 0007204428000016
u,iとcb,iは、Zernike係数、Z(ξ,η)はZernike関数を表している。Zernike関数Z(ξ,η)は、以下の式(38),(39)で定義される。
(ξ、η)=(1-6ρ+6ρ) (38)
16(ξ、η)=-1+12ρ-30ρ+20ρ (39)
ただし、ρ=ξ+ηである。本実施例では、波面をZernike関数で展開する際の最高項数を16としているが、それ以上に高次の軸対称成分を付加してもよい。このときのスポット像は、式(11)に代わり、以下の式(40)で表される。
Figure 0007204428000017
本実施例では、ステップS105bにおいて、Zernike係数とパラメータ群Xを変動パラメータとして、スポット像を式(40)から算出される計算値でフィッティングする。その他の手順は、実施例1に従う。
本実施例によれば、波面W1,W2を非球面波としてスポット像をモデリングするので、第1面12aの非球面量が大きい場合などでも、スポット像を高精度にフィッティングすることができる。その結果、実施例1と比較して、高精度な面間偏心を取得することができる。
本実施例では、図2の偏心計測装置100を使用し、図6に記載の手順に従って面間偏心の計測を行う点で、実施例1と同じであるが、ステップS105で仮の裏面傾斜を算出する手順が異なる。
スポット像を、周期関数の和として捉えた場合、以下の式(41)で表すことも可能である。
Figure 0007204428000018
ここで、k,kは周期関数の波数であり、スポット間隔q,qに対応する。(ψu,ξ,ψb,ξ),(ψu,η,ψb,η)は周期関数の位相を表し、スポット群のシフト量(ξu,0、0,ηu,0,0),(ξb,0,0,ηb,0,0)に対応する。このスポット像に対して2次元複素フーリエ変換を施すと、以下の式(42)のフーリエ変換像が得られる。
Figure 0007204428000019
複素フーリエ変換像の絶対値マップには、周期的にピークが形成される。そのうち、m=n=1のピークについて、その位置には波数(スポット間隔)の情報が、その位置での偏角には位相(スポット群のシフト量)の情報が含まれる。すなわち、裏面傾斜の算出に必要となる、パラメータ群Xに関する情報が含まれている。
そこで、本実施例では、ステップS105において、2次元複素フーリエ変換を利用して仮の裏面傾斜を算出する。図13は、本実施例7の仮の裏面傾斜を算出する処理(図1のステップS105)の詳細な手順を説明するフローチャートである。
ステップS701では、処理部10は、スポット像に対して2次元複素フーリエ変換を施す。
ステップS702では、処理部10は、フーリエ変換像からパラメータ群Xを算出する。m=n=1のピークを選択する際には、ステップS101aで装置設計値から算出されたスポット間隔q,qを参照すればよい。
ステップS703では、処理部10は、仮の裏面傾斜を算出する。
本実施例ではフィッティング作業が不要であるため、実施例1と比較して高速かつ安定的に裏面傾斜を算出することができる。
本発明は、非球面レンズに限らず、球面レンズにも適用することができる。本実施例では、被検レンズを球面レンズとし、その面間偏心を計測する場合について説明する。
図14は、本実施例の被検レンズ13の構成を説明する模式図である。被検レンズ13には、第1面13aと第2面13bが形成されている。第1面13aおよび第2面13bはいずれも球面である。第1面13aと第2面13bの周囲には、コバ13dが形成されている。コバ13dには、基準面13cが形成されている。本実施例で計測する被検レンズ13の面間偏心は、第1面13aの光軸に対する第2面13bの光軸のシフト量(Δl,x,Δl,y)として定義される。ここで、第1面13aの光軸とは基準面13cに対して垂直で、なおかつ第2面13bに対して垂直に交わる直線である。第2面の光軸とは第2面13bと基準面13cの両方に対して垂直な線である。また、本実施例における裏面傾斜(Δθl,x,Δθl,y)は、第1面13aの光軸に対する第2面13bの傾斜として定義される。実施例1と同様に、裏面傾斜を面間偏心として計測してもよい。
本実施例では、図2の偏心計測装置100を使用し、図6のフローチャートに従って面間偏心の計測を行う点で実施例1と同じであるが、被検レンズ13を搭載するステップS102と、被検レンズ13をアライメントするステップS103aが異なる。
ステップS102では、基準面13cがxy平面に対して平行となるように被検レンズ13を設置する。本実施例では、ホルダー7bが基準面13cを受けるための不図示の基準面を有し、この基準面がxy平面に対して平行となるようにステージ7の傾きが調整される。
