JP7157029B2 - セラミックカラーペースト、セラミックカラーならびにセラミックカラー付きガラスおよびその製造方法 - Google Patents

セラミックカラーペースト、セラミックカラーならびにセラミックカラー付きガラスおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種のガラス、例えば、自動車用ガラスの基板となるガラス板上に焼付けて着色や成形を行なうためのセラミックカラーペースト、セラミックカラーならびにこのセラミックカラーを適用したセラミックカラー付きガラスおよびその製造方法(成形方法)に関する。
自動車用ガラスの中で、フロントガラス、サイドガラス、リアガラスおよびサンルーフガラスなどの固定された窓ガラスは、有機接着剤を用いて車体に取付けられる。車体に取付けられた各ガラスの周辺部は、有機接着剤の太陽光による劣化防止、接着部における余剰の接着剤(はみ出した接着剤)の隠蔽、ガラスの意匠性向上などのために、ドアガラスのような摺動する窓ガラスでは、摺動抵抗の低減や意匠性の向上のために、黒色またはダークグレーに着色されている。このような自動車用ガラスは、一般には、所定の形状に切り出した平板なガラス板の周辺部に、黒色顔料を含有する溶融性ガラスフリットで形成されたセラミックカラー(黒セラ)ペーストをスクリーン印刷した後、加熱によりガラス板を曲げ成形すると同時に、セラミックカラーペーストをガラス板に焼付け、その後冷却する工程により製造されている。
近年、自動車用窓ガラスの曲げ成形法の生産形態は、生産性および曲げ成形精度を向上させるため、加熱炉内などにプレス機を設け、曲げ成形を行なう方式が用いられている。プレス成形においては、プレス型とセラミックカラーとの型離れが課題である。詳しくは、プレス成形での型離れ性は、加熱されて溶融したセラミックカラーがプレス型の表面に使用されている耐熱布(ステンレスクロス、ガラスクロスなど)に付着することで低下する。特に、近年自動車のデザインが多様化しているため、ガラスの深曲げや複雑形状への成形などの要求も高まり、型離れは重要な課題となっている。
WO2013/146264(特許文献1)には、ガラスフリット、ビヒクル、耐熱性顔料および耐熱性径大粒子を含み、かつ前記耐熱性径大粒子が、セラミックカラーを形成するための乾燥塗膜の平均厚みよりも大きな粒径を有するセラミックカラーペーストが開示されている。
しかし、このセラミックカラーペーストは、乾燥塗膜の厚みよりも粒径の大きい耐熱性径大粒子を含むため、型離れ性は優れるものの、塗膜表面が凹凸形状になり、ガラスを透かすと粒子が透けて、透過率が高くなって隠蔽性が低い。
また、ガラス板の冷却工程では、ガラス板を加熱後、急激に冷却することにより、ガラス板の強化を行っている。しかし、一般に、セラミックカラーとガラス板とでは、熱膨張係数が異なるため、冷却工程において、セラミックカラーからガラス板表面に引張応力が作用し、ガラス板の表面圧縮応力が低下する。そのため、一般に、セラミックカラーの付いた領域では、ガラス板の強度が低下するという課題がある。しかし、特許文献1のセラミックカラーペーストでは強度も低い。
特開平6-234547号公報(特許文献2)には、無機成分が着色耐熱性顔料粉末5~35重量%、結晶化ガラス粉末65~95重量%、耐火物フィラー粉末0~10重量%とからなるセラミックカラー組成物が開示されており、特開平6-256039号公報(特許文献3)には、無機成分が、結晶質ガラスフリット20~68重量部、非晶質ガラスフリット2~30重量部、耐熱性着色顔料20~40重量部、耐火物フィラー0~10重量部からなるセラミックカラー組成物が開示されている。
しかし、結晶化ガラスを配合した場合、加熱により結晶化ガラスの一部が結晶化してガラスに焼き付けられるため、型離れ性は向上するものの、結晶化ガラスは熱膨張係数が高いため、ガラス強度が低下する。また、結晶化ガラスを含む組成物では、低融点ガラスで鉛を含まないガラスフリットとしてビスマス系ガラスが多く用いられるが、結晶化タイプの場合、結晶化によりBiSiOなどが析出するため、Bi量を増量し結晶化成分を増やすと、耐酸性が低下する。
特開平6-239647号公報(特許文献4)には、ガラス板の所定部位に塗布し、焼成してガラス板上に融着し、結晶化し、次いで炉内に設けたプレス装置によりガラス板を曲げ加工するのに適したセラミックカラー組成物であって、その無機成分は着色耐熱性顔料粉末5~30重量%と結晶化ガラス粉末70~95重量%とアルミナ粉末1.5~2.5重量%からなるセラミックカラー組成物が開示されている。また、特開2000-154038号公報(特許文献5)には、着色耐熱性顔料粉末5~40.5重量%、ガラス粉末50~94重量%、耐火物フィラー0~25重量%、ウィスカー状耐火物フィラー0.1~40重量%からなることを特徴とするセラミックカラー組成物が開示されている。また、特開2002-362940号公報(特許文献6)には、無鉛ガラス粉末:63~78.99質量%、耐熱ウィスカ:5~12質量%、三酸化二ビスマス粉末:0.01~1質量%、耐熱顔料粉末:16~26質量%からなるセラミックカラー組成物が開示されている。さらに、特開2016-79084号公報(特許文献7)には、ガラス粉末と、平均アスペクト比が8未満の粒子形状を有し、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の頻度分布を示す粒度分布曲線において0.1~8.4μmの間および8.5~30μmの間のそれぞれにピークを有する耐火物フィラーと、耐熱性顔料粉末とを含有するセラミックカラー組成物が開示されている。
