半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成されたウェハに対し、当該ウェハの裏面を研削して、ウェハを薄化することが行われている。そして、この薄化されたウェハをそのまま搬送したり、後続の処理を行ったりすると、ウェハに反りや割れが生じるおそれがある。そこで、ウェハを補強するために、例えば支持基板にウェハを貼り付けることが行われている。
通常、ウェハの周縁部は面取り加工がされているが、上述したようにウェハに研削処理を行うと、ウェハの周縁部が鋭く尖った形状(いわゆるナイフエッジ形状)になる。そうすると、ウェハの周縁部でチッピングが発生し、ウェハが損傷を被るおそれがある。そこで、研削処理前に予めウェハの周縁部を除去する、いわゆるエッジトリムが行われている。
上述した特許文献1に記載の端面研削装置は、このエッジトリムを行う装置である。しかしながら、この端面研削装置では、研削によりエッジトリムを行うため、大量の研削水を使用し、汚水処理装置も必要となる。また、研削によるエッジトリムでは、砥石が消耗して定期的に交換する必要があり、ランニングコストがかかる。
本開示にかかる技術は、エッジトリムを適切に行う。以下、エッジトリムを適切に行う本実施形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
先ず、第1の実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。図1は、ウェハ処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図である。
ウェハ処理システム1では、図2及び図3に示すように第1の基板としての被処理ウェハWと第2の基板としての支持ウェハSとが接合された、重合基板としての重合ウェハTに対して所定の処理を行う。そしてウェハ処理システム1では、被処理ウェハWの周縁部Weを除去し、さらに当該被処理ウェハWを薄化する。以下、被処理ウェハWにおいて、支持ウェハSに接合された面を表面Waといい、表面Waと反対側の面を裏面Wbという。同様に、支持ウェハSにおいて、被処理ウェハWに接合された面を表面Saといい、表面Saと反対側の面を裏面Sbという。
被処理ウェハWは、例えばシリコンウェハなどの半導体ウェハであって、表面Waに複数のデバイスを含むデバイス層(図示せず)が形成されている。また、デバイス層にはさらに酸化膜F、例えばSiO2膜(TEOS膜)が形成されている。なお、被処理ウェハWの周縁部Weは面取り加工がされており、周縁部Weの断面はその先端に向かって厚みが小さくなっている。
なお、図2においては、図示の煩雑さを回避するため、酸化膜Fの図示を省略している。また、以下の説明で用いられる他の図面においても同様に、酸化膜Fの図示を省略する場合がある。
支持ウェハSは、被処理ウェハWを支持するウェハであって、例えばシリコンウェハである。支持ウェハSの表面Saには酸化膜(図示せず)が形成されている。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの表面Waのデバイスを保護する保護材として機能する。なお、支持ウェハSの表面Saの複数のデバイスが形成されている場合には、被処理ウェハWと同様に表面Saにデバイス層(図示せず)が形成される。
ここで、被処理ウェハWの周縁部Weにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合されていると、周縁部Weを適切に除去できないおそれがある。そこで、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面には、酸化膜Fと支持ウェハSの表面Saが接合された接合領域Aaと、接合領域Aaの径方向外側の領域である未接合領域Abとを形成する。このように未接合領域Abが存在することで、周縁部Weを適切に除去できる。なお、詳細は後述するが、接合領域Aaの外側端部は、除去される周縁部Weの内側端部より若干径方向外側に位置させることが好ましい。
図1に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2は、例えば外部との間で複数の重合ウェハTを収容可能なカセットCtが搬入出される。処理ステーション3は、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセットCtをY軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台10に載置されるカセットCtの個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10のX軸負方向側において、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送装置20が設けられている。ウェハ搬送装置20は、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されている。また、ウェハ搬送装置20は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム22、22を有している。各搬送アーム22は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム22の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置20は、カセット載置台10のカセットCt、及び後述するトランジション装置30に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
搬入出ステーション2には、ウェハ搬送装置20のX軸負方向側において、当該ウェハ搬送装置20に隣接して、重合ウェハTを受け渡すためのトランジション装置30が設けられている。
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックG1~G3が設けられている。第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2、及び第3の処理ブロックG3は、X軸正方向側(搬入出ステーション2側)から負方向側にこの順で並べて配置されている。
