JP7192666B2 - 自動変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される自動変速機に関し、車両用の自動変速機の技術分野に属する。
一般に、自動車等の車両に搭載される自動変速機では、複数の遊星歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦締結要素の選択的締結によって切り換え、車両の運転状態に応じた変速段が形成される。
例えば、特許文献1に開示されているクラッチは、遊星歯車機構の構成部材や回転軸等の所定の回転要素に結合される外側部材と、他の所定の回転要素に結合される内側部材とを有している。外側部材の内周側、及び、内側部材の外周側には、スプライン部が設けられ、各スプライン部には、内側にスプライン部を有する摩擦板と、外側にスプライン部を有する摩擦板とが交互に配置されている。
ブレーキは、前述のクラッチ同様に複数の摩擦板を有する多板ブレーキであって、外側部材と、内側部材と、複数の摩擦板とを有し、外側部材と内側部材の一方が変速機ケースに固定されて、回転不能に構成されている。
駆動源から自動変速機に入力されたトルクは、例えば、あるクラッチが動力を伝達する場合、内側部材及び外側部材と摩擦板とのスプライン係合部における各スプライン歯同士の当たり面によってトルクが伝達される。したがって、内側部材及び外側部材と摩擦板とのスプライン係合部における当たり面には、伝達されるトルクの大きさに応じた面積が必要とされる。
ここで、摩擦締結要素の摩擦板1枚当たりの伝達トルク容量は、周知の通り、摩擦板の歯数と、内側部材及び外側部材と摩擦板とのスプライン係合部における噛み合い長さと、摩擦板の板厚とによって決まる。
ところで、内側部材及び外側部材と摩擦板とのスプライン係合部は、当該クラッチの制御性向上等のために、内側部材及び外側部材と摩擦板との中心位置を合わせるために、両者を所謂インロー式に嵌合する場合がある。
この場合において、例えば、内側部材を型で成型した場合、抜き勾配がつくため、インロー嵌合用の円筒面の精度を確保するために、内側部材のスプライン部の歯先面を機械加工することが考えられる。
特開2016-90048号公報
ところで、内側部材の歯先面を機械加工すると、該内側部材の歯先面と歯面との間にエッジが付き、締結及び解放動作時に摩擦板が軸方向移動する際に摺動抵抗が生じ、摩擦板の動作性の悪化や、トルク伝達時におけるスプライン係合部の歯当たりが阻害されるおそれがある。
これに対して、例えば、摩擦板側の歯底の角部に、内側部材のエッジとの当接を回避するための逃げ部を設けることが考えられる。この場合、逃げ部を設けたことによって、摩擦板の歯底の周方向長さが減少することにより、内側部材に対する中心合わせのためのインローのための嵌合面の周方向寸法が短縮されることになる。
インロー嵌合の精度を確保するためには、所定の周方向寸法が必要となるため、内側部材と摩擦板とのスプライン係合部における周方向寸法を大きくすると、スプライン部の歯数が減少することになる。
スプライン部の歯数の減少に伴い、必要トルク容量を確保するためには、上述のように、スプライン部の歯丈の延長や、摩擦板の板厚の増大とが考えられるが、歯丈延長では変速機の径方向寸法が拡大され、摩擦板の板厚増大では軸方向の寸法が拡大されてしまう課題がある。すなわち、摩擦締結要素の伝達トルク容量を確保しながら、スプライン部のインロー合わせ面(歯先面の周方向長さ)を確保するためには、改善の余地がある。
そこで、本発明は、内側部材と外側部材との間に複数の摩擦板が配置される自動変速機において、コンパクトに構成しつつ、内側部材及び外側部材と摩擦板とのスプライン係合部における伝達トルク容量を確保しながら、前記スプライン係合部による摩擦板と内側部材または外側部材とのセンタリングの精度を確保することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
外周側にスプライン部を有する内側部材と、内周側にスプライン部を有する外側部材と、前記内側部材と前記外側部材との間に交互に配設されるとともに前記スプライン部にスプライン係合された複数の摩擦板とを有する摩擦締結要素を備えた自動変速機であって、
前記内側部材と前記摩擦板のスプライン係合部と、前記外側部材と前記摩擦板のスプライン係合部とのうち、少なくとも一方の所定のスプライン係合部のスプライン部には、周方向複数箇所に他のスプライン歯よりも周方向寸法が長く外周に前記複数の摩擦板をセンタリングするための加工面を備えたセンタリング用スプライン歯が設けられ、
前記他のスプライン歯の歯先面は、前記複数の摩擦板の歯底に対して非接触の状態となるように形成されていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記センタリング用スプライン歯の歯先面と歯面との間のエッジに対応する前記摩擦板の歯底の角部には、前記歯底よりも深くなるように凹設された逃げ部が設けられていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、
前記摩擦締結要素は、前記複数の摩擦板を締結するピストンを有し、
前記センタリング用スプライン歯は、前記ピストンの押圧面よりも反摩擦板側に延伸された延伸部を備えていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、
前記センタリング用スプライン歯の延伸部は、前記ピストンが解放状態においても前記ピストンに設けられた切欠部に係合されていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記センタリング用スプライン歯には、該センタリング用スプライン歯の歯先面に軸方向に延びる溝部と、軸方向に対して斜めに形成されるとともに前記溝部の溝底部に設けられて前記複数の摩擦板に向けて潤滑油を供給するための供給口と、が設けられていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、
前記摩擦締結要素は、車両の発進時に締結される発進用ブレーキであることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の発明において、
