JP7157434B2 - 森林資源情報算定方法及び森林資源情報算定装置 - Google Patents

森林資源情報算定方法及び森林資源情報算定装置 Download PDF

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Description

本発明は、調査対象森林域を含む地域に対応する画像データに基づいて、調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定方法及び森林資源情報算定装置に関する。
樹高を含む森林資源に関する情報(森林資源情報という。)は、森林管理において重要な基礎情報である。森林資源情報は、従来においては、地上調査によって、調査員が標準的な森林と思われる箇所に小面積の調査地を設定して、当該調査地における樹木の位置、胸高直径、樹高を測定し、その結果に管理面積を乗ずることで、全体の森林資源情報を推定する方法が広く行われている。
このような森林資源情報の推定方法では、森林資源の推定精度を上げるためには、現地調査箇所の数を増やす必要があるが、そうとすると、多大な労力と費用を要する。地上調査で最も誤差が生じやすい樹高算定は、森林内は障害物や枝葉が茂っていることから、地上からは樹木の頂点が見えない場合がほとんどであり、林縁や孤立木などの標本木を使用して樹高を測定し、実測した胸高直径と標本木の樹高との関係から回帰式を作成し、樹高を推定し、内挿することを行っている。さらに、測定者の技量や測定斜面などの地形の影響を受けると測定誤差が大きくなる。
そこで、最近では、航空レーザー計測で得られた3次元点群データから、樹木頂点や樹木抽出を評価することも行われている。また、ドローンや航空機等で上空から森林を撮影した画像を3次元点群データに変換して、樹木頂点や樹木抽出を評価することも行われている。
特許第4946072号公報 特許第4279894号公報 特許第5507418号公報
特許文献1及び特許文献2に記載されている技術は、3次元点群データから樹木頂点や樹木位置を公知の局所最大値フィルターといわれる空間フィルタリング法を用いて、一定サイズ(3×3、5×5等)のフィルターを樹冠高点群データ上で移動させながら領域内の最大値となる樹木頂点を一括処理抽出する方法である。
特許文献1及び特許文献2に記載されている技術は、碁盤のように区画された人工林で、かつ、単純で疎な針葉樹では有効な方法であるが、殆どの森林は、立木密度の違いや樹高及び樹冠の大小が混交しているため、「未抽出や誤抽出が多くなる」、「フィルターのサイズに依存し、小さい樹冠と大きい樹冠を同時に抽出することはできない」、「立木密度の高い森林や集団木では1つの樹高しか抽出できず未抽出木が多い」、「森林の樹冠の隙間(ギャップ)では、下層にある植生を樹木頂点として誤抽出してしまう」など、実用面での課題は多い。
一方、特許文献3に記載されている技術は、航空レーザー計測により取得された森林の3次元点群データを地上に平面投影して樹木位置を検出する方法であるが、立木密度の違いや樹高及び樹冠の大小が混交する森林を単木ごとに区分することは難しいといった課題がある。
このように、上記特許文献1~3においては、立木密度の違いや樹高及び樹冠の大小が混交する森林においては、各樹木の樹高、胸高直径及びこれら樹高と胸高直径とから得られる材積などの森林資源情報を高精度に算定できないといった問題がある。なお、この明細書において、「樹冠」とは森林を構成する各樹木を上部から見たときに各樹木の枝と葉で構成された部分をいう。
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、立木密度の違いや樹高及び樹冠の大小が混交する森林においても、森林資源情報を高精度に算定できる森林資源情報算定方法及び森林資源算情報定装置を提供することを目的とする。
[1]本発明の森林資源情報算定方法は、調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定方法であって、前記調査対象森林域を含む地域に対応する3次元点群データと地理的情報とに基づいて調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成処理ステップと、前記調査対象森林域画像データに基づいて、前記調査対象森林域に存在する各樹木の樹冠の高さを樹冠高として表す樹冠高画像データの作成を行う樹冠高画像データ作成処理ステップと、前記樹冠高画像データから得られる樹冠高のうち、最大樹冠高が存在する階層を第1階層として、前記最大樹冠高を起点に所定長さの階層幅を有する階層を前記第1階層から地表面に向かって複数設定したときに、前記第1階層を含む各階層に樹頂点が存在する樹冠の樹頂点を、前記階層ごとにそれぞれ抽出する階層別樹頂点抽出処理ステップと、を有することを特徴とする。
このように、本発明の森林資源情報算定方法においては、調査対象森林域を含む地域に対応する3次元点群データと地理的情報とに基づいて作成された調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成し、当該樹冠高画像データから得られる樹冠高のうち、最大樹冠高が存在する階層を第1階層として、当該第1階層を含む各階層に樹頂点が存在する樹冠の樹頂点を、階層ごとにそれぞれ抽出するようにしている。
これにより、本発明の森林資源情報算定方法によれば、調査対象森林域に存在する調査対象樹木の樹高にかかわらず各樹木に対応する樹冠を高精度に抽出することができ、それによって、立木密度の違いや樹高及び樹冠の大小が混交する森林においても、森林資源情報を高精度に算定できる。
[2]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記樹冠高画像データ作成処理ステップは、前記調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータとを作成し、メッシュごとに前記デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データを作成することが好ましい。
これにより、樹冠高(地表からの樹冠の高さ)をメッシュごとに高精度に算定することができる。なお、この場合、デジタル表層モデルデータというのは、樹木などの表層の標高を表すデータを指し、デジタル標高モデルデータというのは、地表の標高を表すデータを指している。従って、デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって樹冠高(地表からの樹冠の高さ)をメッシュごとに求めることができる。
[3]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記階層別樹頂点抽出処理ステップには、前記メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データを用いて、前記第1階層を含む各階層に存在する個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データを、前記階層ごとに作成する階層別樹冠高点群データ作成処理ステップと、前記階層別樹冠高点群データ作成処理ステップによって作成された前記個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データから、前記個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データの最大値を前記階層ごとに算定して、算定された最大値を当該階層別樹冠高点群データに対応する樹冠の樹頂点とする樹頂点算定処理ステップと、が含まれていることが好ましい。
このように、本発明の森林資源情報算定方法においては、第1階層を含む各階層に存在する個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データを階層ごとに作成し、当該階層ごとに作成された個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データから、個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データの最大値を算定するようにしている。ここで、階層別樹冠高点群データを階層ごとに作成し、階層ごとに作成された個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データから、個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データの最大値を算定する処理は、例えて言えば、個々の樹冠をCT(Computed Tomography)スキャンのように、階層ごとに輪切りにして階層別樹冠高点群データを作成して、階層ごとに求められた階層別樹冠高点群データから最大値を算定するといった処理である。このような処理を行うことによって、各階層に存在する個々の樹冠の最大値を、階層ごとに算定できる。なお、階層ごとに算定された「樹冠の樹頂点」は、当該樹冠を有する樹木の樹頂点であり、当該算定された樹頂点から当該樹木の樹高を得ることができる。
[4]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記樹頂点算定処理ステップは、前記最大値を算定する際においては、前記個々の樹冠に対応する前記階層別樹冠高点群データのうち、前記階層別樹冠高点群データが既に作成されている樹冠と同じ樹冠に対応する階層別樹冠高点群データは除外して、前記最大値を算定することが好ましい。
これにより、各階層のうち現時点の処理対象階層に樹頂点が存在する樹冠のみの最大値を算定できる。例えば、現時点の処理対象階層を第2階層とした場合、当該第2階層よりも上の階層(第1階層)に樹頂点が存在する樹冠の最大値が当該階層の樹頂点として誤算出されることを防止できる。それによって、現時点の処理対象階層(例えば、第2階層)に樹頂点が存在する樹冠のみの最大値を算定できる。
[5]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記階層別樹頂点抽出処理ステップには、前記樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことによって、ノイズ除去済みの樹冠高画像データを作成する平均化処理ステップがさらに含まれており、前記階層別樹冠高点群データ作成処理ステップは、前記平均化処理ステップによって作成されたノイズ除去済みの樹冠高画像データを、前記メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データとして用いて前記階層別樹冠高点群データを作成することが好ましい。
