JP7177580B2 - エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明はエポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
ポリアミン、並びに、ポリアミンとアルケニル化合物やエポキシ化合物等との付加反応により得られる化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として有用であることが知られている。これらのエポキシ樹脂硬化剤を利用したエポキシ樹脂組成物は、船舶・橋梁・陸海上鉄構築物用防食塗料等の塗料分野、コンクリート構造物のライニング・補強・クラック補修材・シーリング材・注入材・プライマー・スクリード・トップコート・FRP補強、建築物の床材、上下水道のライニング、舗装材、接着剤等の土木・建築分野、ダイアタッチ材、絶縁封止剤等の電気・電子分野、繊維強化プラスチック分野に広く利用されている。
例えば特許文献1には、圧縮強度、実用復帰時間、ポットライフが改良され、コンクリートに塗布するためのプライマー、トップコート、及びスクリードとしての使用に適したアミン硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化剤成分として、N,N’-ビス(3-アミノメチルベンジル)-2-ヒドロキシトリメチレンジアミン及びm-キシリレンジアミンを含む第一のアミン系組成物3~18質量%と、m-キシリレンジアミンとスチレンとの反応生成物及びm-キシリレンジアミンを含む第二のアミン系組成物3~14質量%とを含むものが開示されている。また特許文献1の実施例には、第一のアミン系組成物と第二のアミン系組成物とを質量比で59:41~75:25の範囲で含む硬化剤成分が開示されている。
特許文献2には、コンクリート構造物の注入材として、液状ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルと、スチレン化メタキシリレンジアミンと、脂環式アミンと、メルカプタン末端ポリサルファイド化合物とからなる注入材が開示されている。
特表2015-511983号公報 特開2015-30987号公報
特許文献1,2に開示されているエポキシ樹脂組成物はコンクリート材への適用を想定したものであるが、例えば塗料用のエポキシ樹脂組成物においては、ポットライフが長くかつ硬化速度が速いことに加えて、優れた塗膜性能を発現しうることが望まれる。
本発明が解決しようとする課題は、ポットライフが長く、硬化性が良好で、硬度及び外観等の各種塗膜性能に優れるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに当該エポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂硬化剤を提供することにある。
本発明者は所定のエポキシ樹脂硬化剤成分を所定の割合で含有するエポキシ樹脂硬化剤が上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、下記[1]~[8]に関する。
[1]スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)と、エピクロロヒドリンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)とを、質量比で(A):(B)=55:45~85:15の割合で含有する、エポキシ樹脂硬化剤。
N-CH-A-CH-NH (1)
(式(1)中、Aは1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、又は1,4-フェニレン基である。)
[2]前記反応組成物(A)が下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含む、上記[1]に記載の硬化剤。
Figure 0007177580000001

(式(2)中、Aは前記と同じである。)
[3]前記反応組成物(B)が下記一般式(3)で示される化合物を主成分として含む、上記[1]又は[2]に記載の硬化剤。
Figure 0007177580000002

(式(3)中、Aは前記と同じである。nは1~12の数である。)
[4]前記Aが1,3-フェニレン基である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[5]前記反応組成物(A)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が1質量%以下である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[6]前記反応組成物(B)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が35質量%以下である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
[8]上記[7]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤を用いることにより、ポットライフが長く、硬化性が良好で、硬度及び外観等の各種塗膜性能に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することができる。該エポキシ樹脂組成物は良好な硬化物物性を与え、コンクリート材への使用のほか、防食用塗料等の各種塗料、接着剤、床材、封止剤等にも好適に用いられる。
[エポキシ樹脂硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)(以下、単に「反応組成物(A)」ともいう)と、エピクロロヒドリンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)(以下、単に「反応組成物(B)」ともいう)とを、質量比で(A):(B)=55:45~85:15の割合で含有することを特徴とする。