前記内側部材は、変速機ケースに結合され、
前記複数のセンタリング用スプライン歯は、周方向に等間隔で配置されているとともに、少なくとも前記内側部材のスプライン部における上端位置に設けられることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、内側部材と摩擦板のスプライン係合部と、外側部材と摩擦板のスプライン係合部とのうち、少なくとも一方の所定のスプライン係合部に、センタリング用スプライン歯と、他のスプライン歯とを設けることによって、所定のスプライン係合部のセンタリングの機能と、伝達トルク容量の確保の機能とを分担させることができる。
具体的には、他のスプライン歯においては、センタリング用スプライン歯よりも周方向寸法を短くすることで、全歯でセンタリングする場合に比して、所定のスプライン係合部の歯数を増大することができるので、歯丈の延長及び軸方向寸法を延長することなく、所要の伝達トルク容量を確保するための当たり面(面積)確保することができる。さらに、センタリング用スプライン歯を複数箇所に設けることで、所定のスプライン係合部のセンタリングの精度を確保することができる。
以上により、内側部材と外側部材との間に複数の摩擦板が配置される自動変速機において、コンパクトに構成しつつ、複数の摩擦板がスプライン係合される摩擦締結要素の伝達トルク容量を確保しながら、センタリング用スプライン歯によるセンタリングの精度を確保することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、センタリング用スプライン歯の歯先面と歯面との間のエッジ部に対応する摩擦板の歯底の角部には、逃げ部が設けられているので、摩擦板の軸方向移動における摺動抵抗を低減するとともに、トルク伝達時における歯面同士の歯あたりを向上させることができる。
また、逃げ部を内側部材側に設けるよりも摩擦板側に設ける方が加工しやすい。具体的には、内側部材に逃げ部を形成する場合、センタリング用スプライン歯の歯丈をその他のスプライン歯の歯丈よりも高くしつつ、センタリング用スプライン歯のエッジを加工する必要がある。
これに対して、摩擦板側に逃げ部を形成する場合、他のスプライン歯に対応する歯底と他のスプライン歯の歯先との間の隙間を、センタリング用スプライン歯に対応する歯底とセンタリング用スプライン歯の歯先との間の隙間よりも小さくするとともに、センタリング用スプライン歯のエッジに対応する部位に凹部を設ける必要があるが、これらの加工は、プレス加工等で形成することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、センタリング用スプライン歯は、ピストンの押圧面よりも反摩擦板側に延伸される延伸部を備えているので、ピストンの解放状態においても摩擦板がスプライン部から脱落することが抑制される。
また、請求項4に記載の発明によれば、センタリング用スプライン歯の延伸部と、ピストンに設けられた切欠部とは、ピストンの解放状態において係合されているので、ピストンが周方向に回動することが抑制される。これにより、例えば、ピストンを締結方法に付勢するスプリングを有する摩擦締結要素を有する自動変速機において、該摩擦締結要素の締結時にピストンが周方向に回動してスプリングが周方向に捩れることを抑制してピストンを解放位置からゼロクリアランス位置に精度よく移動させることができる。
ところで、例えば、ハブ部材に潤滑油供給のための供給口が、該供給口が径方向に対して傾斜する場合がある。この場合、供給口の向きが摩擦板に対して平行でないため、潤滑油の供給時に摩擦板を軸方向に移動させてしまうのを抑制するために、スプライン歯の歯丈全体を短くして、摩擦板と潤滑孔との距離を確保することで、摩擦板の軸方向移動を抑制することが考えられるが、摩擦締結要素のトルク伝達のための歯面の面積が減少することになり、トルク容量が犠牲となるおそれがある。
請求項5に記載の発明によれば、スプライン歯の周方向寸法が大きいセンタリング用スプライン歯に溝部を設けることで、摩擦板と潤滑孔との間に所定の隙間が確保されている。これにより、スプライン歯の歯面の面積を犠牲にすることなく、意図しない摩擦板の軸方向移動を抑制することができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、発進用ブレーキは、他の摩擦締結要素に比して大きなトルク伝達をする必要があるため、摩擦板のセンタリングしつつ、スプライン部の歯数の減少を抑制することは、より顕著な効果が得られる。
また、請求項7に記載の発明によれば、通常、ハブ部材にスプライン係合されている摩擦板は、自重によって下方向にガタツキが詰められるため、例えば、センタリング用スプライン歯がハブ部材の上側に配置されていない場合、全歯でセンタリングを行った場合に比して、ガタツキが大きくなる傾向にある。これに対して、センタリング用スプライン歯が、ハブ部材の上側に配置されているので、自重によって下方向にガタツキが詰められた場合においても、センタリング用スプライン歯が上側に配置されてない場合に比して、ハブ部材に対する摩擦板のガタツキを小さくすることができる。
本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。 自動変速機の摩擦締結要素の締結表である。 自動変速機のブレーキ及びその周辺の断面図である。 自動変速機のブレーキ及びその周辺の別の断面図である。 ハブ部材を示す斜視図である。 ハブ部材及び摩擦板の要部を示す正面図である。 ブレーキのハブ部材及びピストンの要部を示す正面図である。 ブレーキのハブ部材と摩擦板のトルク伝達時の当接面の説明図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。この自動変速機10は、エンジンなどの駆動源にトルクコンバータなどの流体伝動装置を介することなく連結されている。自動変速機10は、変速機ケース11内に、駆動源に連結されて駆動源側(図の左側)に配設された入力軸12と、反駆動源側(図の右側)に配設された出力軸13とを有している。自動変速機10は、入力軸12と出力軸13とが同一軸線上に配置されたフロントエンジン・リヤドライブ車用等の縦置き式のものである。
