従来の天井の下地構造の一部を形成する天井枠は、溝形鋼よりなる複数本の野縁と該野縁が取り付けられる同じく溝形鋼よりなる複数本の野縁受けとからなり、それら野縁および野縁受けを格子状(X-Y方向)に組み合わせ、それら野縁および野縁受けの上下に交叉する部分を所定の接合金具で相互に接合固定することによって一体に構成されている。
そして、同天井枠は、天井の高さに応じた所定の長さの天上枠吊り下げボルト(以下、単に吊りボルトという)を用い、たとえば野縁受け等天井枠の所定部分に当該吊りボルトの下端を、また上階床スラブ等の建物の構造体の所定の取り付け部分に当該吊りボルトの上端を、それぞれ所定の取り付け金具(インサート型係止部材および吊り金具)を介して取り付けることにより、吊り下げるようにしている。
そして、同構成では、必要に応じて、上記天井枠の一部、たとえば天井枠を構成する野縁受けと上記吊りボルトの上端との間に斜め補強材としてのブレース材を設け、該ブレース材によって吊りボルトと天井枠との間にトラス構造を形成することによって、天井下地の強度、耐震性を向上させる構成が採用されている。この場合、ブレース材にも、野縁、野縁受けと同様の溝形鋼が用いられている。
このような構成を採用した場合において、当該ブレース材の下端は、そのウエブ面を上記野縁受けのウエブ面に対してネジ部材等で直接締結されるが、他方、上端側は所定のブレース材連結金具を介して吊りボルト上端に係合連結されるようになっている。
従来、このブレース材連結金具は、上記吊りボルトの後端側半円部外周に対して係合される断面C字形状のフック部、および該フック部の一側から手前側に延び、上記フック部の直径よりも小さい幅寸法で断面U状に折り曲げられたボルト連結金具軸着部とからなる連結金具係止ホルダーと、該連結金具係止ホルダーの上記ボルト連結金具軸着部にボルト軸を介して相対回転可能に軸着されるとともに、後端部にボルト軸螺合孔を備えた断面U字形状のボルト連結金具と、該ボルト連結金具の上記ボルト軸螺合孔にボルト軸先端側を螺合されるとともに、後端側偏平部を断面コ字形のブレース材の上端側ウエブ部にネジで締結固定された羽子板ボルトによって構成されていた(たとえば特許文献1の図1~図5の構成を参照)。
このような構成によれば、先ずブレース材の上端側に羽子板ボルトを取り付けるとともに、該羽子板ボルトのボルト軸先端にボルト連結金具を所定寸法だけ螺合する。これによりブレース材の上端側に羽子板ボルトおよびボルト連結金具が取り付けられた状態になる。
次に、連結金具係止ホルダーのフック部をボルト連結金具軸着部の折り曲げ片の内側への弾性変形を利用して吊りボルトのボルト軸外周に係合する。そして、その後、上記羽子板ボルトおよびボルト連結金具が取り付けられたブレース材上端側のボルト連結金具部分を、当該吊りボルトに係合されている連結金具係止ホルダーのボルト連結金具軸着部に嵌合し、ボルト軸を介して相対回転可能に軸着する。
そして、この状態において、上記ブレース材を右回り方向に所定の回数だけ回動する。すると、羽子板ボルトのボルト軸先端がボルト連結金具の後部から前方に所定の長さ突出し、やがて連結金具係止ホルダーのボルト連結金具軸着部の背面に衝合して固定される。これにより、最終的にブレース材上端が吊りボルト上端に連結固定される。
したがって、このような構成の場合、吊りボルト側に特別な構造のブレース材連結用の固定金具を設けなくても、数個の必要な部品を組み付けていくだけで、比較的容易にブレース材と吊りボルトとの連結が可能となり、作業効率が良く、低コストなものとなる。
しかし、上記特許文献1に示されているブレース材連結金具の場合、上記連結金具係止ホルダーのフック部が単にC字形に形成されて吊りボルトの後部側半円形部分に係合されているだけであり、前部側U字形状の折り曲げ片の先端が吊りボルト前面側に係合するようになってはいるとしても、その係合は十分でなく、外れやすく、確実な係止力を得ることができない。
そのため、折角のブレース材による補強効果を十分なものとすることができない問題がある。
しかも、同C字形のフック部と前部側U字形状の折り曲げ片による吊りボルト外周への係合は、C字形のフック部と折り曲げ片によるばね係合であるから、最初から適切な位置に係合させないと、係合させた後では自由に上下方向に移動させることができない。したがって、補強精度が十分でなく、作業効率も悪い。
また、該ブレース材連結金具の構成における、ボルト連結金具とブレース材とを相対回転可能に連結し、回転操作によって相互の連結状態を固定する羽子板ボルトは、基端側偏平部を介してブレース材自体に完全に締結固定されており、相互に相対回転することはできない。したがって、当該羽子板ボルトの先端が上記連結金具係止部材の後端に衝合して固定された状態で、上記ブレース材のウエブ面が上記天井枠側の野縁受けのウエブ面に沿わないような場合には、再度ブレース材を逆方向に回転させて、戻さなければならない。その結果、上記折角の固定状態が緩んでしまい、確実な連結係止状態の実現が不可能となる。
そこで、本願発明者らは、このような課題を解決するために、たとえば添付の図53~図58に示すように、天井スラブ40から垂設された吊りボルト4の外周に対して嵌合される断面U字形状の連結金具係止ホルダー11と、該連結金具係止ホルダー11のU状部基端側内側に上記吊りボルト4の挿通孔を形成する状態で軸着ボルト54により軸支された断面U字形状の係止ギヤホルダー12と、該係止ギヤホルダー12のU状部内側に回転可能に軸支された2枚の係止ギヤ13,13と、上記連結金具係止ホルダー11のU状部に対して先端側を上記軸着ボルト54を介して相対回転可能に軸着された断面U字形状のボルト連結金具51と、該ボルト連結金具51のU状部基端側に設けられた連結ボルト螺合孔を介して、自らのボルト軸先端53aを上記2枚の係止ギヤ13,13の後端側に衝合する連結ボルト53と、該連結ボルト53に連結されるブレース材5の一端側にあって、該連結ボルト53のボルト軸基端(頭部)53b側を保持する連結ボルト保持部材52とを備え、上記ボルト連結金具51基端の螺合孔を介して螺合される連結ボルト53によって上記2枚の係止ギヤ13,13が押圧されて、同2枚の係止ギヤ13,13が上記吊りボルト4外周面後端のネジ溝に係合する一方、さらに上記係止ギヤ13,13および係止ギヤホルダー12が押圧されて、上記吊りボルト4の外周面前端のネジ溝が上記連結金具係止ホルダー11のU状部基端側内周面に形成されているネジ溝に係合して固定されるようにしたブレース材連結金具を発明し、出願している(特許文献2の構成を参照)。
すなわち、この発明のブレース材連結金具は、まず吊りボルト4に対して連結される連結金具部分が、基端側を吊りボルト4の外周に対して嵌合され、先端側にブレース材5側からの連結ボルト53が軸着される断面U字形状の連結金具係止ホルダー11と、該連結金具係止ホルダー11のU状部の内側に上記吊りボルト4の挿通孔を形成する状態で軸支され、内側に所定の直径の2枚の係止ギヤ13,13を軸支した断面U字形状の係止ギヤホルダー12により構成されている(図53~図56参照)。
したがって、同構成では、上記連結金具係止ホルダー11を上記吊りボルト4に嵌合し、上記係止ギヤホルダー12を嵌装して抜け止めした状態では、上記連結金具係止ホルダー11のU状部基端の内側に当該連結金具係止ホルダー11のU状部基端内面と上記係止ギヤホルダー12のU状部基端外面(フラット面)とによって筒状に囲まれた吊りボルト4の挿通が可能な上下方向に所定の長さを有する閉環構造のボルト軸挿通孔が形成される。
そして、該ボルト軸挿通孔内に吊りボルト4を位置させることによって、吊りボルト4の全周に嵌合される形で当該連結金具の係止部本体である連結金具係止ホルダー11および係止ギヤホルダー12部分が確実に係合され、次に同係合状態において、上記吊りボルト4に対して、連結金具係止ホルダー11および係止ギヤホルダー12部分を上下に移動させることによって高さ位置が任意に調整され、さらに、上記ボルト連結金具51の連結ボルト螺合孔を介して螺合される連結ボルト53のボルト軸によって上記係止ギヤホルダー12および2枚の係止ギヤ13,13がボルト軸(その先端53a)に押圧されて、吊りボルト4外周面後端側のネジ溝と係合される。また、それに対応して、上記吊りボルト4自体が上記連結金具係止ホルダー11のU状部基端側内周面に押し付けられて、その外周面前端側のネジ溝が同連結金具係止ホルダー11のU状部基端側内周面のネジ溝に係合する。
それらの結果、最終的に吊りボルト4に対して連結金具係止ホルダー11および係止ギヤホルダー12の各々が確実に係止固定されることになる。
このように、同構成では、吊りボルト4側に直接係合固定される連結金具係止部材部分が、特許文献1の連結金具のような一枚の金属板を折り曲げて構成した半円状のフック部とU状片ではなく、連結金具係止ホルダー11と係止ギヤホルダー12の強度の高いU状部基端同士の重合状態での組み合わせによる強固な筒状構造体(閉環構造体)での嵌合となり、嵌合された吊りボルト4は軸方向と直交する周方向の何れの方向にも外れることはなく、また軸直交方向への曲げ剛性も大きく向上する。
しかも、同構成では、そのように吊りボルト4に嵌合された連結金具係止ホルダーおよび係止ギヤホルダーからなる係止部材部分が、さらに、上記ボルト連結金具51の螺合孔を介して螺合される連結部材側連結ボルト53のボルト軸(先端53a)により押圧されて吊りボルト4外周面のネジ溝に係合され、それに対応して、さらに吊りボルト4が上記連結金具係止ホルダー11のU状部基端内周面に押し付けられ、その外周面前端側のネジ溝が同ホルダー11のU状部基端側内周面のネジ溝に係合することによって、上下方向はもちろん、水平方向にも緩みなく固定される。
したがって、天井枠吊り下げ用の吊りボルト4に対する連結金具自体の係止、固定強度を大きく向上させることができるとともに、同係止部における軸直交方向への曲げ剛性も高くなる。
さらに、同ブレース材連結金具には、上記吊りボルト4に対して連結されるブレース材5の一端側にあって、上記連結ボルト51のボルト軸基端53b側を保持する連結ボルト保持部材52が設けられており、該連結ボルト保持部材52は、たとえば連結ボルト53のボルト軸基端側(頭部53b側)をボルト軸の回転が可能な圧着構造(圧接固定構造)を用いて固定することにより、基準となる所定の設定トルクよりも小さい回転操作トルクでは連結ボルト保持部材52が相対回転しないが、同基準となる所定の設定トルク以上の回転操作トルクでは連結ボルト保持部材52が相対回転可能となるトルクリミッター機能を有して連結ボルトを保持している。
すなわち、連結ボルト保持部材52は、たとえば図57に示されるように、全体として断面コ字形で、連結するブレース材5の溝形鋼よりも若干幅が広い所定の長さの溝形鋼よりなり、その本体壁(ウエブ壁)52a部分を、たとえば図55(表面)および図56(裏面)に示すように、溝形鋼よりなるブレース材5の上端部のウエブ面側に重合し、予め設けてあるネジ孔を介してドリリングタッピンネジ56,56を螺合することによって、たとえば図53および図54に示すように1本の溝形鋼が連続する状態(それらの各溝形鋼の中心軸が略同軸に連続する状態)となるように一体に締結固定して連結している。