N-CH-A-CH-NH (1)
(式(1)中、Aは1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、又は1,4-フェニレン基である。)
以下、本発明のエポキシ樹脂硬化剤を構成する各成分について説明する。
<反応組成物(A)>
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、スチレンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)を含有する。当該反応組成物(A)を含有するエポキシ樹脂硬化剤を用いると、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜は硬度及び外観が良好になる。
前記式(1)中、Aは1,3-フェニレン基又は1,4-フェニレン基であることが好ましく、1,3-フェニレン基であることがより好ましい。すなわち、前記一般式(1)で示されるアミン化合物は、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン(メタキシリレンジアミン;MXDA)、及びp-キシリレンジアミン(パラキシリレンジアミン;PXDA)からなる群から選ばれる1種以上のキシリレンジアミンであり、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メタキシリレンジアミンがより好ましい。
得られるエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の硬度及び外観を良好にする観点から、反応組成物(A)は、スチレンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上含む。上限は100質量%である。
中でも反応組成物(A)は、下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含むことが好ましい。
Figure 0007177580000003

(式(2)中、Aは前記と同じである。)
上記一般式(2)で示される化合物は、スチレンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物(以下「原料ジアミン」ともいう)との反応物のうち、スチレン1モルと原料ジアミン1モルとが付加した反応物(以下「1:1付加体」ともいう)である。
反応組成物(A)は、上記一般式(2)で示される化合物であるスチレンと原料ジアミンとの1:1付加体のほかに、スチレンと原料ジアミンとの2:1付加体、3:1付加体、4:1付加体などの多付加体を含有していてもよいが、上記付加体の中ではスチレンと原料ジアミンとの1:1付加体が最も活性水素当量が低い。活性水素当量(以下「AHEW」ともいう)とは、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と反応し得る活性水素1当量あたりの分子量である。そのため、上記一般式(2)で示される化合物を多く含む反応組成物(A)を用いたエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても良好な硬化性能を発現できる。
上記効果を得る観点から、反応組成物(A)中の上記一般式(2)で示される化合物の含有量は、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは45質量%以上である。また、上限は100質量%である。
反応組成物(A)中の上記一般式(2)で示される化合物の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)分析により求めることができる。
反応組成物(A)の活性水素当量(AHEW)は、好ましくは130以下であり、より好ましくは120以下、さらに好ましくは110以下である。反応組成物(A)のAHEWが130以下であると、エポキシ樹脂硬化剤に使用した際に、エポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても良好な硬化性能を発現する。反応組成物(A)のAHEWは、製造容易性などの観点から、好ましくは80以上であり、より好ましくは90以上である。
反応組成物(A)のAHEWは、例えば滴定法により求めることができる。
また、反応組成物(A)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量は5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。反応組成物(A)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物(原料ジアミン)の含有量が少ない方が、当該反応組成物(A)を含有するエポキシ樹脂硬化剤を用いて得られるエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や外観が良好になる。
反応組成物(A)はスチレンと前記一般式(1)で示されるジアミンとを付加反応させることにより得られる。
スチレンと原料ジアミンとの付加反応は公知の方法で行うことができ、その方法は特に制限されないが、反応効率の観点から、塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。塩基性触媒としては、例えばアルカリ金属、アルカリ金属アミド(一般式MNRR’で表され、Mはアルカリ金属、Nは窒素、R及びR’はそれぞれ独立に水素又はアルキル基である。)、アルキル化アルカリ金属等が挙げられ、好ましくはアルカリ金属アミドである。中でも、塩基性触媒としてはリチウムアミド(LiNH)が好ましい。
スチレンと原料ジアミンとの付加反応において、塩基性触媒の使用量は、使用する原料ジアミンとスチレンとの合計量を100モル%とした場合、好ましくは0.1~20モル%、より好ましくは0.5~15モル%、さらに好ましくは1.0~12モル%、よりさらに好ましくは1.5~10モル%である。塩基性触媒の使用量が0.1モル%以上であれば付加反応速度が良好であり、20モル%以下であれば経済的に有利である。
