JP7185831B2 - 網状外郭と内部空間を有するシリカ粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、シリカの殻の部分に孔径60nm~10μmのマクロ孔を5~100個有し、粒径が0.2~100μmである中空粒子が開示されている(特許文献1を参照。)。
特許文献2には、平均粒子径が10~50nm、真球度0.9~1の範囲、粒子径変動係数(CV値)が2~10%の球状シリカ微粒子が集合した内部に粒子間空隙構造を有する多孔質シリカ粒子であって、該多孔質シリカ粒子の平均粒子径(PD)が0.5~50μm、比表面積が30~250m2/g、細孔容積が0.10~0.25cc/gの範囲の多孔質シリカが開示されている。
第2観点として、透過型電子顕微鏡で観察される平均一次粒子径(A1)が100nm~1.5μmであり、平均粒子径(A2)/平均一次粒子径(A1)の比が0.8~1.5である第1観点に記載のシリカ粒子、
第3観点として、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が20~90m2/gである第1観点又は第2観点に記載のシリカ粒子、
第4観点として、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載のシリカ粒子が、酸性若しくはアルカリ性の水性媒体又は有機溶媒に分散し、レーザー回折法により測定される平均粒子径(A2)が100nm~1.5μmであるシリカゾル、
第5観点として、下記(a)工程乃至(b)工程を含む第4観点に記載のシリカゾルの製造方法、
(a)工程:動的光散乱法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2)の比D1/D2が4~10であって、D1が40~200nm、D2が8~30nmである細長い形状のコロイダルシリカのSiO2濃度を21~30質量%に濃縮後、30~100℃で高剪断力で攪拌によって製造されるレーザー回折法により測定される平均粒子径が100nm~1.5μm、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が90~350m2/gのアルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルを製造する工程、
(b)工程:SiO2/Na2Oのモル比で30~3000、SiO2濃度0.1~30質量%、pHを3~11に調整した後に100℃を超え、270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程、
第6観点として、第5観点に記載の(b)工程の後に、水性媒体を有機溶媒に置換する工程を行うオルガノシリカゾルの製造方法、
第7観点として、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のシリカ粒子と、樹脂とを含む膜形成組成物、
第8観点として、樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である第7観点に記載の膜形成組成物、及び
第9観点として、第7観点又は第8観点に記載の膜形成組成物から形成された膜である。
本発明のシリカ粒子は、透過型電子顕微鏡観察による平面投影図から測定した投影粒子中での投影貫通孔の面積割合が2~30%である。透過型電子顕微鏡(以後TEMと記載)観察を用いて、平面投影図から、投影された粒子中に存在する投影された貫通孔は2~30%、又は3~20%、又は3~10%である。この割合は透過型電子顕微鏡画像を画像解析装置により計測できる。
シリカ粒子中で、シリカ成分で形成されている網の直径は、網を形成するシリカ粒子が無限に細長いシリカ粒子を三次元に丸めた粒子と仮定して、比表面積から計算される粒子直径で求める事ができる。比表面積は窒素ガス吸着法比表面積測定装置(例えばQuantachrome社製Monosorb)を用いて測定することができる。
すなわち、体積をV1(m3)、密度をρ(kg/m3)、表面積をS(m2)とすれば、単位質量あたりの比表面積Sw=S/ρVである。
Sw=(2πr(r+h))/ρπr2h=2πr2/ρπr2h+2πrh/ρπr2h
となる。ところで、無限に長い円柱と仮定した場合は、h=無限大であるから、
Sw=2/ρrとなり、シリカ粒子半径r(nm)をシリカ粒子直径d(nm)に換算すると、Sw=4/(ρ×106)×(d×10-9)からSw=4000/ρdとなる。これを式(1)と定義する。
またアモルファスシリカの密度はρ=2.2g/cm3であるから、d(nm)=1820/Swが算出される。この式は上記網の直径(nm)として測定する事ができる。
沈降法とは粒子径測定の一つであるが、重力又は遠心力による粒子の液中での沈降速度から粒子径を測定する方法である。一般に2μm以下の粒子では遠心力を用いる遠心沈降法が適用できる。
遠心力による粒子の沈降速度から粒子径を測定する遠心沈降法において、中実粒子(細孔や空洞が存在しない粒子)であるとして測定した粒子径を含んだ沈降速度(1)は、別法(例えば、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径測定)を利用した密度不明粒子の粒子径を含む沈降速度(2)と等しいと仮定した場合に、別法で測定した密度不明粒子の平均粒子径を含む速度式中の密度はその粒子の密度であると考えられる。
V2=粒子の沈降速度(m/s)、ρs=粒子の密度(kg/m3)、ρ=分散媒(水)の密度(kg/m3)、d=粒子の直径(m)、g=重力加速度(m/s2)、η=分散媒(水)の粘性(Pa・s)とすると、ストークスの沈降速度式は、
V2=g(ρs-ρ)d2/18η であるから、
沈降速度(1)の粒子の密度はアモルファスシリカの密度(ρs1)=2.2として、水の密度が0.997として、遠沈沈降法で測定した平均粒子径(d1)nm、
沈降速度(2)の粒子の計算しようとする密度(ds2)、水の密度が0.997、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径(d2)nmとすると、沈降速度(1)=沈降速度(2)であり、