このような平均化処理を行うことにより、例えば、樹冠に極端な凹凸(枝葉が周囲に比べて疎になっている部分や徒長枝葉など)が存在している場合に、これをノイズとして除去することができ、ノイズ除去済みの樹冠高画像データを作成することができる。そして、階層別樹冠高点群データ作成処理ステップは、ノイズ除去済みの樹冠高画像データを樹冠高画像データとして用いて階層別樹冠高点群データを作成することによって、高精度な階層別樹冠高点群データを作成することができる。なお、徒長枝葉というのは、樹冠において枝葉が周囲の枝葉に比べて突出している部分を指す。
[6]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記階層幅は、0.2m~2.0mの範囲の長さに設定されていることが好ましい。
階層幅は、特に限定されるものではないが、あまり細かく(長さを短く)設定すると、階層数が増大して処理回数が増えてデータ量が多くなり、演算に時間がかかるといった課題が生じ、逆に、あまり大きく(長さを長く)設定すると、階層別樹冠高点群データの精度が低くなるといった課題が生じる。このため、階層幅は、0.2m~2.0mの範囲に設定することが好まく、例えば、0.4m、0.8m、1.0m程度の階層幅を例示できるが、調査対象森林域内に存在する樹木の樹高なども考慮して設定することが好ましい。
[7]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記3次元点群データは、上空から撮影箇所を重複させ、かつ、ずらしながら撮影して得られた撮影画像データから、3次元形状復元技術であるSFM(Structure from Motion)によって作成されていることが好ましい。
3次元形状復元技術であるSFMを用いることによって、2次元の撮影画像データから、歪みのない地図補正されたオルソ画像を作成することができる。そして、このようにして作成されたオルソ画像に基づいて、高さが表わされている3次元点群データを作成することができる。
[8]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記3次元点群データは、上空からレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて作成されていてもよい。
このように、上空からレーザー光を照射して得られたレーザー計測データによっても、3次元点群データを作成することができる。
[9]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記階層ごとにそれぞれ抽出された樹冠の樹頂点を基にして、当該樹冠の樹冠高から、隣接して存在する樹冠を領域分割する領域分割アルゴリズムを用いて、個々の樹冠が区分された精密樹冠画像データを作成する精密樹冠画像データ作成処理ステップをさらに有することが好ましい。
このような領域分割アルゴリズムを用いることによって、隣接する樹冠が個々の樹冠に区分された精密な樹冠画像データ(精密樹冠画像データ)を作成することができる。このようにして作成された精密樹冠画像データは、調査対象樹木の各樹木に対応した個々の樹冠を高精度に抽出可能な精密樹冠画像データとなる。このため、当該精密樹冠画像データに基づいて作成した精密樹冠情報は、調査対象樹木の各樹木に対応した高精度な樹冠情報となり、当該精密樹冠情報に基づいて、森林資源に関する情報(森林資源情報)を算定することにより、高精度な森林資源情報を得ることができる。
[10]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記領域分割アルゴリズムは、Watershedアルゴリズムであることが好ましい。
Watershedアルゴリズムは、隣接して密集する多数の物体同士が繋がった状態で存在する場合において、個々の物体の境界を高精度に抽出して個々の物体を区分させることができるアルゴリズムである。従って、Watershedアルゴリズムを用いることによって、密集して存在する樹冠を、樹冠の大きさ(樹冠直径や高さ)に係わらず個々の樹冠として高精度に区分することができる。
[11]本発明の森林資源情報算定方法においては、前記精密樹冠画像データ作成処理ステップによって作成された前記精密樹冠画像データから、前記各樹木に対応する精密樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理ステップと、前記精密樹冠情報作成処理ステップによって作成された前記各樹木に対応する精密樹冠情報に基づいて、前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理ステップと、をさらに有し、前記各樹木に対応する精密樹冠情報には、少なくとも、前記各樹木に対応する樹冠のラベル番号、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠直径及び前記各樹木に対応する樹冠の樹冠面積が含まれており、前記森林資源情報算定処理ステップには、前記各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定処理ステップと、前記各樹木の材積を算定する材積算定処理ステップと、前記各樹木の胸高直径、前記各樹木の材積、前記精密樹冠情報作成処理ステップで作成された前記精密樹冠情報及び前記階層別樹頂点抽出ステップで抽出された樹頂点に基づいて得られる各樹木の樹高を集計する処理を行う森林資源情報集計処理ステップと、が含まれていることが好ましい。
精密樹冠画像データに基づいて作成した精密樹冠情報は、調査対象樹木の各樹木に対応した高精度な樹冠情報となる。このため、精密樹冠画像データに基づいて作成した精密樹冠情報に基づいて、森林資源情報算定処理ステップが、森林資源に関する情報(森林資源情報)を算定することにより、高精度な森林資源情報を得ることができる。これにより、計測誤差が少なく客観性の高い高精度な森林資源情報を、調査対象森林域の全域、小班ごと、任意の範囲において提供できることから、間伐などの森林施業立案などの森林管理に活用できる。具体的には、例えば、森林資源情報算定処理ステップが算定した算定結果を森林資源の概要を示す森林資源概要情報として属性データベースに登録する処理を行い、当該属性データベースに登録されている森林資源概要情報を、一覧表としてディスプレイ上に表示することによって、調査対処森林域の森林資源の概要を把握することができる。
[12]本発明の森林資源情報算定装置は、調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定装置であって、前記調査対象森林域を含む地域に対応する3次元点群データと地理的情報とに基づいて、前記調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成部と、前記調査対象森林域画像データに基づいて、前記調査対象森林域に存在する各樹木の樹冠の高さを樹冠高として表す樹冠高画像データの作成を行う樹冠高画像データ作成部と、前記樹冠高画像データから得られる樹冠高のうち、最大樹冠高が存在する階層を第1階層として、前記最大樹冠高を起点に所定長さの階層幅を有する階層を前記第1階層から地表面に向かって複数設定したときに、前記第1階層を含む各階層に樹頂点が存在する樹冠の樹頂点を、前記階層ごとにそれぞれ抽出する階層別樹頂点抽出部と、を有することを特徴とする。
[13]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記樹冠高画像データ作成部は、前記調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータとを作成し、メッシュごとに前記デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データを作成することが好ましい。
[14]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記階層別樹頂点抽出部には、
前記メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データを用いて、前記第1階層を含む各階層に存在する個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データを、前記階層ごとに作成する階層別樹冠高点群データ作成部と、前記階層別樹冠高点群データ作成部によって作成された前記個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データから、前記個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データの最大値を前記階層ごとに算定して、算定された最大値を当該階層別樹冠高点群データに対応する樹冠の樹頂点とする樹頂点算定部と、が含まれていることが好ましい。
[15]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記樹頂点算定部は、前記最大値を算定する際においては、前記個々の樹冠に対応する前記階層別樹冠高点群データのうち、前記階層別樹冠高点群データが既に作成されている樹冠と同じ樹冠に対応する階層別樹冠高点群データは除外して、前記最大値を算定することが好ましい。
[16]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記階層別樹頂点抽出部には、
前記樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことによって、ノイズ除去済みの樹冠高画像データを作成する平均化処理部がさらに含まれており、前記階層別樹冠高点群データ作成部は、前記平均化処理部によって作成されたノイズ除去済みの樹冠高画像データを、前記メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データとして用いて前記階層別樹冠高点群データを作成することが好ましい。
[17]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記階層幅は、0.2m~2.0mの範囲の長さに設定されていることが好ましい。