付加反応におけるスチレンと原料ジアミンの使用量は、前記一般式(2)で示される化合物を高選択率で得る観点から、原料ジアミン1モルに対するスチレンのモル比が、好ましくは0.1~5.0モル、より好ましくは0.4~3.0モル、さらに好ましくは0.5~1.5モル、よりさらに好ましくは0.8~1.2モルとなる範囲である。
スチレンと原料ジアミンとの付加反応は、あらかじめ原料ジアミンと塩基性触媒とを接触させて予備反応を行ってから、スチレンを添加して反応させることが好ましい。予備反応を行うことにより、原料ジアミンの活性が高くなり、スチレンとの付加反応が効率よく進行する。原料ジアミンと塩基性触媒との予備反応は、例えば反応器内に原料ジアミンと塩基性触媒とを仕込み、窒素ガス等の不活性雰囲気下で、攪拌しながら加熱することにより行うことができる。
原料ジアミンと塩基性触媒との予備反応時の温度は、好ましくは50~140℃であり、より好ましくは70~100℃である。予備反応時の温度が50℃以上であれば、原料ジアミンが十分に活性化され、その後の付加反応が効率よく進行する。また予備反応時温度が140℃以下であれば、原料ジアミンの熱劣化等を回避できる。
予備反応時間は、好ましくは20~360分、より好ましくは30~120分である。予備反応時間が20分以上であれば、原料ジアミンが十分に活性化され、その後の付加反応が効率よく進行する。また360分以下であれば、生産性の点で有利である。
原料ジアミンと塩基性触媒との予備反応を行った後、ここにスチレンを添加して原料ジアミンとの付加反応を行う。スチレンの添加方法には特に制限はないが、スチレンの重合物の生成を抑制する観点からは分割添加することが好ましい。分割添加方法としては、例えば、反応器内に滴下漏斗や送液ポンプを使用してスチレンを添加する方法等が挙げられる。
スチレンの添加時、及び付加反応時の温度は、好ましくは50~120℃、より好ましくは70~100℃である。反応温度が50℃以上であれば、スチレンと原料ジアミンとの付加反応が効率よく進行する。また120℃以下であれば、副生成物であるスチレンの重合物の生成を抑制することができる。
また、付加反応時間には特に制限はなく、使用する触媒の種類や反応条件等に応じて適宜選択できる。例えば、付加反応中に反応液のサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等で未反応スチレンの定量を行い、未反応スチレンが1質量%以下になるまでの時間とすることができる。付加反応時間は、通常、スチレンの添加が終了してから、好ましくは10~180分、より好ましくは20~120分である。上記付加反応時間が10分以上であれば未反応原料の残存が少なく、180分以下であれば生産性の点で有利である。
得られた反応液中には、スチレンと原料ジアミンとの反応物と塩基性触媒が含まれる。また、未反応の原料ジアミン、未反応スチレンがさらに含まれることがある。
塩基性触媒は、その種類に応じて、濾過、水洗、吸着等により除去することができる。例えば塩基性触媒がアルカリ金属アミドである場合は、塩酸、塩化水素ガス、酢酸などの酸、メタノール、エタノール等のアルコール、あるいは水等を加えてアルカリ金属アミドを除去容易な塩等に変えてから濾過することが可能である。例えば水を用いた場合には、アルカリ金属アミドが水酸化物となり、濾過が容易になる。
上記のようにして反応液から塩基性触媒を除去した後、未反応の原料ジアミン及び未反応スチレンを蒸留により除去して、反応組成物(A)が得られる。この操作により、反応組成物(A)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物(原料ジアミン)の含有量を好ましくは1質量%以下とすることができる。
<反応組成物(B)>
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、エピクロロヒドリンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)を含有する。当該反応組成物(B)を含有するエポキシ樹脂硬化剤を用いると、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化速度が良好になる。
反応組成物(B)における前記一般式(1)で示されるアミン化合物、及びその好ましい態様は前記反応組成物(A)に記載のものと同じである。
反応組成物(B)は、下記一般式(3)で示される化合物を主成分として含むことが好ましい。ここでいう「主成分」とは、反応組成物(B)中の全構成成分を100質量%とした場合、その含有量が50質量%以上である成分をいう。
Figure 0007177580000004

(式(3)中、Aは前記と同じである。nは1~12の数である。)
反応組成物(B)中の上記一般式(3)で示される化合物の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上である。また、上限は100質量%である。
また、エポキシ樹脂硬化剤としての良好な硬化性能を得る観点からは、上記一般式(3)で示される化合物の中でも、n=1の化合物が占める割合が高いことが好ましい。反応組成物(B)中の、上記一般式(3)で示されるn=1の化合物の含有量としては、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。
反応組成物(B)中の上記一般式(3)で示される化合物の含有量、及び上記一般式(3)で示される化合物の組成は、GC分析及びゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)分析により求めることができる。
反応組成物(B)の活性水素当量(AHEW)は、好ましくは100以下であり、より好ましくは90以下、さらに好ましくは80以下である。反応組成物(B)のAHEWが100以下であると、エポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても高い硬化性を発現する。反応組成物(B)のAHEWは、製造容易性などの観点から、好ましくは45以上であり、より好ましくは50以上、さらに好ましくは60以上である。反応組成物(B)のAHEWは前記と同様の方法で求められる。
