以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。尚、以下において説明をする点を除き、本例の印刷システム10は、公知の印刷システムと同一又は同様の特徴を有してよい。
本例において、印刷システム10は、印刷対象の媒体(メディア)に対してインクジェット方式で印刷を行うシステムであり、印刷装置12及びホストPCを備える。印刷装置12は、インクジェット方式で媒体に対して印刷を行うインクジェットプリンタであり、ホストPC14から受け取る印刷入力データに基づき、印刷の動作を実行する。この場合、印刷入力データとは、例えば、印刷すべき画像である印刷画像を示す入力データのことである。また、本例において、印刷入力データは、吐出位置指定データの一例である。この場合、吐出位置指定データとは、例えば、印刷装置12におけるインクジェットヘッドによりインクを吐出する吐出位置を指定することで印刷画像を示すデータのことである。
ホストPC14は、印刷装置12の動作を制御するコンピュータであり、印刷装置12の外部において印刷入力データを生成して、生成した印刷入力データを印刷装置12へ供給することにより、印刷装置12の動作を制御する。また、より具体的に、本例において、ホストPC14は、RIP(Raster Image Processor)処理を行うことで、印刷入力データを生成する。この場合、RIP処理とは、例えば、印刷装置12において使用するインクの色数や印刷の解像度等に合わせたラスタ形式の画像を生成する処理のことである。ホストPC14から印刷装置12へ供給する印刷入力データとしては、公知のRIP処理等を行って生成するデータを好適に用いることができる。この場合、ホストPC14において印刷入力データを生成する処理については、例えば、公知の処理と同一又は同様に行うことができる。
尚、上記のように、本例において、印刷システム10は、印刷装置12及びホストPC14の2台の装置により構成されている。しかし、印刷システム10の変形例においては、1台の装置のみによって印刷システム10を構成してもよい。この場合、例えば、ホストPC14の機能を兼用する印刷装置12を用いること等が考えられる。また、印刷システム10は、3台以上の装置により構成されてもよい。この場合、例えば、印刷装置12の一部に対応する構成(例えば、以下において説明をするカメラユニット110に対応する構成)について、印刷装置12とは別の装置と考えることもできる。
続いて、印刷システム10における印刷装置12について、更に詳しく説明をする。図1(b)は、印刷装置12の構成の一例を示す。図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。本例において、印刷装置12は、ヘッド部102、プラテン104、主走査駆動部106、副走査駆動部108、カメラユニット110、及び制御ユニット120を有する。
尚、上記及び以下に説明をする点を除き、印刷装置12は、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の特徴を有してよい。また、印刷装置12は、図示した構成以外に、印刷の動作等に必要な各種の構成を更に有してもよい。例えば、印刷装置12は、使用するインクの種類に応じて、インクを媒体50に定着させるための定着手段等を更に有してよい。
ヘッド部102は、媒体50に対してインクを吐出する部分であり、キャリッジ200及び複数のインクジェットヘッドを有する。キャリッジ200は、複数のインクジェットヘッドを保持する保持部材である。また、本例において、ヘッド部102は、複数のインクジェットヘッドとして、図1(c)に示すように、インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、及びインクジェットヘッド202k(以下、インクジェットヘッド202y~kという)を有する。インクジェットヘッド202y~kのそれぞれは、互いに異なる色のインクをインクジェット方式で媒体50へ吐出するインクジェットヘッドであり、印刷装置12において予め設定された副走査方向(図中のX方向)の位置を互いにずらして並ぶ複数のノズルを有し、それぞれのノズルから、媒体50へ向けてインクを吐出する。また、本例において、インクジェットヘッド202y~kは、副走査方向の位置を揃えて、副走査方向と直交する主走査方向(図中のY方向)へ並べて配設される。
また、インクジェットヘッド202y~kから吐出する各色のインクは、カラー印刷(例えば、フルカラー印刷)に用いる基本色(プロセスカラー)の各色のインクである。より具体的に、インクジェットヘッド202yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。また、インクジェットヘッド202kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。また、以下の説明において、インクジェットヘッド202y~kのそれぞれについて、いずれの色に対応するかを区別しない場合、インクジェットヘッド202y~kのそれぞれについて、単に、インクジェットヘッド202という。
プラテン104は、ヘッド部102と対向する位置において媒体50を保持する台状部材である。主走査駆動部106は、ヘッド部102におけるインクジェットヘッド202y~kに主走査動作を行わせる駆動部である。この場合、主走査動作とは、例えば、主走査方向へ媒体50に対して相対的に移動しつつインクを吐出する動作のことである。本例において、主走査駆動部106は、複数のインクジェットヘッド202y~kを保持するキャリッジ200を主走査方向へ移動させることにより、主走査方向における位置を固定した媒体50に対してインクジェットヘッド202y~kの側を主走査方向へ移動させる。
副走査駆動部108は、インクジェットヘッド202y~kに副走査動作を行わせる駆動部である。この場合、副走査動作とは、例えば、副走査方向へ媒体50に対して相対的に移動する動作のことである。また、本例において、副走査駆動部108は、例えば、図示を省略したローラ等を用いて副走査方向と平行な搬送方向へ媒体50を搬送することにより、媒体50の側を移動させて、インクジェットヘッド202y~kに副走査動作を行わせる。
カメラユニット110は、媒体50と対抗する位置に配設される撮影装置である。カメラユニット110の構成や、カメラユニット110のカメラにより取得する画像については、後に更に詳しく説明をする。