[18]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記3次元点群データは、上空から撮影箇所を重複させ、かつ、ずらしながら撮影して得られた撮影画像データから、3次元形状復元技術であるSFM(Structure from Motion)によって作成されていることが好ましい。
[19]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記3次元点群データは、上空からレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて作成されていてもよい。
[20]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記階層ごとにそれぞれ抽出された樹冠の樹頂点を基にして、当該樹冠の樹冠高から、隣接して存在する樹冠を領域分割する領域分割アルゴリズムを用いて、個々の樹冠が区分された精密樹冠画像データを作成する精密樹冠画像データ作成部をさらに有することが好ましい。
[21]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記領域分割アルゴリズムは、Watershedアルゴリズムであることが好ましい。
[22]本発明の森林資源情報算定装置においては、前記精密樹冠画像データ作成部によって作成された前記精密樹冠画像データから、前記各樹木に対応する精密樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成部と、前記精密樹冠情報作成部によって作成された前記各樹木に対応する精密樹冠情報に基づいて、前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定部と、をさらに有し、前記各樹木に対応する精密樹冠情報には、少なくとも、前記各樹木に対応する樹冠のラベル番号、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠直径及び前記各樹木に対応する樹冠の樹冠面積が含まれており、前記森林資源情報算定部には、前記各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定部と、前記各樹木の材積を算定する材積算定部と、前記各樹木の胸高直径、前記各樹木の材積、前記精密樹冠情報作成部で作成された前記精密樹冠情報及び前記階層別樹頂点抽出部で抽出された樹頂点に基いて得られる各樹木の樹高を集計する処理を行う森林資源情報集計部と、が含まれていることが好ましい。
なお、[12]~[22]に記載した本発明の森林資源情報算定装置においても、[1]~[11]に記載したそれぞれ対応する本発明の森林資源情報算定方法で得られる効果と同様の効果が得られる。
実施形態に係る森林資源情報算定方法を説明するために示すフローチャートである。 ディスプレイ上に表示された調査対象森林域画像を示す図である。 ディスプレイ上に表示された樹冠高画像である。 図1に示されている階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)を詳細に説明するフローチャートである。 ディスプレイ上に表示された第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・を示す図である。 図5に示されている第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・において抽出された樹頂点a1,a2,a3,・・・を示す図である。 ディスプレイ上に表示された第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・を示す図である。 ディスプレイ上に表示された第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・を示す図である。 第1階層から第5層までの各階層の階層別樹冠高点群領域と当該階層別樹冠高点群領域における樹頂点とを示す図である。 階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)及び樹頂点算定処理(ステップS54)を第1階層(最上層)から最下層まで順次行うことによって得られた全階層の階層別樹冠高点群領域と樹頂点を示す図である。 ディスプレイ上に表示された精密樹冠画像を示す図である。 ディスプレイ上に表示された単木資源情報の一覧表を示す図である。 ディスプレイ上に表示された森林資源概要情報の一覧表を示す図である。 実施形態に係る森林資源情報算定装置1を説明するために示す図である。 図14に示されている階層別樹頂点抽出部50の構成を示す図である。
図1は、実施形態に係る森林資源情報算定方法を説明するために示すフローチャートである。実施形態に係る森林資源情報算定方法は、調査対象森林域を含む地域に対応する画像データに基づいて、調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定方法である。ここで、調査対象森林域を含む地域に対応する画像データは、上空から調査対象森林域を含む地域を空撮することによって取得する。なお、空撮するには、航空機、ドローンなどを用いることができるが、実施形態に係る森林資源情報算定方法においては、普及型のドローンを用いることとする。
また、実施形態に係る森林資源情報算定方法において、調査対象樹木というのは、例えば、カラマツ、アカマツ、スギ、ヒノキなどの高木となる植栽木を指しており、調査対象森林域というのは、これらの樹木によって形成される林が所定の広さを有して存在する森林域であるとする。また、「調査対象樹木」を一本ごとの樹木として説明する場合には、単に「各樹木」と略記する場合もある。このことは、後述する実施形態に係る森林資源情報算定装置においても同様である。
実施形態に係る森林資源情報算定方法において行われる処理は、図1に示すように、ドローンによって撮影した空撮画像データをパーソナルコンピュータなどの情報処理装置に入力するデータ入力処理(ステップS10)と、入力された空撮画像データに基づいて3次元点群データを作成する3次元点群データ作成処理(ステップS20)と、3次元点群データ作成処理(ステップS20)によって作成された3次元点群データと地理情報システム(GIS)100から得られる地理的情報地理的情報とに基づいて、調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成処理(ステップS30)と、調査対象森林域画像データ作成処理(ステップS30)によって作成された調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する各樹木の樹冠の高さを樹冠高として表す樹冠高画像データの作成を行う樹冠高画像データ作成処理(ステップS40)と、樹冠高画像データ作成処理(ステップS40)によって作成された樹冠高画像データから得られる樹冠高のうち、最大樹冠高が存在する階層を第1階層(最上層)として、所定長さの階層幅を有する階層を第1階層から地表面に向かって複数設定したときに、第1階層を含む各階層に樹頂点が存在する樹冠の樹頂点を、階層ごとにそれぞれ抽出する階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)と、を有している。
また、これら各ステップS10~S50の処理に加えて、個々の樹冠が区分された精密樹冠画像データを作成する精密樹冠画像データ作成処理(ステップS60)と、精密樹冠画像データ作成処理(ステップS60)によって作成された精密樹冠画像データから、各樹木に対応する精密樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成処理(ステップS70)と、当該精密樹冠情報作成処理(ステップS70)によって作成された各樹木に対応する精密樹冠情報に基づいて、調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定処理(ステップS80)と、を有している。
なお、精密樹冠画像データ作成処理は、階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)によって階層ごとにそれぞれ抽出された樹冠の樹頂点を基にして、当該樹冠の樹冠高から、隣接して存在する樹冠を領域分割する領域分割アルゴリズムを用いて、個々の樹冠が区分された精密樹冠画像データを作成する。
また、森林資源情報算定処理(ステップS80)には、各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定処理(ステップS81)と、各樹木の材積を算定する材積算定処理(ステップS82)と、各樹木の胸高直径、各樹木の材積、精密樹冠情報作成処理(ステップS70)で作成された精密樹冠情報、階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)で抽出された樹頂点に基いて得られる各樹木の樹高を集計する処理を行う森林資源情報集計処理(ステップS83)と、が含まれている。
また、階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)には、複数の処理が含まれており、これらの各処理については、図4により詳細に説明する。
続いて、上述した各ステップS10~S80のうちの3次元点群データ作成処理(ステップS20)以降の各処理について詳細に説明する。3次元点群データ作成処理(ステップS20)は、調査対象地域を含む所定地域をドローンに搭載されているカメラで、撮影箇所を例えば80%程度を重複させ、かつ、ずらしながら撮影し、その画像データ(空撮画像データ)から、公知の3次元形状復元技術であるSFM(Structure from Motion)によって、歪みのない地図補正されたオルソ画像を作成して、作成したオルソ画像から3次元点群データを作成する。
なお、調査対象森林域を含む所定地域全体の広さとしては、2~3ヘクタール程度である。このような広さを有する調査対象森林域を含む所定地域全体をドローンに搭載されているカメラで、80%程度を重複させ、かつ、ずらしながら数百枚撮影して、その撮影画像から、SFMによって、歪みのない地図補正されたオルソ画像を作成する。このようにして作成されたオルソ画像に基づいて、高さが表わされている3次元点群データを作成することができる。なお、SFMについては、下記の公知文献1に記載されている。
公知文献1:Linda G. Shapiro; George C. Stockman (2001). Computer Vision. Prentice Hall.