入力軸12及び出力軸13の軸心上には、駆動源側から、第1、第2、第3、第4プラネタリギヤセット(以下、単に「第1、第2、第3、第4ギヤセット」という)PG1、PG2、PG3、PG4が配設されている。
変速機ケース11内において、第1ギヤセットPG1の駆動源側に第1クラッチCL1が配設され、第1クラッチCL1の駆動源側に第2クラッチCL2が配設され、第2クラッチCL2の駆動源側に第3クラッチCL3が配設されている。また、第3クラッチCL3の駆動源側に第1ブレーキBR1が配設され、第3ギヤセットPG3の駆動源側且つ第2ギヤセットPG2の反駆動源側に第2ブレーキBR2が配設されている。
第1、第2、第3、第4ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4は、いずれも、キャリヤに支持されたピニオンがサンギヤとリングギヤに直接噛合するシングルピニオン型である。第1、第2、第3、第4ギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4はそれぞれ、回転要素として、サンギヤS1、S2、S3、S4と、リングギヤR1、R2、R3、R4と、キャリヤC1、C2、C3、C4とを有している。
第1ギヤセットPG1は、サンギヤS1が軸方向に2分割されたダブルサンギヤ型である。サンギヤS1は、駆動源側に配置された第1サンギヤS1aと、反駆動源側に配置された第2サンギヤS1bとを有している。第1及び第2サンギヤS1a、S1bは、同一歯数を有し、キャリヤC1に支持された同一ピニオンに噛合する。これにより、第1及び第2サンギヤS1a、S1bは、常に同一回転する。
自動変速機10では、第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第2サンギヤS1bと第4ギヤセットPG4のサンギヤS4とが常時連結され、第1ギヤセットPG1のリングギヤR1と第2ギヤセットPG2のサンギヤS2とが常時連結され、第2ギヤセットPG2のキャリヤC2と第4ギヤセットPG4のキャリヤC4とが常時連結され、第3ギヤセットPG3のキャリヤC3と第4ギヤセットPG4のリングギヤR4とが常時連結されている。
入力軸12は、第1ギヤセットPG1のキャリヤC1に第1サンギヤS1a及び第2サンギヤS1bの間を通じて常時連結され、出力軸13は、第4ギヤセットPG4のキャリヤC4に常時連結されている。
第1クラッチCL1は、入力軸12及び第1ギヤセットPG1のキャリヤC1と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設されて、これらを断接するようになっており、第2クラッチCL2は、第1ギヤセットPG1のリングギヤR1及び第2ギヤセットPG2のサンギヤS2と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設され、これらを断接するようになっており、第3クラッチCL3は、第2ギヤセットPG2のリングギヤR2と第3ギヤセットPG3のサンギヤS3との間に配設されて、これらを断接するようになっている。
第1ブレーキBR1は、変速機ケース11と第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第1サンギヤS1aとの間に配設されて、これらを断接するようになっており、第2ブレーキBR2は、変速機ケース11と第3ギヤセットPG3のリングギヤR3との間に配設されて、これらを断接するようになっている。
以上の構成により、自動変速機10は、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、第1ブレーキBR1、第2ブレーキBR2の締結状態の組み合わせにより、図2に示すように、Dレンジでの1~8速と、Rレンジでの後退速とが形成されるようになっている。
自動変速機10では、発進時に1速の変速段で締結される第2ブレーキBR2がスリップ制御され、第2ブレーキBR2が本発明に係る自動変速機の摩擦締結要素に相当する。以下、このブレーキBR2について説明する。
図3に示すように、ブレーキBR2は、略円筒状に形成された変速機ケース11内に収容され、第3ギヤセットPG3のサンギヤS3に連結されて第1、第2、第3クラッチCL1、CL2、CL3の内外一対の回転部材の一方が一体化された動力伝達部材14の外周側に配置されている。
動力伝達部材14は、第2ギヤセットPG2のキャリヤC2と第4ギヤセットPG4のキャリヤC4とを連結する動力伝達部材15の外周側に配置され、動力伝達部材15は、第1ギヤセットPG1のサンギヤS1、具体的には第2サンギヤS1bと第4ギヤセットPG4のサンギヤS4とを連結する動力伝達部材16の外周側に配置されている。
ブレーキBR2は、変速機ケース11に結合されるハブ部材20と、ハブ部材20の反駆動源側に配置されて第3ギヤセットPG3のリングギヤR3に結合されるドラム部材60と、ハブ部材20とドラム部材60との間に軸方向に並べて配置される複数の摩擦板70と、複数の摩擦板70の反駆動源側に配置されて複数の摩擦板70を締結するピストン80とを有している。
ブレーキBR2は、ハブ部材20の径方向内側にピストン80を付勢する作動油が供給される油圧室90を有している。油圧室90は、ピストン80を締結方向に付勢する締結用作動油が供給される締結用油圧室91と、ピストン80を解放方向に付勢する解放用作動油が供給される解放用油圧室92とを備えている。
ブレーキBR2はまた、図3に示すように、ハブ部材20の径方向内側にピストン80を付勢する付勢部材としてピストン80に締結方向に付勢力を作用させるスプリング101を備えている。
図3に示すように、ブレーキBR2は、変速機ケース11の内側に設けられた隔壁を構成するとともにハブ部材20を支持するハブ支持部材31を備えている。ハブ部材20は、ハブ支持部材31のピストン側(反駆動源側)に配置されて、複数の摩擦板70がスプライン係合されると共に変速機ケース11にスプライン係合されている。