ステップS103aでは、被検レンズ13をアライメントする場合、第1面反射光L1の波面W1の傾斜成分が抑制されるように、ステージ7をx方向およびy方向において調整する。実施例1のように、非球面軸12cを測定光軸1cに一致させたり、波面W1をモニタしながらθ方向およびθ方向において調整したりすることはない。
本実施例によれば、非球面軸を測定光軸に一致させるステップを備えないため、球面レンズの面間偏心を計測することができる。
本実施例では、実施例1に記載の方法に従って面間偏心を計測した後、第1面12aの形状を算出する。この処理は、形状算出ステップに相当する。
第1面12aの形状を算出する場合、ステージ7をθ=0としてステップS104およびステップS105bでそれぞれ取得されたスポット像I(ξ,η)およびパラメータ群Xを以下の式(43)に代入する。これにより、第2面反射光L2によるスポット群SP2が除かれた、スポット群SP1のみが抽出されたスポット像I’(ξ,η)を算出する。
Figure 0007204428000020
その後、特開2013-186024に記載の方法などに従い、スポット像I’(ξ,η)より第1面12aの形状を算出する。
本実施例は、図2に記載の偏心計測装置100を使用し、仮の裏面傾斜を算出して偏心計測を行う点で、実施例1と同じであるが、仮の裏面傾斜を算出する手順が異なる。実施例1ではスポット像を所定の関数でフィッティングすることで、各スポット群のシフト量を求めた。本実施例では、別途撮像して取得した予備スポット像を利用して、スポット像を構成するスポット1つ1つの位置を検出し、各スポット群のシフト量を算出する。
図15は、本実施例の偏心計測手順を示すフローチャートである。図15に沿って偏心計測手順を説明する。
ステップS400では、処理部10は、第1予備スポット像を取得する。第1予備スポット像の詳細と、その取得手順については後述する。
ステップS401~S404の処理が実施され、スポット像が取得される。ステップS401~S404の処理はそれぞれ、図6におけるステップS101~S104の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ステップS405では、スポット像と第1予備スポット像より、仮の裏面傾斜を算出する。詳細については後述する。
ステップS406~S410の処理が実行され、偏心データが算出される。ステップS406~S410の処理はそれぞれ、図12におけるステップS306~S310の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
[第1予備スポット像を取得するステップS400の説明]
第1予備スポット像の取得には、被検レンズ12と同じ設計形状に基づいて製作された、不図示の予備レンズ16を用いる。予備レンズ16には、被検レンズの第1面12a、第2面12bとそれぞれ同じ設計形状に基づいて、第3面と第4面が形成されている。予備レンズ16の第4面には、反射防止処理が施されている。反射防止処理としては、反射防止膜の形成や、サンドブラストなどで粗面にすることが挙げられる。また、被検レンズと近い屈折率を示すジェル状の物質を塗布してもよい。
図16は、本実施例の第1予備スポット像の取得手順を示すフローチャートである。ステップS400aでは、予備レンズ16をホルダー7bに設置する。このとき、第3面をレンズ4に対面させ、第4面をホルダー7bと接触させる。また、ステージ7のθ方向の位置は0°に設定しておく。ステップS400b、S400cでは、実施例1におけるステップS103a、S103bと同様の方法により、予備レンズ16をXYZθθ方向にアライメントする。ステップS400dでは、予備レンズ16の第3面で反射された光によって形成されたスポット群SP3を撮像素子3で撮像し、これを第1予備スポット像とする。予備レンズ16の第3面の設計形状は、被検レンズの第1面12aと同じであるから、予備レンズ16の第3面反射光が形成するスポット群SP3は、被検レンズ12の第1面反射光が形成するスポット群SP1とよく一致する。
[仮の裏面傾斜を算出するステップS405の説明]
図17は、本実施例において仮の裏面傾斜の算出するステップS405の手順を詳細に示したフローチャートである。
ステップS405fでは、ステップS404で取得したスポット像を構成する光強度分布(以下、単にスポット像と示す)I(ξ,η)から、第1予備スポット像を構成する光強度分布(以下、単に第1予備スポット像と示す)ISP3(ξ,η)を減算する。減算結果を、第1差分スポット像ΔI(ξ、η)(=I-ISP3)とする。
