JP7186238B2 - 音響システム - Google Patents
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Description
具体的には、ファンの羽根の枚数と回転速度とによって決まる特定周波数で卓越した騒音がファンの騒音の大きな問題となっている。
また、多孔質吸音体が、繊維系吸音体、又は劣化する素材で構成されている場合、その繊維、又ははがれた欠片がファンの風に運ばれて埃として舞ってしまうため、機器に影響を与えたり、環境に放出されるため好ましくない。
また、機器の小型化、及び軽量化要求は、大きく、できるだけ軽量、かつコンパクトに消音することが求められる。特に、ダクトの長さが非常に短い場合も多いため、消音構造には、ダクト流路方向のコンパクトさも求められている。
特許文献1に開示の消音装置は、冷却ダクト内であって、冷却ファンの吸気面に対向する位置に、吸気面と略平行に形成されて、冷却ファンからの音を反射する反射板と、反射板を挟んで冷却ファンと反対側に設けられた空気室と、反射板に設けられ、空気室と連通する貫通穴とから構成される共鳴型消音器を有している。この消音装置においては、冷却ファンの吸気面と冷却ダクトの流路方向が直角であり、冷却ファンの吸気面と、共鳴型消音器の反射板、例えばヘルムホルツ共鳴器の吸音面、板状吸音器の板面、又は膜状吸音器の膜面が対向している。この消音装置では、ファンとダクトとが直角であるため、ダクトの遮断周波数以上で音の高次モードを発生できる周波数のみがファンから出てダクトの方向に流れていく。即ち、ダクトの径を小さくすることで、ダクトの径で決まる遮断周波数が大きくなり、その周波数以下の音はダクトの流路方向への進行波とならずに、ファンと対向共鳴面の間に閉じ込められて吸音する。特許文献1に開示の消音装置では、小型かつ低コストで消音効果の高い静音ダクトを提供することができるとしている。
特許文献2に開示のダクトは、開口した中空領域を有する筐体と、筐体に設けられた第1及び第2の孔と、中空領域の開口部を塞ぐ膜状、又は板状の振動体とをそれぞれ備える複数の吸音構造体が、各々の中空領域が第1及び第2の孔を介して連通するように、連結されているものである。このダクトの吸音は、筐体と膜面との間の中空領域の空間に孔が設けられていて、膜面の幅(水平)方向の長さをλ/4に合わせることで共鳴を生じた音を膜で吸音するメカニズムである。
特許文献2に開示のダクトでは、簡易な構成の吸音構造体が、音波を振動に変換して、音波エネルギを機械エネルギとして消費して吸音を行うとしている。また、この吸音構造体は、例えばエンジン室等から到来して車室に侵入したり、空調装置から到来して車室に浸入する低周波数の音を吸音するのに適しているとしている。
しかしながら、特許文献1に開示の消音装置では、膜状吸音器は、ファンの吸気面に対向して設けられており、冷却ダクトは、吸気ダクトとなっており、ファンの吸気側の騒音を消音することができても、ファンから風等の気流と共にダクトの下流側に伝播される騒音は、消音することができないという問題があった。
また特許文献1に記載の貫通穴に起因する風切り音もファンに非常に近いために問題となる。
また、特許文献1に開示の消音装置では、ダクトの径を小さくしなければならないため、大きな風量を流す系に適用することができないという問題があった。
また、この吸音構造体は、中空領域と車室との音圧差によって膜等の振動体が振動して、車室に発生する所定の周波数帯の音の音圧を低減させ、所定の周波数帯が、振動体のマス成分と中空領域のバネ成分とで構成されるバネマス系の共振周波数に基づいて設定されている。このため、膜の大きさも大きくならざるを得ないという問題があった。特許文献2では、送風機の排風音の音圧が特に高くなる周波数は、空調装置の仕様等により決まるから、空調装置が有する送風機の駆動により発生する音の波長を決めておき、それに応じた膜の幅方向の長さWが設定されるとよいとしている。ファン等の送風機の回転音等を含む比較的低い周波数の音が500Hzで音圧が特に高くなっているので、膜の幅方向の長さを、この音の波長の1/4の長さである160mmとしている。なお、例えば2kHzの音の波長は、約170mmであるため、2kHzの消音のためには膜の大きさを約43mmとする必要がある。このように、膜を用いても波長/4のサイズが必要となるため、小型化することが難しい。
また、λ/4の長さを使うためにダクト流路に小孔部が周期的にある構成であるため、風量を増やすことは難しく、またダクト径が急峻に変わる部分において渦も発生するためにさらに大きな風量を流すには適さない構造である。また、小さい風量であってもダクトが大きくなってしまう問題もある。
また、特許文献2では、吸音構造体がファンの遠方場に配置される構成のみが開示されていて、また、幅方向の長さがλ/4ある膜構造を用いるため、たとえファンの近傍に配置しても位置の最適化の効果を得ることが難しいという問題もあった。
膜型共鳴構造には開口部が必要ないため、風に対して新たな風切り音の発生源とはならない。この状態でファンの特定騒音を共鳴現象によって消音することができる。これらは、他の共鳴構造と比較した場合の膜型共鳴構造の優位性である。
更に、膜面を他のダクト面と合わせることで、ダクト壁における凹凸もない消音構造とすることができる。壁の凹凸は、風による空力騒音の発生源となるため、ない方が望ましい。
また、ダクト内部を風が流れていると、風圧によって吸音材に影響を与えることも課題であったが、ダクト壁に膜面を作ることで、風の流れる方向と膜の垂直方向がほぼ直角の関係となるため、風圧の影響をほとんど受けずに済み、風量が変わっても機能する。
これらのように、我々は膜型共鳴構造をファンダクトに適用することで、さまざまな課題を解決してファンの特定周波数騒音を狙って消音することができる。
また、音源が、少なくとも一つの特定周波数についての音圧が極大となる卓越音を発する音源であることが好ましい。
また、音源が、ファンであり、卓越音が、ファンを構成する羽根と回転速度とにより発生し、ファンから外部に出る音であることが好ましい。
また、膜状部材は、ダクトの壁の一部に設けられた開口に取り付けられることが好ましい。
また、膜状部材のエッジ部が、固定端となっていることが好ましい。
また、膜状部材が、ダクトの壁の一部を薄くすることで振動するように形成されていることが好ましい。
また、膜型共鳴構造は、基本振動における吸音率より高次振動における吸音率が大きい構造であることが好ましい。
また、膜状部材、又は膜型共鳴構造が、ダクトの流路方向について複数列配置されていることが好ましい。
また、膜状部材のヤング率をE(Pa)とし、厚みをt(m)とし、背面空間の厚みをd(m)とし、膜状部材が振動する領域の円相当直径をΦ(m)とすると、
膜状部材の硬さE×t3(Pa・m3)が、21.6×d-1.25×Φ4.15以下であることが好ましい。
また、膜状部材は、質量分布を有することが好ましい。
また、膜状部材に錘が取り付けられていることが好ましい。
また、錘は、膜状部材の背面に取り付けられていることが好ましい。
また、少なくとも一つの膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について前記膜状部材の中心が、音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとして、音源の位置からλ/4未満の距離に位置していることが好ましい。