第1の処理ブロックG1には、エッチング装置40、洗浄装置41、及びウェハ搬送装置50が設けられている。エッチング装置40と洗浄装置41は、積層して配置されている。なお、エッチング装置40と洗浄装置41の数や配置はこれに限定されない。例えば、エッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれX軸方向に延伸し、平面視において並列に並べて載置されていてもよい。さらに、これらエッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれ、積層されていてもよい。
エッチング装置40は、後述する加工装置80で研削された被処理ウェハWの裏面Wbをエッチング処理する。例えば、裏面Wbに対して薬液(エッチング液)を供給し、当該裏面Wbをウェットエッチングする。薬液には、例えばHF、HNO3、H3PO4、TMAH、Choline、KOHなどが用いられる。なお、洗浄装置41による裏面Wbの洗浄が十分であれば、エッチング装置40は省略してもよい。
洗浄装置41は、後述する加工装置80で研削された被処理ウェハWの裏面Wbを洗浄する。例えば裏面Wbにブラシを当接させて、当該裏面Wbをスクラブ洗浄する。なお、裏面Wbの洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、洗浄装置41は、被処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbを洗浄する構成を有していてもよい。
ウェハ搬送装置50は、例えばエッチング装置40と洗浄装置41に対してY軸負方向側に配置されている。ウェハ搬送装置50は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム51、51を有している。各搬送アーム51は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム51の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置50は、トランジション装置30、エッチング装置40、洗浄装置41、及び後述する改質装置60に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第2の処理ブロックG2には、改質装置60、周縁除去装置61、及びウェハ搬送装置70が設けられている。改質装置60と周縁除去装置61は、積層して配置されている。なお、改質装置60と周縁除去装置61の数や配置はこれに限定されない。
改質装置60は、被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射し、周縁改質層及び分割改質層を形成する。改質装置60は、図4に示すように被処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、重合ウェハTを保持するチャック150を有している。チャック150は、移動機構151によってX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されている。移動機構151は、一般的な精密XYステージで構成されている。また、チャック150は、回転機構152よって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
チャック150の上方には、被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射するレーザヘッド153が設けられている。レーザヘッド153は、レーザ光発振器(図示せず)から発振された高周波のパルス状のレーザ光であって、被処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光、例えば赤外光を、被処理ウェハWの内部の所定位置に集光して照射する。これによって、被処理ウェハWの内部においてレーザ光Lが集光した部分が改質する。レーザヘッド153は、移動機構154によってX軸方向及びY軸方向に移動可能に構成されていてもよい。移動機構154は、一般的な精密XYステージで構成されている。またレーザヘッド153は、昇降機構155によってZ軸方向に移動可能に構成されていてもよい。
周縁除去装置61は、改質装置60で形成された周縁改質層を基点に、被処理ウェハWの周縁部Weを除去する。周縁除去装置61の具体的な構成は後述する。
ウェハ搬送装置70は、例えば改質装置60と周縁除去装置61に対してY軸正方向側に配置されている。ウェハ搬送装置70は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム71、71を有している。各搬送アーム71は、多関節のアーム部材72に支持され、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム71の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置70は、洗浄装置41、改質装置60、周縁除去装置61、及び後述する加工装置80に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第3の処理ブロックG3には、加工装置80が設けられている。なお、加工装置80の数や配置は本実施形態に限定されず、複数の加工装置80が任意に配置されていてもよい。
加工装置80は、被処理ウェハWの裏面Wbを研削する。加工装置80は、回転テーブル90、粗研削ユニット100、中研削ユニット110、及び仕上研削ユニット120を有している。
回転テーブル90は、回転機構(図示せず)によって、鉛直な回転中心線91を中心に回転自在に構成されている。回転テーブル90上には、重合ウェハTを吸着保持するチャック92が4つ設けられている。チャック92は、回転テーブル90と同一円周上に均等、すなわち90度毎に配置されている。4つのチャック92は、回転テーブル90が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1~A3に移動可能になっている。また、4つのチャック92はそれぞれ、回転機構(図示せず)によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
本実施形態では、受渡位置A0は回転テーブル90のX軸正方向側且つY軸正方向側の位置であり、重合ウェハTの受け渡しが行われる。第1の加工位置A1は回転テーブル90のX軸負方向側且つY軸正方向側の位置であり、粗研削ユニット100が配置される。第2の加工位置A2は回転テーブル90のX軸負方向側且つY軸負方向側の位置であり、中研削ユニット110が配置される。第3の加工位置A3は回転テーブル90のX軸正方向側且つY軸負方向側の位置であり、仕上研削ユニット120が配置される。
