本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当するものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象や観点が異なる場合、本明細書と特許請求の範囲との間で、同一の付記が、同一の対象を指さない場合がある。
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される対象があり、本明細書の“第1”及び“第3”のみを対象として特許請求の範囲を記載する場合に、特許請求の範囲において“第1”、“第2”と付記された対象が、本明細書において“第1”“第3”と付記された対象を指すことがある。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、示される形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解の便宜を図るために誇張していることがある。
<実施形態>
実施形態に係る発光装置1を説明する。図1乃至図8は、発光装置1の例示的な一形態を説明するための図面である。図1は、発光装置1の斜視図である。図2は、発光装置1におけるパッケージ10の斜視図である。図3は、パッケージ10から蓋部材15を除いた状態の斜視図である。図4は、パッケージ10に設けられる接着剤80の配置箇所を説明するため、発光装置1から光学部材70を除いた状態の斜視図である。図5は、発光装置1の上面図である。図6は、パッケージ10の上面図である。図7は、図3と同様の状態の上面図である。図8は、図5のVIII-VIII断面線における断面図である。
なお、図5において点線で囲まれ、ハッチングが施してある領域は、光学部材70の接合領域71を示している。また、図6において実線で囲まれ、ハッチングが施してある領域は、蓋部材15の接合領域17を示している。また、接合領域17に係るハッチングの他に、点線と蓋部材15の外形との間でハッチングが施してある領域は、蓋部材15の金属膜16が設けられる領域を示している。
発光装置1は、構成要素として、パッケージ10、半導体レーザ素子20、サブマウント30、反射部材40、保護素子50、複数の配線60、光学部材70、及び、接着剤80を有する。また、パッケージ10は、基部11、及び、蓋部材15を有する。
また、半導体レーザ素子20、サブマウント30、保護素子50、及び、複数の配線60は、パッケージ10によって形成される気密封止された閉空間に配される。また、光学部材70は、接着剤80によって、パッケージ10に固定される。
図示される発光装置1の例では、基部11と蓋部材15とで気密封止された空間内に、4つの半導体レーザ素子20が並べて配置されている。また、いずれの半導体レーザ素子20もサブマウント30を介して基部11に配されている。また、反射部材40は、半導体レーザ素子20から出射された光を反射する位置に配されている。半導体レーザ素子20から出射された光は蓋部材15を通過して、パッケージ10の外部へと出射される。
また、光学部材70が、接着剤80により蓋部材15と接合する。また、光学部材70と蓋部材15との接合には、2種類の接着剤80、第1接着剤81及び第2接着剤82が用いられる。パッケージ10の外部へと出射された光は、光学部材70を通過して、発光装置1の外部へと出射される。
まず、各構成要素について説明する。
(基部11)
基部11は、他の構成要素が配置される領域である配置領域と、配置領域を囲う側壁と、を有する。また、基部11は凹部を有し、配置領域と側壁によって凹部は構成されている。凹部は、基部11の上面から下面の方向に向かって窪む。ここで、凹部の窪みの底となる面を底面と呼ぶ。底面は、配置領域の主要な部分となり得る。
上面視で、基部11の外形は矩形である。また、上面視で、凹部の窪み部分の外形は矩形である。また、上面視で、基部11の底面の外形は矩形である。底面の外形は窪み部分の外形よりも小さい。なお、これらの外形は、いずれも矩形でなくてもよい。
基部11は、底面部12と、側面部13と、を有する。底面部12は、基部11の底面を構成する部分である。また、底面部12には、基部11の底面、及び、下面が含まれる。また、底面部12は、平板形状で形成される。この平板は、上面視で、基部11の外側面よりも小さい。
側面部13は、基部11の側壁を構成する部分である。したがって、側面部13は、基部11の底面を囲い、かつ、底面から上方に向かって伸びる。側面部13には、基部11の1以上の外側面、1以上の内側面、及び、外側面と内側面とに交わる上面が含まれる。また、基部11の下面が含まれる。
ここで、基部11における内側面あるいは外側面の面数は、底面を囲う形状による。例えば、底面を囲う形状が矩形ならば、矩形の4辺のそれぞれに対応した内側面が形成され、内側面の面数は複数になる。また例えば、底面を囲う形状が円形ならば、1つの円に対応した内側面が形成され、内側面の面数は1つになる。外側面についても同様である。
基部11には、複数の配線領域14が設けられる。また、凹部の窪み部分に1以上の配線領域14が、窪み部分の外側に1以上の配線領域14が設けられる。また、窪み部分に設けられた配線領域14は、窪み部分の外側に設けられた配線領域14と電気的に接続する。
図示される発光装置1の例では、底面と内側面で構成される凹部の窪み部分に、複数の配線領域14が設けられている。また、窪み部分の外側である基部11の下面に、複数の配線領域14が設けられている。なお、基部11の下面に限らず、例えば、上面や外側面に設けることもできる。
基部11の底面部12と側面部13とは、異なる材料を主材料として形成される。例えば、側面部13にはセラミックを、底面部12には金属を、主材料に用いることができる。基部11は、底面部12と側面部13とを接合して形成される。なお、底面部12と側面部13とを一体にして形成した基部11を採用してもよい。この場合、例えば、セラミックを主材料に用いることができる。
セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などが挙げられる。金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄など、あるいは、複合物として、銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステンなどを用いることができる。底面部12に採用される金属は、側面部13に採用されるセラミックよりも放熱性に優れたもの(熱伝導率の高いもの)が好ましい。
基部11の配線領域14およびこれと電気的に接続する配線領域に相当する箇所には、それぞれ金属膜が設けられる。また、電気的な接続のため内部を通る箇所にも金属が設けられ、これにより電気的な接続が図られる。
(蓋部材15)
蓋部材15は、下面と、上面と、を有し、直方体の平板形状で構成される。なお、直方体でなくてもよい。また、蓋部材15は、光を透過する透光性を有する。そのため、蓋部材15は、透光性部材ということもできる。なお、蓋の役割を有さない透光性部材を用いてもよい。
ここで、透光性とは、光に対する透過率が80%以上であることとする。なお、全ての波長の光に対して80%以上の透過率を有していなくてもよい。また、蓋部材15は、一部に非透光性の領域(透光性を有していない領域)を有していてもよい。
また、蓋部材15には、表面上の一部の領域に、金属膜16が設けられている。この金属膜16は、他の構成要素との接合のために設けられる。従って、金属膜16が設けられる領域の一部または全部が、他の構成要素と接合する接合領域となる。また、金属膜16は、蓋部材15の下面に設けられる。また、金属膜16は、蓋部材15の外縁に沿って、環状に設けられる。また、金属膜16の直上は透光性を有する。
蓋部材15は、サファイアを用いて形成することができる。サファイアは透光性を有しており、また、比較的屈折率が高く、比較的強度も高い材料である。なお、サファイアの他に、例えばガラス等を用いることもできる。また、金属膜16は、例えば、Ti/Pt/Auで形成することができる。
(半導体レーザ素子20)
半導体レーザ素子20は、上面視で長方形の外形を有する。また、長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、半導体レーザ素子20から出射される光の出射端面となる。また、半導体レーザ素子20の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。
半導体レーザ素子20から出射される光(レーザ光)は拡がりを有し、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。
ここで、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、と呼ぶものとする。また、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。
半導体レーザ素子20から出射される光のFFPの形状は、活性層を含む複数の半導体層の層方向よりも、それに垂直な積層方向の方が長い楕円形状である。なお、層方向をFFPの水平方向、積層方向をFFPの垂直方向というものとする。
また、FFPの光強度分布に基づき、光強度分布の半値全幅に相当する角度を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角とする。FFPの垂直方向における光の拡がり角を垂直方向の拡がり角、FFPの水平方向における光の拡がり角を水平方向の拡がり角というものとする。
半導体レーザ素子20として、例えば、青色の光を出射する半導体レーザ素子、緑色の光を出射する半導体レーザ素子、または、赤色の光を出射する半導体レーザ素子などを採用することができる。また、これら以外の光を出射する半導体レーザ素子を採用してもよい。
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
青色の光を発する半導体レーザ素子、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むものが挙げられる。
なお、半導体レーザ素子20は、1つのエミッターを有するシングルエミッターであるが、2つ以上のエミッターを有するマルチエミッターであってもよい。半導体レーザ素子20が複数のエミッターを有する場合、それぞれのエミッターに係る出射端面から、楕円形状のFFPを形成するレーザ光が出射される。
(サブマウント30)
サブマウント30は、2つの接合面を有し、直方体の形状で構成される。また、一方の接合面の反対側に他方の接合面が設けられる。また、2つの接合面の間の距離は、他の対向する2面の間の距離よりも小さい。なお、サブマウント30の形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント30は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成することができる。また、接合面には、接合のための金属膜が設けられている。
(反射部材40)
反射部材40は、光を反射する光反射面を有する。また、光反射面は、下面に対して傾斜している。つまり、光反射面は、下面からみた配置関係が垂直でも平行でもない。例えば、光反射面は、平面形状で、下面に対して45度の傾斜角を成す傾斜面に設けられる。なお、平面形状でなく曲面形状であってもよい。また、傾斜角は45度に限らなくてもよい。曲面形状の場合、局所的に下面から見て垂直或いは平行な部分を有することがある。
反射部材40は、主材料に、ガラスや金属などを用いることができる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属を用いることができる。また、Siを主材料に用いて形成することもできる。また、光反射面は、例えば、Ag、Al等の金属やTa2O5/SiO2、TiO2/SiO2、Nb2O5/SiO2等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。