調査対象森林域画像データ作成処理(ステップS30)は、地理情報システム(GIS)100から得られる地理的情報(この場合、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などに登録されている森林域の境界データ)を用いて、3次元点群データから調査対象となる森林域(調査対象森林域)の画像データを抽出して調査対象森林域画像データとする。そして、調査対象森林域画像データに対応する調査対象森林域画像をディスプレイ上に表示する。
図2は、ディスプレイ上に表示された調査対象森林域画像を示す図である。図2は調査対象森林域のうちの一部が抽出されて示されている。図2に示す調査対象森林域画像によれば、各樹木の樹冠を識別することができる。なお、図2はモノクロ画像であるため、各樹木の樹冠を識別しにくいが、図2の元となるカラー画像上では、各樹木の樹冠を容易に識別できる。
その後、調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成する樹冠高画像データ作成処理(ステップS40)を行う。当該樹冠高画像データ作成処理(ステップS40)は、調査対象森林域画像データ作成処理(ステップS20)によって作成された調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高(地表からの樹冠の高さ)を表す樹冠高画像データを作成する。
具体的には、調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータ(樹木などの表層の標高を表すデータ)とデジタル標高モデルデータ(地表の標高を表すデータ)を作成し、各メッシュにおいてデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、各メッシュにおいて樹冠高が表わされた樹冠高画像データを作成する。このようにして作成された当該樹冠高画像データに対応する樹冠高画像をディスプレイ上に表示する。
なお、メッシュサイズは、調査対象森林域画像の地上分解能に基づいて設定することができるが、メッシュサイズを大きくし過ぎると、算定される森林資源情報の精度に課題が生じる場合もあり、また、逆にメッシュサイズを小さくし過ぎると、処理すべきデータ量が多くなる。このため、メッシュサイズは、調査対象森林域の面積、当該調査対象森林域における森林の状況及び算定される森林資源情報の精度などを考慮して最適なサイズに設定することが好ましい。実施形態においては、メッシュサイズは、10cm×10cmとする。
図3は、ディスプレイ上に表示された樹冠高画像である。なお、図3に示す樹冠高画像における黒から白のグラデーションは、地表を基準(0.0メートル)としたときの当該基準に対する高さの変化(例えば、0.0メートルを黒とする。)を表している。なお、図3に示す樹冠高画像に対応する樹冠高画像データは、この段階では、各樹木に対応する樹冠が明確なものとはなってはいない。
続いて、樹冠高画像データ作成処理(ステップS40)によって作成された樹冠高画像データに基づいて、階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)を行う。
図4は、図1に示されている階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)を詳細に説明するフローチャートである。図4に示すように、階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)には、平均化処理(ステップS51)、初期値設定処理(ステップS52)、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)、樹頂点算定処理(ステップS54)が含まれている。また、これらの各処理の他に、Hmax-D×Ni=Hi(ステップS55)、Hi>0(ステップS56)、Ni=Ni+1(ステップS57)といった演算処理が含まれている。なお、Hmaxは調査対象森林域内の最大樹冠高、Dは階層幅、Niは現時点の処理対象階層、Hiは次の処理対象階層内の最大樹冠項であり、これらについては後述する。
平均化処理(ステップS51)は、図3に示す樹冠高画像において、例えば、樹冠に極端な凹凸(枝葉が周囲に比べて疎になっている部分や徒長枝葉など)が存在している場合に、これらをノイズとして除去して、ノイズが除去された樹冠高画像データを作成する処理である。当該、平均化処理(ステップS51)は、樹冠高画像データ作成処理(ステップS40)によって作成された樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする。このような処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことによって、ノイズ除去済みの樹冠高画像データを作成する。
平均化処理を簡単化して具体的に説明する。1つのメッシュのサイズを一辺が仮に10cmとした場合においては、平均化処理の対象となる1つのメッシュ(処理対象メッシュという。)が中心となるように平均化フィルター(フィルターサイズを例えば5メッシュ×5メッシュとする。)を重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行う。
例えば、平均化フィルターに重ね合わせられている範囲(平均化処理範囲という。)に含まれる各メッシュ(例えば5メッシュ×5メッシュの合計25メッシュとする。)の各樹冠高を積算して、その合計値を25で割った値を当該平均化処理範囲の平均値として、その平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする。このような処理を樹冠高画像データに含まれるすべてのメッシュにおいて行う。なお、平均化フィルターのサイズは、調査対象森林域に存在する調査対象樹木の平均的な樹冠直径などに基づいて設定することができる。
なお、このような平均化処理を行うと、平均化処理によって得られたメッシュごとの樹冠高が、本来の樹冠高(メッシュごとの樹冠高)と異なってしまう場合もあるが、メッシュのサイズが一辺10cmというように小さいサイズであれば、平均化処理によって得られたメッシュごとの樹冠高は、本来の樹冠高に対して大差のない樹冠高を得ることができる。また、このような平均化処理を行うことによって、個々の樹冠に存在する極端な凹凸(枝葉が周囲に比べて疎になっている部分や徒長枝葉など)が除去されて、個々の樹冠が平滑化されるため、後述するWatershedアルゴリズによる領域分割を行う際においては、高精度な領域分割が行える。
初期値設定処理(ステップS52)は、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)を行う際の初期値を設定する処理であり、ここでの初期値としては、平均化処理(ステップS51)によって得られたメッシュごとの樹冠高のうちの最大樹冠高(調査対象森林域内の最大樹冠高)Hmaxと、当該最大樹冠高Hmaxを起点に下方向(地面)に向かって階層を設定したときの階層幅Dと、現時点の処理対象階層Niとを例示できる。
なお、各メッシュの樹冠高のうちの最大樹冠高Hmaxというのは、各メッシュにおいて得られた樹冠高のうち、あるメッシュにおいて得られた樹冠高が例えば25mであって、当該25mの樹冠高がすべてのメッシュにおいて得られた樹冠高のうちの最大樹冠高であったとすると、Hmax=25mとする。また、階層幅Dは、最大樹冠高Hmaxを起点に下方向(地面)に向かって、例えば、1mごとに階層幅を設定する場合には、D=1とする。また、処理対象階層Niは、初期において処理対象となる階層は、第1階層(最上層)であるため、Ni=1とする。
このように、初期値としては、Hmax=25、D=1、Ni=1を設定して、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)を行う。この場合、Ni=1であるため、第1階層(最上層)における階層別樹冠高点群データ作成処理を行う。なお、Hmax=25mであり、また、D=1であるため、当該第1階層は、25m~24mである。
すなわち、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)は、平均化処理によって算出された各メッシュの樹冠高のうちの最大樹冠高(Hmax=25m)が存在する層を第1階層(最上層)として、当該最大樹冠高(Hmax)を起点に所定長さの階層幅(D=1m)を設定し、最大樹冠高Hmax=25mから階層幅ごとに、第1階層を含む各階層に存在する個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データを、前記階層ごとに順次作成する。
階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)について具体的に説明する。この場合、各メッシュの樹冠高のうちの最大樹冠高Hmaxは25mであり、また、階層幅が1mであるため、初期値としては、Hmax=25、Ni=1(第1階層)を設定する。この場合、まず、各メッシュの樹冠高のうち当該第1階層(24m~25m)に属する樹冠に対応する樹冠高点群データ(第1階層樹冠高点群データとする。)を作成する。なお、第1階層は、24m~25mであるが、厳密には、24.01m~25mというように、24mをわずかに超える値から25mまでとする。これは、第1階層よりも下位の階層においても同様であり、例えば、第2階層を23m~24mとしたときは、23.01m~24mというように、23mをわずかに超える値から24mまでとする。
そして、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)によって作成された第1階層樹冠高点群データに対応する第1階層樹冠高点群領域をディスプレイ上に表示する。
なお、ここでは、第1階層は24.01m~25m、第2階層は23.01m~24mというように設定したが、このような設定の仕方に限らず、例えば、第1階層は24m~24.99m、第2階層は23m~23.99mというように設定してもよい。このことは、他の階層においても同様である。但し、第1階層については、当該第1階層は最上層であり、それより上の階層が存在しないため、24m~25mとしてもよい。
図5は、ディスプレイ上に表示された第1階層樹冠高点群領域を示す図である。図5において、黒色で塗りつぶされている領域が第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・であり、当該第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・は、樹頂点付近が第1階層(24m~25m)に達している樹木の存在を示している。例えば、図5において、黒枠内に含まれる樹木群の様子(横断面図)を見ると、これらの樹木群の中には、樹頂点付近が、帯状に示されている第1階層にまで達している樹木が存在していることがわかる。
