JP7162450B2 - 変位計測方法および変位計測システム - Google Patents

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Description

本発明は、衛星測位システムを用いた変位計測方法および変位計測システムに関し、特に構造物等を含めた比較的安定した物体の側面の変位計測に好適な変位計測方法および変位計測システムに関するものである。
従来、衛星測位システムによる構造物の変位等計測に際しては、一般に米国のGPS(Global Positioning System:衛星測位システム)衛星を利用する方法が主流であった。例えば、構造物の周辺地盤の固定点に設置したGPS受信機と、構造物上の観測点に設置したGPS受信機との間の相対測位により、構造物の変位等を計測する方法が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。しかし、米国のGPS衛星の数にも限りがあり、利用に際して以下のような制約や課題がある。
(1)測位解析に十分必要なGPS衛星を捕捉するために衛星測位機器からの仰角を15°以上に保つ等の工夫が必要である。
(2)そのため、構造物等が過密で上空視野を確保し難い都市部などでは、衛星測位機器の設置場所は構造物等の屋上に限定される。すなわち構造物等の屋上周辺の変位計測しかできない。
(3)しかし屋上にも様々な設備が配置され、衛星測位機器の設置場所は制限される。
(4)仮に屋上に衛星測位機器を設置できたとしても、屋上の他の設備や周辺のビルのマルチパスの影響を受け正確な変位計測を妨げるおそれがある。
従来はこうした課題により、構造物等の壁面測位に着目することもなかった。
一方、GPS衛星を利用した測位技術に関して、特許文献3に示すような技術が知られている。この技術は、簡単かつ確実な方法によってマルチパスの影響を受けた衛星信号を判別し、移動局の測定位置を補正するものである。
ところで現在、米国のGPS衛星のみならず、ロシア、欧州、中国、日本の衛星測位システム(以下、これら全てを総称してGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)と呼ぶ。)が運用されており、衛星測位機器で測位すると30前後のGNSS衛星からの信号を受信可能である。今後各国のGNSS衛星数の増加が見込まれ、さらに日本の準天頂衛星数の増加により、高仰角からの信号の取得も容易となる。衛星数の増加とともに上記の課題は容易に解決できると思われがちであるが、逆に衛星数の増加とともにマルチパス増大という課題も生じる。
こうした課題を解決するための技術として、本発明者内の一部は既に特許文献4に示すような技術を提案している。この技術は、以下の機能を有するものである。これによれば、構造物の壁面などに設置した観測点変位を精度よく計測できるので、過密環境下に設置された構造物の屋上・側部の変位・変形等を監視するのに好適である。
(1)GNSS衛星の信号を取捨選択する機能
(2)RTK測位の要となるアンビギュイティを高い信頼度で決定する機能
(3)アンビギュイティを保持する機能
(4)GNSS受信機が出力する搬送波位相のサイクルスリップ情報等を利用する機能
上記(3)の機能について補足説明する。アンビギュイティ保持とは、サイクルスリップ等のない衛星については、いったん正しいアンビギュイティを求めると、理論上その値を保持してもRTKの測位は継続できる。アンビギュイティ保持とはその特徴を利用したものである。この方法の特徴は、従来の方法ではアンビギュイティ保持が途切れてしまうケースにおいても、その途切れを可能な限りなくすことができ、また途切れた後の復旧を早期にできるところにある。1つの具体例として、アンビギュイティ決定には、主衛星と従衛星による二重位相差が必須である。その主衛星が変更されるとアンビギュイティ保持はできなくなる。このような事象にも対応できるよう、あらかじめ品質のよい主衛星を選択することと、主衛星が変更されても瞬時に別の主衛星でアンビギュイティを保持できる能力を持つ機能である。
RTK測位は、基準点と観測点の相対測位になるため、二重位相差を計算に用いる。二重位相差は、同一衛星からの搬送波位相を同時に2つの受信機で受信し、1サイクル単位で両受信データの一重位相差を2衛星に対して各々求め、この2つの一重位相差の差をとることによって求められる。この二重位相差を用いることによって、衛星および受信機時計誤差の消去が可能である。RTK測位では、この二重位相差を求める組合せを3組以上作り、多数回の測位データを利用して最小二乗法により各衛星と受信機間の搬送波の受信機の各チャンネルの整数波長分の不確定要素(整数値バイアス)を推定して基線ベクトル(3次元座標差)を決定する。