光反射面において、反射させるレーザ光のピーク波長に対する光反射率は95%以上である。また、99%以上の光反射率を実現することもできる。これらの光反射率は100%以下あるいは100%未満である。
(保護素子50)
保護素子50は、特定の素子(例えば半導体レーザ素子20)に過剰な電流が流れて破壊されてしまうことを防ぐためのものである。保護素子50としては、例えば、ツェナーダイオードがあげられる。また、ツェナーダイオードとしては、Siで形成されたものを採用できる。
(配線60)
配線60は、両端を接合部とする線状の形状で構成される。つまり、線状部分の両端が、他の構成要素との接合部分になる。配線60は、例えば、金属のワイヤである。金属には、例えば、金、アルミニウム、銀、銅などを用いることができる。
(光学部材70)
光学部材70は、上面と、下面と、側面と、を有する。また、レンズ面を有する。レンズ面は、平面と交わる。例えば、側面と交わり平面で構成される上面と、レンズ面が交わる。この場合、光学部材70の上面は、平面で構成される領域とレンズ面で構成される領域と、を有すると言える。なお、上面に代えて、あるいは、上面に加えて、下面にレンズ面を有していてもよい。また、レンズ面のみで上面が構成されてもよい。
光学部材70は、全体として、平板形状の上面に半円型のレンズが配されたような形状である。なお、これらをそれぞれ、平板部、レンズ部、と呼ぶと、側面と交わる平らな上面が、平板部の上面に相当し、レンズ面で構成される上面が、レンズ部の上面に相当する。また、光学部材70は、平板部とレンズ部とが一体となって形成される。なお、別体で形成し、これらを接合してもよい。
また、上面視あるいは下面視における光学部材70の外形は矩形である。なお、矩形でなくてもよい。レンズ部は、上面視で、レンズ面と重なる部分ということもできる。また、光学部材70のうちレンズ部を除く部分を非レンズ部と呼ぶものとする。
また、レンズ面は、複数のレンズが連なった形状で構成される。また、レンズ面は、複数のレンズが並んだ形状で構成される。また、複数のレンズが同じ方向に並んで配置された形状で構成される。レンズ面は、複数のレンズが並ぶ方向の長さの方が、個々のレンズの長径(複数のレンズが並ぶ方向に垂直な方向の長さ)よりも長い。なお、短くてもよい。
光学部材70は、透光性を有する。また、光学部材70は、レンズ部及び非レンズ部のいずれにおいても透光性を有する。また、光学部材70は、全体として、透光性を有する。光学部材70は、例えば、BK7等のガラスを用いて形成することができる。
(接着剤80)
接着剤80には、2種類の接着剤、第1接着剤81と第2接着剤82とが含まれる。また、2種類の接着剤のうち、第1接着剤81は紫外線硬化樹脂であり、第2接着剤82は熱硬化樹脂である。なお、第1接着剤81と第2接着剤82の組み合わせはこれに限らない。以降、第1接着剤81及び第2接着剤82のどちらに対してもいえることについては、接着剤80として説明を記載する。
第2接着剤82には、第1接着剤よりも、光に対する耐性に優れている接着剤が採用される。ここでの「光に対する耐性に優れている」とは、接着剤80が接合され、発光装置1が実装された後において耐性が優れていることを意味する。また、第2接着剤82には、第1接着剤よりも、可視光(400nm以上760nm以下の波長範囲)に対する耐性に優れている接着剤が採用される。また、第2接着剤82には、第1接着剤よりも、青色の光に対する耐性に優れている接着剤が採用される。
例えば、硬化された接着剤80に所定の値のエネルギー密度[W/mm2]の光が照射され続けることで接合力が損なわれ、接着剤として機能しなくなることがある。同じエネルギー密度の光を照射した場合に、第1接着剤の方が第2接着剤よりも短時間で接着剤として機能しなくなるようであれば、第2接着剤82の方が第1接着剤81よりも光に対する耐性に優れているということができる。
紫外線硬化樹脂としては、エポキシ系樹脂やアクリレート系樹脂の接着剤を用いることができる。熱硬化樹脂としては、エポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂の接着剤を用いることができる。
(発光装置1)
次に、発光装置1について説明する。
発光装置1は、半導体レーザ素子20、半導体レーザ素子20が配置されるパッケージ10、及び、パッケージ10に固定される光学部材70を有する。また、光学部材70は、接着剤80を用いて、パッケージ10に固定される。また、光学部材70の固定において、少なくとも2種類の接着剤80、第1接着剤81及び第2接着剤82、が使用される。なお、半導体レーザ素子20に代えて、LEDなどの他の発光素子を用いてもよい。
また、パッケージ10には、半導体レーザ素子20の他に、サブマウント30、反射部材40、及び、保護素子50が配置される。また、これらの構成要素は、パッケージ10の基部11に配置される。また、配線60によって、半導体レーザ素子20及び保護素子50は、配線領域14と電気的に接続する。
また、半導体レーザ素子20、サブマウント30、反射部材40、保護素子50、及び、配線60が基部11に配置された後に、基部11と蓋部材15とを接合させて、半導体レーザ素子20が配置される空間を封止し、パッケージ10を完成させる。この封止空間は、基部11及び蓋部材15が接合することによって形成される。また、蓋部材15の金属膜16が、基部11と接合する接合領域となる。
このような発光装置1は、半導体レーザ素子20が配置されたパッケージ10を作成する工程、あるいは、半導体レーザ素子20が配置されたパッケージ10を用意する工程の後に、光学部材70をパッケージ10に固定する工程を経て、製造される。
