JP7183463B1 - 漏水検知システムおよび漏水検知方法 - Google Patents

漏水検知システムおよび漏水検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配管の漏水箇所を推定するための技術を提供する。【解決手段】漏水検知システム20は、配管網に分散配置された複数の圧力センサー230と、配管網の漏水箇所を推定する監視装置200とを備える。複数の圧力センサー230の各々は、配管網の場所ごとの水圧の計測データを監視装置200に送信する。監視装置200は、配管網の場所ごとの計測データに基づいて、配管網の場所ごとにおける予め定められた基準値からみた動水位を算出し、配管網の場所ごとの動水位の変化に基づいて、漏水箇所を推定する。【選択図】図2

Description

本開示は、漏水を検知する技術に関し、より特定的には、水圧センサーを用いて漏水を検知する技術に関する。
多くの自治体において、水道の配管の老朽化が進行している。そのため、老朽化した配管からの漏水が増加傾向にあり、各自治体の水道事業の収益低下および漏水事故リスク等が問題となっている。
配管の漏水箇所の早期把握・対応は、水道事業の経営健全化に加え、漏水事故による二次災害の防止にも貢献する。しかしながら、現在の漏水調査は、現地に専門の調査員を派遣し人海戦術で配管の異常を確認している。近年、水道技術者の減少が続いており、調査員が不足している。そのため、個人の技術に依存せず、効率的かつ確実に漏水箇所を特定できる技術が求められている。
漏水箇所を検知する技術に関し、例えば、特開2021-183936号公報(特許文献1)は、「複数の配管経路を含む配管網における漏水の位置を推定する漏水位置推定システム」を開示しており、当該漏水位置推定システムは、「漏水判定部及び推定部を有する。漏水判定部は、配管網に設置された漏水センサーによって取得された配管網に関する振動の計測値に基づいて、配管網に漏水が発生しているか否かを判定する。推定部は、漏水判定部によって配管網において漏水が発生していると判定された場合に、計測値と、各配管経路に漏水が発生している場合に漏水センサーによって取得され得る配管経路毎の振動の予測値とに基づいて、複数の配管経路のうち漏水が発生している配管経路を推定する」というものである([要約]参照)。
特開2021-183936号公報
特許文献1に開示された技術によると、振動から漏水を推定するためのモデルの生成が必要であり、また、漏水センサーは水の流量および水圧等を直接計測しているわけではないため、振動に基づく漏水箇所の推定精度は必ずしも高くない可能性がある。したがって、配管の漏水箇所をより高精度に推定するための技術が必要とされている。
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、配管の漏水箇所を推定するための技術を提供することにある。
ある実施の形態に従うと、漏水検知システムが提供される。漏水検知システムは、配管網に分散配置された複数の圧力センサーと、配管網の漏水箇所を推定する監視装置とを備える。複数の圧力センサーの各々は、配管網の場所ごとの水圧の計測データを監視装置に送信する。監視装置は、配管網の場所ごとの計測データに基づいて、配管網の場所ごとにおける予め定められた基準値からみた動水位を算出し、配管網の場所ごとの動水位の変化に基づいて、漏水箇所を推定する。
ある局面において、配管網の場所ごとの動水位の変化に基づいて、漏水箇所を推定することは、第1の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、第2の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分に基づいて、漏水箇所を推定することを含む。
ある局面において、差分に基づいて、漏水箇所を推定することは、差分に係数を掛ける、または、差分をべき乗することと、係数を掛けた後またはべき乗後の差分に基づいて、漏水箇所を推定することとを含む。
ある局面において、監視装置は、配管網と、配管網の場所ごとの差分の大きさを示すデータとを重ね合わせて出力する。
ある局面において、配管網の場所ごとの差分の大きさを示すデータは、配管網の場所ごとの差分に基づいて生成されるコンター図、陰影図、鳥瞰図またはグラフである。
ある局面において、配管網と、配管網の場所ごとの差分の大きさを示すデータとを重ね合わせて出力することは、配管網の場所ごとの差分の大きさを示すデータに、さらに地図を重ね合わせて出力することを含む。
ある局面において、監視装置は、推定された漏水箇所の近傍の地図、または、漏水箇所に向かうことができる作業員の情報の少なくとも1つを出力する。
ある局面において、配管網は、複数のブロックに分けられている。配管網の場所ごとの動水位の変化に基づいて、漏水箇所を推定することは、複数のブロックの各々における漏水箇所を推定することを含む。
他の実施の形態に従うと、配管網の漏水検知方法が提供される。漏水検知方法は、配管網に分散配置された複数の圧力センサーの各々から、水圧の計測データを取得するステップと、配管網の場所ごとの計測データに基づいて、配管網の場所ごとにおける予め定められた基準値からみた動水位を算出するステップと、配管網の場所ごとの動水位の変化に基づいて、漏水箇所を推定するステップとを含む。
ある実施の形態に従うと、配管の漏水箇所を推定することが可能である。
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
流量を使用する漏水検知の仕組みと、ある実施の形態に従う漏水検知の仕組みとの比較の一例を示す図である。 漏水検知システム20の全体像の一例を示す図である。 センサー装置210および監視装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。 ある実施の形態に従う漏水検知システム20の機能ブロックの構成の一例を示す図である。 静水圧、動水圧、静水位および動水位の概念を示す図である。 漏水発生前後における動水位およびその法線ベクトルの一例を示す図である。 漏水発生前後における法線ベクトルの変化量の一例を示す図である。 シミュレーションに使用された配管網のブロックの一例を示す図である。 配管網800で漏水が発生したときの動水位分布上の法線ベクトルの変化量の大きさの一例を示す図である。 ある実施の形態に従う可視化情報の第1の例を示す図である。 ある実施の形態に従う可視化情報の第2の例を示す図である。 ある実施の形態に従う可視化情報の第3の例を示す図である。 漏水発生前後のある配管網の動水位分布および動水位分布上の法線ベクトルの変化量の例を示す図である。 漏水検知システム20における各法線ベクトルの変化量(差分)の分析機能の一例を示す図である。 ある実施の形態に従う漏水検知システム20の内部処理の一例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<A.用語>
最初に、本明細書に開示される発明の説明に必要となる用語「配管」、「配管網」、「静水圧」、「動水圧」、「静水位」、「動水位」、「圧力水頭」、「動水勾配」、「動水位分布」、「法線ベクトル(法線単位ベクトル)」、「配水ブロック」、「センサー」、「圧力計」、「流量計」および「システム」の意味について説明する。
本明細書において「配管」とは、水を配送するための管であり、複数の配管が互いに接続されることで配管網を形成する。一例として、配管は水道管等である。
また、本明細書において「配管網」とは、複数の配管が互いに接続されることで構成される。配管網は、複数の配管からなる網全体、および、複数の配管からなる網の一部(後述する配水ブロック等)も包含する。一例として、配管網は、水道管網等である。
また、本明細書において「静水圧」とは、配管内に水の流れが発生していない時に配管内に作用する圧力である。また、本明細書において「動水圧」とは、配管内に水の流れが発生している時の配管内に作用する圧力である。静水圧および動水圧の単位として、例えば、kPa(キロパスカル)、MPa(メガパスカル)等が使用され得る。