異なる種類の衛星を利用してRTK測位を行う場合、衛星の種類毎に使用周波数等が異なることから考慮すべき様々なバイアスが生じる。これらバイアスの影響を避けるために、RTK測位では衛星測位システムの種類ごとに別々に二重位相差をとる混合測位が主流となっている。混合測位解析の際、同じ種類の衛星が少なくとも必ず2機以上必要で(例えば主衛星と従衛星)、そのとき受信機から見えている最高仰角の衛星を主衛星として採用する。1機しか見えていない衛星はそもそも解析に用いない。
例えば、主衛星がGPS衛星ならば従衛星もGPS衛星を選定し、主衛星が準天頂衛星ならば従衛星も準天頂衛星を選定し、選定したペアで二重位相差を計算する。ここで、上空にGPS衛星、準天頂衛星、ガリレオ衛星、グロナス衛星が2機ずつあったと仮定する。種類の異なる衛星が2機ずつあるため、天頂付近にある衛星を主衛星、天頂付近からはずれた位置にある衛星を従衛星として二重位相差を計算する。この場合は、GPS衛星のペア、準天頂衛星のペア、ガリレオ衛星のペア、グロナス衛星のペアで計算した二重位相差から適切なアンビギュイティを計算することになる。この混合測位では多くの衛星群の二重位相差を用いるため測位精度が向上する。
特開2015-197344号公報 特開2008-76117号公報 特許第5232994号公報 特願2017-079210号明細書(現時点で未公開)
上空に障害物のないオープンスカイの場合、全種類の衛星がどの時間帯であっても上空に適度に配置されているため、各衛星群の二重位相差が容易に計算され、混合測位でも精度の良い計算が可能である。しかし、過密環境下にある建物の外壁やダムの左岸右岸の斜面等の観測点を測位するような場合、上空視野が比較的狭くなるため、上空に同じ種類の衛星の数が2機以下となることがある。上空に測位衛星が多いように見えても、ある衛星群の二重位相差の計算が困難となり、この結果、混合測位の精度が低下するおそれがある。
さらに、上空視野が比較的狭いと、上空に同じ種類の衛星が2機以上ある時間帯も限られる。例えば、上空に衛星が7機あっても、ある種類の衛星は1機ということも多々あり得る。この7機の内訳がGPS衛星2機、準天頂衛星1機、ガリレオ衛星2機、グロナス衛星1機、BeiDou衛星1機の場合、従来の測位解析で二重位相差を計算できるのはGPS衛星とガリレオ衛星だけとなり、測位精度が低下するおそれがある。
なお、準天頂衛星は、GPS衛星に準じた仕様となっているため、GPS衛星数が減り、かつ準天頂衛星が複数存在する場合(環境の良い場合、合計で3機以上)、最高仰角にあるGPS衛星もしくは準天頂衛星を主衛星、その他を従衛星として二重位相差を計算可能である。しかし、上記の建物の外壁やダムの左岸右岸等ではこの状態が長時間継続することは稀であるため、24時間継続して測位することは困難である。
このような問題に対処するため、本発明者は、衛星間が持つシステムバイアス、特に衛星のクロック差に着目して様々な検討を行った。上述したように、GPS衛星と準天頂衛星の場合はクロック差がないため、GPS衛星や準天頂衛星を主衛星、その他のGPS衛星や準天頂衛星を従衛星とした組合せで二重位相差を計算できる。しかし、GPS衛星・準天頂衛星と他の種類の衛星にはクロック差があるため、他の種類の衛星は衛星種類毎に二重位相差を計算する必要がある。
こうして様々な測位データの取得、測位解析アルゴリズムの改変・試行を重ねた結果、本発明者は、上記の従来の特許文献4よりも測位精度の向上を図れる以下の本発明に至った。すなわち、衛星間が持つシステムバイアス(衛星のクロック差)をアルゴリズム上で事前に解消させることにより、上空の衛星をできる限り多く利用し、1つを主衛星、他を従衛星として多くの二重位相差を取得でき、この結果、測位精度の向上を図れる以下の本発明に至った。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測位精度を向上した変位計測方法および変位計測システムを提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る変位計測方法は、複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、前記物体の外面に設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体の外面以外の場所に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち衛星信号受信機から最高仰角にある測位衛星を主衛星として選択するとともに、この測位衛星以外の測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの測位衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る変位計測システムは、複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測するシステムであって、前記物体の外面に設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体の外面以外の場所に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、相対測位手段は、複数の測位衛星のうち衛星信号受信機から最高仰角にある測位衛星を主衛星として選択するとともに、この測位衛星以外の測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの測位衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うことを特徴とする。