パッケージ10の作成において、半導体レーザ素子20が、基部11の底面(配置領域)に配される。なお、複数の半導体レーザ素子20が配されてもよい。また、複数の半導体レーザ素子20が、出射端面が同じ方向を向くようにして、並べて配置されてもよい。またあるいは、出射端面が互いに対向して配置されてもよい。また、隣り合う半導体レーザ素子20の間で、それぞれの出射端面と交わる側面同士が対向するように配置されてもよい。
図示される発光装置1の例では、4つの半導体レーザ素子20が同じ出射端面を向いて、並べて配置されている。また、上面視で、複数の半導体レーザ素子20は、パッケージ10の長手方向に並べて配置されている。また、隣り合う半導体レーザ素子20の間で、それぞれの出射端面と交わり対向する側面同士は、上面視で平行である。
また、4つの半導体レーザ素子20はそれぞれ、青色の光を出射する半導体レーザ素子で構成されている。なお、パッケージ10に複数の半導体レーザ素子20が配置される場合、全ての半導体レーザ素子20が同じ色の光を出射する構成でなくてもよい。また、出射する光の色は青に限らず、別の色であってもよい。また、互いに異なる色の光を出射する複数の半導体レーザ素子を配置し、複数の色の光を出射するパッケージ10としてもよい。
サブマウント30は、一方の接合面で半導体レーザ素子20と接合する。また、反対側の他方の接合面で基部11の底面と接合する。また、1つのサブマウント30に1つの半導体レーザ素子20のみが配される。したがって、複数の半導体レーザ素子20を有する場合、半導体レーザ素子20の数と同数の複数のサブマウント30を有する。なお、1つのサブマウント30に複数の半導体レーザ素子20が配されてもよい。
図示される発光装置1の例では、1つのサブマウント30に1つの半導体レーザ素子20が配され、基部11の底面に半導体レーザ素子20と同じ数のサブマウント30が接合されている。また、各半導体レーザ素子20の出射端面は、半導体レーザ素子20から出射された主要部分の光がサブマウント30の上面の照射されないように、サブマウント30の側端の近傍に配される。
なお、サブマウント30の基部11への接合は、半導体レーザ素子20をサブマウント30に接合させた後に行われる。あるいは、基部11にサブマウント30を接合させた後に、半導体レーザ素子20をサブマウント30に接合させてもよい。また、半導体レーザ素子20は、サブマウント30を介さずに直接基部11の底面に配されてもよい。
反射部材40は、基部11の底面に配される。また、半導体レーザ素子20から出射された光が光反射面に照射される向きで反射部材40は配される。反射部材40の光反射面には、半導体レーザ素子20から出射された主要部分の光が照射される。
1つの半導体レーザ素子20に1つの反射部材40が対応し、1つの反射部材40の光反射面に、1つの半導体レーザ素子20からの主要部分の光が照射される。複数の半導体レーザ素子20を有する場合、半導体レーザ素子20の数と同数の複数の反射部材40を有する。なお、1つの反射部材40に複数の半導体レーザ素子20からの主要部分の光が照射されてもよい。
図示される発光装置1の例では、1つの反射部材40に1つの半導体レーザ素子20が対応し、基部11の底面に4つの反射部材40が接合されている。また、複数の半導体レーザ素子20が並ぶ方向と同じ方向に、複数の反射部材40も並べて配置されている。また、光反射面は、光軸を通る光の進行方向に対して45度の角度で傾いている。
図示される発光装置1の例では、反射部材40の光反射面は、照射された主要部分の光の98%以上を反射する。反射部材40は、半導体レーザ素子20から側方に向かって出射された光を上方に反射する。なお、発光装置1は、反射部材40を有していなくてもよい。この場合、例えば、半導体レーザ素子20の出射端面が上面を向く。
保護素子50は、基部11の配線領域14に配される。また、凹部の窪み部分に設けられた配線領域14に配される。また、2つの配線領域14の上に配され、これにより、電気的に接続する。なお、1つの配線領域14の上に配され、他方の配線領域14とは配線で接続してもよい。図示される発光装置1の例では、上面視で、保護素子50は、2つの配線領域14に跨って配されている。
配線60は、基部11の配線領域14と接合する。また、凹部の窪み部分に設けられた配線領域14と接合する。また、半導体レーザ素子20と接合する。また、サブマウント30と接合する。配線60は、半導体レーザ素子20を配線領域14と電気的に接続するために設けられる。複数の半導体レーザ素子20を有する場合、複数の半導体レーザ素子20を電気的に直列に接続する。なお、電気的に並列に接続してもよい。
蓋部材15は、基部11の上面に配される。蓋部材15が接合されることで、基部11と蓋部材15によって囲まれる閉空間が生まれる。半導体レーザ素子20や反射部材40など、基部11に配された構成要素はこの空間に閉じ込められる。また、所定の雰囲気下で蓋部材15は基部11に接合され、この閉空間は気密封止された空間となる。気密封止された空間内に半導体レーザ素子20が配置され、これにより集塵による品質劣化を抑制できる。
蓋部材15は、金属膜16において基部11と接合する。また、基部11が蓋部材15と接合する領域にも接合のための金属膜が設けられる。また、基部11と蓋部材15とは、金属接合材を使用して接合する。例えば、基部11の接合領域にAuSnの金属接合剤を配し、そこに、蓋部材15の接合領域を重ねて、基部11と蓋部材15とを接合する。なお、金属接合材としては、AuSnなどの金属ろうの他、はんだなどを使用することもできる。
蓋部材15は、半導体レーザ素子20から出射される光に対して透光性を有する。また、半導体レーザ素子20から出射された主要部分の光は、蓋部材15の透光性の領域を通過して、蓋部材15の上面からパッケージ10の外部へと光が出射される。蓋部材15の下面は、半導体レーザ素子20から出射される光の入射面といえる。また、蓋部材15の上面は、半導体レーザ素子20から出射される光の出射面といえる。
