JP7188872B2 - 積層延伸フィルム、化粧シート用基材、化粧シート及び化粧板 - Google Patents
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Description
このため、ポリ塩化ビニル系樹脂に替わり、ポリオレフィン系樹脂を用いた化粧シートが提案されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂を用いた場合には、燃焼時の有毒ガス等の発生は抑制されるものの、ポリオレフィン系樹脂が燃焼性に優れた性質を有しているために、不燃材料の技術的基準を満たすことが困難であった。
以上のことに対応するために、化粧シート用基材として1軸延伸又は2軸延伸を施した延伸フィルムを採用すれば、化粧シート用基材が薄膜化して化粧シートの不燃性を高めると同時に、化粧シート用基材、更には化粧シートの機械的強度を高めることが可能となる。
本発明は、上述のような点に着目してなされたもので、基材強度と耐久性を両立した化粧シートを提供することを目的とする。
また、本発明の一態様に係る化粧シートは、上述した積層延伸フィルムからなる化粧シート用基材と、化粧シート用基材の表面層側の面に形成されたポリオレフィン系樹脂を含む一層又は複数層の透明樹脂層と、を備える。
このとき、フィルムに延伸を施すと、基材としてのフィルム表面の結晶化が進み、基材に対するインキの湿潤親和性(インキが原反にどこまで染込むか)が低下することで、インキと基材とのインキ接着力が低下するおそれがある。これに対し、本発明の一態様によれば、延伸フィルムを構成する熱可塑性樹脂の層(ポリオレフィン系樹脂の層)を複層化し、少なくとも第一層である表面層においては、酸価を2.0mg/g以上とし、また配向係数を1.7以上とすることで、インキ(印刷層)との接着性を維持すると共に、基材の機械強度の向上を可能とする。また延伸によって基材を薄膜化できるので、不燃性を高めることも可能となる。
この酸価測定では、試料をキシレンとジメチルホルムアミドを混合した滴定溶剤に溶かし、電位差滴定法により0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とする。水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から、酸価を算出する。
また、配向係数は、ラマン分光法によって求めることができる。
ラマン分光法によってポリプロピレンフィルム表面の配向係数を測定するためには、偏光フィルタを用いてレーザー光を検光する。ここで、配向係数の値は以下の式で表す。
ここで、図1に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
ここで、基材6は、少なくとも最表面となる第一の基材層6-1(以下、表面層6-1とも記載する)と、表面層6-1とは異なる第二の基材層6-2から第nの基材層6-nのうちの少なくとも一層とを備えている。すなわち、基材6は、表面層6-1と、第二の基材層6-2から第nの基材層6-n(nは、2以上の任意の正の整数)までのn個の基材層で形成されている。第二の基材層6-2から第nの基材層6-nを、他の層6-2~6-nとも記載する。
なお、隠蔽層7は、基材6と印刷層5との間に形成しても良いし、省略しても構わない。特に本実施形態では、後述するように基材6に無機顔料を混合するため、隠蔽層7は省略しても意匠上問題はない。基材6に混合する顔料を少なく抑える場合には、必要に応じて隠蔽層7を設けることが好ましい。
化粧シート1の厚さは、例えば49μm以上360μm以下の範囲内とすることが好ましい。化粧シート1の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上するとともに、製造コストを抑制することができる。
このような化粧シート1は、プライマー層8側の面(裏面)を、例えば木質材料等からなる基材板9に貼り付けることで、化粧板を構成する。
以下、化粧シート1の各部について、詳細に説明する。
基材6は、1軸延伸又は2軸延伸により薄膜化された積層延伸フィルムからなる。基材6は、延伸することで不燃性が向上している。基材6の厚さは、20μm以上60μm未満であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。基材6の厚さが20μm以上60μm未満の範囲である場合、化粧シート1の不燃性と機械特性(強度)を両立することができる。また、基材6の厚さが20μm以上40μm以下の範囲である場合、不燃性がさらに向上するためより好ましい。
基材6を構成する各層は樹脂材料により形成され、樹脂材料の主成分としてポリオレフィン系樹脂を含んでいる。主成分とは、例えば、層を構成する樹脂材料を100質量部として、そのうちの70質量部以上100質量部以下、好ましくは90質量部以上100質量部以下含まれる樹脂材料をいう。
基材6の表面層6-1は、樹脂の酸価が2.0mg/g以上となっている。表面層6-1の樹脂の酸価を2.0mg/g以上とすることによって、適切な層間接着力を得ることができる。表面層6-1に酸変性材料を配合することで、表面層6-1に酸価を付与することができる。
表面層6-1における、より好ましい酸価は2.0mg/g以上30mg/g未満である。表面層6-1の酸価が2.0mg/g未満となると、インキとの十分な接着力を得ることができない。また、酸価が30mg/g以上の場合、接着効果が現れるが、顕著になりすぎることで、巻取り時や搬送時のブロッキングが問題になる場合がある。
表面層6-1の配向係数が1.7未満となる様な場合は、延伸による機械強度向上の効果を得ることが難しくなる。
