JP7185831B2 - 網状外郭と内部空間を有するシリカ粒子及びその製造方法 - Google Patents

網状外郭と内部空間を有するシリカ粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子に関する。本発明のシリカ粒子はフィラーとして使用した際に、貫通孔を有するため樹脂マトリックス等が容易に浸漬し、粒子の脱落等が起こりにくく、透明性を阻害しない。また空隙率が高いため、フィルムや塗膜に添加した際に少量の添加でもすべり性、アンチブロック等の効果を発現させることができる。
従来、粒子表面に細孔を有する多孔性粒子が製造されている。多孔質粒子はその細孔を利用して触媒、吸着剤等に利用されてきた。
例えば、特許文献1には、シリカの殻の部分に孔径60nm~10μmのマクロ孔を5~100個有し、粒径が0.2~100μmである中空粒子が開示されている(特許文献1を参照。)。
特許文献2には、平均粒子径が10~50nm、真球度0.9~1の範囲、粒子径変動係数(CV値)が2~10%の球状シリカ微粒子が集合した内部に粒子間空隙構造を有する多孔質シリカ粒子であって、該多孔質シリカ粒子の平均粒子径(PD)が0.5~50μm、比表面積が30~250m/g、細孔容積が0.10~0.25cc/gの範囲の多孔質シリカが開示されている。
特許文献3には、動的光散乱法による測定粒子径(D)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D)の比D/Dが4~10であって、Dが40~200nm、Dが8~30nmである細長い形状のコロイダルシリカを凝集させてなるレーザー回折法により測定される平均粒子径が0.1~1.0μmであり、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が90~350m/gであり、且つメソ孔細孔容積が0.5~2.0cm/gである多孔質二次凝集シリカゾルが開示されている。
特許文献4には、ハードコート膜が界面活性剤で処理された金属酸化物微粒子と疎水性マトリック成分からなり、界面活性剤で処理された金属微粒子の平均粒子径が、30~150nmの範囲にあり、且つ、ハードコート膜上部の凸部の高さが10~200nmの範囲にあって、金属微粒子中の界面活性剤処理量が該微粒子に対して2~30質量%の範囲にあり、前記ハードコート膜中の前記界面活性剤で処理された金属微粒子の含有量が0.01~20質量%の範囲にあるハードコート膜付き基材が開示されている。ここでの金属酸化物微粒子は、電子顕微鏡観察で測定した平均粒子径が30~150nmのシリカゾルであり、界面活性剤がアルキルエーテルリン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤であることが開示されている。
特開2007-230794 特開2010-138021 特開2013-091589 特開2013-136222
従来の多孔質シリカ粒子は粒子表面に細孔を有するものの、細孔容積が十分に大きいものではなく、独立の細孔を有するものであった。
本発明は表面に存在する細孔に基づく多孔質シリカ粒子ではなく、細孔同士が内部空間を通じて貫通孔を形成したシリカ粒子であり、その結果として、網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子である。内部空間と貫通孔を有するため、本件シリカ粒子はシリカを主成分とする網状の外郭と内部空間有するいわゆる額縁状のシリカ粒子である。その空間(空洞)を利用する事により空間内部に種々の成分や、媒体を含有することが可能となるシリカ粒子を提供する。
本願発明は第1観点として、網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子であって、網の直径が20nm~90nmであり、且つ粒子中の空隙率が30~90%であり、レーザー回折法により測定された平均粒子径(A)が100nm~1.5μmであるシリカ粒子、
第2観点として、透過型電子顕微鏡で観察される平均一次粒子径(A)が100nm~1.5μmであり、平均粒子径(A)/平均一次粒子径(A)の比が0.8~1.5である第1観点に記載のシリカ粒子、
第3観点として、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が20~90m/gである第1観点又は第2観点に記載のシリカ粒子、
第4観点として、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載のシリカ粒子が、酸性若しくはアルカリ性の水性媒体又は有機溶媒に分散し、レーザー回折法により測定される平均粒子径(A)が100nm~1.5μmであるシリカゾル、
第5観点として、下記(a)工程乃至(b)工程を含む第4観点に記載のシリカゾルの製造方法、
(a)工程:動的光散乱法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D)の比D/Dが4~10であって、D1が40~200nm、Dが8~30nmである細長い形状のコロイダルシリカのSiO濃度を21~30質量%に濃縮後、30~100℃で高剪断力で攪拌によって製造されるレーザー回折法により測定される平均粒子径が100nm~1.5μm、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が90~350m/gのアルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルを製造する工程、
(b)工程:SiO/NaOのモル比で30~3000、SiO濃度0.1~30質量%、pHを3~11に調整した後に100℃を超え、270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程、
第6観点として、第5観点に記載の(b)工程の後に、水性媒体を有機溶媒に置換する工程を行うオルガノシリカゾルの製造方法、
第7観点として、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のシリカ粒子と、樹脂とを含む膜形成組成物、
第8観点として、樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である第7観点に記載の膜形成組成物、及び
第9観点として、第7観点又は第8観点に記載の膜形成組成物から形成された膜である。
本発明は網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子である。
従来の表面にのみ存在する細孔は独立細孔であり、細孔内部の細かな空洞を利用して触媒作用や吸着作用を行うものであり、十分な細孔容積を利用できるものではなかった。
本発明は細長い形状のシリカ粒子を出発原料として、その細長い形状のシリカ粒子を高剪断力の攪拌下に凝集粒子を形成し、その凝集粒子を水熱条件でオートクレーブ処理する事で網状のシリカが骨格として残るだけの特異形状シリカ粒子となる本発明のシリカ粒子が形成される事を見出した。
本発明のシリカ粒子は内部空間と貫通孔を有するため、シリカを主成分とする網状の骨格で形成された大きな空間(空洞)を有する額縁状のシリカ粒子である。網状シリカは粒子表面の外郭に形成されているため、それが球状となり粒子を形成しているので、孔は粒子を貫く貫通孔であり、粒子内部は外郭の孔につながる内部空間があり、内部空間から外郭(粒子表面)につながる貫通孔となることで、いわゆる額縁状のシリカ粒子であると表現できる。
貫通孔は一つのシリカ粒子を表面から裏面に内部空間を通じて貫く孔であるため、その貫通孔は気体や液体が自由に移動する事ができる。この貫通孔や内部空間は孔内に気体や液体を貯留する事も可能であり、また気体や液体が通過することも可能である。その様な特異的な性質は、従来の多孔質粒子や、中実粒子(細孔が存在しない粒子)にはない性質である。
本発明のシリカ粒子は上述の性質を利用して、膜形成組成物としてハードコート被膜を形成した時に膜形成組成物中のバインダー成分がシリカ粒子内部に浸透し、粒子とバインダーの一体性の向上や、シリカ成分が塗膜中に十分に馴染む事が出来る。それによって塗膜の透明性が向上する。更に、塗膜中のシリカとしての機能を発揮しやすく、アンチブロッキング性能の向上や、塗膜硬度の向上につながる。
また、粒子内部への貯留機能を利用して粒子内部と外部の成分差や濃度差を塗膜に与える事ができる。
多孔質二次凝集シリカ粒子α-1の透過型電子顕微鏡写真。 網状の外郭を有するシリカ粒子α-2の透過型電子顕微鏡写真。 多孔質二次凝集シリカ粒子β-1の透過型電子顕微鏡写真。 網状の外郭を有するシリカ粒子β-2の透過型電子顕微鏡写真。 網状の外郭を有するシリカ粒子と網状の外郭を有しないシリカ粒子が混在したβ-3の透過型電子顕微鏡写真。 網状の外郭を有するシリカ粒子と網が切断されたシリカ粒子が混在したβ-4の透過型電子顕微鏡写真。 多孔質二次凝集シリカ粒子γ-1の透過型電子顕微鏡写真。 網状の外郭を有するシリカ粒子γ-2の透過型電子顕微鏡写真。 球状中実シリカ粒子δ-1の透過型電子顕微鏡写真。 球状中実シリカ粒子δ-2の透過型電子顕微鏡写真。 網状の外郭を有するシリカ粒子β-2を含む光硬化性樹脂を光硬化し、硬化した樹脂の断面を切断し断面を観察した電子顕微鏡写真。
本発明は網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子であって、網の直径が20nm~90nmであり、且つ粒子中の空隙率が30~90%であり、レーザー回折法により測定された平均粒子径(A)が100nm~1.5μmであるシリカ粒子である。
上記シリカ粒子を水性媒体又は有機溶剤に分散したシリカゾルである。これらシリカゾルはシリカ濃度が0.1~50質量%の範囲で得られる。
シリカ粒子の平均粒子径(A)はレーザー回折法粒子径測定装置(例えば(株)島津製作所製SALD(登録商標)-7500)を用いて測定することができる。本発明では100nm~1.5μmの範囲に製造する事ができる。
本発明のシリカ粒子は、透過型電子顕微鏡観察による平面投影図から測定した投影粒子中での投影貫通孔の面積割合が2~30%である。透過型電子顕微鏡(以後TEMと記載)観察を用いて、平面投影図から、投影された粒子中に存在する投影された貫通孔は2~30%、又は3~20%、又は3~10%である。この割合は透過型電子顕微鏡画像を画像解析装置により計測できる。
シリカ粒子中で、シリカ成分で形成されている網の直径は、網を形成するシリカ粒子が無限に細長いシリカ粒子を三次元に丸めた粒子と仮定して、比表面積から計算される粒子直径で求める事ができる。比表面積は窒素ガス吸着法比表面積測定装置(例えばQuantachrome社製Monosorb)を用いて測定することができる。
すなわち、体積をV1(m)、密度をρ(kg/m)、表面積をS(m)とすれば、単位質量あたりの比表面積Sw=S/ρVである。