図示される発光装置1の例では、基部11の上面と蓋部材15の下面における接合領域にNiメッキが設けられ、蓋部材15と基部11とが接合している。また、蓋部材15の金属膜16が設けられた領域または接合領域の上方は透光性を有する。言い換えると、パッケージ10において、蓋部材15の上方から金属膜16に向けて出射した光は、蓋部材15の透光性を有する領域を通過して、金属膜16に達する。
このようにして作成されたパッケージ10において、半導体レーザ素子20から出射された光は、反射部材40によって反射され、上方に配された蓋部材15を通過して、パッケージ10の上方へと出射する。また、半導体レーザ素子20から出射された主要部分の光の90%以上がパッケージ10の外部へと出射する。図示される発光装置1の例では、98%以上がパッケージ10の外部へと出射する。
次に、光学部材70をパッケージ10に固定する工程において、光学部材70がパッケージ10に固定される。また、パッケージ10の蓋部材15に固定される。また、光学部材70は、パッケージ10の上面、言い換えると、蓋部材15の上面の上に配置される。
光学部材70は、接着剤80を介して、パッケージ10に固定される。接着剤80がパッケージ10の上面に設けられ、その上から光学部材70を接着剤80に接合させて固定する。接着剤80は、パッケージ10と光学部材70とに接合する。
接着剤80を用いた固定は、第1接着剤81による接合の工程と、第2接着剤82による接合の工程と、を有する。まず、パッケージ10の光学部材70との接合箇所に、第1接着剤81及び第2接着剤82を設ける。この状態では、まだ接着剤は固まっていない。
次に、光学部材70と第1接着剤81が接した状態で、第1接着剤81を硬化させ、第1接着剤81を介して、パッケージ10と光学部材70とを接合する。これにより、第1接着剤81は固まり、第2接着剤は固まっていない状態となる。
なお、第1接着剤81は、光学部材70のパッケージ10に対する位置および高さの調整に利用される。つまり、光学部材70のパッケージ10に対する位置および高さを調整し、その配置で停止させた状態で、第1接着剤81を固めることで、位置および高さが調整された状態で、光学部材70をパッケージ10に固定させることができる。
配置が調整された状態で光学部材70とパッケージ10を停止させておくために、例えば、実装装置のステージ上にパッケージ10が載置され、実装装置のコレットによって光学部材70が保持される。紫外線硬化樹脂は、素早く接合することができるため、効率的に発光装置1を製造することができる。
光学部材70の配置は、半導体レーザ素子20から出射された光が光学部材70のレンズ面によって精度良く光学制御されるように調整される。そのため、製造する個々の発光装置1に応じて調整される。なお、複数の発光装置1のまとまりの単位で調整を行ってもよい。
調整によっては、介在する第1接着剤81の厚み(パッケージ10の上面から光学部材70の下面までの距離)は、200μm以上となり得る。一方で、レンズ面までの光路長が長くなるほど主要部分の光の照射範囲は広くなるため、第1接着剤81の厚みは最大でも500μm以下となるように調整されるのが好ましい。
また、第1接着剤81の厚みは、厚みが薄い場合でも、100μm以上となり得る。なお、厚みはこれに限定されず、100μm以下であってもよい。また、500μm以上であってもよい。紫外線硬化樹脂のような樹脂接着剤は、硬化処理の際に、有機ガスを発生するが、パッケージ10において蓋部材15で半導体レーザ素子20を封止し、蓋部材15と光学部材70とを接合させることで、集塵による品質劣化を抑制できる。
次に、光学部材70と接した状態の第2接着剤82を硬化させ、第2接着剤82を介して、パッケージ10と光学部材70とを接合する。これにより、第1接着剤81及び第2接着剤82が固まった状態となる。
なお、パッケージ10と光学部材70とは、既に、第1接着剤81によって固定されている。熱硬化樹脂は、接合箇所を温める処理を要することから紫外線硬化樹脂と比べて接合に時間がかかるが、光学部材70を実装装置で支持しなくてよいため、複数の発光装置1に係る硬化処理をまとめて行うことができる。紫外線硬化樹脂によって固定した後にで、効率的に製造することができる。
発光装置1において、パッケージ10の出射面から外部へと出射する光は、光学部材70の入射面に入射して、光学部材70の出射面から出射する。また、接着剤80は、パッケージ10の出射面と光学部材70の入射面との間で、光学部材70に接合される。
また、同様に、接着剤80は、パッケージ10の出射面と光学部材70の入射面との間で、パッケージ10に接合される。なお、パッケージ10と光学部材70との間に、更に、他の構成要素を有し、この中間部材を介在させて光学部材70がパッケージ10に固定されてもよい。この場合、接着剤80は、パッケージ10に代えて、中間部材に接合されることになる。
接着剤80は、半導体レーザ素子20からの主要部分の光が、パッケージ10の出射面から出射してから光学部材70の入射面に入射するまでの光路上に侵入することなく、光学部材70と接合する。つまり、パッケージ10の出射面から光学部材70の入射面へと進む光が通過する位置を避けて、接着剤80は設けられる。これにより、接着剤80の劣化を抑制できる。
また、パッケージ10の出射面から外部へと出射した光が入射する光学部材70の入射面、または、光学部材70の入射面を通過した光が出射する光学部材70の出射面はレンズ面である。これにより、例えば、パッケージ10から出射する光をコリメートして、発光装置1から出射させることができる。なお、入射面及び出射面がレンズ面であってもよい。
図示される発光装置1の例では、光学部材70の出射面がレンズ面となっている。接着剤80は、レンズ面の外周に設けられている。また、発光装置1を光の出射側からみたときに、光学部材70と接する前のパッケージ10に配された接着剤80は、、パッケージ10に接合された後の光学部材70におけるレンズ面とは重ならない。なお、この例では、発光装置1を光の出射側からみると、上面視となる。