また、本明細書において「静水位」とは、静水圧を水柱の高さ(「静水頭」とも呼ぶ)に換算し、当該静水頭に、配管のある場所の標高を加味した値である。また、本明細書において「動水位」とは、動水圧を水柱の高さ(「動水頭」とも呼ぶ)に換算し、当該動水頭に、配管のある場所の標高を加味した値である。静水位および動水位の単位として、例えば、m(メートル)等が使用され得る。静水位および動水位の詳細については、図5を参照して説明する。また、「静水位」および「動水位」は、例えば、標高(海抜)0m等の予め定められた基準値からの水柱の高さとして表される。
また、本明細書において「圧力水頭」とは、配管に作用する圧力(水頭)を意味し、静水圧(静水頭)、動水圧(動水頭)等を包含する。また、本明細書において「動水勾配」とは、配管内に水の流れが発生している時の配管の各場所の圧力水頭の水面を連ねた線である。
また、本明細書において「動水位分布」とは、動水位を面的に表現したものである(図7に示される導水分布600A等)。また、本明細書において「法線ベクトル(法線単位ベクトル)」とは、動水位分布の面に対して常に垂直なベクトルのことである(図7に示される本線ベクトル620A等)。なお、法線ベクトルは、常に長さが一定であり、法線単位ベクトルと呼ぶこともできる。これ以降は、単に法線ベクトルと呼ぶ。
また、本明細書において「配水ブロック」とは、配管網を適当な区画に分割したものである。また、配管網を配水ブロックに分割して管理することを配水ブロック化と呼ぶこともある。配水ブロック化には、ブロック単位で水圧を均等に調整できること、配管網の状態の管理を容易にすること、平常時の配水管理および配管網の維持の効率の向上、および、非常時における対応を容易にすること等の利点がある。これ以降、配水ブロックを単に「ブロック」と呼ぶこともある。
また、本明細書において「センサー」とは、何らかの外力等を電気信号に変換するものである。例えば、本明細書における圧力センサーは、配管にかかる水圧を電気信号に変換し、当該電気信号を出力する。同様に、流量センサーは、配管を流れる水の流量を電気信号に変換し、当該電気信号を出力する。また、本明細書において「圧力計」とは、配管にかかる圧力を表示する計器であり、「流量計」とは、配管を流れる水の流量を表示する計器である。
また、本明細書において、「システム」とは、1または複数の装置からなる構成、サーバ、クラウド環境に構築された仮想マシンもしくはコンテナ、または、これらの少なくとも一部から構成されるシステムを包含する。また、システムは、1台以上のパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ装置、タブレット、スマートフォン等の情報処理装置と、センサーを有するセンサー装置とを含んでいてもよく、また、これらの組合せであってもよい。
<B.漏水検知システムの動作概要>
図1は、流量を使用する漏水検知の仕組みと、本実施の形態に従う漏水検知の仕組みとの比較の一例を示す図である。配管網100Aは、流量を使用する漏水検知システムによって管理される配管網の一例である。配管網100Bは、本実施の形態に従う漏水検知システム20(図2参照)によって管理される配管網の一例である。配管網100Aおよび配管網100Bは、同じ地域の配管網であり、設置されるセンサーの種類および配置数が異なる。
配管網において、水は、一般的に、配水池から上流の配管を経由して、上流の配管から枝分かれした下流の配管に分配されていく。なお、本明細書において、配水池は、貯水池を包含する。配管網は、例えば、いくつかの配水ブロック(ブロック)に分けることができる。一例として、水道事業者は、配水池に繋がる最上流の配管または配水池に近い配管から分岐する先の配管網を1つのブロックとして管理してもよい。図1の例では、水道事業者は、配管網100A,100Bを、配管120から分岐する配管網をAブロック、BブロックおよびCブロックにわけて管理している。
まず、配管網100Aにおける漏水検知の一例の概要について説明する。配管網100Aは、各ブロックの最上流(配管120に接続される配管)に、センサー101Aが配置される。センサー101Aは、流量センサーであり、各ブロックへの水の流量を計測する。ある監視装置(図示せず)は、各ブロックの最上流に設置されたセンサー101Aの各々から取得した水の流量の計測データの変化に基づいて、各ブロック内での漏水の有無を検知し得る。例えば、当該監視装置は、Aブロックのセンサー101Aが計測した水の流量が増加した場合、Aブロックに漏水が発生したと推定し得る。しかしながら、当該監視装置は、ブロック単位でしか漏水の発生を検知し得ないため、当該監視装置による推定漏水エリア110Aは、ブロック全体となってしまう。そのため、水道事業者は、ブロック全体の中から漏水箇所を探し出す必要があり、当該漏水箇所を探し出す作業が配管網の維持のコストを増大させていた。
次に、本実施の形態に従う配管網100Bにおける漏水検知の概要について説明する。配管網100Bは、各ブロック内に、センサー101Bが分散配置される。センサー101Bは、水圧センサーであり、各配管または配管同士の各接続点にかかる水圧を計測する。本実施の形態に従う監視装置200(図3参照)は、複数のセンサー101Bの各々から水圧の計測データを取得する。監視装置200は、配管網の場所(各センサー101Bが配置された場所)ごとの水圧値に基づいて、配管網の場所ごとにおける予め定められた基準値からみた動水位を算出する。そして、監視装置200は、配管網の場所ごとの動水位の変化に基づいて、漏水箇所を推定する。
より具体的には、監視装置200は、第1の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、第2の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分に基づいて、漏水箇所を推定する。詳細については後述するが、第1の時点において漏水が発生しておらず、第2の時点において漏水が発生している場合、漏水箇所付近の法線ベクトルは大きく変位する(法線ベクトルの向きが大きく変化する)。法線ベクトルの変化量の具体的な算出方法については、図5~図7を参照して説明する。
監視装置200は、各ブロック内に分散配置されたセンサー101Bの計測データを使用する。そのため、監視装置200は、監視装置200による推定漏水エリア110Bとして、ブロック内のより詳細な位置を特定し得る。これにより、水道事業者は、漏水検知システム20を使用することで、他の漏水検知システムを使用する場合と比較して、より短時間で漏水箇所を特定し得る。
<C.漏水検知システムの構成>
次に、図2~図4を参照して、本実施の形態に従う漏水検知システム20のシステム構成、漏水検知システム20に含まれるハードウェア、および、漏水検知システム20が備える機能(もしくはソフトウェア)について説明する。
(a.システム概要)
図2は、漏水検知システム20の全体像の一例を示す図である。漏水検知システム20は、センサー装置210と、監視装置200とを備える。図2を参照して、センサー装置210および監視装置200の各々の役割について説明する。
センサー装置210は、通信部220および圧力センサー230から構成される。圧力センサー230は、例えば水圧センサーであり配管内の水圧を測定し、当該水圧を示す計測データ(電気信号)を通信部220に出力する。他の局面において、監視装置200は、流量センサーとしての機能も備え得る。この場合、センサー装置210は、水圧および流量を計測データとして監視装置200に送信し得る。
通信部220は、圧力センサー230から取得した計測データを監視装置200に送信する。通信部220は、配管の場所を示す情報(配管ID(Identifier))および/またはセンサー装置210を一意に識別する情報(センサID)を計測データと関連付け、これらの情報を監視装置200に送信してもよい。ある局面において、センサー装置210は、通信部220と、通信部220に接続される複数の圧力センサー230から構成されてもよい。この場合、通信部220は、複数の圧力センサー230から取得した計測データを監視装置200に送信する。また、通信部220は、配管の場所を示す情報(配管ID)および/または複数の圧力センサー230の各々を一意に識別する情報(センサID)を複数の圧力センサー230の各々から得られた計測データと関連付け、これらの情報を監視装置200に送信してもよい。他の局面において、通信部220と、複数の圧力センサー230の各々とは、有線または無線の通信回線を介して通信し得る。
