JP7165298B2 - 摺動用複合材料及びこれを備えた摺動部材 - Google Patents

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本発明は、摺動用複合材料及びこれを備えた摺動部材に関するものである。
この種の複合材料としては、例えば、繊維製の基材に各種の樹脂を含浸した後プリプレグとし、このプリプレグを積層して硬化させた積層体が知られている。このうち、綿布等の織物にフェノール樹脂を含浸した積層体は、難燃性、潤滑時の摩擦摩耗特性、機械的強度に優れ、比較的安価に製造可能なことから、各種産業装置の軸受や他の摺動部材として広く使用されている。しかし、例えば綿布にフェノール樹脂を含浸した複合材料の場合は、綿布及びフェノール樹脂が水と親和性が良好なため、吸水率が高く膨潤し、その結果寸法変化が大きくなる。そのため、湿潤条件下等で使用され、高い寸法精度が要求される用途には適していないとされていた。
この改善策として、吸水性の低い繊維を用いた布帛を基材として用いることが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
特許文献1には、ふっ素樹脂繊維の片撚り糸とポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維の片撚り糸を少なくとも2本引き揃え、該片撚り糸の片撚り方向と反対側の撚りを掛けて形成した双糸を経糸及び緯糸として形成した織布からなる補強基材に、四ふっ化エチレン(PTFE)樹脂が分散含有されたレゾール型フェノール樹脂を含浸した摺動面材において、補強基材が平織織布であり、この平織織布の密度が、経糸36~44本/2.54cm、緯糸36~44本/2.54cmであることが記載されている。そして、このような構成を有することで、基材とフェノール樹脂との接着性が良好で、摩擦摩耗特性に優れ、水膨潤性が低く寸法精度が高い摺動面材が得られるとされている。
特許文献2には、ビスフェノールAを50~100モル%含むフェノール類とホルムアルデヒド類とをアミン類を触媒として合成され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による数平均分子量Mnが500~1000であり、かつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比としての分散度Mw/Mnが2.5~15であるレゾール型フェノール樹脂を、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維織布に対し含浸してなる摺動部材用繊維強化樹脂組成物が記載されている。そして、これにより、PPS繊維織布とフェノール樹脂との接着性が良好で、水に対する耐膨潤性が良好であるとされている。
特許文献3には、摺動織物と樹脂が含浸されてもよいベース織物とを含む多重織物であって、摺動織物が、ポリテトラフルオロエチレン繊維Aを含んだ織物であり、ベース織物が、標準状態で破断強度の20%荷重下でのクリープ率がポリテトラフルオロエチレン繊維より低い繊維Bからなる織物であり、ポリテトラフルオロエチレン繊維Aは、全体の90モル%以上がテトラフルオロエチレンであるコポリマーからなり、繊維Bがポリフェニレンサルファイド繊維であり、摺動織物とべース織物が互いのタテ糸および/またはヨコ糸で互いに絡み合い結合している耐摩耗性多重織物が記載されている。そして、これにより、耐摩耗性が高く、従来よりも高荷重下の環境下でも長期間摺動性を発揮することができるとされている。
特許第5859183号公報 特許第5249726号公報 特許第5988006号公報
前記の特許文献に記載の発明により、基材と含浸樹脂との接着性を相応に確保しつつ、水の膨潤を抑制した複合材料を得ることはある程度可能である。しかしながら、引用文献1に記載の発明では、フッ素樹脂繊維及びPPS繊維を用いた特定の糸により形成した特定の織布を用いるとともに、基材に含浸させる樹脂にはPTFE樹脂を含有させる必要があり、機械的強度、コストの点で改善の余地がある。引用文献2に記載の発明では、PPS繊維の織布を用いているため、フェノール樹脂が含浸し難く、耐摩耗性能、コストの点で改善の余地がある。引用文献3に記載の発明では、PTFE繊維の摺動織物と、樹脂が含浸されてもよいPPS繊維のベース織物とを含む多重織物を使用する必要があり、機械的強度、コストの点で改善の余地がある。
そこで、本発明の課題は、基材と含浸樹脂とが良好に一体化されているとともに、水の膨潤が抑制され、フェノール樹脂の特性を損なうことなく、摺動用途として良好な機械的強度を有する摺動用複合材料及びそれを備えた摺動部材を安価に提供することである。
本発明者は鋭意検討を行ったところ、PPS繊維の不織布を基材として用いることで、フェノール樹脂がPPS繊維の繊維束の制約を受けずに良好に浸透するとともに、水の膨潤が抑制され、フェノール樹脂の特性を損なうことなく、摺動用途として良好な機械的強度を有する摺動用複合材料及びそれを備えた摺動部材を安価に提供可能であることを見出した。本発明の要旨は、以下のとおりである。