なお、図9は、光学部材の入射面がレンズ面となっている発光装置2の一例を示している。図示される発光装置2は、光学部材270の形状が、光学部材70と異なっている点を除けば、図示される発光装置1と同様の構成要素で構成することができる。
ここで、接着剤80を介してパッケージ10と光学部材70とが固定された状態で、光学部材70において接着剤80が接触する領域を接合領域71と呼ぶものとする。また、第1接着剤81が接触する領域を第1接合領域72、第2接着剤82が接触する領域を第2接合領域73と呼ぶものとする。
また、パッケージ10において接着剤80が接触する領域についても接合領域17と呼ぶものとする。図示される発光装置1の例では、蓋部材15が接合領域17を有している。また、第1接着剤81が接触する領域を第3接合領域18、第2接着剤82が接触する領域を第4接合領域19と呼ぶものとする。
第1接着剤81及び第2接着剤82は、それぞれ一以上の箇所に設けられる。また、光学部材70は、互いに離れている(互いに接していない)複数の接合領域71を有する。また、互いに離れている第1接合領域72及び第2接合領域73を有する。また、パッケージ10についても同様のことがいえる。
なお、パッケージ10についても同様のことがいえるとは、光学部材70をパッケージ10、接合領域71を接合領域17、第1接合領域72を第3接合領域18、第2接合領域73を第4接合領域19に置き換えても同じことがいえるということである。
図示される発光装置1の例では、それぞれ複数の箇所に第1接着剤81及び第2接着剤82が設けられている。また、それぞれの箇所における接合領域71が互いに離れている。また、入射面側から見た外形が矩形である光学部材70において、第1接着剤81は、矩形の一方の対角に設けられ、第2接着剤82は、矩形の他方の対角に設けられる。矩形の一方の対角に計2箇所、第1接着剤81が設けられ、これに対応して、光学部材70は2つの第1接合領域72を有する。また、矩形の他方の対角に計2箇所、第2接着剤82が設けられ、これに対応して、光学部材70は2つの第2接合領域73を有する。2つの第1接合領域72と、2つの第2接合領域73と、は互いに離れている。また、2つの第1接合領域72も互いに離れており、2つの第2接合領域73も互いに離れている。また、パッケージ10についても同様のことがいえる。
第1接着剤81及び第2接着剤82を離して設けることで、一方の接着剤80を接着させるときに、他方の接着剤80の干渉を避けられる。また、第1接着剤81及び第2接着剤82を、対角同士に設けることで、一方の接着剤80による安定した接合を実現できる。なお、第1接着剤81及び第2接着剤82は、対角同士に設けなくてもよい。例えば、対向する2辺の一方に第1接着剤81を、他方に第2接着剤82を設けてもよい。
例えば、蓋部材15を有しておらず、半導体レーザ素子20が配置される空間が封止されていないパッケージ10に光学部材70を接合させる場合、このように接着剤80を離して設けると、封止ができなくなる。蓋部材15で半導体レーザ素子20を封止し、蓋部材15と光学部材70とを接合させることで、集塵による品質劣化を抑制しつつ、第1接着剤81及び第2接着剤82を離して設けることができる。
また、光学部材70において、1以上の第1接合領域72、及び、1以上の第2接合領域73は、光学部材70の出射面よりも光学部材70の入射面に近い位置に設けられる。また、光学部材70は、平面上に、1以上の第1接合領域72、及び、1以上の第2接合領域73を有する。パッケージ10の平面に光学部材70を接合させる場合に、平面の接合領域71を有する方が、接合領域に亘る接着力のムラを低減できる。
また、光学部材70は、仮想的な同一の平面上に1以上の第1接合領域72、及び、1以上の第2接合領域73を有する。これにより、第1接着剤81による厚みと第2接着剤82による厚みの差を小さくすることができ、第1接合領域72と第2接合領域73の間の接着力のムラを低減できる。
また、光学部材70は、光学部材70の出射面と反対側の平面上に1以上の第1接合領域72、及び、1以上の第2接合領域73を有する。また、光学部材70の入射面よりも出射面の方が光の照射範囲は拡がるため、光学部材70の出射面に近い平面、例えば、光学部材70の出射面と交わる平面上に第1接合領域72及び第2接合領域73を有さないのが好ましい。
図示される発光装置1の例では、光学部材70は、光学部材70の入射面と同じ平面上に1以上の第1接合領域72、及び、1以上の第2接合領域73を有する。これにより、例えば、レンズ面を上面あるいは出射面に設けた発光装置を実現することができる。
なお、図示される発光装置2の例では、光学部材270は、パッケージ10の出射面までの距離が光学部材270の入射面よりも近い位置に1以上の第1接合領域72、及び、1以上の第2接合領域73を有する。これにより、例えば、レンズ面を下面あるいは入射面に設けた発光装置を実現することができる。
発光装置1には、上面視で、第1接合領域72が光学部材70の角に位置し、かつ、第3接合領域17がパッケージ10の角に位置する、第1接着剤81が含まれる。また、発光装置1には、上面視で、第1接合領域72が光学部材70の角に位置し、かつ、第3接合領域17がパッケージ10の角には位置しない、第1接着剤81が含まれる。第2接着剤82についても同様のことがいえる。このようにすることで、上面視における光学部材70の外形を、パッケージ10よりも小さくすることができる。
第1接合領域72及び第2接合領域73は、それぞれ、円形のような形となる。第3接合領域18及び第4接合領域19も同様に、円形のような形となる。なお、第1接着剤81及び第2接着剤82は、パッケージ10と光学部材70の間で押圧された形状で固まるため、ここでの“円形のような形”は、厳密な円形であるとはいえない。
複数の第1接合領域72はそれぞれ、同じような形及び大きさを有する。つまり、それぞれにおいて配される第1接着剤81の量が同じで、押圧による圧力の作用についてもおよそ同等である。但し、光学部材70は、位置調整されるため、圧力の作用が厳密に同じであるとはいえない。複数の第2接合領域73についても同様に、それぞれ同じような形及び大きさを有する。