スポット像I(ξ,η)は、第1面反射光が形成するスポット群SP1を構成する光強度分布ISP1(ξ,η)と、第2面反射光が形成するスポット群SP2を構成する光強度分布ISP2(ξ,η)の和(I=ISP1+ISP2)となる。一方、第1予備スポット像ISP3は、予備レンズ16の第3面反射光が形成するスポット群SP3によって構成されるものであり、光強度分布ISP1と類似する。このため、スポット像I(ξ,η)と1予備スポット像ISP3との差である第1差分スポット像ΔI(=I-ISP3)では、スポット群SP2に由来する光強度分布ISP2はそのまま残り、スポット群SP1に由来する光強度分布ISP1が低減される。
ここで、第1差分スポット像ΔIに含まれる、スポット群SP1に由来する光強度分布をより低減するための処理を入れてもよい。例えば、第1差分スポット像ΔIのうち、所定の閾値よりも小さい信号や負の信号をゼロに変換してもよい。
ステップS405gでは、第1差分スポット像ΔIを解析し、スポット群SP2を構成する各スポットの位置(ξb、j、k,ηb、j、k)を検出する。第1差分スポット像ΔIでは、スポット群SP1に由来する光信号強度が低減されているから、実施例1におけるステップS103aと同様の方法に従い、スポット群SP2を構成する各スポットの位置を検出できる。
ステップS405hでは、ステップS405gで検出したスポット位置(ξb、j、k,ηb、j、k)に基づいて、第2予備スポット像を構成する光強度分布I(ξ,η)(以下、単に第2予備スポット像と示す)を算出する。具体的には、例えば、スポット位置(ξb、j、k,ηb、j、k)を式(44)に代入して、第2予備スポット像Iを算出する。これにより、スポット群SP1に由来する光強度分布を含まない、スポット群SP2に由来する光強度分布のみから構成される第2予備スポット像Iを取得することができる。
Figure 0007204428000021
ステップS405iでは、スポット像I(ξ、η)(=ISP1+ISP2)から第2予備スポット像I(≒ISP2)を減算し、第2差分スポット像ΔI(ξ,η)(=I-I≒ISP1)を算出する。第2差分スポット像ΔIでは、スポット群SP2に由来する光強度分布ISP2が低減され、スポット群SP1に由来する光強度分布ISP1がそのまま残る。ここでも、ステップS405fと同様にスポット群SP2に由来する光強度信号をより低減するための処理を入れてもよい。
ステップS405jでは、第2差分スポット像ΔIを解析し、スポット群SP1を構成する各スポットの位置(ξu、j、k,ηu、j、k)を検出する。上述の通り、第2差分スポット像ΔIでは、スポット群SP2に由来する光強度信号が低減されているから、実施例1のステップS103aと同様の方法に従ってこれを解析することにより、スポット群SP1を構成する各スポットの位置を検出できる。
以上の処理により、被検レンズ12の第1面反射光が形成するスポット群SP1を構成する各スポットの位置(ξu、j、k,ηu、j、k)と、第2面反射光が形成するスポット群SP2とを構成する各スポットの位置(ξb、j、k,ηb、j、k)を取得する。ステップS405kでは、取得したスポットの位置を用いて、スポット群SP1,SP2のシフト量をそれぞれ計算する。具体的には、例えば、各スポットの位置(ξu、j、k,ηu、j、k,ξb、j、k,ηb、j、k)と、MLA2の校正値(ξ0、j、k,η0、j、k)と、波面W1,W2の曲率の設計値ρ,ρを式(45)~式(48)に代入し、シフト量(ξu、0、0,ηu、0、0),(ξb、0、0,ηb、0、0)を求める。
Figure 0007204428000022
計算に使用するスポットの個数をNspotとした。式(45)~(48)のΣ記号内の第2項は、被検レンズ12や結像レンズ14が設計通りに形成され、測定光軸1c,1dに対して軸対称に構成されている場合のスポット位置を表している。
式(45)~(48)を用いた処理は、必ずしもスポット群を構成するスポット全てを対象として行う必要はなく、測定光軸1d付近のスポット群や、特定のスポット群などを抽出して行ってもよい。
ステップS405lでは、仮の裏面傾斜を算出する。仮の裏面傾斜は、ステップS405kで求めたスポット群SP1のシフト量(ξu、0、0,ηu、0、0)とスポット群SP2のシフト量(ξb、0、0,ηb、0、0)を、実施例2の式(28),(29)に代入して計算した裏面傾斜Δθl,x,Δθl,yとする。
以上の算出方法において、予備レンズ16として、被検レンズ12と同じ設計形状に基づいて形成されたレンズを用いたが、第3面と第1面12aの設計形状が同じであればよいため、第4面の形状や、レンズの厚みなどは不問である。さらに、第3面においても、必ずしも設計形状が同じでなくてもよい。例えば、解析する領域のみで形状が類似していてもよいし、曲率成分だけが一致していてもよい。