樹脂選択の自由度拡大の観点、低コスト化の観点からは、表面層6-1のみに酸価を付与することが望ましい。しかし、顔料やフィラーといった添加物を樹脂に配合する場合、酸変性樹脂が存在すると、主成分に対する添加物の相溶性が向上するため、他の基材層6-2~6-nにも酸変性樹脂を配合するなどして、表面層6-1だけでなく、他の基材層6-2~6-nにも酸価を付与しても良い。
本実施形態では、基材6を構成する少なくとも1層、すなわち表面層6-1及び他の基材層6-2~6-nの少なくとも一つの層は、ポリプロピレン系樹脂とする。ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンに、αオレフィン(例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンなど)を単独、あるいは2種類以上共重合させたものが挙げられる。基材6の引っ張り弾性率の向上を図る場合には、高結晶性のポリプロピレンを用いることが好ましい。
酸変性材料としては、ポリプロピレンにマレイン酸をグラフト重合した、マレイン酸変性のポリプロピレン樹脂が好ましい。酸変性材料は、ポリエチレンにマレイン酸をグラフト重合した、マレイン酸変性のポリエチレン樹脂であっても良い。
また、表面層6-1を形成する樹脂材料の均一性の観点から、酸変性材料は表面層6-1を形成する樹脂材料との相溶性が高い材料であることが好ましい。このような観点から、例えば、表面層6-1をポリプロピレン樹脂から構成する場合、混合する酸変性樹脂もポリプロピレン樹脂であることが望ましい。
基材6を構成する少なくとも1層、すなわち表面層6-1及び他の基材層6-2~6-nの少なくとも一つの層は、無機顔料を含んでいることが好ましい。無機顔料を含有することにより、基材6の光透過率が低下して、化粧シート1を貼り付ける基材板9の模様を透過させないようにすることができる。
無機顔料の混合量は、表面層6-1及び他の基材層6-2~6-nの各層において、樹脂材料に対してそれぞれ5vol%以上50vol%以下とすることが好ましい。無機顔料の混合量が5vol%以上50vol%以下である場合、無機顔料添加による不燃性向上の効果が発現するとともに、無機顔料の添加量が多すぎることによる基材6の脆化も抑制することができるためである。
天然無機顔料としては、例えば、土系顔料、焼成土、鉱物性顔料などが挙げられる。合成無機顔料としては、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、珪酸塩顔料、燐酸塩顔料、炭酸塩顔料、金属粉顔料、炭素顔料などが挙げられる。また、天然無機顔料、合成無機顔料の中から、一種類もしくは二種類以上を混合した混合顔料を用いてもよい。
なお、顔料として有機顔料を用いることは好ましくない。基材6の不燃性が損なわれるためである。
印刷層5は、意匠性を付与するために絵柄模様が形成された層である。印刷層5は、既知の印刷手法を用いて化粧シート用基材6の表面層6-1上に設けることができる。基材6を巻取りの状態で用意できる場合には、印刷層5の形成のための印刷をロールツーロールの印刷装置で行うことができる。印刷手法は特に限定するものではないが、生産性や絵柄の品位を考慮すれば、例えばグラビア印刷法を用いることができる。
印刷層5を形成するために用いられる印刷インキは、特に限定されないが、印刷方式に対応したインキが適宜選択される。特に、基材6に対する密着性や印刷適性、また、化粧シート1の耐候性等を考慮して印刷インキが選択されることが好ましい。
印刷層5の厚さは、3μm以上20μm以下であることが好ましい。印刷層5の厚さがこの範囲である場合、印刷を明瞭にすることができるとともに、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
接着剤層4は、基材6および印刷層5と、透明樹脂層3との接着を強固にする目的で設けられる。基材6および印刷層5と、透明樹脂層3との接着が強固であることにより、化粧シート1に対して、曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。接着剤層4は透明であることが好ましい。
接着剤層4の厚さは、1μm以上20μm以下であることが好ましい。接着剤層4の厚さがこの範囲である場合、基材6および印刷層5と透明樹脂層3との間の接着強度を向上するとともに、化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
透明樹脂層3は、例えば透明樹脂シートで構成されており、接着剤層4によって基材6および印刷層5に接着されている。図1に示す化粧シート1では、透明樹脂層3が一層の場合を図示しているが、複数層の透明樹脂層3が積層されて構成されていても良い。本実施形態の透明樹脂層3は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されることが好ましい。主成分とは、例えば、透明樹脂層3を構成する樹脂材料を100質量部として、そのうちの70質量部以上100質量部以下、好ましくは90質量部以上100質量部以下含まれる樹脂材料をいう。
透明樹脂層3の厚さは、20μm以上200μm以下であることが好ましい。透明樹脂層3の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1の強度が向上するとともに、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上して、かつ製造コストを抑制することができる。
表面保護層2は、化粧シート1の最表面に設けられており、表面の保護や艶の調整としての機能を有している。表面保護層2を構成する材料としては、ポリウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、尿素系樹脂などが挙げられる。樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。硬化法についても一液タイプ、二液タイプ、紫外線硬化法など適宜選択して行うことができる。