なお、図5において、第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・は、実際には、多数存在するが、代表的な第1階層樹冠高点群領域のみに符号が付されている。これは、後述する他の階層において抽出される樹冠高点群領域についても同様である。
また、図5はモノクロ画像であるため、図5においては、帯状に示されている第1階層及び第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・は、それぞれ黒色で示されているが、後述する第2階層以下において得られる各階層との区別を明確にするために、図5の元となるカラー画像上では、帯状に示されている第1階層及び樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・は、それぞれ赤色で示されている。
このようにして、第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・が抽出されると、当該第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・に対して、局所最大値フィルタ(例えば、3メッシュ×3メッシュ)を用いて、個々の第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・のそれぞれにおける最大値を抽出して、抽出した最大値を個々の樹冠の樹頂点とする樹頂点算定処理(ステップS54)を行う。なお、樹冠の樹頂点は、当該樹冠を有する樹木の樹頂点であるため、樹冠の樹頂点を得ることによって当該樹冠を有する樹木の樹高を得ることができる。
図6は、図5に示されている第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・において抽出された樹頂点a1,a2,a3,・・・を示す図である。なお、現時点の処理対象階層(この場合、第1階層)において得られた当樹頂点は、黒丸の点で示されている。
このようにして、第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・において樹頂点a1,a2,a3,・・・を抽出する処理が終了したら、Hmax(調査対象森林域内の最大樹冠高)-D(階層幅)×Ni(現時点の処理対象階層)=Hi(次の処理対象階層内の最大樹冠高)を求める処理(ステップS55)を行う。
なお、次の処理対象階層内の最大樹冠高Hiは、調査対象森林域内の最大樹冠高(Hmax)=25m、階層幅(D)=1mであり、また、この時点での処理対象階層Ni=1であるため、25m-1m×1=24mとなり、次の処理対象階層内の最大樹冠高Hiは24mとなる。そして、Hi>0か否かを判定し(ステップS)、この場合、Hi=24であり、Hi>0であるため、Ni=Ni+1を行って(ステップS57)、Ni=2として、処理対象階層を第2階層に設定して、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)に戻る。
ここで、第2階層は、樹冠高が23m~24mの階層であり、当該第2階層において、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)を行う。すなわち、各メッシュの樹冠高のうち、当該第2階層に属する樹冠高点群データ(第2階層樹冠高点群データとする。)を作成する。そして、この第2階層樹冠高点群データに対応する第2階層樹冠高点群領域をディスプレイ上に表示する。
図7は、ディスプレイ上に表示された第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・を示す図である。なお、図7においては、第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・だけではなく、当該第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・において抽出された樹頂点も示されている。また、図7において、灰色で塗りつぶされている領域が第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・であり、当該第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・は、樹頂点付近が第2階層(23m~24m)に達している樹木の存在を示している。例えば、図7において、黒枠内に含まれる樹木群の様子(横断面図)を見ると、これらの樹木群の中には、樹頂点付近が、帯状に示されている第2階層にまで達している樹木が存在していることがわかる。
なお、図7はモノクロ画像であるため、図7においては、帯状に示されている第2階層及び第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・は、それぞれ灰色で示されているが、他の階層において得られる各階層の樹冠高点群領域との区別を明確にするために、図7の元となるカラー画像上では、帯状に示されている第2階層及び第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・は、それぞれ橙色で示されている。
なお、図7においては、新たに抽出された第2階層樹冠高点群領域と、既に抽出されている第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・との区別をし易くするために、既に抽出されている第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・は白抜きで示されている。
図7に示すように、第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・のうち、既に抽出されている樹冠高点群領域(この場合、第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3、・・・)と同じ樹冠において抽出された第2階層樹冠高点群領域(例えば、第2階層樹冠高点群領域B4,B5など)は、白抜きで示されている領域(第1階層樹冠高点群領域A1,A2)を取り囲むような環状をなす樹冠高点群領域として表示されている。ここで、既に抽出されている樹冠高点群領域と同じ樹冠において抽出された樹冠高点群領域を「既抽出樹冠高点群領域」とし、当該「既抽出冠高点群領域」以外の新たに抽出された樹冠高点群領域を「新規抽出樹冠高点群領域」とする。
このようにして、第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・が抽出されると、当該第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・に対して、局所最大値フィルタ(例えば、3メッシュ×3メッシュ)を用いて、個々の第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・のそれぞれにおける最大値を算定して、算定した最大値を個々の樹冠の樹頂点とする樹頂点算定処理(ステップS54)を行う。
このとき、最大値を算定すべき階層(この場合、第2階層)において作成された個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データのうち、階層別樹冠高点群データが既に作成されている樹冠と同じ樹冠に対応して作成された階層別樹冠高点群データは除外して、最大値を算定する。図7を例に取って説明すると、第2階層樹冠高点群領域のうち、例えば、樹冠高点群領域B4,B5などは、既抽出樹冠高点群領域であるとして、当該既抽出樹冠高点群領域B4,B5などは樹頂点算定対象とはしない。
このようにして、第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・において抽出された樹頂点b1,b2,b3,・・・は、図7において黒点で示されている。なお、図7はモノクロ画像であるため、図7においては、第2階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・において抽出された樹頂点b1,b2,b3,・・・及び既に抽出された第1階層樹冠高点群領域における樹頂点それぞれが黒丸の点で示されているが、両者の区別を明確にするために、図7の元となるカラー画像上では、既に抽出された階層(この場合、第1階層)の樹冠高点群領域における樹頂点は赤丸の点で示されている。
第2階層樹冠高点群領域において樹頂点b1,b2,b3,・・・を抽出する処理が終了したら、Hmax(調査対象森林域内の最大樹冠高)-D(階層幅)×Ni(現時点の処理対象階層)=Hi(次の処理対象階層内の最大樹冠高)を求める処理(ステップS55)を行う。なお、次の処理対象階層内の最大樹冠高Hiは、調査対象森林域内の最大樹冠高(Hmax)=25m、階層幅(D)=1mであり、また、この時点での処理対象階層Ni=2であるため、25m-1m×2=23mとなり、次の処理対象階層内の最大樹冠高Hiは23mとなる。そして、Hi>0か否かを判定し(ステップS)、この場合、Hi=23であり、Hi>0であるため、Ni=Ni+1=2+1を行って(ステップS57)、Ni=3として、処理対象階層を第2階層に設定して、階層別樹冠高点群データ作成処理S53に戻る。
ここで、第3階層は、樹冠高が22m~23mの階層であり、当該第3階層において、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)を行う。すなわち、各メッシュの樹冠高のうち、当該第3階層に属する樹冠高点群データ(第3階層樹冠高点群データとする。)を作成する。そして、この第3階層樹冠高点群データに対応する第3階層樹冠高点群領域をディスプレイ上に表示する。
図8は、ディスプレイ上に表示された第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・を示す図である。なお、図8においては、第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・だけではなく、当該第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・において抽出された樹頂点も示されている。また、図8において、灰色で塗りつぶされている領域が第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・であり、当該第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・は、樹頂点付近が第3階層(22m~23m)に達している樹木の存在を示している。例えば、図8において、黒枠内に含まれる樹木群の様子(横断面図)を見ると、これらの樹木群の中には、樹頂点付近が、帯状に示されている第3階層にまで達している樹木が存在していることがわかる。