ハブ支持部材31は、ハブ部材20より径方向内側に延びて形成されている。ハブ部材20の径方向内側には、ハブ支持部材31の反駆動源側に結合されるとともに油圧室を構成する第1油圧室構成部材41が結合され、該第1油圧室構成部材41の反駆動源側に第2油圧室構成部材51が結合されている。
ハブ部材20は、変速機ケース11の軸方向と直交する方向に延びて略円盤状に形成された縦壁部22と、縦壁部22の径方向内側において縦壁部22から反駆動源側に略円筒状に延びる円筒部23とを備えている。
ハブ部材20は、縦壁部22の外周面にスプラインが形成されたスプライン部24を有し、スプライン部24が変速機ケース11の内周面にスプラインが形成されたスプライン部11aにスプライン係合されて変速機ケース11に結合されている。
ハブ部材20の円筒部23は、外周面にスプラインが形成されたスプライン部25を有し、スプライン部25に、摩擦板70を構成する固定側摩擦板71がスプライン係合されている。
ハブ支持部材31は、変速機ケース11の軸方向と直交する方向に延びて略円盤状に形成された縦壁部32を備えている。ハブ支持部材31の縦壁部32には、図4に示すように、摩擦板70に潤滑用作動油を供給する潤滑用供給油路L1が形成されている。
ハブ支持部材31は、縦壁部32の外周面がハブ部材20のスプライン部24の駆動源側において変速機ケース11の内周面11bに嵌合されている。ハブ支持部材31は、スナップリング17により駆動源側への抜け止めが図られると共に回り止めピン18を用いて変速機ケース11に固定され、変速機ケース11に結合されている。なお、ハブ支持部材31を変速機ケース11の内周面11bに圧入によって嵌合させて固定し、変速機ケース11に結合させるようにしてもよい。
変速機ケース11の下方には、図4に示すように、ブレーキBR2の油圧室90や摩擦板70などに作動油を供給するバルブボディ5が配設されている。バルブボディ5は、変速機ケース11の下方に取り付けられたオイルパン(不図示)内に収容され、変速機ケース11に固定されている。ハブ支持部材31は、バルブボディ5に接続するためのバルブボディ接続部34を有し、変速機ケース11に形成されたケース開口部11cを通じて潤滑用供給油路L1がバルブボディ5に接続されるように形成されている。
ハブ支持部材31の縦壁部32には、締結用油圧室91に締結用作動油を供給する締結用供給油路(図示せず)が形成されると共に、解放用油圧室92に解放用作動油を供給する解放用供給油路(図示せず)が形成されている。
潤滑用供給油路L1、解放用供給油路及び締結用供給油路は、変速機ケース11の下方側に周方向に並んで配置され、ハブ支持部材31は、潤滑用供給油路L1、解放用供給油路及び締結用供給油路がそれぞれバルブボディ5に接続されるように形成されている。
ハブ支持部材31の縦壁部32には、図3に示すように、反駆動源側に駆動源側に窪む段差部32aが形成されている。ハブ支持部材31の段差部32aは、ハブ支持部材31の縦壁部32にハブ部材20の縦壁部22が当接されたときにハブ部材20の縦壁部22の内周側が係合するように形成されている。
ハブ支持部材31の縦壁部32には、ハブ部材20の径方向内側まで延長される延長部32bが設けられている。ハブ支持部材31の縦壁部32(延長部32b)には、内周側に反駆動源側に略円柱状に延びる複数のボス部35が形成されている。複数のボス部35は、例えば、周方向に分散して配置され、ボス部35にはそれぞれ、反駆動源側にネジ孔35aが形成されている。ボス部35のネジ孔35aに第2油圧室構成部材51の反駆動源側から締結ボルトB1を螺合させることによりハブ支持部材31の反駆動源側に第1油圧室構成部材41及び第2油圧室構成部材51が結合されている。
第1油圧室構成部材41は、図3に示すように、変速機ケース11の軸方向と直交する方向に延びて略円盤状に形成された縦壁部42と、縦壁部42の径方向外側から反駆動源側に略円筒状に延びる第1円筒部43と、縦壁部42の径方向内側から反駆動源側に略円筒状に延びる第2円筒部44とを備え、第1円筒部43及び第2円筒部44は、略等しい軸方向長さを有するように形成されている。
第1油圧室構成部材41の縦壁部42の駆動源側の面は、ハブ支持部材31の延長部32bの反駆動源側の面に軸方向の合わせ面Fで当接されている。
第1油圧室構成部材41の第1円筒部43は、ハブ部材20の円筒部23の径方向内側に設けられている。第1油圧室構成部材41の第1円筒部43は、反駆動源側にハブ部材20の円筒部23の内周面に当接するように径方向外側に延びるフランジ部43aを備え、ハブ部材20の円筒部23との間に潤滑用供給油路L1を形成するように設けられている。
第1油圧室構成部材41の第2円筒部44は、駆動源側の外周面44aと反駆動源側の外周面44bとを有し、反駆動源側の外周面44bは、解放用油圧室92を形成するように駆動源側の外周面44aに比して径方向寸法が小さく形成されている。
第1油圧室構成部材41の第2円筒部44にはまた、図3に示すように、駆動源側から反駆動源側に略矩形状に窪んでハブ支持部材31の複数のボス部35をそれぞれ収容する複数のボス部収容部45と、締結ボルトB1を挿通するボルト挿通穴44cとが形成されている。
第2油圧室構成部材51は、変速機ケース11の軸方向と直交する方向に延びて略円盤状に形成され、第1油圧室構成部材41の反駆動源側に配置されている。第2油圧室構成部材51の径方向内側には、締結ボルトB1を挿通するボルト挿通穴52が形成されている。
前述したように、第2油圧室構成部材51の反駆動源側から第2油圧室構成部材51のボルト挿通穴52及び第1油圧室構成部材41のボルト挿通穴44cを通じて締結ボルトB1をハブ支持部材31のネジ孔35aに螺合させることにより、ハブ支持部材31の反駆動源側に第1油圧室構成部材41が結合されると共に第1油圧室構成部材41の反駆動源側に第2油圧室構成部材51が結合されている。
第2油圧室構成部材51は、第1油圧室構成部材41の第2円筒部44より径方向外側に延びるように形成され、第2油圧室構成部材51の外周面がシール部材53を介してピストン80に嵌合されている。