粗研削ユニット100では、被処理ウェハWの裏面Wbを粗研削する。粗研削ユニット100は、環状形状で回転自在な粗研削砥石(図示せず)を備えた粗研削部101を有している。また、粗研削部101は、支柱102に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。そして、チャック92に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを粗研削砥石に当接させた状態で、チャック92と粗研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを粗研削する。
中研削ユニット110では、被処理ウェハWの裏面Wbを中研削する。中研削ユニット110は、環状形状で回転自在な中研削砥石(図示せず)を備えた中研削部111を有している。また、中研削部111は、支柱112に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。なお、中研削砥石の砥粒の粒度は、粗研削砥石の砥粒の粒度より小さい。そして、チャック92に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを中研削砥石に当接させた状態で、チャック92と中研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを中研削する。
仕上研削ユニット120では、被処理ウェハWの裏面Wbを仕上研削する。仕上研削ユニット120は、環状形状で回転自在な仕上研削砥石(図示せず)を備えた仕上研削部121を有している。また、仕上研削部121は、支柱122に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。なお、仕上研削砥石の砥粒の粒度は、中研削砥石の砥粒の粒度より小さい。そして、チャック92に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを仕上研削砥石に当接させた状態で、チャック92と仕上研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを仕上研削する。
以上のウェハ処理システム1には、制御装置130が設けられている。制御装置130は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述の基板処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置130にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。図5は、ウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。図6は、ウェハ処理の主な工程の説明図である。なお、本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
先ず、図6(a)に示す重合ウェハTを複数収納したカセットCtが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。
次に、ウェハ搬送装置20によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、トランジション装置30に搬送される。続けて、ウェハ搬送装置50により、トランジション装置30の重合ウェハTが取り出され、改質装置60に搬送される。改質装置60では、図6(b)に示すように被処理ウェハWの内部に周縁改質層M1が形成され(図5のステップA1)、分割改質層M2が形成される(図5のステップA2)。
改質装置60では重合ウェハTは、チャック150に受け渡され保持される。その後、被処理ウェハW(重合ウェハT)を回転させながら、レーザヘッド153からレーザ光を照射して、被処理ウェハWの周縁部Weと中央部Wcの境界に周縁改質層M1を形成する(図5のステップA1)。周縁改質層M1は、エッジトリムにおいて周縁部Weを除去の際の基点となるものであり、図7及び図8に示すように被処理ウェハWにおける除去対象の周縁部Weと中央部Wcとの境界に沿って、環状に形成される。なお、周縁部Weは、例えば被処理ウェハWの外端部から径方向に1mm~5mmの範囲であり、面取り部が含まれる。
また、周縁改質層M1は、接合領域Aaの外側端部よりも径方向内側に形成される。レーザヘッドからのレーザ光によって周縁改質層M1を形成する際に、例えば加工誤差などにより周縁改質層M1が接合領域Aaの外側端部からずれて形成されたとしても、当該周縁改質層M1が接合領域Aaの外側端部から径方向外側に形成されるのを抑制できる。ここで、周縁改質層M1が接合領域Aaの外側端部から径方向外側に形成されると、周縁部Weが除去された後に支持ウェハSに対して被処理ウェハWが浮いた状態になってしまう。この点、本実施形態では、かかる被処理ウェハWの状態を確実に抑制することができる。
なお、本開示者らが鋭意検討したところ、周縁改質層M1と接合領域Aaの外側端部との距離Lが十分に小さいと周縁部Weを適切に除去できることを確認している。そして、この距離Lは500μm以内であるのが好く、さらに好ましくは50μm以内である。
また、周縁改質層M1は、厚み方向に延伸し縦長のアスペクト比を有する。周縁改質層M1の下端は、研削後の被処理ウェハWの目標表面(図7中の点線)より上方に位置している。すなわち、周縁改質層M1の下端と被処理ウェハWの表面Waとの間の距離H1は、研削後の被処理ウェハWの目標厚みH2より大きい。かかる場合、研削後の被処理ウェハWに周縁改質層M1が残らない。
さらに被処理ウェハWの内部には、周縁改質層M1からクラックC1が進展し、表面Waと裏面Wbに到達している。なお、周縁改質層M1は厚み方向に複数形成されていてもよい。
次に、同じ改質装置60においてレーザヘッドを移動させて、図8に示すように被処理ウェハWの内部であって、周縁改質層M1の径方向外側に分割改質層M2を形成する(図5のステップA2)。分割改質層M2も、周縁改質層M1と同様に厚み方向に延伸し、縦長のアスペクト比を有する。また、分割改質層M2からクラックC2が進展し、表面Waと裏面Wbに到達している。なお、分割改質層M2も厚み方向に複数形成されていてもよい。