第1接合領域72の面積は、第2接合領域73の面積の0.5倍以上1.5倍以下である。好ましくは、0.8倍以上1.2倍以下である。第3接合領域18の面積は、第4接合面積19の面積の0.5倍以上1.5倍以下である。好ましくは、0.8倍以上1.2倍以下である。このように2つの接合領域の面積に大きな差が生じないようにすることで、非レンズ部を小さくすることができ、光学部材70を小型にすることができる。
発光装置1は、上面視で、配線領域14に一部が重なる第1接合領域72を有する。また、発光装置1は、上面視で、配線領域14に一部が重なる第2接合領域73を有する。第3接合領域18及び第4接合領域19についても同様のことがいえる。配線領域14と重なる位置に接着剤80の接合領域が設けられるようにすることで、パッケージ10から出射される光を邪魔せずに、また、パッケージ10の大きさを抑えることができる。
発光装置1において、接着剤80に係る全ての接合領域は、上面視で、複数の半導体レーザ素子20のそれぞれから出射される光の光軸を通る仮想的な直線が通過する位置には設けられない。このようにすることで、非レンズ部を小さくすることができ、光学部材70を小型にすることができる。
上面視で、パッケージ10の長手方向に互いに離れている第1接合領域72と第2接合領域73とを最短距離で結ぶ仮想的な直線は、複数の半導体レーザ素子20のそれぞれから出射される光の光軸を通る仮想的な直線の全てと交差する。上面視で、パッケージ10の短手方向に互いに離れている第1接合領域72と第2接合領域73とを最短距離で結ぶ仮想的な直線は、複数の半導体レーザ素子20のそれぞれから出射される光の光軸を通る仮想的な直線の全てと交差しない。
光学部材70において、第1接合領域72、及び、第2接合領域73は透光性を有する。また、複数の第1接合領域72、及び、複数の第2接合領域73は透光性を有する。また、光学部材70の全ての接合領域71は透光性を有する。なお、全てでなくてもよく、1以上の第1接合領域72、及び、1以上の第2接合領域73が透光性を有する光学部材70であってもよい。また、パッケージ10についても同様のことがいえる。
また、発光装置1の光学部材70において、第1接合領域72内を通り第1接合領域72に垂直な方向に進む仮想的な直線が通過する範囲は透光性を有する。また、この範囲は、第1接合領域72内を通るいずれの直線も包含する。また、第1接合領域72を第3接合領域18に置き換えた場合の仮想的な直線が光学部材70を通過する範囲は透光性を有する。
また、第2接合領域73についても同様である。つまり、発光装置1の光学部材70において、第2接合領域73内を通り第2接合領域73に垂直な方向に進む仮想的な直線が通過する範囲は透光性を有する。また、第2接合領域73を第4接合領域19に置き換えた場合の仮想的な直線が光学部材70を通過する範囲は透光性を有する。
例えば、図示される発光装置1の例では、平面に第1接合領域72および第2接合領域73のそれぞれを有するため、第1接合領域72内を通り第1接合領域72を含む平面と垂直な方向に進む仮想的な直線が通過する範囲、および、第2接合領域73内を通り第2接合領域73を含む平面と垂直な方向に進む仮想的な直線が通過する範囲、のそれぞれは透光性を有する。図5において、接合領域71と重なる部分がこの範囲を示している。
このように、光学部材70の接合領域71が透光性を有するため、光学部材70の出射面から入射した光は、光学部材70を通過して、接着剤80に入射することができる。例えば、発光装置1が搭載される空間において、発光装置1が出射した光に基づく戻り光や、他の発光装置からの出射光などが、接着剤80に入射することが考えられる。
また、発光装置1の蓋部材15において、第3接合領域18内を通り第3接合領域18に垂直な方向に進む仮想的な直線が通過する範囲は、金属膜16を除き、透光性を有する。また、この範囲は、第1接合領域72内を通るいずれの直線も包含する。また、第3接合領域18を第1接合領域72に置き換えた場合の仮想的な直線が蓋部材15を通過する範囲は、金属膜16を除き、透光性を有する。
また、発光装置1の蓋部材15において、第3接合領域18内を通り第3接合領域18に垂直な方向に進む仮想的な直線は、金属膜16を通過する。また、第3接合領域18を第1接合領域72に置き換えた場合の仮想的な直線は、金属膜16を通過する。また、第4接合領域19についても同様である。また、第4接合領域19を第2接合領域73に置き換えた場合も同様である。
このように、蓋部材15の接合領域17が透光性を有するため、蓋部材15の金属膜16で反射された光は、蓋部材15を通り、接着剤80に入射することができる。例えば、発光装置1が搭載される空間において、発光装置1が出射した光に基づく戻り光や、他の発光装置からの出射光などが、金属膜16に入射し、さらに、接着剤80に入射することが考えられる。
発光装置1を光の出射側からみたときに、一箇所に設けられた接着剤80による接合領域71及び接合領域17は、金属膜16と重なる領域を有する。少なくとも一箇所の接合領域71において、この重なる領域は接合領域71の50%以上を占める。また、少なくとも一箇所の接合領域17において、この重なる領域は接合領域17の50%以上を占める。
図6において、2つのハッチングが重なる領域がこれを示している。図示される発光装置1の例では、光の出射側となる上面視で、パッケージUの角に設けられた二箇所の接着剤80に係る接合領域71(一箇所は第1接合領域72、一箇所は第2接合領域73)及び接合領域17(一箇所は第3接合領域18、一箇所は第4接合領域19)の70%以上が、金属膜16と重なっている。
また、いずれの接合領域71及び接合領域17においても、20%以上が金属膜16と重なる。図示される発光装置1の例では、パッケージUの角からは離れた位置に設けられた二箇所の接着剤80に係る接合領域71(一箇所は第1接合領域72、一箇所は第2接合領域73)及び接合領域17(一箇所は第3接合領域18、一箇所は第4接合領域19)の30%以上が、金属膜16と重なっている。