制御ユニット120は、例えば印刷装置12のCPUを含む構成であり、印刷装置12の各部の動作を制御する。また、より具体的に、制御ユニット120は、例えば、ホストPC14から受け取る印刷入力データに基づき、インクジェットヘッド202y~kに媒体50へインクを吐出させる。また、これにより、制御ユニット120は、印刷入力データが示す印刷画像をインクジェットヘッド202y~kに描かせる。また、本例において、制御ユニット120は、印刷画像を描く動作と並行して、不良ノズルの検出に用いるテストパターンをインクジェットヘッド202y~kに更に描かせる。この場合、不良ノズルとは、例えば、吐出特性が所定の正常範囲から外れたノズル(吐出不良ノズル)のことである。また、不良ノズルの検出とは、例えば、不良ノズルの有無を検出することである。また、本例において、不良ノズルの検出としては、不良ノズルの有無の検出に加え、不良複数のノズルの中から、いずれのノズルが不良ノズルになっているかを検出する。
また、上記のように、本例において、制御ユニット120は、インクジェットヘッド202y~kにテストパターンを描かせる。この場合、インクジェットヘッド202y~kにテストパターンを描かせるとは、例えば、インクジェットヘッド202y~kのそれぞれに対し、各色に対応するテストパターンを描かせることである。また、各色に対応するテストパターンについては、例えば、一つのインクジェットヘッド202における複数のノズルの吐出特性の確認に用いるパターン等と考えることができる。インクジェットヘッド202y~kに描かせるテストパターンについては、後に更に詳しく説明をする。
ここで、印刷システム10において印刷を行う動作等について、更に詳しく説明をする。本例において、印刷装置12は、マルチパス方式により、媒体50への印刷を行う。この場合、マルチパス方式とは、例えば、媒体50において印刷画像が印刷される領域の各位置に対して複数回の主走査動作を行う方式のことである。各位置に対して複数回の主走査動作を行うとは、例えば、各位置と対向する位置をインクジェットヘッド202y~kが通過する回数が複数回になるように主走査動作を行うことである。また、この場合、各回の主走査動作の合間において、副走査駆動部108は、各位置に対して行う主走査動作の回数であるパス数に応じて決まる送り量での副走査動作をインクジェットヘッド202y~kに行わせる。より具体的に、インクジェットヘッド202y~kのそれぞれにおいてにおいて複数のノズルが並ぶ範囲(副走査方向における範囲)の幅をノズル列長Lと定義して、パス数をN(Nは、2以上の整数)とした場合、副走査動作での送り量については、例えば、ノズル列長をNで除した値(L/N)に対応する距離に設定することが考えられる。
また、この場合、ホストPC14は、印刷画像を示す印刷入力データとして、同じ位置への複数回の主走査動作により印刷画像の各部が完成するデータを用意する。例えば、本例において、ホストPC14は、印刷装置12において行うマルチパス方式での動作に合わせて、各回の主走査動作でインクを吐出する吐出位置を示す印刷入力データを生成する。より具体的に、例えば、1回の主走査動作においてインクジェットヘッド202y~kのそれぞれによりインクを吐出する吐出位置を指定するデータを主走査用データと定義した場合、ホストPC14は、印刷画像を描くために行うそれぞれの回の主走査動作に対応する主走査用データを含む印刷入力データを生成する。
この場合、主走査用データについては、例えば、一つのインクジェットヘッド202により1回の主走査動作でインクを吐出する吐出位置を示すデータ等と考えることもできる。また、このような主走査用データを含む印刷入力データについては、例えば、印刷に使用するインクの色毎に各回の主走査動作でインクを吐出する吐出位置を示すデータ等と考えることができる。また、主走査用データについては、例えば、吐出位置を指定することで吐出位置に対応する画像を示すラスタ画像等と考えることもできる。
また、本例において、制御ユニット120は、主走査用データに対し、テストパターンを追加する補正を行うことで、インクジェットヘッド202y~kにテストパターンを描かせる。このように構成すれば、例えば、各回の主走査動作における吐出位置を指定するデータに対し、テストパターンを描くためにインクを吐出する吐出位置を適切に追加することができる。また、これにより、例えば、マルチパス方式で印刷を行う場合にも、テストパターンの描画を適切に行うことができる。また、このようにしてテストパターンを追加する構成については、例えば、印刷装置12のファームウェアに従って印刷装置12内でテストパターンを追加する構成や、テストパターンをファームウェアで作成する構成等と考えることもできる。
続いて、印刷装置12における制御ユニット120及びカメラユニット110について、更に詳しく説明をする。図2は、印刷装置12における制御ユニット120及びカメラユニット110について更に詳しく説明をする図である。図2(a)は、制御ユニット120の詳細な構成の一例を示す。本例において、制御ユニット120は、入出力部302、CPU304、不良ノズル検出部306、印刷制御部308、キャリッジ駆動制御部310、及び搬送駆動制御部312を有する。
入出力部302は、ユーザとの間での入出力を行う部分であり、印刷システム10(図1参照)や印刷装置12(図1参照)に対するユーザの指示の受け付けや、ユーザに対する各種の情報の表示等を行う。入出力部302としては、例えば、操作パネル及び表示部等を用いることが考えられる。CPU304は、プログラムに従って各種の処理を行う演算装置である。また、本例において、CPU304は、印刷装置12の動作を制御するプログラムであるファームウェアに従って、制御ユニット120の各部(例えば、入出力部302、不良ノズル検出部306、印刷制御部308、キャリッジ駆動制御部310、及び搬送駆動制御部312)の動作を制御する。また、これにより、CPU304は、印刷装置12の各部の動作を制御する。刷装置12のファームウェアについては、例えば、図示を省略した記憶装置等に記憶しておくこと等が考えられる。