(ρs1-0.997)(d1)=(ρs2-0.997)(d2) が成立し、遠心沈降法と透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径で求めた2つの粒子径測定により、シリカ粒子の密度(ρs2)が求められる。
2.2x+0.997y=(ρs2)が成立する。これを式(3)と定義する。
y=(2.2-ρs2)/1.203となり、百分率で示せばyを100倍して100y(%)と計算できる。
また、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が20~90m2/gである。
本発明ではシリカ粒子が、酸性若しくはアルカリ性の水性媒体又は有機溶媒に分散し、レーザー回折法により測定される平均粒子径(A2)が100nm~1.5μmであるシリカゾルを得る事ができる。
(a)工程:動的光散乱法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2)の比D1/D2が4~10であって、D1が40~200nm、D2が8~30nmである細長い形状のコロイダルシリカのSiO2濃度を21~30質量%に濃縮後、30~100℃で高剪断力で攪拌によって製造されるレーザー回折法により測定される平均粒子径が100nm~1.5μm、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が90~350m2/gのアルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルを製造する工程、
(b)工程:SiO2/Na2Oのモル比で30~3000、SiO2濃度0.1~30質量%、pHを3~11に調整した後に100℃を超え、270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程。
(b)工程では水熱温度は100℃を超え、270℃以下の温度であり、又は150℃~270℃、又は150℃~240℃、又は150℃~210℃の温度に設定する事ができる。
本発明において、原料となる細長い形状のコロイダルシリカからなる水性シリカゾルは、アルカリ性であることが必要である。該ゾルに含まれるアルカリ種としては、NaOHが一般的であるが、それ以外のKOH、LiOH、第4級アンモニウム水酸化物等でもよい。
(a)工程において、上記のアルカリ性の細長い形状のシリカゾルをシリカ濃度21~30質量%に調整する。シリカ濃度が20質量%未満では、次の高剪断力による攪拌工程でコロイダルシリカ粒子同士の接触が少なくなるために良好な2次凝集が起こりにくくなる。また、シリカ濃度が30質量%を超えると、次の高剪断力による攪拌工程でコロイダルシリカ粒子同士の接触が多くなり過ぎて、コロイダルシリカの2次凝集が著しく起こり易くなるために2次凝集シリカの形状や粒子径が制御しにくくなるため好ましくない。原料となる細長い形状のシリカゾルの濃度は、21~25質量%が最も好ましい。
(a)工程で用いられる高剪断力を有する撹拌装置としては、パドル翼、タービン翼、スクリュー翼、ファウドラー翼、のこぎり刃状インペラー翼等の攪拌翼を有する攪拌装置が挙げられる。そして、用いる撹拌装置は高速で攪拌できることが必要となる。翼の形状や大きさにも影響されるが、攪拌翼の回転速度を1000r.p.m.以上で攪拌することが好ましい。攪拌翼の回転速度が1000r.p.m.より低いと通常のゲル化(クラスター凝集)が起こるだけであり、ほぼ球状の2次凝集シリカを得ることができにくい。
高剪断力を有する撹拌装置としては、特にのこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機が好ましい。攪拌翼の回転速度は、1000r.p.m.以上が好ましく、1500r.p.m.以上がより好ましい。また、攪拌翼の回転速度は、5000r.p.m.以下が好ましく、4000r.p.m.以下がより好ましい。
(a)工程で得られる細長い形状のコロイダルシリカの3次凝集シリカのスラリーの粘度は、シリカ濃度21質量%、25℃におけるB型粘度計の粘度で20~200mPa・sである。
(a)工程では、得られたアルカリ性の3次凝集シリカのスラリーを湿式粉砕することにより、2次凝集シリカの凝集体である3次凝集体を破壊して、2次凝集シリカの分散液、即ち、多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを得る。得られるアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルのpHは8~11であり、好ましくは9~10.5である。
湿式粉砕には、ホモジナイザー、圧力ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散機、ミキサー、ボールミル、高圧噴射流の対向衝突装置等を用いることができる。中でも圧力ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散機が特に好ましい。
湿式粉砕は、室温又は加熱下で行うことができる。
(b)工程は、このアルカリ性の多孔質2次凝集水性シリカゾルをSiO2/Na2Oのモル比で30~3000、SiO2濃度0.1~30質量%、およびpH3~11に調整した後に100℃を超え、300℃以下、又は100℃を超え270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程である。
SiO2/Na2Oのモル比を30~3000が好ましく、より好ましくは70~2000である。
SiO2/Na2Oのモル比が30より小さいとアルカリ成分が多すぎるために水熱処理時にシリカ粒子が溶解しやすくなるため好ましくない。一方、SiO2/Na2Oのモル比が3000より大きいとアルカリ成分が少なすぎるために水熱処理時にシリカ粒子が溶解析出による粒子成長が起こりにくくなるため、本発明の網状の外郭を有する球状シリカ粒子が生成しにくくなるため好ましくない。