なお、図8はモノクロ画像であるため、図8においては、帯状に示されている第3階層及び第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・は、それぞれ灰色で示されているが、他の階層において得られる各階層の樹冠高点群領域との区別を明確にするために、図8の元となるカラー画像上では、帯状に示されている第3階層及び第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・は、黄色で示されている。
なお、図8においては、新たに抽出された第2階層樹冠高点群領域と、既に抽出されている第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・及び第2階層樹冠高点群領域B1.B2,B3,・・・との区別をし易くするために、既に抽出されている第1階層樹冠高点群領域A1,A2,A3,・・・及び第2階層樹冠高点群領域B1.B2,B3,・・・は白抜きで示されている。
このようにして、第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・が抽出されると、当該第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・に対して、局所最大値フィルタ(例えば、3メッシュ×3メッシュ)を用いて、個々の第3階層樹冠高点群領域C1,C2,C3,・・・のそれぞれにおける最大値を抽出して、抽出した最大値を当該樹木の樹頂点とする樹頂点算定処理(ステップS54)を行う。
この場合も、最大値を算定すべき階層(この場合、第3階層)において作成された個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データのうち、階層別樹冠高点群データが既に作成されている樹冠と同じ樹冠に対応する階層別樹冠高点群データは除外して、最大値を算定する。第8図を例に取って説明すると、第3階層樹冠高点群領域のうち、例えば、樹冠高点群領域C4,C5などは、既抽出樹冠高点群領域であるとして、当該既抽出樹冠高点群領域C4,C5などは樹頂点算定対象とはしない。
このようにして、第3階層樹冠高点群領域B1,B2,B3,・・・において抽出された樹頂点c1,c2,c3,・・・は、図8において黒丸の点で示されている。なお、図8はモノクロ画像であるため、図8においては、これまでのすべての階層の樹冠高点群領域において抽出された樹頂点それぞれが黒丸の点で示されているが、既に抽出された第1階層樹冠高点群領域における樹頂点と、第2階層及び第1階層樹冠高点群領域において抽出された樹頂点との区別を明確にするために、図8の元となるカラー画像上では、第2階層及び第1階層樹冠高点群領域において抽出された樹頂点は赤丸の点で示されている。
以上のようにして、第3階層樹冠高点群領域において樹頂点c1,c2,c3,・・・を抽出する処理が終了したら、上述同様の処理(ステップS55,S56,S57を行って、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)と、樹木頂点算定処理(ステップS54)とを順次繰り返し行う。このような処理は、Hi=0となるまで行ってもよいが、必ずしも、Hi=0となるまで行う必要はなく、調査対象森林域の状況などに応じて適宜設定可能であり、例えば、Hi=5(次の処理対処階層内の最大樹冠高が5m)程度で終了してもよい。
図9は、第1階層から第5層までの各階層の階層別樹冠高点群領域と当該階層別樹冠高点群領域における樹頂点を示す図である。図9においては、各階層において抽出された階層別樹冠高点群領域(第1階層~第5階層樹冠高点群領域)は、各階層別に異なった色で示されている。なお、図9はモノクロ画像であるため、各階層を色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図9の元となるカラー画像上では、第1階層は赤色、第2階層は橙色、第3階層は黄色、第4階層は黄緑色、第5階層は緑色というように色別で示されている。そして、各階層において抽出された新規樹冠高点群領域における最大値(樹頂点)が黒丸の点で示されている。このような処理をさらに下位の階層まで順次行うことによって、階層ごとに個々の樹冠の樹冠高点群画像を得ることができる。
図10は、階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)及び樹頂点算定処理(ステップS54)を第1階層(最上層)から最下層まで順次行うことによって得られた全階層の階層別樹冠高点群領域と樹頂点を示す図である。階層別樹冠高点群データ作成処理(ステップS53)及び樹頂点算定処理(ステップS54)を第1階層(最上層)から最下層まで順次行うことによって、調査対象森林域において第1階層(最上層)から最下層までの階層ごとの階層別樹冠高点群領域と調査対象森林域に存在するすべての樹冠の樹頂点を抽出することができる。図10において、黒丸の点が階層ごとの個々の樹冠の樹頂点である。ここで、個々の樹冠の樹頂点は、当該樹冠を有する各樹木の樹頂点であるため、樹冠の樹頂点を得ることによって当該樹冠を有する樹木の樹高を得ることができる。各樹木の樹高は、平均化処理(ステップS51)によってノイズが除去されたノイズ除去済みの樹冠高画像データから得ることができる。
図10において、各階層において抽出された階層別樹冠高点群領域は、各階層別に異なった色で示されている。なお、図10はモノクロ画像であるため、各階層を色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図10の元となるカラー画像上では、第1階層は赤色、第2階層は橙色、第3階層は黄色、第4階層は黄緑色、第5階層は緑色というように色別で示されている。
このようにして、調査対象森林域に存在するすべての樹頂点が抽出されたら、図1のフローチャートにおける精密樹冠画像データ作成処理(ステップS60)を行う。この精密樹冠画像データ作成処理は、各樹木に対応した樹冠を高精度に抽出可能とする精密樹冠画像データを作成する処理である。
精密樹冠画像データ作成処理は、階層ごとにそれぞれ抽出された樹冠の樹頂点を基にして、当該樹冠の樹冠高から、隣接して存在する樹冠を領域分割する領域分割アルゴリズムを用いて、個々の樹冠が区分された精密樹冠画像データを作成する。具体的には、階層ごとにそれぞれ抽出された樹冠の樹頂点を種(Seed)にして、z値(ステップS40の樹冠高画像データ作成処理で得られた樹冠高画像データ)から、公知の領域分割法であるWatershedアルゴリズムを用いて精密な樹冠画像を作成するものである。なお、実施形態に係る森林資源情報算定方法においては、z値としては、図4に示す平均化処理(ステップS51)によってノイズが除去されたノイズ除去済みの樹冠高画像データを用いている。
前述したように、ノイズ除去済みの樹冠高画像データは、個々の樹冠に存在する極端な凹凸(枝葉が周囲に比べて疎になっている部分や徒長枝葉など)が除去されて、個々の樹冠が平滑化されたものとなっている。このため、Watershedアルゴリズによる領域分割を行う際に、このようなノイズ除去済みの樹冠高画像データを用いることによって、Watershedアルゴリズによる領域分割を高精度に行うことができる。
Watershedアルゴリズムは、隣接して密集する多数の物体同士が繋がった状態で存在する場合において、個々の物体の境界を高精度に抽出して個々の物体を区分させることができるアルゴリズムである。当該Watershedアルゴリズムについては、下記に示す公知文献2に記載されている。
公知文献2:Salman N. and Liu C. Q., “Image Segmentation and Edge Detection Based on Watershed Techniques,” International Journal of Computers and Applications, vol. 25, no. 4, pp. 258-263,2003年
精密樹冠画像データ作成処理(ステップS60)は、Watershedアルゴリズムを用いて精密樹冠画像データを作成し、当該精密樹冠画像データ作成処理(ステップS60)によって作成された精密樹冠画像データに対応する精密樹冠画像をディスプレイ上に表示する。
図11は、ディスプレイ上に表示された精密樹冠画像を示す図である。図11に示すように、Watershedアルゴリズムを用いて作成された精密樹冠画像は、個々の樹木の樹頂点を取り囲むように個々の樹冠が領域分割されたものとなっている。図11において、枠線Lで囲まれた領域が個々の樹冠である。
図11において、各階層において抽出された階層別樹冠高点群領域は、各階層別に異なった色で示されている。なお、図11はモノクロ画像であるため、各階層を色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図11の元となるカラー画像上では、図10と同様に、第1階層は赤色、第2階層は橙色、第3階層は黄色、第4階層は黄緑色、第5階層は緑色というように階層ごとに色別で示されている。
図11に示す精密樹冠画像からもわかるように、Watershedアルゴリズムによって領域分割されて得られた各樹木に対応する樹冠は、階層ごとに、それぞれの階層に属する樹木の樹冠が高精度に表わされたものとなる。上述したように、Watershedアルゴリズムは、隣接して密集する多数の物体同士が繋がった状態で存在する場合において、個々の物体の境界を高精度に抽出して個々の物体を区分させることができるアルゴリズムである。従って、Watershedアルゴリズムを用いることによって、密集して存在する樹冠を、樹冠の大きさ(樹冠直径や高さ)に係わらず個々の樹冠として高精度に区分することができる。
このようにして、精密樹冠画像データが作成されると、当該精密樹冠画像データに基づいて精密樹冠情報作成処理(ステップS70)を行い、各樹木の樹冠に関する精密な情報(精密樹冠情報とする。)を作成する。精密樹冠情報作成処理(ステップS70)において作成される精密樹冠情報としては、少なくとも、各樹木に対応する樹冠のラベル番号(通し番号)、各樹木に対応する樹冠の樹冠位置(樹冠の中心位置)、各樹木に対応する樹冠の樹冠直径、各樹木に対応する樹冠の樹冠面積などを例示することができ、この他に、各樹木に対応する樹冠の樹冠形状なども精密樹冠情報として得ることができる。
続いて、森林資源情報算定処理(ステップS80)を行う。当該森林資源情報算定処理は、精密樹冠情報作成処理(ステップS70)で作成された精密樹冠情報に基づいて、森林資源に関する情報を算定する。当該森林資源情報算定処理(ステップS80)において算定する森林資源に関する情報としては、各樹木の胸高直径、各樹木の材積を例示できる。なお、森林資源に関する情報としては、上述の各樹木の胸高直径、各樹木の材積の他に、各樹木の樹高を挙げることができるが、当該樹高は、階層別樹頂点抽出処理(ステップS50)の樹頂点算定処理(ステップS54)で算定された樹頂点に基づいて、各樹木の樹高を得ることができる。
これら森林資源に関する情報を算定するために、森林資源情報算定処理(ステップS80)においては、各樹木の胸高直径を算定する胸高直径算定処理(ステップS81)と、各樹木の資源としての材積を算定する材積算定処理(ステップS82)と、森林資源情報を集計する森林資源情報集計処理(ステップS83)とを行う。