表面保護層2の厚さは、3μm以上20μm以下であることが好ましい。表面保護層2の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1の表面保護を行うと共に十分な艶を持たせることができ、また化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
隠蔽層7は、化粧シート1のプライマー層8側の面が木質基材等の基材板9に貼り付けられた化粧板において、基材板9に対する隠蔽性を保たせることを目的として形成される。隠蔽層7は、例えば、印刷層5と同様にインキの印刷によって形成される。インキに含ませる顔料としては、不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また、隠蔽層7における化粧シート1が貼り付けられる木質基材等からなる基材板9の模様の隠蔽性を向上させるために、金、銀、銅、アルミ等の金属をインキに添加することも可能であり、一般的にはフレーク状のアルミを添加することが好ましい。なお、隠蔽層7は、上述のように、基材6のいずれかの基材層(例えば表面層6-1又は第二の基材層6-2)が不透明で隠蔽性を有している場合には、省略することができる。
隠蔽層7の厚さは、2μm以上20μm以下であることが好ましい。隠蔽層7の厚さがこの範囲である場合、基材板9に対する隠蔽性を保つとともに、化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
プライマー層8は、化粧シート1のプライマー層8側の面が基材板9に貼り付けられた化粧板において、化粧シート1と基材板9との密着性を向上させるために設けられる。
プライマー層8は、基本的には印刷層5と同様の材料(印刷インキ)を用いることができる。なかでも、化粧シート1の裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、印刷インキに対してシリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させることが好ましい。これにより、化粧シート1を巻取る際におけるブロッキングの発生を避け、且つ接着剤との密着を高めることができる。
プライマー層8の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。プライマー層8の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1と基材板9との間の密着性を向上させるとともに、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上して、かつ製造コストを抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、基材強度と層間接着力を両立した化粧シート1を得ることが出来る。
更に、延伸によって基材6を薄膜化できるので、不燃性を高めることも可能となる。
<サンプル1>
サンプル1の化粧シートを、以下に示す工程で形成した。
(透明樹脂層用樹脂シートの形成工程)
まず、ホモポリプロピレン樹脂に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加した樹脂材料を準備する。ここで、ホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3である材料を使用した。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)は、ホモポリプロピレン樹脂に対して500PPM添加した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)は、ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM添加した。ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944:BASF社製)は、ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM添加した。このような樹脂材料を、溶融押出機を用いて押し出し、透明樹脂層として使用する厚さ80μmのポリプロピレン製の透明樹脂シートを製膜した。
続いて、得られた透明樹脂シートの両面にコロナ処理を施し、透明樹脂シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。
表面層及び第二の基材層の2層が積層された基材を、押出法によって製膜し延伸することにより形成した。すなわち化粧シート用基材を、ポリオレフィン系樹脂からなる2層で構成した。
1層目の表面層の前駆体となる層を、無機顔料を添加した樹脂材料A(酸価5.0mg/gのマレイン酸変性ホモポリプロピレン)を用いて厚さ12μmで形成した。続いて、1層目の表面層の前駆体となる層上に、2層目の第二の基材層の前駆体となる層を、無機顔料を添加した樹脂材料B(ホモポリプロピレン)を用いて厚さ108μmで形成した。これにより、2層の合計厚さが120μmの積層樹脂前駆体を形成した。
続いて、積層樹脂前駆体を1軸延伸法によって4倍に延伸することで、厚さ30μmの基材(表面層の膜厚3μm、第二の基材層の膜厚27μm)を形成した。
