JP7174341B2 - 積層体およびそれを備える包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも、第1基材層と、バリア層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体に関する。さらには、該積層体を備える包装袋に関する。
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用材料が開発され、提案されている。そのような包装用材料においては、包装目的、充填する内容物、包装製品の貯蔵・流通、その他等によって異なるが、包装用材料として、種々の物性が要求される。例えば、それらの物性の一つとして、酸素および水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性がある。また、包装袋とした際の耐衝撃性や手切れ性なども要求される。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。上記したようなフィルムにおいてもバイオマス材料を採用する試みがなされており、例えば、特許文献1は、バイオマスポリエステルとバイオマスポリオレフィンとを用いた積層体を提案している。
特開2014-133338号公報
上記したような包装用材料として要求される特性と化石燃料の使用量を削減することとを両立できる包装用材料が依然として求められている。本発明は、このような課題を効果的に解決し得る積層体を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、第1基材層と、バリア層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
前記第1基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含む、積層体である。
本発明による積層体において、前記第2基材層は、ポリアミド又はポリブチレンテレフタレートを含んでいてもよい。
本発明による積層体において、前記シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含んでいてもよい。
本発明による積層体において、前記シーラント層は、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを5質量%以上25質量%以下含んでいてもよい。
本発明による積層体において、前記シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンおよび化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンを合計で75質量%以上95質量%以下含んでいてもよい。
本発明による積層体において、前記バリア層は、金属箔、又は、無機若しくは無機酸化物の蒸着層を含んでいてもよい。
本発明による積層体において、前記第1基材層と前記バリア層との間に印刷層をさらに備えていてもよい。
本発明は、上記記載の積層体を備える、包装袋である。
本発明によれば、包装用材料として要求される諸特性を有するとともに、環境負荷を低減することができる積層体を提供することができる。
本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による積層体の第2基材層の一例を示す模式断面図である。 本発明による包装袋の一例を示す模式正面図である。 図4の包装袋における注出口部のA-A’断面図である。
<積層体>
本発明による積層体は、少なくとも、第1基材層と、バリア層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備えている。積層体は、更に、接着剤層、印刷層や他の層等を備えてもよい。積層体が接着剤層や他の層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体について、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体の模式断面図の例を図1および図2に示す。図1に示した積層体10は、第1基材層11と、バリア層12と、第2基材層13と、シーラント層14とをこの順に備えている。積層体10を備える包装袋においては、シーラント層13が内面側に位置する。
図2に示した積層体20は、第1基材層21と、印刷層25と、接着剤層26と、バリア層22と、第2基材層23と、接着剤層27と、シーラント層24とをこの順に備えている。積層体20を備える包装袋は、シーラント層24が内面側に位置する。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
[第1基材層]
本発明による積層体は、第1基材層を少なくとも備える。積層体が基材層を備えることで、包装袋を製造した際に、強度を向上させることができる。
第1基材層は、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)を含む。バイオマス由来のPETとは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするPETである。基材層は、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、化石燃料由来のPETをさらに含んでもよい。基材層全体として、下記のバイオマス度を実現できればよい。本発明においては、基材層がバイオマス由来のPETを含むことで、従来に比べて化石燃料由来のPETの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
本発明において、基材層の「バイオマス度」(バイオマス由来の炭素濃度)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、PET中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、PET中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=PC14/105.5×100
なお、PMCとは、Percent Modern Carbonの略である。
PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、PET中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。本発明においては、バイオマス由来のPET中の全炭素に対して、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、10%以上20%以下であることが好ましく、10%以上19%以下であってもよい。バイオマス由来のPET中のバイオマス由来の炭素の含有量が10%以上であると、カーボンオフセット材料として好適である。また、化石燃料由来のエチレングリコールと、化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて製造した化石燃料由来のPET中のバイオマス由来の炭素の含有量は0%であり、化石燃料由来のPETのバイオマス度は0%となる。