本発明に係る変位計測方法によれば、複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、前記物体の外面に設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体の外面以外の場所に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち衛星信号受信機から最高仰角にある測位衛星を主衛星として選択するとともに、この測位衛星以外の測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの測位衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うので、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面に設置した観測点変位を精度よく計測することができるという効果を奏する。このため、本発明は、過密した環境に設置されている構造物等を含めた比較的安定した物体の頂部(屋上)のみならず、側部(壁面)の変位・変形等を監視するのに好適である。
また、本発明に係る変位計測システムによれば、複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測するシステムであって、前記物体の外面に設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体の外面以外の場所に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、相対測位手段は、複数の測位衛星のうち衛星信号受信機から最高仰角にある測位衛星を主衛星として選択するとともに、この測位衛星以外の測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの測位衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うので、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面に設置した観測点変位を精度よく計測することができるという効果を奏する。このため、本発明は、過密した環境に設置されている構造物等を含めた比較的安定した物体の頂部(屋上)のみならず、側部(壁面)の変位・変形等を監視するのに好適である。
図1は、本発明に係る変位計測方法および変位計測システムの実施の形態を示す概略状況図である。 図2は、本発明に係る変位計測システムの実施の形態を示す概略構成図である。 図3は、本発明に係る変位計測方法の実施の形態を示す概略フローチャート図である。 図4は、魚眼カメラで見た観測点の上空視野を示す図であり、(1)は観測点1の上空視野、(2)は観測点2の上空視野である。 図5は、観測点1のRTK測位結果を示す図である。 図6は、観測点2のRTK測位結果を示す図である。
上述したように、本発明者が様々な測位データの取得、アルゴリズムの改変・解析を試行した結果、従来の特許文献4よりも測位精度の向上を図れる本発明に至った。本発明を適用することで、例えば上空に1機しかないガリレオ衛星等のデータ利用も可能となり、後述するようにRTK測位性能を評価する「信頼性の高い(水平±10cm以内)Fix率」が格段に向上する。
以下に、本発明に係る変位計測方法および変位計測システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、変位を計測・監視する対象の構造物として都市部の過密環境に設置された中小マンションの壁面測位を例に説明するが、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。なお、本発明は、単に構造物等を含めた比較的安定した静止物体の壁面測位のみならず、例えば構造物等を含めた比較的安定した静止物体の屋上などのように、衛星測位機器の設置場所周辺にマルチパスを生じさせる障害物等がある場合の測位などにも適用可能である。
本発明の実施の形態に係る変位計測方法は、複数の異なる衛星測位システムのGNSS衛星(測位衛星)からの衛星信号を受信するGNSS測位機器(衛星信号受信機)を用いて構造物の変位を計測する方法である。本実施の形態は、構造物の外壁面に設置したGNSS測位機器により構成される観測点と、構造物の外壁面以外の場所に設置したGNSS測位機器により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備える。