水熱処理する水性シリカゾルのSiO2濃度は、0.1~30質量%が好ましく、より好ましく10~30質量%である。0.1質量%未満でも網状の外郭を有する球状シリカ粒子が製造できるが生産性が悪いので好ましくない。また、SiO2濃度が30質量%より高いと水性シリカゾル自体がゲル化する恐れがあるため好ましくない。
水熱処理する水性シリカゾルのpHは、3~11が好ましく、3未満では本発明の網状の外郭を有するシリカ粒子が充分に形成されないので好ましくない。また、pHが11より高いと水熱処理中にシリカ粒子が溶解しやすくなるため好ましくない。
アルカリ成分のイオン交換による除去は、公知の方法で行うことができる。公知の方法としては、陽イオン交換樹脂を充填したカラムにアルカリ性の上記水性分散液を通液するカラム法か、上記水性分散液中に陽イオン交換樹脂を投げ込んで攪拌する樹脂投込み法を用いることができる。
陽イオン交換樹脂は、強酸性型、弱酸性型のどちらも使用することができるが、商品名アンバーライト-120Bのような強酸性型の陽イオン交換樹脂が特に好ましい。
アルカリ成分のイオン交換による除去は、室温で行うことができるが、加熱下で行うこともできる。
上記(b)工程で得られた本発明のシリカ粒子の水性分散液(シリカゾル)は、水性媒体を有機溶媒に置換する工程を行いオルガノシリカゾルを得ることができる。
水を有機溶媒に置換する方法は、常圧若しくは減圧の蒸発法、限外濾過法、又は沈降分離再分散法などの公知の方法で行うことができる。有機溶媒の置換は、本発明のシリカ粒子が分散した水性ゾルのシリカ濃度を10~50質量%の範囲で行うことが好ましく、シリカ濃度20~40質量%の範囲がより好ましい。
また、本発明のシリカ粒子の表面をシランカップリング剤、シリル化剤等で処理することにより親水性溶媒への分散性を上げた水性ゾルや、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アクリルモノマー等の疎水性溶媒に分散したオルガノゾルを得ることができる。
式(5)中、R3はアルキル基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R4はアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、Yはアルキレン基、アリーレン基、NH基、又は酸素原子を示し、bは0~3の整数を示し、cは0又は1の整数である。
上記加水分解性シランは例えば以下の化合物を例示する事ができる。
アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、又はハロゲン化シリル基の加水分解には、加水分解性基の1モル当たり、0.5~100モル、好ましくは1~10モルの水を用いる。
また、本発明のシリカ粒子の分散液をスプレードライヤーで乾燥した後、150~600℃で焼成することによりレーザー回折法による平均粒子径(体積基準)として、1~50μmの球状のシリカ粉末を得ることができる。
また、酸性のシリカ水性分散液(シリカゾル)又はシリカ有機溶媒分散液(オルガノシリカゾル)を常圧、減圧、凍結などの方法で乾燥後、乳鉢ミル、ミル、ミキサーなどの乾式粉砕機で粉砕した後、150~600℃で焼成することにより、シリカ粉末を得ることができる。この場合、乾式粉砕が強すぎるとシリカ粒子が一部破壊されるが、適度な粉砕を行うことでシリカ粒子の破壊を防止することができる。
これらのシリカ粉末は、触媒担体、吸着剤、防眩剤、アンチブロッキング剤、断熱材、メソポーラスシリカの代用品などに使用することができる。
本発明の膜形成組成物は、本発明のシリカ粒子及びマトリックス成分を含有し、フィルムまたは塗布膜を形成することができる組成物である。マトリックス成分は膜を形成できる樹脂成分であれば特に限定はなく、樹脂、樹脂溶液、モノマー、各種バインダーなどが使用できる。これら樹脂は光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
本発明のシリカ粒子の含有量は、硬化性樹脂100質量部に対して、10質量部~1000質量部、又は50質量部~500質量部、又は50質量部~300質量部の割合で含有する事ができる。
光硬化性樹脂は硬化機構にラジカル硬化とカチオン硬化があり、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等の重合能を有するオリゴマー、モノマー間の反応により架橋構造が形成される樹脂であり、いずれも使用する事ができる。
光硬化性樹脂は光重合性オリゴマーや光重合性モノマーと、光重合開始剤と、添加剤(例えば重合禁止剤、フィラー類、顔料、染料、レベリング剤、消包材、粘度調整剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、スリップ剤、撥水剤など)と溶剤とを含む事ができる。
光ラジカルUV硬化樹脂としては、光重合性オリゴマーは例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられ、
例えばウレタンアクリレートは、ポリオールとジイソシアネート(又はイソシアネート)並びにOH基を有するアクリレートから合成する事ができる。2官能性のポリオールを原料とする2官能ウレタンアクリレートが得られ、3官能以上のポリオールを用いた場合に多官能ウレタンアクリレートが得られる。またOH基を有する多官能アクリレートを用いる事もできる。
イソシアネートとしては2-アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートとしては2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジオールジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