シリカを無限に長い円柱と仮定して、表面積S(m)はS=2πr(r+h)で求める事ができる。ただし、πは円周率、r(m)は円柱の端面の半径、V1は体積であり、V=πrhである。h(m)は円柱の長さである。Sw=S/ρV1から、
Sw=(2πr(r+h))/ρπrh=2πr/ρπrh+2πrh/ρπr
となる。ところで、無限に長い円柱と仮定した場合は、h=無限大であるから、
Sw=2/ρrとなり、シリカ粒子半径r(nm)をシリカ粒子直径d(nm)に換算すると、Sw=4/(ρ×10)×(d×10-9)からSw=4000/ρdとなる。これを式(1)と定義する。
またアモルファスシリカの密度はρ=2.2g/cmであるから、d(nm)=1820/Swが算出される。この式は上記網の直径(nm)として測定する事ができる。
また、粒子中の空隙率は、遠心沈降法による平均粒子径(nm)と、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径(nm)を用いて計算する事ができる。
沈降法とは粒子径測定の一つであるが、重力又は遠心力による粒子の液中での沈降速度から粒子径を測定する方法である。一般に2μm以下の粒子では遠心力を用いる遠心沈降法が適用できる。
遠心力による粒子の沈降速度から粒子径を測定する遠心沈降法において、中実粒子(細孔や空洞が存在しない粒子)であるとして測定した粒子径を含んだ沈降速度(1)は、別法(例えば、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径測定)を利用した密度不明粒子の粒子径を含む沈降速度(2)と等しいと仮定した場合に、別法で測定した密度不明粒子の平均粒子径を含む速度式中の密度はその粒子の密度であると考えられる。
遠心沈降法では沈降速度は、ストークスの沈降速度式で計算される。
2=粒子の沈降速度(m/s)、ρs=粒子の密度(kg/m)、ρ=分散媒(水)の密度(kg/m)、d=粒子の直径(m)、g=重力加速度(m/s)、η=分散媒(水)の粘性(Pa・s)とすると、ストークスの沈降速度式は、
2=g(ρs-ρ)d/18η であるから、
沈降速度(1)の粒子の密度はアモルファスシリカの密度(ρs1)=2.2として、水の密度が0.997として、遠沈沈降法で測定した平均粒子径(d1)nm、
沈降速度(2)の粒子の計算しようとする密度(ds2)、水の密度が0.997、透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径(d2)nmとすると、沈降速度(1)=沈降速度(2)であり、
(ρs1-0.997)(d1)=(ρs2-0.997)(d2) が成立し、遠心沈降法と透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径で求めた2つの粒子径測定により、シリカ粒子の密度(ρs2)が求められる。
これを式(2)と定義する。
また、本発明の内部空間と貫通孔を有するシリカ粒子では、xはシリカ粒子内のシリカ成分の構成比率を示し、yはシリカ粒子内の空間の構成比率(すなわち空隙率)を示し、当該シリカ粒子はx+y=1である。そして、アモルファスシリカの密度=2.2として、水の密度=0.997とすると、当該シリカ粒子の密度は、
2.2x+0.997y=(ρs2)が成立する。これを式(3)と定義する。
y=(2.2-ρs2)/1.203となり、百分率で示せばyを100倍して100y(%)と計算できる。
本発明のシリカ粒子は透過型電子顕微鏡で観察される平均一次粒子径(A)が100nm~1.5μmであり、平均粒子径(A)/平均一次粒子径(A)の比が0.8~1.5である。
また、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が20~90m/gである。
本発明ではシリカ粒子が、酸性若しくはアルカリ性の水性媒体又は有機溶媒に分散し、レーザー回折法により測定される平均粒子径(A)が100nm~1.5μmであるシリカゾルを得る事ができる。
本発明のシリカゾルは下記(a)工程乃至(b)工程を含む製造方法である。
(a)工程:動的光散乱法による測定粒子径(D)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2)の比D/Dが4~10であって、Dが40~200nm、Dが8~30nmである細長い形状のコロイダルシリカのSiO濃度を21~30質量%に濃縮後、30~100℃で高剪断力で攪拌によって製造されるレーザー回折法により測定される平均粒子径が100nm~1.5μm、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が90~350m/gのアルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルを製造する工程、
(b)工程:SiO/NaOのモル比で30~3000、SiO濃度0.1~30質量%、pHを3~11に調整した後に100℃を超え、270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程。
(b)工程では水熱温度は100℃を超え、270℃以下の温度であり、又は150℃~270℃、又は150℃~240℃、又は150℃~210℃の温度に設定する事ができる。
そして、(b)工程の後に、水性媒体を有機溶媒に置換する工程を行いオルガノシリカゾルが得られる。
本発明において、次凝集が起き易く、シリカのゲル化が起き易くなるために2次凝集粒子の形状や粒子径をコントロールしにくくなる。シリカ濃度20質量%、25次凝集が起き易く、シリカのゲル化が起き易くなるために2次凝集粒子の形状や粒子径をコントロールしにくくなる。シリカ濃度20質量%、25次凝集が起き易く、シリカのゲル化が起き易くなるために2次凝集粒子の形状や粒子径をコントロールしにくくなる。シリカ濃度20質量%、25次凝集が起き易く、シリカのゲル化が起き易くなるために2次凝集粒子の形状や粒子径をコントロールしにくくなる。シリカ濃度20質量%、25(a)工程で用いられる細長い形状のコロイダルシリカの粘度はD/D比に依存するが、シリカ濃度20質量%、25℃におけるB型粘度は10~200mPa・sが好ましい。B型粘度計の粘度が10mPa・s未満の場合には、次の高剪断力で攪拌工程でコロイダルシリカの2次凝集が起こりにくく、また、200mPa・sを超えると次の高剪断力による攪拌工程でコロイダルシリカの2次凝集が起き易く、シリカのゲル化が起き易くなるために2次凝集粒子の形状や粒子径をコントロールしにくくなる。シリカ濃度21~30質量%、25℃におけるB型粘度は10~100mPa・sが最も好ましい。
本発明において、原料となる細長い形状のコロイダルシリカからなる水性シリカゾルは、アルカリ性であることが必要である。該ゾルに含まれるアルカリ種としては、NaOHが一般的であるが、それ以外のKOH、LiOH、第4級アンモニウム水酸化物等でもよい。
このアルカリ性の細長い形状のシリカゾルのpHは、アルカリ種によって最適な範囲が異なる場合があるが、8~11が好ましい。pHが8未満では、次の高剪断力による攪拌工程でコロイダルシリカの球状の2次凝集が起こりにくく、また、11を超えると原料のコロイダルシリカ自体の溶解が起こり易くなるので好ましくない。原料となる細長い形状のシリカゾルのpHは、9~10.5が特に好ましい。
(a)工程において、上記のアルカリ性の細長い形状のシリカゾルをシリカ濃度21~30質量%に調整する。シリカ濃度が20質量%未満では、次の高剪断力による攪拌工程でコロイダルシリカ粒子同士の接触が少なくなるために良好な2次凝集が起こりにくくなる。また、シリカ濃度が30質量%を超えると、次の高剪断力による攪拌工程でコロイダルシリカ粒子同士の接触が多くなり過ぎて、コロイダルシリカの2次凝集が著しく起こり易くなるために2次凝集シリカの形状や粒子径が制御しにくくなるため好ましくない。原料となる細長い形状のシリカゾルの濃度は、21~25質量%が最も好ましい。
高剪断力による攪拌工程では、(a)工程で濃度調整されたアルカリ性の細長い形状のシリカゾルを高剪断力を有する撹拌装置により、高い剪断力下に30~100℃、又は60~100℃で1~30時間加熱することにより、多孔質2次凝集シリカが生成し、同時に細長い形状のコロイダルシリカのゲル化(即ち、通常の凝集であるクラスター凝集)が起きることから、生成した2次凝集シリカ同士が更に凝集し、クラスター凝集した細長い形状のコロイダルシリカと一緒になって3次凝集体(即ち3次凝集シリカ)を形成する。この3次凝集体は、2次凝集シリカと細長い形状のコロイダルシリカとからなる含水ゲル粒子である。
レーザー回折法により、この3次凝集体粒子の大きさを測定すると100nm~1.5μmである。この工程で得られる液は、細長い形状のコロイダルシリカの3次凝集シリカのスラリーということができる。
(a)工程で用いられる高剪断力を有する撹拌装置としては、パドル翼、タービン翼、スクリュー翼、ファウドラー翼、のこぎり刃状インペラー翼等の攪拌翼を有する攪拌装置が挙げられる。そして、用いる撹拌装置は高速で攪拌できることが必要となる。翼の形状や大きさにも影響されるが、攪拌翼の回転速度を1000r.p.m.以上で攪拌することが好ましい。攪拌翼の回転速度が1000r.p.m.より低いと通常のゲル化(クラスター凝集)が起こるだけであり、ほぼ球状の2次凝集シリカを得ることができにくい。
高剪断力を有する撹拌装置としては、特にのこぎり刃状インペラーを取り付けた高速インペラー分散機が好ましい。攪拌翼の回転速度は、1000r.p.m.以上が好ましく、1500r.p.m.以上がより好ましい。また、攪拌翼の回転速度は、5000r.p.m.以下が好ましく、4000r.p.m.以下がより好ましい。
(a)工程では、高剪断力の攪拌下にアルカリ性の細長い形状のシリカゾルが30~100℃に加熱される。加熱温度が60℃未満では、目的とする3次凝集シリカを得ることができない。また、加熱温度が100℃を超える場合、3次凝集シリカを得ることはできるが、細長い形状のコロイダルシリカの凝集、ゲル化の速度が速くなり過ぎるために、凝集の制御が難しくなるので好ましくない。(a)工程における加熱温度は50~100℃が特に好ましい。
そして、前記加熱温度における加熱時間は1~30時間である。該加熱時間が1時間未満では、目的とする3次凝集シリカのスラリーを得ることができない。また、該加熱時間が30時間を越えても目的とする3次凝集シリカのスラリーを得ることはできるが、時間がかかり過ぎて経済的ではない。この加熱時間は5~20時間が特に好ましい。
(a)工程で得られる細長い形状のコロイダルシリカの3次凝集シリカのスラリーの粘度は、シリカ濃度21質量%、25℃におけるB型粘度計の粘度で20~200mPa・sである。
(a)工程において得られる細長い形状のコロイダルシリカの3次凝集シリカのスラリーのpHは、原料であるアルカリ性の細長い形状のシリカゾルのpHと殆ど一致しており、3次凝集シリカを構成するコロイダルシリカの表面シラノール基同士の脱水縮合が殆ど起きていないことを示している。(a)工程において得られる細長い形状のコロイダルシリカの3次凝集シリカスラリーのpHは8~11であり、好ましくは9~10.5である。
