JP7174341B2 - 積層体およびそれを備える包装袋 - Google Patents
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Description
前記第1基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含む、積層体である。
本発明による積層体は、少なくとも、第1基材層と、バリア層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備えている。積層体は、更に、接着剤層、印刷層や他の層等を備えてもよい。積層体が接着剤層や他の層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体は、第1基材層を少なくとも備える。積層体が基材層を備えることで、包装袋を製造した際に、強度を向上させることができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
なお、PMCとは、Percent Modern Carbonの略である。
(第2基材層の第1の構成)
第1の構成に係る第2基材層は、ナイロン等のポリアミドを含む樹脂層である。第2基材層は延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることがより好ましい。
第1の構成に係る第2基材層は、主成分としてポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)を含む。例えば、第2基材層は、51質量%以上のPBTを含む。
第3の構成に係る第2基材層は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む。例えば、第2基材層は、グリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第3の構成に係る第2基材層におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。また、第3の構成に係る第2基材層は、ポリブチレンテレフタレートと添加剤のみで構成されていることが好ましい。
シーラント層は、積層体を用いて包装袋を製造する際に、包装袋の内容物側に配置されて、積層体どうしをシールする機能を有するものである。シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(LDPE)とを含む。また、シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(LDPE)とをことで、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
により求めることができる。なお、バイオマス由来の原料であるエチレンを用いて製造されたポリエチレンのバイオマス度は、重量比率で表しても、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値として表しても同じ値となる。
次に、バリア層について説明する。本発明の積層体を構成するバリア層としては、金属箔、又は無機若しくは無機酸化物の蒸着層を好適に使用することができる。
バリア層を構成する金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔が好ましい。また、包装袋に金属光沢を付与することができるため、意匠性を向上させることができる。金属箔の厚さは、例えば5μm以上且つ15μm以下である。
無機若しくは無機酸化物の蒸着層は、従来公知の方法により形成することができる蒸着膜からなる層である。蒸着層を備えることで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を、付与ないし向上させることができる。なお、バリア層は、蒸着層を2層以上備えてもよい。蒸着層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
必要に応じて、上記の蒸着層の上にガスバリア性塗布膜を設けてもよい。ガスバリア性塗布膜は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する塗膜である。ガスバリア性塗布膜は、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物により得られる。
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、印刷によって形成される層である。印刷層は、例えば、絵、写真、文字、数字、図形、記号、模様などの所望の任意の絵柄層を含むものである。印刷層は、絵柄層の絵柄を際立たせるよう印刷により形成された地色層を更に含んでいてもよい。印刷層は、必要に応じて設けることができ、例えば、第1基材層とバリア層の間に設けることができる。印刷層は、第1基材層の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
ポリエステルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能カルボン酸の少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能カルボン酸との反応物
バイオマス由来のブチレングリコールは、植物原料からグリコールを製造し発酵することで得られたコハク酸を得て、これを水添することによって製造することができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、例えば、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造することができる。
ポリエーテルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能イソシアネートの少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエーテルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能イソシアネートとの反応物
着色剤としては、特に限定されず、従来公知の顔料や染料を用いることができる。
接着剤層は、任意の2層をドライラミネート法により接着する場合に設けられる層であり、例えば、第1基材層とバリア層との間、バリア層と第2基材層との間、および第2基材層とシーラント層との間などに設けることができる。接着剤層は、任意の2層を積層する際に、積層される側の層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成することができる。接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。この場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでもよい。
積層体は、他の層として、熱可塑性樹脂層等をさらに備えていてもよい。熱可塑性樹脂層としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)などを用いることができる。
本発明による積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。
本発明による包装袋は、上記積層体を備えるものである。例えば、上記積層体を使用し、これを二つ折にするか、又は該積層体2枚を用意し、そのシーラントの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を製造することができる。