そして、上記連結ボルト保持部材52の上記ブレース材5の上端と重合していない先端側部分に上記連結ボルト53の頭部53b側ボルト軸基端部分を保持係止しているとともに、同連結ボルト53のボルト軸先端53a側を上記ボルト連結金具51のボルト螺合孔を螺合貫通させて上記ボルト連結金具51内前方の上述した係止ギヤ13,13の後端側に向けて伸縮可能に突出させている(臨ませている)。
上記連結ボルト保持部材52の上記ブレース材5の上端と重合していない先端側部分には、上記連結ボルト53の頭部53bを遊嵌し、軸方向に係止する頭部嵌合用の開口52bが、そして、同開口52b部分から軸方向先端側には、さらにボルト頭部53bから延びるボルト軸部分を嵌合する円弧面状のボルト軸固定部52cが設けられている。この円弧面状のボルト軸固定部52cの内側は、上記連結ボルト53のボルト軸の断面形状の略2分の1の半円形状の凹溝面となっており、内側には、さらに当該ボルト軸固定部52c内側の凹溝面との間に上記連結ボルト53のボルト軸基端部分を挟んで所定の圧着力(圧接力)で圧着固定する、上記同様の半円形状の凹溝面を有するボルト軸固定部57cを備えたボルト軸圧着板57が締結ボルト(ボルトおよびナット)55,55により締結固定されている。
このボルト軸圧着板57は、たとえば図58に示すように、金属製の圧着板本体57aにおける上記ボルト軸固定部57cの両側に締結用のフランジ部57b,57bを備えて構成されており、該フランジ部57b,57b部分に上記連結ボルト保持部材52に設けられた圧着板締結用のボルト孔(図示省略)に対応するボルト孔55b,55bを設けている。そして、同ボルト孔55b,55bを介して、締結ボルト55、55により上記フランジ部57b,57b部分を上記連結ボルト保持部材52のボルト孔に所定値以上の締め付け力で締結することにより、連結ボルト保持部材52側を右方向に回動させれば、連結ボルト53のボルト軸先端53a側を上記ボルト連結金具51基端側のボルト螺合孔を螺合貫通して突出方向(係止ギヤ13,13に衝合する方向)に移動させることができ、同ボルト軸の移動により、同ボルト軸の先端53aが上述した係止ギヤ13,13のギヤ面に衝合し、同係止ギヤ13,13を上記吊りボルト4の外周面のネジ溝に軸直交方向に押し付けて係合させ、さらに同係合状態において吊りボルト4を連結金具係止ホルダー11のU状部基端側内周面のネジ溝に押し付ける。これによって吊りボルト4に対して連結金具を介し、ブレース材5の上端が強固に連結される。
この場合において、上記連結ボルト53圧着保持部の設定トルク(圧着固定力)を、少なくとも上記連結ボルト53を上記ボルト連結金具51の螺合孔に螺合するのに必要なトルクよりも大きな値に設定して置きさえすれば、上記ブレース材5側を回転させることにより、上記ボルト連結金具51の螺合孔部分に螺合されている連結ボルト53を自由に回転させて、上記連結金具係止ホルダー11側係止ギヤ13,13部分への衝合による係止を行なうことができ、他方、同衝合により上記連結ボルト53の螺合状態での回転が不可能になると、上記ブレース材5のみを単独で上記連結ボルト53の軸回り方向に所定の押圧力(回転負荷)を伴いながらも回転させることができるので、所望に上記ブレース材5下端側の野縁受けとの接合面合わせを行なうことができる。
しかも、上記連結ボルト53は上記連結金具係止ホルダー11側の係止ギヤ13,13に対して当初の押圧力を維持して衝合されたままであり、上記連結ボルト53が逆方向に回らない限り、衝合状態における係止力はそのまま維持される。したがって、ブレース材5下端側の締結固定作業も容易である。
以下、添付の図面を参照して、すでに述べたような吊りボルトを用いて野縁及び野縁受けよりなる天井枠を吊り下げる天井下地において、本願発明に係るブレース材連結金具および該ブレース材連結金具を用いたブレース材の連結構造を実施するための具体的な形態について詳細に説明する。
以下に説明するように、本願発明の実施の形態に係るブレース材連結金具および同ブレース材連結金具を用いたブレース材連結構造は、その実施対象(施工対象)の一例として、たとえば体育館や倉庫等の建物における天井スラブの下面側に複数本の吊りボルトを吊設して天井枠を吊り下げ、該天井枠の一部と上記吊りボルトの上端とをブレース材(斜め補強材)で連結することによって補強し、その構造強度および耐震性能を可及的に向上させるようにした天井下地が選ばれている。
そして、天井枠を構成する野縁および野縁受けの各々に角形鋼管を採用するとともに、天井枠の野縁受けと吊りボルトの上端を連結するブレース材にも同様の角形鋼管を採用し、その構造強度および耐震性能をさらに向上させている。
以下に述べる各本願発明の実施の形態は、その場合において、角形鋼管よりなるブレース材と吊りボルトの上端とを斜め補強材として最も有効な補強強度を得ることができる状態で適切に連結できるようにしたブレース材連結金具および同ブレース材連結金具を用いたブレース材連結構造を提供することを目的としている。
(1)第1の実施の形態について
まず図1~図42は、そのような本願発明の実施の形態の内の第1の実施の形態に係る天井下地におけるブレース材連結金具および同ブレース材連結金具を用いたブレース材の連結構造を示している。
以下、これら図1~図42の各図面を参照しながら、それぞれ対応する部分の構成と作用について詳細に説明してゆく。
<天井下地部分の全体的な構成について>
先ず図1~図8には、本願発明の第1の実施の形態における、例えば「ぶどう棚」構造の天井下地の全体および要部の構成の一例が示されている。
すなわち、この発明の実施の形態における天井下地は、まず図1および図2に示されるように、所定の間隔を置いて相互に平行に配置された複数本の野縁受け1,1・・および同野縁受け1,1・・に対し、同野縁受け1,1・・側に設けられた野縁取り付け金具2,2・・を介して所定の間隔を置いて直交する方向にそれぞれ平行に取り付けられた複数本の野縁3,3・・よりなる天井枠と、該天井枠を例えば建物の上階床等の下面に設けられた天井スラブ40に対して吊り下げる複数本の吊りボルト4,4・・と、これら複数本の吊りボルト4,4・・の内の隣り合う所定の吊りボルト4,4の上端部とそれら隣り合う吊りボルト4,4により吊り下げられている野縁受け1の吊りボルト4,4間の中間位置付近(図3を参照)とを斜めに連結する複数本のブレース材5,5・・とから構成されている。
上記複数本の野縁受け1,1・・および野縁3,3・・は、たとえば図6および図7に示すように、それぞれ断面正方形状および断面長方形状の角形鋼管により構成されている。これら各角形鋼管は、ロールフォーミング加工などによって金属板を断面方形に曲げ加工し、その両側縁部分をコーナー部の一側部分で相互にS字形に抱き合わせることによって連結用の重合部Aを形成するとともに、その一方側の側縁の隣接部内側にU状の折り曲げリブBを設けることによって上記連結用重合部Aをカシメ付けて一体化した圧縮強度、曲げ剛性、捩り剛性の高い閉断面構造体となっており、そのコーナー部の一部の内側には上記カシメ部1A、3Aによる凸部1a、3aが形成されている。
そして、このような構造の角形鋼管よりなる上記野縁受け1,1・・に対して同様の構造の角形鋼管よりなる野縁3,3・・を取り付ける取り付け金具(金属製の直交クリップ)2,2・・は、たとえば図5に示すように、上記野縁受け1,1・・の上部および両側を挟むように嵌合された断面コの字形の第1の嵌合部2Aと該第1の嵌合部2Aの側壁部21,21下端の両側に在って直交方向に一体に設けられていて、上記野縁3,3・・の上部および両側部を挟むように嵌合された断面コの字形の第2の嵌合部2Bとから構成されており、それら第1、第2の各嵌合部2A、2Bの左右一対の側壁部21,21、22,22部分をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)23,23,24,24を用いて締結することにより、上記野縁3,3・・が上記野縁受け1,1・・の下面側に図示のようなクロス状態で連結一体化されるようにしている。
他方、上記吊りボルト4,4・・の下端には、たとえば図4に示すように、天井枠の野縁受け1,1・・部分を吊り持ち支持するための野縁受け吊設金具(吊り下げ金具)6が設けられており、該野縁受け吊設金具6を介して上記野縁3,3・・を取り付ける野縁受け1,1・・が吊設支持されている。
この野縁受け吊設金具6は、上記野縁受け1,1・・の下部側に在って上記野縁受け1,1・・を受ける断面U状の下部側吊り持ち金具ユニット6Aと、上記野縁受け1,1・・の上部側に在って下端部を上記断面U状の下部側吊り持ち金具ユニット6Aの上端部に連結された断面逆U状の上部側連結金具ユニット6Bとからなっており、それらの相互に嵌合する左右一対の側壁部分を連結ボルト7で一体に連結することにより上下に長い環状構造に一体化されている。また、それら相互に嵌合する左右両側壁部の下端をドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)8,8で野縁受け1,1・・の側壁部に締結して固定している。
そして、上記断面逆U状の上部側連結金具ユニット6Bの天壁部中央には、ボルト貫通穴が形成されており、該ボルト貫通穴に対して上記吊りボルト4,4・・の下端側が上方から下方に所定の長さ挿通されるようになっており、上記吊りボルト4,4・・の下端を所定の長さ挿通した後、同じくボルト貫通穴を有する補強プレート6aおよびワッシャ―を介してその天壁部を挟む上下部分をナット6b,6bで締め付けて固定することにより、上記野縁受け吊設金具6が上記吊りボルト4,4・・の下端に対して確実かつ強固に連結され、上記野縁受け吊設金具6を介して上記野縁3,3・・を取り付けている野縁受け1,1・・が上記吊りボルト4,4・・に対して確実かつ強固に連結支持されている。これにより最終的に野縁3,3・・及び野縁受け1,1・・よりなる天井枠自体が吊りボルト4,4・・の下端に取り付けられている。
一方、同吊りボルト4,4・・は、その上端から下端までの外周面全体に所定の深さおよび所定の溝幅のネジ溝を有し、所定の軸径で上下方向にストレートに延びるボルト部材(頭部のないネジ溝付ロッド部材)により構成されている。そして、その上端側は、天井スラブ40中にインサートされた状態で強固に埋設(固定)されているスリーブ状の吊りボルト係止部材の吊りボルト連結孔内に螺合されることにより連結係止されている。
