JP7161176B2 - 口腔内崩壊錠及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、少量の水又は水なしで服用しても口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊錠であって、加湿条件下保存しても、良好な崩壊性を維持するトルバプタンを含有する口腔内崩壊錠及びその製造方法に関する。
トルバプタンは下記の式(1)で表されるバソプレシン受容体拮抗薬であり、うっ血性心不全・肝硬変に伴う体液貯留の改善等に効果を有する(非特許文献1)。体液貯留を引き起こすうっ血性心不全・肝硬変の患者には高齢者も多く、嚥下障害がある患者も少なくないことから少量の水又は水なしで服用が可能なトルバプタンを含有する口腔内崩壊錠が望まれている。
Figure 0007161176000001
一方、近年、調剤を行う際に患者が複数の薬を服用する場合、一包化により服薬アドヒアランスを改善する取り組みが良く行われている。このため、薬剤がパッケージやPTPシートから取り出されてから患者が服用するまでの期間が長くなり、高湿度条件下などの薬剤の保存にとっては好ましくない条件下に長期間暴露される可能性が高まっている。そのような条件下において、従来の口腔内崩壊錠は、崩壊時間の遅延が生じることで口腔内崩壊錠の特性が失われるおそれがある。そのような背景から、薬剤の保存にとって好ましくない高湿度条件下において長期間保存しても崩壊性が維持されるトルバプタン口腔内崩壊錠の創出が望まれている。
その有用性からトルバプタンの製剤技術はこれまでいくつか報告がされている。例えば、特許文献1には、トルバプタン及びヒドロキシプロピルセルロースを配合し噴霧乾燥して製造した医薬固体分散体が、ヒドロキシプロピルセルロースを他の高分子成分を置き換えて製造した医薬固体分散体よりも優れた溶解性、吸収性を有することが開示されている。
特許文献2にはトルバプタン、メタクリル酸系腸溶性高分子化合物並びに糖及び/又は糖アルコールを含有する医薬固形製剤が腸内での高度な放出制御性を有することが開示されている。
特許文献3にはトルバプタン、ポリカルボフィルカルシウム、並びに糖及び/又は糖アルコールを含有する逐次崩壊型の徐放性医薬固形製剤が開示されている。
特許文献4にはトルバプタン、クロスポビドン、及び水溶性高分子を含有した医薬固体分散体が溶出性に優れることが開示されている。
特許文献5にはトルバプタン、並びにポビドン若しくはポリエチレングリコール、ポリビニルカプロラクタム、及びポリビニルアセテートからなるグラフト共重合体を含有する医薬固体分散体が溶出性に優れることが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1から特許文献5には高湿度条件に長期間保存しても崩壊性が変わらないトルバプタン口腔内崩壊錠については何ら記載がなく、示唆もされていない。
特開平11-21241号公報 国際公開第2009/051022号パンフレット 国際公開第2010/026971号パンフレット 国際公開第2011/160541号パンフレット 国際公開第2014/068586号パンフレット
サムスカ錠 医薬品インタビューフォーム 2017年3月改訂(第16版)
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、高湿度の保存条件下に長期間おいても、口腔内での良好な崩壊性を保持できる、トルバプタンを含有する安定な口腔内崩壊錠及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の口腔内崩壊錠は、(a)トルバプタンと、(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の成分と、(c)D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、(d)軽質無水ケイ酸とを含有するものである。
本発明によれば、上記成分を含有するようにしたので、高湿度の保存条件下においても、良好な崩壊性を有するトルバプタンを含有する口腔内崩壊錠を提供することができる。例えば、基準状態における崩壊時間が40秒以内であり、基準状態における崩壊時間と、基準状態から40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存した後における崩壊時間との差が、15秒以内とすることができる。
また、(b)の成分として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するようにすれば、十分な硬度を得ることができる。さらに、(b)成分として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコールを含有するようにすれば、良好な溶出率を得ることができると共に、高湿度条件下に保存した後の崩壊時間の安定性についても、向上させることができる。
さらに、(e)崩壊剤を含有するようにすれば崩壊性を向上することができる。
加えて、(f)結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有するようにすれば、また、口腔内崩壊錠における各成分の含量を所定の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
さらにまた、トルバプタンとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの固体分散体を含有するようにすれば、また、トルバプタンとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの固体分散体中の重量比率を所定の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