図4に示した詰め替えパウチ100は、スタンディングパウチ形式で作製したものであり、パウチの底部を、前後の壁面フィルム(上記積層体を使用する)101、101′の下部の間に底面フィルム(壁面フィルムと同じてあっても異なっていてもよい)103を内側に折り返して底面フィルム折り返し部102まで挿入してなるガセット部104を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部103a、103bを設け、ガセット部104を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部105でヒートシールして形成する。また、パウチの胴部は、前後の壁面フィルム101、101′の両側の端縁部を側部シール部106a、106bでヒートシールして形成すると共に、パウチ100の上部の一方のコーナー部(図4において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部107でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部110が、その両側に切り欠き部109a、109bを設けて突出する形状に設けられている。また、パウチ100の上部のうち、注出口部110を設けていない部分は、上部シール部108でヒートシールするが、この部分は内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。なお、上述の例では、2枚の壁面フィルムと、1枚の底面フィルムを用いて詰め替えパウチ100を構成する例について説明したが、1枚のフィルムまたは2枚のフィルムを用いて詰め替えパウチを構成するようにしてもよい。
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)を用いて製膜した、二軸延伸されたPETフィルム(放射性炭素(C14)測定に基づくバイオマス度:13%、厚さ12μm)を準備した。続いて、PETフィルムのうち包装袋を構成する際に内面側に位置する面に、グラビア印刷により印刷層を形成した。また、第2基材層として、2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム箔(東洋アルミニウム製、厚さ7μm)を準備した。
バイオPET/印/DL/ALM/DL/ONy/DL/バイオPE
「/」は層と層の境界を表している。左端の層が、積層体の外面を構成する層であり、右端の層が、積層体の内面を構成する層である。
「バイオPET」は、バイオマス由来のPETを意味する。「印」は、印刷層を意味する。「DL」は、接着剤を含む接着剤層を意味する。「ONy」は、ナイロンを意味する。「ALM」は、アルミニウム箔を意味する。「バイオPE」は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含むポリエチレンフィルムを意味する。
シーラント層として、以下のポリエチレンフィルム(厚さ60μm)を使用した以外は、実施例1の場合と同様にして、図1に示す積層体10を作製した。ポリエチレンフィルムとしては、下記のように作製されたものを用いた。まず、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm3、MFR:3.8g/10分、バイオマス度:0%)80質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度:0.924g/cm3、MFR:2.0g/10分、バイオマス度:0%)20質量部とを溶融混練して、樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成膜して、シーラント層用のポリエチレンフィルム(厚さ60μm、バイオマス度:0%)を得た。
積層体10の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/印/DL/ALM/DL/ONy/DL/PE
「PE」は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含むポリエチレンフィルムを意味する。
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸されたPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5102、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、図1に示す積層体10を作製した。積層体10の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/印/DL/ONy/DL/ALM/DL/バイオPE
「化石PET」は、化石燃料由来のPETを意味する。
実施例1で得られた積層体を壁面フィルムおよび底面フィルムとして用い、シーラント層同士をヒートシールして、さらに図5に示すような注出補助部材を壁面フィルムの内面側に取り付けて、図4に示す注出補助部材付スタンディングパウチを作製した。同様にして、実施例2および比較例1で得られた積層体を用いて図4に示す注出補助部材付スタンディングパウチを作製した。
上記で得られた各パウチに、水200ccを充填し、ヒートシールして密封した。次いで、これらのパウチを、底部を下向きにした状態で、1.2mの高さから繰り返し10回落下させて、下記の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:パウチは破袋しなかった。
×:パウチは破袋した。
実施例1、2および比較例1で得られた各積層体を用いて、上記と同様にして作製した図4に示す注出補助部材付スタンディングパウチを各3つ用意した。続いて、スタンディングパウチの注出口部に設けられたノッチを基点として、ハーフカット線に沿ってカットしたときの手切れ性を確認した。
(評価基準)
○:3つのサンプルとも、過度に力を掛けることなくカットすることができた。
×:1つのサンプルでも、過度に力を掛けないとカットすることができなかった。
11、21 第1基材層
12、22 バリア層
13、23 第2基材層
14、24 シーラント層
25 印刷層
26、27 接着剤層
100 詰め替えパウチ
101、101′壁面フィルム
102 底面フィルム折り返し部
103 底面フィルム
103a 、103b 底面フィルム切り欠き部
104 ガセット部
105 底部シール部
106a 、106b 側部シール部
107 注出口部シール部
108 上部シール部
109a 、109b 切り欠き部
110 注出口部
111 ハーフカット線
112 ノッチ
200 注出補助部材
201 開放部
202 底部分
203 突出片
Claims (7)
- 少なくとも、第1基材層と、バリア層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
前記第1基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層は、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含み、
前記バリア層は、金属箔を含み、
前記第2基材層の厚さは、9μm以上15μm以下である、積層体。 - 前記第2基材層は、ポリアミド又はポリブチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載の積層体。
- 前記シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の低密度ポリエチレンとを含む、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記シーラント層は、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを5質量%以上25質量%以下含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンおよび化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンを合計で75質量%以上95質量%以下含む、請求項3または4に記載の積層体。
- 前記第1基材層と前記バリア層との間に印刷層をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層体を備える、包装袋。
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