光重合開始剤はベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、チオキサントン系が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は例えば、イミダゾール化合物、ジアゾ化合物、ビスイミダゾール化合物、N-アリールグリシン化合物、有機アジド化合物、チタノセン化合物、アルミナート化合物、有機過酸化物、N-アルコキシピリジニウム塩化合物、及びチオキサントン化合物等が挙げられる。アジド化合物としては、p-アジドベンズアルデヒド、p-アジドアセトフェノン、p-アジド安息香酸、p-アジドベンザルアセトフェノン、4,4’-ジアジドカルコン、4,4’-ジアジドジフェニルスルフィド、及び2,6-ビス(4’-アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン等を挙げることができる。ジアゾ化合物としては、1-ジアゾ-2,5-ジエトキシ-4-p-トリルメルカプトベンゼンボロフルオリド、1-ジアゾ-4-N,N-ジメチルアミノベンゼンクロリド、及び1-ジアゾ-4-N,N-ジエチルアミノベンゼンボロフルオリド等を挙げることができる。ビスイミダゾール化合物としては、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)1,2’-ビスイミダゾール、及び2,2’-ビス(o-クロロフェニル)4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビスイミダゾール等を挙げることができる。チタノセン化合物としては、ジシクロペンタジエニル-チタン-ジクロリド、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビスフェニル、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,4,6-トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,4-ジフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)-チタン-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)-チタン-ビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)-チタン-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)、及びジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)等を挙げることができる。
また、1,3-ジ(tert-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3‘,4,4’-テトラキス(tert-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3-フェニル-5-イソオキサゾロン、2-メルカプトベンズイミダゾール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン等を挙げることができる。
光カチオンUV硬化樹脂の構成成分としては、光重合性オリゴマーや光重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶媒とを含むことができる。
挙げられ、光重合性モノマーはビニルエーテルモノマーが挙げられる。
光カチオン硬化に用いられるオリゴマーやモノマーは、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂、マレイミド樹脂が挙げられる。
カチオン性重合開始剤はスルホニウム塩型、ヨードニウム塩型が挙げられる。カチオン重合化合物の低粘度、透明性、密着性、硬化性の特徴を生かし、ディスプレー、デバイス用途に用いられる。
例えばエポキシ化合物の場合は、酸がエポキシに配位し別のエポキシ基と反応し、活性種となるオキソニウムカチオンが生成し開環重合が進行する。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(ノナフルオロ-ノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
ジスルホニルジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
ホスホニウム塩としてトリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリ(p-メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p-メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p-エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、4-クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のホスホニウム塩が挙げられる。
熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂は、加熱前は線状の低分子化合物(プレポリマー、オリゴマー)であるが、加熱すると高分子化/架橋反応が進行し3次元構造を形成する。熱硬化性樹脂は、樹脂骨格と結合基と官能基から構成される。官能基は水酸基、グリシジル基、脂環式エポキシ基、マレイミド基、シアネート基が挙げられる。連結基はエーテル構造、エステル構造、アミン構造が挙げられる。樹脂骨格としてはビスフェノールA型、ノボラック型、レゾール型、ジフェニルメタン型、ビフェニル型、水添ビスフェノール型、ポリプロピレングリコール型が挙げられる。
単独で硬化する場合もあるが、多くの場合は硬化剤を併用する事ができる。エポキシ樹脂の硬化剤はアミン系、酸無水物系が挙げられる。
界面活性剤は、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、シリコーン系表面改質剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。
上記界面活性剤は膜形成組成物に対して0.01質量%~10質量%、又は2質量%~5質量%の範囲で添加する事ができる。