そして、分割改質層M2及びクラックC2を径方向に数μmのピッチで複数形成することで、図8に示すように周縁改質層M1から径方向外側に延伸する、1ラインの分割改質層M2が形成される。なお、図示の例においては、径方向に延伸するラインの分割改質層M2は8箇所に形成されているが、この分割改質層M2の数は任意である。少なくとも、分割改質層M2が2箇所に形成されていれば、周縁部Weは除去できる。かかる場合、エッジトリムにおいて周縁部Weを除去する際、当該周縁部Weは、環状の周縁改質層M1を基点に分離しつつ、分割改質層M2によって複数に分割される。そうすると、除去される周縁部Weが小片化され、より容易に除去することができる。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により周縁除去装置61に搬送される。周縁除去装置61では、図6(c)に示すように周縁改質層M1を基点に、被処理ウェハWの周縁部Weを除去する(図5のステップA3)。またこの際、分割改質層M2を基点に、周縁部Weは小片化して分離される。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により加工装置80に搬送される。加工装置80に搬送された重合ウェハTは、受渡位置A0のチャック92に受け渡される。続いて、チャック92を第1の加工位置A1に移動させる。そして、粗研削ユニット100によって、図6(d)に示すように被処理ウェハWの裏面Wbを粗研削する(図5のステップA4)。
次に、チャック92を第2の加工位置A2に移動させる。そして、中研削ユニット110によって、被処理ウェハWの裏面Wbが中研削される(図5のステップA5)。
次に、チャック92を第3の加工位置A3に移動させる。そして、仕上研削ユニット120によって、被処理ウェハWの裏面Wbが仕上研削される(図5のステップA6)。
次に、チャック92を受渡位置A0に移動させる。なお、受渡位置A0では、洗浄液ノズル(図示せず)を用いて、被処理ウェハWの裏面Wbが洗浄液によって洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により洗浄装置41に搬送される。洗浄装置41では被処理ウェハWの研削面である裏面Wbがスクラブ洗浄される(図5のステップA7)。なお、洗浄装置41では、被処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbが洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置50によりエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では被処理ウェハWの裏面Wbが薬液によりウェットエッチングされる(図5のステップA8)。上述した加工装置80で研削された裏面Wbには、研削痕が形成される場合がある。本ステップA8では、ウェットエッチングすることによって研削痕を除去でき、裏面Wbを平滑化することができる。
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置50によりトランジション装置30に搬送され、さらにウェハ搬送装置20によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
次に、上述した周縁除去装置61について説明する。図9は、周縁除去装置61の構成の概略を示す平面図である。図10は、周縁除去装置61の構成の概略を示す側面図である。図11は、周縁除去装置61の構成の概略を模式的に示す説明図である。
周縁除去装置61は、重合ウェハTを上面で保持する、基板保持部としてのチャック200を有している。チャック200は、被処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、当該支持ウェハSを保持する。またチャック200は、回転機構201によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
チャック200の上方には、被処理ウェハWの周縁部Weを保持して移送する、周縁移送部としてのパッド210が設けられている。パッド210には例えば真空ポンプなどの吸引機構(図示せず)が接続され、パッド210はその下面において周縁部Weを吸着保持する。パッド210には、パッド210を鉛直方向に昇降させる昇降機構211と、パッド210を水平方向(X軸方向及びY軸方向)に移動させる移動機構212とが設けられている。
なお、周縁除去装置61では、昇降機構211によりパッド210を下降させて周縁部Weを吸着保持した後、パッド210を上昇させて周縁部Weを移送する。このパッド210を上昇させる際、被処理ウェハWに形成された周縁改質層M1を基点に周縁部Weが分離して除去される。またこの際、分割改質層M2を基点に、周縁部Weは小片化して分離される。したがって、本実施形態では、パッド210と昇降機構211が、本開示における周縁除去部を構成している。
チャック200の上方には、被処理ウェハWから周縁部Weが除去されたか否かを確認するための検知部220が設けられている。検知部220は、チャック200に保持され、且つ周縁部Weが除去された被処理ウェハWにおいて、周縁部Weの有無を検知する。検知部220には、例えばセンサが用いられる。センサは、例えばライン型のレーザ変位計であり、重合ウェハT(被処理ウェハW)の周縁部にレーザを照射して当該重合ウェハTの厚みを測定することで、周縁部Weの有無を検知する。なお、検知部220による周縁部Weの有無の検知方法はこれに限定されない。例えば検知部220には、例えばラインカメラを用い、重合ウェハT(被処理ウェハW)を撮像することで、周縁部Weの有無を検知してもよい。
チャック200の下方には、パッド210で移送された周縁部Weを回収する回収部230が設けられている。回収部230は、上面が開口した直方体形状を有し、内部に周縁部Weを収容して回収する。なお、回収部の構成は回収部230に限定されず、周縁部Weを回収できれば任意に選択できる。
回収部230には、当該回収部230の重量を測定する、重量測定部としての重量センサ231が設けられている。重量センサ231の測定結果は制御装置130に出力される。制御装置130では、重量センサ231による回収部230の重量測定結果に基づいて、回収部230の交換時期を判断する。
回収部230は、搬送ローラ232上に複数設けられている。また回収部230は複数設けられ、搬送ローラ232上を移動可能に構成されている。これにより、回収部230は交換可能に構成されている。なお、回収部230を回収する方法は、本実施形態に限定されない。例えばモータを内蔵した移動機構を用いて、回収部230を交換してもよい。