また、反応組成物(B)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量は35質量%以下であることが好ましく、28質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることがよりさらに好ましい。反応組成物(B)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物(原料ジアミン)の含有量が少ない方が、当該反応組成物(B)を含有するエポキシ樹脂硬化剤を用いて得られるエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や外観が良好になる。
反応組成物(B)はエピクロロヒドリンと前記一般式(1)で示されるジアミン(原料ジアミン)とを付加反応させることにより得られる。
エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応は公知の方法で行うことができ、その方法は特に制限されないが、反応効率の観点から、塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。塩基性触媒としてはアルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。アルカリ金属水酸化物は固体状態で用いても、水溶液の状態で用いてもよいが、水溶液の状態で用いることがより好ましい。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は、好ましくは30~55質量%の範囲である。
エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応において、塩基性触媒の使用量はエピクロロヒドリンと等モル程度であることが好ましく、使用するエピクロロヒドリン1モルに対し好ましくは0.7~2.0モル、より好ましくは0.8~1.5モル、さらに好ましくは0.9~1.2モルである。
付加反応におけるエピクロロヒドリンと原料ジアミンの使用量は、前記一般式(3)で示される化合物のうちn=1の化合物を高選択率で得る観点から、エピクロロヒドリン1モルに対する原料ジアミンのモル比が、好ましくは1.5~12モル、より好ましくは1.5~6.0モル、さらに好ましくは1.8~3.0モルとなる範囲である。
エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応は、あらかじめ原料ジアミンと塩基性触媒とを混合し、次いでエピクロロヒドリンを添加して反応させることが好ましい。例えば反応器内に原料ジアミンと塩基性触媒とを仕込み、窒素ガス等の不活性雰囲気下で攪拌しながら加熱して、ここにエピクロロヒドリンを添加して反応させる。エピクロロヒドリンの添加方法には特に制限はないが、例えば、反応器内に滴下漏斗や送液ポンプを使用してエピクロロヒドリンを添加する方法等が挙げられる。
エピクロロヒドリンの添加時の温度は、好ましくは40~100℃、より好ましくは50~80℃である。エピクロロヒドリンの添加終了後、反応効率向上のために反応温度を上げてもよく、付加反応時の温度は、好ましくは55~120℃である。反応温度が55℃以上であれば、エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応が効率よく進行する。
付加反応時間には特に制限はなく、通常、エピクロロヒドリンの添加が終了してから、好ましくは10分~6時間、より好ましくは20分~4時間である。上記付加反応時間が10分以上であれば未反応原料の残存が少なく、6時間以下であれば生産性の点で有利である。
反応終了後、得られた反応液中には、エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの反応物、未反応の原料ジアミン、塩基性触媒、並びに、上記付加反応により生成した水と塩とが含まれる。当該塩は、例えば塩基性触媒としてアルカリ金属水酸化物を用いた場合にはアルカリ金属塩化物が生成する。
塩基性触媒は、その種類に応じて、濾過、水洗、吸着等により除去することができる。上記付加反応により生成した水の除去は、例えば100℃以下の温度において減圧条件下で行うことができる。また、上記付加反応により生成した塩は濾過等により除去することができる。
上記のようにして反応液から塩基性触媒、水及び塩を除去し、反応組成物(B)が得られる。さらに、必要に応じ未反応の原料ジアミンを除去する操作を行ってもよい。この操作により、反応組成物(B)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物(原料ジアミン)の含有量を低減することができる。
<含有量>
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、上記反応組成物(A)と反応組成物(B)とを質量比で(A):(B)=55:45~85:15の割合で含有する。これにより、本発明のエポキシ樹脂硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、ポットライフが長く、硬化性が良好で、硬度及び外観等の各種塗膜性能に優れる組成物となる。
エポキシ樹脂硬化剤中の反応組成物(A)と反応組成物(B)との合計質量を100とした場合の反応組成物(A)の質量比が55未満であると、該硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の鉛筆硬度が低下し、透明性、平滑性、光沢性等の外観も低下する傾向がある。一方、当該反応組成物(A)の質量比が85超であると硬化速度が低下する。また、得られる硬化塗膜の鉛筆硬度も低下する。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤が上記反応組成物(A)と反応組成物(B)とを質量比で(A):(B)=55:45~85:15の割合で含有することで、特に、該硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜は、硬化剤として反応組成物(A)単独、あるいは反応組成物(B)単独を用いた場合と比較しても鉛筆硬度が飛躍的に向上する。