加えてまた、少なくともトルバプタンを成分として含む混合物を造粒する混合造粒工程と、この混合造粒工程ののち造粒物を圧縮成型する打錠工程とを含む製造方法により製造し、打錠工程において、造粒物に少なくとも軽質無水ケイ酸を混合して圧縮成型するようにすれば、より良好な崩壊性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施の形態に係る口腔内崩壊錠は、(a)トルバプタンと、(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;以下、HPMCと言う)及びポリビニルアルコール(PVA;以下、PVAと言う)からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、(c)D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、(d)軽質無水ケイ酸とを含有するものである。
本実施の形態で使用されるトルバプタンは、式(1)で表される一般名N-{4-[(5RS)-7-クロロ-5-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-カルボニル]-3-メチルフェニル}-2-メチルベンズアミドの化合物またはその薬学的に許容される塩のいずれであってもよいが、式(1)の化合物(すなわち遊離体)であれば望ましい。さらに本実施の形態においてトルバプタンは、種々の形態の結晶体、あるいはHPMCとの固体分散体又はトルバプタン単独での非晶質体の状態で使用することができる。トルバプタンとHPMCの固体分散体を用いる場合、その固体分散体中のトルバプタンとHPMCの重量比率は1:1から5:1が好ましく、1.5:1から3:1がより好ましい。
Figure 0007161176000002
HPMCとの固体分散体やトルバプタン単独での非晶質体などの非晶質トルバプタンを用いる場合、非晶質トルバプタンの製造方法としては、特に限定されないが、ロータリーエバポレーター、噴霧乾燥機や流動層造粒機などを用いる溶媒留去法、2軸エクストルーダーなどを用いる溶融法、振動ミルや遊星ミルなどを用いる粉砕法等の公知の方法によって製造できる。溶媒留去法を用いる場合、使用する溶剤としては、特に限定されないが、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等の低級アルコール類やこれらの混合溶液等が挙げられる。また、必要ならば水を添加することもできる。これらの溶剤の中でも、溶解性及び溶媒留去などの観点からハロゲン化炭化水素類またはケトン類と低級アルコール類の混合溶液が好ましく、具体的にはジクロロメタンとメタノールまたはエタノール、アセトンとメタノールまたはエタノールの混合溶液が挙げられる。
口腔内崩壊錠におけるトルバプタンの含量は特に限定されないが、含量の下限は該口腔内崩壊錠に対して3重量%であることが好ましく、5重量%であることがより好ましい。含量の上限は該口腔内崩壊錠に対して25重量%であることが好ましく、20重量%であることがより好ましく、15重量%であることがさらに好ましい。また、高湿度の保存条件下において、口腔内での良好な崩壊性を保持するという効果をより発揮するという観点から、トルバプタンの含量の範囲は該口腔内崩壊錠に対して3重量%以上25重量%以下であることが好ましく、5重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、5重量%以上15重量%以下であることがさらに好ましい。また、トルバプタンの含量が3重量%より少ないと、錠剤が大きくなりすぎ、服用性が低下する恐れがある。
口腔内崩壊錠において、HPMC及びPVAからなる群から選択される少なくとも1種の成分の含量の合計は特に限定されないが、含量の合計の下限は該口腔内崩壊錠に対して0.2重量%であることが好ましく、0.5重量%であることがより好ましく、含量の合計の上限は該口腔内崩壊錠に対して10重量%であることが好ましく、8重量%であることがより好ましい。HPMC及びPVAからなる群から選択される少なくとも1種の成分の含量の合計の範囲は該口腔内崩壊錠に対して0.2重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上8重量%以下であることがより好ましい。HPMC及びPVAからなる群から選択される少なくとも1種の成分の含量の合計が10重量%より多いと良好な速崩壊性を有することができないおそれがあり、含量が0.2重量%よりも少ないと優れた溶解性を有することができないおそれがある。
口腔内崩壊錠がHPMCを含有する場合、その含量は特に限定されないが、含量の下限は該口腔内崩壊錠に対して0.2重量%であることが好ましく、0.5重量%であることがより好ましく、含量の上限は該口腔内崩壊錠に対して8重量%であることが好ましく、7重量%であることがより好ましい。また、HPMCを含有する場合、その含量の範囲は該口腔内崩壊錠に対して0.2重量%以上8重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上7重量%以下であることがより好ましい。
口腔内崩壊錠がPVAを含有する場合、その含量は特に限定されないが、含量の下限は該口腔内崩壊錠に対して0.1重量%であることが好ましく、0.2重量%であることがより好ましく、含量の上限は該口腔内崩壊錠に対して7重量%であることが好ましく、5重量%であることがより好ましい。また、PVAを含有する場合、その含量の範囲は該口腔内崩壊錠に対して0.1重量%以上7重量%以下であることが好ましく、0.2重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。
口腔内崩壊錠は、(b)成分として、HPMCを含有することが好ましい。十分な硬度を得ることができるからである。また、口腔内崩壊錠は、(b)成分として、HPMC及びPVAを両方含有することが特に好ましい。HPMC及びPVAを両方含有する場合、溶出性、口腔内崩壊時間及び高湿度条件下に長期間保存した場合の崩壊時間の安定性が最良となる。