本発明のシリカを含有する膜の形態としては、フィルム自体、又はフィルムや他の形態の物品上に生成された被膜などが挙げられる。
本発明の膜はマトリックスが粒子内部まで入るため、透明性が良好で、粒子の脱落等が起きにくい。用途により添加量は様々であるが、少量のシリカ添加で良好なアンチブロック性、すべり性、防眩性などを付与する事ができる。
B型粘度の測定は、特に記述のない限りいずれも25℃で行った。また、レーザー回折法による平均粒子径は、体積基準の値である。
・pH:pHメーター(東亞ディーケーケー(株)製))を用いた。
・電気伝導率:電気伝導率計(東亞ディーケーケー(株)製))を用いた。
・粘度:B型粘度計(東機産業(株)製)を用いた。
・シリカゾル中のNa2O含有量:シリカ粒子をフッ化水素酸で分解した後、原子吸光分析法で測定した。
・シリカゾルのSiO2濃度:乾燥したものの1000℃焼成残分からNa2O含有量を差し引いてSiO2濃度を求めた。
・本発明のシリカ粒子の透過型電子顕微鏡による観察された平均一次粒子径(A1):透過型電子顕微鏡で粒子の形態を観察した。
・本発明のシリカ粒子のレーザー回折法による平均粒子径(A2):シリカ粒子の水分散液をレーザー回折法粒子径測定装置SALD-7500((株)島津製作所製)を用いた。
・本発明のシリカ粒子中の空隙率の測定:上述の式(2)と式(3)の式に従い測定した。
・本発明のシリカ粒子のTEM平面投影図の貫通孔の面積割合:透過型電子顕微鏡写真から粒子内のシリカが存在せず、背景が透けて見える部分を貫通孔として、貫通孔の外郭内での面積割合を測定した。
・本発明のシリカ粒子の遠心沈降法による平均粒子径:シリカ粒子の水分散液を遠心沈降式粒子径測定装置CAPA-700((株)堀場製作所製)を用い、シリカ粒子の真密度を2.2g/cm3として測定した。
・原料に用いる細長い形状のシリカ粒子の比表面積:窒素ガス吸着法比表面積測定装置(Quantachrome社製Monosorb)を用いた。
・原料に用いる細長い形状のシリカ粒子の窒素吸着法による測定粒子径(D2):球体換算直径として窒素吸着法で測定される比表面積S(m2/g)から、窒素吸着法による粒子径(nm)=2727/Sの式によって与えられる。
市販の細長い形状のシリカゾル(日産化学(株)製、商品名スノーテックスUP(SiO2濃度20.2質量%、Na2O濃度0.27質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度15.0mPa・s、電導度2590μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D1)52.7nm、窒素ガス吸着法による比表面積225m2/g、窒素吸着法による測定粒子径(D2)12nm)1.5kgを容積3Lのステンレス製容器に仕込み、プロペラ式撹拌羽根で撹拌しながら液温を75℃まで加温した。その後液温を75~80℃に制御し、前記の細長い形状のシリカゾル1kgを7時間かけて添加しながら濃縮し、SiO2濃度を29.5質量%まで濃縮し、B型粘度計の粘度1010mPa・sのシリカゾル濃縮品1.7kgを製造した。このシリカゾル濃縮品855gを容積2Lのポリ瓶に仕込んだ後、直径75mmのこぎり刃状インペラー撹拌機を設置した後、回転数1000r.p.mで撹拌しながら市販のウォーターバスで液温を65℃まで加温し、液温が65℃に到達後、回転数を5460r.p.mに上げて高い剪断力の撹拌を開始した。30分撹拌後に増粘し始め、1時間の撹拌時に大きく増粘したが、その後は徐々に粘度が下がり、そのまま高い剪断力の撹拌を18時間継続し、多孔質凝集シリカ粒子を含有するアルカリ性の水性シリカゾルを得た。この水性シリカゾルの得量は800g、SiO2濃度31.5質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度22mPa・sで、レーザー回折法の平均粒子径(A2)は150nmであった。
水性シリカゾル(α-1)1000gに10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してSiO2/Na2Oのモル比を105、SiO2濃度15.0質量%、pH10.0、電導度910μS/cm、Na2O濃度1483ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み180℃で10時間水熱処理をした。この水熱処理操作を3回行い、表2及び図2に示すような網を構成するシリカ粒子を含有するシリカ水性ゾル(α-2)を840g得た。
市販の細長い形状のシリカゾル(日産化学(株)製、商品名スノーテックスUP(SiO2濃度20.2質量%、Na2O濃度0.27質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度15mPa・s、電導度2590μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D1)52.7nm、窒素ガス吸着法による比表面積225m2/g、窒素吸着法による測定粒子径(D2)12nm)451kgを容積700Lのジャケット付き混合槽(内径95cm、高さ100cm)に仕込み、プロペラ式撹拌羽根で撹拌しながら液温を75℃まで加温した。その後液温を75~80℃に制御し、前記の細長い形状のシリカゾル191kgを25時間かけて添加しながら濃縮し、SiO2濃度27.6質量%まで濃縮し、B型粘度計の粘度970mPa・sのシリカゾル濃縮品470kgを製造した。このシリカゾル濃縮品は僅かにコロイド色を呈するが透明であった。
この水性シリカゾルの得量は、805g、SiO2濃度29.3質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度26mPa・sで乳白色を呈している。レーザー回折法の平均粒子径(A2)は270nmであった。また、透過型電子顕微鏡観察で細長い形状のコロイダルシリカが絡み合ったほぼ球状の凝集シリカ粒子であることが観察された。また透過型電子顕微鏡観察で測定した平均一次粒子径(A1)は、330nmであった。