また、ステップS405kでシフト量を計算する際に、実施例1の式(16),(17)を用いてもよい。このとき、表面反射光のスポット群SP1のシフト量(ξu、0、0,ηu、0、0)は不要なので、第2予備スポット像Iの算出は不要となる。それに伴い、ステップS405h~S405jは省略される。
また、ステップS405hで第2予備スポット像Iを算出する前に、第1差分スポット像ΔIから、各スポットの強度Ib,j,kやスポット半径wb,j,kを取得しておいてもよい。例えば、スポット像I(ξ,η)からスポット1つ1つを切り出して、式(49)でフィッティングすることで、各スポットの強度Ib,j,kや半径wb,j,kを取得する。
Figure 0007204428000023
[効果]
本実施例では、複数のスポットを含むスポット像を所定の関数でフィッティングする必要がないので、実施例1と比較して、解析のロバスト性が向上する。
[スポット差による検出誤差の影響の説明]
第1差分スポット像ΔIには、スポット群SP1とスポット群SP3の違いに伴うノイズΔISP1(=ISP1-ISP3)が含まれている。そのため、ステップS405gにおいて、スポット群SP2を構成する各スポットの位置を検出する際には、このノイズΔISP1による検出誤差が発生する。ただし、スポット群のシフト量を計算する際には、この検出誤差の影響は微小である。以下では、この点について説明する。
図18は、第1差分スポット像ΔIに含まれるノイズΔISP1をシミュレーションした結果を示す図である。シミュレーションでは、被検レンズ12と予備レンズ16の曲率成分の差が1μmある場合を想定している。このときの、スポット群SP1とスポット群SP3を構成する光強度分布ISP1,第1予備スポット像ISP3を示した図が図18(a)である。説明の簡略化のため、各スポット群を構成するスポットを1つずつ図示している。図18(a)のように、スポット群SP1とスポット群SP3はほぼ重なっているが、上記曲率成分の差により、両者は0.16μmずれている。光強度分布ISP1および第1予備スポット像ISP3を減算し、ノイズΔISP1を計算した結果が図18(b)である。図18(a)でスポット強度は4500程度であるのに対し、図18(b)のノイズでは強度が60程度であり、スポット強度の1%程度である。スポット群SP1とスポット群SP2の強度は同程度であるから、スポット群SP2に対するノイズの強度比も、1%程度である。したがって、第1差分スポット像ΔIに含まれるノイズ強度は、スポット強度の1%程度である。例えば、直径40μmのスポットがノイズと重なり、スポットの左右で光強度信号が1%変化すると、100nm程度の位置検出誤差が発生する。
また、ノイズΔISP1はスポット群SP1とスポット群SP3の違いに伴って生じるため、スポット群SP1,SP3と同様に周期的に表れ、その周期はスポット群SP1の周期(=スポット間隔)qと同程度である。一方、式(5),(6)で示したように、被検レンズ12の第1面12aと第2面12bの曲率が異なるので、スポット群SP2の周期はqとなり、ポット群SP1の周期qとは異なる。したがって、第1差分スポット像ΔIに現れるノイズは、スポット群SP2と異なる周期を示す。このため、スポット群SP2を構成する各スポットとそれに近接するノイズの位置関係はスポットごとに異なり、ステップS405gにおけるノイズによる位置検出誤差はスポットごとに異なる大きさと方向を示す。
式(45)~式(48)で示したように、スポット群全体としてのシフト量の計算では、Nspot個のスポットのシフト量を平均化している。そのため、スポット群全体としてのシフト量計算誤差は、平均化効果により、各スポットの位置検出誤差の√Nspot分の1程度に低減される。例えば、Nspot=100とすると、1/10程度まで低減される。各スポットの位置検出誤差が-100~100nmの範囲に分布すれば、スポット群のシフト量の誤差は10nm程度となる。撮像素子3とMLA2の距離を5mmとすると、面傾斜の算出誤差は2μrad程度と想定され、一般的なレンズに求められる偏心精度と比較しても十分微小である。
[第2予備スポット像を算出する理由の説明]
上述の通り、第1差分スポット像ΔIには、周期qのノイズΔISP1が含まれている。本実施例では、第1差分スポット像ΔIから第2差分スポット像ΔIを算出する際に、ステップS405g,S405hを実施して第2予備スポット像Iを算出する工程を導入することにより、ノイズの周期をqからqに変換している。そのため、スポットが間隔qで並ぶ第2差分スポット像ΔIにおいては、ノイズの位置がスポットから離れる。その結果、ステップS405jにて第2差分スポット像ΔIに含まれるスポットの位置を検出する際にはその検出誤差が抑制され、その後のステップS405kではスポット群SP1のシフト量が精度良く算出される。