本発明の効果を得る観点から、本発明のエポキシ樹脂硬化剤における上記反応組成物(A)と反応組成物(B)との質量比は、好ましくは60:40~85:15、より好ましくは65:35~85:15、さらに好ましくは70:30~85:15、よりさらに好ましくは75:25~85:15である。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに公知の硬化促進剤、非反応性希釈剤、メルカプタン系硬化剤等を配合してもよい。硬化促進剤としては、例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルアルコール、サリチル酸、亜リン酸トリフェニル、スチレン化フェノール、ビスフェノールA、N,N’-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ウレア、及び、「チオコールLP-3」(東レ・ファインケミカル(株)製)等のメルカプタン末端ポリサルファイド化合物が挙げられる。
但し、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の上記反応組成物(A)と反応組成物(B)との合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
また、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や外観を良好にする観点から、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の前記一般式(1)で示されるジアミンの含有量は少ない方が好ましい。当該含有量は、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下である。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤の活性水素当量(AHEW)は、好ましくは130以下であり、より好ましくは120以下、さらに好ましくは110以下である。エポキシ樹脂硬化剤のAHEWが130以下であると、エポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても高い硬化性を発現する。一方で優れた硬度及び外観等の塗膜性能を得る観点から、エポキシ樹脂硬化剤のAHEWは好ましくは75以上であり、より好ましくは80以上である。エポキシ樹脂硬化剤のAHEWは、具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤の25℃における粘度は、ハンドリング性の観点から低い方が好ましく、好ましくは2,500mPa・s以下、より好ましくは1,000mPa・s以下、さらに好ましくは500mPa・s以下、よりさらに好ましくは300mPa・s以下である。粘度の下限値には特に制限はないが、エポキシ樹脂との混和性の観点から、25℃における粘度として、好ましくは10mPa・s以上である。エポキシ樹脂硬化剤の粘度はE型粘度計により測定することができ、具体的には実施例の方法により測定できる。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述した本発明のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するものである。該エポキシ樹脂としては、本発明のエポキシ樹脂硬化剤の活性水素と反応するグリシジル基を持つエポキシ樹脂であればいずれも使用することができるが、エポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や硬度の観点からは、分子内に芳香環又は脂環式構造を含むエポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂の具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂が挙げられる。柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を2種以上混合して使用することもできる。
この中でも、エポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や硬度の観点から、本発明に用いられるエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、及びビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするものがより好ましく、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂及びビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上を主成分とするものがさらに好ましく、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂を主成分とするものがよりさらに好ましい。ここでいう「主成分」とは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の成分を含みうることを意味し、好ましくは全体の50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%を意味する。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、エポキシ樹脂組成物の低粘度性と硬化性を両立する観点から、好ましくは600g/当量以下、より好ましくは500g/当量以下、さらに好ましくは300g/当量以下、よりさらに好ましくは250g/当量以下である。当該エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、硬度及び外観等の各種塗膜性能の観点から、非水系エポキシ樹脂であることが好ましい。非水系エポキシ樹脂を用いると、エポキシ樹脂組成物の塗膜中に水分が残存することによる塗膜性能の低下が起こり難い。本明細書において「非水系エポキシ樹脂」とは、無溶媒タイプの非水溶性エポキシ樹脂、又は、水の含有量が10質量%未満の溶液又は分散液の状態で用いられるエポキシ樹脂をいう。当該水の含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満である。