通信部220は、有線または無線の通信回線を介して、監視装置200と通信し得る。通信部220は、無線ネットワークを使用する場合、アクセスポイント240およびインターネット250を介して監視装置200と通信し得る。ある局面において、通信部220は、インターネット250以外のローカルエリアネットワーク、またはその他の任意の通信網を介して監視装置200と通信してもよい。一例として、通信部220は、3G回線、4G回線、5G回線、LPWA(Low Power Wide Area-network)、その他の任意の通信回線を介して、監視装置200と通信し得る。
センサー装置210は、センサー101Bに対応し、配管網の各所に設置される。一例として、配管網が、図1の例のようにAブロック、BブロックおよびCブロックを含む場合、複数のセンサー装置210は、Aブロック、BブロックおよびCブロックの各々に、分散して配置される。
ある局面において、センサー装置210は、配管の分岐点に設けられてもよい。他の局面において、センサー装置210は、配管の途中に設けられてもよい。また、他の局面において、センサー装置210は、配管網内の全ての分岐に設けられてもよい。また、他の局面において、センサー装置210は、配管網内の分岐の一部に設けられてもよい。さらに、他の局面において、センサー装置210は、配管網内の配管上および分岐の一部に設けられてもよい。センサー装置210の配置数が多くなると、漏水の有無の検知精度、および、漏水箇所の推定精度は向上し得るため、ユーザは、必要とする漏水検知能力および漏水箇所の推定精度に合わせて、センサー装置210の配備数を決定してもよい。
監視装置200は、複数のセンサー装置210の各々から計測データ(水圧)を受信し、当該計測データを分析して、漏水の有無を検知し、さらに漏水箇所を推定する。より具体的には、監視装置200は、ブロック単位で、配管網の場所ごとの水圧値に基づいて、配管網の場所ごとにおける予め定められた基準値からみた動水位を算出する。例えば、監視装置200は、Aブロック内に分散配置されたセンサー装置210の計測データを用いて、Aブロック内の各場所における動水位を算出する。また、監視装置200は、Aブロック内の各場所における動水位から、Aブロック内の動水位分布を算出し得る。一例として、Aブロック内に10個のセンサー装置210が設けられていたとする。この場合、監視装置200は、Aブロック内の10箇所の動水位を算出し得る。さらに、監視装置200は、Aブロック内の10箇所の動水位を直線または曲線で繋げることで、動水位分布(図7の動水位分布600A等)を算出し得る。これにより、監視装置200は、動水位分布上の各点(例えば、動水位分布上に一定間隔毎に配置された点、または、センサー装置210の配置場所)における法線ベクトルを算出し得る。監視装置200は、時系列に算出した法線ベクトルの差分(例えば、第1の時点および第2の時点の法線ベクトルの差分)に基づいて、漏水の有無の検知、および、漏水箇所の推定を行い得る。
ある局面において、監視装置200は、複数のセンサー装置210の各々から受信した配管IDおよび/またはセンサーIDに基づいて、受信した計測データがどのブロック内のいずれの配管の計測データであるかを判定してもよい。他の局面において、監視装置200は、計測データの送信元のIP(Internet Protocol)アドレス、MAC(Media Access Control)アドレス等に基づいて、受信した計測データがどのブロック内のいずれの配管の計測データであるかを判定してもよい。この場合、監視装置200は、ストレージ313(図3参照)内に、IPアドレスまたはMACアドレスを、各配管(もしくは配管の位置情報)、各センサー装置210等と紐付けた関連情報を格納していてもよい。
(b.センサーの特性)
次に、漏水検知システム20において使用される圧力センサー230の特性について、従来から使用されている流量センサー(流量計)と比較しながら説明する。漏水検知の方法として、流量センサー(もしくは流量計)を使用する方法と、圧力センサー(もしくは圧力計)を使用する方法とがある。
流量センサーは、取り付けられた配管における水の流量を計測する。配管網の監視装置は、流量センサーの計測データを分析し、ある配管への水の流入量および流出量の差分から漏水を検知し得る。しかしながら、流量センサーを既存の配管に設置する場合、止水(断水)、配管の切断、機器(流量センサ)の取り付け、および、送水の4つの工程を含む大規模な工事を必要とすることもある。また、流量センサーは、圧力センサーと比較して極めて高価であり、大量に用意することが困難である。
一方、圧力センサーは、サドル付分水栓を介して配管に取り付けることができるため、断水工事を必要としない。また、消火栓または空気弁の根元に分水栓を取り付けることで、容易に圧力センサーを配管網に分散配置し得る。さらに、圧力センサーは、流量センサーよりも安価(約10分の1程度の価格)であり、数を用意しやすいという利点がある。
従来、漏水は水の流量を見て判断されることが一般的であった。また、圧力センサーを使用する場合、センサー単体は安価であっても、多数の圧力センサーおよび通信装置を分散配置させる必要があり、圧力センサーを使用する漏水検知は普及していなかった。しかしながら、近年、通信機器のダウンサイジング等が進んだこともあり、水道事業体(たとえば沖縄等)によっては圧力センサー(圧力計)の導入が進んでいる。このような状況に鑑みて、本実施の形態に従う漏水検知システム20は、従来よりも導入が容易になった圧力センサーを利用して、新しい漏水検知サービスを提供する。
(c.ハードウェア構成)
図3は、センサー装置210および監視装置200のハードウェア構成の一例を示す図である。図3を参照して、センサー装置210および監視装置200のハードウェア構成について説明する。
センサー装置210は、主な構成として、制御部301と、通信インターフェイス(以下、インターフェイスをIFと表わす)302と、圧力センサー303と、内部バス305とを備える。制御部301、通信IF302および内部バス305は、通信部220に対応する。圧力センサー303は、圧力センサー230に対応する。ある局面において、センサー装置210は、1つの通信部220(制御部301、通信IF302および内部バス305)と、複数の圧力センサー230(圧力センサー303)とを備えていてもよい。なお、通信部220(制御部301、通信IF302および内部バス305)と、1つ以上の圧力センサー230(圧力センサー303)とは、一体型として実現されてもよいし、別体として実現されてもよい。
制御部301は、センサー装置210全体の動作を制御する。例えば、制御部301は、圧力センサー303の計測データを取得し、通信IF302を介して、当該計測データを監視装置200に送信するという一連の処理を実行し得る。
ある局面において、制御部301は、プロセッサ(図示せず)、メモリ(図示せず)、ストレージ(図示せず)を含んでいてもよい。他の局面において、制御部301は、SoC(System on Chip)、SoM(System on Module)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他の任意のコンピュータまたはこれらの組合せにより実現され得る。
通信IF302は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、またはこれらを組み合わせたネットワークを介して、監視装置200と通信する。より具体的には、通信IF302は、圧力センサー303の計測データ(配管の水圧の計測結果)を監視装置200に送信する。ある局面において、通信IF302は、定期的に計測データを監視装置200に送信してもよい。他の局面において、通信IF302は、監視装置200から、計測データの要求通知を受信したことに基づいて、計測データを監視装置200に送信してもよい。
ある局面において、通信IF302は、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)モジュール等によって実現され得る。他の局面において、通信IF302は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