回収部230の上方には、パッド210から回収部230に回収される周縁部Weを破砕する破砕部240が設けられている。破砕部240は、例えば一対の破砕ローラ241、241を有している。周縁部Weは、この一対の破砕ローラ241に挟み込まれて破砕される。なお、破砕部240における周縁部Weの破砕方法はこれに限定されない。例えば破砕部240には、シュレッダーを用いてもよい。
次に、以上のように構成された周縁除去装置61を用いて行われる周縁部Weの除去処理について説明する。図12は、周縁部Weの除去処理の主な工程の説明図である。
先ず、ウェハ搬送装置70により重合ウェハTが周縁除去装置61に搬入される。この重合ウェハTにおいて被処理ウェハWには、周縁改質層M1と分割改質層M2が形成されている。そして重合ウェハTは、チャック200に受け渡され保持される。
次に、図12(a)に示すように除去位置P1において、昇降機構211によりパッド210を下降させて周縁部Weを吸着保持した後、さらにパッド210を上昇させる。そうすると、パッド210に保持された周縁部Weが、周縁改質層M1を基点に被処理ウェハWから分離される。この際、分割改質層M2を基点に、周縁部Weは小片化して分離される。
次に、図12(b)に示すように、移動機構212によりパッド210を回収位置P2に移動させる。回収位置P2は、破砕部240の上方の位置である。この際、破砕部240の下方には、回収部230が配置されている。その後、パッド210における周縁部Weの吸引を停止し、当該周縁部Weを破砕部240に向けて落下させる。そうすると、周縁部Weは破砕部240で破砕されて、回収部230に回収される。
一方、パッド210を回収位置P2に移動させて回収部230で周縁部Weを回収している間に、チャック200を45度回動させる。そして再び、移動機構212によりパッド210を除去位置P1に移動させ、次の周縁部Weを除去して保持する。さらにその後、移動機構212によりパッド210を回収位置P2に移動させ、パッド210の周縁部Weを回収部230で回収する。
このように除去位置P1における周縁部Weの除去処理と、回収位置P2における周縁部Weの回収処理とを繰り返し行い、被処理ウェハWから周縁部Weを全周に亘って除去して回収する。
なお、本実施形態では、周縁部Weは分割改質層M2を基点に8つに分割されるため、チャック200を45度回動させて、上述した除去位置P1における周縁部Weの除去処理と、回収位置P2における周縁部Weの回収処理とを繰り返し行った。このようにチャック200を回動させると、周縁部Weが除去された部分の被処理ウェハWが、検知部220の下方に位置する。この際、検知部220により周縁部Weの有無を検知することで、当該周縁部Weが適切に除去できたか否かを確認することができる。そうすると、周縁部Weが残った状態で被処理ウェハW(重合ウェハT)が次の処理部、すなわち加工装置80に搬送されるのを防ぐことができる。例えば周縁部Weが除去できていないと確認された場合、再度周縁部Weを除去する処理を行うか、あるいは重合ウェハTを次の加工装置80に搬送するのを禁止する。具体的には、例えばオペレータが除去してもよいし、あるいは重合ウェハTをカセットCtに戻してもよい。
また、本実施形態では、回収部230において重量センサ231で重量を測定している。そして、この重量センサ231で測定される重量が所定の閾値を超えた場合、すなわち回収部230で回収可能な周縁部Weの容量を超えた場合、回収部230が交換される。交換された回収部230は、例えばオペレータにより搬出される。
以上のように本実施形態の周縁除去装置61によれば、被処理ウェハWから周縁部Weを除去して適切に回収することができる。そして、従来のように研削工具(研削砥石)を用いず、レーザ光等によって形成される周縁改質層M1を用いて周縁部Weを除去することを実現するので、従来の研削によるエッジトリムに比して、ランニングコストを抑えることができる。また、周縁部Weを適切に回収できるので、再利用してランニングコストをさらに抑えることも可能となる。
なお、本実施形態では除去位置P1において、分割された周縁部Weのうち1つの周縁部Weをパッド210で保持し、回収位置P2まで移送したが、図13に示すようにパッド210は複数の周縁部Weを保持してもよい。なお、図13では、パッド210が4つの周縁部Weをした場合を図示したが、パッド210で保持する周縁部Weの数はこれに限定されない。
除去位置P1では、パッド210の昇降とチャック200の回動を繰り返し行って、当該パッド210で複数の周縁部Weを保持する。その後、周縁部Weを保持した状態でパッド210を回収位置P2に移動させ、回収部230にて複数の周縁部Weを回収する。かかる場合、除去位置P1と回収位置P2の間のパッド210の移動回数を減らすことができ、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
また、本実施形態の周縁除去装置61は、1つのパッド210を設けたが、複数のパッド210を設けてもよい。かかる場合でも、除去位置P1と回収位置P2の間のパッド210の移動回数を減らすことができ、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
なお、本実施形態では除去位置P1において、昇降機構211でパッド210を昇降させることにより、被処理ウェハWから周縁部Weを分離して除去したが、周縁部Weの除去方法はこれに限定されない。以下に述べるように、周縁除去装置61に周縁除去部を設け、積極的に周縁部Weを除去してもよい。
例えば、図14及び図15に示すように周縁除去装置61は、周縁除去部300を有していてもよい。周縁除去部300は、除去位置P1に配置され、周縁部Weに衝撃を付与して当該周縁部Weを除去する。周縁除去部300は、挿入部材としてのくさびローラ301と、支持ローラ302とを有している。なお、本実施形態においてパッド210は、除去位置P1に対してチャック200の回転方向下流側(Y軸負方向側)の保持位置P3に配置され、後述するように保持位置P3と回収位置P2の間を移動する。
くさびローラ301は、側面視において、先端が尖ったくさび形状を有している。くさびローラ301は、被処理ウェハWと支持ウェハSの外側端部から、当該被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に挿入される。そして、挿入されたくさびローラ301により周縁部Weが押し上げられ、被処理ウェハWから分離して除去される。