本発明の第一は、基材とフェノール樹脂とを備える摺動用複合材料であって、前記基材がポリフェニレンサルファイド繊維の不織布であり、該不織布に前記フェノール樹脂が含浸されており、前記基材(A)と前記フェノール樹脂(B)の比率(A/B)が重量基準で30/70~55/45である摺動用複合材料に関する。
本発明の実施形態では、フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂であってもよい。また、基材は、補強層を有してもよい。また、不織布の目付けは、250~650g/mであってもよい。また、不織布に、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボンブラック及び炭素繊維から選択される少なくとも1種が含浸されていてもよい。また、基材が不織布を複数備えてもよく、この場合、それら不織布がその厚み方向に積層されていてもよい。
本発明の第二は、前述の摺動用複合材料が摺動面に設けられた摺動部材に関する。
本発明によれば、基材と含浸樹脂とが良好に一体化されているとともに、水の膨潤が抑制され、しかも、フェノール樹脂の特性を損なうことなく、摺動用途として良好な機械的強度を有する摺動用複合材料及びそれを備えた摺動部材を安価に提供することが可能である。
実施例1、2、比較例1、2の試験片を用いてピンオンディスク試験を行った時の各試験片の摩耗高さの経時変化を示した図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明に係る摺動用複合材料の実施形態は、基材とフェノール樹脂とを備える。そして、基材はポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維の不織布である。また、この不織布にフェノール樹脂が含浸されている。
前記PPS繊維は、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性に優れる。また、PPS繊維の吸水性は0.1重量%以下とされている。そのため、PPS繊維を用いることにより複合材料への水の膨潤を抑制することができる。また、PPS自体は汎用のエンジニアリングプラスチックに匹敵する耐衝撃性、機械的強度を有するとされ、PPS繊維も同様に優れた機械的強度を有し得る。このような特性を有するPPS繊維は、ポリマー構成単位が-(C-S)-を主な構造単位とする重合体からなる合成繊維である。-(C-S)-で示される構造単位は、p-フェニレン単位でもよいし、m-フェニレン単位でもよい。また、他の構造単位としては、例えば、-(C-O-C-S)-、-(C-SO-C-S)-、-(C-CO-C-S)-、-(C(CH)-S)-、-(C(CH-S)-等が挙げられる。また、構成単位-(C-S)-を構造単位とする重合体は、直鎖構造であるのが好ましいが、一部に架橋構造を有するものであってもよい。これらPPS重合体の代表例としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられる。好ましいPPS重合体としては、ポリマーの主要構造単位として、-(C-S)-で表されるp-フェニレン単位を、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するものである。
PPS繊維の繊維長は、不織布のより良好な強度を得る観点からは、2~100mmが好ましい。また、同様の観点からは、単繊維の繊度は0.1~15デニールが好ましい。
PPS繊維の市販品の例としては、例えば、東レ株式会社製のトルコン(登録商標)、東洋紡株式会社製のプロコン(登録商標)等が挙げられる。
基材を構成する不織布は、例えば、JIS L0222に規定されたものを用いることができる。例えば、繊維を積層してシート状に広げたウェブにおいて、繊維間を次の(a)~(e)により適度に結合させ、布状にしたものが挙げられる;(a)接着剤による化学的接着、(b)加熱による融着、(c)鉤付き針による機械的な絡み合わせ(ニードルパンチ)、(d)高圧水流の噴射による絡み合わせ、(e)ウェブの縫い合わせ(ステッチボンド)。このうち、フェノール樹脂とより良好な一体化を行う観点から、ニードルパンチによる不織布が好ましい。ニードルパンチによる不織布は、いわゆるフェルトのような外観を有する。ニードルパンチによる不織布の場合、他の不織布や織物に比べて、フェノール樹脂が含浸し易く、繊維同士はピンポイントで絡み合っていることで、PPS繊維とフェノール樹脂との接触面積が大きくなっていると考えられる。その結果、空隙の少ない緻密な構造とすることができ、より良好な特性が得られると考えられる。