(a)工程では、得られたアルカリ性の3次凝集シリカのスラリーを湿式粉砕することにより、2次凝集シリカの凝集体である3次凝集体を破壊して、2次凝集シリカの分散液、即ち、多孔質2次凝集シリカ水性ゾルを得る。得られるアルカリ性の多孔質2次凝集シリカ水性ゾルのpHは8~11であり、好ましくは9~10.5である。
湿式粉砕には、ホモジナイザー、圧力ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散機、ミキサー、ボールミル、高圧噴射流の対向衝突装置等を用いることができる。中でも圧力ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、超音波分散機が特に好ましい。
湿式粉砕は、室温又は加熱下で行うことができる。
湿式粉砕は、アルカリ性の3次凝集シリカのスラリーのシリカ濃度5~30質量%の範囲で行うことが好ましい。該シリカ濃度が5質量%未満でも粉砕することはできるが、生産効率が悪くなる。また、該シリカ濃度が30質量%を超えると粉砕はできるが、未粉砕の3次凝集シリカが残存し易くなる。
(b)工程は、このアルカリ性の多孔質2次凝集水性シリカゾルをSiO/NaOのモル比で30~3000、SiO濃度0.1~30質量%、およびpH3~11に調整した後に100℃を超え、300℃以下、又は100℃を超え270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程である。
水性シリカゾルのpH調製は、前記アルカリ性の多孔質2次凝集水性シリカゾルをそのまま使用する場合は、pHが約10である。そのため、pHを10より高く調製する場合、前記アルカリ性の多孔質2次凝集水性シリカゾルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ成分を添加することで調整できる。前記アルカリ性の多孔質2次凝集水性シリカゾルを陽イオン交換樹脂又は限外濾過膜による洗浄でアルカリ成分を一部除き酸性の多孔質2次凝集水性シリカゾルを使用ことができる。
SiO/NaOのモル比を30~3000が好ましく、より好ましくは70~2000である。
SiO/NaOのモル比が30より小さいとアルカリ成分が多すぎるために水熱処理時にシリカ粒子が溶解しやすくなるため好ましくない。一方、SiO/NaOのモル比が3000より大きいとアルカリ成分が少なすぎるために水熱処理時にシリカ粒子が溶解析出による粒子成長が起こりにくくなるため、本発明の網状の外郭を有する球状シリカ粒子が生成しにくくなるため好ましくない。
水熱温度は100℃を超え、300℃以下、又は100℃を超え270℃以下の温度が好ましく、より好ましくは160~220℃である。100℃以下の水熱温度では網状の外郭を有するシリカ粒子が充分に形成されないので好ましくない。また、300℃より高い水熱温度では水性シリカゾル自体がゲル化して固化することもあり好ましくない。
水熱処理する水性シリカゾルのSiO濃度は、0.1~30質量%が好ましく、より好ましく10~30質量%である。0.1質量%未満でも網状の外郭を有する球状シリカ粒子が製造できるが生産性が悪いので好ましくない。また、SiO濃度が30質量%より高いと水性シリカゾル自体がゲル化する恐れがあるため好ましくない。
水熱処理する水性シリカゾルのpHは、3~11が好ましく、3未満では本発明の網状の外郭を有するシリカ粒子が充分に形成されないので好ましくない。また、pHが11より高いと水熱処理中にシリカ粒子が溶解しやすくなるため好ましくない。
前記(b)工程で得られた本発明のシリカ粒子の水性分散液(シリカゾル)はアルカリ成分をイオン交換により除去して、酸性の水性分散液を得ることができる。
アルカリ成分のイオン交換による除去は、公知の方法で行うことができる。公知の方法としては、陽イオン交換樹脂を充填したカラムにアルカリ性の上記水性分散液を通液するカラム法か、上記水性分散液中に陽イオン交換樹脂を投げ込んで攪拌する樹脂投込み法を用いることができる。
陽イオン交換樹脂は、強酸性型、弱酸性型のどちらも使用することができるが、商品名アンバーライト-120Bのような強酸性型の陽イオン交換樹脂が特に好ましい。
アルカリ成分のイオン交換による除去は、室温で行うことができるが、加熱下で行うこともできる。
樹脂投込み法のアルカリ成分のイオン交換による除去は、イオン交換後の酸性の水性分散液のpHを3~6に制御することができる。カラム法では、得られる酸性の水性分散液のpHは3~4である。
上記(b)工程で得られた本発明のシリカ粒子の水性分散液(シリカゾル)は、水性媒体を有機溶媒に置換する工程を行いオルガノシリカゾルを得ることができる。
水を有機溶媒に置換する方法は、常圧若しくは減圧の蒸発法、限外濾過法、又は沈降分離再分散法などの公知の方法で行うことができる。有機溶媒の置換は、本発明のシリカ粒子が分散した水性ゾルのシリカ濃度を10~50質量%の範囲で行うことが好ましく、シリカ濃度20~40質量%の範囲がより好ましい。
使用可能な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルエーテル等のエーテル類、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類が挙げられる。
また、本発明のシリカ粒子の表面をシランカップリング剤、シリル化剤等で処理することにより親水性溶媒への分散性を上げた水性ゾルや、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アクリルモノマー等の疎水性溶媒に分散したオルガノゾルを得ることができる。
本発明のシリカ粒子の表面被覆に用いられる加水分解性シランは、式(4)の加水分解性シラン及び/又は式(5)の加水分解性シランを含むことができる。式(4)の加水分解性シラン、式(5)の加水分解性シランは、更に他の加水分解性シランを併用する事が可能であり、式(4)の加水分解性シラン及び/又は式(5)の加水分解性シラン:他の加水分解性シランの重量比は、1:0.1~1.0、又は1:0.5~1.0の範囲で用いる事ができる。
本発明のシリカ粒子の表面被覆量は、シリカ粒子表面に被覆される上記シラン化合物のSi原子の数として0.1個/nm~3.0個/nm、又は0.3個/nm~1.5個/nm、の範囲で用いる事ができる。上記表面被覆量はシリカ粒子に対して添加した加水分解性シランの質量であり、シリカ粒子の比表面積と加水分解性シランの添加量とから計算する事ができる。
Figure 0007185831000001
式(4)中、Rはアクリロキシ基、メタクリロキシ基、アリール基、アルキル基、グリシドキシ基、アミノ基、又はそれら官能基を含む炭素原子数1~10のアルキレン基を含み、Si原子にSi-C結合で結合しているものであり、Rはアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基からなる加水分解基であり少なくとも1つのRの加水分解基はシリカ粒子表面でSi-O-Siの結合を形成し、aは1~3の整数を示す。
式(5)中、Rはアルキル基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、Rはアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、Yはアルキレン基、アリーレン基、NH基、又は酸素原子を示し、bは0~3の整数を示し、cは0又は1の整数である。
上記アルキル基は炭素原子数1~10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
また、アルキレン基は上述のアルキル基から誘導されるアルキレン基を上げる事ができる。
アリール基は例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、アリーレン基は上記アリール基から誘導される基であり、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられる。
上記アルコキシ基は炭素原子数1~10のアルコキシ基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチロキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシロキシ基、1-メチル-n-ペンチロキシ基、2-メチル-n-ペンチロキシ基、3-メチル-n-ペンチロキシ基、4-メチル-n-ペンチロキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基及び1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等が、また環状のアルコキシ基としてはシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、1-メチル-シクロプロポキシ基、2-メチル-シクロプロポキシ基、シクロペンチロキシ基、1-メチル-シクロブトキシ基、2-メチル-シクロブトキシ基、3-メチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロプロポキシ基、2,3-ジメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-シクロプロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、1-メチル-シクロペンチロキシ基、2-メチル-シクロペンチロキシ基、3-メチル-シクロペンチロキシ基、1-エチル-シクロブトキシ基、2-エチル-シクロブトキシ基、3-エチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロブトキシ基、1,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,2-ジメチル-シクロブトキシ基、2,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,4-ジメチル-シクロブトキシ基、3,3-ジメチル-シクロブトキシ基、1-n-プロピル-シクロプロポキシ基、2-n-プロピル-シクロプロポキシ基、1-i-プロピル-シクロプロポキシ基、2-i-プロピル-シクロプロポキシ基、1,2,2-トリメチル-シクロプロポキシ基、1,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、2,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-1-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロポキシ基等が挙げられる。