また、ダクトが、音源の少なくとも一部を囲むケースであることが好ましい。
また、音源が、ファンであり、ダクトが、ファンを囲むファンケーシングであり、ファンケーシングに膜状部材が取り付けられていることが好ましい。
また、少なくとも一つの膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について前記膜状部材の中心が、音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとし、0以上の整数をmとして、音響インピーダンス変化を生じる反射界面からm×λ/2-λ/4より大きく、m×λ/2+λ/4より小さい距離に位置していることが好ましい。
また、少なくとも一つの膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について前記膜状部材の中心が、音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとし、高インピーダンス界面から±λ/4(m=0)以内の位置に位置していることが好ましい。
また、反射界面を含む反射部と、音源と、膜状部材とが、λ/2以内の距離に配置され、反射部と反対側への放射音を抑制することが好ましい。
また、本発明によれば、コンパクトな吸音構造を実現できるため、ファン騒音をコンパクトに消音するうえで優位性が大きい。
また、本発明によれば、ダクトを膜面で置き換えることで、ダクトを軽量化することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「直交」および「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「直交」および「平行」とは、厳密な直交あるいは平行に対して±20°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な直交あるいは平行に対しての誤差は、10°以下であることが好ましく、5°以下であることがさらに好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
本発明の音響システムの構成について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る音響システムの一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す音響システムを概念的に示す断面模式図である。なお、図3は、図1に示す音響システムを概念的に示す模式図である。図4は、図1に示す音響システムに用いられるプロペラファンの一例の部分破断斜視図である。
図3では、ファンの気流が正面から吹き出すようにファンをダクトに対して正面に向けて示しているが、ファンが設けられている位置を示している模式図であり、図1、及び図2に示すように、ファンの気流はダクトに平行であることは言うまでもない。以下でも、音響システムのファンを図3と同様に示すが、ファンからの気流の方向は、ダクトと平行になるものと解すべきである。
図1~図3に示すように、音響システム10は、四角筒状のダクト12と、音源となるファン14と、膜型共鳴体16と、を有する。膜型共鳴体16は、膜状部材18と、枠体20とを有する。
ダクト12は、図1~図3に示すように、断面四角形の貫通孔12aを有し、下流側の一方の端部に開放端12bを持つ筒状部材である。なお、音源となるファン14が配置される上流側のダクト12の端部は、図2~図3に示すように、開放端12cとなっていても良いし、閉じられていても良い。
また、ダクト12は、その壁12dの一部に、膜状部材18を取り付けるための開口12eが設けられている。
ダクト12は、例えば、ファン14が設けられる換気口、及び空調用ダクト等のダクトである。ダクト12は、ファン14が設けられていれば、特に制限的ではなく、ビル、家屋、自動車、電車、及び飛行機等の換気口、及び空調用ダクト、デスクトップパーソナルコンピュータ(PC、パソコン)、プロジェクタ、及びサーバー(計算機サーバーなど)等の電子機器、特に電子機器に用いられる冷却ファン用のダクト等、並びに換気扇、ドライヤー、掃除機、扇風機、送風機、食洗機等の家電機器、電気機器等の各種機器に用いられる一般的なダクト、通風口であってもよい。
また、図1~図3に示すダクト12の貫通孔12aは、長さ方向に同一寸法であるが、本発明はこれに限定されず、貫通孔12aの断面形状が、縮小されていても良いし、拡大されていても良い。即ち、ダクト12の貫通孔12aの内壁面は、傾斜していても良いし、図6に示す音響システム10Bのように、段差が付いていても良い。
例えば、ドライヤー、及び掃除機においてはモーターファンの部分が大きく、開口部付近がより絞られた構造をしている場合が多いが、その構造は図6のように段差が付いたダクトとみなすことができる。
即ち、ダクト12が、音源の少なくとも一部を囲むケーシングであることが好ましい。即ち、音源が、ファン14であり、ダクト12が、音源となるファンを囲むファンケーシング24であり、ファンケーシング24に膜状部材18、及び枠体20(膜型共鳴体16)が取り付けられていることが構造全体をコンパクト化する観点から好ましい。
ダクト12の材料としては、特に制限的ではないが、金属、又は樹脂であることが好ましく、金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ブリキ、SUS(ステンレス鋼)、鉄、鋼鉄、チタン、マグネシウム、タングステン、クロム、溶融亜鉛めっき鋼、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(登録商標))、及び塩ビ被覆鋼等の金属や各種合金材料等を挙げることができる。樹脂としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、塩化ビニル、ウレタン、発泡ウレタン(発泡体を用いることで軽量なダクトができる)、及びPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)等の樹脂材料、及びそれらの合成樹脂等を挙げることができる。
ファン14は、ダクト12内を流す流体(風、及び/又は熱を含む気流)を生成すると共に、ダクト12の上流側の内部、又はダクト12の上流側の内部に連通するダクト12の外周部に配置される内部の音源となるものである。
ファン14は、内部音源として、少なくとも一つの特定周波数についての音圧が極大となる特定周波数音、即ち卓越音を発する音源となるものである。なお、卓越音の定義は、狭帯域音であって、そのピーク音圧がその帯域外の音に対して3dB以上大きいこととする。3dB差があると十分に検知できるためである。
ファン14としては、ダクト12内を流す流体を生成し、内部の音源となり、ダクト12の上流側の内部、又はその外周部に配置できるものであれば、特に制限的では無く、従来公知のファンを用いることができる。ファン14としては、例えば、プロペラファン、軸流ファン、ブロアファン、シロッコファン、クロスフローファン、斜流ファン、ラジアルファン、ターボファン、翼型ファン、横流ファン、プラグファン、及びエアフォイルファン等を挙げることができる。