本発明において、基材層のバイオマス度は、5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上である。基材層のバイオマス度が5%以上であれば、従来に比べて化石燃料由来のPETの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
なお、バイオマス度は、上述した放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量として表すことができる他、バイオマス由来成分の重量比率で示してもよい。例えば、バイオマス由来成分の重量比率で基材層の「バイオマス度」を表す場合、以下のように「バイオマス度」を求めることができる。PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は約30%であるため、バイオマス度は約30%となる。また、化石燃料由来のエチレングリコールと、化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて製造した化石燃料由来のポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のポリエステルのバイオマス度は0%となる。
基材層が延伸されたPETフィルムである場合、基材層に用いるPETフィルムは、引張強度が、MD方向で、好ましくは150MPa以上300MPa以下、より好ましくは200MPa以上300MPa以下、TD方向で、好ましくは150MPa以上300MPa以下、より好ましくは150MPa以上300MPa以下であり、また、引張伸度が、MD方向で、好ましくは50%以上250%以下、より好ましくは70%以上200%以下であり、TD方向で好ましくは50%以上250%以下、より好ましくは60%以上200%以下である。引張強度および引張伸度は、JIS K 7127に準拠して測定することができる。
基材層は、好ましくは5μm以上40μm以下、より好ましくは8μm以上25μm以下の厚さを有する。基材層の厚さが上記範囲程度であれば、成形加工が容易であり、また包装材料として好適に用いることができる。
[第2基材層]
(第2基材層の第1の構成)
第1の構成に係る第2基材層は、ナイロン等のポリアミドを含む樹脂層である。第2基材層は延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることがより好ましい。
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXD6等が挙げられる。耐水性に劣るポリアミド樹脂層を積層体の外側ではなく内部に備えることで、耐水性を損なわずに包装袋に要求される強度を向上させることができる。
第2基材層が延伸されたナイロンフィルムである場合、第2基材層に用いるナイロンフィルムは、引張強度が、MD方向で、好ましくは150MPa以上350MPa以下、より好ましくは200MPa以上300MPa以下、TD方向で、好ましくは150MPa以上400MPa以下、より好ましくは200MPa以上350MPa以下であり、また、引張伸度が、MD方向で、好ましくは50%以上200%以下、より好ましくは70%以上150%以下であり、TD方向で好ましくは30%以上200%以下、より好ましくは50%以上150%以下である。
(第2基材層の第2の構成)
第1の構成に係る第2基材層は、主成分としてポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)を含む。例えば、第2基材層は、51質量%以上のPBTを含む。
第2の構成に係る第2基材層におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、さらには70質量%以上、特には75質量%以上が好ましく、最も好ましくは80質量%以上である。PBTの含有率を51質量%以上にすることにより、第2基材層に優れたインパクト強度および耐ピンホール性を持たせることができる。
主たる構成成分として用いるPBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4-ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは、重合時に1,4-ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生成物以外は含まれないことである。
第2基材層は、PBT以外のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。これにより、例えばフィルム状の基材1を二軸延伸させる場合の成膜性や第2基材層の力学特性を調整することができる。PBT以外のポリエステル樹脂の添加量は、40質量%以下が好ましい。
第2の構成に係るフィルム状の第2基材層は、例えばキャスト法によって作製され得る。図3は、第2基材層の層構成の一例を示す断面図である。樹脂を多層化してキャストすることによって第2基材層が作製される場合、図3に示すように、第2基材層は、複数の層31を含む多層構造部からなる。複数の層31はそれぞれ、主成分としてPBTを含む。例えば、複数の層31はそれぞれ、51質量%以上のPBTを含む。なお、複数の層31においては、n番目の層31の上にn+1番目の層31が直接積層されている。すなわち、複数の層31の間には、接着剤層や接着層が介在されていない。第2基材層は、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の層31を含む多層構造部からなる。層31の厚さは、好ましくは3nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。また、層31の厚さは、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。
第2の構成に係る第2基材層の厚さは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、第2の構成に係る第2基材層の厚さは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。第2基材層の厚さを9μm以上にすることにより、基材1が十分な強度を有するようになる。また、第2基材層の厚さを25μm以下にすることにより、第2基材層が優れた成形性を示すようになる。このため、第2基材層を含む積層体を加工して包装袋を製造する工程を効率的に実施することができる。
(第2基材層の第3の構成)
第3の構成に係る第2基材層は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む。例えば、第2基材層は、グリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第3の構成に係る第2基材層におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。また、第3の構成に係る第2基材層は、ポリブチレンテレフタレートと添加剤のみで構成されていることが好ましい。
第2基材層に機械的強度を付与するためには、PBTのうち、融点が200℃以上且つ250℃以下、IV値が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が215℃以上且つ225℃以下、IV値が1.15dl/g以上且つ1.30dl/g以下のものが特に好ましい。これらのIV値は、第2基材層を構成する材料全体によって満たされていてもよい。IV値は、JIS K 7367-5:2000に基づいて算出され得る。