上記アシルオキシ基は炭素原子数2~10のアシルオキシ基は、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、i-プロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、i-ブチルカルボニルオキシ基、s-ブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-エチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-2-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、及びトシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
上記ハロゲン基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
上記加水分解性シランは例えば以下の化合物を例示する事ができる。
Figure 0007185831000002
上記式中Rはアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基からなる加水分解性基を示す。これらは信越化学工業(株)製のシランカップリング剤として入手することができる。
式(5)の化合物にはトリメチルシリル化剤を含むものであり、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。これらのシリル化剤は東京化成工業(株)から入手する事ができる。
シリカ粒子のシラン化合物による表面処理は、例えばシリカ粒子のメタノールゾルに式(4)及び/又は式(5)の加水分解性シランを添加して加水分解と表面被覆を行う事ができる。
アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、又はハロゲン化シリル基の加水分解には、加水分解性基の1モル当たり、0.5~100モル、好ましくは1~10モルの水を用いる。
また、加水分解性基の1モル当たり0.001~10モル、好ましくは0.001~1モルの加水分解触媒を用いることができる。
加水分解と縮合を行う際の反応温度は、通常20~80℃である。
加水分解は完全に加水分解を行うことも、部分加水分解することでも良い。即ち、加水分解縮合物中に加水分解物やモノマーが残存していても良い。
加水分解し縮合させる際に触媒を用いることができる。
加水分解触媒としてはキレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、又は無機塩基を併用する事ができる。
また、本発明のシリカ粒子の分散液をスプレードライヤーで乾燥した後、150~600℃で焼成することによりレーザー回折法による平均粒子径(体積基準)として、1~50μmの球状のシリカ粉末を得ることができる。
また、酸性のシリカ水性分散液(シリカゾル)又はシリカ有機溶媒分散液(オルガノシリカゾル)を常圧、減圧、凍結などの方法で乾燥後、乳鉢ミル、ミル、ミキサーなどの乾式粉砕機で粉砕した後、150~600℃で焼成することにより、シリカ粉末を得ることができる。この場合、乾式粉砕が強すぎるとシリカ粒子が一部破壊されるが、適度な粉砕を行うことでシリカ粒子の破壊を防止することができる。
これらのシリカ粉末は、触媒担体、吸着剤、防眩剤、アンチブロッキング剤、断熱材、メソポーラスシリカの代用品などに使用することができる。
本発明の膜形成組成物は、本発明のシリカ粒子及びマトリックス成分を含有し、フィルムまたは塗布膜を形成することができる組成物である。マトリックス成分は膜を形成できる樹脂成分であれば特に限定はなく、樹脂、樹脂溶液、モノマー、各種バインダーなどが使用できる。これら樹脂は光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
上記シリカ粒子は、シリカゾルとして添加する事も、シリカ粉末として添加する事もできる。
本発明のシリカ粒子の含有量は、硬化性樹脂100質量部に対して、10質量部~1000質量部、又は50質量部~500質量部、又は50質量部~300質量部の割合で含有する事ができる。
光硬化性樹脂は硬化機構にラジカル硬化とカチオン硬化があり、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等の重合能を有するオリゴマー、モノマー間の反応により架橋構造が形成される樹脂であり、いずれも使用する事ができる。
光硬化性樹脂は光重合性オリゴマーや光重合性モノマーと、光重合開始剤と、添加剤(例えば重合禁止剤、フィラー類、顔料、染料、レベリング剤、消包材、粘度調整剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、スリップ剤、撥水剤など)と溶剤とを含む事ができる。
光ラジカルUV硬化樹脂としては、光重合性オリゴマーは例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられ、
光重合性モノマーは例えば多官能(2官能~8官能)アクリレート、単官能アクリレートが挙げられる。
例えばウレタンアクリレートは、ポリオールとジイソシアネート(又はイソシアネート)並びにOH基を有するアクリレートから合成する事ができる。2官能性のポリオールを原料とする2官能ウレタンアクリレートが得られ、3官能以上のポリオールを用いた場合に多官能ウレタンアクリレートが得られる。またOH基を有する多官能アクリレートを用いる事もできる。
イソシアネートとしては2-アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートとしては2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジオールジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基を有するアクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
光重合開始剤はベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、チオキサントン系が挙げられる。
光ラジカル反応は少量の開始剤から生じた活性種(中性ラジカル)にモノマーが反応してモノマーラジカルを生成(開始反応)し、この反応が連続的に起こりポリマー化する。光重合開始剤は主に波長190~500nmの紫外線領域のエネルギーを吸収し、励起され分子内開裂を起こしラジカルを生成する場合や、水素供与体から水素を引き抜いてラジカルを生成し、炭素間二重結合に反応して重合が開始される。UV照射システムとしては、UVランプ(高圧水銀灯)、メタルハライドランプ、LED-UV等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は例えば、イミダゾール化合物、ジアゾ化合物、ビスイミダゾール化合物、N-アリールグリシン化合物、有機アジド化合物、チタノセン化合物、アルミナート化合物、有機過酸化物、N-アルコキシピリジニウム塩化合物、及びチオキサントン化合物等が挙げられる。アジド化合物としては、p-アジドベンズアルデヒド、p-アジドアセトフェノン、p-アジド安息香酸、p-アジドベンザルアセトフェノン、4,4’-ジアジドカルコン、4,4’-ジアジドジフェニルスルフィド、及び2,6-ビス(4’-アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン等を挙げることができる。ジアゾ化合物としては、1-ジアゾ-2,5-ジエトキシ-4-p-トリルメルカプトベンゼンボロフルオリド、1-ジアゾ-4-N,N-ジメチルアミノベンゼンクロリド、及び1-ジアゾ-4-N,N-ジエチルアミノベンゼンボロフルオリド等を挙げることができる。ビスイミダゾール化合物としては、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)1,2’-ビスイミダゾール、及び2,2’-ビス(o-クロロフェニル)4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビスイミダゾール等を挙げることができる。チタノセン化合物としては、ジシクロペンタジエニル-チタン-ジクロリド、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビスフェニル、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,4,6-トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,4-ジフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)-チタン-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)-チタン-ビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)-チタン-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)、及びジシクロペンタジエニル-チタン-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)等を挙げることができる。
また、1,3-ジ(tert-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3‘,4,4’-テトラキス(tert-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3-フェニル-5-イソオキサゾロン、2-メルカプトベンズイミダゾール、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン等を挙げることができる。
光カチオンUV硬化樹脂の構成成分としては、光重合性オリゴマーや光重合性モノマーと、光重合開始剤と、溶媒とを含むことができる。
光重合性オリゴマーは脂環式エポキシ、グリシジル型エポキシ、オキセタン化合物が
挙げられ、光重合性モノマーはビニルエーテルモノマーが挙げられる。
光カチオン硬化に用いられるオリゴマーやモノマーは、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂、マレイミド樹脂が挙げられる。
カチオン性重合開始剤はスルホニウム塩型、ヨードニウム塩型が挙げられる。カチオン重合化合物の低粘度、透明性、密着性、硬化性の特徴を生かし、ディスプレー、デバイス用途に用いられる。