不織布の目けは、不織布のより良好な強度を得る観点、フェノール樹脂とより良好な一体化を図る観点からは、250~650g/mであるのが好ましい。この範囲内で目付けを低くすればフェノール樹脂の含浸量が相対的に増加し、強度が大きくなる傾向にある。この範囲内で目付けを大きくすると、耐摩耗性が高くなる傾向にある。そのため耐摩耗性がより重視される用途では、目付けを例えば450~650g/mとすることができる。また、より安定して、延いてはより安価に摺動用封合材料を製造するという理由で、不織布の引張強度が15N/mm以上であるのが好ましい。また、引張強度はこのような範囲であればその上限は特に限定はない。PPS繊維の不織布又は後述する補強層を組み合わせた同不織布の構成に応じて適宜設定することができる。PPS繊維の不織布の上限は、一般に安価に入手が容易であるという理由で、例えば、50N/mm以下とすることができる。不織布の厚みは含浸操作でフェノール樹脂等が均等に分散したプリプレグを得るという理由で、3mm未満かつ目付が650g/m以下が好ましい。
フェノール樹脂は、一般に、耐熱性、難燃性に優れ、良好な機械的特性を有する。そのため、前述のPPS繊維の基材にフェノール樹脂を含浸し、複合化することで、難燃性、機械的強度に優れ、水の吸水を抑制した複合材料が得られる。フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類との反応物であればよく、公知のものを採用することができる。
フェノール類は、特に限定されず、アルキルフェノール(クレゾール、キシレノールなど)、多価フェノール類(レゾルシンなど)、フェニルフェノール、アミノフェノールなどが挙げられる。また、アルデヒド類は、特に限定されず、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどが挙げられる。
不織布に含浸させる際のフェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂のいずれでもよく、用途等に応じて適宜選択することができる。PPS繊維の不織布とのより良好な一体の観点からは、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。レゾール型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類をアルデヒド類過剰かつ塩基触媒下で反応させたものである。ノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類をフェノール類過剰かつ酸触媒下で反応させたものである。このようなレゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂は、市販のものを使用することができる。例えば、住友ベークライト株式会社製のスミライトレジン(登録商標)PRシリーズ等が挙げられる。
レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂を硬化させることで摺動部材の摺動面用の部材とし得る。レゾール型フェノール樹脂は加熱又は酸添加により硬化させることができる。ノボラック型フェノール樹脂は、架橋剤の存在下で加熱することで硬化させることができる。ノボラック型フェノール樹脂を硬化させる際の架橋剤は、例えばヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。また、硬化の際の条件は、レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の種類等に応じて、適宜選択することができる。
不織布には、フェノール樹脂以外に他の添加剤が含浸されてもよい。このような添加剤としては、例えば、潤滑剤、制振剤、補強剤、耐熱剤、難燃剤、耐候剤等が挙げられる。
潤滑剤としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、カーボンブラック、炭素繊維、六方晶窒化ホウ素、タルク等が挙げられる。
制振剤としては、例えば、グラファイト、炭素繊維、チタン酸カリウム、マイカ等が挙げられる。
補強剤としては、例えば、炭素繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、アラミド繊維、ガラス繊維、タルク、マイカ等が挙げられる。
耐熱剤としては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン等の断熱剤、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の熱伝導性付与剤、アルミナ、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、木炭粉末等の熱線輻射剤等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム等の水酸化物系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、硼酸亜鉛、赤燐、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ドーソナイト等が挙げられる。
耐候剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