第2油圧室構成部材51の後述するピストン80の油圧室形成部82に対向する対向面(駆動源側の面)54には、反駆動源側に窪む段部が設けられている。第2油圧室構成部材51のピストン80に対向する対向面54には、シム部材55が配置されるとともに、該シム部材55の径方向内側端部が段部に配置されている。
シム部材55は、後述する複数のスプリング101及びピストン80の複数のストッパ部86が当接される。シム部材55は、ピストン80のストッパ部86がシム部材55の駆動源側の側面に当接するときに、ピストン80を所定の解放位置に規制するようになっている。このようにして、第2油圧室構成部材51に、ピストン80の解放位置を調整するシム部材55が取り付けられている。
ハブ支持部材31、ハブ部材20、第1油圧室構成部材41及び第2油圧室構成部材51がそれぞれ、アルミニウム系材料から形成されて同一材料から形成されている。
ドラム部材60は、ハブ部材20の円筒部23の外周側に対向配置されて略円筒状に軸方向に延びる円筒部61と、円筒部61の反駆動源側から径方向内側に変速機ケース11の軸方向と直交する方向に延びて略円盤状に形成された縦壁部62とを備えている。
ドラム部材60の縦壁部62は、回転部材としてのリングギヤR3に結合されている。ドラム部材60の円筒部61は、内周面にスプラインが形成されたスプライン部61aを有し、スプライン部61aに、摩擦板70を構成する回転側摩擦板72がスプライン係合されている。固定側摩擦板71と回転側摩擦板72とは、軸方向に交互に配置されている。
ピストン80は、ハブ部材20とドラム部材60との間に、具体的にはハブ部材20の円筒部33とドラム部材60の円筒部61との間に配置されて第1油圧室構成部材41の第2円筒部44の外周面に摺動自在に嵌合されている。ピストン80は、第2油圧室構成部材51によって反駆動源側への抜け止めが図られている。
ピストン80は、環状に形成され、図4に示すように、外周側に設けられて摩擦板70を押圧する押圧部81と、内周側に設けられて油圧室90を形成する油圧室形成部82と、押圧部81と油圧室形成部82とを連結する連結部83と、ピストン80の解放位置を規制する複数のストッパ部86…86と、を備えている。
ピストン80の押圧部81は、摩擦板70の反駆動源側に配置され、油圧室形成部82は、ハブ部材20の径方向内側に配置され、連結部83は、押圧部81と油圧室形成部82とを連結するように摩擦板70の反駆動源側から摩擦板70の径方向内側に延びている。
ピストン80の油圧室形成部82は、ハブ部材20の径方向内側で径方向に延びる反駆動源側の面(第2油圧室構成部材51側の面)84によって、締結用油圧室91の一部を構成している。油圧室形成部82の内周部には、内径側から外径側に向けて窪む段部85が設けられており、該段部85と第1油圧室構成部材41の内側円筒部44とによって解放用油圧室92が区画されている。
ピストン80は、摩擦板70の反駆動源側から径方向内側に延びて第2油圧室構成部材51の外周面に嵌合されると共に、第2油圧室構成部材51より駆動源側を径方向内側に延びて第1油圧室構成部材41の第2円筒部44の外周面44a、44bに嵌合されている。ピストン80の油圧室形成部82の径方向内側における反駆動源側の端部には、油圧室形成部82と第1油圧室構成部材41との間をシールするシール部材87が装着されている。ピストン80の油圧室形成部82の径方向内側における駆動源側の端部には、油圧室形成部82と、第1油圧室構成部材41との間をシールするシール部材88が装着されてる。
このようにして、締結用油圧室91は、ピストン80の油圧室形成部82の反駆動源側の面84、第1油圧室構成部材41及び第2油圧室構成部材51によって区画された空間部によって形成されている。解放用油圧室92は、ピストン80の油圧室形成部82の段部85及び第1油圧室構成部材41によって区画された空間部によって形成されている。
図3に示すように、複数のストッパ部86は、締結用油圧室91内に配置されている。各ストッパ部86は、円柱状に形成されている。ストッパ部86は、ピストン80の油圧室形成部82の反駆動源側の面から第2油圧室構成部材51のピストン80に対する対向面54側に延びて形成されている。各ストッパ部86は、ピストン80の解放状態において、該ストッパ部86の先端部が第2油圧室構成部材51のシム部材55と当接することで、ピストン80の解放位置を規制するように構成されている。
図3に示すように、スプリング101は、締結用油圧室91内に配置されている。締結用油圧室91を形成するピストン80における油圧室形成部82は、反駆動源側の面84がスプリング101による付勢力を受けるようになっている。スプリング101の反ピストン側の端部は、第2油圧室構成部材51のピストン80に対する対向面54に配置されたシム部材55に当接するように配置されている。スプリング101と締結用油圧室91及び解放用油圧室92とは、ハブ部材20の径方向内側において径方向にオーバーラップする位置に配置されている。
軸方向に延びるコイルスプリングからなる複数のスプリング101は、環状に形成された保持プレート102に駆動源側の端部が保持されている。保持プレート102には、反駆動源側に円筒状に突出して複数のスプリング101がそれぞれ装着される複数のスプリングガイド部103が設けられ、複数のスプリング101が径方向にオーバーラップする位置且つ周方向に異なる位置に配置されている。各スプリング101には、ピストン80の各ストッパ部86が駆動源側から挿入されている。
ピストン80は、シム部材55の厚さを調整することによって、解放位置におけるピストン80の押圧部81の押圧面81aと摩擦板70との隙間を所定の値に保持することができるようになっている。このとき、ストッパ部86及びスプリング101は、ピストン80とシム部材55との間で並列に設けられているので、シム部材55の厚さの変更によって、解放状態におけるスプリング101の圧縮状態に影響を与えることが抑制され得る。
スプリング101は、保持プレート102を介して、ピストン80の油圧室形成部82の反駆動源側に支持されると共にスプリング101の反駆動源側が第2油圧室構成部材51の駆動源側にシム部材55を介して支持されている。スプリング101は、スプリング101が自由長さとなったときにピストン80がゼロクリアランス位置になるように設定されている。