本発明のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、該硬化剤中の活性水素数と、水系エポキシ樹脂中のエポキシ基の数との比率が、好ましくは1/0.8~1/1.2、より好ましくは1/0.9~1/1.1、さらに好ましくは1/1となる量である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに、充填材、可塑剤などの改質成分、揺変剤などの流動調整成分、顔料、レベリング剤、粘着付与剤などのその他の成分を用途に応じて含有させてもよい。
但し、本発明のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法には特に制限はなく、エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、及び必要に応じ他の成分を公知の方法及び装置を用いて混合し、製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬度及び外観等の各種塗膜性能の観点から、非水系エポキシ樹脂組成物であることが好ましい。本明細書において「非水系エポキシ樹脂組成物」とは、エポキシ樹脂組成物中の水の含有量が10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満のエポキシ樹脂組成物である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、ハンドリング性や成膜性の観点から、好ましくは6.0Pa・s以下、より好ましくは4.0Pa・s以下、さらに好ましくは3.0Pa・s以下である。粘度の下限値には特に制限はなく、用途や使用形態に応じて適宜選択できるが、25℃における粘度として、好ましくは100mPa・s以上である。エポキシ樹脂組成物の粘度はE型粘度計により測定することができ、具体的には実施例の方法により測定できる。
<用途>
本発明のエポキシ樹脂組成物は優れた硬度及び外観等の各種塗膜性能を発現しうることから、コンクリート材への使用のほか、防食用塗料等の各種塗料、接着剤、床材、封止剤等に好適に用いられる。
[硬化物]
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物(以下、単に「本発明の硬化物」ともいう)は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を公知の方法で硬化させたものである。エポキシ樹脂組成物の硬化条件は用途、形態に応じて適宜選択され、特に限定されない。
本発明の硬化物の形態も特に限定されず、用途に応じて選択することができる。例えばエポキシ樹脂組成物がコンクリート材のトップコートやプライマー、又は各種塗料用途である場合、当該エポキシ樹脂組成物の硬化物は通常、膜状の硬化物である。本発明の硬化物が膜状の硬化物であると、優れた塗膜性能を発揮できる点で好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物の評価は以下の方法により行った。
(活性水素当量(AHEW)の算出)
反応組成物(A)と反応組成物(B)とからなるエポキシ樹脂硬化剤の活性水素当量(AHEW)は、以下に記載する計算式により算出した。
AHEWがXである反応組成物(A)と、AHEWがYである反応組成物(B)を質量比A:Bで混合して得られるエポキシ樹脂硬化剤のAHEWをZとすると、
Z=[(A+B)XY]/(AY+BX)
(メタキシリレンジアミン含有量)
エポキシ樹脂硬化剤及びその構成成分中のメタキシリレンジアミン含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。
(粘度測定)
エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、E型粘度計「TVE-22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて測定した。
(ポットライフ)
各例のエポキシ樹脂組成物300gをポリプロピレン製カップに入れ、23℃、50%R.H.の条件下で保存し、最高発熱温度及び最高発熱温度への到達時間を測定した。
(硬化速度)
ガラス板(太佑機材(株)製 25×348×2.0mm)上に、23℃、50%R.H.条件下、各例のエポキシ樹脂組成物を76μmのアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した。塗膜を形成したガラス板を塗料乾燥時間測定器(太佑機材(株)製)にセットし、測定器の針が塗膜表面を引っかいた際の条痕を観察して、各乾燥段階(Set to Touch、Dust Free、Dry Through)への到達時間を以下の基準で測定した。時間が短い方が、硬化速度が速いことを示す。
Set to Touch:ガラス板上に針の跡が残り始める時間
Dust Free:針が塗膜の中から塗膜表面上に浮き出てくる時間
Dry Through:塗膜上の針の跡が残らなくなる時間
(指触乾燥)