仮に、ステップS405hを実施せずに、第1差分スポット像ΔIをそのまま第2予備スポット像Iとすることを考える。その場合、第2予備スポット像Iには、スポット群SP2に起因する光強度分布ISP2に加え、ノイズΔISP1(=ISP1-ISP3)が含まれるため、I=ISP2+ISP1-ISP3となる。ステップS405iでは、第2差分スポット像ΔIが、スポット像I(=ISP1+ISP2)と第2予備スポット像I(=ISP2+ISP1-ISP3)の差(=I-I)として算出される。その結果、第2差分スポット像ΔIは第1予備スポット像ISP3と一致し、ステップS405j,S405kでは、スポット群SP1のシフト量に代わってスポット群SP3のシフト量が算出されてしまう。すなわち、ステップS405kで算出されるスポット群SP1のシフト量には、スポット群SP1,SP3のシフト量の差が誤差として加わる。
上記理由により、本実施例ではステップS405g,S405hを実施し、第2予備スポット像Iを算出する。
本実施例は、図2に記載の偏心計測装置100を使用し、図15のフローチャートに従って偏心計測を行う点で実施例10と同じであるが、第1予備スポット像の取得方法が異なる。
実施例10のステップS400では予備レンズ16を用いて第1予備スポット像ISP3を取得したのに対し、本実施例のステップS400では、被検レンズ12の設計値やMLA2の校正値に基づいて算出する。具体的には、例えば、式(50)を用いて第1予備スポット像ISP3をシミュレーションする。
Figure 0007204428000024
式(50)は、前述の式(5)~(11)より導出されるものであり、被検レンズ12の設計値やMLA2の校正値を参照している。また、実施例1で示したようにスポット像Iを式(11)でフィッティングし、右辺第2項で算出される光強度分布を第1予備スポット像ISP3としてもよい。このときのフィッティングの際に必要となるパラメータ群X,W,Rの初期値は、実施例1のステップS101と同じ手順で、被検レンズ12の設計値やMLA2の校正値に基づいて算出する。
本実施例のステップS400,S405では、第1予備スポット像ISP3をシミュレーションし、その結果に基づいて第2予備スポット像Iを形成するが、逆に第2予備スポット像Iをシミュレーションし、その結果に基づいて第1予備スポット像ISP3を形成してもよい。さらには、第1予備スポット像ISP3と第2予備スポット像Iを共にシミュレーションで取得し、それぞれをスポット像Iから減算することで第1差分スポット像ΔIと第2差分スポット像ΔIを取得してもよい。
本実施例では、予備レンズを不要とするので、実施例10と比較して計測コストを低減することができる。
本実施例は、図2に記載の偏心計測装置100を使用し、図15のフローチャートに従って偏心計測を行う点で実施例10と同じである。実施例10でのステップS400では第1予備スポット像ISP3を撮像するが、本実施例のステップS400では第2予備スポット像Iを撮像する。これに合わせて、ステップS405では、第2予備スポット像Iに基づいて第1予備スポット像ISP3や第1差分スポット像ΔIを算出する。
ステップS400では、不図示の予備レンズ17を用いる。予備レンズ17は第5面と第6面を備え、それぞれ被検レンズ12の第1面12a、第2面12bの設計形状に基づいて形成されている。第5面には反射防止膜が形成されており、第5面に入射した光のほとんどはこれを透過する。ステップS400では、実施例10と同様に、図16のフローチャートに従って第2予備スポット像Iを撮像する。ただし、ステップS400aにてホルダー7bに予備レンズ17を搭載する際には、第5面をレンズ4に対面させ、第6面をホルダー7bと接触させる。
本実施例のステップS405では、図19のフローチャートに従って仮の裏面傾斜を算出する。まずはステップ505i,505jを実施し、スポット群SP1を構成するスポットの位置(ξu、j、k,ηu、j、k)を検出する。ステップ505i,505jの処理はそれぞれ、図17のステップ405i,405jの処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。次に、ステップS505mにて、スポット位置(ξu、j、k,ηu、j、k)を式(51)に代入し、第1予備スポット像ISP3を算出する。
Figure 0007204428000025