基材の表面層上に、グラビア印刷方式にて絵柄印刷を施して印刷層を形成した。印刷層は、2液型ウレタンインキ(V180;東洋インキ製造株式会社製)に、当該インキのバインダー樹脂分に対してヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944;BASF社製)を0.5質量%添加したインキを用いて形成した。
また、基材の第二の基材層の裏面にプライマー層を形成した。プライマー層は、グラビア印刷方式にて印刷層と同様の2液型ウレタンインキを印刷することにより形成した。
続いて、印刷層を形成した基材のおもて面(印刷層形成面)に、接着剤層としてドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学株式会社製;塗布量2g/m2)を塗布した。この後、印刷層を形成した基材のおもて面に接着剤層を介して透明樹脂シートをドライラミネート法にて貼り合わせることにより、透明樹脂層を形成した。透明樹脂層の表面には、エンボス模様を施した。
エンボス模様を施した透明樹脂層の表面に、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス株式会社製)を塗布厚6g/m2にて塗布し、乾燥させて表面保護層を形成した。
これにより、サンプル1を構成する総厚120μmの化粧シートを得た。
表面層を、樹脂材料C(ランダムポリプロピレンに酸価5.0mg/gの酸変性ポリプロピレンを50質量%配合の樹脂)とした以外はサンプル1と同様にして、サンプル2を構成する化粧シートを形成した。
サンプル2の表面層の酸価は、2.5mg/gである。
<サンプル3>
表面層を、樹脂材料D(酸価4.0mg/gのマレイン酸変性した直鎖低密度ポリエチレン)で形成した以外はサンプル1と同様にして、サンプル3を構成する化粧シートを形成した。
表面層及び第二の基材層を樹脂材料B(ホモポリプロピレン)で形成した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル4を構成する化粧シートを形成した。
<サンプル5>
表面層及び第二の基材層を樹脂材料Bで形成し、延伸せず、2層の合計厚さを120μmとした以外は、サンプル1と同様にして、サンプル5を構成する化粧シートを形成した。
表面層及び第二の基材層を樹脂材料E(ランダムポリプロピレン)で形成し、延伸しないこと以外は、サンプル1と同様にして、サンプル6を構成する化粧シートを形成した。
<サンプル7>
表面層を、樹脂材料F(ランダムポリプロピレンに酸価5.0mg/gの酸変性ポリプロピレンを60質量%配合の樹脂)とし、延伸倍率を5倍に変更した以外はサンプル1と同様にして、サンプル7を構成する化粧シートを形成した。
サンプル7の表面層の酸価は、3mg/gである。
表面層を、樹脂材料G(ランダムポリプロピレンに酸価5.0mg/gの酸変性ポリプロピレンを10質量%配合の樹脂)とした以外はサンプル1と同様にして、サンプル8を構成する化粧シートを形成した。
サンプル8の表面層の酸価は、0.5mg/gである。
各サンプルの構成を表1に示す。表1には、評価についても併せて記載した。
各サンプルの化粧シートに対して、性能の評価を実施した。
[引っ張り弾性率]
各サンプルの化粧シートを、テンシロン万能材料試験機によって50mm/minで引っ張って、弾性率を測定した。
弾性率の評価については、次の通りである。
○:良好(弾性率500MPa以上)
×:不良(弾性率500MPa未満)
各サンプルの化粧シートを金属板に貼り合わせて、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験を実施した。不燃性は、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号の規定を満足したか否かで判定した。
評価は次の通りである。
○:良好(規格内)
×:不良(規格外)
層間密着試験は、透明樹脂層と基材との密着力(接着性)を評価する試験である。層間密着試験は、各サンプルの化粧シートを用いて、JIS K 6854-2に従って実施した。
評価は次の通りである。
○:良好(規格内)
△:やや悪化(規格内)
×:不良(規格外)
表1から分かるように、本発明に基づくサンプル1~3では、接着性、弾性率、及び不燃性とも良好であった。
2 表面保護層
3 透明樹脂層
4 接着剤層
5 印刷層
6 基材
6-1 表面層(基材層)
6-2~6-n 表面層以外の他の基材層
7 隠蔽層
8 プライマー層
9 基材板
Claims (6)
- 1軸もしくは2軸の積層延伸フィルムであって、
樹脂材料の主成分がポリオレフィン系樹脂からなる複数の層を有し、その複数の層のうちの最表面に位置する第一層を表面層と定義したときに、上記表面層の酸価が2.0mg/g以上であり、かつ、配向係数が1.7以上11.0未満であることを特徴とする積層延伸フィルム。 - 上記表面層は、酸変性材料としてマレイン酸変性のポリプロピレンまたはポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1に記載した積層延伸フィルム。
- 請求項1又は請求項2に記載した積層延伸フィルムからなる化粧シート用基材。
- 不燃性基材と貼り合わせた状態でISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号に記載の要件を満たす不燃材料であることを特徴とする請求項3に記載した化粧シート用基材。
- 請求項3又は請求項4に記載の化粧シート用基材と、上記化粧シート用基材の表面層側の面に形成されたポリオレフィン系樹脂を含む一層又は複数層の透明樹脂層と、を備える化粧シート。
- 請求項5に記載の化粧シートを、木質材料からなる基材板に貼り合わせた化粧板。
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