口腔内崩壊錠において、D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分の含量の合計は特に限定されないが、含量の合計の下限は該口腔内崩壊錠に対して40重量%であることが好ましく、50重量%であることがより好ましく、60重量%であることがさらに好ましく、含量の合計の上限は該口腔内崩壊錠に対して85重量%であることが好ましく、80重量%であることがより好ましい。また、D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分の含量の合計の範囲は該口腔内崩壊錠に対して40重量%以上85重量%以下であることが好ましく、50重量%以上85重量%以下であることがより好ましく、60重量%以上80重量%以下であることがさらに好ましい。D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分の含量の合計が85重量%より多いと打錠障害が発生するおそれがあり、含量の合計が40重量%より少ないと良好な速崩壊性を有することができないおそれがある。
口腔内崩壊錠は、(c)成分として、崩壊時間の安定性の観点からD-マンニトールを含有することが好ましい。
また、(c)成分として乳糖を使用する場合、乳糖としては乳糖水和物が好ましい。
口腔内崩壊錠において、軽質無水ケイ酸の含量は特に限定されないが、含量の下限は該口腔内崩壊錠に対して0.1重量%であることが好ましく、0.2重量%であることがより好ましく、含量の上限は該口腔内崩壊錠に対して8重量%であることが好ましく、5重量%であることがより好ましい。また、高湿度の保存条件下において、口腔内での良好な崩壊性を保持するという効果をより発揮するという観点から、軽質無水ケイ酸の含量の範囲は該口腔内崩壊錠に対して0.1重量%以上8重量%以下であることが好ましく、0.2重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。
口腔内崩壊錠は上記成分に加え、さらに(e)崩壊剤を含有することが好ましい。崩壊剤としては特に限定されないが、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分α化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースが挙げられ、崩壊時間の観点から、クロスポビドンが好ましい。
口腔内崩壊錠において、(e)崩壊剤の含量は特に限定されないが、含量の下限は該口腔内崩壊錠に対して0.5重量%であることが好ましく、1重量%であることがより好ましく、含量の上限は該口腔内崩壊錠に対して10重量%であることが好ましく、7重量%であることがより好ましい。また、高湿度の保存条件下において、口腔内での良好な崩壊性を保持するという効果をより発揮するという観点から崩壊剤の含量の範囲は該口腔内崩壊錠に対して0.5重量%以上10重量%以下であることが好ましく、1重量%以上7重量%以下であることがより好ましい。
口腔内崩壊錠は上記成分に加え、さらに(f)結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC;以下、L-HPCと言う)及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有することが好ましい。
口腔内崩壊錠が結晶セルロース、L-HPC及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する場合、その含量の合計は特に限定されないが、含量の下限は該口腔内崩壊錠に対して5重量%であることが好ましく、8重量%であることがより好ましく、10重量%であることがさらに好ましく、含量の合計の上限は該口腔内崩壊錠に対して25重量%であることが好ましく、20重量%であることがより好ましい。また、結晶セルロース、L-HPC及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する場合、高湿度の保存条件下において、口腔内での良好な崩壊性を保持するという効果をより発揮するという観点から、その含量の合計の範囲は該口腔内崩壊錠に対して5重量%以上25重量%以下であることが好ましく、8重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以上20重量%以下であることがさらに好ましい。また、結晶セルロース、L-HPC及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分の含量の合計が5重量%より少ないと打錠障害が発生するおそれがある。
口腔内崩壊錠が結晶セルロース、L-HPC及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有する場合、結晶セルロースを含有することが好ましい。結晶セルロースを含有する場合、その含量は特に限定されないが、含量の下限は該口腔内崩壊錠に対して2重量%であることが好ましく、4重量%であることがより好ましく、含量の上限は該口腔内崩壊錠に対して20重量%であることが好ましく、15重量%であることがより好ましい。また、結晶セルロースを含有する場合、その含量の範囲は該口腔内崩壊錠に対して2重量%以上20重量%以下であることが好ましく、2重量%以上15重量%以下であることがより好ましく、4重量%以上15重量%以下であることがさらに好ましい。
口腔内崩壊錠は上記に加え、さらに滑沢剤を含むことが好ましい。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールが挙げられ、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウムが好ましい。これらの滑沢剤は単独で用いてもよいが、二種以上併用することもできる。
また、本実施の形態の口腔内崩壊錠においては、本実施の形態の効果に影響を与えない範囲であれば、上記成分以外の製剤分野において通常使用される無毒性かつ不活性な添加剤を添加することもでき、さらに服用感を向上させるため、薬物を含有する核粒子に甘味剤や矯味剤などをコーティングする方法、薬物を含有する核粒子に胃溶性高分子、腸溶性高分子又は水不溶性高分子を含む被膜で被覆するコーティング法等の公知の服用感を向上させる方法を適用することもできる。