圧力センサー303は、配管の水圧を計測し、計測結果(水圧)を電気信号に変換し、当該電気信号を制御部301に出力する。ある局面において、圧力センサー303は、計測結果(水圧)をアナログ信号に変換し得る。他の局面において、圧力センサー303は、計測結果(水圧)をデジタル信号に変換し得る。また、他の局面において、圧力センサー303は、計測した水圧をセンサー装置210に設けられたメーター(図示せず)に表示する等の圧力計としての機能を備えていてもよい。さらに、他の局面において、圧力センサー303は、既存の圧力計を流用または改造したものであってもよい。
内部バス305は、制御部301、通信IF302および圧力センサー303を相互に通信可能に接続する。ある局面において、センサー装置210は、バス通信用の制御ユニットを備え得る。
監視装置200は、主な構成として、プロセッサ311と、メモリ312と、ストレージ313と、外部機器IF314と、入力IF315と、出力IF316と、通信IF317と、内部バス318とを備える。
プロセッサ311は、監視装置200の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。プロセッサ311は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのFPGA、少なくとも1つのASICまたはこれらの組み合わせ等によって構成され得る。
メモリ312は、プロセッサ311によって実行されるプログラムと、プロセッサ311によって参照されるデータとを格納する。ある局面において、メモリ312は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)等によって実現され得る。
ストレージ313は、不揮発性メモリであり、プロセッサ311によって実行されるプログラムおよびプロセッサ311によって参照されるデータを格納する。その場合、プロセッサ311は、ストレージ313からメモリ312に読み出されたプログラムを実行し、ストレージ313からメモリ312に読み出されたデータを参照する。ある局面において、ストレージ313は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリー等によって実現され得る。
外部機器IF314は、プリンター、スキャナーおよび外付けHDD等の任意の外部機器に接続され得る。ある局面において、外部機器IF314は、USB(Universal Serial Bus)端子等によって実現されてもよい。
入力IF315は、キーボード、マウス、タッチパッドまたはゲームパッド等の任意の入力装置に接続され得る。ある局面において、入力IF315は、USB端子、PS/2端子およびBluetooth(登録商標)モジュール等によって実現されてもよい。
出力IF316は、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の任意の出力装置に接続され得る。ある局面において、出力IF316は、USB端子、D-sub端子、DVI(Digital Visual Interface)端子およびHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子、ディスプレイポート(DisplayPort)等によって実現されてもよい。
通信IF317は、有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して他の機器と接続される。ある局面において、通信IF317は、有線LANポートおよびWi-Fiモジュール等によって実現されてもよい。他の局面において、通信IF317は、TCP/IP、UDP等の通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
内部バス318は、プロセッサ311、メモリ312、ストレージ313、外部機器IF314、入力IF315、出力IF316および通信IF317を相互に通信可能に接続する。ある局面において、監視装置200は、バス通信用の制御ユニットを備えていてもよい。
ある局面において、監視装置200は、ディスプレイおよびキーボード等の入出力機器と接続されて、ユーザに直接操作されてもよい。他の局面において、監視装置200は、ネットワークを介して、クラウドサービスまたはウェブアプリケーションとして、ユーザに各種機能を提供してもよい。この場合、ユーザは、自身の端末にインストールされたブラウザまたはクライアントソフトウェアを介して、監視装置200の機能を使用し得る。
(d.機能構成)
図4は、本実施の形態に従う漏水検知システム20の機能ブロックの構成の一例を示す図である。図4を参照して、漏水検知システム20が備える機能について説明する。ある局面において、図4に示される各機能ブロックは、ソフトウェアにより実現され得る。この場合、各ソフトウェアは、図3に示されるハードウェア上で実行されることにより、図4に示される各機能を実現し得る。
漏水検知システム20は、主な機能およびデータとして、データ取得部401と、動水位算出部402と、差分算出部403と、可視化部404と、異常判定部405と、推定部406と、出力部407と、推定用データ記憶部408と、判定用データ記憶部409とを備える。
データ取得部401は、配管の水圧データを取得する。データ取得部401は、配管網に分散配置されたセンサー装置210の各々から水圧データを取得する。ある局面において、データ取得部401は、有線ネットワークまたは無線ネットワークを介してセンサー装置210と接続されてもよい。データ取得部401は、各センサー装置210から受信した水圧データを動水位算出部402に出力する。
動水位算出部402は、データ取得部401から取得した水圧データに基づいて、動水位を算出する。より具体的には、動水位算出部402は、水圧データに加えて、予め定められた基準値(標高(海抜)0m等)と、各配管の標高情報(基準値に対する高さ)とに基づいて、動水圧を水柱の高さに換算し配管の標高を加味することで、各センサー装置210の設置箇所の動水位を算出する。動水位算出部402は、算出した動水位を差分算出部403に出力する。
ある局面において、監視装置200は、予め定められた基準値および各配管の標高情報をストレージ313に格納していてもよい。この場合、動水位算出部402は、ストレージ313から、予め定められた基準値および各配管の標高情報を読み出し、データ取得部401から各配管の水圧データを取得して、動水位の算出処理を実行し得る。他の局面において、監視装置200(データ取得部401)は、各センサー装置210から、計測データと共に、各センサー装置210の設置箇所の標高情報を取得してもよい。この場合、動水位算出部402は、ストレージ313から予め定められた基準値を読み出し、データ取得部401から各配管の標高情報および水圧データを取得して、動水位の算出処理を実行し得る。動水位算出部402により算出される動水位は、各センサー装置210が設置された場所の動水位である。これ以降、各センサー装置210が設置された場所を「監視場所」と呼ぶこともある。
差分算出部403は、時系列順に動水位分布に対する法線ベクトルを算出し、また、異なる時間(例えば、第1の時点および第2の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々の差分を算出する。差分算出部403は、当該差分を可視化部404、異常判定部405、および推定部406にそれぞれ出力する。
まず、差分算出部403は、ある時点における各監視場所の動水位から動水位分布を生成する。次に、差分算出部403は、ある時点の動水位分布上に法線ベクトルを生成する。一例として、差分算出部403は、動水位分布上に一定間隔で法線ベクトルを配置し得る。他の例として、差分算出部403は、各センサー装置210の配置場所に対応する動水位分布上の各場所に法線ベクトルを配置してもよい。なお、全ての法線ベクトルの大きさは同一である。差分算出部403は、予め定められた基準長となる法線ベクトルを動水位分布上に配置してもよい。一例として、差分算出部403は、図7に示されるような動水位分布600Aおよび当該動水位分布600A上の法線ベクトル620Aを算出する。差分算出部403は、繰り返し、各時点における動水位分布上に法線ベクトルを生成する。