すなわち、天井スラブ40の吊りボルト4,4・・の吊り下げ位置には、上下方向に所定の深さ(長さ)の吊りボルト連結孔および係止用縁部を備えたスリーブ状の吊りボルト係止部材(特許文献2における図5の符号9,9a,9b,9cおよび第2の実施の形態における図43の符号9,9a,9b,9cを参照)がインサート設置(固定)されており、同吊りボルト係止部材の対応するネジ溝を備えた吊りボルト連結孔に対して吊りボルト4,4・・の上端側の所定長さ部分を螺合係止することにより吊りボルト4,4・・が確実、かつ強固に垂設固定されている。
一方、上記天井枠の野縁受け1,1・・と所定の吊りボルト4,4・・の上端との間には、さらにブレース材(斜め補強材)5,5・・が連結され、上記吊りボルト4,4・・の上端と野縁受け1,1・・との間で所定の内角関係の直角三角形を形成することにより、一層強固な天井下地トラス構造が実現されるように構成している。
このブレース材5,5・・には、上記野縁受け1,1・・と同様の構造の強度の高い角形鋼管が使用されており、たとえば図8に示すように、その下端側は連結ブラケット50を介して上記野縁受け1,1・・の側壁部に対して連結されている。該連結ブラケット50は、断面U字形の上端部側壁部50A,50Aをブレース材5の下端部左右両面に締結面を合わせた上で、所定の傾斜角(たとえば45度)に傾斜させてドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)50a,50a、50a,50aで締結するとともに、さらに同断面U字形の上端部側壁部50A,50Aから下方に長く延びる左右一対の平行な連結片50B,50Bを上記野縁受け1,1・・の左右側壁面に合せてドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)50b,50b、50b,50bにより締結することによって、上記野縁受け1,1・・に対して連結されている。
他方、上記ブレース材5,5・・の上端と上記吊りボルト4,4・・の上端とは、たとえば図3に示すように、ブレース材5,5・・による対角線方向の連結長さおよび連結角度の調整が可能なブレース材連結金具10,10・・を用いて連結されるようになっている。
<ブレース材連結金具の全体的な構成について>
この実施の形態の場合、上記ブレース材5,5・・の上端と上記吊りボルト4,4・・の上端とは、たとえば図3、図9~図18に示すように、ブレース材5,5・・による対角線方向の連結長さおよび連結角度の調整が可能なように、次に述べるような構成のブレース材連結金具10を用いて連結されるようになっている。
すなわち、このブレース材連結金具10は、たとえば図9~図16および図17~図28に示すように、吊りボルト4,4・・の内の所定の吊りボルト2の外周に嵌合されて最上端位置(天井スラブ40の下面に接する位置)に係止される水平方向に断面U字形状をなすブレース材連結金具係止ホルダー11と、該ブレース材連結金具係止ホルダー11の左右両側壁部11a,11aの内側に上記吊りボルト4,4・・の挿通孔(挿通間隔)を形成する状態で同方向に軸支された断面U字形状の係止ギヤホルダーと12と、該係止ギヤホルダー12の左右両側壁部12a,12a間に回転可能に軸支された左右一対の係止ギヤ13,13と、上記ブレース材連結金具係止ホルダー11の左右両側壁部11a,11a外周側にU状部開口面を対向させる形で相対回動可能に軸着された断面U字形状のボルト連結金具51と、該ボルト連結金具51基端側のボルト螺合孔51e,51e(図28参照)にボルト軸を螺合し、その先端部53a側を上記左右一対の係止ギヤ13,13の後端部に臨ませた連結ボルト53と、該連結ボルト53のボルト軸基端側を圧着保持する断面コの字形の連結ボルト保持部52Aと該連結ボルト保持部52Aの左右両側壁部からブレース材5側に延び、ブレース材5の左右両側壁部に締結一体化される左右一対のブレース材連結片52B,52Bを備えた連結ボルト保持部材52と、上記連結金具係止ホルダー11、係止ギヤホルダー12、左右一対の係止ギヤ13,13等を回動可能に軸支するとともに、ボルト連結金具51を連結金具係止ホルダー11に相対回動可能に軸着する軸着ボルト54とからなっている。
連結金具係止ホルダー11は、たとえば図17~図19および図22に示すように、断面U字形状の連結金具係止ホルダー本体を中心として構成されており、該連結金具係止ホルダー本体の側壁部11a,11aの内側には、同じく断面U字形状の係止ギヤホルダー12が嵌装され、該係止ギヤホルダー12の左右両側壁部12a,12aの内側には、さらに左右一対の係止ギヤ13,13が嵌装されている。係止ギヤホルダー12及び左右一対の係止ギヤ13,13も基本的には、上述した軸着ボルト54のボルト軸54aにより軸支されているが、係止ギヤホルダー12は、ボルト軸54aの外径よりも所定寸法大きな内径のスリーブ12dを介して偏心可能に嵌装されており、左右一対の係止ギヤ13、13は、そのスリーブ12dを介してボルト軸54aに対して偏心可能に支持されている。
連結金具係止ホルダー11のホルダー本体は、たとえば図22の斜視図に詳細に示されるように、その左右両側壁部11a、11a中央部分にブレース材連結用の軸着ボルト54のボルト軸54aを螺合状態で挿通するネジ溝付のボルト軸挿通孔11b、11bを有するとともに、そのU状部基端11c内周面(背面)の上下方向全体に係止時において吊りボルト4外周面のネジ溝と螺合する所定の深さおよび所定の溝幅のネジ溝が設けられている。
また、上記左右両側壁部11a,11aの何れか一方側上端部の基端11c寄りのコーナー部には、後述するように連結されるボルト連結金具51の左右両側壁51a、51a(図17、図18参照)の連結時における円弧状の先端部の当接位置を規制して、同ボルト連結金具51当接時の当接角如何に拘わらず(ボルト連結金具51の左右両側壁51a、51aが、連結金具係止ホルダー11本体の左右両側壁11a、11aの軸着ボルト挿通孔11b、11bに対して、例えば図42の(a)垂直状態~図42の(c)水平状態までのどの角度で嵌合されても)、その軸着ボルト挿通孔51d、51dが、常に連結金具係止ホルダー11本体の軸着ボルト挿通孔11b、11bと同一の軸心位置に合致するように位置決めすることができる位置決め用の突起11d、11dが設けられている。
すなわち、この位置決め用の突起11d、11dは、たとえば図41に示すように、上方側(図示右側)の突起11dが連結金具係止ホルダー11本体の軸着ボルト挿通孔(その中心軸)11bの真上にある一方、下方側(図示左側)の突起11dが連結金具係止ホルダー11本体の軸着ボルト挿通孔(その中心軸)11bの水平方向左側にある。そして、それらの中心と軸着ボルト挿通孔11bの中心とを結ぶ線は、図示のように相互に直角な関係にある。
他方、軸着されるボルト連結金具51の上記左右両側壁51a,51aの先端部は、たとえば図42の(a)~(c)に示すように、上記連結金具係止ホルダー11本体の軸着ボルト挿通孔11bの軸心を中心として、上記垂直方向上方側の突起11dおよび水平方向後方側の突起11dに共に接する半径のrの半円形状の円弧部に形成されており、かつ、その軸着ボルト挿通孔51d、51dの孔径は上記連結金具係止ホルダー11本体の軸着ボルト挿通孔11b、11bと同一の孔径に形成されている。
したがって、同ボルト連結金具51の半円形状の先端部は、上記連結金具係止ホルダー11本体の上記軸着ボルト挿通孔11bの軸心との関係で相互に90度位置を異にする一対の突起11d、11d(それらの間)に突き合わされた状態では、上記軸着ボルト挿通孔11b、11bの軸心を中心として、半径rで描かれた円周(円弧)の垂直方向上端位置から水平方向後端位置までの90度の範囲では、常にその軸着ボルト挿通孔51d、51dの軸心位置が上記軸着ボルト挿通孔11b、11bの軸心に合うように上記連結金具係止ホルダー11本体の一対の突起11d、11dにより位置規制(ガイド)されながら、図42の(a)~(c)のように同軸状態で回動することになる。
したがって、上記90度の回動角範囲では、当接時の当接角如何に拘わらず(ボルト連結金具51の左右両側壁部51a、51aが、連結金具係止ホルダー11本体の左右両側壁部11a、11aの軸着ボルト挿通孔11b、11bに対して、図42の(a)垂直状態~(c)水平状態までのどの角度で嵌合されても)、その軸着ボルト挿通孔51d、51dが常に連結金具係止ホルダー11本体の軸着ボルト挿通孔11b、11bと同一の軸心位置に合致する状態で位置決めされることになる。その結果、連結作業(軸着ボルト54の挿通によるボルト連結金具54の連結作業)が著しく容易になる。
なお、上記90度の範囲を超えると、少しずつ軸着ボルト挿通孔11b、11b、51d、51d相互の軸心がずれるようになるが、この実施の形態の場合、あくまでも図1~図3および図9~図16のような略対角線方向(45度)のブレース材5の連結を目的とするものであるから、上記90度の範囲で対応できれば十分に機能する。
また、連結金具係止ホルダー11本体の上記左右両側壁11a、11aの何れか一方側の側壁の下端側の一部に凸部(係止部11e)を設けることにより、後述するように、当該連結金具係止ホルダー11本体のU状部内側に係止ギヤホルダー12が上方側から落とし込まれた時に下方にスルーして落下してしまわないように係止部11eが形成されている。この係止部11eは、上記側壁11a下端側の一部を内側に折り曲げることによって形成することもできる。
そして、この係止部11eには、上方から落とし込まれた係止ギヤホルダー12の基端12c部分底部の所定の前後方向幅のフラット面部分が載置状態で係止される(図19を参照)。
また、上記左右両側壁11a、11aの上記一方側側壁11aの前端側にも同様の凸部(又は内側への折り曲げ片)による係止部11fが設けられ、前方への規制位置で係止するようになっている(図19を参照)。これら各係止部11e、11fでの係止および位置決めにより、上記連結金具係止ホルダー11本体内に係止ギヤホルダー12を嵌装して、同一軸心構造に組み付けるときの位置決め(軸心合わせ)および組み付け作業が容易になる。
<係止ギヤホルダー部分の構成について>
係止ギヤホルダー12は、たとえば図18~図21、図23、図24に示すように、そのホルダー本体部内にスリーブ12dを介して、左右一対の所定の直径の係止ギヤ13、13を嵌装するように構成されている。
そして、そのホルダー本体部分は、たとえば図18および図23に示すように、上記連結金具係止ホルダー11本体の左右両側壁11a,11a内側(U状部内側)に同一軸心状態で嵌装するのに適した幅寸法で、同じく断面U字形の形状をなして構成されている。そして、該係止ギヤホルダー12のホルダー本体部の左右両側壁12a、12aの中央部にも、上記連結金具係止ホルダー本体11の軸着ボルト挿通孔11b、11bと同様の軸着ボルト挿通孔(ただしネジ溝なし)12b、12bが同一軸心状態で設けられており、基本的には、それら各軸着ボルト挿通孔11b、11bおよび12b、12bを利用して前述した軸着ボルト54のネジ溝のあるボルト軸54aが挿通されるが、該係止ギヤホルダー12側の軸着ボルト挿通孔12b、12bの場合は、挿通されたボルト軸54aの外周に係止ギヤ13、13を回転可能な状態で軸支する必要があることから、当該左右の軸着ボルト挿通孔12b、12b間には、たとえば図24に示すような、円筒状のスリーブ12dが同軸状態に嵌合一体化されて、その外周に左右一対の係止ギヤ13、13が回転可能に軸支(遊嵌)されている。そして、同スリーブ12dの内径は、上記全ての部品の中心的な支軸となる軸着ボルト54のボルト軸54aの外径よりも所定寸法以上に大きい内径寸法に設定され、上記軸着ボルト挿通孔12b、12b(図23参照)も同寸法のスリーブ12d自体を嵌合し、一体化できる内径のものとなっている。