水性シリカゾル(β-1)1000gに純水および10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してSiO2/Na2Oのモル比を89、SiO2濃度15.0質量%、pH10.2、電導度1110μS/cm、Na2O濃度1745ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み180℃で10時間水熱処理をした。この水熱処理操作を3回行い、表2および図4に示すような網を構成するシリカ粒子と網を構成しないシリカ粒子が混合するシリカ水性ゾル(β-2)を840g得た。
水性シリカゾル(β-1)300gに純水を添加してSiO2/Na2Oのモル比を1070、SiO2濃度15.0質量%、pH3.8、電導度96μS/cm、Na2O濃度145ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み220℃で5時間水熱処理を行い、表2および図5に示す網を構成するが一部切断されたシリカ粒子を含有が混在しているシリカ水性ゾル(β-3)を280g得た。
水性シリカゾル(β-1)300gに純水および10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してSiO2/Na2Oのモル比を303、SiO2濃度15.0質量%、pH8.2、電導度512μS/cm、Na2O濃度512ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み250℃で5時間水熱処理を行い、表2および図6に示す網が一部切断されたシリカ粒子を含有が混在しているシリカ水性ゾル(β-4)を280g得た。
市販の細長い形状のシリカゾル(日産化学(株)製、商品名スノーテックスUP(SiO2濃度20.2質量%、Na2O濃度0.27質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度20mPa・s、電導度2580μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D1)53.0nm、窒素ガス吸着法による比表面積224m2/g、窒素吸着法による測定粒子径(D2)12nm)451kgを容積700Lのジャケット付き混合槽(内径95cm、高さ100cm)に仕込み、プロペラ式撹拌羽根で撹拌しながら液温を75℃まで加温した。その後液温を75~80℃に制御し、前記の細長い形状のシリカゾル191kgを25時間かけて添加しながら濃縮し、SiO2濃度28.6質量%まで濃縮し、B型粘度計の粘度840mPa・sのシリカゾル濃縮品436kgを製造した。このシリカゾル濃縮品は僅かにコロイド色を呈するが透明であった。このシリカゾル濃縮品349kgと純水1.6kgを容積700Lのジャケット付き混合槽(内径95cm、高さ100cm)に仕込んだ。直径300cmのこぎり刃状インペラー撹拌機が設置し、回転数510r.p.mで加熱し液温が65℃まで到達後、回転数を1100r.p.mに上げて高い剪断力の撹拌を開始した。30分撹拌後に増粘し始め、1時間36分の撹拌時に大きく増粘した時点で純水を70.7kg添加してB型粘度計の粘度で780mPa・sに調整した。更に撹拌を継続し、その後は徐々に粘度が下がり、高い剪断力の撹拌を27時間継続しSiO2濃度22.5質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度21mPa・sで乳白色を呈しているアルカリ性の水性シリカゾルを401kg得た。続いてこの水性ゾル2kgを3Lのガラス製ナスフラスコに投入し、60℃湯浴中で減圧濃縮して、表1および写真7に示すような多孔質二次凝集シリカ粒子を含有するアルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)を2590g得た。表1および図7に示すように、水性シリカゾル(γ-1)は、SiO2/Na2Oのモル比が77、SiO2濃度26.0質量%、pH9.7、電導度2960μS/cm、Na2O濃度3510ppm、レーザー回折法の平均粒子径(A2)は677nmであった。また、透過型電子顕微鏡観察で細長い形状のコロイダルシリカが絡み合ったほぼ球状の多孔質二次凝集シリカ粒子であることが観察された。また透過型電子顕微鏡観察で測定した平均粒子径(A1)は、725nmであった。
アルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)280gを容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み200℃で5時間水熱処理をし、表2および図8に示すような網を構成するシリカ粒子を含有するシリカ水性ゾル(γ-2)を280g得た。
〔本発明のシリカ粒子γ-3の合成〕
アルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)280gを容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み140℃で5時間水熱処理をしたが、部分的に網状の外郭を有する部分が存在するが、表面全体には網状の外郭を有するシリカ粒子ではなかった。
アルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)280gを容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み280℃で5時間水熱処理をしたが、表2に示すようにシリカゾルはゲル化して硬い寒天状に固化してしまった。
表1および図2、図4、図5、図6、図8で示すように、前記アルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルをSiO2濃度10~30質量%、pHを7~11に調整した後に150~220℃で1~30時間水熱処理することにより、網状の外郭を有するシリカ粒子のみであって、網目状外郭を構成するシリカ成分の直径が20~90nmであり、且つ透過型電子顕微鏡の平面投影図から測定した粒子の貫通孔の面積割合が5%~30%であり、粒子の空隙率が30~90%であるレーザー回折法により測定される平均粒子径(A2)が100nm~1.5μmのシリカ粒子(α-2)、(β-2)、(β-3)、(β-4)および(γ-2)が製造できることが分かる。