支持ローラ302は、くさびローラ301の中心を貫通して、当該くさびローラ301を支持している。支持ローラ302は、移動機構(図示せず)によって水平方向に移動自在に構成され、支持ローラ302が移動することでくさびローラ301も移動する。また、支持ローラ302は鉛直軸回りに回転自在に構成され、支持ローラ302が回転することでくさびローラ301も回転する。なお、本実施形態では、支持ローラ302には、後述するようにチャック200の回転を受けて回転する、いわゆるフリーローラが用いられる。但し、支持ローラ302は、回転機構(図示せず)によって積極的に回転されてもよい。
なお、本実施形態のくさびローラ301には、当該くさびローラ301を洗浄するワイパ(図示せず)が設けられていてもよい。ワイパは、くさびローラ301の外形に沿った形状を有している。そしてワイパは、チャック200の反対側においてくさびローラ301に当接して、当該くさびローラ301を洗浄する。
また、本実施形態では、挿入部材としてくさびローラ301を用いたが、挿入部材はこれに限定されない。例えば挿入部材は、側面視において径方向外側に向けて幅が小さくなる形状を備えたものであればよく、先端が先鋭化したナイフ状の挿入部材を用いてもよい。
周縁除去装置61には、被処理ウェハWに洗浄液を供給する、洗浄液供給部としてのノズル310、311が設けられている。洗浄液には、例えば純水が用いられる。周縁除去部300を用いて周縁部Weに衝撃を付与して当該周縁部Weを除去する場合、除去に伴い粉塵(パーティクル)が発生する。そこで、本実施形態では、ノズル310、311から洗浄液を供給することで、この粉塵が飛散するのを抑制する。
上部ノズル310は、チャック200の上方に配置され、被処理ウェハWの上方から裏面Wbに洗浄液を供給する。この上部ノズル310からの洗浄液により、周縁部Weの除去時に発生する粉塵が飛散するのを抑制することができ、さらに粉塵が被処理ウェハW上へ飛散するもの抑制することができる。具体的に洗浄液は、粉塵を被処理ウェハWの外周側へ流す。また下部ノズル311は、チャック200の下方に配置され、支持ウェハS側から被処理ウェハWに洗浄液を供給する。この下部ノズル311からの洗浄液により、粉塵が飛散するのをより確実に抑制することができる。また、下部ノズル311からの洗浄液により、粉塵や周縁部Weの破材が支持ウェハS側まで回り込むのを抑制することができる。
なお、ノズル310、311の数や配置は本実施形態に限定されない。例えばノズル310、311はそれぞれ複数設けられていてもよい。また、下部ノズル311は省略可能である。さらに、ノズル310、311は、図14に示した周縁除去装置61にも設けられていてもよい。
なお、粉塵の飛散を抑制する方法は、洗浄液の供給に限定されない。例えば、吸引機構(図示せず)を設け、発生した粉塵を吸引除去してもよい。
以上の構成の周縁除去部300とノズル310、311を用いる場合、先ず、図16に示すようにくさびローラ301を重合ウェハT側に移動させ、くさびローラ301を被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に当接させる。この際、チャック200を回転させることで、くさびローラ301も平面視において逆方向に回転する。図示の例では、チャック200は平面視において時計回りに回転し、くさびローラ301は反時計回りに回転する。
次に、図17に示すようにチャック200を回転させながら、くさびローラ301をさらに移動させ、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に挿入する。この際、くさびローラ301は、例えばバネ等により定圧で装入されてもよい。そうすると、周縁部Weが押し上げられ、被処理ウェハWから分離する。そして、チャック200の下流側では、周縁部Weが除去される。除去された周縁部Weは、保持位置P3において、パッド210に吸着保持される。その後、パッド210を回収位置P2に移動させ、パッド210の周縁部Weを回収部230で回収する。
以上のように本実施形態においても、被処理ウェハWから周縁部Weを除去して適切に回収することができる。特に、本実施形態では、くさびローラ301によって周縁部Weを押し上げるので、当該周縁部Weを被処理ウェハWと支持ウェハSの界面から剥がしやすい。そうすると、図7に示した、周縁改質層M1と接合領域Aaの外側端部との距離Lを、大きくすることも可能となる。また、周縁部Weを押し上げて除去することで、除去された周縁部Weが支持ウェハSに接触して損傷を与えるのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、図18に示すように除去位置P1に対してチャック200の回転方向上流側(Y軸正方向側)に、重合ウェハTの外側端部に当接する押え部材303が設けられていてもよい。くさびローラ301によって周縁部Weを押し上げると、その影響が上流側にも伝わり、当該上流側にて周縁部Weが除去される可能性がある。かかる場合には、パッド210で周縁部Weを保持することができず、回収できない。この点、押え部材303があると、除去位置P1の上流側で周縁部Weが除去されるのを防止することができる。
また例えば、図19に示すように周縁除去装置61は、周縁除去部300に代えて、周縁除去部320を有していてもよい。周縁除去部320は、摩擦ローラ321を有している。摩擦ローラ321は、回転機構322によって鉛直軸回りに回転自在に構成されている。そして、図20に示すように摩擦ローラ321を、周縁改質層M1の上方において被処理ウェハWに当接させ、さらに回転させることで、被処理ウェハWに径方向外側に外力が作用する。この外力により、周縁部Weが被処理ウェハWから分離して除去される。そして、除去された周縁部Weは保持位置P3において、パッド210に吸着保持される。
また例えば、図21に示すように周縁除去装置61は、周縁除去部300に代えて、周縁除去部330を有していてもよい。周縁除去部330は、周縁部Weに流体を供給するノズル331を有している。流体には、例えば水、高圧水、2流体、エアなどが用いられる。そして、ノズル331から供給された流体により、周縁部Weが被処理ウェハWから分離して除去される。そして、除去された周縁部Weは保持位置P3において、パッド210に吸着保持される。
また、周縁除去装置61に設けられ、周縁部Weに衝撃を付与して除去する周縁除去部としては、周縁部Weに接触して除去する接触部材(図示せず)を用いてもよい。接触部材としては、例えば周縁部Weを把持するクランプ部材や、ブラシ、ウェハ搬送装置70の搬送アーム71などが用いられる。あるいは、周縁除去部として、周縁部Weに超音波を付与する超音波発振源を用いてもよい。