すなわち、係止ギヤホルダー12の左右両側壁部12a,12a内側(U状部内側)において一対の係止ギヤ13、13を回転可能に支持するスリーブ12dの内径は、上記軸着ボルト54のボルト軸54aの外径よりも所定寸法以上に大きい内径に設定され、上記左右両側壁部12a、12a部分における軸着ボルト挿通孔12b,12bも当該寸法のスリーブ12d自体を嵌合一体化できるように、当該スリーブ12dの筒壁寸法分だけ大きく形成して嵌合一体化している。
そして、その外周に左右一対の係止ギヤ13、13を回転可能に軸支する一方、同スリーブ12dの内側の上記内径の筒孔12eをボルト軸54aの挿通孔としてボルト軸54aを嵌挿し、また同ボルト軸54aの両端に後述するボルト連結金具51の左右両側壁部51a,51aを連結するようにしている。
このような構成、特に上記係止ギヤホルダー12側のスリーブ12dの内径及び外径が、上記軸着ボルト54aを嵌挿する連結金具係止ホルダー11本体の左右両側壁11a,11aの軸着ボルト挿通孔11b、11bの内径よりも所定寸法以上に大きい構成によると、上記連結金具係止ホルダー11の連結金具係止ホルダー本体部分と後述するボルト連結金具51とを軸着ボルト54のボルト軸54aおよびナット54bを介して連結し、十分に強く締め付けたとしても、上記係止ギヤ13、13を支持しているスリーブ12dが軸方向への締め付け力を受け止める支持部材(スペーサ部材)として機能するので、より有効な締結力を実現できるとともに、支持している係止ギヤ13、13が回らなくなることを回避することができる。
また、このように、スリーブ12dの内径(筒孔12eの内径)が、上記軸着ボルト54aの外径よりも所定寸法以上に大きい内径寸法に設定されていると、当該スリーブ12dを介して固定支持されている係止ギヤホルダー12および同係止ギヤホルダー12内の係止ギヤ13、13が、以下に述べるように、軸着ボルト54のボルト軸54aに対して上記の寸法差を有して遊嵌されることになり、軸直交方向に所定寸法だけ自由に移動できることになる(偏心可能となる)。
他方、上記係止ギヤホルダー12内において、上記スリーブ12dの外周に軸支されている左右一対の係止ギヤ13、13の外径寸法(軸心部分から歯部13の先端までの直径)は、上記係止ギヤホルダー12のホルダー本体部の外形形状および外形寸法との関係において、たとえば図20のような関係に形成されており、上記係止ギヤホルダー12のホルダー本体部の前部側下部(左右両側壁12a、12aの前部側下部:図示右側下部)における斜め下方への円弧状の曲成部12f部分では、所定円弧角範囲に亘って、係止ギヤ13、13の歯部13c、13cが所定寸法aだけ半径方向外方に突出している。
また、それと同時に、同係止ギヤ13、13の歯部13c、13cは、断面U字形状の係止ギヤホルダー本体基端部12cの上下方向にストレートに延びる後部側(背面側)中央部でも、所定寸法bだけ半径方向後方に突出している。このため、同ホルダー本体基端部12cの上下方向にストレートに延びる後部壁中央部には、たとえば図21に示すように、当該突出する係止ギヤ13、13の歯部13c、13cを、回転可能な状態で同寸法bだけ突出させるに適した大きさの上下に長く延びた長方形状の開口部12gが設けられている。
<左右一対の係止ギヤ部分の構成について>
上記スリーブ12dの外周に回転可能に軸支されている左右一対の係止ギヤ13、13は、たとえば図25~図27のように構成されている。
すなわち、同係止ギヤ13,13は、それぞれ図25に示すように、所定の板厚を有するギヤ本体13aの中央部に上記スリーブ12dに嵌合(遊嵌)するための嵌合孔(遊嵌孔)13d、同嵌合孔13dの半径方向外周囲に、一側面側に凸となり、他側面側に凹となる所定の幅の成型部(軸方向段部)13b、上記ギヤ本体13aの外周部に上記吊りボルト4の外周面部のネジ溝の溝部の深さおよび幅に対応して係合する歯部13cを備えて構成されている。このような構成の係止ギヤ13は、上記成型部13bを含めて全体としてプレス成型により一体成型され、歯部13cには必要な焼き入れ加工(一例として浸炭焼き入れ)を施すことによって、十分に強度を向上させている。
そして、この実施の形態では、そのような構成の係止ギヤ13を2組用意し、上記成型部13b、13bの凸部面側同士を図26および図27のように相互に突き合わせた状態で、上記ボルト軸54aの外周に遊嵌されている上記スリーブ12dの外周に回転可能に遊嵌させることによって、相互の歯部13c、13cの間に所定の隙間Aを設けた状態で、上記係止ギヤホルダー12のU状部内側に位置して回転可能に支持されている。
このように係止ギヤ部分を、単体としては板厚の薄い2枚の係止ギヤ13,13で構成し、一側面側のみに凸で、他側面側にその分凹の成型部13b、13bを形成し、同成型部13b、13bを利用して、その凸部面側同士を突合せて並設し、所望の隙間Aを置いて並設するようにすると、単体としては板厚が薄く、幅が狭い係止ギヤ13、13の歯部13c、13cが、全体として見ると連結ボルト53のボルト軸先端53aの直径に適切に対応して係合し得るだけの係合幅を確保することができるようになる。
また、そのように2枚板の組み合わせ構造にすると、1枚のギヤ本体自体の厚さを薄く形成することができることから、歯部13cや成型部13bを含めたギヤ13の全体をプレス成型で容易に形成できるようになり、同様な歯幅を板厚の厚い1枚のギヤで構成する場合に比べて、遥かに低コストに実現することができる。また、軽量化が可能となる。もちろん、必要に応じて板厚の厚い1枚のギヤで構成することは自由である。
なお、同構成におけるギヤ素材(プレス成型可能な金属材)としては、例えばSPCC(JIS G 3141)などの冷間圧延鋼板が採用される。同金属材の場合、低炭素の鋼材であるため、加工は容易であるが、歯部13c部分では耐摩耗性が必要であるため、上述のように浸炭焼き入れが施される。
<連結金具係止ホルダー11の吊りボルト2への嵌合と同嵌合後における係止ギヤホルダー12の装着による抜け止め構造について>
次に、以上のような構成の左右一対の係止ギヤ13、13をスリーブ12dを介して上記係止ギヤホルダー12のホルダー本体部内に回転可能に嵌装すると、係止ギヤホルダー12は、たとえば図20および図21のような状態になる。他方、該状態では、先に連結金具係止ホルダー11が上記吊りボルト4の外周に嵌合され、その基端11c部分の内側に吊りボルト4を位置させた状態となっている。そして、この状態から、さらに同連結金具係止ホルダー11のU状部内に上述した係止ギヤホルダー12が嵌装され、上記軸着ボルト54のボルト軸54aで共通に軸装されると、その段階で吊りボルト4全周への嵌合および抜け止め構造が実現される(図19参照。ただし、図19では吊りボルト4を省略して示している)。
すなわち、係止ギヤホルダー12は、同図19に示すように、上記軸着ボルト54のボルト軸54aを介して、上記連結金具係止ホルダー11のホルダー本体内に同一軸心状態に嵌装され、上記軸着ボルト54のボルト軸54aの両端にボルト連結金具51を連結した状態でほぼ一体に固定される。
この状態では、たとえば同図19、図20の状態から明らかなように、上記連結金具係止ホルダー11のホルダー本体のU状部基端11cの内周面側に設けられているネジ溝に対して、上記係止ギヤホルダー12のU状のホルダー本体の基端12cから寸法bだけ突出する係止ギヤ13,13の歯部13c,13cが対向するようになり、それらの間に位置して、たとえば図39に示すように、吊りボルト4が上下方向に延びる状態で位置され、その外周面のネジ溝部分が当該寸法bだけ突出する係止ギヤ13,13の歯部13c,13cと係合する。
ここで、上記歯部13c,13cの突出寸法bは、特に大きなものである必要はなく、少なくとも当該係止ギヤホルダー12部分が、たとえば図40中の矢印に示すように、係止ギヤ13,13を介して連結ボルト53によって押され、上記軸着ボルト54のボルト軸54aの外径とスリーブ12dの内径との寸法差分(図39、図40における符号12e部分の最大隙間を参照)だけ上記吊りボルト4を上記連結金具係止ホルダー11のU状部基端11c内周面側のネジ溝に押し付けて、ネジ溝同士を相互に係合させることにより、一側面側で上下方向への移動が係止された当該吊りボルト4の他側面側における移動をも係止して、吊りボルト4を確実に係止固定するのに十分なものとされている。
<吊りボルトに対する連結金具係止ホルダーおよび係止ギヤホルダーの係止位置の調整について>
ところで、上記図40のような最終係止状態(固定状態)とは異なり、たとえば図39のように、連結金具係止ホルダー11の基端11c内周面と係止ギヤホルダー12の基端12c外周面との間の吊りボルト挿通孔部分に吊りボルト4が位置されてはいるが、つまり、上述のように連結金具係止ホルダー11が吊りボルト4の外周に嵌合され、さらに同連結金具係止ホルダー11内に係止ギヤホルダー12が嵌装されて、吊りボルト4の抜け止めがなされた係合状態ではあるが、いまだ連結ボルト53のボルト軸の先端53aが上記係止ギヤ13,13の下端側係止ギヤホルダー曲成部位置における突出部を押圧していない場合には、上記係止ギヤ13、13はフリー状態であり、スリーブ12d上で自由に回転することができる。したがって、その外周面のネジ溝と係止ギヤ13、13の歯部13c、13cが前後に対向する吊りボルト挿通孔内に位置する吊りボルト4は、上記係止ギヤ13、13の歯部(突出部)13c、13cと係合していても、連結金具係止ホルダー11の基端11c内側のネジ溝と係合していない限り(図40のようにネジ溝側に押し付けられていない限り)、ウオームとウオームギヤの関係のような形で上下方向に自由に移動することができる(矢印参照)。
すなわち、同状態では、上記スリーブ12dの内径とボルト軸54aの外径との寸法差があるために、図30から明らかなように、連結金具係止ホルダー本体11の基端11c内のネジ溝面と吊りボルト4のネジ溝外周面のとの間には、同図30に示されるような相互に係合しない有効なクリアランスが保たれる。したがって、この状態では、上記係止ギヤ13、13が自由に回転できることと相俟って連結金具係止ホルダー本体11および係止ギヤホルダー12部分は、吊りボルトの上下方向に自由に相対移動して、係止位置を設定することができる。