このようなプロペラファンを図4に示す。図4に示すプロペラファン22は、円形の貫通孔24aを有するケーシング24と、ケーシング24内に、中心の円形のハブ26の外周に等間隔に取り付けられた複数枚、図4では5枚の羽根となるプロペラ28からなるファン本体30を有する。プロペラファン22は、図中矢印に示すように図中右側から気体を吸引し、左側から送風される気流を生成すると共に、卓越音を発生する。この卓越音は、プロペラ28の枚数である5枚とプロペラ28の回転速度に依存する特定周波数のおとである。
また、図8Bに示すように、ファン14をダクト12の他方の端部側の外周部に取り付け、ダクト12の他方の端部を閉塞端部12fとしても良い。
したがって、本発明において、音源としては、ダクト12の内部、又はダクト12の内部に連通するダクト12の外周部に配置される内部の音源、又はダクト12の端部から外部側に音響共鳴の周波数における波長以内の距離に存在する外部の音源等が挙げられる。
膜型共鳴体16は、ダクト12の壁の一部として構成され、音に対して振動する膜状部材18と、膜状部材18の背面閉空間20aを構成する枠体20とを有する。
膜型共鳴体16は、膜状部材18とその背面の枠体20の背面閉空間20aを含む構造によって音響共鳴を生じさせ、音源となるファン14からダクト12内を伝播され、ダクト12の下流側の端部から放射される音を抑制する。膜状部材18とその背面閉空間20aを含む構造は、膜状部材18と背面閉空間20aとによって共鳴周波数が決まる膜型共鳴構造(膜型吸音構造)であることが好ましい。即ち、膜型共鳴体16は、膜状部材18の膜振動を利用して、消音の機能を発現し、特定の周波数(周波数帯域)の音を選択的に消音するものである。
処で、背面閉空間の厚みを小さくすることで吸音率のピーク周波数は高周波化する。このとき、特に膜状部材18が薄い(より正確には硬さが小さい)場合には、背面閉空間の厚みを小さくした時に連続的に高周波化するだけではなく、より高周波側に新たな吸音ピークが現れて、背面距離を小さくすると次第に低周波側ピークの吸音率より高周波側ピークの吸音率が大きくなる。即ち、吸音率の最大となる周波数を背面距離に対して示すと、不連続な飛びがある。この特性は、吸音率が最大となる振動モードが、基本振動モードから高次振動モード、もしくは高次振動モードの次数の高いモードに移行していることを示す。即ち、特に薄い膜によって高次振動モードが励起されやすい状態であると、背面空間の厚みを小さくすることで基本振動モードではなく高次振動モードによる吸音の効果が大きく現れる。よって、高周波域での大きな吸音率は、基本振動モードに起因するものではなく、高次振動モードによる共鳴に起因する。
また、膜型共鳴体16の膜状部材18の背面側(枠体20側)には、枠体20によって枠体20と膜状部材18とに囲まれた背面閉空間20aが形成されている。背面閉空間20aは、閉じられた空間である。
また、膜状部材18は、ダクト12の壁12dの一部を薄くすることによって振動するように形成されていても良い。こうすることにより、膜状部材18をダクト12の壁12dに固定するために、接着剤等を使う必要がない。また、膜状部材18がダクト12の壁12dと同じ素材であるために、耐久性等がダクトと同じく担保される。
図3に示すように、ダクト12の壁12dの開口12eに直接膜状部材18を取り付ける場合には、膜状部材18の周縁部を開口12eの端面に固定しても良いし、膜状部材18の周縁部を開口12eの周縁部の壁12dの部分に固定しても良い。なお、この場合、膜状部材18の周縁部(エッジ部)は、全て、開口12eの端面、又は開口12eの周縁部の壁12dの部分に固定しても良いし、一部のみを固定するようにしても良い。こうして、膜状部材18は、ダクト12の壁12dの開口12eに振動可能に支持される。
もしくは、枠体20の前記開口部以外の4つの側面、もしくは背面板に小さい貫通孔(開口部)が設けられていることも好ましい。側面サイズに比べて十分に小さい穴が形成されていても音響現象としては略閉空間として扱うことができる。一方で、枠体20の内外で通気することによって、気圧の変化、温度の変化等による圧力の内外差を解消することができる。圧力の内外差が生じると膜状部材18に張力がかかり特性が変化する要因となるため、圧力の内外差は小さいことが望ましい。また、湿度によって結露することも防ぐことができる。ダクト流路側に配置される膜面に貫通孔を有すると風切り音の発生源となる可能性があるため、それ以外の面に貫通孔を有することで風切り音を防ぎつつ、圧力や温度等に対する耐久性やロバスト性を高めることができる。
枠体20は、図2に示すように、膜状部材18の周縁部を、開口部20bを覆うように開口部20bの開口端20cに取り付けて、膜状部材18の背面に背面閉空間20aを形成すると共に、膜状部材18を振動可能に支持するものであることが好ましい。
また、枠体20は、図3に示すように、膜状部材18の周縁部が取り付けられたダクト12の壁12dの開口12eを覆うように取り付けられて、膜状部材18の背面に背面閉空間20aを形成すると共に、膜状部材18を振動可能に支持するものであることが好ましい。
また、枠体20、及びその開口部20bのサイズは、平面視のサイズであり、円形または正方形のような正多角形の場合には、その中心を通る対向する辺間の距離、又は円相当直径と定義することができ、多角形、楕円又は不定形の場合には、円相当直径と定義することができる。本発明において、円相当直径および半径とは、それぞれ面積の等しい円に換算した時の直径および半径である。
また、これらの枠体20の材料の複数種を組み合わせて用いてもよい。
また、膜型共鳴体16は、ダクト12の壁12dの開口12eにひっかける構造が付いていることが好ましい。こうすることで、膜型共鳴体16を、例えば押し込むのみで壁12dに取り付けることができる。
また、膜型共鳴体16の枠体20の背面部分を交換することで、消音周波数をカスタマイズできる。
また、膜状部材18、枠体20の素材をダクト素材の主成分とすることで、熱、及び/又は湿度に対する歪の影響を小さくすることができる。
また、膜状部材18の膜面は、図9A、及び図9Bに示す音響システム10F、及び10Gのように、ダクト12の壁12dに対して、凹凸、即ち凹み、及び/又は出っ張りを有していても良い。ここで、ダクト12の壁12dに対して、膜状部材18の膜面の凹凸(凹み、及び/又は出っ張り)は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることがさらに好ましい。こうすることにより、風切音を発生させないようにすることができる。
膜状部材18のヤング率をE(Pa)とし、厚みをt(m)とし、背面閉空間20aの厚み(背面距離)をd(m)とし、膜状部材18が振動する領域の円相当直径、すなわち、膜状部材18が枠体20に固定されている場合には枠体20の開口部20bの円総長直径をΦ(m)とすると、膜状部材18の硬さE×t3(Pa・m3)を、21.6×d-1.25×Φ4.15以下とすることが好ましい。更に、係数aを用いて、a×d-1.25×Φ4.15と表すと、係数aが、11.1以下、8.4以下、7.4以下、6.3以下、5.0以下、4.2以下、3.2以下と係数aが小さくなるほど好ましい。