不良ノズル検出部306は、不良ノズルの検出を行う構成である。この場合、不良ノズルの検出を行うとは、インクジェットヘッド202における複数のノズルの中で吐出特性が不良になっている不良ノズルを検出することである。また、本例において、不良ノズル検出部306は、印刷装置12の装置本体(本体部分)内に設置され、画像処理部352及び電子記録媒体354を有し、カメラユニット110により撮影された画像に基づき、不良ノズルの検出を行う。また、不良ノズル検出部306において、電子記録媒体354は、カメラユニット110により撮影された画像を示す画像データを保存する。また、この場合、電子記録媒体354は、少なくとも、画像に対する画像処理部352での処理が完了するまでの間、画像を保存する。また、画像処理部352は、電子記録媒体354に保存されている画像データに基づいて画像処理を行うことで、不良ノズルの有無を判定して、CPU304へ通知する。また、不良ノズルが存在する場合には、不良ノズルを示すノズル番号を特定して、CPU304へ通知する。この場合、ノズル番号とは、例えば、インクジェットヘッド202が有する複数のノズルのそれぞれを区別するためにノズル毎に設定される番号のことである。ノズル番号としては、例えば、インクジェットヘッド202の一端側から数えて何番目のノズルかを示す番号等を用いることが考えられる。不良ノズル検出部306において不良ノズルを検出する動作については、後に更に詳しく説明をする。
印刷制御部308は、印刷画像及びテストパターンを描く動作を複数のインクジェットヘッド202に行わせる構成である。また、本例において、印刷制御部308は、キャリッジ駆動制御部310及び搬送駆動制御部312を介して主走査駆動部106及び副走査駆動部108の動作を制御しつつ、印刷画像及びテストパターンを描くために必要な吐出位置へインクジェットヘッド202y~kにインクを吐出させる。また、これにより、印刷制御部308は、媒体50(図1参照)への印刷画像及びテストパターンの描画をインクジェットヘッド202y~kに行わせる。また、この場合、印刷制御部308について、例えば、テストパターンの印刷を指示するテストパターン印刷指示部として機能していると考えることもできる。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、主走査用データに対して補正を行うことで、インクジェットヘッド202y~kにテストパターンを描かせる。そして、この場合、印刷制御部308は、例えば、少なくともいずれかの回の主走査動作に対応する主走査用データに対し、テストパターンを描くためにインクを吐出する吐出位置を追加する補正を行う。このように構成すれば、例えば、マルチパス方式で印刷画像の印刷を行う場合にも、テストパターンを適切に描くことができる。また、上記においても説明をしたように、本例において、印刷入力データは、吐出位置指定データの一例である。そのため、上記のように主走査用データを補正する動作については、吐出位置指定データに対してテストパターンを描くためにインクを吐出する吐出位置を追加する補正を行う動作の例等と考えることもできる。
キャリッジ駆動制御部310は、主走査動作時等におけるキャリッジ200(図1参照)の移動を制御する構成である。本例において、キャリッジ駆動制御部310は、主走査駆動部106の動作を制御することにより、主走査方向へキャリッジ200を移動させる。また、これにより、キャリッジ駆動制御部310は、主走査動作時におけるインクジェットヘッド202y~kの移動を制御する。搬送駆動制御部312は、媒体50の搬送を制御する構成である。本例において、搬送駆動制御部312は、副走査駆動部108に媒体50の搬送を行わせることにより、副走査動作の制御を行う。
以上の構成により、本例において、制御ユニット120は、印刷装置12に、印刷画像及びテストパターンの描画を行わせる。また、制御ユニット120は、更に、カメラユニット110により撮影される画像に基づき、不良ノズルの検出を行う。
尚、図2(a)においては、図示及び説明の便宜上、制御ユニット120の構成として、機能毎に分けた構成を示している。しかし、制御ユニット120においては、必ずしも上記のような機能毎に別の構成を用いるのではなく、CPU304により様々な機能を実現すること等も考えられる。より具体的に、例えば、不良ノズル検出部306における画像処理部352、印刷制御部308、キャリッジ駆動制御部310、及び搬送駆動制御部312の少なくとも一部については、CPU304に兼用させること等も考えられる。この場合、CPU304は、例えば、ファームウェアに従って動作することで、画像処理部352、印刷制御部308、キャリッジ駆動制御部310、及び搬送駆動制御部312等として機能する。
続いて、カメラユニット110の構成について、説明をする。図2(b)は、カメラユニット110の構成の一例を示す。本例において、カメラユニット110は、カメラ402、照明404、及び撮影制御部406を有する。また、カメラ402及び照明404は、印刷装置12の装置本体に対し、媒体50と対向するように、取り付け機構によって取り付けられる。
カメラ402は、画像を撮影する撮影装置である。また、本例において、カメラ402は、媒体50の一部の領域が視野に入るように配設されており、撮影制御部406の指示に応じて撮影を行うことで、媒体50の一部の領域を撮影した画像である一部領域画像を取得する。また、より具体的に、本例において、カメラ402は、一部領域画像として、媒体50に描かれたテストパターンの一部が写った画像を取得する。また、カメラ402は、印刷装置12において印刷画像及びテストパターンを印刷している動作中(装置の運転中)に撮影を行うことで、テストパターンを描く動作を行っている間に一部領域画像を取得する。また、この場合、カメラ402は、1回の撮影により、テストパターンのうちの副走査方向における一部の範囲のみが写った一部領域画像を取得する。副走査方向における一部の範囲とは、印刷画像及びテストパターンを印刷する動作中において媒体50上で副走査方向と平行になる方向での一部の範囲のことである。
照明404は、カメラ402による撮影時に撮影の対象物へ光を照射する光源である。また、本例において、照明404は、少なくとも、テストパターンの一部に対して、光を照射する。
撮影制御部406は、カメラ402の撮影の動作を制御する構成である。また、本例において、撮影制御部406は、カメラ402及び照明404の動作を制御することで、カメラ402に一部領域画像を取得させる。また、この場合において、撮影制御部406は、互いにタイミングを異ならせて複数回の撮影をカメラ402に行わせることで、テストパターンにおける互いに異なる範囲がそれぞれに写った複数の一部領域画像をカメラ402に取得させる。より具体的に、本例において、撮影制御部406は、合間に少なくとも1回の副走査動作が行われるように撮影のタイミングをずらしてカメラ402に複数回の撮影を行わせることで、上記のような複数の一部領域画像をカメラ402に取得させる。