光カチオン重合開始剤はカチオン部とアニオン部からなるイオン性のオニウム塩が用いられ、カチオン部が光を吸収し、アニオン部が酸の発生源となる。カチオン成分としては、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオンが挙げられ、アニオン成分としてはSbF 、PF 、B(C 、が挙げられる。
例えばエポキシ化合物の場合は、酸がエポキシに配位し別のエポキシ基と反応し、活性種となるオキソニウムカチオンが生成し開環重合が進行する。
光カチオン重合開始剤は、例えばスルホン酸エステル、スルホンイミド化合物、ジスルホニルジアゾメタン化合物、ジアルキル-4-ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸-p-ニトロベンジルエステル、シラノール-アルミニウム錯体、(η-ベンゼン)(η-シクロペンタジエニル)鉄(II)等が挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(ノナフルオロ-ノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド及びN-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられる。
ジスルホニルジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びメチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩化合物としては、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムメシレート、ジフェニルヨードニウムトシレート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムメシレート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトシレート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムクロリド、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウムクロライド、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、更にビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのビス(アルキルフェニル)ヨードニウム塩、アルコキシカルボニルアルコキシ-トリアルキルアリールヨードニウム塩(例えば、4-[(1-エトキシカルボニル-エトキシ)フェニル]-(2,4,6-トリメチルフェニル)-ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなど)、ビス(アルコキシアリール)ヨードニウム塩(例えば、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのビス(アルコキシフェニル)ヨードニウム塩)が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩化合物としては、例えば、トリフェニルスルホニウムクロリド、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ(p-メトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p-メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p-エトキシフェニル)スルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリフェニルスルホニウム塩や、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)等のスルホニウム塩が挙げられる。
ホスホニウム塩としてトリフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスホニウムブロミド、トリ(p-メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリ(p-メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリ(p-エトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、4-クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のホスホニウム塩が挙げられる。
上記光重合開始剤は、重合性化合物(光重合性オリゴマーや光重合性モノマー)100質量部に対して、0.01質量部~50質量部、又は0.1質量部~15質量部の範囲で用いる事ができる。
熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂は、加熱前は線状の低分子化合物(プレポリマー、オリゴマー)であるが、加熱すると高分子化/架橋反応が進行し3次元構造を形成する。熱硬化性樹脂は、樹脂骨格と結合基と官能基から構成される。官能基は水酸基、グリシジル基、脂環式エポキシ基、マレイミド基、シアネート基が挙げられる。連結基はエーテル構造、エステル構造、アミン構造が挙げられる。樹脂骨格としてはビスフェノールA型、ノボラック型、レゾール型、ジフェニルメタン型、ビフェニル型、水添ビスフェノール型、ポリプロピレングリコール型が挙げられる。
単独で硬化する場合もあるが、多くの場合は硬化剤を併用する事ができる。エポキシ樹脂の硬化剤はアミン系、酸無水物系が挙げられる。
上記硬化剤は、熱重合性樹脂100質量部に対して、0.01質量部~50質量部、又は0.1質量部~15質量部の範囲で用いる事ができる。
界面活性剤は、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、シリコーン系表面改質剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等のアルキルアミン塩型、ハロゲン化(フッ化、塩化、臭化、又はヨウ化)アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化(フッ化、塩化、臭化、又はヨウ化)ジアルキルジメチルアンモニウム、ハロゲン化(フッ化、塩化、臭化、又はヨウ化)アルキルベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩型が挙げられる。
陰イオン界面活性剤としては脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩等のカルボン酸型、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファーオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩等のスルホン酸型、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩等の硫酸エステル型、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル型が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のカルボキシベタイン型、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の2-アルキルイミダゾリンの誘導体型、アルキル(又はジアルキル)ジエチレントリアミノ酢酸等のグリシン型、アルキルアミンオキシド等のアミンオキシド型が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテル型、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等のエステルエーテル型、脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド型が挙げられる。
これらの界面活性剤はそれぞれアルキル鎖中の水素原子の一部もしくは全部をハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)に置換したものでもよい。
また、フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。
シリコーン系表面改質剤(シリコーン系界面活性剤)としては、ジメチルシリコン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジシルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ビトロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。
上記界面活性剤は膜形成組成物に対して0.01質量%~10質量%、又は2質量%~5質量%の範囲で添加する事ができる。
膜形成組成部は、流動性を向上させるためのレオロジー調整剤を添加する事ができる。例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、膜形成組成物に対して0.01質量%~10質量%、又は2質量%~5質量%の範囲で添加する事ができる。
膜形成組成物は、レベリング剤を配合する事ができる。これらレベリング剤は例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトツプEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製、商品名)、メガファックF171、F173、R-30(大日本インキ(株)製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製、商品名)、アサヒガードAG710、サーフロンSー382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製、商品名)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらのレベリング剤は、膜形成組成物に対して0.01質量%~10質量%、又は2質量%~5質量%の範囲で添加する事ができる。
膜形成組成物に用いる溶媒としては、本願発明のコーティング組成物に使用される溶剤としては、前記の固形分を溶解できる溶剤であれば、特に制限なく使用することができる。そのような溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルイソブチルカルビノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、4-メチル-2-ペンタノール、及びγ-ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤は単独で、または二種以上の組み合わせで使用することができる。