また、膜状部材18の硬さE×t3(Pa・m3)は、2.49×10-7以上であることが好ましく、7.03×10-7以上であることがより好ましく、4.98×10-6以上であることがさらに好ましく、1.11×10-5以上であることがよりさらに好ましく、3.52×10-5以上であることが特に好ましく、1.40×10-4以上であることが最も好ましいことがわかった。
膜状部材18の硬さを上記範囲とすることで、音響システム10の膜型共鳴体16において高次振動モードを好適に励起することができる。
厚み測定については、ノギス、段差計、レーザー顕微鏡、又は光学顕微鏡のような各種一般的な測定方法で測定できる。また、メーカー試験表などの物性値を用いても良い。
背面空間厚みも、厚み測定と同様に測定できる。また、枠の背面距離を背面空間厚みとして用いる場合、枠の厚みをそのまま測ればよい。
膜の振動に関して、基本振動と高次振動があり、高次振動には当然次数が存在する。この次数が大きくなっていくと、次第に膜振動のモードがエネルギ的に近くなり、ついには見分けがつかなくなる。このとき、実際には膜のバネ性は共鳴に効かず、膜の質量(と背面距離の大きさ)のみが共鳴に寄与する。
この場合でも吸音が生じるが、吸収が小さくなる傾向にある。よって、基本振動、及び明確な高次振動(次数10程度まで)が、吸収が高い膜型吸音体としては望ましい。
また、膜状部材18の中心が、音源(ファン14)が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとして、音源(ファン14)の位置からλ/4未満の距離に位置していることが好ましい。また、膜状部材18の中心が、λ/8未満の距離に位置していることがより好ましく、λ/12未満の距離に位置していることがさらに好ましい。この場合、上記の整数m=0にあたる。
こうすることにより、膜状部材18の中心を、音源(ファン14)の位置から消音が困難である(2n+1)×λ/4(nは0以上の整数)の距離の位置からは外すことができ、消音に優れたm×λ/2(mは0以上の整数)の位置に近づけることができる。
膜状部材18の中心に関しては、膜状部材(膜)18の重心位置で決定することができる。重心位置を中心にして振動が生じるためである。
音源の位置の測定方法に関しては、スピーカーのように振動体から発生する音の場合、その振動面位置。ファン14のように流動騒音の場合、ファン14の中心位置(羽根の中心位置)、で決定することができる。
また、後述する高インピーダンス界面と関係するが、特に軸流ファン、及びプロペラファンについては、その軸部分によってダクト径が狭まることによって高インピーダンス界面が音源であるファンの位置とほぼ同一となる。また、他の種類のファンも含めて、ファンが高速回転していることによって高インピーダンス界面反射が生じるため、特にファンの場合は、音源位置=高インピーダンス反射界面となることが多いため、上述の位置依存性が大きく現れる。
なお、流路に対して膜面が略平行であれば、局所速度極大の音圧界面となるため、図3に示す例に限らず、他の図に記載された例でも当てはまる。
即ち、ダクト12内に配置されて音源となるファン14として、プロペラファン、又は軸流ファンを用いた場合には、ファン14の背面側、開放端12c側においてケーシング等のために空間が狭くなるため、ファン14等の音源から高インピーダンス側にインピーダンス変化が生じる面が存在することになり、その面が音を反射する反射界面となる。また、例えば軸流ファンの軸自体が流路を狭める剛体として機能するため、軸流ファン面自体も高インピーダンス界面として機能している。
また、ダクト12内に配置されて音源となるファン14として、ブロアファン、シロッコファン、又はクロスフローファンを用いた場合には、ファン14の背面側は、図9に示すように、吸気部分以外は閉塞端部12fとなって閉じている上に、回転するファンの羽によっても反射されるため、その閉塞端部12fとファンの羽根が音を反射する反射界面となる。
こうすることにより、膜状部材18の中心を、音響インピーダンス変化を生じる反射界面から消音が困難である(2n+1)×λ/4(nは0以上の整数)の距離の位置からは外すことができ、消音に優れたm×λ/2(mは0以上の整数)の位置に近づけることができる。
ダクト内での配置として、高インピーダンス反射界面、音源、膜状部材、及び開放部の順であってもよいし、音源、高インピーダンス反射界面、膜状部材、及び開放部の順であってもよい。前者の場合は、背面にルーバーがついて、ファンがあり、前方に風を出す開口部がある構造、又は背面が絞られている構造などが挙げられる。後者の場合の高インピーダンス反射界面は、例えばファンの前部にルーバー、固定翼構造、及び/又は整流板が取り付けられている場合が挙げられる。
また、上述の高インピーダンス反射界面を含む反射部と、ファン14等の音源と、膜状部材18とが、λ/2以内の距離に配置され、反射部と反対側への放射音を抑制することが好ましい。
こうすることにより、音響ユニット10をコンパクトにすることができる。
上述の範囲はλ/4以内がより望ましく、λ/6以内がさらに望ましい。
本発明の音響システム10の膜型共鳴体16(膜型共鳴構造)の効果を確認するために、膜振動を実装するために3次元モデルを構築して、有限要素法計算ソフトCOMSOL ver.5.3(COMSOL inc.)を用いて、音響シミュレーションを行なった。
図2に示す音響システム10として、断面が正方形のダクト12(1辺75mm)で、内部音源位置からダクト12の端部(開放端12b)までの長さが120mmあるダクトモデルで計算を行った。ダクト12の端部から自由空間の開放されるモデルとした。自由空間へ開放される端部界面(開放端12bの開口面)は、ダクト内の相対的に高い音響インピーダンス側から、自由空間の相対的に低い音響インピーダンスへの音響インピーダンス変化が生じる界面であるため、そのインピーダンス差に従った低インピーダンス界面による反射と透過が生じる面となる。
本発明の目的は、このダクト12の開放部(開放端12b)から空間に放射される音を抑制することにある。
このように、ダクトは、ダクト端部の高インピーダンスから低インピーダンス(外)に変化する反射界面と、内部音源の背面側において低インピーダンス側から高インピーダンス(狭くなったダクト)に変化する反射界面を有する。今回のモデルは軸流ファンを模擬しているが、軸流ファンに限らず様々なファンでこのようなインピーダンスの高低による反射界面の形成がなされる。
内部音源は、ファン14として軸流ファンを模擬した点音源を用いた。8枚の羽根を模擬した8点の点音源を、ダクト12の音源位置断面内で直径60mmの円周上に等間隔かつ回転対称に配置した。円の中心位置は、軸の中心、ダクト12の断面の中心とそれぞれ一致している。この8点の点音源(8回対称位置)から同位相で音が放射される。これは8枚羽根のファンからの放射音を模擬している。
