JP7164851B2 - 透過潜像形成体 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止技術の付与が求められる旅券等といった身分証明書やカード製品等において、反射光下で観察した場合には視認されず、かつ、透過光下における特定の観察角度で観察した場合にのみ潜像画像が視認される透過潜像形成体に関するものである。
各種身分証明書やカード製品等は、セキュリティ性が求められるものであり、偽造や改ざんし難い性質を有することが求められる。これらカード製品等に対する偽造防止策としては、例えば、レンチキュラーレンズ等の基材の厚みを用いて形成したレンズ効果により、潜像画像を付与する技術等が公知である。
また、透明基材を用いた技術として、基材の表裏面に特定のピッチ及び特定の画線幅によって万線パターンを形成し、透明基材を透過して観察される光源が、表裏面に形成された万線パターンの関係によって基材を傾けて観察した場合に、光の透過光量の変化によって連続的に明暗差が生じる技術が既知である(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術は、表裏面のいずれかに形成した万線パターンを異なる色で形成する構成、表裏のいずれかに形成した万線パターンの一部のピッチを変更して形成することで、濃淡及び色変化を伴う模様を付与することができる技術である。
他方、本出願人は、光透過性を有する基材の表裏面に画線又はドットパターンが形成された印刷物として、表面側にメッセージ画像部と背景に区分けされた一様の画線又はドットパターンを形成し、メッセージ画像部と背景画像部は、肉眼では視認することができないスリットパターンが異なる方向に沿って形成され、裏面側に表面に形成された画線又はドットパターンを表面側に形成したパターンと一致又は異なる位置に形成し、印刷物を真上から観察した場合又は傾けて観察した場合に、潜像画像が出現する微小スリット画線を利用した真偽判別印刷物について出願している(例えば、特許文献2参照)。
特許第2802484号公報 特開2002-254791号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術は、透明基材の表裏面に特定のパターンを形成し、透過光下で観察した場合に、表裏の特定パターンが重なって観察されることを利用し、色変化やメッセージ画像を視認させるものである。これらの技術は、基材の表裏面から反射光下で観察した場合に、意味のない特定の反射画像が視認されてしまい、意匠性に劣るといった課題が残されている。
また、特許文献1及び特許文献2の技術は、透明基材の表裏面に形成されたパターンが干渉しあうことで潜像画像を出現させるものであるため、付与する画像又は色変化等が限られたものとなり、偽造防止効果を発現させる観点から少なからず改善の余地があった。
本発明は、前述の課題解消を図るものであり、特に透明又は半透明の基材に、潜像画像の原画像に合わせた線状の亀裂を基材の内部に形成することで、透過光下における特定の観察角度にて潜像画像が視認される透過潜像形成体を考案したものである。
本発明の透過潜像形成体は、透明又は半透明の基材の少なくとも一部に、基材の一方の面から他方の面に向けた内部方向に、線状の亀裂が複数形成された潜像部を有し、潜像部は、第1の方向に沿って線状の亀裂が複数形成された第1の潜像パターンを有し、潜像部を線状の亀裂の深さ方向に対して斜め方向から観察した場合に第1の潜像パターンが視認されることを特徴とする透過潜像形成体である。
また、透過潜像形成体における複数の線状の亀裂は、基材と異なる色彩を有することを特徴とする透過潜像形成体である。
また、透過潜像形成体における第1の潜像パターンは、連続階調画像であることを特徴とする透過潜像形成体である。
また、透過潜像形成体における潜像部は、第1の方向と異なる第nの方向(nは、2以上の自然数)に沿って線状の亀裂が複数形成された第nの潜像パターンを有し、第nの潜像パターンにおける線状の亀裂の深さ方向に対して斜め方向から観察した場合、第nの潜像パターンが視認されることを特徴とする透過潜像形成体である。