また例えば、図22に示すように周縁除去装置61は、周縁除去部300に代えて、周縁除去部340を有していてもよい。周縁除去部340は、周縁部Weを加熱するヒータ341を有している。ヒータ341は、例えば給電により発熱する。そして、ヒータ341により周縁部Weを加熱することにより、当該周縁部Weが膨張し、被処理ウェハWから分離して除去される。そして、除去された周縁部Weは保持位置P3において、パッド210に吸着保持される。
なお、本実施形態の周縁除去部340は、支持ウェハS側を冷却してもよい。例えばチャック200の内部に冷却部材342を設ける。冷却部材342としては、例えば内部を冷却媒体が流通する冷媒流路や、ペルチェ素子などが用いられる。かかる場合、周縁部Weと支持ウェハSとの温度差が大きくなり、周縁部Weがより分離しやすくなる。
以上の実施形態では、パッド210は周縁部Weを吸引して保持したが、周縁部Weを保持する方法はこれに限定されない。例えばパッド210は、周縁部Weを静電吸着してもよい。また例えば、パッド210に代えてクランプ部材を用いて、周縁部Weを把持してもよい。さらに例えば、パッド210に代えてテープ部材を用いて、周縁部Weを粘着保持してもよい。
以上の実施形態では、回収部230は周縁除去装置61の内部に設けられたが、周縁除去装置61の外部に設けられていてもよい。
次に、第2の実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。図23は、ウェハ処理システム400の構成の概略を模式的に示す平面図である。
上述した第1の実施形態のウェハ処理システム1では、周縁部Weの除去は周縁除去装置61で行われていたが、本第2の実施形態のウェハ処理システム400では、周縁部Weの除去はウェハ搬送装置70で行われる。かかる場合、ウェハ処理システム400には、周縁除去装置61に代えて、回収装置410が設けられる。回収装置410は、回収部230と破砕部240を有している。なお、回収部230と破砕部240の構成は、第1の実施形態における回収部230と破砕部240と同様であるので説明を省略する。また、回収装置410の配置は本実施形態に限定されず、任意に決定される。
本実施形態では、ウェハ搬送装置70の搬送アーム71が、本開示における周縁移送部を構成している。図24は、搬送アーム71の構成の概略を示す縦断面図である。
搬送アーム71は、被処理ウェハWより大きい径を有する、円板状の吸着板420を有している。吸着板420の下面には、被処理ウェハWの中央部Wcを保持する中央保持部430と、被処理ウェハWの周縁部Weを保持する周縁保持部440と、が設けられている。
中央保持部430には中央部Wcを吸引する吸引管431が接続され、吸引管431は例えば真空ポンプなどの中央吸引機構432に連通している。吸引管431には、吸引圧力を測定する、中央圧力測定部としての中央圧力センサ433が設けられている。中央圧力センサ433の構成は任意であるが、例えばダイヤフラム型の圧力計が用いられる。
周縁保持部440には周縁部Weを吸引する吸引管441が接続され、吸引管441は例えば真空ポンプなどの周縁吸引機構442に連通している。吸引管441には、吸引圧力を測定する、周縁圧力測定部としての周縁圧力センサ443が設けられている。周縁圧力センサ443の構成も任意であるが、例えばダイヤフラム型の圧力計が用いられる。
なお、図25に示すように吸着板420の周縁部であって、周縁保持部440が設けられる部分には、中央保持部430より上方に窪んだ窪み部420aが形成されている。後述するように周縁部Weは周縁除去部460によって押し上げられて除去されるが、窪み部420aは、この周縁部Weが押し上げられるスペースを確保している。
かかる構成により、中央保持部430と周縁保持部440はそれぞれ個別に、中央部Wcと周縁部Weを吸引して保持することができる。また、中央圧力センサ433と周縁圧力センサ443はそれぞれ個別に、中央部Wcを吸引する圧力と周縁部Weを吸引する圧力を測定することができる。
吸着板420の上面には、当該吸着板420を鉛直軸回りに回転させる回転機構450が設けられている。回転機構450は、周縁除去部支持部材451に支持されている。また、周縁除去部支持部材451(回転機構450)は、アーム部材72に支持されている。
吸着板420の側方には、周縁除去部460が設けられている。周縁除去部460は、くさびローラ461と支持ローラ462を有している。なお、これらくさびローラ461と支持ローラ302の構成は、第1の実施形態におけるくさびローラ301と支持ローラ302と同様であるので説明を省略する。
支持ローラ462の上面には回転シャフト463が設けられ、回転シャフト463は移動機構464に支持されている。移動機構464は、周縁除去部支持部材451の上面外周部に設けられている。移動機構464は例えばエアシリンダであり、回転シャフト463を介して、くさびローラ461と支持ローラ462を水平方向に移動させることができる。
以上の構成のウェハ処理システム400では、改質装置60において被処理ウェハWの内部に周縁改質層M1と分割改質層M2が形成される。その後、ウェハ搬送装置70により重合ウェハTを改質装置60から加工装置80に搬送されるまでの間に、当該ウェハ搬送装置70の搬送アーム71において、周縁部Weが除去される。
搬送アーム71において周縁部Weを除去する場合、先ず、図26(a)に示すようにくさびローラ461を重合ウェハT側に移動させ、くさびローラ461を被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に当接させる。この際、吸着板420を回転させることで、くさびローラ461も平面視において逆方向に回転する。
次に、図26(b)に示すように吸着板420を回転させながら、くさびローラ461をさらに移動させ、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面に挿入する。そうすると、周縁部Weが押し上げられ、被処理ウェハWから分離し、周縁保持部440に吸着保持される。
なお、周縁除去部460は、吸着板420の側方において周方向に沿って複数設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWからの周縁部Weの分離を、複数のくさびローラ461を用いて同時に行うことができ、分離にかかる時間を短縮することができる。また、分離した周縁部Weについて、周縁保持部440で周縁部Weを吸着保持する代わりに、複数のくさびローラ461上で周縁部Weを保持してもよい。この場合、被処理ウェハWには周縁改質層M1のみ形成され、分割改質層M2を形成しない。そして後述するように回収装置410で周縁部Weを回収する際、複数のくさびローラ461から回収装置410の破砕部240に向けて周縁部Weを落下させ、回収部230で回収される。