このシミュレーションでは、主に2kHz付近の消音を対象とした。膜型共鳴構造をとして、膜状部材(以下、単に膜とも言う。)18は、厚み100μmのPETフィルムとし、枠体20の1辺30mmの正方形開口部20bに膜状部材18であるPETフィルムの四端を固定拘束し、膜状部材18の背面閉空間20aの厚みを5mmとして、その背面は壁で閉じられている膜型共鳴体16を用いた。四端が固定されたPETフィルムの薄膜の振動と、背面閉空間20aを介して枠体20の背面壁での反射によって共鳴構造が得られる。
次に、膜型共鳴構造をダクトに配置したシミュレーション構造を図13に示す。
図13に示すように、この膜型共鳴体16の膜型共鳴構造を、ダクト12の内部音源34から外部放射側に10mm離れた位置に配置した。この時、膜型共鳴体16の中心位置と内部音源34の位置のダクト流路方向間隔は、25mmである。なお、内部音源34は、8回対称配置とした。
四角形状ダクト12の1面にだけ膜型共鳴構造を配置した場合と、図13に示すように、四角形状ダクト12の4面すべてに対称に4つの膜型共鳴構造を配置した場合の消音量の計算を行った。内部音源34の背面側は、内部音源位置から10mmダクト流路方向に離れた部分が壁(反射壁36:図14A、及び図14B参照)であり、音を反射する系として計算を行った。
図11、及び図12に示すように、最も共鳴効果が大きい2kHzにおいて、最も大きい消音効果が現れる。また、他の膜振動共鳴周波数である1kHz付近、及び3.5kHz付近においても消音効果が現れている。即ち、本発明では、複数周波数の消音を単一デバイスで消音できる。これは、本発明で用いた膜型共鳴構造が基本振動、複数の高次振動による複数の共鳴を有することに対応する。
このようにして、膜型共鳴構造をダクト12の壁12dに配置することで、特定周波数に対して大きな消音が生じることが分かった。
図14Aに示す音圧分布から、内部音源から放射された音は、膜型共鳴構造の存在する付近までしか伝搬せずに、ダクト12の内部に閉じ込められていることが分かる。また、膜型共鳴構造付近とダクト12の中央部の間に音圧が局所的に小さくなっている部分がある。これは、膜型共鳴構造とダクト12の中心部付近の音が干渉で打ち消し合っていることを示す。図14Bに示す局所速度分布からも、膜型共鳴構造付近で局所速度の方向が反転して、打ち消し合いの干渉を起こしていることが分かる。よって、膜型共鳴構造の共鳴によって位相が変化した音が、内部音源からの直接放射音と互いに打ち消しあう干渉が生じて、ダクト12の外部へ放射される音が消音されるというメカニズムが明らかになった。
即ち、膜型共鳴構造と、音源、及び音源背面(反射壁、軸等)との相互作用によって打ち消しあいの干渉が起きている。両者間の距離が近いと、近接場干渉が起きており、両者間の距離が遠いと、伝搬波での干渉が起きている。
このシミュレーション1では、内部音源(図2に示すファン14)の背面側(開放端12c側)に反射壁(反射界面)36(図14A、及び図14B参照)を設置した。これはファン14の場合の特有の現象を模擬しようとしている。ファン14の場合に特定周波数の卓越音が生じる原因は、ファン14の羽根の枚数と回転速度である周波数の音が位相をそろえて放射され続けることにある。つまり、ファン14の羽根は、卓越音周波数に同期して動いている状態となっている。このとき、ダクト12内で反射してきた音がファン14の羽根の部分に戻ると、その周波数と同期して動いている羽根の回転があるため、その羽根と音が相互作用しやすい状況になっている。この場合、相互作用が大きいことよりファン14の位置で反射しやすい。
よって、ファン14を騒音源とした卓越音周波数に関しては、ファン14の背面側空間が物理的に開放されていた場合であっても、羽根の動きによって卓越音に関しては高インピーダンス反射壁(反射界面)36が形成されたような音の振る舞いとなる。内部音源の背面側に反射壁36を配置したモデルは、このファン14の卓越音による減少を模擬する意図で作成した。
次に、本発明の音響システム10の膜型共鳴体16の膜型共鳴構造の位置と消音量との関係を確認するために、シミュレーション1と同じ条件(膜型共鳴構造を4つの場合)で、その膜型共鳴構造の位置を変化させて消音量の変化を計算した。内部音源(34)位置と膜型共鳴構造(16)の下端の距離を5mmから85mmまで変化させて、共鳴周波数である1.945kHzにおける消音量をそれぞれの条件で計算した。その結果を図15に示した。
図15に示すように、膜型共鳴構造の位置によって消音量は変化する。特に、図15に示すグラフ上の距離20mm、即ち内部音源と膜状部材18の中心の距離が35mmであって、内部音源の背面側反射壁と膜状部材18の中心の距離が45mmの場合に、消音効果がほぼ見られない条件があることが分かった。
図17は、外部放射音の消音がほぼ生じていない条件である。この場合、膜構造の共鳴周波数においては、内部音源の位置において非常に大きな音圧の増幅(図17中では、マイナス方向)が生じている。このため、音源から放射される音は強く(30dB以上)増幅されていて、膜型共鳴構造による外部放射音の消音効果と相殺しあって、結果的に消音効果がなくなっていることが分かった。
このようにして、膜型共鳴構造自体の共鳴特性と、内部音源位置音圧の増減による音圧放射量の変化の双方によって、外部への放射音量が決まることが分かった。
膜型共鳴構造は、共鳴周波数において位相変化が生じるために反射も示す。この膜型共鳴構造によって反射された音が、音源背後の壁(36)で再反射されて、また膜型共鳴構造の位置に戻ってくる。さらに膜型共鳴構造位置でまた反射される。この膜型共鳴構造による反射音同士の位相がそろっていると反射同士が重ねあわされて強い共振を起こす。即ち、ダクト12内に膜型共鳴構造(16)の位置と音源背後の壁(36)の位置による音の共振器が形成される。
2kHzの波長におけるλ/4は約43mmである。図17の条件の場合、音源背面の反射壁(36)と膜型共鳴構造(16)の距離45mmの条件であるため、この共振条件に非常に近く、ダクト内に強い共振器が形成される。このとき、共振器内を中心としてダクト内音圧は共振現象によって非常に大きく増幅される。このシミュレーション配置では、共振器内に内部音源があるため、その内部音源位置の音圧も増幅される。このようにして、内部音源の音圧が共振器によって高まることで、音源からの放射音量が大きくなり、膜型共鳴構造による消音効果と相殺しあう効果になったことが分かった。
次に、本発明の音響システム10の膜型共鳴体16の膜型共鳴構造をより現実的な系として効果を確認するために、音源(34)と背面反射壁(36)との距離を10mmとし、膜型共鳴構造に吸音も追加した計算を行った。即ち、シミュレーション2と同じ構造で、膜構造のヤング率に虚部を導入して、現実的な系として膜状部材18が吸音する構造とした。膜型共鳴構造の位置を変化させた場合の消音量を計算した。その結果を図20に示す。この図では横軸に膜状部材18の中心位置と音源背面の反射壁(36)の距離を取った。
図15と比較すると、膜状部材18に吸音があっても同様にして、膜型共鳴構造の位置によって消音量が変化することが分かる。消音量が最も小さくなるのは距離45mmの場合であり、この点は、シミュレーション2での検討結果と一致する。即ち、背面の反射界面(36)と膜型共鳴構造(16)の中心間の距離がλ/4の共振器を形成する長さのとき、内部増幅で消音量は最も小さくなる。図21に、この場合(図20の点B)の消音量スペクトルを示した。外部放射音をほとんど消音していないことが分かる。