第3の構成に係る第2基材層は、PETなどPBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。第2基材層がPBTに加えてPETを含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、PBTフィルムの延伸加工性を向上させることができる。
第3の構成に係るフィルム状の第2基材層を作製する方法としては、例えば、未延伸原反を延伸させて延伸フィルムを得る二軸延伸法を採用することができる。二軸延伸法は、特には限定されない。例えば、チューブラー法又はテンター法により、縦方向及び横方向を同時に延伸してもよく、若しくは、縦方向及び横方向を逐次延伸してもよい。このうち、チューブラー法は、周方向の物性バランスが良好な延伸フィルムを得ることができ、特に好ましく採用される。
第2基材層は、例えば、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単一の層によって構成されている。上述のチューブラー法によれば、高い冷却速度で未延伸原反を成膜するので、未延伸原反が単一の層によって構成される場合であっても、低い結晶状態を保つことができ、このため、安定して未延伸原反を延伸することができる。
第2基材層にPBTを主成分として含ませることにより、積層体の耐熱性を高くすることができる。例えば、積層体の引張弾性率を十分に高くすることができる。特に、高温の雰囲気下、例えば100℃の雰囲気下における積層体の引張弾性率(以下、熱間引張弾性率とも記す)を十分に高くすることができる。
以下、上述の第2の構成及び第3の構成のように第2基材層がPBTを主成分として含むことの利点について説明する。
PBTは、耐熱性に優れる。このため、食品などの内容物を収容する包装袋にボイル処理やレトルト処理を施す際に第2基材層が変形したり第2基材層の強度が低下したりすることを抑制することができる。レトルト処理とは、内容物を包装袋に充填して包装袋を密封した後、包装袋を加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。ボイル処理とは、内容物を包装袋に充填して包装袋を密封した後、包装袋を大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば60℃以上且つ100℃以下である。
また、第2基材層は、高い強度を有する。このため、包装袋を構成する包装用材料8がナイロンを含む場合と同様に、包装袋に耐突き刺し性を持たせることができる。
[シーラント層]
シーラント層は、積層体を用いて包装袋を製造する際に、包装袋の内容物側に配置されて、積層体どうしをシールする機能を有するものである。シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(LDPE)とを含む。また、シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(LDPE)とをことで、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。
シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンおよび化石燃料由来の低密度ポリエチレンに加えて、更にバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。シーラント層がバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンを含むことにより、より一層、環境負荷を低減することができる。
シーラント層中の低密度ポリエチレンの含有量(バイオマス由来と化石燃料由来の2種含む場合、合計含有量)は、好ましくは5質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上20質量%以下である。また、シーラント層中のバイオマス由来および/または化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量(2種含む場合、合計含有量)は、好ましくは75質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以上90質量%以下である。シーラント層中で、低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンを上記割合で混合することで、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。
シーラント層は、好ましくは5%以上30%以下、より好ましくは10%以上25%以下、さらに好ましくは15%以上20%以下のバイオマス度を有するものである。なお、本発明において、「バイオマス度」とは、バイオマス由来成分の重量比率を示すものである。バイオマス度が上記範囲であれば、コストを抑えながら、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
なお、上記バイオマス度は重量比率で示した値であるが、ASTM-D6866に準拠した放射性炭素(C14)測定法によって得られたC14含有量の値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、シーラント層中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、シーラント層中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、上記と同様に、下記式
bio(%)=PC14/105.5×100
により求めることができる。なお、バイオマス由来の原料であるエチレンを用いて製造されたポリエチレンのバイオマス度は、重量比率で表しても、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値として表しても同じ値となる。
バイオマスポリエチレンとは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマー重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。原料モノマー中のバイオマス由来のエチレンの含有量は、100質量%である必要は無く、例えば、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。原料モノマーには、化石燃料由来のエチレンが含まれていてもよく、ブチレン、ヘキセン、およびオクテン等のα-オレフィンのモノマーが含まれていてもよい。このような場合であっても、得られた重合体をバイオマスポリエチレンと呼ぶ。α-オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、低圧重合法(チーグラー・ナッタ触媒を用いた気相重合法またはメタロセン触媒を用いた液相重合法)によりエチレンおよび少量のα―オレフィンを重合して得られるものでる。また、低密度ポリエチレンは、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるものでる。直鎖状低密度ポリエチレンは、分子鎖に短分子鎖を多く有し、シール性能に優れるものである。