また、この領域内で、光学部材70から金属膜16に至るまでの範囲に亘って、光学部材70及び蓋部材15は、透光性を有する。図6において、2つのハッチングが重なる領域と重なる部分がこの範囲を示している。また、接着剤80も、ある程度、光を透過する。例えば、発光装置1が製造された時点で、第1接着剤81は、0%を超え10%以下の透過率を有する。また、第2接着剤82は、80%以上100%未満の透過率を有する。
接着剤80がこのような位置に設けられることから、第1接着剤81よりも光に対する耐性に優れた第2接着剤82を用いることで、第1接着剤81の接着力が戻り光などの影響で劣化し、十分な接着力が得られなくなった場合でも、パッケージ10と光学部材70との安定した固定が維持される。
図10は、金属の上に光学部材を配し、この光学部材を第1接着剤及び第2接着剤のそれぞれで接合した状態で、上方からレーザ光を出射して、光学部材を通り接着剤へと照射させたときの、接着剤が焼けるまでの時間を測定した実験結果である。図10は、接着剤に照射される光のエネルギー密度[W/mm2]と、焼け焦げるまでの時間[hours]と、の相関をグラフにしている。
なお、この実験では、接着剤の近傍に熱電対を設置し、熱電対の温度変化を測定した。また、実際に発光装置1が動作したときの状況を想定して温度を調整した。測定の結果、熱電対の温度が、安定した状態からある時点で急な上昇を始め、2~3度、あるいは、それ以上の温度上昇を起こした。そして、接合部分を観測すると、接着剤は黒く変色していた。
ここで、図10に示されるプロットPにおける測定結果を図11乃至図13に示す。この測定では、測定を開始する前に、接合部分の周辺温度を75度に調整した。また、測定を開始し、熱電対の温度が75度付近で安定したことを確認してからレーザ光を照射した。図12に示すように、測定開始から30秒~40秒が経過した時点でレーザ光の照射が開始され、これによって、熱電対の温度が82度付近に上昇した。
レーザ光の照射による温度上昇は82度付近で緩やかになり、およそ一定の温度で安定した。なお、図11に示すように、長時間を掛けてわずかに上昇している。そして、4万秒を超えたあたりで、安定した状態から急激に温度上昇を始めた。4万2千秒の時点で測定を終了し、このとき、接着剤が黒く変色していることが確認された。
この結果から、接着剤が光の照射により温度上昇を起こし、焼け焦げたものと推察された。そこで、熱電対の温度が安定した状態から急に上昇し始めた時点を、接着剤の焼けが発生し始めた時点と推定し、ここまでの照射時間を接着剤が焼けるまでの時間として、図10の実験結果は表されている。
図10の結果からわかるように、第1接着剤は、1.0[W/mm2]のエネルギー密度の光の照射に対して、100時間以内で焼けている。そのため、発光装置が搭載される製品によっては、光に対する耐性がこれよりも優れた発光装置を求められることも考えられる。
また、第1接着剤よりも第2接着剤の方が、光に対する耐性に優れていることがわかる。従って、仮に、第1接着剤81が焼け焦げて接着力を保てなくなったとしても、発光装置1においては光学部材70の固定は維持される。従って、長時間の使用がなされた後も接着状態の安定した発光装置1を実現することができる。
なお、第1接着剤81と第2接着剤82は、実験で用いられたものに限らず、適当な接着剤を選択すればよい。発光装置1に採用される第1接着剤81と第2接着剤82としては、実験結果から、以下のような組合せの例が考えられる。
例えば、所定のエネルギー密度の光の照射に対して、10時間以内に焼け焦げる第1接着剤81と、100時間では焼け焦げない第2接着剤82との組合せが挙げられる。なお、図10の実験では、2.7[W/mm2]のエネルギー密度の光の照射に対して、第1接着剤は3時間で焼け焦げた一方で、第2接着剤は250時間経過しても焼け焦げなかった。
また例えば、所定のエネルギー密度の光の照射に対して1時間以内で焼け焦げる第1接着剤81と、10時間では焼け焦げない第2接着剤82との組合せが挙げられる。図10の実験では、3.6[W/mm2]のエネルギー密度の光の照射に対して、第1接着剤は50分で焼け焦げた一方で、第2接着剤は11時間経過しても焼け焦げなかった。
また例えば、所定のエネルギー密度の光の照射に対して30分以内で焼け焦げる第1接着剤81と、5時間では焼け焦げない第2接着剤82との組合せが挙げられる。図10の実験では、4.5[W/mm2]のエネルギー密度の光の照射に対して、第1接着剤は15分で焼け焦げた一方で、第2接着剤は5時間経過しても焼け焦げなかった。
また、第2接着剤82は、少なくとも、5.0[W/mm2]以下のエネルギー密度の範囲での光の照射に対して、第1接着剤81よりも光に対する耐性に優れている。なお、発光装置1が搭載される環境にもよるが、少なくとも、1.0[W/mm2]以下のエネルギー密度の範囲での光の照射に対して、第1接着剤81よりも光に対する耐性に優れている第2接着剤82であってもよい。
なお、発光装置1において、第1接着剤81は、第2接着剤82ではその効果が得られない、効果を得づらい、あるいは、同じ効果を得るために効率性が下がるなどといったような、第2接着剤82に対する何らかの優位性を有している。例えば、発光装置1では、配置調整した光学部材70を効率的に接合するために、第1接着剤81が用いられている。
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明に係る発光装置は、実施形態の発光装置に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、実施形態により開示された発光装置の外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。また、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。