が製造できるものの、それ以外に網目が切断されたシリカ粒子が混じっているのが分かる。
表1、表2のシリカ粒子(γ-4)で示すように、水熱温度が280℃以上高い場合は、シリカゾルがゲル化して本発明のシリカ粒子が製造できなかった。
下記表中(――)は未測定である事を示した。
表1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
シリカ粒子 α-1 β-1 γ-1 δ―1 δ―2
SiO2濃度 質量% 16 18 26 40.5 40.7
Na2O濃度ppm 136 175 3510 330 240
pH 3.1 2.9 9.7 9.4 9.7
電導度μS/cm 222 398 2960 ―― ――
比表面積m2/g 225 218 221 21 13
平均粒子径(A2)nm 150 290 677 180 290
平均一次粒子径(A1)nm 160 330 725 200 310
遠心沈降法平均粒子径nm 100 170 320 180 300
シリカ粒子密度g/cm3 1.47 1.32 1.23 1.97 2.12
シリカ粒子の空隙率% 62 74 80 19 7
シリカ粒子の貫通孔割合% 3 3 2 0 0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表2-1-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理前のシリカ粒子)
シリカ粒子 α-2 β-2 β-3 β-4
SiO2濃度 質量% 15 15 15 15
Na2O濃度ppm 1483 1745 145 512
SiO2/Na2Oモル比 105 89 1070 303
pH 10.0 10.2 3.6 8.2
電導度μS/cm 910 1110 96 201
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表2-1-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理前のシリカ粒子)
シリカ粒子 γ-2 γ-3 γ-4
SiO2濃度 質量% 26 26 26
Na2O濃度ppm 3510 3510 3510
SiO2/Na2Oモル比 77 77 77
pH 9.7 9.7 9.7
電導度μS/cm 2960 2960 2960
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表2-2-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理後シリカ粒子)
シリカ粒子 α-2 β-2 β-3 β-4
水熱条件 ℃×時間 180×10 180×10 220×5 250×5
pH 10.8 11.0 8.5 10.3
電導度μS/cm 1960 2480 80 648
比表面積m2/g 71 65 79 38
網のシリカ粒子の直径nm 26 28 ―― ――
平均粒子径(A2)nm 150 277 266 235
平均一次粒子径(A1)nm 160 300 ―― ――
遠心沈降法平均粒子径nm 100 170 ―― ――
シリカ粒子密度g/cm3 1.47 1.38 ―― ――
シリカ粒子の空隙率% 62 68 ―― ――
シリカ粒子の貫通孔割合% 5 3 ―― ――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表2-2-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理後シリカ粒子)
シリカ粒子 γ-2 γ-3 γ-4
水熱条件 ℃×時間 200×5 140×5 280×5
pH 10.2 10.6 ――
電導度μS/cm 4210 3060 ――
比表面積m2/g 44 135 ――
網のシリカ粒子の直径nm 41 ―― ――
平均粒子径(A2)nm 670 635 ――
平均一次粒子径(A1)nm 720 720 ――
遠心沈降法平均粒子径nm 320 320 ――
シリカ粒子密度g/cm3 1.23 1.23 ――
シリカ粒子の空隙率% 81 80 ――
シリカ粒子の貫通孔割合% 3 5 ――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
合成例α-2で得られたシリカ粒子の水分散液を陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-120Bを充填したカラムに通液して固形分20質量%のシリカ分散液を得た。この酸性分散液200gを2Lのナスフラスコに入れ、イソプロピルアルコール800gを添加して希釈した後、トリメチルメトキシシランを2g入れて浴温60℃でマグネチックスタラーで攪拌しながら3時間加熱した。その後ロータリーエバポレーターで500gまで濃縮し、次いでMEK800gを添加しながら徐々に濃縮して、固形分濃度20質量%のシリカのメチルエチルケトン分散液202gを得た。
合成例α-1で得られた多孔質二次凝集シリカ粒子の水分散液を240gを2Lのナスフラスコにいれ、イソプロピルアルコール860gを添加して希釈した後、トリメチルメトキシシランを4g入れて浴温60℃でマグネチックスタラーで攪拌しながら3時間加熱した。その後ロータリーエバポレーターで500gまで濃縮し、次いでMEK800gを添加しながら徐々に濃縮して、固形分濃度20質量%のシリカのメチルエチルケトン分散液204gを得た。
市販の中実シリカゾル(日産化学(株)製 MP-2040(SiO2濃度40.6質量%、pH9.4)を純水でSiO2が10質量%に希釈した後、陽イオン交換樹脂カラム、次いで陰イオン交換樹脂カラムに通液した後、再度陽イオン交換樹脂カラムに通液して固形分9.5質量%のシリカ分散液を得た。この分散液420gを2Lのナスフラスコにいれ、ロータリーエバポレーターで濃縮して200gとした後、イソプロピルアルコール800gを添加して希釈した。さらにトリメチルメトキシシランを1g入れて浴温60℃でマグネチックスタラーで攪拌しながら3時間加熱した。その後ロータリーエバポレーターで500gまで濃縮し、次いでMEK800gを添加しながら徐々に濃縮して、固形分濃度20%のシリカのメチルエチルケトン分散液201gを得た。