直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンは、0.93g/cm未満、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm未満、より好ましくは0.912g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度を有するものである。なお、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、低密度ポリエチレンのMFRよりも低くなることがある。直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの密度が0.91g/cm以上あれば、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含むシーラント層の剛性を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの密度が0.93g/cm未満であれば、シーラント層の機械的強度を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。なお、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、低密度ポリエチレンのMFRよりも低くなることがある。メルトフローレートとは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのMFRが10g/10分以下であれば、シーラント層の機械的強度を高めることができる。
本発明において、好適に使用されるバイオマスポリエチレンとしては、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL318、密度:0.918g/cm、MFR:2.7g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLH218、密度:0.916g/cm、MFR:2.3g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:STN7006、密度:0.923g/cm、MFR:0.6g/10分、バイオマス度95%)、等が挙げられる。
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンには、例えば、原料としてサトウキビを用いたものが生産されている。このようなサトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレンの分散度は、4以上7以下とすることができる。一方、化石由来の直鎖状低密度ポリエチレンの分散度は、通常、1.5以上3.5以下である。
バイオマスポリエチレンとしては、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL318、密度:0.918g/cm、MFR:2.7g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLH218、密度:0.916g/cm、MFR:2.3g/10分、バイオマス度87%)等が挙げられる。
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンには、例えば、原料としてサトウキビを用いたものが生産されている。このようなサトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレンの分散度は、4以上7以下とすることができる。一方、化石由来の直鎖状低密度ポリエチレンの分散度は、通常、1.5以上3.5以下である。
シーラント層は、単層であってもよく、多層であってもよい。シーラント層に上記したようなバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンする場合は、内層、中間層、および外層の3層を備えたシーラント層としてもよい。その場合、中間層をバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンとし、内層および外層は、従来公知の化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンとすることが好ましい。
シーラント層の厚さは、 好ましくは40μm以上80μm以下、より好ましくは45μm以上70μm以下である。シーラント層の厚さが上記範囲であれば、包装袋を製造した際に十分なシール適正を付与することができる。
[バリア層]
次に、バリア層について説明する。本発明の積層体を構成するバリア層としては、金属箔、又は無機若しくは無機酸化物の蒸着層を好適に使用することができる。
(金属箔)
バリア層を構成する金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔が好ましい。また、包装袋に金属光沢を付与することができるため、意匠性を向上させることができる。金属箔の厚さは、例えば5μm以上且つ15μm以下である。
(蒸着層)
無機若しくは無機酸化物の蒸着層は、従来公知の方法により形成することができる蒸着膜からなる層である。蒸着層を備えることで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を、付与ないし向上させることができる。なお、バリア層は、蒸着層を2層以上備えてもよい。蒸着層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
金属蒸着膜としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、金(Au)、クロム(Cr)等の金属蒸着膜を使用することができる。特に、包装袋用としては、アルミニウムの蒸着膜を備えることが好ましい。
金属蒸着膜の膜厚としては、使用する金属の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上600Å以下、更に、好ましくは、100Å以上450Å以下が望ましい。
透明蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、包装袋用としては、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素の蒸着膜を備えることが好ましい。
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1.5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~2、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用することができる。
透明蒸着膜の膜厚としては、使用する無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。例えば、酸化アルミニウムあるいは酸化ケイ素の蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下が望ましいものである。