相対測位ステップは、複数のGNSS衛星のうちGNSS測位機器から最高仰角にあるGNSS衛星を主衛星として選択するとともに、この衛星以外のGNSS衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うものである。ここでは、相対測位の中で最も精度が良い搬送波を用いた干渉測位を用いた方法で説明する。
まず、GNSS測位機器の設置初期に固定点の座標を決定した後、固定点、観測点全てのGNSS測位機器で同時に観測をして、衛星からの電波到達の差(一重位相差)、二重位相差を解析し固定点と観測点間の距離を求める。例えばGNSS測位機器を5つ設置する場合には、固定点と他の観測点を1組とカウントしたとき、5組の座標変化や基線長の変化を取得することで、構造物のどの部分に傾斜や沈下が生じているか等を把握できる。
次に、GNSS測位機器(観測点)を5つ設置した場合の変位計測システムを例にとり、初期座標設定から観測までの流れを説明する。
図1に示すように、中小マンションなどの構造物1の外壁面2の互いに異なる位置に、衛星からの衛星信号を受信する5台のGNSS測位機器A~Eを設置して観測点とし、別の構造物4の上にGNSS測位機器を1台設置して固定点Fとして干渉測位を行う。図1の例では、道路に面する外壁面2の上下左右の四隅と中央の合計5か所にGNSS測位機器A~Eを設置した場合を示しているが、設置位置、設置数についてはこれに限るものではなく同一構造物につき1点または互いに異なる複数点であればいかなる位置、数であっても構わない。図1のように固定点Fは外壁面2以外に設定してもよく、例えば構造物1の周辺地盤上や他の構造物3の屋上などに設置してもよい。
観測点、固定点に設置するGNSS測位機器としては、高性能な2周波GNSS機器、格安な1周波GNSS機器のどちらでもよい。なお、GNSS測位機器A~Eは、図示しない通信装置を通じて遠隔地の計測室のコンピュータに有線または無線通信回線を介して接続しているものとする。
図2は、本発明に係る変位計測システム10の概略構成図である。この図に示すように、この変位計測システム10は、計測室に設けられるコンピュータ12を有している。コンピュータ12は、相対測位手段14、報知手段16、警報手段18、記憶手段20、これらを制御する制御手段22を備えている。記憶手段20はGNSS測位機器A~Eから得られた計測データをリアルタイムに記憶・収集する。記憶手段20に記憶・収集されたデータは制御手段22を通じて適宜読み出され、相対測位手段14によって処理されるようになっている。相対測位手段14はGNSS測位機器A~Eどうしの間の時間経過に伴う変位・変形情報を相対測位により取得するものであり、各種解析ソフトウェア、演算手段などで構成される。なお、このコンピュータ12はインターネットに接続している。このため、例えばユーザの要求に応じて、報知手段16の機能によりインターネットを経由して構造物の管理関係者が有するユーザ端末装置(例えば、パソコンや携帯電話端末など)に取得した構造物の変位・変形情報を配信可能である。また、警報手段18は、所定の閾値以上の変位が取得された場合に、管理室のコンピュータ12や上記のユーザ端末装置を通じてアラーム音などの警報を発する処理を行う。
図3に示すように、まず、5つの観測点にGNSS測位機器A~Eを設置する(ステップS1)。次に構造物4に設定した固定点Fの初期座標を数時間から数日間の単独測位や周辺の電子基準点とのスタティック測位等にて決定する(ステップS2)。
次に、固定点と観測点で同時に観測を開始して衛星からの電波到達の差(一重位相差)および二重位相差を解析し、固定点と観測点の距離を求める(ステップS3)。以上の初期座標の設定から干渉測位は、計測室のコンピュータ12に備わる図示しない解析ソフトウェアや干渉測位手段が行うことができる。本実施の形態では、相対測位としてリアルタイムキネマティック(RTK)測位を利用する。その際、後述のアルゴリズムを適用し、構造物1の外壁面2に関して適切な座標・基線長解を得るものとする。
異常値を含めた観測結果としての変位・変形情報は、報知手段16の機能により計測室のコンピュータ12やユーザ端末装置の画面などに報知される(ステップS4)。ここで、取得された異常値があらかじめ定めた所定の閾値以上である場合には、警報手段18は計測室のコンピュータ12やユーザ端末装置を通じてアラーム音などの警報を発する。これにより管理者や管理関係者などのユーザは、閾値以上の変位が生じたことを即座に把握することができる。