このようにして、スプリング101は、ピストン80に解放位置からゼロクリアランス位置まで締結方向に付勢力を作用させるようになっている。そして、ピストン80がゼロクリアランス位置にあるときに締結用油圧室91に締結用油圧を供給すると、ピストン80が複数の摩擦板70を押し付けて、複数の摩擦板70がハブ部材20の縦壁部22とピストン80との間に挟み込まれて相対回転不能になる締結状態となる。
一方、ピストン80が締結位置にあるときに、締結用油圧室91から締結用油圧を排出して解放用油圧室92に解放用油圧を供給すると、ピストン80が解放方向に付勢されて移動され、ピストン80がゼロクリアランス位置に移動される。ピストン80はさらに、スプリング101に抗して解放方向に付勢されて移動され、解放位置に移動される。
次に、ブレーキBR2に作動油を供給する供給油路について説明する。
摩擦板70に潤滑用作動油を供給する潤滑用供給油路L1は、ハブ支持部材31、ハブ部材20及び第1油圧室構成部材41に形成されている。締結用油圧室91に締結用作動油を供給する締結用供給油路(図示せず)L2は、ハブ支持部材31、第1油圧室構成部材41及び第2油圧室構成部材51に形成されている。解放用油圧室92に解放用作動油を供給する解放用供給油路(図示せず)L3は、ハブ支持部材31及び第1油圧室構成部材41に形成されている。
潤滑用供給油路L1は、図3及び図4に示すように、ハブ支持部材31の縦壁部32に設けられて径方向に延びる径方向油路131と、ハブ支持部材31の径方向油路131に接続されてハブ部材20の円筒部23と第1油圧室構成部材41の円筒部43との間に周方向に環状に設けられる周方向油路132と、径方向油路131と周方向油路132とを連通するとともに、軸方向に延びる連通油路133と、ハブ部材20の円筒部23に設けられて周方向油路132に接続されると共にハブ部材20の円筒部23の外周面に開口して摩擦板70に潤滑用作動油を供給する供給口134とを備えて構成されている。
図3に示すように、供給口134は、ハブ部材20の円筒部23の軸方向に並んで複数設けられると共に、ハブ部材20の円筒部23の周方向に離間して複数設けられる。供給口134は、ハブ部材20の円筒部23のスプライン部25の後述する各センタリング用スプライン歯26の歯先に開口するように設けられる。
供給口134が設けられているセンタリング用スプライン歯26の歯先面26aには、周方向の中心位置に軸方向に延びる溝部26dが形成されており、供給口134は、溝部26dの溝底部26eに形成されている。これにより、センタリング用スプライン歯26の歯先面26aに溝部26dを設けない場合に比して、スプライン部25に係合される各摩擦板70と供給口134の出口との間の距離が拡大される。
前述のように、ハブ支持部材31は、潤滑用供給油路L1がバルブボディ5に接続されるように形成されている。ハブ支持部材31の径方向油路131は、ハブ支持部材31の縦壁部32に設けられると共にバルブボディ接続部34の下面に開口し、バルブボディ5に接続されている。バルブボディ5は、潤滑用供給油路L1を通じて複数の摩擦板70に潤滑用作動油を供給できるようになっている。
スプライン部25は、図5に示すように、外周に複数の摩擦板70をセンタリングするための加工面26Aを備えたセンタリング用スプライン歯26と、センタリング用スプライン歯26よりも周方向寸法が短く形成されて外周に複数の摩擦板70をスプライン係合する他のスプライン歯27とを有している。
センタリング用スプライン歯26は、解放状態においても複数の摩擦板70をスプライン係合する所定の軸方向長さを有し、他のスプライン歯27は、センタリング用スプライン歯26よりも軸方向長さが短く形成されている。
センタリング用スプライン歯26は、周方向に略等間隔で3箇所に配置されている。3つのセンタリング用スプライン歯26は、少なくともハブ部材20のスプライン部25における上端位置に設けられている。
図6に示すように、ハブ部材20のスプライン部25に係合される複数の摩擦板70の歯底70aと、他のスプライン歯27の歯先面27aとは、非接触の状態となるように形成されている。具体的には、他のスプライン歯27に対応する各摩擦板70の歯底70aは、センタリング用スプライン歯26に対応する各摩擦板70の歯底70bよりも深く形成されている。
各摩擦板70は、ハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26の歯先面26aとこれに対向する歯底70bとの間の隙間g1に比して、ハブ部材20の他のスプライン歯27の歯先面27aに対向する歯底70aとの間の隙間g2が大きく設けられることで、他のスプライン歯27の歯先面27aと摩擦板70の歯底70aとは非接触の状態とされている。
ハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26の歯先面26aと歯面26bとの間のエッジ26cに対応する各摩擦板70の歯底70bの角部70cには、歯底70bよりも深くなるように凹設された逃げ部70dが設けられている。
図3に示すように、センタリング用スプライン歯26は、ピストン80の押圧部81の摩擦板70側の押圧面81aよりも反摩擦板側に延伸された延伸部26Bを備え、センタリング用スプライン歯26の延伸部26Bは、ピストン80の連結部83に設けられた切欠部83bに係合されている。
具体的には、ピストン80の連結部83に、ハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26に対応して切り欠かれたハブ部材用切欠部83bが形成されている。ハブ部材20の円筒部23のセンタリング用スプライン歯26の反駆動源側は、ピストン80のハブ部材用切欠部83bに嵌合され、ハブ部材20とピストン80とは、軸方向にオーバーラップして配置されている。