また、撮影制御部406は、カメラ402に取得させた複数の一部領域画像について、制御ユニット120における不良ノズル検出部306へ供給する。これにより、不良ノズル検出部306は、カメラ402により撮影された一部領域画像に基づき、不良ノズルの検出を行う。この場合、不良ノズル検出部306は、撮影制御部406から受け取る一部領域画像を電子記録媒体354に保存し、一部領域画像に対して所定の画像処理を画像処理部352により行うことで、不良ノズルの検出を行う。本例によれば、例えば、テストパターンを撮影することで得られる画像を利用して、不良ノズルの検出を適切に行うことができる。
続いて、テストパターンを利用して不良ノズルを検出する方法等について、更に詳しく説明をする。図3は、本例において用いるテストパターンについて更に詳しく説明をする図である。図3(a)は、媒体50に対して印刷を行う領域の一例を示す図であり、媒体50に描く印刷画像502及びテストパターン504の一例を示す。また、図3(a)においては、図示の便宜上、印刷画像502及びテストパターン504について、それぞれが描かれる領域を示す破線により図示をしている。
上記においても説明をしたように、本例においては、印刷画像502を描く動作と並行して、不良ノズルの検出に用いるテストパターン504をインクジェットヘッド202y~kに更に描かせる。また、より具体的に、本例において、印刷制御部308(図2参照)は、印刷画像が描かれる範囲の外の領域に対し、インクジェットヘッド202y~kにテストパターンを描かせる。このように構成すれば、例えば図中に示すように、印刷画像502と重ならない位置にテストパターン504を適切に描くことができる。また、これにより、例えば、印刷画像への影響を避けつつ適切にテストパターンを描くことができる。また、このような動作については、例えば、媒体50に対して本来印刷される印刷画像の余白に印刷画像の印刷中にテストパターンを描く動作等と考えることができる。
また、本例において、テストパターン504が描かれる範囲は、主走査方向において、印刷画像502が描かれる範囲の外側に設定される。また、より具体的に、図3(a)においては、印刷画像502が描かれる範囲に対する主走査方向の一方側にテストパターン504が描かれる範囲を設定する場合の例を示している。テストパターン504が描かれる範囲については、例えば、印刷画像502が描かれる範囲に対する主走査方向の両側に設定してもよい。
図3(b)は、テストパターン504の構成の一例を示す。本例において、テストパターンとしては、開始マーク602、複数の縦線604、パターン部606、及び複数の位置マーク608を有するパターンを用いる。また、図3(b)においては、図示の便宜上、パターン部606について、所定のパターンが描かれる領域を示す破線により図示をしている。
また、これらの各構成のうち、開始マーク602は、テストパターン504の描画を開始する位置を示すパターンである。本例において、開始マーク602としては、主走査方向へ延伸する線状のパターン(横線パターン)を用いる。また、開始マーク602は、テストパターン504において媒体50の搬送方向の最下流の位置へ描かれることにより、テストパターン504の開始位置を示す。この場合、テストパターン504において媒体50の搬送方向の最下流の位置については、例えば、テストパターン504を描く動作においてインクジェットヘッド202y~kにより最初にインクが吐出される位置等と考えることができる。このような開始マーク602を用いることで、例えば、テストパターン504の先頭がカメラ402(図2参照)の視野内に到達したことを容易かつ適切に検出することができる。また、これにより、例えば、カメラ402により取得する複数の一部領域画像において、テストパターン504の開始位置をより確実に検出することができる。また、この場合、不良ノズルの検出に使用する一部領域画像として、開始マーク602が写った一部領域画像以降に取得される一部領域画像を用いることが考えられる。
また、複数の縦線604は、テストパターン504が描かれている範囲を示すパターンである。本例において、複数の縦線604のそれぞれは、副走査方向へ延伸する線状のパターン(縦線パターン)であり、テストパターン504におけるパターン部606及び複数の位置マーク608に対し、主走査方向の一方側及び他方側のそれぞれに描かれる。このような複数の縦線604を用いることで、例えばカメラ402の調整により画像を撮影する倍率が変動した場合等にも、パターン部606内に描かれるパターン(例えば、それぞれのノズルで描いた線)の位置(例えば、主走査方向の位置)の推定等をより容易かつ適切に行うことができる。複数の縦線604が描かれる位置については、例えば、テストパターン504の左右の位置等を考えることもできる。
パターン部606は、複数のノズルのそれぞれにより描かれるパターンであるノズル対応パターンが描かれる部分である。この場合、複数のノズルとは、例えば、インクジェットヘッド202y~k(図1参照)のうちの少なくともいずれか一つのインクジェットヘッド202が有する複数のノズルのことである。また、ノズル対応パターンについては、例えば、それぞれのノズルが不良ノズルであるか否かを確認するためのパターン等と考えることができる。ノズル対応パターンとしては、例えば梯子状のパターン等を好適に用いることができる。梯子状のパターンについては、後に更に詳しく説明をする。また、ノズル対応パターンとしては、梯子状のパターンに限らず、不良ノズルの検出に用いる公知のパターンと同一又は同様の他のパターンを用いてもよい。
複数の位置マーク608は、テストパターン504において予め設定された基準の位置を示すパターンである。また、本例において、複数の位置マーク608のそれぞれは、パターン部606におけるいずれかのノズル対応パターンの位置を示すように、パターン部606と主走査方向において隣接する位置に描かれる。また、この場合、それぞれの位置マーク608について、例えば、位置マーク608に対して所定の相対位置に描かれるノズル対応パターンがいずれのノズルと対応するかを示している等と考えることができる。また、位置マーク608については、例えば、インクジェットヘッド202におけるいずれかのノズルについてのノズル番号を示すマーク等と考えることもできる。また、位置マーク608について、例えば、インクジェットヘッド202における所定のノズルを示すマーク等と考えることもできる。