次に、重合ウェハTは加工装置80に搬入され、図27に示すように回転テーブル90のチャック92に受け渡される。この際、搬送アーム71の中央保持部430による中央部Wcの吸引を停止するとともに、周縁保持部440による周縁部Weの吸引を継続する。そして搬送アーム71を上昇させると、チャック92には、周縁部Weが除去された重合ウェハTが保持される。一方、搬送アーム71には、周縁部Weのみが吸着保持される。こうして、周縁部Weが除去される。
なお、この周縁部Weを除去する際、中央圧力センサ433と周縁圧力センサ443により、それぞれ中央部Wcを吸引する圧力と周縁部Weを吸引する圧力を測定する。周縁部Weが適切に除去されている場合、中央部Wcを吸引する圧力はゼロで、周縁部Weを吸引する圧力は所定の圧力となる。一方、周縁部Weが適切に除去されていない場合、例えば周縁部Weを吸引する圧力がゼロとなる。このように中央圧力センサ433と周縁圧力センサ443で吸引圧力を測定することで、被処理ウェハWに対する周縁部Weの有無を検知して、被処理ウェハWから周縁部Weが除去されたか否かを確認することができる。
次に、以上のように除去された周縁部Weは、ウェハ搬送装置70により回収装置410に搬送される。回収装置410では、搬送アーム71を破砕部240及び回収部230の上方に配置する。そして、周縁保持部440による周縁部Weの吸引を停止し、当該周縁部Weを破砕部240に向けて落下させる。そうすると、周縁部Weは破砕部240で破砕されて、回収部230に回収される。
以上のように本実施形態においても、被処理ウェハWから周縁部Weを除去して適切に回収することができる。
なお、本実施形態では、被処理ウェハWから周縁部Weが除去されたか否かを確認するにあたり、中央圧力センサ433と周縁圧力センサ443の吸引圧力の測定結果を用いたが、周縁部Weの有無を検知する方法はこれに限定されない。例えば、図28に示す検知部470を用いてもよい。被処理ウェハWから周縁部Weを除去した後、検知部470は、周縁部Weを保持した周縁保持部440を囲うように配置される。検知部470には、例えばライン型のレーザ変位計であるセンサが用いられる。検知部470では、周縁部Weを保持した周縁保持部440の下面にレーザを照射して、周縁部Weの有無を検知する。なお、検知部220による周縁部Weの有無の検知方法はこれに限定されない。例えば検知部470には、例えばラインカメラを用い、周縁保持部440の下面を撮像することで、周縁部Weの有無を検知してもよい。
以上の実施形態では、周縁除去部460を用いて被処理ウェハWから周縁部Weを除去したが、周縁部Weを除去する方法はこれに限定されない。例えば、図29及び図30に示すように、被処理ウェハWにおいて周縁部Weに対して中央部Wcを下降させることで、周縁部Weを除去してもよい。
搬送アーム71は、被処理ウェハWの中央部Wcを保持する中央保持部480と、被処理ウェハWの周縁部Weを保持する周縁保持部490とを有している。
中央保持部480には中央部Wcを吸引する吸引管481が接続され、吸引管481は例えば真空ポンプなどの中央吸引機構482に連通している。吸引管481には、吸引圧力を測定する、中央圧力測定部としての中央圧力センサ483が設けられている。
周縁保持部440には周縁部Weを吸引する吸引管491が接続され、吸引管491は例えば真空ポンプなどの周縁吸引機構492に連通している。吸引管491には、吸引圧力を測定する、周縁圧力測定部としての周縁圧力センサ493が設けられている。
かかる構成により、中央保持部480と周縁保持部490はそれぞれ個別に、中央部Wcと周縁部Weを吸引して保持することができる。また、中央圧力センサ483と周縁圧力センサ493はそれぞれ個別に、中央部Wcを吸引する圧力と周縁部Weを吸引する圧力を測定することができる。
中央保持部480には、当該中央保持部480を昇降させる中央昇降機構500が設けられている。中央昇降機構500は、例えばエアシリンダである。中央昇降機構500は、周縁除去部支持部材501に支持されている。
以上の構成の搬送アーム71において周縁部Weを除去する場合、搬送アーム71の中央保持部480による中央部Wcの吸引を継続した状態で、図30に示すように中央保持部480を下降させる。この際、周縁保持部490による周縁部Weの吸引も継続する。そうすると、被処理ウェハWから周縁部Weが除去される。
次に、重合ウェハTは加工装置80に搬入され、回転テーブル90のチャック92に受け渡される。この際、搬送アーム71の中央保持部480による中央部Wcの吸引を停止するとともに、周縁保持部490による周縁部Weの吸引を継続する。そして搬送アーム71を上昇させると、チャック92には、周縁部Weが除去された重合ウェハTが保持される。一方、搬送アーム71には、周縁部Weのみが吸着保持される。
なお、この周縁部Weを除去する際、中央圧力センサ483と周縁圧力センサ493の吸引圧力の測定結果を用いて、被処理ウェハWに対する周縁部Weの有無を検知して、被処理ウェハWから周縁部Weが除去されたか否かを確認することができる。
次に、以上のように除去された周縁部Weは、ウェハ搬送装置70により回収装置410に搬送される。回収装置410では、搬送アーム71を破砕部240及び回収部230の上方に配置する。そして、周縁保持部490による周縁部Weの吸引を停止し、当該周縁部Weを破砕部240に向けて落下させる。そうすると、周縁部Weは破砕部240で破砕されて、回収部230に回収される。
以上のように本実施形態においても、被処理ウェハWから周縁部Weを除去して適切に回収することができる。
なお、本実施形態では周縁部Weを除去するにあたり、中央昇降機構500により中央保持部480を下降させたが、これに代えて、周縁保持部490を上昇させてもよい。あるいは、周縁部Weを除去するにあたり、中央保持部480を下降させると共に、周縁保持部490を上昇させてもよい。かかる場合、周縁保持部490には、周縁保持部490を昇降させる周縁昇降機構(図示せず)が設けられる。周縁昇降機構の構成は、中央昇降機構500と同様である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。