蒸着膜は、基材層などに以下の形成方法を用いて形成することができる。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
(ガスバリア性塗布膜)
必要に応じて、上記の蒸着層の上にガスバリア性塗布膜を設けてもよい。ガスバリア性塗布膜は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する塗膜である。ガスバリア性塗布膜は、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物により得られる。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2~6量体のものを使用される。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。本実施形態において、好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記のガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。本実施形態においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
[印刷層]
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、印刷によって形成される層である。印刷層は、例えば、絵、写真、文字、数字、図形、記号、模様などの所望の任意の絵柄層を含むものである。印刷層は、絵柄層の絵柄を際立たせるよう印刷により形成された地色層を更に含んでいてもよい。印刷層は、必要に応じて設けることができ、例えば、第1基材層とバリア層の間に設けることができる。印刷層は、第1基材層の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
印刷層は、着色剤と、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含んでいてもよい。この場合、印刷層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。バイオマス由来成分を含む材料によりポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含む印刷層を形成する場合、印刷層は、主剤としてのポリオールと硬化剤としてのイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成することができる。また、バイオマス由来成分を含まない材料により印刷層を形成する場合、印刷層は、従来公知の化石燃料由来成分からなるポリオールと化石燃料由来成分からなるイソシアネート化合物とを用いて形成することができる。ポリオールとしては、多官能アルコールと多官能カルボン酸との反応物であるポリエステルポリオール、または、多官能アルコールと多官能イソシアネートとの反応物であるポリエーテルポリオールを用いることができる。
〔ポリエステルポリオール〕
ポリエステルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能カルボン酸の少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能カルボン酸との反応物
バイオマス由来の多官能アルコールとしては、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、およびサゴヤシ等の植物原料から得られる脂肪族多官能アルコールを用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能アルコールとしては、例えば、下記のような方法によって植物原料から得られる、ポリプロピレングリコール(PPG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール(BG)、ヘキサメチレングリコール等があり、いずれも使用し得る。これらは、単独で用いても併用してもよい。
バイオマス由来のポリプロピレングリコールは、植物原料を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て製造される。上記発酵法のようなバイオ法で製造されたポリプロピレングリコールは、EO製造法のポリプロピレングリコールと比較し、安全性面から乳酸等の有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能であることも好ましい。
バイオマス由来のブチレングリコールは、植物原料からグリコールを製造し発酵することで得られたコハク酸を得て、これを水添することによって製造することができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、例えば、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造することができる。
化石燃料由来の多官能アルコールとしては、1分子中に2個以上、好ましくは2~8個の水酸基を有する化合物を用いることができる。具体的には、化石燃料由来の多官能アルコールとしては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール(BG)、ヘキサメチレングリコールの他、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等を使用することができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
バイオマス由来の多官能カルボン酸としては、再生産可能な大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油、ひまし油等の植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油等の植物原料から得られる脂肪族多官能カルボン酸を用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、例えば、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、グルタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。例えば、セバシン酸は、ひまし油から得られるリシノール酸をアルカリ熱分解することにより、ヘプチルアルコールを副生成物として生成される。本実施の形態では、特に、バイオマス由来のコハク酸又はバイオマス由来のセバシン酸を用いることが好ましい。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
化石燃料由来の多官能カルボン酸としては、脂肪族多官能カルボン酸や芳香族多官能カルボン酸を用いることができる。化石燃料由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、アジピン酸、ドデカン二酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、およびダイマー酸、ならびにそれらのエステル化合物等が挙げられる。また、化石燃料由来の芳香族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、トリメリット酸、およびピロメリット酸、ならびにそれらのエステル化合物等を用いることができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