また、透過潜像形成体における第nの潜像パターンは、第1の潜像パターンと同形状か、又は形状の一部が連続的に変化するパターンによって形成され、第1の潜像パターンを形成する第1の方向と第nの潜像パターンを形成する第nの方向が連続的に変化して配置されたことを特徴とする透過潜像形成体である。
また、本発明の透過潜像形成体の作製方法は、透明又は半透明の基材の少なくとも一部に、透過光下における特定の観察角度で潜像画像が観察される透過潜像形成体の作製方法であって、基材の一方の面に、潜像画像の形状に応じて溶剤及び/又はインキを塗布する塗布工程と、塗布工程によって溶剤及び/又はインキが塗布された基材に応力を印加して基材の表面から内部に向けた複数の線状の亀裂を形成する応力印加工程を少なくとも有することを特徴とする透過潜像形成体の作製方法である。
さらに、応力印加工程の後に基材表面に塗布された溶剤及び/又はインキを洗浄する洗浄工程をさらに有することを特徴とする透過潜像形成体の作製方法である。
本発明の透過潜像形成体は、透明又は半透明の基材の一方の面側から基材の内部にかけて、線状の亀裂を複数形成することで潜像画像を形成しているため、反射光下では潜像画像が視認されず、透過光下で透明窓の効果を得るとともに、透過光下の特定の観察角度でのみ潜像画像が視認されることから、反射光下における意匠性を担保することができる。
また、本発明の透過潜像形成体は、線状の亀裂を発生させる方向を任意に設定することができる。そのため、線状の亀裂に対して入射する光の角度を変化させることで、潜像画像がチェンジする効果や動的な潜像効果を得ることができる。
透過潜像形成体としてカード製品の一例を示す。 透過潜像形成体の断面構造の一例を示す。 観察角度によって視認される潜像画像を示す。 透過潜像形成体を作製する作製システムのブロック図を示す。 透過潜像形成体の作製方法を示す。 透過潜像形成体の作製工程での原画像及び印刷版面の一例を示す。 応力印加にて線状の亀裂を発生させる工程を示す。 第2の実施の形態での透過潜像形成体の一例を示す。 第2の実施の形態での透過潜像形成体の観察条件及び視認画像を示す。 第2の実施形態での透過潜像形成体の変形例を示す。 実施例2での透過潜像形成体の観察条件及び視認画像を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態における潜像画像形成体(1)(以下、「形成体」という。)について、図1を用いて説明する。図1(a)は、本発明の形成体(1)としてのカード製品の一例であり、図1(b)の拡大図に示すように、カード製品上の少なくとも一部に窓部(3)が形成され、その窓部(3)内に潜像部(4)が形成される態様である。また、窓部(3)を形成した基材(2)は、透明又は半透明である必要があり、材質については、PET、PETG、ポリカーボネート等のカード製品に用いられる一般的なプラスチック素材等の樹脂材料であれば特に限定されない。
第1の実施の形態における形成体(1)では、カード製品の一部に窓部(3)を形成した例について説明するが、カード製品全面を形成体(1)とする構成や、紙等のプラスチック以外の素材を主とした製品の一部をカットして、その部分にプラスチック等の基材(2)をあてがい形成体(1)として形成することもある。
また、本発明の形成体(1)は、前述した基材(2)に複数の線状の亀裂(5)を発生させることで潜像部(4)を形成するものであり、その方法は、基材(2)の任意の箇所に有機溶剤等を塗布し、その基材(2)に応力を印加する、又は基材(2)を折り曲げることで、基材(2)に複数の線状の亀裂(5)を発生させて潜像部(4)を形成するものである。この有機溶剤等を塗布する際に、潜像画像の基となる原画像の形状にあわせて、潜像画像を観察する時に光源を反射させる第1の方向(図中S1方向)に沿って有機溶剤等を塗布することで、潜像画像の形状に合わせた複数の線状の亀裂(5)による潜像部(4)を形成することができる。この線状の亀裂(5)が発生する現象は一般的に「ソルベントクラック」と称されており、この線状の亀裂(5)を窓部(3)に形成することで、観察角度によって潜像部(4)が視認される形成体(1)を得ることができる。