特にm=0付近での消音は、λ/4未満の近接場領域に配置しても消音効果が得られることを示していて、ダクト12の長さが非常に小さい場合でも配置が可能であることを示すため、実用上重要である。
次に、本発明の音響システム10の膜型共鳴体16の膜型共鳴構造をシミュレーション3と同様により現実的な系として効果を確認するために、音源(34)と背面反射壁(36)との距離を20mmとし、膜型共鳴構造に吸音も追加した計算を行った。
シミュレーション3に対して、音源(34)と背面反射壁(36)との距離を10mmではなく20mmとした。膜型共鳴構造の位置を変化させた場合の消音量の変化を図24に示した。音源から背面の反射壁までの距離を変えた場合であっても、シミュレーション3と同様にして、反射壁と膜型共鳴構造の距離がλ/4になるときに最も消音効果が小さくなり、その両側で消音効果が大きくなっていくことが分かった。図25から図27にそれぞれの位置における消音スペクトルを示した。図25に示した点音源の真横に膜型共鳴構造を配置した場合(図24の点A)、すなわちm=0の場合にも大きな消音効果が現れていることが分かる。この位置では原理的にはダクト長さを必要とせず、ファン14のケーシングの大きさ程度でも消音できることにつながり、実用上重要になる。
このようにして、背面に壁という高いインピーダンス界面が(図24の点B)ある場合、図26に示すように、音源背面壁と膜型共鳴構造の距離がλ/4になった場合に、共振器が形成されて消音効果が小さくなり、一方で、図25、及び図27に示すように、m×λ/2となる場合(図24の点A、及び点C)に消音効果が大きくなることが明らかになった。
次に、本発明の音響システム10の膜型共鳴体16の膜型共鳴構造の効果を確認するために、音源(34)の背面反射壁(36)を無くし、膜型共鳴構造に吸音も追加した計算を行った。
シミュレーション4と同様の系であって、音源(34)の背面の反射壁(36)が無く、外に音を放射する系に変更して、同様の計算を行った。この場合にシミュレーション4と同様にして、膜型共鳴構造の位置を変化させた時の消音量変化を図28に示した。距離は、音源(34)位置と膜型共鳴構造(16)の中心位置との距離とした。音源の背面側が開放されている場合においても膜型共鳴構造の位置で消音量は変化する。音源位置と膜18の中央部位置の距離が約λ/4となる場合に消音量が一番小さくなる。また、約m×λ/2の位置にあるときに消音量が極大化する。
このようにして、音源の背面の反射壁がない場合であっても、音源自体の形状によって高インピーダンス側への界面が生じるために、膜型共鳴構造の位置の最適な位置が現れることが分かった。特に、図29に示すように、m=0(距離0mm)の場合が、音源の真横に膜型共鳴構造を配置するだけで消音効果が得られるため、コンパクト化に大きな意味がある。図30に示すように、距離がλ/4に近い50mmの場合には、消音量が小さくなる。図31に示すように、距離がλ/2に近い100mmの場合には、消音量が極大化することが分かる。
消音メカニズム(膜型共鳴体単体)は、以下の通りである。
図32に示すように、音源34から直接出て行く音(実線)と、膜型共鳴体16で位相変化して再放出される音(点線)とが、反転位相となって打消し合いの干渉を生じる。ここでは、音源34と膜型共鳴体16の距離に依らずに、膜型共鳴体16の特性で反転位相化する。このため、膜型共鳴体16単体で、周波数が決まる。したがって、膜型共鳴体16単体の共鳴による透過波の位相変化が重要である。
図33に示すように、膜型共鳴体16と音源背後の反射壁36との間の距離が波長と適合すると、共振器として共振が生じる。
このとき、キャビティの長さは、波長の4分の1(λ/4)となる。ここでは、音源24の位置の音圧が増加することで、音源34から音が強く放射される。このため、外部放射音も大きくなる。これは、反射壁36と膜型共鳴体16で形成されるキャビティの共振特性にもとづくものである。したがって、反射壁36と膜型共鳴体16との間の距離がλ/4となるとき共振効果は大である。このため、膜型共鳴体16の反射位相と、背面反射壁36との距離が重要である。
なお、膜型共鳴体16の共鳴付近の周波数で消音メカニズムと増幅メカニズムとの両方のメカニズムが生じる。
上述したように、膜型共鳴体16において膜振動吸音をする場合については、膜18のヤング率に虚部を導入、実際の吸収もある膜18として計算を行った。この場合には、背面反射壁36と膜18の中心との距離と消音量との関係は、上述の図20のようになる。
この背面反射壁36と膜18の中心との距離が、30mmの場合、及び105mmの場合について、膜型共鳴体16において音の吸収がある場合と、音の吸収が無い場合における周波数と消音量との関係を図34、及び図35に示す。
図34、及び図35に示されるように、膜18に強いダンピングが入り、音の吸収があると、実線で示すように、消音も増幅も、音の吸収が無い場合に見られた点線で示す強いピークはなくなる。その結果、図34、及び図35に実線で示されるように、ブロード化する。しかしながら、吸収がない点線の場合と、消音量の極大極小位置は変わらない。
背面閉空間のある膜型共鳴体の共鳴に従って、消音効果が現れる。高次振動のある場合は、基本振動も高次振動も消音効果が現れる。
一方で膜型共鳴体と背面反射壁によってキャビティ共振器が形成される条件があり、増幅に寄与している。
よって、共鳴器(膜型共鳴体)消音とキャビティ共振器による増幅が取り合いとなり、共鳴器の位置依存性が現れる。
実用的には、反射壁と膜型共鳴体の距離がλ/4となる場合が、キャビティ共振器が形成されて音圧の増幅効果が強く消音効果が小さい。したがって、このλ/4の距離を避けて、膜型共鳴体を配置すべきである。
膜型共鳴体を音源、及び/又は壁により近付けて、近接場干渉によっても大きな消音効果が現れる。この場合には、非常にコンパクトなサイズで消音ができる。
以上のようにして、シミュレーションによって、膜型共鳴体をダクトの壁に配置した音響ユニットを構成することで、音源の卓越音を狙って消音することができることを明らかにした。
まず、図37、及び図38に示すように、60mm×60mmの断面正方形の貫通孔12aを持ち、厚さ10mmの壁12dからなる80mm×80mmの外形寸法を持ち、長さが145mmであるダクト12の一方の端面の上面、及び両側面に、それぞれ、図38に示す幅30mm×長さ60mm×幅10mmの膜型共鳴体16を嵌めこみ、図37に示す断面配置のダクト12の一方の端面を構成した。次に、このようにして構成されたダクト12の一方の端面に、60mm×60mmの正方形状厚み28mmのファン14を取り付けて、ダクト12の貫通孔12aをファン14で覆うように構成して、音響ユニット10を構成した。
ファン14の吸気側には、同一寸法の貫通孔13aを持ち、厚さ10mmのウレタンゴム13bで内張りされた断面寸法200mm×60mm×長さ60mmのダクト13を取り付けた。
ファン14は、San Ace 60,Model:9GA0612P1J03(三洋電気社製)を用いた。
膜型共鳴体16は、図38に示すように、長軸5.6mm、短軸2.6mmの楕円形状の開口部20bを持ち、幅30mm×長さ60mm×厚さ2mmの上面アクリル板と、厚さ2mmのアクリル板を用いて、底面、4側面を構成し、全体を幅30mm×長さ60mm×幅10mmの直方体枠体20を構成し、開口部20bを覆うように、厚さ125μmのPET(ペット:ポリエチレンテレフタレート)製の膜状部材18を上面アクリル板の上面に貼り付けた。