次に、差分算出部403は、ある時点(第1の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、他の時点(第2の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分を算出する。第1の時点および第2の時点の間の時間差は、1時間、1日等任意の時間差であってもよい。また、監視装置200は、予めユーザから、法線ベクトルの比較のための2つの時点の間隔の設定入力を受け付けてもよい。これにより、ユーザは、1時間単位で法線ベクトルの変化量、1日単位での法線ベクトルの変化量等、任意の時間間隔での法線ベクトルの変化量を取得し得る。
また、比較対象の法線ベクトルは、必ずしも時系列順に並べたときに前後のものでなくてもよい。例えば、各センサー装置210は、第1の時点で各配管の水圧の計測を行い、次に第2の時点で各配管の水圧の計測を行い、さらにその後に、第3の時点で各配管の水圧の計測を行ったとする。この場合、差分算出部403は、第1の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、第3の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分を算出し得る。
可視化部404は、ある時点(第1の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、他の時点(第2の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分を可視化して、可視化情報として生成する。当該可視化情報は、一例として、可視化情報1100(図10参照)および可視化情報1210(図11参照)のような情報を含む。可視化部404は、可視化情報を出力部407に出力する。
異常判定部405は、ある時点(第1の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、他の時点(第2の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分に基づいて、配管網に異常(漏水)があるか否かを判定する。一例として、異常判定部405は、差分が予め定められた閾値を超える法線ベクトルがある場合、配管網に異常があると判定し得る。他の例として、異常判定部405は、差分が予め定められた閾値を超える法線ベクトルが、予め定められた個数以上に観測されたことに基づいて、配管網に異常があると判定してもよい。その他、異常判定部405は、ある時点(第1の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、他の時点(第2の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分に基づいて、任意の閾値および分析方法等を用いて、配管網に異常(漏水)があるか否かを判定し得る。異常判定部405は、判定結果に基づいて、配管網に異常(漏水)があるか否かを示す情報である異常判定情報を生成する。一例として、異常判定情報は、異常(漏水)の有無を示すフラグであってもよい。異常判定部405は、当該異常判定情報を推定部406に出力する。
推定部406は、異常判定部405から異常判定情報を取得したことに基づいて、漏水箇所を推定する。推定部406は、ある時点(第1の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、他の時点(第2の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分に基づいて、漏水箇所を推定する。一例として、推定部406は、配管網情報と動水位分布とを重ね合わせて、第1の時点および第2の時点間の差分が最大となる法線ベクトルの近傍の配管で漏水が発生したと推定し得る。他の例として、推定部406は、配管網情報と動水位分布とを重ね合わせて、第1の時点および第2の時点間の差分が大きい法線ベクトルに囲まれる位置(例えば、図7に示される動水位分布の中心にある法線ベクトル750の位置等)にある配管で漏水が発生したと推定し得る。推定部406は、漏水場所の推定情報を出力部407に出力する。
出力部407は、可視化情報、漏水発生のアラート情報、漏水箇所の推定情報等の各種情報を出力する。ある局面において、出力部407は、監視装置200の出力IF316に接続されるディスプレイ、または、監視装置200に内蔵されるディスプレイに可視化情報を表示し得る。他の局面において、出力部407は、通信IF317を介して、ユーザの端末に可視化情報を送信してもよい。
他の局面において、出力部407は、地図情報と、配管網情報と、動水位分布とを重ね合わせて、漏水が発生していると推定される配管の周辺地図を出力し得る。また、他の局面において、出力部407は、漏水現場に向かうことができる作業員の情報を出力してもよい。例えば、出力部407は、ストレージ313に保存されている地図情報、作業員情報を参照することで、漏水が起こっていると推定される配管の周辺地図および/または漏水現場に向かうことができる作業員の情報を生成してもよい。
推定用データ記憶部408は、漏水箇所の推定に必要な各種情報を格納する。漏水箇所の推定に必要な各種情報は、一例として、漏水箇所の推定用の各種閾値、学習済モデル、推定方法の設定ファイル等を含み得る。推定部406は、推定用データ記憶部408に格納される各種情報を参照して漏水箇所を推定し得る。
判定用データ記憶部409は、異常判定(漏水判定)に必要な各種情報を格納する。異常判定に必要な各種情報は、一例として、異常判定用の各種閾値、学習済モデル、異常判定方法の設定ファイル等を含み得る。異常判定部405は、判定用データ記憶部409に格納される各種情報を参照して異常(漏水)の有無を判定し得る。
ある局面において、監視装置200は、図4に示される全ての機能を備え得る。また、他の局面において、センサー装置210は、図4に示される機能の中の任意の一部の機能を備えていてもよい。この場合、センサー装置210は、内部で実行した処理の結果を監視装置200に送信する。一例として、センサー装置210がデータ取得部401および動水位算出部402を備えている場合、センサー装置210は、配管の動水位のデータを監視装置200に送信する。
<D.漏水検知の仕組み>
次に、静水圧、動水圧、静水位および動水位の概念、および、本実施の形態に従う漏水検知システム20による漏水検知の詳細な仕組みについて、図5~図7を参照して説明する。
なお、水道の配水施設は、配水池または配水ポンプ場等から配管網に水圧をかけることで配水する。配水の際には、最上流部となる配水池および配水ポンプ場等での動水位が最大となる。配管網の末端に行くほど、管路内の摩擦もしくは配管の曲がり、または、バルブ等の障害物に起因して各々の損失(部分損失)が発生し、動水位は下がる。水理学を用いてこの現象を解析することを「管網水理計算」という。
図5は、静水圧、動水圧、静水位および動水位の概念を示す図である。図5の例では、水は、配水池50から配管網510に供給されている。配管網510は、地盤500に沿って配置されている。また、配管網510の途中には、水圧を増加するための増圧ポンプ550が設けられていることもある。なお、通常の水道網は、複数の配管が組み合わされて網の目のように構成されるが、説明を簡単にするため、配水池50から***の配管網510が構成されているものとして説明する。水面520は、配水池50の水面を示す。また、動水勾配525は、配管網510の各場所の動水位を連ねたものである。
まず、「静水圧」について説明する。静水圧530は、水が流れない場合に、配管網510上の場所501にかかる水圧である。例えば、静水圧530は、場所501にある配管から配水池50の水面520までの高低差(静水頭)で決まる。
次に、「静水位」について説明する。静水位は、水が流れない場合における、ある基準値(例えば、標高0m等)から見た水柱の高さを示す。例えば、場所503の静水位560は、(式)「静水位560=静水頭561+標高562」で表すことができる。すなわち、場所503の静水位は、場所503の静水頭に、場所503にある配管の標高を加算したものである。
次に、「動水圧」について説明する。動水圧540は、水が流れる場合に、配管網510上の場所502にかかる水圧である。動水圧は、静水圧と同様に水柱の高さ(動水頭)に変換される。配管網510の各場所の動水頭を連ねることで動水勾配525ができる。すなわち、動水圧540は、場所502にある配管から動水勾配525までの高低差(動水頭)で決まる。