胸高直径算定処理(ステップS81)は、胸高直径と強い相関のある樹冠面積及び樹冠直径の少なくとも一方と、樹高とから重回帰式で胸高直径を算定する。また、内挿法で未測定木の胸高直径を算定することができる。これによって、調査対象森林域に存在する調査対象樹木すべての胸高直径を算定することができる。なお、重回帰式を求める場合、樹種ごとに現地調査において標準木を10数本程度選び、選んだ標準木の樹冠面積、樹冠直径及び樹高を測定することから重回帰式の変数を求めることが好ましい。
材積算定処理(ステップS82)は、胸高直径と樹高の2変数材積式から材積を求める。なお、胸高直径と樹高とから材積が求められている早見表が公知であり、このような早見表から木資源(材積)を求めることができる。当該早見表については、下記文献(公知文献3及び公知文献4)に記載されている。
公知文献3:林野庁計画課、立木幹材積表 東日本編、日本林業調査会、334ページ、2003年
公知文献4:林野庁計画課、立木幹材積表 西日本編、日本林業調査会、320ページ、1970年
森林資源情報集計処理(ステップS83)は、調査対象樹木の本数、各樹木についての樹冠直径、樹冠面積、胸高直径、樹高及び材積などの各樹木の資源情報、すなわち、単木資源情報を集計する。そして、集計した単木資源情報を属性データベースに登録する。属性データベースに登録されている単木資源情報は、一覧表としてディスプレイ上に表示することができる。なお、一覧表として表示される単木資源情報には、樹冠の中心位置を表すXY座標も含まれている。また、調査対象樹木の本数は、精密樹冠情報作成処理(ステップS70)によって得られたラベル番号に基づいて、当該調査対象森林域における調査対象樹木の本数を求めることができる。
ところで、上述した「樹冠直径」は、樹冠を平面視したときの樹冠の水平方向の広がりの大きさを表すものであり、また、「胸高直径」は、樹木の幹の太さ(各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径)を表すものである。なお、樹冠及び樹木の幹は実際には真円ではないため、厳密には「直径」とは言えないが、この明細書においては、樹冠の水平方向の広がりの大きさを表すものとして「樹冠直径」と表記し、幹の太さを表すものとして「胸高直径」と表記するものとする。
図12は、ディスプレイ上に表示された単木資源情報の一覧表を示す図である。図12に示すように、調査対象森樹木の単木資源情報として、各樹木に対応する樹冠のナンバー(ラベル番号)と、個々の樹冠の中心位置を表すXY座標、樹冠直径、樹冠面積、胸高直径(図12においては「DBH」と表記されている。)、樹高、材積が、樹冠のナンバー(ラベル番号)に対応付けられて表示される。
また、森林資源情報集計処理(ステップS83)は、調査対象樹木の本数とともに、各樹木に対して算定された樹冠直径の平均値、各樹木に対して算定された樹冠直径のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された樹冠面積の平均値、各樹木に対して算定された樹冠面積のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、各樹木に対して算定された胸高直径の平均値、各樹木に対して算定された胸高直径のうちの最大値及び最小値、各樹木に対して算定された樹高の平均値、各樹木に対して算定された樹高のうちの最大値及び最小値と、各樹木に対して算定された材積の平均値、各樹木に対して算定された材積のうちの最大値及び最小値を算定するとともに、材積については合計値をも算定し、さらに、森林経営で使用する1ヘクタール(ha)当りの森林資源量(ここでは、樹木の本数及び材積とする。)を算定し、これら算定した結果を、森林資源の概要を示す情報(森林資源概要情報)として属性データベースに登録する処理も行う。属性データベースに登録されている森林資源概要情報は、一覧表としてディスプレイ上に表示することができる。
図13は、ディスプレイ上に表示された森林資源概要情報の一覧表を示す図である。図13に示すように、調査対象樹木の本数、樹冠直径の平均値、樹冠直径の最大値及び最小値、樹冠面積の平均値、樹冠面積の最大値及び最小値、胸高直径の平均値、胸高直径の平均値、胸高直径の最大値及び最小値、樹高の平均値、樹高の最大値及び最小値と、材積の平均値、材積の最大値及び最小値、材積の合計値が表示され、さらに、森林経営で使用する1ヘクタール(ha)当りの森林資源量(ここでは、樹木の本数及び材積とする。)が表示されている。ディスプレイ上にこのような森林資源概要情報を表示することによって、調査対処森林域の森林資源の概要を把握することができる。
なお、この明細書においては、図12に示す単木資源情報と図13に示す森林資源概要情報とを合わせて森林資源情報とする。このような森林資源情報と既存の森林調査簿データベース(例えば、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などのデータベース)とを組み合わせることで、森林現況の把握及び間伐などの森林施業立案などの森林管理に活用できる。例えば、森林の間伐を行うおうとする際に、間伐計画のシミュレーションを立てる場合に役立つものとなる。
以上説明したように、実施形態に係る森林資源情報算定方法においては、調査対象森林域を含む地域をドローンなどによって撮影した空撮画像データから3次元点群データを作成したのち、当該3次元点群データと地理的情報とに基づいて調査対象森林域画像データを作成し、作成された調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する樹木の樹冠高を表す樹冠高画像データを作成する。そして、平均化処理によって樹冠高画像データからノイズ除去したノイズ除去済みの樹冠高画像データを作成したのち、当該ノイズ除去済みの樹冠高画像データに基づいて、第1階層を含む各階層に存在する個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データを階層ごとに作成し、階層ごとに作成された個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データから、個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データの最大値を算定するようにしている。
ここで、階層別樹冠高点群データを階層ごとに作成し、階層ごとに作成された個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データから、個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データの最大値を算定する処理は、例えて言えば、個々の樹冠をCT(Computed Tomography)スキャンのように、階層ごとに輪切りにして階層別樹冠高点群データを作成して、階層ごとに求められた階層別樹冠高点群データから最大値を算定するといった処理である。このような処理を行うことによって、各階層に存在する個々の樹冠の最大値を、階層ごとに算定できる。なお、階層ごとに算定された「樹冠の樹頂点」は、当該樹冠を有する樹木の樹頂点であり、当該算定された樹頂点から当該樹木の樹高を得ることができる。
このようにして、各階層に存在する個々の樹冠の最大値(樹頂点)を、階層ごとに算定した後に、階層ごとにそれぞれ抽出された樹冠の樹頂点を基(種)にして、各樹冠の樹冠高から、領域分割アルゴリズム(watershedアルゴリズム)を用いて、隣接する樹冠が個々の樹冠に区分された精密樹冠画像データを作成するようにしている。
このようにして作成された精密樹冠画像データは、調査対象樹木の各樹木に対応した個々の樹冠を高精度に抽出可能な精密樹冠画像データとなる。このため、当該精密樹冠画像データに基づいて作成した精密樹冠情報は、調査対象樹木の各樹木に対応した高精度な樹冠情報となり、当該精密樹冠情報に基づいて、森林資源に関する情報(森林資源情報)を算定することにより、高精度な森林資源情報を得ることができる。これにより、計測誤差が少なく客観性の高い高精度な森林資源情報を、調査対象森林域の全域、小班ごと、任意の範囲において提供できることから、間伐などの森林施業立案などの森林管理に活用できる。
また、実施形態においては、空撮画像データを得るための撮影機材としては一般的なカメラと、普及型のドローンを使用することができるため、森林資源算定を行うためのシステムを安価でかつ容易に実現することができる。
また、調査対象森林域をカメラで撮影して得られた空撮画像データを用いているため、樹冠の下側(樹冠と地面との間)に存在する下層植生(調査対処としない低木や草本など)が画像データとして取り込まれにくいため、下層植生をノイズとして除去するノイズ処理を削減できるといった効果も得られる。
以上、実施形態に係る森林資源情報算定方法1について説明したが、続いて、実施形態に係る森林資源情報算定装置について説明する。
図14は、実施形態に係る森林資源情報算定装置1を説明するために示す図である。実施形態に係る森林資源情報算定装置1は、図1及び図4に示した各ステップの処理を行うための装置であり、図1におけるステップS10の処理を行う機能を有する空撮データ入力部10と、図1におけるステップS20の処理を行う機能を有する3次元点群データ作成部20と、図1におけるステップS30の処理を行う機能を有する調査対象森林域画像データ作成部30と、図1におけるステップS40の処理を行う機能を有する樹冠高画像データ作成部40と、図1におけるステップS50の処理を行う機能を有する階層別樹頂点抽出部50と、図1におけるステップS60の処理を行う機能を有する精密樹冠画像データ作成部60と、図1におけるステップS70の処理を行う機能を有する精密樹冠情報作成部70と、図1におけるステップS80の処理を行う機能を有する森林資源情報算定部80と、を有する。
また、階層別樹頂点抽出部50には、複数の処理を行うための構成要素が含まれており、これについては図15により後述する。また、森林資源情報算定部80には、図1におけるステップS81の処理を行う機能を有する胸高直径算定部81と、図1におけるステップS82の処理を行う機能を有する材積算定部82と、図1におけるステップS83の処理を行う機能を有する森林資源情報集計部83と、が含まれている。
図15は、図14に示されている階層別樹頂点抽出部50の構成を示す図である。階層別樹頂点抽出部50には、図15に示すように、図4におけるステップS51の平均化処理を行うための平均化処理部51と、図4におけるステップS52の初期値設定処理を行うための初期値設定部52と、図4におけるステップS53の階層別樹冠高点群データ作成処理を行うための階層別樹冠高点群データ作成部53と、図4におけるステップS54の樹木頂点算定処理を行うための樹木頂点算定部54と、図4におけるステップS55のHmax-D×Ni=Hi、ステップS56のHi>0、ステップS57のNi=Ni+1といった演算を行う演算処理部58とが含まれている。