<連結金具係止ホルダーおよび係止ギヤホルダーの吊りボルトへの最終的な係止固定状態について>
ところで、上記連結金具係止ホルダー11を吊りボルト4に嵌合し、係止ギヤホルダー12を落とし込んで係止し、抜け止めしただけの状態では、未だ軸着ボルト挿通孔11b、11bおよび軸着ボルト挿通用の筒孔12eに、上記軸着ボルト54のボルト軸54aは挿通されていない。そして、この状態では、他方、連結すべきブレース材5の上端に対し、連結ボルト保持部材52を介して連結ボルト53が連結され、また、該連結ボルト53に対して連結ボルト連結金具51が螺合状態で連結されている。もちろん、ブレース材5の下端も、未だ野縁受け3に対して連結されていない。
この状態から、当該ブレース材5を持って、その先端側のボルト連結金具51を、上述の連結金具係止ホルダー本体11の軸着ボルト挿通孔11b、11b部分の外側に嵌合する。そして、この嵌合時において、上記位置決め用の突起11d、11dにより適切に連結ボルト連結金具51の軸着ボルト挿通孔51d、51dと連結金具係止ホルダー本体11の軸着ボルト挿通孔11b、11bの位置合わせが行われ、軸着ボルト54のボルト軸54aが挿通されてナット54bにより連結される。この場合、連結金具係止ホルダー11とボルト連結金具51との間には、適切な隙間があるので、軸着ボルト54のボルト軸54a部分をナット54bで締め付けたとしても、連結金具係止ホルダー11とボルト連結金具51とは、相互に自由に回動可能である。
このように軸着ボルト54のボルト軸54aにより、ブレース材5側ボルト連結金具51、連結ボルト53、連結ボルト保持部材52、ブレース材5が連結された状態における連結金具係止ホルダー11および係止ギヤホルダー12部分の構成を一部(連結金具係止ホルダー11の手前側の側壁11a)を切り欠いて示すのが図30である。
すなわち、この図30の状態では、連結ボルト53の先端部53aが未だ係止ギヤ13、13を押圧衝合していないので、吊りボルト4に対して、連結金具係止ホルダー11側を上述のように自由に昇降させることができる。したがって、ブレース材5を持って、図9に示すような最上端位置(連結係止位置)まで移動させ、同状態において、後述する連結ボルト53のボルト軸基端側を連結ボルト保持部材52を介して保持している角形鋼管よりなるブレース材5を軸周り方向に回転させる。そして、同ブレース材5が回転されると、やがて、図40のように、当該連結ボルト53のボルト軸の先端部53aが上記左右一対の係止ギヤ13、13の上記係止ギヤホルダー12の前部下端側の曲成部位置における突出部(歯部13c,13c)に衝合して上記左右一対の係止ギヤ13、13の全体を連結金具係止ホルダー本体11の基端部11c方向に押圧するようになる。
すると、上記左右一対の係止ギヤ13、13は当該連結ボルト53の先端部53aと係合して回転することができなくなるだけでなく、該左右一対の係止ギヤ13、13とともに係止ギヤホルダー12が上記連結金具係止ホルダー本体11の基端部11c側(吊りボルト挿通孔他面側)に移動し、該係止ギヤホルダー12および上記一対の係止ギヤ13、13(その突出した歯部13c,13c)が上記吊りボルト4自体を連結金具係止ホルダー本体11の基端部11c内側のネジ溝に押し付ける。
その結果、吊りボルト4外周面のネジ溝が同連結金具係止ホルダー11の基端部11c内側のネジ溝と係合して上下方向の移動が阻止されるとともに、他方、左右一対の係止ギヤ13、13の突出部(歯部13c,13c)が同吊りボルト4外周面のネジ溝に押圧力を伴った状態で係合して、その回転が阻止された状態となり、係止ギヤホルダー12の基端部12c部分と係止ギヤホルダー12の基端部11c部分が吊りボルト4の挿通部全周を挟着して強固に係止固定する。これにより角形鋼管よりなるブレース材5の上端が吊りボルト4の上端に連結ボルト保持部材52、連結ボルト53、ボルト連結金具51、軸着ボルト54を介して連結される。
この実施の形態の場合、上記連結ボルト53のボルト軸先端部53aの係止ギヤ13,13への当接面は、例えば図40に示されるように、断面円錐状(又は凹球面状)等の凹溝部が形成されていて、その外周の縁部が、上記係止ギヤ13、13突出部の歯部13c、13cと上下方向に所定の間隔を置いた2カ所で係合するように構成されている。この結果、係止ギヤ13、13の係止機能、係止力が向上し、より確実な係止状態を実現することができる。
<ボルト連結金具部分の構成について>
以上に述べたように、上述の係止ギヤホルダー12(図23、図24参照)が、図19のように、上記軸着ボルト54のボルト軸54aを介して上記連結金具係止ホルダー11内に嵌装され、軸支されるときには、同時にブレース材5側の連結ボルト保持部材52に保持されている連結ボルト53に螺合されて保持されているボルト連結金具51が連結される。
このボルト連結金具51は、たとえば図28に詳細に示されるように、折り曲げられた両側壁部51a ,51aの基端が直角になった断面U字形状をなしている一方、両側壁部51a、51aの先端側が円弧形状となっている。そして、同両側壁部51a、51aの先端側円弧部内側中心軸部分に、上記軸着ボルト54の挿通孔51d、51dが形成されているとともに、上記両側壁部51a,51a基端間の後部壁51b部分には、上記連結ボルト53のボルト軸が螺合状態で貫通されるボルト螺合孔51eが設けられている。また、同後部壁51b部分の上記ボルト螺合孔51e内側には、上記ボルト螺合孔51eと連続する同径、同ピッチのネジ孔であるボルト螺合孔51eを備えたナット部材51cが一体に溶着され、上記連結ボルト53に必要かつ十分な係合力および軸直交方向の剛性を与える有効な長さの螺合孔(51e+51e)を形成している。
該ボルト連結金具51は、たとえば図17~図19に示すように、上記両側壁部51a、51aの上記軸着ボルト挿通孔51d、51d形成部分を上記連結金具係止ホルダー本体11中央部の上記軸着ボルト挿通孔11b、11b外周側に嵌合し、上記軸着ボルト挿通孔51d、51dに軸着ボルト54のボルト軸54aを共通に挿通し、挿通端側に螺合したナット54b(図18参照)で締結することにより連結されている。
他方、その上で、上記後部壁51bおよびナット部51cの上記ボルト螺合孔51e、51eには、上記連結ボルト53のボルト軸が後方から挿入螺合され、同部分で当該連結ボルト53に必要かつ十分な係合力(螺合係合力)を維持しながら、その先端53a側を上記係止ギヤホルダー12内に保持された左右一対の係止ギヤ13、13の歯部13c、13cに衝合可能に臨ませている。
<ブレース材上端側の連結ボルト保持部材の構成について>
この実施の形態の場合、上記ブレース材5は、上述した図6のような断面正方形の角形鋼管よりなり、その上端部分には、たとえば図9~図16、図29~図32に示されるように、上述した連結ボルト53の基端側を係合保持した連結ボルト保持部材(連結ボルトホルダー)52が一体に取り付けられており、該連結ボルト保持部材52を介してブレース材5側に上記連結ボルト53の頭部53b側が連結保持されている。
上記連結ボルト保持部材52は、たとえば図36および図37に示されるように、上記断面正方形の角形鋼管よりなるブレース材5を上下方向略中央部(中間部)で水平に切断することによって形成された半割構造(断面コの字形)の連結ボルト保持部52Aと、該半割構造(断面コの字形)の連結ボルト保持部52Aの本体壁(ウエブ壁)52a部分を切り欠き、左右両側壁部部分のみをブレース材5側に所定の長さ延設した平行壁構造のブレース材取り付け部(平行な連結片)52B、52Bとからなっており、上記半割構造(断面コ字状)の連結ボルト保持部52Aの本体壁52a部分で上記連結ボルト53の頭部53b側ボルト軸基端部分を保持しているとともに(図33~図35参照)、平行壁構造のブレース材取り付け部52B、52B部分を角形鋼管よりなるブレース材5の左右両側壁部分にドリリングタッピンネジ(或いはドリルネジ)56,56・・,56,56・・を用いて締結することにより、角形鋼管よりなるブレース材5の上端部に一体に取り付けられている(図29~図32参照)。この平行壁構造のブレース材取り付け部52B、52Bを用いた連結ボルト保持部材52のブレース材5の左右両側壁部分への取り付けは、たとえば図29~図32の構成から明らかなように、上記連結ボルト53の頭部53b側ボルト軸基端部分を保持している上記角形鋼管を半割した構造(断面コの字形)の連結ボルト保持部52Aの本体壁(ウエブ壁)52a中央部分が、上記ブレース材5を構成する断面正方形の角形鋼管の上下左右方向の略中間付近に位置して開口部端面に突き当てられる(衝合される)ように高さ位置(左右両側壁部の高さ)を調節して一体に取り付けられるようになっている。この場合、連結ボルト保持部52Aは、上記断面正方形の角形鋼管よりなるブレース材5を上下方向略中央部で水平に切断することによって形成された半割構造(断面コ字状)となっているので、連結ボルト保持部52Aの左右両側壁部の下端および平行壁構造のブレース材取り付け部52B,52Bの下端を角形鋼管よりなるブレース材5の下端に合わせさえすれば、自動的に上記の位置に設定した形で取り付けられる(図29~図32参照)。したがって、その取り付けは容易である。
そして、上記半割構造(断面コの字形)の連結ボルト保持部52Aの本体壁52aの左右両端間中央のブレース材5寄り位置には、連結ボルト53の頭部53bを遊嵌し、軸方向に係止する連結ボルト頭部53b嵌合用の開口52bが、そして、同開口52b部分からボルト軸先端方向には、その内側面にボルト頭部53bからボルト連結金具51側に延びるボルト軸の基端側部分を嵌合する円弧面状のボルト軸固定部(第1のボルト軸固定部)52cが設けられている。該円弧面上のボルト軸固定部52cの内側は、上記連結ボルト53のボルト軸の外径に対応した円弧面(凹溝面)となっており、下面側には、さらに当該ボルト軸固定部52c内側の円弧面との間に上記連結ボルト53のボルト軸基端側を挟んで、所定の圧接力で圧着する円弧面(凹溝面)を有するボルト軸固定部(第2のボルト軸固定部)57cを備えたボルト軸圧着板57が締結ボルト(ボルトおよびナット)55、55により締結固定されている。
すなわち、該ボルト軸圧着板57は、たとえば図38に示すように、圧着板本体57aにおける上記ボルト軸固定部57cの両側に締結用のフランジ部57b,57bを備えて構成されており、該フランジ部57b,57b部分に上記連結ボルト保持部52Aの本体壁52a側に設けられた圧着板締結用のボルト孔に対応するボルト孔55b,55bを設けている。そして、それらボルト孔55b,55bを介して締結ボルト55、55により上記ボルト軸圧着板57のフランジ部57b、57b部分を上記連結ボルト保持部52Aの本体壁52a部分に所定の締め付け力で締結することにより、上記連結ボルト保持部52Aの本体壁52a中央部分に連結ボルト53を係合保持しているとともに、同連結ボルト53のボルト軸先端53a側を上記ボルト連結金具51の後部壁51bのボルト螺合孔51e、51e(後部壁51b自体に形成した螺合孔51eと後部壁51b内側の溶着ナット部51cに形成した螺合孔51e)を螺合状態で貫通させてボルト連結金具51内前方の上術した係止ギヤ13、13の突部に向けて伸縮可能に突出させている。