このような複数の位置マーク608を用いることにより、例えば、パターン部606に描かれるそれぞれのノズル対応パターンについて、いずれのノズルに対応するパターンであるかをより適切に識別することができる。また、これにより、例えば、一部領域画像を用いて行う不良ノズルの検出をより適切に行うことができる。位置マーク608の用い方等については、以下において、更に詳しく説明をする。
図4は、不良ノズル検出部306において不良ノズルを検出する動作や位置マーク608の用い方等について更に詳しく説明をする図であり、位置マーク608が写った複数の一部領域画像を取得する動作の一例を示す。また、図4においても、図示の便宜上、パターン部606について、ノズル対応パターンが描かれる領域を示す破線により図示をしている。
上記においても説明をしたように、本例において、カメラユニット110の撮影制御部406(図2参照)は、互いにタイミングを異ならせて複数回の撮影をカメラ402(図2参照)に行わせることで、テストパターンにおける互いに異なる範囲がそれぞれに写った複数の一部領域画像をカメラ402に取得させる。この場合、それぞれの一部領域画像については、上記においても説明をしたように、例えば、テストパターンの一部が写った画像と考えることができる。また、テストパターンの一部については、例えば、一つのインクジェットヘッド202における一部のノズルのみに対応するノズル対応パターンを含む範囲等と考えることができる。また、より具体的に、本例において、撮影制御部406は、図中に1枚目~N枚目(Nは、2以上の整数)として示すように、副走査方向における撮影の範囲を互いに異ならせてN回の撮影をカメラ402に行わせることで、N個の一部領域画像をカメラ402に取得させる。
また、本例において、テストパターン504は、図中で符号608-1~N+1を付して区別して示すように、副走査方向において位置をずらして媒体50に描かれる複数の位置マーク608を含む。この場合、副走査方向における位置をずらすとは、媒体50において印刷時に副走査方向と平行になる方向において位置をずらすことである。また、この場合、副走査方向において二つの位置マーク608に挟まれる範囲には、複数のノズルに対応する複数のノズル対応パターンが描かれる。また、より具体的に、副走査方向において二つの位置マーク608に挟まれる範囲には、例えば、一つのインクジェットヘッド202のノズル列の一部において連続して並ぶ複数のノズルに対応する複数のノズル対応パターンが描かれる。
そして、本例において、撮影制御部406は、図中に示すように、それぞれの一部領域画像の中に二つ以上の位置マーク608が写り、かつ、連続して撮影される二つの一部領域画像の中にいずれかの位置マーク608(二つ以上の位置マーク608のうちのいずれか)が共通して写るように、複数の一部領域画像をカメラ402に取得させる。例えば、図示した場合においては、それぞれの一部領域画像の中に二つの位置マーク608が写り、かつ、連続して撮影される二つの一部領域画像の中に一つの位置マーク608が共通して写るように、複数の一部領域画像をカメラ402に取得させる。このように構成すれば、例えば、連続して撮影される二つの一部領域画像について、画像の共通部分をより確実かつ適切に認識することができる。また、これにより、例えば、二つの一部領域画像がつながる位置等を適切に識別することができる。また、例えば、パターン部606におけるノズル対応パターンと位置マーク608との対応関係について、より確実に判断をすることができる。
また、この場合、複数の一部領域画像に対して順次行う画像処理において、画像処理が完了した一部領域画像(前の画像)と、処理中の一部領域画像(注目中の画像)との重複部分には、必ず一つ以上の位置マーク608が含まれることになる。そして、不良ノズル検出部306における画像処理部352(図2参照)は、連続して撮影される二つの一部領域画像に共通して写っている位置マーク608と、二つの一部領域画像のうちの一方に写っているノズル対応パターンとに基づき、二つの一部領域画像のうちの他方に写っているノズル対応パターンに対応するノズルを識別する。また、この場合、2枚目以降の一部領域画像に対し、例えば、一番下の位置マーク608に対応するノズル番号について、一つ前の一部領域画像にある位置マーク608の中で一致するものに対応するノズル番号として判定を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、連続して順次取得する複数の一部領域画像の中に写っているノズル対応パターンに対応するノズルを適切に識別することができる。この場合、ノズル対応パターンに対応するノズルを識別するとは、ノズル対応パターンがいずれのノズルにより描かれたかを識別することである。
また、本例においては、1回の撮影でカメラ402により撮影する範囲をテストパターンのうちの副走査方向における一部の範囲のみにすることで、例えば低解像度で視野の狭いカメラ等の安価なカメラ402を用いる場合にも、不良ノズルの判定が可能な精度の画像を適切に撮影することができる。また、この場合、一部領域画像の副走査方向における撮影範囲については、例えば、ノズル列長よりも狭くすることが考えられる。また、より具体的に、一部領域画像の副走査方向における撮影範囲については、例えば、ノズル列長の半分以下にすること等が考えられる。また、一部領域画像の副走査方向における撮影範囲は、ノズル列長の1/3以下であることが好ましい。このように構成すれば、例えば、安価なカメラ402を用いて、不良ノズルの検出をより適切に行うことができる。
また、この場合、カメラ402の視野とテストパターン504との関係に着目した場合、カメラ402の縦方向(副走査方向)の視野に全体が収まらないテストパターン504を用いていると考えることもできる。また、この場合、複数の一部領域画像とテストパターン504との関係については、例えば、副走査駆動部108(図1参照)により媒体50を搬送している間に複数回に分けてカメラ402により撮影を行い、先に撮影される一部領域画像の上部と後で撮影される一部領域画像の下部とを重ねることで、テストパターン504の全体の画像を得ていると考えることができる。
続いて、本例において用いるテストパターン504について、更に詳しく説明をする。図5は、テストパターン504の詳細な構成の一例を示す図であり、パターン部606に含まれるノズル対応パターンを含めて、テストパターン504の構成の例を示す。また、図中において、パターン部606内に示した数字は、ノズル対応パターンとノズルとの対応関係の例を示すために図示したものであり、一部のノズル対応パターンに対応するノズルのノズル番号を示している。