〔ポリエーテルポリオール〕
ポリエーテルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能イソシアネートの少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエーテルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能イソシアネートとの反応物
バイオマス由来の多官能アルコール及び化石燃料由来の多官能アルコールとしては、上述のポリエステルポリオールにおいて説明したバイオマス由来の多官能アルコール及び化石燃料由来の多官能アルコールを用いることができる。
バイオマス由来の多官能イソシアネートとしては、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化し、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られたものを用いることができる。バイオマス由来の多官能イソシアネートは、例えば、バイオマス由来のジイソシアネートである。バイオマス由来のジイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、植物由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のジイソシアネートを得ることができる。例えば、リシンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートはリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
1,5-ペンタメチレンジイソシアネートの他の合成方法としては、ホスゲン化法やカルバメート化法が挙げられる。より具体的には、ホスゲン化方法は、1,5-ペンタメチレンジアミンまたはその塩を直接ホスゲンと反応させる方法や、ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を不活性溶媒中に懸濁させてホスゲンと反応させる方法により、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。また、カルバメート化法は、まず、1,5-ペンタメチレンジアミンまたはその塩をカルバメート化し、ペンタメチレンジカルバメート(PDC)を生成させた後、熱分解することにより、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。本実施の形態において、好適に使用されるポリイソシアネートとしては、三井化学株式会社製の1,5-ペンタメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(商品名:スタビオ(登録商標))が挙げられる。
化石燃料由来の多官能イソシアネートとしては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、トルエン-2,4-ジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-イソプロピル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-ブトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o-ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。また、メチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDI等の脂環式ジイソシアネート等も挙げられる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
〔着色剤〕
着色剤としては、特に限定されず、従来公知の顔料や染料を用いることができる。
印刷層がバイオマス由来成分を含む場合、印刷層は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは10%以上50%以下の、重量比率に基づくバイオマス度を有する。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
印刷層の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上5g/m以下、さらに好ましくは1g/m以上3g/m以下である。
印刷層は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有するものである。
[接着剤層]
接着剤層は、任意の2層をドライラミネート法により接着する場合に設けられる層であり、例えば、第1基材層とバリア層との間、バリア層と第2基材層との間、および第2基材層とシーラント層との間などに設けることができる。接着剤層は、任意の2層を積層する際に、積層される側の層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成することができる。接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。この場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでもよい。
接着剤層において、バイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物としては、上記の印刷層と同様のバイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物を用いることができる。また、接着剤層において、バイオマス由来成分を含むポリオールとしては、上記の印刷層と同様のポリオールを用いることができる。また、積層体において複数の接着剤層がある場合、一層のみをバイオマス由来成分を含む硬化物から形成してもよく、全ての接着剤層をバイオマス由来成分を含む硬化物から形成してもよい。各接着剤層中の硬化物は、同様の組成でも良いし、異なる組成でも良い。また、印刷層と接着剤層の両方を、バイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成する場合、印刷層中の硬化物と接着剤層中の硬化物は、同様の組成でも良いし、異なる組成でも良い。
接着剤層は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは30%以上50%以下のバイオマス度を有する。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
接着剤層の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上6g/m以下、さらに好ましくは2g/m以上5g/m以下である。