その後、ステップS505f,S505g,S505k,S505lを実施し、仮の裏面傾斜を算出する。ステップS505f,S505g,S505k,S505lの処理はそれぞれ、図17のステップS405f,S405g,S405k,S405lの処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例では、実施例10と同じく、複数のスポットを含むスポット像をフィッティングする必要がないので、実施例1と比較して解析のロバスト性が向上する。
なお、ステップS400では予備レンズ16を用いて第1予備スポット像ISP3を撮像する工程と、予備レンズ17を用いて第2予備スポット像Iを撮像する工程の両方を備えてもよい。この場合、ステップS405では、図19のフローチャートのうち、ステップS505mが省略される。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
2a マイクロレンズ(光学素子)
12,13 被検レンズ
12a,13a 第1面
12b,13b 第2面
L1 第1面反射光(反射光)
L2 第2面反射光(反射光)
SP1 スポット群(第1のスポット群)
SP2 スポット群(第2のスポット群)

Claims (16)

  1. 被検レンズの第1面および第2面からの反射光を、同一面内に等間隔で配置された複数の光学素子で分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する形成ステップと、
    前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて前記第2面に対する前記第1面の偏心量を算出する偏心算出ステップと、を有し、
    前記偏心算出ステップでは、
    前記第1スポット群の第1シフト量および前記第2スポット群の第2シフト量に基づいて前記偏心量が算出され、
    前記第1および第2のスポット群を撮像して得られたスポット像に対して、周期関数の和である関数でフィッティングを行うことで、前記第1シフト量および前記第2シフト量のうち少なくとも一方として前記周期関数の位相が算出されることを特徴とする偏心計測方法。
  2. 記関数は、複数の波面を形成する光が前記複数の光学素子に入射した場合に形成されるスポット群に基づくスポット像の計算値であり、
    前記複数の波面のうち少なくとも1つは非球面波であることを特徴とする請求項に記載の偏心計測方法。
  3. 前記偏心算出ステップでは、前記第1および第2のスポット群を撮像して得られた前記スポット像のフーリエ変換像に基づいて前記第1シフト量および前記第2シフト量のうち少なくとも一方が算出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏心計測方法。
  4. 被検レンズの第1面および第2面からの反射光を複数の光学素子で分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する形成ステップと、
    前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて前記第2面に対する前記第1面の偏心量を算出する偏心算出ステップと、を有し、
    前記偏心算出ステップでは、
    前記第1スポット群の第1シフト量および前記第2スポット群の第2シフト量に基づいて前記偏心量が算出され、
    前記第1および第2のスポット群を撮像して得られたスポット像のフーリエ変換像に基づいて前記第1シフト量および前記第2シフト量のうち少なくとも一方が算出されることを特徴とする偏心計測方法。
  5. 前記第1スポット群と前記第2スポット群のうちいずれか一方のみに基づく予備スポット像を取得する予備スポット像取得ステップを更に有し、
    前記偏心算出ステップでは、前記第1および第2のスポット群を撮像して得られた前記スポット像を構成する光強度分布と、前記予備スポット像を構成する光強度分布との差である差分スポット像を算出し、前記第1シフト量と前記第2シフト量のうち少なくとも一方を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の偏心計測方法。
  6. 前記差分スポット像から前記第1スポット群または前記第2スポット群を構成する各スポットの位置を求め、前記第1シフト量または前記第2シフト量を算出することを特徴とする請求項に記載の偏心計測方法。
  7. 前記予備スポット像を、前記被検レンズとは異なる予備レンズで反射された光を撮像して取得することを特徴とする請求項またはに記載の偏心計測方法。
  8. 前記予備スポット像を、前記被検レンズの設計形状に基づいて計算して取得することを特徴とする請求項に記載の偏心計測方法。