次に、図2を用いて形成体(1)の構成について説明する。図2(a)は、形成体(1)の拡大図を示すものであり、窓部(3)内に星型の潜像部(4)が形成されている。図2(b)は、図2(a)の拡大図におけるA-A´の断面図を示すものであり、潜像部(4)が形成された領域には、第1の方向に沿って線状に形成、かつ、基材(2)の厚さ方向に対してほぼ垂直に形成された線状の亀裂(5)が複数形成されている。
本発明の形成体(1)に付与可能な潜像画像については、文字、ロゴマーク及び顔画像等、任意の形状により形成することが可能であり、潜像画像に合わせて有機溶剤等を塗布し、線状の亀裂(5)の長さ及び密度を変化させることで、如何なる画像も付与可能である。なお、付与方法については後述する。
次に、本発明の形成体(1)に形成した線状の亀裂(5)によって潜像画像が視認される原理について図3を用いて説明する。図3(a)は、形成体(1)を挟んで基材(2)の内部方向に形成された線状の亀裂(5)の深さ方向に光源(7)が入射する位置で観察した状態を示すものであり、基材(2)の厚さ方向に沿って光源(7)が入射した場合には、線状の亀裂(5)による光の散乱は発生しないため、線状の亀裂(5)が形成された領域と形成されていない領域における光の透過光量に差が生じない。そのため、潜像部(4)を区別して視認することができないため、単なる透明窓として視認される。
一方、図3(b)は、形成体(1)に対して入射する光が、線状の亀裂(5)の断面に入射するように線状の亀裂(5)の深さ方向に対して斜め方向から観察される画像を示すものであり、基材(2)に対して上部方向から下部方向に光が入射した場合、線状の亀裂(5)の断面に光源(7)が入射することで光の散乱が発生し、線状の亀裂(5)が形成された領域と形成されていない領域において、光の透過光量に差が生じる。これにより、星型の潜像部(4)が視認されるものである。なお、本発明において、線状の亀裂(5)の深さ方向に対して斜め方向から観察する状態として、線状の亀裂(5)断面に対して上部方向から下部方向に光源(7)が入射した例で説明したが、線状の亀裂(5)断面に対して光源(7)が入射するように基材(2)を傾けて観察し、線状の亀裂(5)断面によって光の散乱が発生する角度であれば、線状の亀裂(5)が形成された領域とされていない領域において光の透過光量に差が生じ、潜像画像を視認することができる。
図4は、形成体(1)を作製するための作製システム(S)を示すブロック図である。作製システム(S)は、少なくとも入力部(101)、処理部(102)、出力部(103)及び加工部(104)を備えている。
入力部(101)は、第1の実施の形態における形成体(1)の作製に必要なデータを入力し、処理部(102)に入力情報を与える手段である。処理部(102)は、形成体(1)の作製に必要な演算処理及び画像処理を行い、得られた結果を出力部(103)に与える手段である。出力部(103)は、処理部(102)から与えられたデータを、外部の、例えば、印刷機等(図示せず)にて出力する手段である。また、加工部(104)は、出力部(103)にて印刷等が施された基材に応力を与える手段である。なお、処理部(102)には、与えられたデータ及び作製したデータを記録する記憶部(105)を、さらに有していてもよい。
次に、第1の実施の形態における形成体(1)の作製方法について、図5及び図6を用いて説明する。本発明の形成体(1)の作製方法は、図5に示すように、原画像設定工程(STEP1)、溶剤塗布工程(STEP2)、応力印加工程(STEP3)及び清掃工程(STEP4)を有するものである。ただし、本発明の形成体(1)を作製するための必須工程としては、潜像画像の形状に合わせて有機溶剤等を塗布する溶剤塗布工程(STEP2)と、有機溶剤等が塗布された基材(2)に応力を印加する応力印加工程(STEP3)であり、少なくともこれらを有していれば線状の亀裂(5)による潜像画像を形成することができる。