この場合、上記ボルト軸圧着板57のフランジ部57b、57bの上記連結ボルト保持部52Aの本体壁52aに対する締め付け力は、上記連結ボルト53の先端53a側ボルト軸を上記ボルト連結金具51後部壁51b部分のボルト螺合孔51e、51e部分を螺合状態で突出方向に移動させることはできるが、同ボルト軸の先端53aが、たとえば図40のように上記係止ギヤ13、13に当接して所定の押圧力を作用させるようになり、それ以上には押圧できない状態(前方に移動できないブレース材連結金具10の吊りボルト4に対する係止完了状態)になった時には、当該ボルト軸圧着部における圧着力に抗して、上記連結ボルト保持部材52およびブレース材5のみが上記連結ボルト53に対して一体として空回りするようになる圧着力に設定されている。すなわち、当該ボルト軸圧着部が、ブレース材連結時のトルクリミット機構として機能するように構成されている。
したがって、このような構成の場合、図3のように、天井スラブ40側吊りボルト4の上端と天井枠側野縁受け1との間に所定の傾斜角(たとえば45度)で上記ブレース材連結金具10を用いて角形鋼管よりなるブレース材5を連結する場合において、ブレース材5を軸周り方向に回転させることにより、上記連結ボルト保持部材52のボルト軸の先端53aが、図40のように係止ギヤ13、13の斜め下端部に衝合して所定の押圧力を作用させるようになり、やがて同係止ギヤ13、13の斜め上方側の突出歯部13c、13cが吊りボルト4外周のネジ溝に係合した状態で吊りボルト4を押圧して吊りボルト4外周面のネジ溝を連結金具係止ホルダー11の基端部11c内周面のネジ溝に係合させた状態となり、それ以上には係止ギヤ13、13を斜め上方に押圧できない状態になった時には、上記連結金具係止ホルダー11および係止ギヤホルダー12が上記吊りボルト4最上端の係止位置に確実に係止された状態となり、その後は当該ボルト軸圧着部における圧着力に抗して上記連結ボルト保持部材52およびブレース材5が上記連結ボルト53のボルト軸に対して空回りするようになる。そして、これにより上記角形鋼管よりなるブレース材5の締結面の角度を上記締結すべき野縁受け1の締結面の角度に自由に合わせることができ、その上で、同角形鋼管よりなるブレース材5の下端を断面U状の連結ブラケット50を介して上記野縁受け1の締結面にドリリングタッピンネジ(或いはドリルネジ)50a,50a、50a,50a、50b,50b、50b,50bで締結することにより連結固定される。
この発明の実施の形態の場合、すでに述べたように、野縁受け1,1・・が角形鋼管よりなるとともにブレース材5が角形鋼管よりなるために、ブレース材5の下端側は、従来の溝形鋼(チャンネル部材)の場合と異なって、上下両端側に各々締結用の2枚の側部壁を有する断面U状の連結ブラケット50を介して角形鋼管よりなる野縁受け1の左右両側壁部に連結されるようになっている。
すなわち、連結ブラケット50は、上端部側が断面U字形状をなし、その左右両側壁部50A,50A部分を角形鋼管よりなるブレース材5下端部の両側壁部に締結面を合わせた上で、ドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)50a,50a、50a,50aで締結するようになっているとともに、さらに同断面U字形の上端部側壁部50A,50Aから下方に長く延びる左右一対の平行な連結片50B,50B部分を角形鋼管よりなる野縁受け1の左右両側壁部の側壁面に合せてドリリングタッピンネジ(あるいはドリルネジ)50b,50b、50b,50bにより締結するようになっている(図8の構成を参照)。
したがって、ブレース材5が溝形鋼(チャンネル部材)である場合に比べて遥かに締結面を合わせることが難しい。このため、上記のように吊りボルト4の上端に対するブレース材5の連結(テンションおよび角度調整)が完了した後に、それらを変えることなくブレース材5を軸周り方向に回して締結面を自由に合わせることができる上記トルクリミッター機能は極めて有効である。
このようにして図1~図8のように天井スラブ40側吊りボルト4の上端と野縁受け1との間に斜めに連結固定されたブレース材5には、たとえば地震発生時に、大きな引張および圧縮力が交互に作用する。しかし、この実施の形態の構成の場合、ブレース材5として、溝形鋼に比べて遥かに引っ張り強度および圧縮強度が高い図6に示す角形鋼管を使用し、同角形鋼管よりなるブレース材5を吊りボルト4に連結するブレース材連結金具10の構造を、連結金具係止ホルダー11と係止ギヤホルダー12との組み合わせ(同軸一体化構造)による完全な吊りボルト4全周の嵌合係止構造として十分に連結部の強度を向上させている。そして、このような強度の高い連結金具10の連結金具係止ホルダー11および係止ギヤホルダー12に対して、十分な径の共通な軸着ボルト54を介してボルト連結金具51が連結されており、さらに該ボルト連結金具51に対して連結ボルト53により野縁受け1と同様の角形鋼管よりなるブレース材5を連結する連結ボルト保持部材52が連結されている。したがって、吊りボルト4に対するブレース材5連結部の強度は大きく向上する。
しかも、上記連結ボルト保持部材52は、図29~図35に示されるように、上記連結ボルト53のボルト軸基端側(頭部53b側)を圧着状態で連結保持する角形鋼管を半割した構造の断面コの字形の連結ボルト保持部52Aと同断面コの字形の連結ボルト保持部52Aの左右両側壁部分から所定の長さブレース材(角型鋼管)5側に延び、ブレース材5の左右両側壁部に対して締結一体化されるブレース材連結部52B、52Bで構成されており、図52および図53に示されるブレース材5との連結状態において、上記断面コの字形の連結ボルト保持部52Aの連結ボルト53を圧着保持している本体壁52a部分(ウエブ壁部分)を角形鋼管よりなるブレース材5上端部の連結端部略中央(開口端部略中央)部分に突き当てた状態で、当該ブレース材5上端部の左右両側壁部分に左右2枚のブレース材連結部(左右2枚のブレース材との連結片)52B、52Bにより、それぞれ広く長い締結面を実現する形で連結一体化している。
しかも、この実施の形態では、そのようにした場合において、上記連結ボルト保持部52Aの本体壁52a側の円弧面状のボルト軸固定部52cのボルト軸外径に対応した円弧面(凹溝面)とボルト軸圧着板57のボルト軸外径に対応した円弧面(凹溝面)との円弧関係(相互の円弧角の関係)を、ボルト軸に対して設定された必用な圧着力を作用させることができると共に、同圧着状態で保持される連結ボルト53のボルト軸の中心がブレース材5を構成する角形鋼管の中心軸と同軸上に一致して連続するように構成している(たとえば図31および図32、図35の構成を参照)。
このような連結ボルト保持部材52の構成及びブレース材5との連結構造によると、連結ボルト保持部材52全体の有効な強度を向上させながら、吊りボルト4の上端に連結される連結金具(連結金具係止ホルダー11,係止ギヤホルダー12,ボルト連結金具51)にブレース材5を連結する連結ボルト53の中心軸とブレース材(角形鋼管)5の中心軸が確実に一致する形で吊りボルト4にブレース材5を連結することができるようになる。この結果、先に述べた従来の構造の場合と異なり、角型鋼管が本来有している引っ張り強度、圧縮強度、座屈強度の高さを有効に発揮させることができるようになり、ブレース材5の設置による耐震性能を一層有効に向上させることができる。また、連結部の見栄えも良くなる。
この場合、図36および図37に示すように、上記連結ボルト保持部材52の連結ボルト保持部52Aおよびブレース材取り付け部52B、52Bは、たとえば図36および図37の構造の断面コの字形の曲げ加工部を元の金属板の状態(加工前の平板状態)に戻して考えれば容易に理解できるように、1枚の金属板の一部(曲げ加工後にウエブ面となる部分)をプレスカットし、その両側所定幅部分を直角に折り曲げることによって形成されている。
このため、断面コの字形に折り曲げられる連結ボルト保持部52A部分と折り曲げられないブレース材取り付け部(連結ボルト保持部52Aの折り曲げに伴って縦壁となるだけの部分)52B、52B部分との境界部には、折り曲げ加工時に裂け目が生じる恐れがあり、裂け目が生じると連結ボルト保持部材52自体の引っ張り強度が低下する。そこで、そのような問題を回避するとともに、曲げ加工を容易にするために、同境界部分には、左右幅方向に所定の寸法(所定の前後幅、所定の切り込み深さ)のスリット52e,52eを設けている。そして、同スリット52e,52eの切り込み端部を裂けにくい円弧面に形成している。
他方、そのようにスリット52e,52eを設けると、同部分の強度が低下する。そこで、同スリット52e、52eに対応する連結ボルト保持部52Aの左右両側壁部とブレース材取り付け部52B、52B部分には、両者間に亘って所定の長さ、所定の幅の補強用のリブ52d,52dを直交方向(T字形対応)に設けて補強している。この結果、曲げ加工時の裂け目発生を回避するスリット52e,52eを設けながらも十分な連結ボルト保持部材強度を確保することができる。なお、同様の補強リブ52f,52fは、上記連結ボルト保持部52Aの本体壁52a部分の連結ボルト頭部53b嵌合用の開口52bの左右両側にも同様の対応形態で設けられている。
<連結ボルト保持部材52の連結ボルト保持部52A部分における連結ボルト53のボルト軸固定構造について>
上術した連結ボルト保持部52Aの本体壁52a側の円弧面状のボルト軸固定部52cのボルト軸外径に対応した円弧面(凹溝面)とボルト軸圧着板57のボルト軸外径に対応した円弧面(凹溝面)との円弧面関係(相互の円弧角の関係)は、圧着強度(トルク強度)の設定、ボルト軸保持強度の確保、角形鋼管中心軸位置への設置の容易さ等の観点から言うと、相互に同一の場合(半円部円弧面同士の組み合わせ)が好ましい。しかし、同関係は必ずしも相互に同一の場合に限られるものではなく、少なくともボルト軸に対して設定された必用な圧着力を作用させることができると共に、同圧着状態において保持される連結ボルト53のボルト軸の中心がブレース材5を構成する角形鋼管の中心軸と同軸上に一致して連続するように構成できさえすれば、ほぼ同様の作用効果を得ることができる。