  9. 前記予備スポット像取得ステップは、前記第1スポット群に基づく予備スポット像である第1予備スポット像を取得するステップと、前記第2スポット群に基づく予備スポット像である第2予備スポット像を取得するステップと、を備え、
    前記第2予備スポット像を取得するステップでは、前記第1および第2のスポット群を撮像して得られた前記スポット像を構成する光強度分布と前記第1予備スポット像を構成する光強度分布との差である前記差分スポット像に含まれるスポットの位置を検出し、前記第2スポット群に基づくスポット像を前記第2予備スポット像として算出することを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の偏心計測方法。
  10. 前記第1面は、軸対称非球面であり、
    前記偏心算出ステップでは、前記第1スポット群から算出された非球面軸および前記第2シフト量に基づいて前記偏心が算出されることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の偏心計測方法。
  11. 前記被検レンズは、前記被検レンズの光軸回りに回転可能であり、
    前記偏心算出ステップでは、前記被検レンズが第1の回転位置に位置する場合に前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて算出された第1偏心データと、前記被検レンズが第2の回転位置に位置する場合に前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて算出された第2偏心データと、に基づいて前記偏心が算出されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の偏心計測方法。
  12. 被検レンズの第1面および第2面からの反射光を複数の光学素子で分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する形成ステップと、
    前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて前記第2面に対する前記第1面の偏心量を算出する偏心算出ステップと、を有し、
    前記被検レンズは、前記被検レンズの光軸回りに回転可能であり、
    前記偏心算出ステップでは、前記被検レンズが第1の回転位置に位置する場合に前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて算出された第1偏心データと、前記被検レンズが第2の回転位置に位置する場合に前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて算出された第2偏心データと、に基づいて前記偏心量が算出されることを特徴とする偏心計測方法。
  13. 前記第1スポット群に基づいて前記第1面の形状を算出する形状算出ステップを更に有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の偏心計測方法。
  14. 前記形状算出ステップでは、前記第1および第2のスポット群を撮像して得られたスポット像から、スポット像に対して所定の関数でフィッティングを行うことで算出される前記第2スポット群に基づくスポット像を除去することで算出される前記第1スポット群に基づくスポット像に基づいて前記第1面の形状が算出されることを特徴とする請求項13に記載の偏心計測方法。
  15. 前記被検レンズを製作する製作ステップと、
    請求項1から14のいずれか1項に記載の偏心計測方法を用いて前記被検レンズの偏心量を計測する偏心計測ステップと、を有することを特徴とするレンズの製造方法。
  16. 同一面内に等間隔で配置され、被検レンズの第1面および第2面からの反射光を分割して第1スポット群および第2スポット群を形成する複数の光学素子と、
    前記第1スポット群および前記第2スポット群に基づいて前記第2面に対する前記第1面の偏心量を算出する算出部と、を有し、
    前記算出部は、
    記第1スポット群の第1シフト量および前記第2スポット群の第2シフト量に基づいて前記偏心量を算出し、
    前記第1および第2のスポット群を撮像して得られたスポット像に対して、周期関数の和である関数でフィッティングを行うことで、前記第1シフト量および前記第2シフト量のうち少なくとも一方として前記周期関数の位相を算出することを特徴とする偏心計測装置。
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