接着剤層は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上6μm以下、さらに好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有する。
接着層は、サンドラミネート法により2層を接着する場合に使用される接着樹脂層であってもよい。接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、上記したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用して、バイオマス度をさらに向上させることができる。
溶融押出しラミネート法により接着樹脂層を積層する場合には、積層される側の層の表面に、アンカーコート剤を塗布して乾燥させることにより形成されるアンカーコート層を設けてもよい。アンカーコート剤としては、耐熱温度が135℃以上である任意の樹脂、例えばビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンイミン等からなるアンカーコート剤が挙げられるが、特に、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系又はポリメタクリル系樹脂(ポリオール)と、硬化剤としてのイソシアネート化合物との硬化物であるアンカーコート剤を、好ましく使用することができる。また、これに添加剤としてシランカップリング剤を併用してもよく、また、硝化綿を、耐熱性を高めるために併用してもよい。
乾燥後のアンカーコート層は、0.1μm以上、1μm以下、好ましくは0.3μm以上、0.5μm以下の厚さを有するものである。乾燥後の接着剤層は、1μm以上、10μm以下、好ましくは2μm以上、5μm以下の厚さを有するものである。接着樹脂層は好ましくは5μm以上、50μm以下、好ましくは10μm以上、30μm以下の厚さを有するものである。
[他の層]
積層体は、他の層として、熱可塑性樹脂層等をさらに備えていてもよい。熱可塑性樹脂層としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)などを用いることができる。
<積層体の製造方法>
本発明による積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。
本発明による積層体には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、本発明による積層体に、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施して、成型品を製造することもできる。
<包装袋>
本発明による包装袋は、上記積層体を備えるものである。例えば、上記積層体を使用し、これを二つ折にするか、又は該積層体2枚を用意し、そのシーラントの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を製造することができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
包装袋は、高いバイオマス度を示しながらも、優れた耐衝撃性と手切れ性を有しているため、包装袋、特に詰め替えパウチ等に好適に使用することができる。
本発明による包装袋について、図面を参照しながら説明する。本発明によるパウチの模式正面図の一例を図4に示す。
図4に示した詰め替えパウチ100は、スタンディングパウチ形式で作製したものであり、パウチの底部を、前後の壁面フィルム(上記積層体を使用する)101、101′の下部の間に底面フィルム(壁面フィルムと同じてあっても異なっていてもよい)103を内側に折り返して底面フィルム折り返し部102まで挿入してなるガセット部104を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部103a、103bを設け、ガセット部104を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部105でヒートシールして形成する。また、パウチの胴部は、前後の壁面フィルム101、101′の両側の端縁部を側部シール部106a、106bでヒートシールして形成すると共に、パウチ100の上部の一方のコーナー部(図4において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部107でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部110が、その両側に切り欠き部109a、109bを設けて突出する形状に設けられている。また、パウチ100の上部のうち、注出口部110を設けていない部分は、上部シール部108でヒートシールするが、この部分は内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。なお、上述の例では、2枚の壁面フィルムと、1枚の底面フィルムを用いて詰め替えパウチ100を構成する例について説明したが、1枚のフィルムまたは2枚のフィルムを用いて詰め替えパウチを構成するようにしてもよい。
詰め替えパウチ100は、注出口部110の先端側の開封位置に、易開封性手段として、ハーフカット線111とその上側の端部にノッチ112とを備えている。また、ハーフカット線111は、1本、または2本のほか、中心のハーフカット線の両側に各1本~3本など複数のハーフカット線を平行に、または中心のハーフカット線に収斂する形状に、あるいは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状等、任意の形状に設けることができる。
詰め替えパウチから内容物を注出するには、注出口部110を開封して注出口を形成するが、その注出口の内側に、前後の壁面フィルム101、101′の内面側に注出補助部材が熱融着などの手段で取り付けられていてもよい。注出補助部材200は、図5に示すように、長手方向に開放部201を有する樋状の弾性部材からなり、開放部201と対向する部位である底部分202の両側から側方に向かう水平で少なくとも下面が平坦な突出片203が長手方向に設けられており、底部分202が図示の如く薄肉に形成されている。そして、図5に示すように、底部分202の開放部201と対向する側の面と各突出片203の開放部201と対向する側の面とで壁面フィルム101′に取り付けられている。なお、取付け強度を勘案して、少なくとも各突出片203の開放部201と対向する側の面で壁面フィルム101′に取り付けられていればよい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)を用いて製膜した、二軸延伸されたPETフィルム(放射性炭素(C14)測定に基づくバイオマス度:13%、厚さ12μm)を準備した。続いて、PETフィルムのうち包装袋を構成する際に内面側に位置する面に、グラビア印刷により印刷層を形成した。また、第2基材層として、2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム箔(東洋アルミニウム製、厚さ7μm)を準備した。