使用する添加剤としては、医薬的に許容されるものであればよく、例えば、賦形剤、流動化剤、甘味剤、矯味剤、着香剤・香料、着色剤、安定化剤が挙げられる。流動化剤では、例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられる。甘味剤、矯味剤では、例えば、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、タウマチン、スクラロース、アセスルファムK等が挙げられ、アスパルテーム、及びスクラロースが好ましい。着香剤、香料としては、例えば、ペパーミント、スペアミント、メントール、ハッカ油、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、パイン、フルーツ、ヨーグルトが挙げられ、メントール、ハッカ油が好ましい。胃溶性高分子では、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE等が挙げられる。腸溶性高分子では、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボシキメチルエチルセルロース、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS等が挙げられる。水不溶性高分子では、例えば、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液等が挙げられる。前述の甘味剤、矯味剤、着香剤、香料の配合又は甘味剤、矯味剤、胃溶性高分子、腸溶性高分子、水不溶性高分子のコーティングによって、より好ましい服用感が得られる場合がある。これらの添加剤は、一種又は二種以上を組み合わせて適宜、適量添加することができる。
本実施の形態に係る口腔内崩壊錠の製造方法は特に限定されないが、例えば、少なくともトルバプタンを成分として含む混合物を造粒する混合造粒工程と、この混合造粒工程ののち造粒物を圧縮成型する打錠工程とを含んでいる。具体的には、例えば、軽質無水ケイ酸等の流動化剤と活性成分トルバプタンを混合粉砕したあと、D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分、HPMC及びPVAからなる群から選択される少なくとも1種の成分、軽質無水ケイ酸等の流動化剤、及び必要な場合は適宜、水、結晶セルロース、L-HPC、トウモロコシデンプンなどの添加剤を加えて混合して造粒し、必要に応じて乾燥し、得た造粒物に、崩壊剤、並びに必要な場合は適宜、D-マンニトール、軽質無水ケイ酸、滑沢剤などの添加剤を加え、混合して圧縮成型することで錠剤を得ることができる。使用する各成分が凝集性であったり、結晶や造粒物が大きなものであったりする等、活性成分の含量均一性を阻害する可能性がある場合は、各成分を混合前又は混合後に粉砕等の手法を利用して、含量均一性を保証できる粒子径に整えることが望ましい。造粒方法については特に限定されないが、転動造粒,流動層造粒,撹拌造粒などを用いることができる。
錠剤の成型方法については、特に限定されないが、商業的に製造する場合はロータリー式打錠機を用いた圧縮成型法を用いることができる。なお、本実施の形態に係る口腔内崩壊錠は、外部滑沢法を用いなくとも圧縮成型が可能であるが、勿論、外部滑沢法を用いても成型可能である。この場合には、滑沢剤を除く成分を混合した後、滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行うか、あるいは、滑沢剤の一部をあらかじめ混合した後、残りの滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行う。圧縮成型力は、錠剤に十分な強度を与える程度であれば特に限定されないが、2.5kN(約250kg)以上の圧縮力が好ましい。
本実施の形態に係る口腔内崩壊錠の形状は、特に限定されず、丸錠、三角錠、砲丸錠、円形錠、円形R錠、円形隅角錠や各種異形錠等いずれの形状でもよく、また分割錠としても良い。
本実施の形態において口腔内崩壊錠は、錠剤を服用するために水を摂取することなく、又は少量の水で口腔内において速やかに崩壊する錠剤を意味している。例えば、基準状態における崩壊時間は60秒以内であることが好ましく、40秒以内がより好ましく、35秒以内がさらに好ましい。基準状態とは、包装から取り出した直後のように、吸湿により変質していない状態を意味している。
また、口腔内崩壊錠は、通常の操作において欠け、割れを生じないような十分な硬度を有することが好ましい。ここで通常の操作とは、包装状態での運搬及び保管、PTPからの取り出し、自動分包機による一包化等が挙げられる。本実施の形態において口腔内崩壊錠の硬度は、基準状態において2.0kgf以上が好ましく、3.0kgf以上がより好ましい。また、本実施の形態において口腔内崩壊錠の硬度は25℃、相対湿度93%(93%RH)の条件下で2週間保存した後においても2.0kgf以上であることが好ましい。
さらに、本実施の形態の口腔内崩壊錠は、加湿条件下で保存しても、速やかな崩壊性及び硬度を維持できる錠剤である。例えば、基準状態から40℃、相対湿度75%(75%RH)の条件下で1週間保存した後における崩壊時間と、保存前の基準状態における崩壊時間との差は、20秒以内が好ましく、15秒以内がより好ましい。また、基準状態から25℃、相対湿度93%(93%RH)の条件下で2週間保存後した後における口腔内崩壊錠の硬度と、保存前の基準状態における口腔内崩壊錠の硬度との差は、3.0kgf以下が好ましく、2.5kgf以下がより好ましい。
このように本実施の形態によれば、(a)トルバプタンと、(b)HPMC及びPVAからなる群から選択される少なくとも1種の成分と、(c)D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、(d)軽質無水ケイ酸とを含有するようにしたので、高湿度の保存条件下においても、良好な崩壊性を得ることができる。