合成例β―2のシリカを出発原料として製造例1と同様の操作によりメチルエチルケトン分散液を得た。
(製造例3:有機溶媒分散シリカゾル-5)
合成例γ―2のシリカを出発原料として製造例1と同様の操作によりMEK分散液を得た。
市販の中実シリカゾル(日産化学(株)製 MP-3040(SiO2濃度40.8質量%、pH9.7)を出発原料として製造例3と同様の操作によりメチルエチルケトン分散液を得た。
(実施例及び比較例)
製造例1~3、比較製造例1~3のシリカのメチルエチルケトン分散液を配合して、表3-1及び表3-2に示すコーティング組成物を作成した。コート液の主溶媒はPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を用いた。
表3-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1 比較例1 比較例2 比較例4
有機溶媒分散シリカゾル 1 2 3 -
SiO2濃度 0.95 0.95 0.95 0
DPHA濃度 18.87 18.87 18.87 19.05
イルガキュア184 0.94 0.94 0.94 0.95
陰イオン界面活性剤 0 0 0 0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表3-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例2 実施例3 比較例3
有機溶媒分散シリカゾル 4 5 6
SiO2濃度 0.95 0.95 0.95
DPHA濃度 18.87 18.87 18.87
イルガキュア184 0.94 0.94 0.94
陰イオン界面活性剤 0.05 0.05 0.05
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表4-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
例 実施例1 比較例1 比較例2 比較例4
シリカ配合量/樹脂 5phr 5phr 5phr 0phr
ヘーズ 0.49 0.41 0.65 0.45
すべり性 〇 △ × ×
静摩擦係数 0.47 1.19 1.6以上 1.6以上
塗膜Ra(nm) 5.5 0.9 0.5 0.4
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表4-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
例 実施例2 実施例3 比較例3
シリカ配合量/樹脂 5phr 5phr 5phr
ヘーズ 0.60 0.49 1.19
すべり性 ◎ 〇 △
静摩擦係数 0.31 0.86 1.60
塗膜Ra(nm) 7.4 1.4 2.7
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、網状の外郭を有するシリカ粒子α-2を含む光硬化性樹脂を光硬化し、硬化した樹脂の断面を切断し、断面を観察した電子顕微鏡写真(図11)は、シリカ粒子の中央部が内部空間(空洞)になっている事が示されている。
Claims (9)
- 網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子であって、網の直径が20nm~90nmであり、且つ粒子中の空隙率が30~90%であり、レーザー回折法により測定された平均粒子径(A2)が100nm~1.5μmであるシリカ粒子。
- 透過型電子顕微鏡で観察される平均一次粒子径(A1)が100nm~1.5μmであり、平均粒子径(A2)/平均一次粒子径(A1)の比が0.8~1.5である請求項1に記載のシリカ粒子。
- 窒素ガス吸着法により測定される比表面積が20~90m2/gである請求項1又は請求項2に記載のシリカ粒子。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリカ粒子が、酸性若しくはアルカリ性の水性媒体又は有機溶媒に分散し、レーザー回折法により測定される平均粒子径(A2)が100nm~1.5μmであるシリカゾル。
- 下記(a)工程乃至(b)工程を含む請求項4に記載のシリカゾルの製造方法。
(a)工程:動的光散乱法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2)の比D1/D2が4~10であって、D1が40~200nm、D2が8~30nmである細長い形状のコロイダルシリカのSiO2濃度を21~30質量%に濃縮後、30~100℃で高剪断力で攪拌によって製造されるレーザー回折法により測定される平均粒子径が100nm~1.5μm、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が90~350m2/gのアルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルを製造する工程、
(b)工程:SiO2/Na2Oのモル比で30~3000、SiO2濃度0.1~30質量%、pHを3~11に調整した後に100℃を超え、270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程。 - 請求項5に記載の(b)工程の後に、水性媒体を有機溶媒に置換する工程を行うオルガノシリカゾルの製造方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリカ粒子と、樹脂とを含む膜形成組成物。
- 樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項7に記載の膜形成組成物。
- 請求項7又は請求項8に記載の膜形成組成物から形成された膜。
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