また、シーラント層として、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度:0%)60質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度:0.924g/cm、MFR:2.0g/10分、バイオマス度:0%)20質量部と、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、ブラスケム社製、商品名:SLL118、密度:0.916g/cm、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)20質量部とを溶融混練して、樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成膜して、シーラント層用のポリエチレンフィルム(厚さ110μm、バイオマス度:17.4%)を得た。
続いて、PETフィルム、アルミニウム箔、2軸延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルムをこの順で、ドライラミネート法により積層して、図1に示す積層体10を作製した。この積層体10の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/印/DL/ALM/DL/ONy/DL/バイオPE
「/」は層と層の境界を表している。左端の層が、積層体の外面を構成する層であり、右端の層が、積層体の内面を構成する層である。
「バイオPET」は、バイオマス由来のPETを意味する。「印」は、印刷層を意味する。「DL」は、接着剤を含む接着剤層を意味する。「ONy」は、ナイロンを意味する。「ALM」は、アルミニウム箔を意味する。「バイオPE」は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含むポリエチレンフィルムを意味する。
[実施例2]
シーラント層として、以下のポリエチレンフィルム(厚さ60μm)を使用した以外は、実施例1の場合と同様にして、図1に示す積層体10を作製した。ポリエチレンフィルムとしては、下記のように作製されたものを用いた。まず、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度:0%)80質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度:0.924g/cm、MFR:2.0g/10分、バイオマス度:0%)20質量部とを溶融混練して、樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成膜して、シーラント層用のポリエチレンフィルム(厚さ60μm、バイオマス度:0%)を得た。
積層体10の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/印/DL/ALM/DL/ONy/DL/PE
「PE」は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含むポリエチレンフィルムを意味する。
[比較例1]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸されたPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5102、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、図1に示す積層体10を作製した。積層体10の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/印/DL/ONy/DL/ALM/DL/バイオPE
「化石PET」は、化石燃料由来のPETを意味する。
<パウチの製造>
実施例1で得られた積層体を壁面フィルムおよび底面フィルムとして用い、シーラント層同士をヒートシールして、さらに図5に示すような注出補助部材を壁面フィルムの内面側に取り付けて、図4に示す注出補助部材付スタンディングパウチを作製した。同様にして、実施例2および比較例1で得られた積層体を用いて図4に示す注出補助部材付スタンディングパウチを作製した。
<耐衝撃性試験>
上記で得られた各パウチに、水200ccを充填し、ヒートシールして密封した。次いで、これらのパウチを、底部を下向きにした状態で、1.2mの高さから繰り返し10回落下させて、下記の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:パウチは破袋しなかった。
×:パウチは破袋した。
<手切れ性試験>
実施例1、2および比較例1で得られた各積層体を用いて、上記と同様にして作製した図4に示す注出補助部材付スタンディングパウチを各3つ用意した。続いて、スタンディングパウチの注出口部に設けられたノッチを基点として、ハーフカット線に沿ってカットしたときの手切れ性を確認した。
(評価基準)
○:3つのサンプルとも、過度に力を掛けることなくカットすることができた。
×:1つのサンプルでも、過度に力を掛けないとカットすることができなかった。
上記の性能評価試験の結果を表1に示した。
Figure 0007174341000001
10、20 積層体
11、21 第1基材層
12、22 バリア層
13、23 第2基材層
14、24 シーラント層
25 印刷層
26、27 接着剤層
100 詰め替えパウチ
101、101′壁面フィルム
102 底面フィルム折り返し部
103 底面フィルム
103a 、103b 底面フィルム切り欠き部
104 ガセット部
105 底部シール部
106a 、106b 側部シール部
107 注出口部シール部
108 上部シール部
109a 、109b 切り欠き部
110 注出口部
111 ハーフカット線
112 ノッチ
200 注出補助部材
201 開放部
202 底部分
203 突出片

Claims (7)

  1. 少なくとも、第1基材層と、バリア層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
    前記第1基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、
    前記シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含み、
    前記バリア層は、金属箔を含
    前記第2基材層の厚さは、9μm以上15μm以下である、積層体。
  2. 前記第2基材層は、ポリアミド又はポリブチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含む、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記シーラント層は、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを5質量%以上25質量%以下含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンおよび化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンを合計で75質量%以上95質量%以下含む、請求項3または4に記載の積層体。
  6. 前記第1基材層と前記バリア層との間に印刷層をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体を備える、包装袋。
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