さらに、(e)崩壊剤を含有するようにすれば崩壊性を向上することができる。
また、(b)の成分として、HPMCを含有するようにすれば、十分な硬度を得ることができる。さらに、(b)成分として、HPMC及びPVAを含有するようにすれば、良好な溶出率を得ることができると共に、崩壊時間の安定性及び高湿度条件下に保存した後の崩壊時間の安定性についても、向上させることができる。
加えて、(f)結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有するようにすれば、また、口腔内崩壊錠における各成分の含量を所定の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
さらにまた、トルバプタンとHPMCとの固体分散体を含有するようにすれば、また、トルバプタンとHPMCとの固体分散体中の重量比率を所定の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
加えてまた、少なくともトルバプタンを成分として含む混合物を造粒する混合造粒工程と、この混合造粒工程ののち造粒物を圧縮成型する打錠工程とを含む製造方法により製造し、打錠工程において、造粒物に少なくとも軽質無水ケイ酸を混合して圧縮成型するようにすれば、より良好な崩壊性を得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明を限定するものではない。
本実施例において、D―マンニトール、乳糖、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、無水リン酸水素カルシウム、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、コポリビドン、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、L-HPC、部分α化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、トウモロシデンブン、アスパルテーム、スクラロース、L-メントール、ハッカ油、青色2号、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウムは、特に明示しない限り以下のものを使用した。
D―マンニトール:グラニュトールS(フロイント産業)、乳糖:SuperTab11SD(DFE Pharma)、軽質無水ケイ酸:アドソリダー101(フロイント産業)、合成ケイ酸アルミニウム:合成ケイ酸アルミニウム(特軽質)(協和化学工業)、無水リン酸水素カルシウム:無水リン酸水素カルシウム(標準)(協和化学工業)、含水二酸化ケイ素:アドソリダー102(フロイント産業)、ケイ酸カルシウム:フローライトR(富田製薬)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:ノイシリンUFL2(富士化学工業)、コポリビドン:Kollidon VA64(BASF)、ポリビニルピロリドン:PLASDONE K-25(ISP)、クロスポビドン:Kollidon CL-F(BASF)、L-HPC:NBD-022(信越化学工業)、部分α化デンプン:PC-10(旭化成)、クロスカルメロースナトリウム:Ac-Di-Sol(FMC)、デンプングリコール酸ナトリウム:Primojel(DFE Pharma)、カルメロースカルシウム:ECG-505(五徳薬品)、カルメロース:NS-300(五徳薬品)、トウモロシデンブン:STスターチC(日澱化学)、アスパルテーム:味の素KKアスパルテーム(味の素)、スクラロース:スクラロースP(三栄源エフ・エフ・アイ)、l-メントール:日局l-メントール(東洋薄荷工業)、ハッカ油:ハッカ油「ヨシダ」(ヨシダ製薬)、青色2号:青色2号アルミニウムレーキ(癸巳化成)、ステアリン酸マグネシウム:ステアリン酸マグネシウム-S(太平化学産業)、フマル酸ステアリルナトリウム:PRUV(JRS PHARMA)。
本実施例においてHPMCはTC-5E(信越化学工業)及びMETOLOSE SR90SH-100SR(信越化学工業)からなる群から選択される少なくとも1種を用い、PVAはパーテックSRP80(メルク)、ポバールPE-05JPS(日本酢ビ・ポバール)、及びゴーセノールEG-03P(日本合成化学)から選択される少なくとも一種を用い、結晶セルロースはセオラスPH-301(旭化成)、セオラスKG-802(旭化成)及びセオラスUF-702(旭化成)からなる群から選択される少なくとも1種を用いた。
(実施例1~20、比較例1~3)
実施例1として、以下の工程により重量約90mgの口腔内崩壊錠(直径6mm・隅角R)を得た。
(1)非晶質トルバプタン0.113gと軽質無水ケイ酸0.007gを混合粉砕(混合粉砕工程)した。
(2)D-マンニトール0.681g、軽質無水ケイ酸0.007g、結晶セルロース0.075g、L-HPC0.075g及びHPMC(METOLOSE SR90SH-100SR)0.027gを加えて混合した後、HPMC(TC-5E)0.014gを溶解させた精製水0.210mLを添加して造粒(混合造粒工程)した。
(3)その造粒物を乾燥(乾燥工程)し,整粒(整粒工程)した。
(4)その造粒物にクロスポビドン0.068g、D-マンニトール0.270g及びステアリン酸マグネシウム0.015gを加えて混合し、圧縮成型(打錠)を行った(打錠工程)。
実施例2~20として、実施例1に準じて、表1,2に記載してある比率に従い、混合粉砕工程、混合造粒工程、打錠工程で加える添加剤を変更して口腔内崩壊錠を調製した。ただし、実施例20においてはトルバプタンとHPMC(TC-5E)の固体分散体を用いた。また、比較例1~3として、表3の比率をもとに、実施例1と同様に口腔内崩壊錠を調製した。ただし、比較例2においてはトルバプタンとポリビニルピロリドンの固体分散体を用いた。比較例3においてはトルバプタンとコポリピドンの固体分散体を用いた。なお、実施例1~20及び比較例1~3の口腔内崩壊錠を調製する際は0.113~0.300gのトルバプタンを用いた。また、表1~3に示した数字は、口腔内崩壊錠の重さを100%とした重量パーセントである。