まず、STEP1の原画像設定工程では、潜像画像の基となる原画像データを入力部(101)から取得するか、又は、あらかじめ記憶部(105)に登録された画像データを取得して原画像(8)を設定する。本実施の形態では、図6(a)に示す星型の原画像(8)を設定した例にて説明するが、原画像(8)は、文字、図柄及び模様等、特に限定はなく、任意の画像とすることが可能である。また、図4に示すシステム(S)とは異なる他のシステムや画像処理ソフト等で作成された画像を用いてもよい。
次に、STEP2の溶剤塗布工程について説明する。溶剤塗布工程では、原画像設定工程にて作成された原画像(8)に基づき、図7(a)に示すように基材(2)上に有機溶剤等を塗布する。なお、溶剤塗布工程においてはインクジェット印刷のようにデジタルデータを用いる方法によりインキ等を直接塗布する場合においては、1枚ごとに異なるデータを原画像(8)として用いる可変情報を形成することが可能である。仮に、同じ原画像(8)を連続して形成したい場合には、原画像設定工程にて作成した原画像(8)を形成する印刷版面(9)を作製し、オフセット印刷又は凸版印刷等の公知の印刷方式により、図6(c)に示すように有機溶剤等を塗布してもよい。この方法は、連続印刷により大量の形成体(1)を作製する場合に適する。
また、原画像(8)に濃淡を有する連続階調画像を用いる場合は、既存の印刷として広く活用されている網点による階調表現と同様な手法によって作製した印刷版を用いることもできる。この場合、線状の亀裂(5)の粗密によって、観察時の図柄の階調表現が可能である。ただし、形成体(1)において、観察可能となる原画像(8)を考慮し、印刷に用いる版面はネガポジ反転したデータを基に作製する必要がある。
次に、STEP3の応力印加工程として、図6(d)に示すように、STEP2の溶剤塗布工程にて4有機溶剤等を塗布した基材(2)に応力を印加する。例えば、基材を折り曲げる。図6(d)の例では、表面が平滑なシート状の基材(2)を用いたものであり、縦方向に湾曲させて応力を印加しているが、部分的に応力を変えて印加する方法を用いることで、基材(2)の内部に形成される線状の亀裂(5)の疎密を変化させることも可能であり、その場合、線状の亀裂(5)の疎密によって階調を表現することができる。
次に、基材(2)の表面から内部方向に線状の亀裂(5)が発生する原理について、図7の断面図を用いて説明する。図7(a)に示すように、表面に有機溶剤等が塗布された状態の基材(2)に対し、図7(b)に示すように、基材を折り曲げ、応力を与えることで、図7(c)に示すように、応力の印加方向に対してほぼ垂直方向に線状の亀裂(5)が発生する。このように、基材(2)表面にあって有機溶剤を塗布した領域に沿って線状の亀裂(5)が発生するため、図6(d)の例で示すように、星型の原画像(8)内に、横方向に伸びた複数の線状の亀裂(5)が形成される。
なお、基材(2)上に形成される線状の亀裂(5)の長さや疎密は、基材(2)の材質、溶剤の種類、応力の印加度合いによって変化することから、形成体(1)の観察時の視認状態を鑑み、適宜設定すればよい。この設計に合わせて濃く観察させたい領域は、より多くの亀裂(5)を発生させ、淡く観察させたい領域は、少量の亀裂(5)を発生させることで、写真画像のような連続階調を有する潜像画像(図示せず)を形成することができる。
最後に、STEP4の清掃工程として、基材(2)の表面に塗布した溶剤を自然乾燥させるか、又はウエス等で拭き取り、基材(2)の表面を清掃することで図7(d)に示すように基材(2)表面から他方の面に向けた線状の亀裂(5)を発生させた形成体(1)を作製することができる。