したがって、断面コの字形の連結ボルト保持部52Aのブレース材5角形鋼管の開口端部への突き当て位置も、上述のような角形鋼管開口端部の左右上下方向の中央部位置のみに限定されるものではなく、たとえば左右両側壁部の高さ寸法およびブレース材取り付け部52B,52Bの高さ寸法(側壁面寸法)を角形鋼管の半割寸法(1/2高さ)よりも若干大きくして、有効に連結ボルト保持部52Aの強度、ブレース材取付部52B,52Bの強度を向上させ、それに対応して本体壁52a側の円弧面状のボルト軸固定部52cのボルト軸外径に対応した円弧面(凹溝面)の円弧角に比べてボルト軸圧着板57側のボルト軸外径に対応した円弧面(凹溝面)の円弧角を相対的に大きくすることにより、上記本体壁52aの突き当て位置よりもボルト軸の保持位置を所定寸法下方に下げて(保持されるボルト軸の中心が本体壁52aとボルト軸圧着板57のフランジ部57b,57bとの重合面位置よりも下方になるように)、連結ボルト53の中心軸をブレース材5の角形鋼管の中心軸と一致させる形で連結することも可能である。
このような構成による場合、相対的に曲げ加工が困難な本体壁52a側のボルト軸固定部52c側の円弧角(円弧面)を小さくし、相対的に曲げ加工が容易なボルト軸圧着板57側ボルト軸固定部57cの円弧角(円弧面)を大きくすることで、連結ボルト保持部材52の加工を容易にする効果を得ることができる。この場合、ボルト軸圧着板57側ボルト軸固定部57cのボルト保持力の負担度合が相対的に大きくなるが、その負荷量は余り大きくなく、同部分に作用する耐震負荷は基本的に軸方向に作用する引っ張り、圧縮荷重であるので、殆ど問題にはならない。
(2)第2の実施の形態について
次に、図43~図52は、本願発明の第2の実施の形態に係るブレース材連結金具および同ブレース材連結金具を用いたブレース材連結構造の構成を示している。
この第2の実施の形態に係るブレース材連結金具の場合にも、上記第1の実施の形態の場合と同様に、その実施対象(施工対象)の一例としては体育館や倉庫等の建物における天井スラブの下面側に吊りボルトを吊設して天井枠を吊り下げ、該天井枠の一部と吊りボルトの上端とをブレース材(斜め補強材)で連結することによって補強し、その構造強度および耐震性能を向上させるようにした天井下地が選ばれている。そして、天井枠を形成する野縁受けおよび野縁には上述の図6および図7に示す角形鋼管が使用され、ブレース材にも図6に示す角形鋼管が使用されている。
そして、図43は、同第2の実施の形態に係るブレース材連結金具を用いた吊りボルトに対するブレース材の連結状態を、さらに図44~図47は、同第2の実施の形態に係るブレース材連結金具を構成する連結金具係止ホルダーの構成を、図48~図50は、同係合部材の構成を、図51、図52は、同第2の実施の形態に係るブレース材連結金具のブレース材側連結ボルト保持部材部分の構成を、それぞれ示している。
<吊りボルトの構成および天井スラブにおける吊りボルト係止部の構成について>
この第2の実施の形態における吊りボルト4も、たとえば図43に示されるように、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、その上端から下端までの外周面全体に所定の深さおよび所定の溝幅のネジ溝を有し、所定の軸径で上下方向にストレートに延びるボルト部材(頭部のないネジ溝付ロッド部材)により構成されている。そして、その上端側は、天井スラブ40中にインサートされた状態で強固に埋設(固定)されているスリーブ状の吊りボルト係止部材9の吊りボルト連結孔9a内に螺合されることにより連結係止されている。
すなわち、天井スラブ40の吊りボルト4の吊り下げ位置には、上下方向に所定の深さ(長さ)の吊りボルト連結孔9aおよび係止用縁部9b、9cを備えたスリーブ状の吊りボルト係止部材9がインサート設置(固定)されており、吊りボルト係止部材9の対応するネジ溝を備えた吊りボルト連結孔9aに対して吊りボルト4の上端側の所定長さ部分を螺合係止することにより吊りボルト4が確実、かつ強固に垂設状態で取り付けられている。
そして、この吊りボルト4の下端側に野縁受け吊設金具を介して天上枠が吊設される(第1の実施の形態における図4の構成を参照)。
<ブレース材連結金具の構成および同ブレース材連結金具を用いた吊りボルトに対するブレース材の連結構造について>
この実施の形態の場合にも、ブレース材5の上端と吊りボルト4の上端は、図43に示すように、ブレース材5による吊りボルト4の上端と天上枠側野縁受けとの対角線方向の連結長さおよび吊りボルト4とブレース材5との間の連結角度の調整、さらには連結されるブレース材5の軸周り方向の回動調整が可能なように略同様のブレース材連結金具10を用いて強固に連結されるようになっている。
すなわち、この実施の形態のブレース材連結金具10は、吊りボルト4のボルト軸外周部分に嵌合されて最上端位置(天井スラブ40の下面に接する位置)に係止される筒状の連結金具係止ホルダー11と、該連結金具係止ホルダー11の左右両側壁11a,11a中央部分に軸着ボルト54を介して相対回動可能に連結されたU状のボルト連結金具51と、上記連結金具係止ホルダー11の左右両側壁11a,11a間にあって上記軸着ボルト54により回動可能、かつ前後方向にスライド可能に支持されたU状の係合部材130と、断面コの字形の連結ボルト保持部52Aを角形鋼管よりなるブレース材5上端部の開口部端面に衝合されるとともに同連結ボルト保持部52Aの左右両側壁部から延びる左右一対のブレース材取り付け部52B,52Bをブレース材5上端の左右両側部に嵌合し、ドリリングタッピンネジ56、56を用いて締結固定した連結ボルト保持部材52と、該連結ボルト保持部材52のブレース材5の上端と重合していない上記連結ボルト保持部52A部分にボルト軸頭部53b側ボルト軸基端部分を支持されている一方、同ボルト軸の先端53a部分を上記ボルト連結金具51の基端側後部壁51b部分に設けた螺合孔51eを螺合貫通して上記ボルト連結金具51内前方(斜め上方)に伸縮可能に突出するブレース材連結ボルト53とからなっている。
<連結金具係止ホルダー部分の具体的な構成について>
連結金具係止ホルダー11は、全体として所定の板厚の金属プレートよりなるホルダー本体のU状の基端部11c部分が上記吊りボルト2の外周に嵌合(外嵌)される円弧形状、後端部11h部分が平面視コ状の方形状で、全体として前後方向に長い薄型の金属製の筒体構造となっている。
そして、その左右両側壁11a,11aの中央部分には、上述したボルト連結金具51連結用の軸着ボルト54を挿通する軸着ボルト挿通孔11b、11bが設けられており、同左右両側壁11a,11aの中央部分の外側に重合状態で嵌合されたボルト連結金具51の左右両側壁51a,51aの軸着ボルト挿通孔を通して軸着ボルト54が挿通され、その先端部にナット(図示省略)を螺合することによって頭部(図示省略)との間に係止され、これによってボルト連結金具51が鉛直状態から例えば斜め45度の状態まで相対回動可能に連結されている。
また、該連結金具係止ホルダー11の上記U状の基端部11cの内側は上述した吊りボルト4を嵌挿する吊りボルト嵌挿部に形成されており、該吊りボルト嵌挿部の一側には、側壁11aの一部を上下に切り欠くことにより、横方向から平行に吊りボルト4を嵌入する(逆に言うと、連結金具係止ホルダー11を側方から平行に吊りボルト4に嵌合する)ための吊りボルト嵌入口(ボルト軸嵌入口)120が設けられている。この吊りボルト嵌入口120の幅は、吊りボルト4の外径に対応し、吊りボルト4の外径よりも少し大きいものとなっている。連結金具係止ホルダー11の上記U状の基端部11c部分には、上下2か所において吊りボルト嵌挿部を補強する水平方向のリブ(断面円弧状のリブ)11i,11iが設けられており、側壁11aの一部を切り欠いたことによる吊りボルト嵌挿部の剛性強度を補強している。連結金具係止ホルダー11の上記方形状の後端部11h部分は、平面視コ状に連結されている連結部(左右の側壁11a,11aを連結している部分)が、上下方向の中間部より上方側所定幅部分にのみあって、下方側半分部分は左右の側壁11a,11a間が開放されているとともに、同左右の側壁11a,11aの下端側コーナー部分が上記軸着ボルト挿通孔11b,11bを中心とした所定半径の円弧形状に形成されている。そして、それにより、上述のように軸着ボルト54を介して連結されたボルト連結金具51が後述するように連結ボルト53を螺合し、その先端53aを左右の側壁11a,11a間に臨ませた状態で、上記軸着ボルト挿通孔11b,11b部分から鉛直方向下方に垂設させた状態から斜め45度に傾斜させた状態に所望に相対回動できるようになっている。この場合において、上記方形状の後端部11h部分(左右両側壁11a,11aの連結部)は、斜め45度に傾斜させてブレース材5を連結する場合に位置規制部材として機能する。
連結金具係止ホルダー11のホルダー本体の上記吊りボルト嵌入口120が設けられていない側壁11aの吊りボルト嵌入口120手前側下端には、側壁11aの一部を側壁間内側に90度折り曲げることによってボルト連結金具回動規制片11gを設け、上記軸着ボルト54を介して連結されたボルト連結金具51が連結ボルト53の先端53aを左右の側壁11a,11a間に臨ませた状態で、上記軸着ボルト挿通孔11b,11b部分から鉛直方向下方に垂設させた位置に来た時に、ボルト連結金具回動規制片11gが連結ボルト53の先端53aに当接してそれ以上吊りボルト嵌挿部側に回動しないように前方側への回動規制を行うようになっている。
他方、当該ボルト連結金具51および連結ボルト53が、当該鉛直方向下方への垂設状態から斜め45度後方に傾斜する状態に来た時には、上記方形状の後端部11hの上記平面視コ状に連結されている部分(左右の側壁11a,11aを連結している部分)が連結ボルト53の先端53aに当接してそれ以上水平方向後方側に回動しないように回動規制を行ない、ブレース材5の連結角度を斜め45度に設定する。
また、該連結金具係止ホルダー11の左右側壁11a,11a間上端には、上記吊りボルト嵌入口120が設けられていない側壁11aの一部を側壁間内側に90度折り曲げることにより、当該連結金具係止ホルダー11の左右側壁11a,11a間に前後方向にスライド可能に嵌装された上記係合部材130のスライド方向へのガイドを行う天板機能を持ったガイド片11mが設けられている(ガイド作用については、係合部材130の構成に関する部分で詳細に説明する)。このガイド片11mは、その前端側の一部を鉛直方向上方に折り曲げて吊りボルト嵌挿部の嵌挿通路を制約しないようにするとともに、折り曲げ部11nの上端を天上スラブ40下面への吊りボルト嵌挿部の鉛直位置規制部材として機能させるように構成している。すなわち、この実施の形態における連結金具係止ホルダー11のホルダー本体は、図43および図44に示されるように、上端部全体が前端部(基端部11c)側から後端部11h側にかけて所定の角度で下降傾斜するように構成されている。したがって、第1の実施の形態のように、当該上端部全体を天上スラブ40の下面に当接させたのでは、吊りボルト嵌挿部の嵌装通路が鉛直方向に沿わず、適正な取り付けを行うことができない。そこで、吊りボルト嵌挿部を形成するU状の前端部(基端部11c)の上端とガイド片11mの折り曲げ部11nの上端が共に水平方向の同じ高さ位置にあるように構成し、上端部全体の傾斜角に関係なく、吊りボルト嵌挿部を形成するU状の前端部(基端部11c)の上端とガイド片11mの折り曲げ部11nの上端が天上スラブ40の下面に当接させて連結金具係止ホルダー11を取り付けさえすれば、必ず吊りボルト嵌挿部の嵌装通路が鉛直方向に位置規制されるようにしている。