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC-SD PB-N144 0.8×70×150mm)上に各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後に指触により以下の4段階で評価した。
Ex:優秀(50Nの力で親指を押し付けた際も塗膜のべたつきがなく、指紋の残存もなし)
G:良好(50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきはないが、指触後の指紋の残存あり)
F:可(50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
P:不良(5Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
(耐水スポット試験)
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC-SD PB-N144 0.8×70×150mm)上に各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後に塗膜表面にスポイトで純水を2~3滴滴下し、その箇所を50mLスクリュー管瓶で蓋をした。24時間経過後に水を拭き取り、外観を目視観察して、以下の基準で評価した。
Ex:優秀(全く変化なし)
G:良好(わずかに変化はあるが、使用上問題なし)
F:可(やや白化あり)
P:不良(白化)
(鉛筆硬度)
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC-SD PB-N144 0.8×70×150mm)上に各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後にJIS K5600-5-4:1999に準拠して鉛筆硬度を測定した。
(塗膜外観)
基材であるリン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC-SD PB-N144 0.8×70×150mm)上に、23℃、50%R.H.条件下、各例のエポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した(塗布直後の厚み:200μm)。塗装1週間後に、得られた塗膜の外観を目視観察して、光沢性、透明性、及び平滑性を以下の基準で評価した。
<光沢性>
Ex:優秀(光沢あり)
G:良好(やや光沢が劣るが、使用上問題なし)
F:可(光沢が少ない)
P:不良(光沢なし)
<透明性>
Ex:優秀(濁りなし)
G:良好(わずかに濁りがあるが、使用上問題なし)
F:可(やや白濁あり)
P:不良(白濁)
<平滑性>
Ex:優秀(凹凸がない)
G:良好(わずかに凹凸があるが、使用上問題なし)
F:可(一部に凹凸がある)
P:不良(ハジキがある、又は全面に凹凸がある)
実施例1(エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物の製造)
(A)成分としてスチレンとメタキシリレンジアミン(MXDA)との反応物を含む反応組成物である(A-1)Gaskamine 240(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:103)を使用し、(B)成分としてエピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B-1)Gaskamine 328(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:55)を使用した。(A-1)及び(B-1)を質量比で80:20の割合で混合してエポキシ樹脂硬化剤を調製した。
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER828」、エポキシ当量:186g/当量、固形分濃度:100質量%)を主剤のエポキシ樹脂として用いた。この主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を、該硬化剤中の活性水素数と、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数が等モルとなるよう表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、エポキシ樹脂硬化剤における(A-1)及び(B-1)の割合を質量比で60:40に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
(B)成分として、(B-1)に代えてエピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B-2)Gaskamine 328S(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:70)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
実施例3において、エポキシ樹脂硬化剤における(A-1)及び(B-2)の割合を質量比で60:40に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、エポキシ樹脂硬化剤における(A-1)及び(B-1)の割合を質量比で90:10に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、エポキシ樹脂硬化剤における(A-1)及び(B-1)の割合を質量比で50:50に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
実施例3において、エポキシ樹脂硬化剤における(A-1)及び(B-2)の割合を質量比で90:10に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
実施例3において、エポキシ樹脂硬化剤における(A-1)及び(B-2)の割合を質量比で50:50に変更したこと以外は実施例3と同様の方法でエポキシ樹脂硬化剤を調製した。また、主剤100質量部に対し、上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例5