図7は、ブレーキBR2のハブ部材20及びピストン80の要部を示す正面図である。図7に示すように、ハブ部材用切欠部83bは、ハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26に対応して形成されている。ハブ部材用切欠部83bは、ハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26の断面形状より大きく切り欠かれ、センタリング用スプライン歯26の両側の側面(歯面)26bに沿ってそれぞれ配置される両側の側面83cを有している。ピストン80には、ハブ部材20の複数、具体的には3つのセンタリング用スプライン歯26に対応して3つのハブ部材用切欠部83bが周方向に略等間隔に形成されている。
ハブ部材20は、ピストン80が周方向に回動するときにハブ部材用切欠部83bの側面83cがハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26の側面(歯面)26bに当接してピストン80が所定量以上、例えばピストン80の回動角度が1度となる所定量以上回動することを規制するようになっている。
ハブ部材用切欠部83bの側面83cは、ハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26の側面(歯面)26bに沿って配置される規制部として機能し、ハブ部材20、具体的にはハブ部材20は、ピストン80が周方向に所定量以上回動することを規制するピストン回動規制部材として機能する。
ここで、図8を用いて、ブレーキBR2のハブ部材20と摩擦板70のスプライン係合部20Aにおけるトルク伝達に寄与する当たり面(面積)Sについて説明する。
駆動源から自動変速機に入力されたトルクは、摩擦締結要素が動力を伝達する場合、ハブ部材及びドラム部材と摩擦板とのスプライン係合部における各スプライン歯同士の当たり面によってトルクが伝達される。したがって、ハブ部材及びドラム部材と摩擦板とのスプライン係合部における当たり面には、伝達されるトルクの大きさに応じた面積が必要とされる。
摩擦締結要素の摩擦板1枚当たりの伝達トルク容量は、周知の通り、摩擦板の歯数nと、内側部材及び外側部材と摩擦板とのスプライン係合部における噛み合い長さhと、摩擦板の板厚tとによって決まる。
スプライン係合部の噛み合い長さhを高くする場合、変速機の径方向の寸法が拡大されるおそれがあり、摩擦板の板厚tを厚くする場合、変速機の軸方向寸法が拡大されるおそれがある。したがって、摩擦締結要素のスプライン部においては、所要の伝達トルク容量を確保するために、歯数nを確保することが重要である。
これに対して、本発明に係る自動変速機は、ハブ部材20と摩擦板70のスプライン係合部21に、センタリング用スプライン歯26と、他のスプライン歯27とを設けることによって、スプライン係合部21のセンタリングの機能と、伝達トルク容量の確保の機能とを分担させることができる。
具体的には、他のスプライン歯27においては、センタリング用スプライン歯26よりも周方向寸法を短くすることで、全歯でセンタリングする場合に比して、ハブ部材20と摩擦板70のスプライン係合部21の歯数を増大することができるので、歯丈の延長及び軸方向寸法を延長することなく、所要の伝達トルク容量のための当たり面(面積)Sを確保することができる。さらに、センタリング用スプライン歯26を複数周方向に3箇所に設けることで、ハブ部材20と摩擦板70のスプライン係合部21のセンタリングの精度を確保することができる。
これにより、ハブ部材20とドラム部材60との間に複数の摩擦板70が配置される自動変速機10において、コンパクトに構成しつつ、複数の摩擦板70がスプライン係合されるブレーキBR2の伝達トルク容量を確保しながら、センタリング用スプライン歯26によるセンタリングの精度を確保することができる。
また、センタリング用スプライン歯26の歯先面26aと歯面26bとの間のエッジ26cに対応する摩擦板70の歯底70bの角部70cには、逃げ部70dが設けられているので、摩擦板70の軸方向移動における摺動抵抗を低減するとともに、トルク伝達時における歯面同士の歯あたりを向上させることができる。
また、摩擦板70は、他のスプライン歯27に対応する歯底70aが、センタリング用スプライン歯26に対応する歯底70bよりも深くなるように形成されているので、例えば、ハブ部材20側のセンタリング用スプライン歯26の歯丈をその他のスプライン歯の歯丈よりも高く形成する場合に比して容易に加工し得る。
具体的には、例えば、アルミダイキャスト等で形成されたハブ部材側に摩擦板側で摩擦板の歯底とスプライン歯の歯先との非接触状態の構成を設ける場合、スプライン歯の機械加工時に、センタリング用スプライン歯26の歯丈をその他のスプライン歯の歯丈よりも高くする必要がある。これに対して、摩擦板側で摩擦板の歯底とスプライン歯の歯先との非接触状態の構成を設ける場合、プレス加工等で形成することができる。
ハブ部材20のセンタリング用スプライン歯26は、ピストン80の押圧面81aよりも反摩擦板側に延伸される延伸部26Bを備えているので、ピストンの解放状態においても摩擦板がスプライン部から脱落することが抑制される。
摩擦板70の軸方向に隣接させて配置されるピストン80の連結部83に設けられた切欠部83bと、センタリング用スプライン歯26の延伸部26Bとは、ピストンの解放状態において軸方向にオーバラップして配置されているので、ブレーキBR2の軸方向寸法を短縮することができる。
センタリング用スプライン歯26の延伸部26Bは、ピストン80の切欠部83bに係合されているとともに、ピストン80の切欠部83bは、センタリング用スプライン歯26の外周部の形状に沿って形成されているので、ピストン80が周方向に回動することが抑制される。
これにより、ピストン80を締結方法に付勢するスプリング101を有する摩擦締結要素を有する自動変速機10において、該摩擦締結要素BR2の締結時にピストン80が周方向に回動してスプリング101が周方向に捩れることを抑制してピストン80を解放位置からゼロクリアランス位置に精度よく移動させることができる。
例えば、ハブ部材20に潤滑油供給のための供給口134が、該供給口134が径方向に対して傾斜する場合がある。この場合、供給口134の向きが摩擦板70に対して平行でないため、潤滑油の供給時に摩擦板70を軸方向に移動させてしまうのを抑制するために、スプライン歯の歯丈全体を短くして、摩擦板と潤滑孔との距離を確保することで、摩擦板の軸方向移動を抑制することが考えられるが、摩擦締結要素のトルク伝達のための歯面の面積が減少することになり、トルク容量が犠牲となるおそれがある。