次に、「動水位」について説明する。動水位は、水が流れる場合における、ある基準値(例えば、標高0m等)から見た水柱の高さを示す。例えば、場所504の動水位570は、(式)「動水位570=動水頭571+標高572」で表すことができる。すなわち、場所504の動水位は、場所504にある配管の動水頭に、場所504にある配管の標高を加算したものである。
図6は、漏水発生前後における動水位およびその法線ベクトルの一例を示す図である。図6を参照して、動水位および動水位分布の法線ベクトルについて説明する。なお、説明を簡単にするため、配管網510上に増圧ポンプ550がない構成を例に、動水位および動水位分布の法線ベクトルについて説明する。
なお、図6および図7の例では、説明を容易にするために、一例として、直線または平面で動水位分布を表現しているが、動水位分布は、配管の形状および各配管の接続関係等により、必ずしも完全な平面とはならず、ある程度の曲面を有し得る。
動水位分布600Aは、通常時(漏水が発生していない時)における配管網510の各場所の動水位を連ねたものである。なお、動水位分布600Aは、直線(一次元)のように見えるが、配管網510が網の目のように張り巡らされている場合、動水位分布600Aは、平面(2次元)で表される(動水位分布600Bについても同様である)。動水位は、水が流れる場合におけるある基準値(例えば、標高0m等)から見た水柱の高さであるため、配管網510の各動水位を連ねると、地盤の形状に影響されず、直線または直線に近い動水位分布600Aが得られる。
漏水検知システム20は、配管網510に分散配置された各センサー装置210から取得した計測データに基づいて、動水位分布600Aを生成する。次に、漏水検知システム20は、この動水位分布600A上に、一定間隔で法線ベクトル620Aを配置する。各法線ベクトル620Aの長さは同一である。
動水位分布600Aは、漏水の影響がないため、極端な傾斜(水圧の損失)はなく、緩やかな傾斜の直線を描いている。そのため、動水位分布600A上の各法線ベクトル620Aは、互いにほぼ同じ方向を向いている。
動水位分布600Bは、異常時(漏水が発生している時)における配管網510の各場所の動水位を連ねたものである。漏水検知システム20は、この動水位分布600B上に、一定間隔で法線ベクトル620Bを配置する。ある場所650において、動水位分布600Bは大きく傾いていることがわかる。これは、場所650において、漏水が発生し、配管網510の動水位が大きく低下していることを示す。場所650付近のみ動水位が大きく下がっているため、場所650付近の動水位分布600Bの傾きも大きく変化する。その結果、場所650付近の法線ベクトルも大きく向きが変わる。
上記のように、漏水が発生すると、漏水箇所付近の動水位分布の傾きが大きく変化し、漏水箇所付近の法線ベクトルも大きく変化する。そのため、漏水検知システム20は、ある時点(第1の時点)での場所Xの法線ベクトルと、他の時点(第2の時点)での場所Xの法線ベクトルとの差分が一定以上になったことに基づいて、場所X付近で漏水が発生していると判定し得る。
図7は、漏水発生前後における法線ベクトルの変化量の一例を示す図である。図7の例では、通常時の動水位分布600Aと、異常時(漏水発生時)の動水位分布600Bとを曲面で表現している。
漏水がない状態の動水位分布600Aは、極端な傾斜がなく平面的である。これに対して、漏水発生時の動水位分布600Bは、漏水箇所付を中心として、大きく湾曲(大きな傾斜が発生)している。
漏水検知システム20は、動水位分布600A上の各法線ベクトル620Aと、動水位分布600B上の各法線ベクトル620Bとの差分710を算出する。漏水検知システム20は、差分710の大きさに基づいて、漏水の有無を判定、および、漏水箇所を推定し得る。
漏水箇所の中心の法線ベクトルの向きは、場合によっては通常時の法線ベクトルの向きに近くなることが考えられる。そのため、ある局面において、漏水検知システム20は、漏水の有無を判定するために、動水位分布上で最も動水位が低くなっている部分の法線ベクトル750に隣接する複数の法線ベクトル760の各々の差分710に基づいて、漏水の有無を判定し得る。
例えば、漏水検知システム20は、法線ベクトル750における差分710と、その周辺の複数の法線ベクトル760の各々における差分710とに基づいて(例えば、各差分710の平均値、中央値、積算値等を用いて)、漏水の有無を判定し得る。
他の例として、漏水検知システム20は、動水位分布上で最も動水位が低くなっている部分の法線ベクトル750における差分710を使用せずに、その周辺の複数の法線ベクトル760の各々における差分710に基づいて(各差分710の平均値、中央値、積算値等を用いて)、漏水の有無を判定してもよい。
さらに、他の例として、漏水検知システム20は、周辺の複数の法線ベクトル760の各々における差分710を使用せずに、法線ベクトル750における差分710に基づいて、漏水の有無を判定してもよい。
<E.漏水検知のシミュレーション結果>
図8は、シミュレーションに使用された配管網のブロックの一例を示す図である。図8を参照して、漏水検知システム20による漏水検知のシミュレーションの実験方法について説明する。
実験では、1つのブロックに見立てた配管網800を作成する。場所810A,810C,810D,810Eは、正常な水の流出箇所である。実験中、場所810A,810C,810D,810Eにおいて、配管網800から外部に少量の水(実際の配管網における正常な水の流出に見立てた排水)が排出される。場所810Bは漏水箇所である。実験中、場所810Bにおいて、配管網800から外部に大量の水が排出される(故意に漏水を発生させる)。漏水検知システム20は、配管網800に設置されたセンサー装置210から取得した計測データに基づいて、シミュレーションを実行する。シミュレーション結果は図9の通りである。なお、図8の例では、配管網800の全ての分岐点にセンサー装置210が設置されているが、これは一例であり、必ずしもセンサー装置210が配管網800の全ての分岐点に配置される必要はない。ある局面において、漏水検知システム20は、配管網上の各分岐点または配管の一部に設置されたセンサー装置210から得られた計測データを用いて、各監視場所の動水位を算出し、当該算出した動水位から動水位分布を作成し得る。
図9は、配管網800で漏水が発生したときの動水位分布上の法線ベクトルの変化量の大きさの一例を示す図である。コンター図910は、正常時の配管網800の動水位分布を示す。コンター図910に示される状態では、場所810Bでの漏水はまだ発生していない。コンター図920は、漏水発生時の配管網800の動水位分布を示す。コンター図920に示される状態では、場所810Bで漏水が発生している。コンター図910,920を比較すると、ある程度の動水位の変化は見られるが、顕著と言えるほどの変化はない。これに対して、コンター図930は、コンター図910(正常時の配管網800の動水位分布)上の各法線ベクトルと、コンター図920(漏水発生時の配管網800の動水位分布)上の各法線ベクトルとの差分(法線ベクトルの変化量)を示す。コンター図930を参照すると、漏水箇所である場所810B付近で、法線ベクトルの値が顕著に変化している(場所810B付近でコンター図930に大きな高低差が発生している)ことがわかる。
このように、漏水検知システム20は、漏水の影響で顕著に変化する動水位分布上の各法線ベクトルの変化量(差分)を分析することで、高精度な漏水の有無の検知、および、漏水箇所の推定を実現し得る。これにより、漏水検知システム20は、例えば、水圧の変化だけでは検出できないような少量の漏水でも高精度に検出し得る。
<F.漏水状況の可視化>
監視装置200は、配管網と、配管網の場所ごとの異なる時間(第1の時点、第2の時点)における法線ベクトルの差分の大きさ(法線ベクトルの時間的な変化)を示すデータとを重ね合わせて、可視化情報として出力することができる。ユーザは、監視装置200が出力した可視化情報を参照することで、漏水が発生したことを認識し、さらに、漏水箇所を把握し得る。なお、監視装置200は、漏水を検知すると、アラートと共に、当該可視化情報をディスプレイに表示、または、ユーザの端末に送信してもよい。