膜形成組成物の作成方法としては、例えばシリカ粒子を樹脂に練りこむ方法、樹脂の溶液にシリカ粒子の分散液を混合する方法、樹脂の前駆体とシリカ粒子またはシリカ粒子の分散液を混合する方法などが挙げられる。本発明の膜形成組成物の一例であるコーティング液は粒子の沈降が起きにくく、均一性を保ちやすい。
本発明のシリカを含有する膜の形態としては、フィルム自体、又はフィルムや他の形態の物品上に生成された被膜などが挙げられる。
本発明の膜はマトリックスが粒子内部まで入るため、透明性が良好で、粒子の脱落等が起きにくい。用途により添加量は様々であるが、少量のシリカ添加で良好なアンチブロック性、すべり性、防眩性などを付与する事ができる。
基板(例えば、フィルムシート、シリコンウエハー基板、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、及び低誘電率材料(low-k材料)被覆基板等)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の膜形成(コーティング)組成物が塗布され、その後、加熱することにより熱硬化によるコーティング膜(コーティング組成物の熱硬化物からなる被膜)が形成される。加熱する条件としては、加熱温度20℃~250℃、又は20℃~110℃、加熱時間0.3分間~60分間の中から適宜、選択される。ここで、形成されるコーティング膜の膜厚としては、例えば、0.01μm~10μmであり、または0.02μm~8μmであり、または0.05μm~6μmであり、または0.1μm~5μmである。
被覆されたコーティング膜が光硬化させる場合には、溶剤の除去のために20℃~100℃で、加熱時間0.3分間~60分間で乾燥を行い、その後、波長190nm~500nmの紫外線を用いて、露光量1mJ/cm乃至20000mJ/cm、または10mJ/cm乃至15000mJ/cm、または50mJ/cm乃至11000mJ/cmによって光硬化によるコーティング膜を形成した。形成されるコーティング膜の膜厚としては、例えば、0.01μm~10μmであり、または0.02μm~8μmであり、または0.05μm~6μmであり、または0.1μm~5μmである。
本発明では光硬化系の場合、熱硬化と光硬化を併用する事が可能である。先に熱硬化を行いその後に光硬化を行う場合や、光硬化を行い後から熱硬化を行う事ができる。
下記の各合成例において、電導度、pHの測定は、特に記述のない限りいずれも20℃で行った。
B型粘度の測定は、特に記述のない限りいずれも25℃で行った。また、レーザー回折法による平均粒子径は、体積基準の値である。
(測定装置・方法)
・pH:pHメーター(東亞ディーケーケー(株)製))を用いた。
・電気伝導率:電気伝導率計(東亞ディーケーケー(株)製))を用いた。
・粘度:B型粘度計(東機産業(株)製)を用いた。
・シリカゾル中のNaO含有量:シリカ粒子をフッ化水素酸で分解した後、原子吸光分析法で測定した。
・シリカゾルのSiO濃度:乾燥したものの1000℃焼成残分からNaO含有量を差し引いてSiO濃度を求めた。
・本発明のシリカ粒子の透過型電子顕微鏡による観察された平均一次粒子径(A):透過型電子顕微鏡で粒子の形態を観察した。
・本発明のシリカ粒子のレーザー回折法による平均粒子径(A):シリカ粒子の水分散液をレーザー回折法粒子径測定装置SALD-7500((株)島津製作所製)を用いた。
・本発明のシリカ粒子の網を構成するシリカ成分の直径の平均値:上述の式(1)の式に従い測定した。
・本発明のシリカ粒子中の空隙率の測定:上述の式(2)と式(3)の式に従い測定した。
・本発明のシリカ粒子のTEM平面投影図の貫通孔の面積割合:透過型電子顕微鏡写真から粒子内のシリカが存在せず、背景が透けて見える部分を貫通孔として、貫通孔の外郭内での面積割合を測定した。
・本発明のシリカ粒子の遠心沈降法による平均粒子径:シリカ粒子の水分散液を遠心沈降式粒子径測定装置CAPA-700((株)堀場製作所製)を用い、シリカ粒子の真密度を2.2g/cmとして測定した。
・原料に用いる細長い形状のシリカ粒子の比表面積:窒素ガス吸着法比表面積測定装置(Quantachrome社製Monosorb)を用いた。
・原料に用いる細長い形状のシリカ粒子の動的光散乱法による平均粒子径(D):シリカ粒子の水分散液を動的光散乱法粒子径測定装置 ゼーターサイザー ナノ(スペクトリス(株)マルバーン事業部製)を用いた。
・原料に用いる細長い形状のシリカ粒子の窒素吸着法による測定粒子径(D):球体換算直径として窒素吸着法で測定される比表面積S(m/g)から、窒素吸着法による粒子径(nm)=2727/Sの式によって与えられる。
〔(a)工程で得られるシリカ粒子α-1の合成〕
市販の細長い形状のシリカゾル(日産化学(株)製、商品名スノーテックスUP(SiO濃度20.2質量%、NaO濃度0.27質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度15.0mPa・s、電導度2590μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D1)52.7nm、窒素ガス吸着法による比表面積225m/g、窒素吸着法による測定粒子径(D)12nm)1.5kgを容積3Lのステンレス製容器に仕込み、プロペラ式撹拌羽根で撹拌しながら液温を75℃まで加温した。その後液温を75~80℃に制御し、前記の細長い形状のシリカゾル1kgを7時間かけて添加しながら濃縮し、SiO濃度を29.5質量%まで濃縮し、B型粘度計の粘度1010mPa・sのシリカゾル濃縮品1.7kgを製造した。このシリカゾル濃縮品855gを容積2Lのポリ瓶に仕込んだ後、直径75mmのこぎり刃状インペラー撹拌機を設置した後、回転数1000r.p.mで撹拌しながら市販のウォーターバスで液温を65℃まで加温し、液温が65℃に到達後、回転数を5460r.p.mに上げて高い剪断力の撹拌を開始した。30分撹拌後に増粘し始め、1時間の撹拌時に大きく増粘したが、その後は徐々に粘度が下がり、そのまま高い剪断力の撹拌を18時間継続し、多孔質凝集シリカ粒子を含有するアルカリ性の水性シリカゾルを得た。この水性シリカゾルの得量は800g、SiO濃度31.5質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度22mPa・sで、レーザー回折法の平均粒子径(A)は150nmであった。
上記アルカリ性の水性シリカゾル800gに純水を加えSiO濃度20.0質量%に調製後に陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液した後、陰イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-A410を充填したカラムに空間速度SV5で通液した後、再度陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液し、表1および図1に示すような多孔質二次凝集シリカ粒子を含有する水性シリカゾル(α-1)を1200g得た。
〔本発明のシリカ粒子α-2の合成〕
水性シリカゾル(α-1)1000gに10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してSiO/NaOのモル比を105、SiO濃度15.0質量%、pH10.0、電導度910μS/cm、NaO濃度1483ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み180℃で10時間水熱処理をした。この水熱処理操作を3回行い、表2及び図2に示すような網を構成するシリカ粒子を含有するシリカ水性ゾル(α-2)を840g得た。
〔(a)工程で得られるシリカ粒子β-1の合成〕
市販の細長い形状のシリカゾル(日産化学(株)製、商品名スノーテックスUP(SiO濃度20.2質量%、NaO濃度0.27質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度15mPa・s、電導度2590μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D1)52.7nm、窒素ガス吸着法による比表面積225m/g、窒素吸着法による測定粒子径(D)12nm)451kgを容積700Lのジャケット付き混合槽(内径95cm、高さ100cm)に仕込み、プロペラ式撹拌羽根で撹拌しながら液温を75℃まで加温した。その後液温を75~80℃に制御し、前記の細長い形状のシリカゾル191kgを25時間かけて添加しながら濃縮し、SiO濃度27.6質量%まで濃縮し、B型粘度計の粘度970mPa・sのシリカゾル濃縮品470kgを製造した。このシリカゾル濃縮品は僅かにコロイド色を呈するが透明であった。
このシリカゾル濃縮品855gを容積2Lのポリ瓶に仕込んだ後、直径75mmのこぎり刃状インペラー撹拌機を設置した後、回転数1000r.p.mで撹拌しながら市販のウォーターバスで液温を65℃まで加温し、液温が65℃に到達後、回転数を2800r.p.mに上げて高い剪断力の撹拌を開始した。30分撹拌後に増粘し始め、1時間撹拌時に大きく増粘したが、その後は徐々に粘度が下がり、そのまま高い剪断力の撹拌を32時間継続し、多孔質凝集シリカ粒子を含有するアルカリ性の水性シリカゾルを得た。
この水性シリカゾルの得量は、805g、SiO濃度29.3質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度26mPa・sで乳白色を呈している。レーザー回折法の平均粒子径(A)は270nmであった。また、透過型電子顕微鏡観察で細長い形状のコロイダルシリカが絡み合ったほぼ球状の凝集シリカ粒子であることが観察された。また透過型電子顕微鏡観察で測定した平均一次粒子径(A)は、330nmであった。
上記アルカリ性の水性シリカゾル800gに純水を加えSiO濃度20.0質量%に調製後に陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液した後、陰イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-A410を充填したカラムに空間速度SV5で通液した後、再度陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-120Bを充填したカラムに空間速度SV5で通液し、表1および図3に示すような多孔質二次凝集シリカ粒子を含有する酸性の水性シリカゾル(β-1)を1300g得た。
〔本発明のシリカ粒子β-2の合成〕