上記においても説明をしたように、本例において、パターン部606に含まれるノズル対応パターンとしては、梯子状のパターンを用いる。この場合、梯子状のパターンとは、1回の主走査動作において一つのノズルにより一つのラインを描くように複数のノズルに複数のラインを描かせ、かつ、隣接するノズルによりラインを描く位置を主走査方向においてずらすことで形成されるパターンである。この場合、1回の主走査動作において一つのノズルによりラインを描くとは、例えば、主走査動作中の一部の期間に一つのノズルにより最小の吐出間隔で複数回のインクの吐出を行うことでラインを描くことである。また、梯子状のパターンは、検出対象のノズル1個ずつを用いてインクを吐出して印字(印刷)を行うパターンの一例である。梯子状のパターンとしては、公知のテストパターンにおいて用いているパターンと同一又は同様のパターンを用いることができる。また、この場合、1回の主走査動作において一つのノズルにより描くライン状のパターンについて、ノズル対応パターン(それぞれのノズルに対応するノズル対応パターン)になっていると考えることができる。そして、このようなノズル対応パターンを用いる場合、例えば、それぞれのノズルで描いた線が存在するか否かを不良ノズル検出部306における画像処理部352(図2参照)において検出することにより、それぞれのノズルが不良ノズルであるか否かを判定することができる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、不良ノズル検出部306は、テストパターン504の一部が写った一部領域画像に基づき、不良ノズルの検出を行う。より具体的に、この場合、不良ノズル検出部306は、一つの一部領域画像に基づき、その一部領域画像に含まれるノズル対応パターンを描いたノズルについて、不良ノズルの検出を行う。また、この場合において、不良ノズル検出部306は、一部領域画像に写っている位置マーク608に基づき、一部領域画像に写っているそれぞれのノズル対応パターンがいずれのノズルにより描かれたかを識別することで、ノズル対応パターンに基づき、不良ノズルの検出を行う。
また、更に具体的に、上記においても説明をしたように、本例の不良ノズル検出部306において、電子記録媒体354(図2参照)は、一部領域画像を示す画像データを保存する。そして、画像処理部352は、電子記録媒体354に保存されている画像データを読み取ることで、テストパターン504の一部が写っている一部領域画像に対する画像処理を行う。また、この画像処理において、一部領域画像中にある位置マーク608に基づき、パターン部606におけるそれぞれのノズル対応パターンを形成したノズルのノズル番号を特定する。また、ノズル対応パターンの状態を確認して、それぞれのノズルについて吐出特性が正常であるか否かの判断を行うことで、不良ノズルの有無及び不良ノズルの位置の検出を行う。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、パターン部606の横に描かれる複数の位置マーク608について、一つの一部領域画像に二つ以上の位置マーク608が写り、かつ、連続して撮影される二つの一部領域画像の中にいずれかの位置マーク608が共通して写るように配置している。そして、この場合、上記においても説明をしたように、例えば、二つの一部領域画像がつながる位置等を適切に識別して、パターン部606におけるいずれのノズル対応パターンにそれぞれの位置マーク608が対応するかについて、より確実に判断をすることができる。
そのため、本例によれば、例えば、1回の撮影でテストパターン504の全体を一つの画像に収められなくても、複数の画像(一部領域画像)を用いて、全てのノズルについて、不良ノズルであるか否かの判定を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、テストパターン504の撮影を複数回に分けて行う構成において、不良ノズルの検出をより適切に行うことが可能になる。
ここで、図5において図示をしているように、複数の位置マーク608としては、複数種類の形状のマークを用いることがより好ましい。この場合、少なくとも、副走査方向において隣接する位置マーク608について、互いに異ならせることが好ましい。副走査方向において隣接する位置マーク608について互いに異ならせるとは、例えば図中に示すように、それぞれの位置マーク608について、少なくとも、その一つ下の位置マーク608、及びその一つ上の位置マーク608と形状を異ならせることである。また、このような構成については、例えば、副走査方向において位置をずらして描かれる複数の位置マーク608について、隣接する位置マーク608を互いに異なるパターンにする構成等と考えることもできる。また、この場合、それぞれの形状の位置マーク608について、テストパターン504におけるいずれの位置(例えば、いずれのノズル対応パターンと隣接する位置)に描くかを予め決めておく。このように構成すれば、例えば、一つの一部領域画像に写っている複数の位置マークに対し、他の一部領域画像と共通に写っている位置マークをより容易かつ適切に識別することができる。また、これにより、例えば、ノズル対応パターンとノズルとの対応をより確実かつ適切に識別することができる。また、この場合、一つの一部領域画像に写る複数の位置マーク608が全て異なるパターンになるように位置マーク608を描くことがより好ましい。
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例においては、テストパターン504の一部を撮影することで得られる複数の一部領域画像に基づき、不良ノズルの検出を行う。そして、この場合、不良ノズル検出部306は、例えば、位置マーク608に基づいて一部領域画像における一部の範囲を選択し、その範囲内にあるノズル対応パターンを描いたノズルについて、不良ノズルの検出を行ってもよい。より具体的に、例えば、図4に示すように複数の一部領域画像の撮影を行う場合、一番下(1枚目)の一部領域画像に対する画像処理では、例えば、一番端のノズル(1番ノズル)から、画像中で一番上にある位置マーク608の1個前のノズルまでについて、不良ノズルであるか否かの判定を行うことが考えられる。また、一番上(N枚目)の一部領域画像に対する画像処理では、例えば、画像中で一番下にある位置マーク608に対応するノズルから、最終ノズルまでについて、不良ノズルであるか否かの判定を行うことが考えられる。また、その他の一部領域画像に対する画像処理では、例えば、画像中で一番下の位置マーク608に対応するノズルから、一番上の位置マークの1個前のノズルまでについて、不良ノズルであるか否かの判定を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、一つのテストパターン504における互いに異なる部分を撮影することで得られた複数の一部領域画像のそれぞれに基づいて不良ノズルの検出を行い、検出された不良ノズルのノズル番号をテストパターン504の全体(テストパターン504の1個分)に対して集計することで、全てのノズルに対し、不良ノズルであるか否かの判定を適切に行うことができる。