図10は、本実施の形態に従う可視化情報の第1の例を示す図である。漏水検知システム20(監視装置200)は、配管網の場所ごとの異なる時間(第1の時点、第2の時点)における法線ベクトルの差分の大きさ(法線ベクトルの時間的な変化)を示すコンター図を生成し得る。コンター図では、異なる時間における法線ベクトルの差分の大きさが線で表されてもよいし、色で表されてもよいし、線および色が組み合わされてもよい。そして、漏水検知システム20(監視装置200)は、当該コンター図と配管網とを重ね合わせて、可視化情報1000を生成する。漏水検知システム20(監視装置200)は、当該可視化情報1000をディスプレイに出力してもよいし、ユーザの端末に送信してもよい。ある局面において、漏水検知システム20(監視装置200)は、コンター図、配管網および地上の地図情報を重ね合わせた可視化情報を出力し得る。他の局面において、漏水検知システム20(監視装置200)は、配管網の場所ごとの異なる時間(第1の時点、第2の時点)における法線ベクトルの差分の大きさを、陰影図として表現し得る。
図11は、本実施の形態に従う可視化情報の第2の例を示す図である。漏水検知システム20(監視装置200)は、配管網の場所ごとの異なる時間(第1の時点、第2の時点)における法線ベクトルの差分の大きさ(法線ベクトルの時間的な変化)を示す鳥瞰図を生成し得る。そして、漏水検知システム20(監視装置200)は、当該鳥瞰図と、配管網とを重ね合わせて、可視化情報1100(図11の例では、配管網の表示を省略している)を生成する。漏水検知システム20(監視装置200)は、例えば、当該可視化情報1100をディスプレイに出力してもよいし、ユーザの端末に送信してもよい。ある局面において、漏水検知システム20(監視装置200)は、鳥瞰図、配管網および地上の地図情報を重ね合わせた可視化情報を出力してもよい。他の局面において、漏水検知システム20(監視装置200)は、コンター図、鳥瞰図以外にも、法線ベクトルの差分の大きさをグラフとして表現し(地図上に棒グラフを配置する等)、当該グラフおよび配管網を、または、当該グラフ、配管網および地上の地図情報を重ね合わせた可視化情報を出力してもよい。
図12は、本実施の形態に従う可視化情報の第3の例を示す図である。画面1200は、監視装置200に接続されたディスプレイの表示、または、ユーザ端末のディスプレイの表示の一例である。漏水検知システム20(監視装置200)は、生成した可視化情報1210に情報を付加し得る。一例として、漏水検知システム20(監視装置200)は、推定された漏水箇所の周辺の(近傍の)詳細な地図1220およびナビ案内等を出力(ディスプレイに表示、または、ユーザの端末に送信)し得る。詳細な地図1220として、別途作成された水道施設台帳または管路マッピング図が使用され得る。また、漏水検知システム20(監視装置200)は、推定された漏水箇所に向かうことができる作業員の情報を出力(ディスプレイに表示、または、ユーザの端末に送信)し得る。また、漏水検知システム20(監視装置200)は、推定された漏水箇所の周辺の詳細な地図1220および推定された漏水箇所に向かうことができる作業員の情報の両方(もしくはいずれか片方)を出力し得る。さらに、監視装置200は、管理者が作業員に連絡を取る手段を用意してもよい。一例として、ユーザ(管理者)は、画面1200から、現場に迎える作業員の端末に対応依頼、地図情報、ナビ案内の情報、漏水状況を示す情報(流量、発生時間、場所等)を送信してもよい。
<G.漏水発生時の配管網の動水位および法線ベクトルの各々の変化量>
図13は、漏水発生前後のある配管網の動水位分布および動水位分布上の法線ベクトルの変化量の例を示す図である。コンター図1310は、漏水が発生していない時(第1の時点)のある配管網の動水位分布を示す。コンター図1320は、漏水が発生している時(第2の時点)のある配管網の動水位分布を示す。コンター図1330は、漏水が発生していない時(第1の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルと、漏水が発生している時(第2の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルとの差分の大きさを示す。
コンター図1310,1320を比較すると、ほとんど差異がないことがわかる。一方で、コンター図1330を見ると、漏水箇所で法線ベクトルの差分の値が顕著に大きくなっていることがわかる。すなわち、漏水が発生した場合、動水位分布上の各法線ベクトルは、動水分布よりも顕著に変化することがわかる。このように、漏水検知システム20は、漏水の影響で顕著に変化する動水位分布上の各法線ベクトルの変化量(差分)を分析することで、高精度な漏水の有無の検知、および、漏水箇所の推定を実現し得る。
図14は、漏水検知システム20における各法線ベクトルの変化量(差分)の分析機能の一例を示す図である。漏水検知システム20は、ユーザからの操作入力に基づいて、例えば、可視化情報である画面1410,1420,1430を切り替えて表示することができる。なお、図14では、コンター図を例に漏水検知システム20の機能を説明しているが、これは一例に過ぎない。ある局面において、漏水検知システム20は、陰影図、鳥瞰図等を用いて同様の機能をユーザに提供してもよい。
画面1410は、漏水が発生していない時(第1の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルと、漏水が発生している時(第2の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルとの差分の大きさを示す。
画面1420は、漏水が発生していない時(第1の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルと、漏水が発生している時(第2の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルとの差分を2乗したものの大きさを示す。
画面1430は、漏水が発生していない時(第1の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルと、漏水が発生している時(第2の時点)におけるある配管網の動水位分布上の各法線ベクトルとの差分を3乗したものの大きさを示す。
画面1410~画面1430に示されるように、漏水検知システム20は、配管網の動水位分布上の各法線ベクトルの変化量(差分)をべき乗することにより、漏水箇所の候補を絞り込むことができる。ある局面において、漏水検知システム20は、配管網の動水位分布上の各法線ベクトルの変化量(差分)に係数をかけてもよい。ユーザは、漏水箇所の候補を詳細に絞り込みたい、または、漏水の恐れのある場所を広く確認したい等の要求に合わせて、各法線ベクトルの変化量(差分)に対するべき乗計算、係数の乗算の設定を漏水検知システム20に入力し得る。漏水検知システム20は、ユーザの入力に基づいて、画面1410~画面1430のように可視化情報を変化させる。
<H.システムの内部処理>
図15は、本実施の形態に従う漏水検知システム20の内部処理の一例を示す図である。ある局面において、プロセッサ311は、図15の処理を行うためのプログラムをストレージ313からメモリ312に読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。また、漏水検知システム20は、下記のフローチャートの各ステップの実行順序を必要に応じて変更してもよい。なお、漏水検知システム20は、以下の各ステップをブロック単位(例えば、図1に示されるA,B,Cブロック等の単位)で行い得る。
ステップS1510において、漏水検知システム20は、各センサー装置210から時系列の計測データを取得する。ある局面において、各センサー装置210は、計測データにタイムスタンプを付与して監視装置200に送信してもよい。他の局面において、監視装置200は、受信した計測データにタイムスタンプを付与してもよい。
ステップS1520において、漏水検知システム20は、各監視場所(各センサー装置210の設置場所)における時系列の動水位を算出する。ある局面において、漏水検知システム20は、生成した動水位に、当該動水位を算出するために使用した計測データに付与されているタイムスタンプを付与してもよい。