以上のような添加剤のうち、摺動部材の相手材への攻撃性を抑制しつつ、機能を発揮させる観点からは、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボンブラック及び炭素繊維から選択される少なくとも1種が好ましい。
基材は、補強層を有していてもよい。このような補強層としては、例えば、PPS繊維の不織布の間に設けられるスクリム布、ろ布(濾布)などの布等が挙げられる。このような布は、例えばPPS繊維で形成されるのが好ましい。補強層は、例えば、不織布の内層、もしくは少なくとも一方の面に隣接して設けることができる。補強層は、プリプレグを積層した積層体を形成する場合、用途等に応じて、全ての不織布に設けられていてもよいし、一部の不織布に設けられていても良い。補強層は、例えば、不織布を形成する際に不織布と一体化することができる。
基材における不織布の数は、用途等に応じて適宜決定することができ、1つでもよいし、複数であってもよい。また、摺動用複合材料の厚みを大きくする場合は、複数の不織布が、基材の厚み方向に積層されているのが好ましい。
基材(A)とフェノール樹脂(B)の比率(A/B)は、特に限定はなく、例えば、重量基準で30/70~55/45である。また、前述の添加剤を用いる場合の含量は、特に限定はなく、その種類に応じて適宜決定することができる。例えば、潤滑剤の添加量は、フェノール樹脂100重量部に対して、0重量部を超え20重量部以下とすることができる。また、例えば、補強剤、耐熱剤、難燃剤、耐候性付与剤は、フェノール樹脂100重量部に対して、0重量部を超え6重量部以下とすることができる。複数の添加剤を用いる場合、その上限は、概ね、フェノール樹脂100重量部に対して、50重量部以下とすることができる。摺動用複合材料のフェノール樹脂中に均一に分散させやすいという理由では、フェノール樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、25重量部以下がより好ましい。
摺動用複合材料は、公知の方法により製造することができる。例えば、先ずPPS繊維の不織布を、フェノール樹脂を含むワニスと接触させる。PPS繊維の不織布を、フェノール樹脂を含むワニスと接触させる方法としては、PPS繊維の不織布をワニスに浸漬する方法、ワニスを塗布する方法、ワニスを噴霧する方法等が挙げられ得る。また、この際、不織布は、断片を1つずつワニスと接触させてもよいし、例えばアンコイラー等の装置を用いて長尺の不織布を長軸方向に移動させながら連続してワニスに接触させてもよい。量産性を考慮すると、長尺の不織布を連続してワニスに接触させるのが好ましい。この場合、不織布の引張強度が前述の下限値以上であるとより安定した処理を行うことができる。次いで、例えばギャップロール等により面圧を負荷してワニスを不織布に含浸させる。併せて、必要に応じて余分なワニスを除去する。その後、ワニスが含浸した不織布を加熱して、ワニスに含まれる溶剤を除去するとともに、フェノール樹脂を一部硬化させる。これにより、フェノール樹脂が含浸した不織布のプリプレグが形成される。このプリプレグは、本発明の摺動用複合材料の実施形態の一例である。
前記ワニスは、レゾール型フェノール樹脂の場合は、レゾール型フェノール樹脂、必要に応じて添加される酸、必要に応じて添加される添加剤、溶剤を含む。ノボラック型フェノール樹脂の場合は、ノボラック型フェノール樹脂、架橋剤、必要に応じて添加される添加剤、溶剤を含む。溶剤は従来公知のものを用いることができる。
前記プリプレグを加熱加圧してフェノール樹脂をさらに硬化させることで摺動部材の摺動面を構成する摺動面部材となる。複数の不織布が積層された摺動面部材を形成する場合、不織布を厚み方向に重ねて積層し、加熱加圧することで、複数の不織布が一体化された積層体が得られる。このような摺動面部材も、本発明の摺動用複合材料の実施形態の一例である。
プリプレグを用いて、公知の方法により、所定の形状を有する摺動面部材を成形することができる。例えば、平板状の場合は、プリプレグを平板状に配置して加熱加圧することで得られる。円筒状の場合は、プリプレグを所望の外径の芯型に巻き付けながら加熱加圧することで得られる。また、所望の外表面形状を形成する場合は、この外表面形状に対応する表面形状の金型の表面にプリプレグの小片を敷きつめて加熱加圧することで得られる。また、プリプレグを加熱加圧した後に、切削加工を施して、所望の形状に加工することもできる。
このように、プリプレグを加熱加圧して得られる複合材料は、摺動部材の摺動面に設けられる摺動面部材として用いることができる。摺動部材としては、例えば、鉄鋼ラインの摺動を要する防傷部材、船舶海洋用途向け及び各種装置の軸受、ライナー等が挙げられる。このうち、水と接した場合でも寸法変化を抑制できるため、船舶や給排水ポンプ等に用いられる水潤滑用軸受として、特に好適である。また、一般的なフェノール樹脂、PPS繊維の不織布を用いることが可能なため、安価に摺動用複合材料及び摺動部材を提供可能である。また、フェノール樹脂をPPS繊維の不織布に含浸させているだけであり、PPS繊維は耐熱性に優れるため、フェノール樹脂の難燃性の特性が損なわれることがなく、良好な機械的強度を有する。