水性シリカゾル(β-1)1000gに純水および10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してSiO/NaOのモル比を89、SiO濃度15.0質量%、pH10.2、電導度1110μS/cm、NaO濃度1745ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み180℃で10時間水熱処理をした。この水熱処理操作を3回行い、表2および図4に示すような網を構成するシリカ粒子と網を構成しないシリカ粒子が混合するシリカ水性ゾル(β-2)を840g得た。
〔本発明のシリカ粒子β-3の合成〕
水性シリカゾル(β-1)300gに純水を添加してSiO/NaOのモル比を1070、SiO濃度15.0質量%、pH3.8、電導度96μS/cm、NaO濃度145ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み220℃で5時間水熱処理を行い、表2および図5に示す網を構成するが一部切断されたシリカ粒子を含有が混在しているシリカ水性ゾル(β-3)を280g得た。
〔本発明のシリカ粒子β-4の合成〕
水性シリカゾル(β-1)300gに純水および10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してSiO/NaOのモル比を303、SiO濃度15.0質量%、pH8.2、電導度512μS/cm、NaO濃度512ppmに調整した後に、280gを分取し容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み250℃で5時間水熱処理を行い、表2および図6に示す網が一部切断されたシリカ粒子を含有が混在しているシリカ水性ゾル(β-4)を280g得た。
〔(a)工程で得られるシリカ粒子γ-1の合成〕
市販の細長い形状のシリカゾル(日産化学(株)製、商品名スノーテックスUP(SiO濃度20.2質量%、NaO濃度0.27質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度20mPa・s、電導度2580μS/cm、動的光散乱法による測定粒子径(D1)53.0nm、窒素ガス吸着法による比表面積224m/g、窒素吸着法による測定粒子径(D)12nm)451kgを容積700Lのジャケット付き混合槽(内径95cm、高さ100cm)に仕込み、プロペラ式撹拌羽根で撹拌しながら液温を75℃まで加温した。その後液温を75~80℃に制御し、前記の細長い形状のシリカゾル191kgを25時間かけて添加しながら濃縮し、SiO濃度28.6質量%まで濃縮し、B型粘度計の粘度840mPa・sのシリカゾル濃縮品436kgを製造した。このシリカゾル濃縮品は僅かにコロイド色を呈するが透明であった。このシリカゾル濃縮品349kgと純水1.6kgを容積700Lのジャケット付き混合槽(内径95cm、高さ100cm)に仕込んだ。直径300cmのこぎり刃状インペラー撹拌機が設置し、回転数510r.p.mで加熱し液温が65℃まで到達後、回転数を1100r.p.mに上げて高い剪断力の撹拌を開始した。30分撹拌後に増粘し始め、1時間36分の撹拌時に大きく増粘した時点で純水を70.7kg添加してB型粘度計の粘度で780mPa・sに調整した。更に撹拌を継続し、その後は徐々に粘度が下がり、高い剪断力の撹拌を27時間継続しSiO濃度22.5質量%、pH10.2、B型粘度計の粘度21mPa・sで乳白色を呈しているアルカリ性の水性シリカゾルを401kg得た。続いてこの水性ゾル2kgを3Lのガラス製ナスフラスコに投入し、60℃湯浴中で減圧濃縮して、表1および写真7に示すような多孔質二次凝集シリカ粒子を含有するアルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)を2590g得た。表1および図7に示すように、水性シリカゾル(γ-1)は、SiO/NaOのモル比が77、SiO濃度26.0質量%、pH9.7、電導度2960μS/cm、NaO濃度3510ppm、レーザー回折法の平均粒子径(A)は677nmであった。また、透過型電子顕微鏡観察で細長い形状のコロイダルシリカが絡み合ったほぼ球状の多孔質二次凝集シリカ粒子であることが観察された。また透過型電子顕微鏡観察で測定した平均粒子径(A)は、725nmであった。
〔本発明のシリカ粒子γ-2の合成〕
アルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)280gを容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み200℃で5時間水熱処理をし、表2および図8に示すような網を構成するシリカ粒子を含有するシリカ水性ゾル(γ-2)を280g得た。
〔本発明のシリカ粒子γ-3の合成〕
アルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)280gを容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み140℃で5時間水熱処理をしたが、部分的に網状の外郭を有する部分が存在するが、表面全体には網状の外郭を有するシリカ粒子ではなかった。
〔比較例のシリカ粒子γ-4の合成〕
アルカリ性の水性シリカゾル(γ-1)280gを容積300mlステンレス製高圧容器に仕込み280℃で5時間水熱処理をしたが、表2に示すようにシリカゾルはゲル化して硬い寒天状に固化してしまった。
表1および図2、図4、図5、図6、図8で示すように、前記アルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルをSiO濃度10~30質量%、pHを7~11に調整した後に150~220℃で1~30時間水熱処理することにより、網状の外郭を有するシリカ粒子のみであって、網目状外郭を構成するシリカ成分の直径が20~90nmであり、且つ透過型電子顕微鏡の平面投影図から測定した粒子の貫通孔の面積割合が5%~30%であり、粒子の空隙率が30~90%であるレーザー回折法により測定される平均粒子径(A)が100nm~1.5μmのシリカ粒子(α-2)、(β-2)、(β-3)、(β-4)および(γ-2)が製造できることが分かる。
なお、図5で示すように、pHが3.6では本発明のシリカ粒子が製造できるものの、それ以外に水熱処理前の多孔質シリカ粒子が混じっているのが分かる。
また、図6で示すように、水熱温度が250℃の熱処理条件では、本発明のシリカ粒子
が製造できるものの、それ以外に網目が切断されたシリカ粒子が混じっているのが分かる。
表1、表2のシリカ粒子(γ-4)で示すように、水熱温度が280℃以上高い場合は、シリカゾルがゲル化して本発明のシリカ粒子が製造できなかった。
なお、参考例として水性シリカゾル(網状の外郭や内部空洞が存在しない中実シリカ粒子δ―1(MP-2040、図9)とδ-2(MP-3040、図10)を準備した(日産化学(株)製)。
下記表中(――)は未測定である事を示した。
〔表1〕
表1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
シリカ粒子 α-1 β-1 γ-1 δ―1 δ―2
SiO濃度 質量% 16 18 26 40.5 40.7
NaO濃度ppm 136 175 3510 330 240
pH 3.1 2.9 9.7 9.4 9.7
電導度μS/cm 222 398 2960 ―― ――
比表面積m/g 225 218 221 21 13
平均粒子径(A)nm 150 290 677 180 290
平均一次粒子径(A)nm 160 330 725 200 310
遠心沈降法平均粒子径nm 100 170 320 180 300
シリカ粒子密度g/cm1.47 1.32 1.23 1.97 2.12
シリカ粒子の空隙率% 62 74 80 19 7
シリカ粒子の貫通孔割合% 3 3 2 0 0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔表2〕
表2-1-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理前のシリカ粒子)
シリカ粒子 α-2 β-2 β-3 β-4
SiO濃度 質量% 15 15 15 15
NaO濃度ppm 1483 1745 145 512
SiO/NaOモル比 105 89 1070 303
pH 10.0 10.2 3.6 8.2
電導度μS/cm 910 1110 96 201
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔表3〕
表2-1-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理前のシリカ粒子)
シリカ粒子 γ-2 γ-3 γ-4
SiO濃度 質量% 26 26 26
NaO濃度ppm 3510 3510 3510
SiO/NaOモル比 77 77 77
pH 9.7 9.7 9.7
電導度μS/cm 2960 2960 2960
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔表4〕
表2-2-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理後シリカ粒子)
シリカ粒子 α-2 β-2 β-3 β-4
水熱条件 ℃×時間 180×10 180×10 220×5 250×5
pH 10.8 11.0 8.5 10.3
電導度μS/cm 1960 2480 80 648
比表面積m/g 71 65 79 38
網のシリカ粒子の直径nm 26 28 ―― ――
平均粒子径(A)nm 150 277 266 235
平均一次粒子径(A)nm 160 300 ―― ――
遠心沈降法平均粒子径nm 100 170 ―― ――
シリカ粒子密度g/cm1.47 1.38 ―― ――
シリカ粒子の空隙率% 62 68 ―― ――
シリカ粒子の貫通孔割合% 5 3 ―― ――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔表5〕
表2-2-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(水熱処理後シリカ粒子)
シリカ粒子 γ-2 γ-3 γ-4
水熱条件 ℃×時間 200×5 140×5 280×5
pH 10.2 10.6 ――
電導度μS/cm 4210 3060 ――
比表面積m/g 44 135 ――
網のシリカ粒子の直径nm 41 ―― ――
平均粒子径(A)nm 670 635 ――
平均一次粒子径(A)nm 720 720 ――
遠心沈降法平均粒子径nm 320 320 ――
シリカ粒子密度g/cm1.23 1.23 ――
シリカ粒子の空隙率% 81 80 ――
シリカ粒子の貫通孔割合% 3 5 ――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(製造例1:有機溶媒分散シリカゾル-1)