これに対して、本実施形態においては、スプライン部25における周方向寸法が大きいセンタリング用スプライン歯26に溝部26dを設けることで、摩擦板70と潤滑孔134との間に所定の隙間が確保されている。これにより、スプライン部25の歯面の面積を犠牲にすることなく、意図しない摩擦板の軸方向移動を抑制することができる。
発進用の第2ブレーキBR2は、他の摩擦締結要素に比して大きなトルク伝達をする必要があるため、摩擦板のセンタリングしつつ、スプライン部の歯数の減少を抑制することは、より顕著な効果が得られる。
通常、ハブ部材20にスプライン係合されている摩擦板70は、自重によって下方向にガタツキが詰められるため、例えば、センタリング用スプライン歯26がハブ部材20の上側に配置されていない場合、全歯でセンタリングを行った場合に比して、ガタツキが大きくなる傾向にある。
これに対して、本実施形態においては、センタリング用スプライン歯26が、ハブ部材20の上端位置に配置されているので、自重によって下方向にガタツキが詰められた場合においても、センタリング用スプライン歯26が上端位置に配置されてない場合に比して、ハブ部材20に対する摩擦板70のガタツキを小さくすることができる。
センタリング用スプライン歯26を3箇所備えることにより、センタリング精度とトルク容量の確保の両立を図ることができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
例えば、本実施形態において、3箇所のセンタリング用スプライン歯を備えたハブ部材について説明したが、伝達トルク容量を確保しつつ、ハブ部材と摩擦板とのセンタリングとの両立が図れる場合、センタリング用スプライン歯は、3箇所以上設けてもよい。
また、例えば、本実施形態において、センタリング用スプライン歯を備えたハブ部材について説明したが、センタリング用スプライン歯はドラム部材にも受けられても良く、その場合、ドラム部材の伝達トルク容量を確保しつつ、ドラム部材と摩擦板とのセンタリング精度を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、内側部材と外側部材との間に複数の摩擦板が配置される自動変速機において、コンパクトに構成しつつ、内側部材及び外側部材と摩擦板とのスプライン係合部における伝達トルク容量を確保しながら、前記スプライン係合部による摩擦板と内側部材または外側部材とのセンタリングの精度を確保することが可能となるから、この種の自動変速機ないしこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
10 自動変速機
11 変速機ケース
20 ハブ部材(内側部材)
21 スプライン係合部
25 スプライン部
26A 加工面
26B 延伸部
26 センタリング用スプライン歯
26a センタリング用スプライン歯の歯先面
26b センタリング用スプライン歯の歯面
26c エッジ
26d 溝部
26e 溝底部
27 他のスプライン歯
27a 他のスプライン歯の歯先面
60 ドラム部材(外側部材)
61a スプライン部
70 複数の摩擦板
70a 摩擦板の歯底
70c 摩擦板の歯底の角部
70d 逃げ部
80 ピストン
81a 押圧面
83b 切欠部
134 供給口
BR2 発進用ブレーキ(摩擦締結要素)

Claims (7)

  1. 外周側にスプライン部を有する内側部材と、内周側にスプライン部を有する外側部材と、前記内側部材と前記外側部材との間に交互に配設されるとともに前記スプライン部にスプライン係合された複数の摩擦板とを有する摩擦締結要素を備えた自動変速機であって、
    前記内側部材と前記摩擦板のスプライン係合部と、前記外側部材と前記摩擦板のスプライン係合部とのうち、少なくとも一方の所定のスプライン係合部のスプライン部には、周方向複数箇所に他のスプライン歯よりも周方向寸法が長く外周に前記複数の摩擦板をセンタリングするための加工面を備えたセンタリング用スプライン歯が設けられ、
    前記他のスプライン歯の歯先面は、前記複数の摩擦板の歯底に対して非接触の状態となるように形成されていることを特徴とする自動変速機。
  2. 前記センタリング用スプライン歯の歯先面と歯面との間のエッジに対応する前記摩擦板の歯底の角部には、前記歯底よりも深くなるように凹設された逃げ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
  3. 前記摩擦締結要素は、前記複数の摩擦板を締結するピストンを有し、
    前記センタリング用スプライン歯は、前記ピストンの押圧面よりも反摩擦板側に延伸された延伸部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の自動変速機。
  4. 前記センタリング用スプライン歯の延伸部は、前記ピストンに設けられた切欠部に係合されていることを特徴とする請求項3に記載の自動変速機。
  5. 前記センタリング用スプライン歯には、該センタリング用スプライン歯の歯先面に軸方向に延びる溝部と、軸方向に対して斜めに形成されるとともに前記溝部の溝底部に設けられて前記複数の摩擦板に向けて潤滑油を供給するための供給口と、が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自動変速機。
  6. 前記摩擦締結要素は、車両の発進時に締結される発進用ブレーキであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の自動変速機。
  7. 前記内側部材は、変速機ケースに結合され、
    前記複数のセンタリング用スプライン歯は、周方向に等間隔で配置されているとともに、少なくとも前記内側部材のスプライン部における上端位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載の自動変速機。
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