<係合部材130の構成について>
係合部材130は、平面視U状の金具本体よりなり、左右両側壁130a,130aは、上記連結金具係止ホルダー11の左右両側壁11a,11aの連結部がない円弧形状部分に対応した部分が逆に連結部(U状の基端部であり、連結ボルト53の押圧部となる)130cがある円弧形状に形成されている。
そして、左右両側壁130a,130aの中央部分には、図43および図48に示すように、前後方向に延びる所定の長さの長穴130b,130bが形成されており、この長穴130b,130bを介して、上記連結金具係止ホルダー11の左右両側壁11a,11a間の上記軸着ボルト54に対して回動可能、かつ前後方向にスライド可能に軸支されている。
この係合部材130の左右両側壁130a,130aの上下両端は、上記連結金具係止ホルダー11上端のガイド片11mの前後方向の傾斜角に沿って平行に傾斜したものとなっており、上記長穴130b,130bも同様の傾斜角度で前後方向に平行に傾斜している。そして、それら左右一対の側壁130a,130aの上端は、上記長穴130b、130bを介して軸着ボルト54に軸支された状態において、上記連結金具係止ホルダー11上端のガイド片11mの下面により傾斜角が規制されて、上下方向に傾くことなく前後方向にスムーズにスライドするようになっている。
左右両側壁130a,130aの前端は、上記軸支状態において鉛直方向にストレートに延び、その上下方向の全体に亘って、上記吊りボルト4のネジ溝に噛み合う係合部(凹凸溝部)130e,130eが設けられている。
それら左右両側壁130a,130aの後部側下端の連結部130cの前後方向の幅は、少なくともブレース材5を連結する傾斜角範囲内において、連結ボルト53のボルト軸先端53aが当接し、押圧力が作用する回動角範囲をカバーできる寸法のものであれば良い。
この実施の形態の場合、上述した軸着ボルト挿通孔11b,11b部分からボルト連結金具51および連結ボルト53を鉛直方向下方に垂設させた状態から斜め45度に傾斜させた状態までの回動角範囲に対応したものとされており、しかも、その円弧面の曲率(傾斜角)は、上記長穴130b,130bの長さ、位置およびその傾斜角との関係において、上記ボルト連結金具51および連結ボルト53が鉛直方向下方に垂設されている状態において、上記ボルト連結金具51を介して上記連結ボルト53を締めて行った時に(連結ボルト53の先端で係合部材130の連結部130cを押圧して行った時に)、係合部材130の全体が上記連結部130cの円弧面によりガイドされて次第に右回りに回動せしめられて(図43,図48の方向に見た時に)、最終的に斜め45度に傾斜する状態になった時に、連結金具係止ホルダー後端部11cで位置規制されて係合部材130の回転が止まり、確実に締めつけられるようになっている。逆に連結金具係止ホルダー11が固定されている状態で言うと、連結ボルト53およびボルト連結金具51側が左回り方向に回転されて連結金具係止ホルダー後端部11h部分で位置規制されて回転が止まり、確実に締めつけられるようになっている。
この時、上記ボルト連結金具51および連結ボルト53が鉛直方向下方に垂設されている状態では、上記係合部材130は、重力により下降した状態にあり、長穴130bの前端(上端)位置で軸着ボルト54に軸支されているから(図43の状態を参照)、その前端側の係合部(凹凸溝部)130e、130eは、上記吊りボルト嵌挿部には突出しておらず、上記吊りボルト嵌挿部には、上述した吊りボルト嵌入口120を介して横から容易に吊りボルト4を嵌入することができる。
そして、このようにして連結係止ホルダー11前端部(基端部11c)内側の吊りボルト嵌挿部に吊りボルト4を嵌合し、さらに上述のように連結ボルト53を螺合、回動してゆくと、上記ボルト連結金具51および連結ボルト53が45度傾斜方向に回動されるとともに、係合部材13が長穴130bを介して次第に吊りボルト嵌挿部側に突出して行き、その前端側の係合部(凹凸溝部)130e、130eの全体を上記吊りボルト嵌挿部内に嵌挿されている吊りボルト4のネジ溝に係合させた状態で押圧され、吊りボルト4を吊りボルト嵌挿部部分に確実に固定する(図43の状態を参照)。
<ブレース材上端側の連結ボルト保持部材の構成について>
吊りボルト4に対して連結されるブレース材5の上端には、たとえば図51および図52に示されるように、上記のようにして係合部材130を吊りボルト4の外周面に係合、圧着させる連結ボルト53の保持部材(連結ボルト53を保持し、かつ連結ボルト53とブレース材5とをトルクリミッター機能を有して連結保持する連結ボルト保持部材52が設けられている。
この連結ボルト保持部材52の構造は、上記第1の実施の形態における連結ボルト保持部材52の構造と同一であり、角形鋼管よりなるブレース材5の上端側を吊りボルト4の上端に連結するのに適しており、全く同様の作用効果を奏する。したがって、その詳細については、上記第1の実施の形態の説明をそのまま援用する。
この実施の形態の構成の場合、まず断面U状の連結金具係止ホルダー11の基端部11c側吊りボルト挿通孔部分の側部に吊りボルト嵌入口120が設けられており、該吊りボルト嵌入口120を介して横から吊りボルト4を嵌入することができる。したがって、吊りボルト4の天上スラブ40側上端にブレース材5を連結する場合にも、長い吊りボルト4の下方から上方に連結金具係止ホルダー11を嵌挿する必要がなく、最初から連結位置で直交方向に容易に嵌合することができる。したがって、連結金具係止ホルダー11に対する吊りボルト嵌挿作業(又は吊りボルト4に対する連結金具係止ホルダー11の嵌合作業)が非常に容易になる。
また、連結ボルト53に押されて吊りボルト4外周面のネジ溝に係合する係合手段が、上述した第1の実施形態のような係止ギヤホルダー12内に支持された円形の係止ギヤ13,13ではなく、左右両側壁部130a,130aの先端に吊りボルト4外周面のネジ溝に沿って係合する上下方向の係合部(凹凸溝部)130e,130eを備えた断面U状の係合部材130よりなっており、吊りボルト4外周面のネジ溝に対して十分な係合力を有して係合するようになっている。したがって、吊りボルト4とブレース材5連結部の係止力が大きく向上する。
しかも、同断面U状の係合部材130は、連結金具係止ホルダー11内にあって、その基端部11c側に嵌挿された上記吊りボルト4に向けてスライド可能に軸支されており、上記のように、吊りボルト4外周面のネジ溝に沿って係合した時には、その内の何れか一方側の側壁部130aが上記吊りボルト嵌入口120を狭くするようになっている。したがって、連結金具係止ホルダー11内に嵌挿された吊りボルト4は、吊りボルト嵌入口120があっても係合後は上述した第1の実施の形態と略同様の閉環状に嵌合保持されることになり、外れるような恐れは生じない。
また、係合部材130は断面U状構造をなし、同係合部材130の上下方向の係合部(凹凸溝部)を有する左右両側壁部の先端(開放端側先端)が所定の間隔をおいて吊りボルト4の外周面(円弧面)のネジ溝部分に左右2カ所で係合して連結金具係止ホルダー11のU状の基端部11cとの間で吊りボルト4を確実かつ強固に挟着保持するので、第1の実施の形態のような吊りボルト挿通孔形成用(押圧用)の係止ギヤホルダー12は不要となり、部品点数が減少して、構造も簡単になり、製品価格も安価になる。すなわち、この実施の形態の場合には、上記係合部材130単体が、第1の実施の形態における係止ギヤホルダー12と係止ギヤ13,13の両機能を果たしている。
この場合、上下方向の係合部(凹凸溝部)130e,130eを有する左右両側壁130a,130a相互の間隔は、当然ながら吊りボルト4の外径(直径)よりも所定寸法小さいが、同吊りボルト4の円弧面を左右両側で十分に挟着固定して、かつ同円弧面に有効に押圧力を作用させることができる寸法に設定されている。具体的には、断面U状の連結金具係止ホルダー11の内側にスライド可能に嵌合される同じく断面U状の金属プレートで、その開放端側左右両側壁130a,130aを当該連結金具係止ホルダー11のU状部基端側内壁面に対向させ得る寸法のものに形成されている。
この場合、上記係合部材130の開放端側左右両側壁130a,130aの先端は、吊りボルト4の円弧面左右に所定の間隔をおいて強く押し付けられると、当該吊りボルト4の円弧面左右を強く挟着する反面、吊りボルト4円弧面側からの応力で広がり方向の力を受けるが、同構成の場合、係合部材130は連結金具係止ホルダー11の内側に嵌合されており、上記開放端側左右両側壁130a,130a先端に作用する広がり力は連結金具係止ホルダー11の左右両側壁11a、11aによって確実、かつ強固に規制されるので、そのような心配はない。
このような構成のブレース材連結金具10においても、ブレース材5として角形鋼管を採用することができ、そのようにした場合において、上記のように連結ボルト保持部材52として、図43および図51のように、上記第1の実施の形態の構成と同様の連結ボルト保持部材52を採用すると、上述した第1の実施の形態のものと全く同様の作用、効果を得ることが可能である(第1の実施の形態の図32に対応する図52の構成を参照)。
<第2の実施の形態における連結金具係止ホルダーの構造の変形例について>
第2の実施の形態では、連結金具係止ホルダー11の吊りボルト嵌挿部を形成するU状の基端部11c側部部分に吊りボルト嵌入口120を形成し、吊りボルト4への嵌挿を容易にしている。しかし、このように吊りボルト嵌入口120を形成すると、嵌挿作業が容易である反面、連結金具係止ホルダー11そのものの強度(特に引っ張り荷重に対する強度)が低下することは否めない。
したがって、同構成においては、天井下地の構造、求められる耐震性に応じて、上記のような吊りボルト嵌入口120を設けない構造も採用される。そのように吊りボルト嵌入口120のない構造にすると、上記第1の実施の形態の連結金具係止ホルダー11と全く同様の高い係合強度(閉環構造での嵌合強度)を確保しながら、上述した長穴130b,130bとの組み合わせによるスライド型係合部材130による係合構造のメリット(第1の実施の形態のような円形の筒孔12eの隙間による上下偏位のない係合作用、係止機能)を実現することができる。
また、第2の実施形態では、連結金具係止ホルダー11の吊りボルト嵌挿部を形成するU状の基端部11c内側部分に、第1の実施の形態のような吊りボルト4外周面のネジ溝と係合するネジ溝を設けていないが、これは同様に設ける構成も採用される。そのようにすると、より係止強度、連結強度が向上する。