これらの方法により作製した形成体(1)は、図3(a)に示すように、基材(2)内部における厚さ方向に発生した線状の亀裂(5)の深さ方向に光源(7)が入射する位置にて観察した場合、原画像(8)である星型の潜像部(4)を視認することがほぼできないが、図3(b)に示すように、線状の亀裂(5)断面に光源(7)が入射する角度で観察した場合、線状の亀裂(5)の断面に入射した光が散乱するため、線状の亀裂(5)が形成された領域と形成されていない領域において、光の透過光量に差が生じ、星型の潜像部(4)が視認される。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態における形成体(1´)について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態で形成した線状の亀裂(5)による潜像画像を複数設けた構成である。なお、基材(2)上に線状の亀裂(5)を形成するための方法及び原理は第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。
第2の実施の形態における形成体(1´)は、図8に示すように、第1の方向(図中S1)に沿って形成された第1の線状の亀裂(5´)によって形成された第1の潜像部(4´)と、第2の方向に沿って形成された第2の線状の亀裂(5´´)によって形成された第2の潜像部(4´´)が重畳して形成されたものである。第2の実施の形態では、第1の線状の亀裂(5´)によって星型の第1の潜像部(4´)を形成し、第2の線状の亀裂(5´´)によって三日月型の第2の潜像部(4´´)を形成している。
第2の実施の形態における形成体(1)の効果について、図9を用いて説明する。第2の実施の形態における形成体(1´)は、図9(a)に示すように、基材(2)の内部方向に形成された線状の亀裂(5)方向に向けて観察した場合、星型の画像として形成した第1の潜像部(4´)及び三日月型の画像として形成した第2の潜像部(4´´)を視認することがほぼできないが、図9(b)に示すように、形成体(1´)の第1の線状の亀裂(5´)の断面に光源(7)が入射する角度で基材(2)を傾けて観察した場合、第1の線状の亀裂(5)の断面で光が散乱するため、第1の線状の亀裂(5´)によって形成された領域と形成されていない領域において、光の透過光量に差が生じ、星型の第1の潜像部(4´)のみが視認される。また、図9(c)に示すように、第2の線状の亀裂(5´´)の断面に光源(7)が入射する角度で基材(2)を傾けて観察した場合、第2の線状の亀裂(5´´)の断面で光が散乱するため、第2の線状の亀裂(5´´)が形成された領域と形成されていない領域において、光の透過光量に差が生じ、三日月型の第2の線状の亀裂(5´´)のみが視認される。
第2の実施の形態では、2つの原画像に基づき、異なる方向に沿って線状の亀裂(5)によるパターンを形成することで、複数の潜像画像を形成することができる構成について説明したが、図10に示すように2つ以上の同じ原画像を用いて線状の亀裂(5、5´、5´´、5´´´)による潜像部を異なる角度で形成し、光源が線状の亀裂(5)の断面に入射する角度を変化させながら観察(図中の矢印方向に形成体(1)を回転させて視認)すると、潜像画像が回転しているように視認させる効果を得ることができる。図10では、形成体(1)を回転させた時に視認される一例として、図10(a)に示す状態では、一つ目の線状の亀裂(5)の断面に対して光源が入射する角度で観察しているため、その他の線状の亀裂(5´、5´´、5´´´)によって形成された星型の潜像画像は視認されないが、図10(b)に示すように、形成体(1)を矢印方向に回転させていくと、2つ目の線状の亀裂(5´)の断面によって光の散乱が発生し、さらに回転させると三つ目の線状の亀裂(5´´)によって形成された星型の潜像画像へと観察される画像が徐々に変化する動的な効果が得られる。