上記の実施の形態において、コンピュータ12は観測点(固定点併用)の測位情報をリアルタイムで取得でき、相対測位手段14による解析もリアルタイムで可能である。また、報知手段16は、例えばユーザの要求に応じて、例えば所定時間毎(例えば1日(24時間)毎)の解析結果(観測結果)もユーザに報知することもできる。したがって、観測点を5つ設けた場合に必要となる解析時間も基本はリアルタイムである。また、一般に構造物はあまり大きく変位しないため、大地震時等を除き、測位情報を数時間平均または1日平均した測位平均値で比較するのが通例である。
本実施の形態によれば、例えば、都市部など過密な環境下に設置された学校等の公共施設、施工者のいなくなった中小マンション等の杭や構造物の変形・変位、斜面、ダム傾斜部などを監視することができる。公共施設は一般に避難場所として利用されるが、大地震後の余震等が継続する中で当該施設が安全か否かの確認を行う際にも本発明を利用することができる。
<アルゴリズム>
次に、上記のRTK測位(相対測位)で使用するアルゴリズムについて説明する。
このアルゴリズムは、複数のGNSS衛星のうちGNSS測位機器から最高仰角にあるGNSS衛星を主衛星として選択するとともに、この衛星以外のGNSS衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うためのものである。
このアルゴリズムでは、RTK測位の計算過程で、GPS、準天頂(QZSS)、ガリレオ等の異なる種類のGNSS衛星を、同じ種類(衛星測位システム上)のGNSS衛星とみなして二重位相差を計算する。より具体的には、GNSS測位機器から受信可能な衛星のうち最高仰角にあるGNSS衛星を主衛星、他の全てのGNSS衛星を従衛星として二重位相差を計算する。以後の測位解析では、この二重位相差を使用する。
このように、同じ種類の衛星のペアで二重位相差を計算するのではなく、GNSS測位機器の上空視野にある衛星を全て活用して二重位相差を計算する。これにより、どの種類の衛星であれ、天頂付近にあるものを主衛星とし、他の衛星全てを従衛星としたペアを組むことにより、上空に1機しかない衛星も利用して二重位相差を計算することが可能となり、アンビギュイティがより正確に計算され、この結果、測位精度が向上する。
例えば、GNSS測位機器の上空視野にGPS衛星が4機、準天頂衛星が1機、ガリレオ衛星が3機、BeiDou衛星が4機あると仮定する。従来の方法では、合計5機のGPS衛星および準天頂衛星から、最高仰角の1機を主衛星、他の4機を従衛星として4つの二重位相差を取得できる。3機のガリレオ衛星からは、最高仰角の1機を主衛星、他の2機を従衛星として2つの二重位相差を取得できる。4機のBeiDou衛星からは、最高仰角の1機を主衛星、他の3機を従衛星として3つの二重位相差を取得できる。したがって、従来の方法では合計9個(=4+2+3)の二重位相差を取得できる。ただし、各衛星群で二重位相差を計算できる環境にあることが条件となる。これに対し、本発明の方法では、全測位衛星12機(=4+1+3+4)から、最高仰角の1機を主衛星、他の11機を従衛星として合計11個の二重位相差を取得できる。このように、本発明によれば、従来の方法よりも二重位相差を多く取得できるため、アンビギュイティがより正確に計算され、この結果、測位精度が向上するのである。
<本発明の効果の検証>
次に、本発明の効果を検証するために行った測位実験について説明する。この実験は、既存建物の壁面の異なる場所に観測点1と観測点2を設け、上記のアルゴリズムを使用して測位解析した本発明の実施例と、従来のRTKLIBソフトウェアで測位解析した比較例とで結果を比較したものである。いずれの測位解析も2017年11月15日の3:30UTCから16日の2:30UTCの時間帯の23時間1Hz(82800秒分のデータ)を使用して解析した。また、種類の異なる衛星測位システムとして、GPS衛星、QZSS衛星、BeiDou衛星、ガリレオ衛星の各測位システムを使用し、これらのシステムから衛星数7機以上を使用した。図4(1)に観測点1の上空視野の写真を、(2)に観測点2の上空視野の写真を示す。いずれの上空視野も狭い状態となっている。
図5に観測点1の測位結果を示し、図6に観測点2の測位結果を示す。各図において、(1)は水平方向の結果のプロット、(2)は結果の比較、(3)は緯度方向の時系列推移、(4)は経度方向の時系列推移、(5)は高さ方向の時系列推移である。
これらの図に示すように、測位データを本実施例のアルゴリズムを使用して解析した結果、観測点1のFix率(信頼性(水平±10cm以内))は比較例の99.93%から100%に、観測点2は比較例の65.28%から98.89%に向上することが確認された。さらに測位時間中に時々現れる大きな位置の飛びも解消された。