合成例α-2で得られたシリカ粒子の水分散液を陽イオン交換樹脂アンバーライト(登録商標)-120Bを充填したカラムに通液して固形分20質量%のシリカ分散液を得た。この酸性分散液200gを2Lのナスフラスコに入れ、イソプロピルアルコール800gを添加して希釈した後、トリメチルメトキシシランを2g入れて浴温60℃でマグネチックスタラーで攪拌しながら3時間加熱した。その後ロータリーエバポレーターで500gまで濃縮し、次いでMEK800gを添加しながら徐々に濃縮して、固形分濃度20質量%のシリカのメチルエチルケトン分散液202gを得た。
(比較製造例1:有機溶媒分散シリカゾル-2)
合成例α-1で得られた多孔質二次凝集シリカ粒子の水分散液を240gを2Lのナスフラスコにいれ、イソプロピルアルコール860gを添加して希釈した後、トリメチルメトキシシランを4g入れて浴温60℃でマグネチックスタラーで攪拌しながら3時間加熱した。その後ロータリーエバポレーターで500gまで濃縮し、次いでMEK800gを添加しながら徐々に濃縮して、固形分濃度20質量%のシリカのメチルエチルケトン分散液204gを得た。
(比較製造例2:有機溶媒分散シリカゾル-3)
市販の中実シリカゾル(日産化学(株)製 MP-2040(SiO濃度40.6質量%、pH9.4)を純水でSiOが10質量%に希釈した後、陽イオン交換樹脂カラム、次いで陰イオン交換樹脂カラムに通液した後、再度陽イオン交換樹脂カラムに通液して固形分9.5質量%のシリカ分散液を得た。この分散液420gを2Lのナスフラスコにいれ、ロータリーエバポレーターで濃縮して200gとした後、イソプロピルアルコール800gを添加して希釈した。さらにトリメチルメトキシシランを1g入れて浴温60℃でマグネチックスタラーで攪拌しながら3時間加熱した。その後ロータリーエバポレーターで500gまで濃縮し、次いでMEK800gを添加しながら徐々に濃縮して、固形分濃度20%のシリカのメチルエチルケトン分散液201gを得た。
(製造例2:有機溶媒分散シリカゾル-4)
合成例β―2のシリカを出発原料として製造例1と同様の操作によりメチルエチルケトン分散液を得た。
(製造例3:有機溶媒分散シリカゾル-5)
合成例γ―2のシリカを出発原料として製造例1と同様の操作によりMEK分散液を得た。
(比較製造例3:有機溶媒分散シリカゾル-6)
市販の中実シリカゾル(日産化学(株)製 MP-3040(SiO濃度40.8質量%、pH9.7)を出発原料として製造例3と同様の操作によりメチルエチルケトン分散液を得た。
(実施例及び比較例)
製造例1~3、比較製造例1~3のシリカのメチルエチルケトン分散液を配合して、表3-1及び表3-2に示すコーティング組成物を作成した。コート液の主溶媒はPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を用いた。
表1のコーティング組成物をPETフィルム(コスモシャインA-4100、125μm)に硬化後膜厚が2.5μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、50℃ホットプレート上で3分間乾燥後、紫外線硬化させて塗布フィルムを得た。硬化条件は紫外線ランプ(メタルハライドランプ、EYE GRAPHICS社製、商品名M04-L41、波長範囲200nm~450nm)を用い、空気中で1000mJ/cmの条件で行った。
比較例4は、シリカ粒子を添加していないコーティング液を塗布したPETフィルムである。
塗布フィルムの評価は以下の通りにおこなった。
ヘーズ:HAZE MATER NDH5000(日本電色)を用い、JIS K7105のモードで測定を行った。
すべり性(触感):塗布面どうしを重ねて人差し指と親指で上下から強くつまみ、動かしたときの触感を調べた。◎:なめらかに滑る、〇:少し抵抗があるが滑る、△:強い抵抗があり、きしむ、×:密着して動かない。
静摩擦係数:静摩擦係数測定装置 HEIDON-10(新東科学)を用いて測定した。下側のすべり面(上昇板)に台紙としてシリカ無添加のコートフィルム(比較例4)をセットし、実施例1~3および比較例1~4のコートフィルムを張り付けた平面圧子を乗せ、上昇板を傾けて行き、端子が滑り落ちる角度から静摩擦係数を求めた。
Ra:原子間力顕微鏡 Dimension Icon(ブルカー社)を用いて測定した。
塗布フィルムの評価結果を表4-1及び表4-2に示す。
シリカ粒子を添加していないコーティング液を塗布したPETフィルムの比較例4は、低ヘーズであるが、静摩擦係数が大きく、すべり性が悪いことが判る。
実施例1,2,3(有機溶媒分散シリカゾル1、4、5)は低ヘーズと良好なすべり性が両立できていることが判る。多孔質二次凝集シリカ粒子の比較例1(有機溶媒分散シリカゾル2)は低ヘーズであるが、すべり性の効果が不十分である。比較例2及び比較例3の中実粒子(有機溶媒分散シリカゾル3、6)はヘーズが上昇しやすく、またすべり性も不十分である。
下表中、PGME(溶媒)はプロピレングリコールモノメチルエーテルを示し、DPHA(ラジカル重合性モノマー)はジペンタエリスリトールのペンタ及びヘキサアクリレートの混合物を示し、イルガキュア184(光ラジカル発生剤)はα-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであり、以下の構造を示す。
Figure 0007185831000003
陰イオン界面活性剤は、商品名プライサーフA-212C(第一工業製薬(株)製、成分はリン酸エステル系アニオン界面活性剤)を用いた。以下の含有量、濃度は質量%で示した。
〔表6〕
表3-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1 比較例1 比較例2 比較例4
有機溶媒分散シリカゾル 1 2 3 -
SiO濃度 0.95 0.95 0.95 0
DPHA濃度 18.87 18.87 18.87 19.05
イルガキュア184 0.94 0.94 0.94 0.95
陰イオン界面活性剤 0 0 0 0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔表7〕
表3-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例2 実施例3 比較例3
有機溶媒分散シリカゾル 4 5 6
SiO濃度 0.95 0.95 0.95
DPHA濃度 18.87 18.87 18.87
イルガキュア184 0.94 0.94 0.94
陰イオン界面活性剤 0.05 0.05 0.05
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔表8〕
表4-1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
例 実施例1 比較例1 比較例2 比較例4
シリカ配合量/樹脂 5phr 5phr 5phr 0phr
ヘーズ 0.49 0.41 0.65 0.45
すべり性 〇 △ × ×
静摩擦係数 0.47 1.19 1.6以上 1.6以上
塗膜Ra(nm) 5.5 0.9 0.5 0.4
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔表9〕
表4-2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
例 実施例2 実施例3 比較例3
シリカ配合量/樹脂 5phr 5phr 5phr
ヘーズ 0.60 0.49 1.19
すべり性 ◎ 〇 △
静摩擦係数 0.31 0.86 1.60
塗膜Ra(nm) 7.4 1.4 2.7
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、網状の外郭を有するシリカ粒子α-2を含む光硬化性樹脂を光硬化し、硬化した樹脂の断面を切断し、断面を観察した電子顕微鏡写真(図11)は、シリカ粒子の中央部が内部空間(空洞)になっている事が示されている。
本件は網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子である。その空洞を利用する事により空洞内部に種々の成分や、媒体を含有することが可能となるシリカ粒子と内部空間その製造方法を提供する。

Claims (9)

  1. 網状の外郭と内部空間を有し、内部空間から外郭につながる貫通孔を有したシリカを主成分とする粒子であって、網の直径が20nm~90nmであり、且つ粒子中の空隙率が30~90%であり、レーザー回折法により測定された平均粒子径(A)が100nm~1.5μmであるシリカ粒子。
  2. 透過型電子顕微鏡で観察される平均一次粒子径(A)が100nm~1.5μmであり、平均粒子径(A)/平均一次粒子径(A)の比が0.8~1.5である請求項1に記載のシリカ粒子。
  3. 窒素ガス吸着法により測定される比表面積が20~90m/gである請求項1又は請求項2に記載のシリカ粒子。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリカ粒子が、酸性若しくはアルカリ性の水性媒体又は有機溶媒に分散し、レーザー回折法により測定される平均粒子径(A)が100nm~1.5μmであるシリカゾル。
  5. 下記(a)工程乃至(b)工程を含む請求項4に記載のシリカゾルの製造方法。
    (a)工程:動的光散乱法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D)の比D/Dが4~10であって、D1が40~200nm、Dが8~30nmである細長い形状のコロイダルシリカのSiO濃度を21~30質量%に濃縮後、30~100℃で高剪断力で攪拌によって製造されるレーザー回折法により測定される平均粒子径が100nm~1.5μm、窒素ガス吸着法により測定される比表面積が90~350m/gのアルカリ性の多孔質二次凝集シリカ水性ゾルを製造する工程、
    (b)工程:SiO/NaOのモル比で30~3000、SiO濃度0.1~30質量%、pHを3~11に調整した後に100℃を超え、270℃以下の温度で1~30時間水熱処理する工程。
  6. 請求項5に記載の(b)工程の後に、水性媒体を有機溶媒に置換する工程を行うオルガノシリカゾルの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリカ粒子と、樹脂とを含む膜形成組成物。
  8. 樹脂が光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項7に記載の膜形成組成物。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の膜形成組成物から形成された膜。
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