また、図10で説明した構成の応用例として、形成体(1)を回転させながら観察することで動的な潜像画像が視認されることに加え、原画像(8)の形状を徐々に変化させることで、異なる画像へと変化する構成とすることも可能である。これらの潜像画像が変形する構成では、画像の拡大縮小や回転等の様々な構成とすることが可能であり、特許請求の範囲に記載した線状の亀裂(5)によって形成できる全ての構成は、当然、本発明の範囲内である。
また、本発明の潜像画像は、写真画像のような連続階調画像とすることが可能であることのほか、基材(2)に塗布する有機溶剤等として、インクジェットプリンタインク等を用いることで、カラーの潜像画像を形成することも可能である。作製方法は、第1の実施の形態で説明した方法を用いて原画像(8)を階調画像とし、インクジェットプリンタを用いて線状の亀裂(5)を基材(2)上に形成することで作製することができる。
以下に、本発明の形成体における実施例について説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は、実施例1における形成体(1)を示すものであり、カード状の基材(2)の一部に窓部(3)が形成され、その窓部(3)に本発明の形成体(1)を付与したものである。本実施例における形成体(1)は、図6(a)に示すように、星型の原画像(8)を用いて線状の亀裂(5)によって潜像部(4)を形成した。
基材(2)は、厚さ0.5mmのポリカーボネート製の基材(2)(住友ベークライト製ECG101S)を用い、窓部(3)以外の領域には、地紋模様や個人情報等の印刷画像を形成した。
図6は、本実施例における形成体(1)の潜像画像を示すものである。図6(a)に示す星型の原画像(8)は、あらかじめ登録されたデータベースから選択した画像を用いた。また、本実施例では、データベースから選択した星型の潜像画像を付与したカード製品を大量作製することを想定し、溶剤塗布工程において、図6(b)に示す印刷版面を用いた。
次に、図6(b)に示す印刷版面(9)を用い、凸版印刷機によって基材(2)の窓部(3)に対して無色の溶剤インキを印刷し、星型の潜像画像を形成した。溶剤インキを塗布した基材(2)に応力を印加する応力印加工程については、図6(d)に示すように、基材(2)を湾曲させるように応力を印加することで、複数の線状の亀裂(5)を発生させた。
基材(2)を湾曲させる応力印加工程については、溶剤インキにより基材(2)上に潜像画像の基となる原画像(8)が付与された状態である基材(2)の両端を固定し、円筒状のロールを基材(2)の裏面側から押し当て、基材(2)を湾曲させることで応力を印加し、基材(2)表面に線状の亀裂(5)を発生させた。なお、線状の亀裂(5)の疎密は、選択する基材(2)の材質、厚さ及び溶剤によって異なるが、基材(2)に押し当てる円筒状のロールの径を小さく設定すると基材(2)を折り曲げる力が大きくなり、より微細な線状の亀裂(5)を密に付与することができる。また、基材(2)に対して印加する応力を部分的に変化させて形成することで、部分的に微細な亀裂の疎密を変化させることができ写真階調画像を原画像(8)とすることもできる。
最後に、応力を印加して表面に線状の亀裂(5)が形成された状態の基材(2)表面に付着した溶剤インキを拭き取り、自然乾燥させた。
前述の工程により作製した形成体(1)の潜像画像は、図3(a)に示すように、基材(2)の内部に形成された線状の亀裂(5)の断面に対して垂直に光源(7)が入射する角度にて観察した場合、原画像(8)である星型の潜像画像を視認することがほぼできなかったが、図3(b)に示すように、形成体(1)の線状の亀裂(5)の断面に光源(7)が入射する角度にて観察した場合、原画像(8)である星型の潜像画像が視認された。
(実施例2)
次に、実施例2の形成体(1)について説明する。実施例2の形成体(1)は、線状の亀裂(5)の内部に複数の色相を形成することで、カラーの潜像画像が形成されたものである。実施例2では、原画像(8)として桜の花びらの画像用い、花びらの色を画像の中心方向に向けて色をグラデーション変化させた画像のデジタルデータを作成し、インクジェットプリンタ(エプソン製EP-880AW)を用いて基材(2)上に直接印刷する方法を用いて作製した。