以上説明したように、本発明に係る変位計測方法によれば、複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、前記物体の外面に設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体の外面以外の場所に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、相対測位ステップは、複数の測位衛星のうち衛星信号受信機から最高仰角にある測位衛星を主衛星として選択するとともに、この測位衛星以外の測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの測位衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うので、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面に設置した観測点変位を精度よく計測することができる。
また、本発明に係る変位計測システムによれば、複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて構造物等を含めた比較的安定した物体の変位を計測するシステムであって、前記物体の外面に設置した衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体の外面以外の場所に設置した衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、相対測位手段は、複数の測位衛星のうち衛星信号受信機から最高仰角にある測位衛星を主衛星として選択するとともに、この測位衛星以外の測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの測位衛星とみなすことによって異なる衛星測位システム間のバイアスを除去し、主衛星と従衛星の衛星信号を用いて計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うので、構造物等を含めた比較的安定した物体の外面に設置した観測点変位を精度よく計測することができる。
以上のように、本発明に係る変位計測方法および変位計測システムは、複数の異なる衛星測位システムを用いた構造物等の物体の変位監視に有用であり、特に、都市部などの過密した環境に設置されている構造物等の壁面を変位監視する場合や、マルチパスを生じさせる障害物がある屋上などの場所に衛星測位機器を設置して変位監視する場合などに適している。
1,4 構造物
2 外壁面(外面)
3 屋上(外面)
10 変位計測システム
12 コンピュータ
14 相対測位手段
16 報知手段
18 警報手段
20 記憶手段
22 制御手段
A~E GNSS観測点(測位機器)
F GNSS固定点

Claims (2)

  1. 複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて、上空視野の限られた構造物を含めた比較的安定した物体の変位を計測する方法であって、
    前記物体の外面に設置した前記衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体とは異なる場所に設置した前記衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位ステップを備え、
    前記相対測位ステップは、前記衛星信号受信機で受信可能な複数の前記測位衛星のうち前記衛星信号受信機から最高仰角の位置にある前記測位衛星を主衛星として選択するとともに、前記衛星信号受信機から最高仰角の位置にない前記測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの前記測位衛星とみなすことによって前記衛星信号受信機の上空視野にある前記測位衛星を全て活用して二重位相差を計算し、計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うことを特徴とする変位計測方法。
  2. 複数の異なる衛星測位システムの測位衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信機を用いて、上空視野の限られた構造物を含めた比較的安定した物体の変位を計測するシステムであって、
    前記物体の外面に設置した前記衛星信号受信機により構成される観測点と、前記物体とは異なる場所に設置した前記衛星信号受信機により構成される固定点との間の時間経過に伴う変位を、相対測位により取得する相対測位手段を備え、
    前記相対測位手段は、前記衛星信号受信機で受信可能な複数の前記測位衛星のうち前記衛星信号受信機から最高仰角の位置にある前記測位衛星を主衛星として選択するとともに、前記衛星信号受信機から最高仰角の位置にない前記測位衛星を従衛星として選択し、選択した主衛星と従衛星とを同じ衛星測位システムの前記測位衛星とみなすことによって前記衛星信号受信機の上空視野にある前記測位衛星を全て活用して二重位相差を計算し、計算した二重位相差に基づいて相対測位を行うことを特徴とする変位計測システム。
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