Figure 0007161176000003
Figure 0007161176000004
Figure 0007161176000005
(実施例21~29、比較例4~8)
実施例21として、以下の工程により重量約180mgの口腔内崩壊錠(直径8mm・隅角R)を得た。
(1)非晶質トルバプタン22.50gと軽質無水ケイ酸1.35gを混合粉砕(混合粉砕工程)した。
(2)D-マンニトール141.33g、軽質無水ケイ酸1.35g、結晶セルロース(PH-301)15.00g、L-HPC15.00g及びHPMC(TC-5E)2.70gを加えて混合した後、精製水42mLを添加して造粒(混合造粒工程)した。
(3)その造粒物を乾燥(乾燥工程)し、整粒(整粒工程)した。
(4)その造粒物にクロスポビドン13.50g、D-マンニトール39.15g、軽質無水ケイ酸1.35g、青色2号0.27g、結晶セルロース(UF-702)13.50g及びフマル酸ステアリルナトリウム3.00gを加えて混合し、圧縮成型(打錠)を行った(打錠工程)。
実施例22~29として、実施例21に準じて、表4に記載してある比率に従い、混合粉砕工程、混合造粒工程、打錠工程で加える添加剤を変更して口腔内崩壊錠を調製した。ただし、実施例25においては、無水リン酸水素カルシウムとしてフジカリンSG(富士化学工業)を用いた。また、比較例4~8として、表5の比率をもとに、実施例21と同様に口腔内崩壊錠を調製した。実施例21~29及び比較例4~8の口腔内崩壊錠を調製する際は22.50~30.00gのトルバプタンを用いた。
Figure 0007161176000006
Figure 0007161176000007
(実施例30~36、比較例9)
実施例30として、以下の工程により重量約180mgの口腔内崩壊錠(直径8mm・隅角R)を得た。
(1)D-マンニトール355.80g、結晶セルロース(PH-301)30.00g、L-HPC30.00g、トウモロコシデンプン30.00g、アスパルテーム5.40g及びHPMC(TC-5E)5.40gを混合して、トルバプタン45.00g、軽質無水ケイ酸5.40g及び青色2号0.54gを溶解・分散させた溶剤を添加した後、PVA(EG-03P)1.62gを溶解させた精製水84mL、l-メントール0.54gを溶解させた溶剤を添加して、造粒した(混合造粒工程)。
(2)その造粒物を乾燥(乾燥工程)し、整粒(整粒工程)した。
(3)その造粒物にクロスポビドン16.20g、軽質無水ケイ酸5.40g及びフマル酸ステアリルナトリウム6.00gを加えて混合し、圧縮成型(打錠)を行った(打錠工程)。
実施例31~35として、実施例30に準じて、表6に記載してある比率に従い、混合粉砕工程、混合造粒工程、打錠工程で加える添加剤を変更して口腔内崩壊錠を調製した。なお、実施例30、実施例31、実施例32、実施例33、実施例34及び実施例35の溶剤として、それぞれアセトン/メタノール(7:3)、エタノール、メタノール、アセトン/エタノール(7:3)、ジクロロメタン/エタノール(7:3)及びジクロロメタン/エタノール(7:3)を用いた。また、実施例30~35の口腔内崩壊錠を調製する際は22.50~45.00gのトルバプタンを用いた。
また、実施例36、比較例9として、実施例30に準じて、表6に記載してある比率に従い、混合造粒工程、打錠工程で加える添加剤を変更して口腔内崩壊錠を調製した。なお、実施例36、比較例9の溶剤として、ジクロロメタン/エタノール(7:3)を用いた。また、実施例36、比較例9の口腔内崩壊錠を調製する際は45.00gのトルバプタンを用いた。
Figure 0007161176000008
(実施例37~42)
実施例37として、以下の工程により重量約180mgの口腔内崩壊錠(直径8mm・隅角R)を得た。なお、溶剤として、ジクロロメタン/エタノール(7:3)を用いた。
(1)D-マンニトール361.20g、結晶セルロース(PH-301)30.00g、L-HPC30.00g、トウモロコシデンプン30.00g、軽質無水ケイ酸2.70g及びHPMC(TC-5E)5.40gを混合して、トルバプタン45.00g及び軽質無水ケイ酸5.40gを溶解・分散させた溶剤を添加した後、PVA(EG-03P)2.70gを溶解させた精製水84mLを添加して、造粒した(混合造粒工程)。
(2)その造粒物を乾燥(乾燥工程)し、整粒(整粒工程)した。
(3)その造粒物51.24gにL-HPC1.62g、軽質無水ケイ酸0.54g及びフマル酸ステアリルナトリウム0.60gを加えて混合し、圧縮成型(打錠)を行った(打錠工程)。
実施例38~42として、実施例37の整粒工程で得られた造粒物51.24gを用いて、表7に記載してある比率に従い、打錠工程で加える添加剤を変更して口腔内崩壊錠を調製した。
Figure 0007161176000009
(実施例43~45)
実施例43として、以下の工程により重量約180mgの口腔内崩壊錠(直径8mm・隅角R)を得た。
(1)D-マンニトール513.04g、結晶セルロース(UF-702)40.00g、トウモロコシデンプン40.00g、軽質無水ケイ酸3.60g及びHPMC(TC-5E)7.20gを混合して、トルバプタン60.00g、軽質無水ケイ酸7.20g及び青色2号0.72gを溶解・分散させた溶剤を添加した後、精製水200mL及びPVA(EG-03P)2.16gを溶解させた精製水216mLを添加して、造粒した(混合造粒工程)。
(2)その造粒物を乾燥(乾燥工程)し、整粒(整粒工程)した。
(3)その造粒物にクロスポビドン21.60g、軽質無水ケイ酸7.20g、スクラロース7.20g、l-メントール0.72g及びフマル酸ステアリルナトリウム10.80gを加えて混合し、圧縮成型(打錠)を行った(打錠工程)。
実施例44として、実施例43に準じて、表8に記載してある比率に従い、混合造粒工程、打錠工程で加える添加剤を変更して口腔内崩壊錠を調製した。なお、実施例43~44の溶剤として、エタノールを用いた。また、実施例44の口腔内崩壊錠を調製する際は60.00gのトルバプタンを用いた。