こうして計測された音圧と周波数との関係を、ファン14に対する膜型共鳴体16の中心位置が、λ/2である実施例1について、図39に示す。ここで、波長λは、296mmである。なお、図39には、膜型共鳴体16を配置しない場合の音圧をリファレンスとして示す。また、図39には膜型共鳴体16が消音器として機能した時の消音器消音による吸収も示す。
また、図40には、ファン14に対する膜型共鳴体16の中心位置/λと、1150Hzにおける透過損失との関係を示す。すなわち、1150Hzにおける膜型共鳴体16を各位置に配置した場合のマイク音圧と、膜型共鳴体を配置していないリファレンスのマイク音圧を比較し、透過損失として表現した結果となる。図40に示す点は、全て本発明の実施例である。
また、図40から、位置/λが0.25である、すなわち位置がλ/4の場合、及びその前後点は、透過損失はあるが、透過損失が小さいのに対して、位置/λが0.5である実施例1、すなわち位置がλ/2の場合、及びその前後点は、透過損失がより大きいことが分かる。
つまり、膜型共鳴体を配置する場所によって消音効果は変化し、特にファンからλ/2の位置で効果が大きいことが分かった。
さらに、図40から、ファンとの距離をλ/4より近づけた場合に注目すると、透過損失量が大きくなっていくことが分かる。最も近づけた場合は0.12λの位置であり、透過損失が4dBを上回っている。このように、透過損失を大きくするための最適値は0.5λの位置だけではなく、0.25λより膜型共鳴体16をファンに近づけていった方向にも存在することが明らかになった。これは、上記シミュレーションと合わせると、透過損失の最適値が、位置m×λ/2(mは0以上の整数)となることを示唆している。
以上から、膜型共鳴体16の消音効果には、膜型共鳴体16の位置依存性があり、膜型共鳴体16の位置をλ/4から遠ざけ、0、もしくはλ/2に近づける方が望ましいことが分かる。
実施例1と同様の測定系であって、マイクロフォン38を200mm下流側の位置から直角に140mm離れた位置ではなく、100mm下流側の位置から直角に100mm離れた位置に配置した。
ファン14の卓越音を1500Hzとなるように電流量を調整した。このとき、流量計で測定した端部風速は7.8m/sであった。この測定系に対して、図41A,及び図41Bに示す膜型共鳴体16を備える実施例2の音響ユニット10aと、図42A,及び図42Bに示すヘルムホルツ共鳴体52を備える比較例1の音響ユニット50との比較を行った。
膜型共鳴体16の代わりに、比較するヘルムホルツ共鳴体52を用いた以外は、実施例2の音響ユニット10aと同様にして、比較例1の音響ユニット50を構成した。即ち、ヘルムホルツ共鳴体52の数、及び配置位置は、実施例2の膜型共鳴体16と同一であった。比較するヘルムホルツ共鳴体52は、膜型共鳴体16と体積が同一になるように設計した。即ち、表面板54の厚みが2mm、背面距離を3mmとして、背面はΦ26mmの円柱状空洞であり、表面板54には孔径2.5mm、厚み2mmの貫通穴(共鳴穴)56が存在する。この共鳴周波数も1500Hzとなる。それぞれの枠体、及びヘルムホルツ共鳴体52の表面板54などの構造体は、アクリル板をレーザーカッターで加工することで作成した。
こうして、実施例2の音響ユニット10a、比較例1の音響ユニット50、及び膜型共鳴体16、及びヘルムホルツ共鳴体52等の共鳴体が無いダクト12のみの音響ユニット60場合の音響測定を行った。その結果を、図43、及び表1に示す。
表1に示すように、ピーク同士の音圧から透過損失を求めると、実施例2では10dB以上のピーク消音量がある一方で、比較例1では4dBのピーク消音量しかなく、同一体積の共鳴体では膜型共鳴体16の方がヘルムホルツ共鳴体52より大きなピーク音透過損失を示した。
更に、図43によると、膜型共鳴体16では低周波側を中心にピーク音以外の音も小さくしていて、基本的に共鳴体のないときより音を増やしていはいない。
一方で、膜型共鳴体ではピーク音周辺周波数も含めて、風切り音を発生させていない。よって、音量を増やすことなく、ピーク音周波数においては大きな消音効果を得ることができた。よって、開口部を有しない膜型共鳴体の方が、ヘルムホルツ共鳴のような開口部を有する共鳴構造より、消音に適していることが分かった。
実施例2と同じ測定系において、ダクト流路方向に膜型共鳴体16の配置数を1列ではなく、2列(実施例3)、4列(実施例4)と配置することでより大きな消音効果を得る実験を行った。図44に4列配置した場合のイメージ図を示した。それらの結果を図45に示した。
図45にそれぞれの膜型共鳴体16の配置条件で測定したマイク位置音量スペクトルを示した。また、表1に実施例2の結果も含めて、ピーク音量の比較を示した。膜型共鳴体16をダクト流路方向に複数列配置することによって、より大きな消音効果を得られることが分かった。4列並べた場合は15dB以上の消音効果を得ることができた。
また、実施例2、実施例3、及び実施例4のそれぞれにおいて流量計で風速を測定したところ、全て7.8m/sであることが分かった。これは膜型共鳴体16を配置しない場合の風速と同一であり、壁面に膜型共鳴体16を配置することで風量が損なわれないことが分かった。
以上の結果より本発明の効果は明らかである。
12、13 ダクト
12a、13a 貫通孔
12b、12c、20c 開放端
12d 壁
12e 開口
12f 閉塞端部
13b ウレタンゴム
14 ファン
16 膜型共鳴体(膜型共鳴構造)
18 膜状部材(膜)
20 枠体
20a 背面閉空間
20b 開口部
22 プロペラファン
24 ケーシング
26 ハブ
28 プロペラ
30 ファン本体
32 錘
34 音源(内部音源)
36 反射壁
38 マイクロフォン
52 ヘルムホルツ共鳴体
54 表面板
56 貫通穴(共鳴穴)
Claims (23)
- 流体を流す機能を有する筒状のダクトと、前記ダクトの内部、又は前記ダクトの内部に連通する前記ダクトの外周部に配置される内部の音源、又は前記ダクトの端部から外部側に存在する外部の音源と、前記ダクトの壁の一部として構成され、音に対して振動する膜状部材と、を有する音響システムであって、前記膜状部材とその背面に形成された略閉空間で構成された背面空間を含む構造によって音響共鳴を生じさせ、前記音源から前記ダクト内を伝播され、前記ダクトの他方の端部から放射される音を抑制するものであり、前記外部の音源は、前記ダクトの端部から外部側に前記音響共鳴の周波数における波長以内の距離に存在し、少なくとも1つの前記膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について、前記膜状部材の中心が、前記音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとし、0以上の整数をmとして、前記音源の位置から(m×λ/2-λ/4)より大きく、(m×λ/2+λ/4)より小さい距離に位置していることを特徴とする音響システム。
- 前記流体は、気体であり、風、及び/又は熱を含む気流として前記ダクトを流れ、