基材(2)は、実施例1で用いたポリカーボネート製の基材(2)を用い、全面が透明のプラスチック基材(2)に対して潜像画像を付与した。
実施例2の形成体(1)の作製は、基材(2)表面に対してインクジェットプリンタを用いてカラーの原画像(8)を印刷し、その印刷された基材(2)の両端部を固定した状態で裏面側から円筒状のロールを基材(2)の裏面側から押し当て、基材(2)を湾曲させることで応力を印加し、基材(2)の表面に線状の亀裂(5)を発生させた(図示せず)。
その後、基材(2)表面に付着した余分なインクジェットインキを拭き取り、線状の亀裂(5)の内部に入り込んだインクジェットインキを自然乾燥させることで作製した。
実施例2の形成体(1)の潜像画像は、図11(a)に示すように、基材(2)内部における厚さ方向に形成された線状の亀裂(5)の断面に対して、垂直方向に光源(7)が入射する位置にて観察した場合、原画像(8)であるグラデーションによって形成された桜の花びらの画像(4)をほぼ視認することはできないが、図11(b)に示すように、形成体(1)の線状の亀裂(5)の断面へ光源(7)が入射する角度にて観察した場合、原画像(8)であるグラデーションによって形成された桜の花びらの画像(4)が視認された。
1、1´、1´´ 透過潜像形成体
2 基材
3 窓部
4、4´、4´´ 潜像部
5、5´、5´´、5´´´ 線状の亀裂
6 視点
7 光源
8 原画像
9 印刷版面
10 溶剤
11 インキ層

Claims (7)

  1. 透明又は半透明の基材の少なくとも一部に、前記基材の一方の面から他方の面に向けた内部方向に、線状の亀裂が複数形成された潜像部を有し、
    前記潜像部は、第1の方向に沿って前記線状の亀裂が複数形成された第1の潜像パターンを有し、前記潜像部を前記線状の亀裂の深さ方向に対して斜め方向から観察した場合に前記第1の潜像パターンが視認されることを特徴とする透過潜像形成体。
  2. 前記線状の亀裂は、基材と異なる色彩を有することを特徴とする請求項1記載の透過潜像形成体。
  3. 前記第1の潜像パターンは、連続階調画像であることを特徴とする請求項1又は2記載の透過潜像形成体。
  4. 前記潜像部は、前記第1の方向と異なる第nの方向(nは、2以上の自然数)に沿って前記線状の亀裂が複数形成された第nの潜像パターンを有し、前記第nの潜像パターンにおける前記線状の亀裂の深さ方向に対して斜め方向から観察した場合、
    前記第nの潜像パターンが視認されることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の透過潜像形成体。
  5. 前記第nの潜像パターンは、前記第1の潜像パターンと同形状か、又は形状の一部が連続的に変化するパターンによって形成され、前記第1の潜像パターンを形成する前記第1の方向と前記第nの潜像パターンを形成する前記第nの方向が連続的に変化して配置されたことを特徴とする請求項4記載の透過潜像形成体。
  6. 透明又は半透明の基材の少なくとも一部に、透過光下における特定の観察角度で潜像画像が観察される透過潜像形成体の作製方法であって、
    前記基材の一方の面に、前記潜像画像の形状に応じて溶剤及び/又はインキを塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程によって前記溶剤及び/又は前記インキが塗布された前記基材に応力を印加して前記基材の表面から内部に向けた複数の線状の亀裂を形成する応力印加工程を少なくとも有することを特徴とする透過潜像形成体の作製方法。
  7. 前記応力印加工程の後に、前記基材表面に塗布された前記溶剤及び/又は前記インキを洗浄する洗浄工程をさらに有することを特徴とする請求項6記載の透過潜像形成体の作製方法。
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