また、それぞれの一部領域画像に対する画像処理では、他の一部領域画像と重なる部分についても、不良ノズルの判定対象としてもよい。この場合、複数の一部領域画像で判定の対象となるノズルについて、いずれかの一部領域画像に基づく画像処理で不良ノズルと判定された場合には、そのノズルを不良ノズルとして扱うことが好ましい。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、位置マーク608を含むテストパターン504を用いることで、それぞれの一部領域画像に写っているノズル対応パターンに対応するノズルを適切に識別することができる。そのため、一部領域画像を撮影する動作については、例えば、印刷画像等を描く動作のタイミングから独立したタイミングで行うことが可能である。より具体的に、この場合、カメラユニット110における撮影制御部406(図2参照)は、例えば、印刷画像を描く動作が開始されるタイミングから独立したタイミングで、複数の一部領域画像の撮影をカメラ402(図2参照)に行わせる。このように構成した場合、例えば印刷画像を描く動作の開始タイミング等を通知することが不要になるため、より簡易な構成で不良ノズルの検出を行うことが可能になる。
また、本例のように、テストパターン504をファームウェアで作成する構成の印刷装置12を用いる場合において、テストパターン504の印刷を開始するタイミングに合わせて撮影をすることをカメラ402に要求する手段(例えば、ハードウェア又はソフトウェアにより撮影の指示を伝達する手段等)が印刷装置12に存在していないこと等も考えられる。これに対し、本例によれば、このような構成の印刷装置12においても、不良ノズルの検出を適切に行うことができる。また、この場合、例えば、不良ノズルを検出する機能を有さない印刷装置又は印刷システムに対し、上記のような不良ノズルの検出機能を追加することで、印刷装置等の製造コストを最小限に抑えつつ、不良ノズルの検出機能を有する印刷装置12や印刷システム10を容易かつ適切に実現することができる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、印刷装置12は、例えば、マルチパス方式での印刷を行う。そして、この場合、テストパターンをファームウェアで作成することで、より適切にテストパターンを追加することが可能になる。より具体的に、上記においても説明をしたように、マルチパス方式で印刷を行う場合、ホストPC14では、RIP処理を行うことで、印刷画像を描くために行うそれぞれの回の主走査動作に対応する主走査用データを含む印刷入力データを生成する。そして、この場合において、例えばRIP処理の入力となる画像データにテストパターンを追加すると、テストパターンについても、RIP処理の対象になり、複数の主走査用データへの展開が行われることになる。しかし、テストパターンについて、複数の主走査用データへの展開が行われると、例えば、主走査方向へ延伸するラインが複数回の主走査動作により複数のノズルで描かれること等が生じる。また、その結果、テストパターンの各部とノズルとの対応関係の識別が困難になること等が考えられる。
これに対し、本例においては、印刷装置12において、ファームウェアに従って、主走査用データに対してテストパターンを追加する補正を行う。このように構成すれば、例えば、テストパターンの各部(例えば、それぞれのノズル対応パターン)を描くノズルについて、直接的により確実に指定することができる。そのため、本例によれば、例えば、マルチパス方式で印刷を行う場合にも、テストパターンの各部とノズルとの対応関係の識別をより確実に行うことができる。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、開始マーク602を有するテストパターン504を用いて、不良ノズルの検出を行う。そして、この点に関し、例えば、カメラ402で最初の一部領域画像の撮影を行うタイミング(最初の画像の撮影時)において、既に印刷されているテストパターン504の中でノズル番号1のノズルで描いた箇所がカメラ402の視野を通過していると、そのテストパターン504を用いて不良ノズルの検出を行うことが困難になる。そのため、このような場合には、例えばそのテストパターン504の印刷が終わった後に次のテストパターン504の印刷を新たに開始して、次のテストパターン504における開始マーク602がカメラ402の視野内に到達するのを待って、次のテストパターン504を用いて不良ノズルの検出を行うことが好ましい。このように構成すれば、例えば、不良ノズルの検出をより適切に行うことができる。
続いて、上記において説明をした各構成に関する変形例の説明等を行う。上記においては、テストパターン504における位置マーク608の用い方について、主に、連続して撮影される二つの一部領域画像の中に共通して写っている位置マーク608に基づき、それぞれのノズル対応パターンに対応するノズルを識別する動作等について、説明をした。この場合、それぞれの位置マーク608から直接的にノズルを識別するのではなく、いわば、複数の位置マーク608を利用して、ノズルを識別していると考えることができる。しかし、不良ノズル検出部306の動作の変形例においては、例えば、個々の位置マーク608(一つの位置マーク608のみ)に基づき、その位置マーク608の近辺のノズル対応パターンを描いたノズルの識別を行ってもよい。この場合、例えば、一つのテストパターン504が有する複数の位置マーク608として、全てが互いに異なるマーク形状のパターンを用いることが考えられる。より具体的に、この場合、それぞれのマーク形状に対して所定の位置に描かれるノズル対応パターンを描くノズルのノズル番号を予め記憶しておくことで、そのマーク形状の位置マーク608が写っている一部領域画像の画像処理時において、それぞれのノズル対応パターンを描いたノズルを直接的に特定することが可能である。