実施例45として、以下の工程により重量約180mgの口腔内崩壊錠(直径8mm・隅角R)を得た。
(1)D-マンニトール511.36g、結晶セルロース(PH-301)80.00g、軽質無水ケイ酸3.60g及びHPMC(TC-5E)7.20gを混合して、トルバプタン60.00g及び軽質無水ケイ酸7.20gを溶解・分散させた溶剤を添加した後、青色2号0.72gを溶解させた精製水200mL及びPVA(EG-03P)2.40gを溶解させた精製水240mLを添加して、造粒した(混合造粒工程)。
(2)その造粒物を乾燥(乾燥工程)し、整粒(整粒工程)した。
(3)その造粒物にクロスポビドン21.60g、軽質無水ケイ酸7.20g、スクラロース7.20g、l-メントール0.72g及びフマル酸ステアリルナトリウム10.80gを加えて混合し、圧縮成型(打錠)を行った(打錠工程)。
なお、実施例45の溶剤として、エタノールを用いた。
Figure 0007161176000010
(特性試験)
以下の特性試験において、硬度の測定はロードセル式錠剤硬度計(岡田精工製PORTABLE CHECKER PC―30)を用いて、0.5mm/secの速度で直径方向の錠剤破断動作を行い、最大破断力を測定した。また、以下の特性試験において、特に示さない限り、崩壊時間の測定は試験液として水を用い、第十七改正日本薬局方 崩壊試験方法に準じ、錠剤の残留物をガラス管内に全く認めないか、又は認めても明らかに原形をとどめない軟質の物質となる時間(崩壊時間)を測定した。
(特性試験1)
実施例1~19及び比較例1で得られた口腔内崩壊錠について、基準状態として圧縮成型を行った直後(保存前)と、圧縮成型を行った後、基準状態から40℃、75%RH(開放)下で1週間保存した後(保存後)とにおける保存前後の崩壊時間及び硬度をそれぞれ測定した。結果を表9に示す。
Figure 0007161176000011
表9に示すように、各実施例の口腔内崩壊錠は、いずれも基準状態(保存前)において40秒以内の崩壊時間を示し、崩壊性に優れることが示された。また、いずれの実施例も基準状態から加湿条件下で保存した後と基準状態(保存前)における崩壊時間の差は15秒以内であり、優れた崩壊時間の安定性が示された。一方、比較例1のHPMC及びPVAを含まない口腔内崩壊錠は、崩壊性、崩壊時間の安定性について満足するものではなかった。
(特性試験2)
実施例21~42、実施例45及び比較例4~9で得られた口腔内崩壊錠について、基準状態として圧縮成型を行った直後(保存前)と、圧縮成型を行った後、基準状態から40℃、75%RH(開放)下で2週間保存した後(保存後)とにおける保存前後の崩壊時間及び硬度をそれぞれ測定した。結果を表10に示す。
Figure 0007161176000012
表10に示すように、各実施例の口腔内崩壊錠は、いずれも基準状態(保存前)において40秒以内の崩壊時間を示し、崩壊性に優れることが示された。また、いずれの実施例も基準状態から加湿条件下で保存した後と基準状態(保存前)における崩壊時間の差は15秒以内であり、優れた崩壊時間の安定性が示された。一方、各比較例の口腔内崩壊錠は、崩壊時間の安定性について満足するものではなかった。
(特性試験3)
実施例20及び比較例2,3で得られた口腔内崩壊錠について、基準状態として圧縮成型を行った直後(保存前)と、圧縮成型を行った後、基準状態から40℃、75%RH(開放)下で4週間保存した後(保存後)とにおける保存前後の崩壊時間をそれぞれ測定した。結果を表11に示す。
Figure 0007161176000013
表11に示すように、実施例20の口腔内崩壊錠は、基準状態(保存前)において40秒以内の崩壊時間を示し、崩壊性に優れることが示された。また、実施例20において基準状態から加湿条件下で保存した後と基準状態(保存前)における崩壊時間の差は15秒以内であり優れた崩壊時間の安定性が示された。一方、比較例2,3の口腔内崩壊錠は、崩壊時間、崩壊時間の安定性について全てを満足するものではなかった。
(特性試験4)
実施例43,44で得られた口腔内崩壊錠について、基準状態として圧縮成型を行った直後(保存前)と、圧縮成型を行った後、基準状態から40℃、75%RH(開放)下で3日間保存した後(保存後)とにおける保存前後の崩壊時間及び硬度をそれぞれ測定した。結果を表12に示す。なお、特性試験4においては崩壊時間は口腔内速崩壊錠崩壊試験装置(トリコープテスタ、岡田精工)を用いて、荷重40gのメッシュで挟み込んだ口腔内崩壊錠に人工唾液を滴下速度6mL/分、滴下高さ80mmの条件で定量滴下することにより測定した。
Figure 0007161176000014
表12に示すように、各実施例の口腔内崩壊錠は、いずれも基準状態(保存前)において40秒以内の崩壊時間を示し、崩壊性に優れることが示された。また、いずれの実施例も基準状態から加湿条件下で保存した後と基準状態(保存前)における崩壊時間の差は15秒以内であり、優れた崩壊時間の安定性が示された。
(特性試験5)
実施例の中から選択した口腔内崩壊錠について、基準状態として圧縮成型を行った直後(保存前)と、圧縮成型を行った後、基準状態から25℃、93%RH(開放)下で2週間保存した後とにおける保存前後の崩壊時間及び硬度を測定した。結果を表13に示す。
Figure 0007161176000015
表13に示すように、各実施例の口腔内崩壊錠は、基準状態から加湿条件下で保存した後と基準状態(保存前)における崩壊時間の差は15秒以内であり優れた崩壊時間の安定性が示された。また、実施例21~26及び実施例30~35の口腔内崩壊錠は、基準状態から加湿条件下で保存した後と基準状態(保存前)における硬度の差はいずれも2.5kgf以下であり、加湿条件下で保存した後の硬度はいずれも2.0kgf以上であった。これに対して、実施例28では、基準状態から加湿条件下で保存した後と基準状態(保存前)における硬度の差が2.5kgfよりも大きく、加湿条件下で保存した後の硬度は2.0kgfよりも低かった。すなわち、(b)の成分としてHPMCを含有するようにすれば、加湿条件下で保存した後においても十分な硬度を得ることができることが分かった。