エポキシ樹脂硬化剤として(A-1)のみを使用し、主剤100質量部に対し(A-1)を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例6
エポキシ樹脂硬化剤として(A-1)95質量部に対し硬化促進剤であるサリチル酸5質量部を配合した硬化剤を用いた。主剤100質量部に対し上記エポキシ樹脂硬化剤を表1に示す割合で配合し、攪拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007177580000005
実施例において使用した成分を以下に示す。
<エポキシ樹脂>
jER828:
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、エポキシ当量:186g/当量、固形分濃度:100質量%)
<エポキシ樹脂硬化剤成分>
(A-1):
Gaskamine 240(スチレンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、スチレンとMXDAとの反応物含有量:>99質量%、MXDA含有量:<1質量%、下記式(2-1)で示される化合物の含有量:49質量%、AHEW:103)
Figure 0007177580000006
(B-1):
Gaskamine 328(エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、MXDA含有量:26.7質量%、下記式(3-1)で示される化合物の含有量:73.3質量%(nは1~12の数であり、n=1の化合物の含有量は(B-1)中の20.9質量%である)、AHEW:55)
Figure 0007177580000007
(B-2):
Gaskamine 328S(エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、MXDA含有量:0.9質量%、前記式(3-1)で示される化合物の含有量:99.1質量%(nは1~12の数であり、n=1の化合物の含有量は(B-2)中の29.3質量%である)、AHEW:70)
表1に示すように、本発明のエポキシ樹脂硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は比較的ポットライフが長いが硬化速度は速く、得られた塗膜は3Hという高い鉛筆硬度を示した。さらに実施例1と3、実施例2と4をそれぞれ比較すると、MXDAの含有量が少ない実施例3及び4の組成物の方がポットライフが長くなり、耐水スポット性も向上した。
これに対し比較例1~6のエポキシ樹脂硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の塗膜は鉛筆硬度が大きく低下した。比較例4のエポキシ樹脂硬化剤は粘度が高くハンドリング性も悪かった。反応組成物(A)の割合が高い比較例1,3、並びに反応組成物(A)のみで構成される比較例5のエポキシ樹脂硬化剤を含有する組成物はいずれも硬化速度が遅く、反応組成物(A)と硬化促進剤とで構成される比較例6のエポキシ樹脂硬化剤を含有する組成物は硬化時の発熱が大きい上にポットライフが短くなり、Dry Through時間も実施例1~4と比較して長くなった。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤を用いることにより、ポットライフが長く、硬化性が良好で、硬度及び外観等の各種塗膜性能に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することができる。該エポキシ樹脂組成物は良好な硬化物物性を与え、コンクリート材への使用のほか、防食用塗料等の各種塗料、接着剤、床材、封止剤等にも好適に用いられる。

Claims (8)

  1. スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)と、エピクロロヒドリンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)とを、質量比で(A):(B)=55:45~85:15の割合で含有する、エポキシ樹脂硬化剤。
    N-CH-A-CH-NH (1)
    (式(1)中、Aは1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、又は1,4-フェニレン基である。)
  2. 前記反応組成物(A)が下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含む、請求項1に記載の硬化剤。
    Figure 0007177580000008

    (式(2)中、Aは前記と同じである。)
  3. 前記反応組成物(B)が下記一般式(3)で示される化合物を主成分として含む、請求項1又は2に記載の硬化剤。
    Figure 0007177580000009

    (式(3)中、Aは前記と同じである。nは1~12の数である。)
  4. 前記Aが1,3-フェニレン基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化剤。
  5. 前記反応組成物(A)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が1質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化剤。
  6. 前記反応組成物(B)中の前記一般式(1)で示されるアミン化合物の含有量が35質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化剤。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
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