また、テストパターン504の更なる変形例において、テストパターン504は、例えば、上記において説明をした位置マーク608に加え、ノズル番号を識別するための他のパターンを更に有してもよい。図6は、テストパターン504の変形例について説明をする図である。図6(a)、(b)は、テストパターン504の変形例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、図6において、図1~5と同じ符号を付した構成は、図1~5における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
図6(a)に示す変形例において、テストパターン504は、複数のビット位置マーカ612を更に有する。この場合、それぞれのビット位置マーカ612は、それぞれの位置マーク608に対して予め設定された位置に描かれることで、対応する位置マーク608を示す番号をバイナリコードで示す。また、ビット位置マーカ612については、例えば、テストパターン504内での位置を符号により示すパターン等を考えることができる。
より具体的に、図6(a)に示す場合において、複数のビット位置マーカ612のそれぞれは、主走査方向において対応する位置マーク608との間にパターン部606を挟む位置に描かれる。また、一番下のビット位置マーカ612は、バイナリコードにより、数字0000001を示している。下から2番目のビット位置マーカ612は、バイナリコードにより、数字0000010を示している。下から3番目のビット位置マーカ612は、バイナリコードにより、数字0000011を示している。このようなテストパターン504を用いることにより、例えば、それぞれの位置マーク608について、開始マーク602の側から数えて何番面の位置マーク608であるか等をより確実に識別することができる。また、これにより、例えば、パターン部606におけるノズル対応パターンとノズルとの対応関係について、より容易かつ確実に識別することができる。
また、図6(b)に示す変形例において、テストパターン504は、複数の位置マーク614を更に有する。この場合、複数の位置マーク614は、複数の位置マーク608とは異なる方法でテストパターン504内での位置を示すパターンである。また、より具体的に、図6(b)に示す場合において、複数の位置マーク614のそれぞれは、主走査方向において対応する位置マーク608との間にパターン部606を挟む位置に描かれる。また、複数の位置マーク614のそれぞれは、対応する位置マーク608の横のノズルのノズル番号を数字で示す。このようなテストパターン504を用いる場合にも、それぞれの位置マーク608について、開始マーク602の側から数えて何番面の位置マーク608であるか等をより確実に識別することができる。また、これにより、例えば、パターン部606におけるノズル対応パターンとノズルとの対応関係について、より容易かつ確実に識別することができる。
また、印刷装置12に関し、制御ユニット120の具体的な構成等についても、様々に変形を行うことができる。図7、8は、制御ユニット120の構成の変形例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、図7、8において、図1~6と同じ符号を付した構成は、図1~6における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
図7に示す構成において、制御ユニット120における不良ノズル検出部306は、撮影要求信号生成部356を更に有する。撮影要求信号生成部356は、カメラユニット110におけるカメラ402(図2参照)に対して撮影を要求する信号(撮影要求信号)を生成する構成であり、例えば媒体の搬送量を示す信号を副走査駆動部108から受け取ることで、媒体が一定量搬送される毎に、撮影要求信号を生成する。この場合、媒体の搬送量を示す信号としては、例えば、媒体を搬送する動力を発生するモータに取り付けられたエンコーダの出力信号等を好適に用いることができる。このように構成すれば、例えば、テストパターン504に対して撮影を行うタイミングを高い精度で適切に制御することができる。また、これにより、例えば、撮影の間隔を等間隔にして、一部領域画像の重複部分を最小限にすること等が可能になる。
また、図8に示す構成において、制御ユニット120は、ノズル復帰処理部322を更に有する。この場合、ノズル復帰処理部322は、例えば、不良ノズルと判定されたノズル(不良ノズルのノズル番号に該当するノズル)を他のノズルで代替する処理の制御を行う。このように構成すれば、例えば、不良ノズルが検出された場合にも、印刷の動作を適切に継続することができる。また、ノズル復帰処理部322は、例えば、インクジェットヘッド202(図1参照)に対するクリーニング等を行うことで、吐出不良を改善させる処理等を行ってもよい。
また、不良ノズルを検出する動作に関連して上記において説明をした様々な特徴については、より一般化して考えることもできる。より具体的に、例えば、媒体においてインクジェットヘッド202(図1参照)により描画が行われる領域を画像印刷領域と定義した場合、位置マークについては、例えば、画像印刷領域において予め設定された基準の位置を示すマーク等と考えることができる。また、この場合、印刷画像の描画時における印刷制御部308の動作については、例えば、画像印刷領域に対してインクジェットヘッド202に位置マークの描画を更に行わせる動作等と考えることができる。また、撮影制御部406(図2参照)の動作については、例えば、画像印刷領域における互いに異なる範囲がそれぞれに写った複数の一部領域画像をカメラ402に取得させる動作等と考えることができる。この場合、カメラ402は、1回の撮影により、例えば、画像印刷領域のうちの副走査方向における一部の範囲のみが写った一部領域画像を取得する。また、不良ノズル検出部306は、例えば、一部領域画像に写っている位置マークに基づき、一部領域画像に写っている範囲が画像印刷領域におけるいずれの範囲であるかを識別することで、当該一部領域画像の少なくとも一部を描いたノズルを識別する。また、これにより、不良ノズル検出部306は、不良ノズルの検出を行う。
また、このように考えた場合、印刷システム10の変形例においては、例えば、ノズル対応パターンを用いずに不良ノズルの検出を行うこと等も考えられる。また、この場合、例えば、印刷画像を利用して、不良ノズルの検出を行うこと等も考えられる。印刷画像を利用して不良ノズルの検出を行うとは、例えば、画像ノズルの各部を描いたノズルを識別することで、不良ノズルの検出を行うことである。この場合も、位置マークを用いることで、例えば、視野の狭いカメラ等を用いて、不良ノズルの検出を適切に行うことができる。