ステップS1530において、漏水検知システム20は、動水位分布を作成する。漏水検知システム20は、一例として、図6に示されるような動水位分布を生成する。ある局面において、漏水検知システム20は、同一のタイムスタンプを有する動水位のグループから、動水位分布を生成し得る。
ステップS1540において、漏水検知システム20は、動水位分布上の各法線ベクトルの変化量を算出する。一例として、漏水検知システム20は、ある時点(第1の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、他の時点(第2の時点)における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分(各法線ベクトルの変化量)を算出する。
ステップS1550において、漏水検知システム20は、各法線ベクトルの変化量を可視化する。一例として、漏水検知システム20は、図10~図12に示されるような可視化情報を生成する。
ステップS1560において、漏水検知システム20は、法線ベクトルの変化量が閾値以上か否かを判定する。ある局面において、漏水検知システム20は、動水位分布上の複数の法線ベクトルの中に、変化量が閾値以上になる法線ベクトルが1つでもあるか否かを判定してもよい。他の局面において、漏水検知システム20は、動水位分布上の複数の法線ベクトルの中に、変化量が閾値以上となる法線ベクトルのグループ(ある法線ベクトルと、当該ある法線ベクトルの周辺の複数の法線ベクトルのグループ等)があるか否かを判定してもよい。さらに、他の局面において、漏水検知システム20は、グループ(ある法線ベクトルと、当該ある法線ベクトルの周辺の複数の法線ベクトルのグループ等)に含まれる各法線ベクトルの変化量の平均値、中央値、最大値または最小値が閾値以上か否かを判定してもよい。漏水検知システム20は、法線ベクトルの変化量が閾値以上であると判定した場合(ステップS1560にてYES)、制御をステップS1570に移す。そうでない場合(ステップS1560にてNO)、漏水検知システム20は、制御をステップS1510に戻す。
ステップS1570において、漏水検知システム20は、アラートを出力する。ある局面において、漏水検知システム20は、監視装置200に接続されたディスプレイにアラートを出力してもよい。他の局面において、漏水検知システム20は、ユーザの端末にアラートを送信してもよい。
ステップS1580において、漏水検知システム20は、異常箇所(漏水が発生した場所)を推定する。一例として、漏水検知システム20は、各法線ベクトルの変化量が特に大きい場所を異常箇所として推定し得る。ある局面において、漏水検知システム20は、可視化情報、異常箇所の推定情報をアラートと共に出力(ディスプレイに表示、または、ユーザの端末に送信)してもよい。
以上説明した通り、本実施の形態に従う漏水検知システム20は、配管網の場所ごとの動水位の変化に基づいて、漏水の有無を検知し、さらに、漏水箇所を推定し得る。より具体的には、漏水検知システム20は、配管網の場所ごとの動水位の変化したことに起因して、動水位分布上の各法線ベクトルの変化(各法線ベクトルの向きの変化)を検知し得る。さらに、漏水検知システム20は、例えば、動水位分布および配管網を重ね合わせることで、法線ベクトルの差分の変化量が大きい場所付近の配管で漏水が発生していると推定し得る。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
20 漏水検知システム、50 配水池、100A,100B,510,800 配管網、101A,101B センサー、110A,110B 推定漏水エリア、120 配管、200 監視装置、210 センサー装置、220 通信部、230,303 圧力センサー、240 アクセスポイント、250 インターネット、301 制御部、302,317 通信IF、305,318 内部バス、311 プロセッサ、312 メモリ、313 ストレージ、314 外部機器IF、315 入力IF、316 出力IF、401 データ取得部、402 動水位算出部、403 差分算出部、404 可視化部、405 異常判定部、406 推定部、407 出力部、408 推定用データ記憶部、409 判定用データ記憶部、500 地盤、501,502,503,504,650,810A,810B,810C,810D,810E 場所、520 水面、525 動水勾配、530 静水圧、540 動水圧、550 増圧ポンプ、560 静水位、561 静水頭、562,572 標高、570 動水位、571 動水頭、600A,600B 動水位分布、620A,620B,750,760 法線ベクトル、710 差分、900,910 シミュレーション結果、1000,1100,1210 可視化情報、1200,1410,1420,1430 画面、1220 地図、1310,1320,1330 コンター図。

Claims (8)

  1. 配管網に分散配置された複数の圧力センサーと、
    前記配管網の漏水箇所を推定する監視装置とを備え、
    前記複数の圧力センサーの各々は、前記配管網の場所ごとの水圧の計測データを前記監視装置に送信し、
    前記監視装置は、
    前記配管網の場所ごとの前記計測データに基づいて、前記配管網の場所ごとにおける予め定められた基準値からみた動水位を算出し、
    前記配管網の場所ごとの前記動水位の変化に基づいて、前記漏水箇所を推定
    前記配管網の場所ごとの前記動水位の変化に基づいて、前記漏水箇所を推定することは、第1の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、第2の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分に基づいて、前記漏水箇所を推定することを含む、漏水検知システム。
  2. 前記差分に基づいて、前記漏水箇所を推定することは、
    前記差分に係数を掛ける、または、前記差分をべき乗することと、
    前記係数を掛けた後またはべき乗後の前記差分に基づいて、前記漏水箇所を推定することとを含む、請求項に記載の漏水検知システム。
  3. 前記監視装置は、前記配管網と、前記配管網の場所ごとの前記差分の大きさを示すデータとを重ね合わせて出力する、請求項に記載の漏水検知システム。
  4. 前記配管網の場所ごとの前記差分の大きさを示すデータは、前記配管網の場所ごとの差分に基づいて生成されるコンター図、陰影図、鳥瞰図またはグラフである、請求項に記載の漏水検知システム。
  5. 前記配管網と、前記配管網の場所ごとの前記差分の大きさを示すデータとを重ね合わせて出力することは、前記配管網の場所ごとの差分の大きさを示すデータに、さらに地図を重ね合わせて出力することを含む、請求項に記載の漏水検知システム。
  6. 前記監視装置は、推定された前記漏水箇所の近傍の地図、または、前記漏水箇所に向かうことができる作業員の情報の少なくとも1つを出力する、請求項に記載の漏水検知システム。
  7. 前記配管網は、複数のブロックに分けられており、
    前記配管網の場所ごとの前記動水位の変化に基づいて、前記漏水箇所を推定することは、前記複数のブロックの各々における前記漏水箇所を推定することを含む、請求項1~のいずれかに記載の漏水検知システム。
  8. 配管網の漏水検知方法であって、
    前記配管網に分散配置された複数の圧力センサーの各々から、水圧の計測データを取得するステップと、
    前記配管網の場所ごとの前記計測データに基づいて、前記配管網の場所ごとにおける予め定められた基準値からみた動水位を算出するステップと、
    前記配管網の場所ごとの前記動水位の変化に基づいて、漏水箇所を推定するステップとを含
    前記配管網の場所ごとの前記動水位の変化に基づいて、前記漏水箇所を推定するステップは、第1の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々と、第2の時点における動水位分布上の複数の法線ベクトルの各々との差分に基づいて、前記漏水箇所を推定するステップを含む、漏水検知方法。
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