このように、図14及び図15に示す実施形態に係る森林資源情報算定装置1の各構成要素は、前述した実施形態に係る森林資源情報算定方法の各ステップの処理(図1及び図4参照。)を行う機能を有しているため、実施形態に係る森林資源情報算定装置1は、前述した実施形態に係る森林資源情報算定方法で得られる効果と同様の効果が得られる。なお、実施形態に係る森林資源情報算定装置1の処理の内容についての説明は省略する。
また、実施形態に係る森林資源情報算定装置1は、当該当該森林資源情報算定装置1に含まれる上記各構成要素(図14及び図5参照。)それぞれが有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、各構成要素それぞれが持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
このようなソフトウエアは、調査対象森林域を含む地域に対応する3次元点群データと地理的情報とに基づいて調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成処理ステップと、調査対象森林域画像データに基づいて、調査対象森林域に存在する各樹木の樹冠の高さを樹冠高として表す樹冠高画像データの作成を行う樹冠高画像データ作成処理ステップと、樹冠高画像データから得られる樹冠高のうち、最大樹冠高が存在する階層を第1階層として、前記最大樹冠高を起点に所定長さの階層幅を有する階層を前記第1階層から地表面に向かって複数設定したときに、前記第1階層を含む各階層に樹頂点が存在する樹冠の樹頂点を、前記階層ごとにそれぞれ抽出する階層別樹頂点抽出処理ステップと、を有するように構成してもよい。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。例えば、下記に示すような変形実施も可能である。
(1)上記実施形態においては、調査対象樹木は、例えば、カラマツ、アカマツ、スギ、ヒノキなどの植栽木とした場合を例示したが、調査対象樹木としては、上記した植栽木に限られるものではなく、例えば、ブナやナラなどが所定の広さの範囲にまとまって群生している林が存在する場合においては、当該ブナやナラを調査対象樹木とすることも可能である。
(2)上記実施形態においては、ドローンを用いて空撮画像データを得るようにしたが、ドローンに限られるものではなく、例えば、航空機を使用して空撮画像データを得るようにしてもよい。
(3)上記実施形態においては、3次元形状復元技術であるSFM(Structure from Motion)によって、空撮画像データから歪みのない地図補正されたオルソ画像を作成して、作成したオルソ画像から3次元点群データを作成するようにしたが、上空からレーザー光を照射して得られたレーザー計測データに基づいて3次元点群データを得るようにしてもよい。
1・・・森林資源情報算定装置、10・・・空撮データ入力部、20・・・3次元点群作成部、30・・・調査対象森林域画像データ作成部、40・・・樹冠高画像データ作成部、50・・・階層別樹頂点抽出部、51・・・平均化処理部、52…初期値設定部、53・・・階層別樹冠高点群データ作成部、54・・・樹頂点算定部、58・・・演算処理部、60・・・精密樹冠画像データ作成部、70・・・精密樹冠情報作成部、80・・・森林資源情報算定部、81・・・胸高直径算定部、82・・・材積算定部、83・・・森林資源情報集計部、S10・・・空撮データ入力処理、S20・・・3次元点群作成処理、S30・・・調査対象森林域画像データ作成処理、S40・・・樹冠高画像データ作成処理部、S50・・・階層別樹頂点抽出処理、S51・・・平均化処理、S52…初期値設定処理、S53・・・階層別樹冠高点群データ作成処理、S54・・・樹頂点算定処理、S55・・・Hmax-D×Ni=Hiの演算処理、S56・・・Hi>0の演算処理、S57・・・Ni=Ni+1の演算処理、S60・・・精密樹冠画像データ作成処理、S70・・・精密樹冠情報作成処理、S80・・・森林資源情報算定処理、S81・・・胸高直径算定処理、S82・・・材積算定処理、S83・・・森林資源情報集計処理、A1,A2,A3,・・・第1階層樹冠高点群領域、a1,a2,a3・・・第1階層樹冠高点群領域の最大値、B1,B2,B3,・・・第2階層樹冠高点群領域、b1,b2,b3・・・第2階層樹冠高点群領域の最大値、C1,C2,C3,・・・第3階層樹冠高点群領域、c1,c2,c3・・・第3階層樹冠高点群領域の最大値、Hmzx・・・調査対象森林域内の最大樹冠高、D・・・階層幅、Ni・・・現時点の処理対象階層、Hi・・・次の処理対象階層内の最大樹冠高

Claims (9)

  1. 調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定装置であって、
    前記調査対象森林域を含む地域に対応する3次元点群データと地理的情報とに基づいて調査対象森林域画像データを作成する調査対象森林域画像データ作成部と、
    前記調査対象森林域画像データに基づいて、前記調査対象森林域に存在する各樹木の樹冠の高さを樹冠高として表す樹冠高画像データの作成を行う樹冠高画像データ作成部と、
    前記樹冠高画像データから得られる樹冠高のうち、最大樹冠高が存在する階層を第1階層として、前記最大樹冠高を起点に所定長さの階層幅を有する階層を前記第1階層から地表面に向かって複数設定したときに、前記第1階層を含む各階層に樹頂点が存在する樹冠の樹頂点を、前記階層ごとにそれぞれ抽出する階層別樹頂点抽出部と、を有し、
    前記樹冠高画像データ作成部は、前記調査対象森林域画像データに基づいて、メッシュ化されたデジタル表層モデルデータとデジタル標高モデルデータとを作成し、メッシュごとに前記デジタル表層モデルデータと前記デジタル標高モデルデータとの差分を取ることによって、メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データを作成し、
    前記階層別樹頂点抽出部には、
    前記メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データを用いて、前記第1階層を含む各階層に存在する個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データを、前記階層ごとに作成する階層別樹冠高点群データ作成部と、
    前記階層別樹冠高点群データ作成部によって作成された前記個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データから、前記個々の樹冠に対応する階層別樹冠高点群データの最大値を前記階層ごとに算定して、算定された最大値を当該階層別樹冠高点群データに対応する樹冠の樹頂点とする樹頂点算定部と、
    が含まれていることを特徴とする森林資源情報算定装置。
  2. 請求項1に記載の森林資源情報算定装置において、
    前記樹頂点算定部は、前記最大値を算定する際においては、前記個々の樹冠に対応する前記階層別樹冠高点群データのうち、前記階層別樹冠高点群データが既に作成されている樹冠と同じ樹冠に対応する階層別樹冠高点群データは除外して、前記最大値を算定することを特徴とする森林資源情報算定装置。
  3. 請求項1又は2に記載の森林資源情報算定装置において、
    前記階層別樹頂点抽出部には、
    前記樹冠高画像データの各メッシュをそれぞれ処理対象メッシュとし、当該処理対象メッシュに平均化フィルターを重ね合わせ、当該平均化フィルターに含まれる各メッシュの樹冠高の平均値を当該処理対象メッシュの樹冠高とする処理を、各処理対象メッシュにおいて順次行うことによって、ノイズ除去済みの樹冠高画像データを作成する平均化処理部がさらに含まれており、
    前記階層別樹冠高点群データ作成部は、前記平均化処理部によって作成されたノイズ除去済みの樹冠高画像データを、前記メッシュごとに樹冠高が求められた樹冠高画像データとして用いて前記階層別樹冠高点群データを作成することを特徴とする森林資源情報算定装置。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の森林資源情報算定装置において、
    前記階層幅は、0.2m~2.0mの範囲の長さに設定されていることを特徴とする森林資源情報算定装置。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の森林資源情報算定装置において、
    前記3次元点群データは、上空から撮影箇所を重複させ、かつ、ずらしながら撮影して得られた撮影画像データから、3次元形状復元技術であるSFM(Structure from Motion)によって作成されていることを特徴とする森林資源情報算定装置。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載の森林資源情報算定装置において、
    前記3次元点群データは、上空からレーザー光を照射して得られたレーザー計測データ
    に基づいて作成されていることを特徴とする森林資源情報算定装置。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の森林資源情報算定装置において、
    前記階層ごとにそれぞれ抽出された樹冠の樹頂点を基にして、当該樹冠の樹冠高から、隣接して存在する樹冠を領域分割する領域分割アルゴリズムを用いて、個々の樹冠が区分された精密樹冠画像データを作成する精密樹冠画像データ作成部をさらに有することを特徴とする森林資源情報算定装置。
  8. 請求項7に記載の森林資源情報算定装置において、
    前記領域分割アルゴリズムは、Watershedアルゴリズムであることを特徴とする森林資源情報算定装置。
  9. 請求項7又は8に記載の森林資源情報算定装置において、
    前記精密樹冠画像データ作成部によって作成された前記精密樹冠画像データから、前記各樹木に対応する精密樹冠情報を作成する精密樹冠情報作成部と、
    前記精密樹冠情報作成部によって作成された前記各樹木に対応する精密樹冠情報に基づいて、前記調査対象森林域に関する森林資源情報を作成する森林資源情報算定部と、
    をさらに有し、
    前記各樹木に対応する精密樹冠情報には、少なくとも、前記各樹木に対応する樹冠のラベル番号、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠位置、前記各樹木に対応する樹冠の樹冠直径及び前記各樹木に対応する樹冠の樹冠面積が含まれており、
    前記森林資源情報算定部には、
    前記各樹木において人間のほぼ胸の高さの直径を各樹木の胸高直径として算定する胸高直径算定部と、
    前記各樹木の材積を算定する材積算定部と、
    前記各樹木の胸高直径、前記各樹木の材積、前記精密樹冠情報作成部で作成された前記精密樹冠情報及び前記階層別樹頂点抽出部で抽出された樹頂点に基いて得られる各樹木の樹高を集計する処理を行う森林資源情報集計部と、が含まれていることを特徴とする森林資源情報算定装置。
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