以下、本発明の実施形態について、実施例に基づきさらに詳細に説明する。
(実施例1)
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、スミライトレジン(登録商標)PR-50252)46重量%、架橋剤ヘキサミン4重量%、溶剤(メタノール)50重量%のワニスを調整した。PPS繊維の不織布(東レ株式会社製、トルコン(登録商標)RF55、ニードルパンチ不織布、目付け:550g/m、厚み:1.4mm、引張強度:40N/mm)をワニスに浸漬した後、不織布を絞りロール間に通してワニスを不織布に含浸させた。その後、100℃で60分乾燥させプリプレグを得た。プリプレグは、PPS繊維の不織布とフェノール樹脂の重量比が、45/55であった。
プリプレグを厚み方向に22層積層した後、180℃、5MPaで60分加熱加圧し、摺動面部材を得た。
(実施例2)
PPS繊維の不織布として、東レ株式会社製、トルコン(登録商標)RF55に替えて、株式会社フジコー製、RFSL30、目付け:300g/m、厚み:0.5mm、引張強度:20N/mmを用いた以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び摺動面部材を得た。
(比較例1)
PPS繊維の不織布に替えて、PPS繊維の平織(東レ株式会社製、TFRC-1、目付け:380g/m、厚み:0.6mm、引張強度:15N/mm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び摺動面部材を得た。
(比較例2)
PPS繊維の不織布に替えて、綿布(東工コーセン社製、11号帆布、目付け:340g/m、厚み:0.6mm、引張強度:30N/mm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ及び摺動面部材を得た。
実施例1、2及び比較例1、2で得られた摺動面部材から試験片を作製し、下記の評価試験を行った。評価結果を表1に示す。また、摩耗高さの経時変化を図1に示す。
(評価)
<比重>
JIS K7112に準拠した方法にて、比重を測定した。
<硬度>
JIS K7202に準拠した方法にて、摺動面部材の厚み方向についてロックウェル硬度を測定した。
<曲げ特性>
JIS K6911に準拠した方法にて、摺動面部材の厚み方向について曲げ試験を行った。
<圧縮特性>
JIS K6911に準拠した方法にて、摺動面部材の厚み方向について圧縮試験を行った。
<寸法安定性>
50mm×50mm×厚み10mmの試験片を20℃に保った水中に28日間静置した後の摺動面部材の厚み方向の寸法変化率を算出した。
<摩擦摩耗特性>
φ5mmの試験片を作製し、ピンオンディスク型の摩擦摩耗試験機(スターライト工業株式会社製、オートピンディスクAPD-101)を用いて、表2に示す条件にてピンオンディスク試験を行った。試験は2回ずつ行った。φ5mmの試験片は、中心軸方向が摺動面部材の厚み方向となるようにした。表1中、比摩耗量は、試験開始からの経過時間が30~40時間における1時間当たりの算出摩耗高さを意味する。試験結果を表1、図1に示す。
表1に示すように、PPS繊維の不織布を用いることで、実施例1、2では、硬度、曲げ強さ、圧縮強さが比較例1、2と同等以上であるうえ、水の吸水を抑制して寸法変化率が極めて低くなっていることが分かる。また、比摩耗量も大幅に低減できることが分かる。図1に示すように、摩耗高さは、試験時間をとおして、実施例1、2は比較例1、2より大幅に低くなっていることが分かる。
Figure 0007165298000001
Figure 0007165298000002



Claims (7)

  1. 基材とフェノール樹脂とを備える摺動用複合材料であって、
    前記基材がポリフェニレンサルファイド繊維の不織布であり、該不織布に前記フェノール樹脂が含浸されており、
    前記基材(A)と前記フェノール樹脂(B)の比率(A/B)が重量基準で30/70~55/45である摺動用複合材料。
  2. 前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂である請求項1記載の摺動用複合材料。
  3. 前記基材が、補強層を有する請求項1又は2に記載の摺動用複合材料。
  4. 前記不織布の目付けが250~650g/mある請求項1~3の何れか1項に記載の摺動用複合材料。
  5. 前記不織布に、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボンブラック及び炭素繊維から選択される少なくとも1種が含浸されている請求項1~4の何れか1項に記載の摺動用複合材料。
  6. 前記基材が不織布を複数備え、該不織布がその厚み方向に積層されている請求項1~5の何れか1項に記載の摺動用複合材料。
  7. 請求項1~6の何れか1項に記載の摺動用複合材料が摺動面に設けられた摺動部材。
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