前記ダクト内において、前記流体が流れる方向と、前記膜状部材の膜面とは、垂直ではない請求項1に記載の音響システム。 - 前記音源が、少なくとも一つの特定周波数についての音圧が極大となる卓越音を発する音源である請求項1、又は2に記載の音響システム。
- 前記音源が、ファンであり、
前記卓越音が、前記ファンを構成する羽根と回転速度とにより発生し、前記ファンから外部に出る音である請求項3に記載の音響システム。 - 前記膜状部材は、前記ダクトの壁の一部に設けられた開口に取り付けられる請求項1~4のいずれか1項に記載の音響システム。
- 前記膜状部材のエッジ部が、固定端となっている請求項5に記載の音響システム。
- 前記膜状部材が、前記ダクトの壁の一部を薄くすることで振動するように形成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の音響システム。
- 前記膜状部材の中心は、0以上の整数をnとして、前記音源の位置から、(2n+1)×λ/4の距離の位置からは外れ、m×λ/2の距離の位置に近づいた位置であり、
前記膜状部材と前記背面空間を含む構造は、前記膜状部材と前記背面空間とによって共鳴周波数が決まる膜型共鳴構造である請求項1~7のいずれか1項に記載の音響システム。 - 前記膜型共鳴構造は、基本振動における吸音率より高次振動における吸音率が大きい構造である請求項8に記載の音響システム。
- 前記膜状部材のヤング率をE(Pa)とし、厚みをt(m)とし、前記背面空間の厚みをd(m)とし、前記膜状部材が振動する領域の円相当直径をΦ(m)とすると、前記膜状部材の硬さE×t3(Pa・m3)が、21.6×d-1.25×Φ4.15以下である請求項8、又は9に記載の音響システム。
- 流体を流す機能を有する筒状のダクトと、前記ダクトの内部、又は前記ダクトの内部に連通する前記ダクトの外周部に配置される内部の音源、又は前記ダクトの端部から外部側に存在する外部の音源と、前記ダクトの壁の一部として構成され、音に対して振動する膜状部材と、を有する音響システムであって、前記膜状部材とその背面を含む構造によって音響共鳴を生じさせ、前記音源から前記ダクト内を伝播され、前記ダクトの他方の端部から放射される音を抑制するものであり、前記外部の音源は、前記ダクトの端部から外部側に前記音響共鳴の周波数における波長以内の距離に存在し、前記膜状部材の背面空間が、略閉空間で構成され、前記膜状部材とその背面を含む構造は、前記膜状部材と前記背面空間とによって共鳴周波数が決まる膜型共鳴構造であり、前記膜状部材のヤング率をE(Pa)とし、厚みをt(m)とし、前記背面空間の厚みをd(m)とし、前記膜状部材が振動する領域の円相当直径をΦ(m)とすると、前記膜状部材の硬さE×t3(Pa・m3)が、21.6×d-1.25×Φ4.15以下であることを特徴とする音響システム。
- 前記膜状部材が、前記ダクトの流路方向について複数列配置されている請求項1~11のいずれか1項に記載の音響システム。
- 前記膜状部材は、質量分布を有する請求項1~12のいずれか1項に記載の音響システム。
- 前記膜状部材に錘が取り付けられている請求項1~13のいずれか1項に記載の音響システム。
- 前記錘は、前記膜状部材の背面に取り付けられている請求項14に記載の音響システム。
- 少なくとも1つの前記膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について、前記膜状部材の中心が、前記音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとして、前記音源の位置からλ/4未満の距離に位置している請求項1~15のいずれか1項に記載の音響システム。
- 前記ダクトが、前記音源の少なくとも一部を囲むケースである請求項1~16のいずれか1項に記載の音響システム。
- 前記音源が、ファンであり、
前記ダクトが、前記ファンを囲むファンケーシングであり、
ファンケーシングに前記膜状部材が取り付けられている請求項1~17のいずれか1項に記載の音響システム。 - 前記音源が発する音の音圧が極大となる周波数において、前記ダクト内で前記音源から高インピーダンス側にインピーダンス変化が生じる面によって少なくとも一部の音を反射する反射界面となる高インピーダンス界面と、前記音源と、前記膜状部材が存在することによって、ダクトから出る外部放射音を抑制する請求項1~18のいずれか1項に記載の音響システム。
- 少なくとも1つの前記膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について、前記膜状部材の中心が、前記音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとし、0以上の整数をmとして、前記音響インピーダンス変化を生じる前記反射界面からm×λ/2-λ/4より大きく、m×λ/2+λ/4より小さい距離に位置している請求項19に記載の音響システム。
- 流体を流す機能を有する筒状のダクトと、前記ダクトの内部、又は前記ダクトの内部に連通する前記ダクトの外周部に配置される内部の音源、又は前記ダクトの端部から外部側に存在する外部の音源と、前記ダクトの壁の一部として構成され、音に対して振動する膜状部材と、を有する音響システムであって、前記膜状部材とその背面に形成された略閉空間で構成された背面空間を含む構造によって音響共鳴を生じさせ、前記音源から前記ダクト内を伝播され、前記ダクトの他方の端部から放射される音を抑制するものであり、前記外部の音源は、前記ダクトの端部から外部側に前記音響共鳴の周波数における波長以内の距離に存在し、前記音源が発する音の音圧が極大となる周波数において、前記ダクト内で前記音源から高インピーダンス側にインピーダンス変化が生じる面によって少なくとも一部の音を反射する反射界面となる高インピーダンス界面と、前記音源と、前記膜状部材が存在することによって、ダクトから出る外部放射音を抑制し、少なくとも1つの前記膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について、前記膜状部材の中心が、前記音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとし、0以上の整数をmとして、前記音響インピーダンス変化を生じる前記反射界面からm×λ/2-λ/4より大きく、m×λ/2+λ/4より小さい距離に位置していることを特徴とする音響システム。
- 少なくとも1つの前記膜状部材、又は少なくとも一つの膜型共鳴構造について、前記膜状部材の中心が、前記音源が発する音の音圧が極大となる周波数から決定される波長をλとし、高インピーダンス界面から±λ/4以内の位置に位置しており、かつ0以上の整数をnとして、前記音源の位置から、(2n+1)×λ/4の距離の位置からは外れ、m×λ/2の距離の位置に近づいた位置に位置している請求項20、又は21に記載の音響システム。
- 前記反射界面を含む反射部と、前記音源と、前記膜状部材とが、λ/2以内の距離に配置され、前記反射部と反対側への放射音を抑制する請求項19~22のいずれか1項に記載の音響システム。
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