(特性試験6)
実施例の中から選択した口腔内崩壊錠について、試験液として900mlの水を用い、第十七改正日本薬局方 溶出試験法 第2法に準じ、パドル回転数50rpmで撹拌し、各時間経過後の溶出率を測定した。なお、溶出率はHPLC法を用いてトルバプタン標準溶液とのピーク面積の比によって求めた。結果を表14に示す。
Figure 0007161176000016
表14に示すように、実施例の口腔内崩壊錠の溶出性は満足できるものであった。また、(b)の成分としてHPMC及びPVAを含有する実施例29,30,32~34、36~42、45によれば、より高い溶出性を得られることが分かった。
(特性試験7)
実施例20及び比較例2,3で使用したトルバプタンの固体分散体のラットに対する経口吸収性を測定した。なお、本試験で用いたトルバプタンの固体分散体は、トルバプタンとHPMC、ポリビニルポリビドン、及びコポリピドンからなる群から選ばれる1種をジクロロメタン/エタノール(7:3)に溶解させ、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去し、ジェットミルで粉砕することにより製造した。ラットは雄系のSDラットを用いた。ラットは1週間以上馴化した後、試験に使用した。飼料は、固形飼料(F-2、船橋農場)を、飲料水は上水道水を自由に摂取させた。試験には8週齢の動物を使用した。
被験物質を10mg/kgで経口投与してから0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後及び24時間後に、左右いずれかの頚静脈よりヘパリンナトリウムで処理した1mLシリンジに25Gの静脈針をつけ採血した。血液を冷却し、遠心分離(4℃、12000rpm、10min)して、ラット血漿を得た。得られた血漿を試料として、HPLC法を用い、トルバプタンの血漿中濃度-時間曲線を作成し、Cmax(ng/mL)及びAUC(ng・hr/mL)を算出した。結果を表15に示す。
Figure 0007161176000017
表15に示すように、トルバプタンとHPMCとの固体分散体のラット経口吸収性は他の固体分散体と比べて優れていた。
以上、実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。
本発明により、速やかな崩壊性、及び加湿条件下でも口腔内崩壊性を保持するトルバプタンの口腔内崩壊錠を提供することができる。

Claims (12)

  1. (a)トルバプタンと、(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコールと、(c)D-マンニトール及び乳糖からなる群から選択される少なくとも1種の成分と、(d)軽質無水ケイ酸とを含有することを特徴とする口腔内崩壊錠。
  2. 基準状態における崩壊時間が40秒以内であり、基準状態における崩壊時間と、基準状態から40℃、相対湿度75%の条件下で1週間保存した後における崩壊時間との差が、15秒以内であることを特徴とする請求項1記載の口腔内崩壊錠。
  3. 前記(c)の成分としてD-マンニトールを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の口腔内崩壊錠。
  4. 更に、(e)崩壊剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1に記載の口腔内崩壊錠。
  5. 前記(e)の成分としてクロスポビドンを含有することを特徴とする請求項記載の口腔内崩壊錠。
  6. 口腔内崩壊錠100重量%における各成分の含量は、(a)トルバプタンが3重量%以上25重量%以下、(b)成分の合計が0.2重量%以上10重量%以下、(c)成分の合計が40重量%以上85重量%以下、(d)軽質無水ケイ酸が0.1重量%以上8重量%以下、(e)崩壊剤が0.5重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項又は請求項記載の口腔内崩壊錠。
  7. 更に、(f)結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びトウモロコシデンプンからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1に記載の口腔内崩壊錠。
  8. 口腔内崩壊錠100重量%における(f)成分の含量の合計が5重量%以上25重量%以下であることを特徴とする請求項記載の口腔内崩壊錠。
  9. トルバプタンとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの固体分散体を含有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1に記載の口腔内崩壊錠。
  10. トルバプタンとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの固体分散体中の重量比率が1:1から5:1であるトルバプタンとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの固体分散体を含有することを特徴とする請求項記載の口腔内崩壊錠。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1に記載の口腔内崩壊錠を製造する口腔内崩壊錠の製造方法であって、
    少なくともトルバプタンを成分として含む混合物を造粒する混合造粒工程と、
    この混合造粒工程ののち造粒物を圧縮成型する打錠工程と
    を含むことを特徴とする口腔内崩壊錠の製造方法。
  12. 前記打錠工程において、造粒物に少なくとも軽質無水ケイ酸を混合して圧縮成型することを特徴とする請求項11記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
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