しかし、ウィスカー状耐火物を配合しても型離れ性は向上されるものの、ウィスカー状耐火物は人体への影響評価が不明確であるため、近年流通量が減少している。さらに、ウィスカー状耐火物としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、アルミナ、チタン酸カリウム、ジルコンなどが挙げられるが、これらのウィスカー状耐火物をセラミックカラーに多量に入れると、色調、耐酸性、焼結性などの性能が低下する。
WO2013/146264(請求項1) 特開平6-234547号公報(請求項1) 特開平6-256039号公報(請求項1) 特開平6-239647号公報(請求項1) 特開2000-154038号公報(請求項1) 特開2002-362940号公報(請求項1) 特開2016-79084号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、焼結性および色調や透過率などの外観性を維持しつつ、成形時の型離れ性も向上できるセラミックカラーペースト、セラミックカラーならびにセラミックカラー付きガラスおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、耐酸性雨性などの耐酸性に優れ、かつセラミックカラー付きガラスの強度を向上できるセラミックカラーペースト、セラミックカラーならびにセラミックカラー付きガラスおよびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、プレス型にセラミックカラーが付着するのを抑制でき、かつ焼成後のプレス型から容易に分離できるセラミックカラーペースト、セラミックカラーならびにセラミックカラー付きガラスおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、成形温度よりも低い軟化点を有するガラスフリットと、耐熱性顔料と、成形温度よりも高い軟化点を有する特定サイズのガラスフィラーと、シリコーン系レジンとを組み合わせてセラミックカラーペーストを調製すると、焼結性および色調や透過率などの外観性を維持しつつ、成形時の型離れ性も向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のセラミックカラーペーストは、成形温度よりも低い軟化点を有するガラスフリット、耐熱性顔料、成形温度よりも高い軟化点を有するガラスフィラーおよびシリコーン系レジンを含む。前記成形温度はプレス温度であってもよい。前記シリコーン系レジンは、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、空気雰囲気下、昇温速度20℃/分で40℃から750℃まで昇温するという条件で分解温度を測定したとき、熱分解終了温度が550℃以上のシリコーン系レジンを含んでいてもよい。熱分解終了温度550℃以上のシリコーン系レジンは、熱分解終了温度での残渣が40~70質量%程度であってもよい。前記シリコーン系レジンは、有機溶媒、例えば、ブチルカルビトールアセテートに溶解可能なシリコーン系レジンを含んでいてもよい。前記シリコーン系レジンは、C1-4アルキルC6-10アリール系シリコーンレジンを含んでいてもよい。前記シリコーン系レジンの割合は、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して0.1~50質量部程度であってもよい。前記ガラスフィラーは、粒径範囲2~30μm(特に2~20μm)のガラスビーズおよび/または繊維径範囲10~30μm、繊維長範囲10~50μmのガラスファイバーであってもよい。前記ガラスフィラーの割合は、前記ガラスフリットおよび前記耐熱性顔料の総量100質量部に対して12~26質量部(特に20~25質量部)であってもよい。前記ガラスフリットは、ビスマス系ガラスフリット、シリカ系ガラスフリット、亜鉛系ガラスフリットおよび鉛系ガラスフリットからなる群より選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。本発明のセラミックカラーペーストは、ビヒクルをさらに含んでいてもよい。
本発明には、ガラスフリットと耐熱性顔料とガラスフィラーとシリコーン系レジンとを混合して、前記セラミックカラーペーストを製造する方法も含まれる。この方法では、前記シリコーン系レジンが、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、空気雰囲気下、昇温速度20℃/分で40℃から750℃まで昇温するという条件で分解温度を測定したとき、熱分解終了温度が550℃以上のシリコーン系レジンを含み、かつこのシリコーン系レジンを分散媒に溶解した後、ガラスフリット、耐熱性顔料およびガラスフィラーと混合してもよい。
本発明には、前記セラミックカラーペーストを焼成して形成されるセラミックカラーも含まれる。
本発明には、ガラス基板と、セラミックカラーペースト膜とを備えたセラミックカラー付きガラスであって、前記ガラス基板の少なくとも一方の面において、少なくとも一部の領域に前記セラミックカラーで形成されたセラミックカラー膜が積層されているセラミックカラー付きガラスも含まれる。
本発明には、少なくとも一方の面のガラス基板において、少なくとも一部の領域に、前記セラミックカラーで形成されたセラミックカラー膜を積層する積層工程と、得られた積層体を前記ガラス板の軟化点以上の温度で加熱して曲げ成形すると同時に、前記セラミックカラーペーストの焼成を行う曲げ成形工程とを含むセラミックカラー付きガラスの製造方法も含まれる。前記曲げ成形工程がプレス成形を含んでいてもよい。
本発明のセラミックカラーペーストは、成形温度よりも低い軟化点を有するガラスフリットと、耐熱性顔料と、成形温度よりも高い軟化点を有するガラスフィラーと、シリコーン系レジンとを組み合わせているため、焼結性および色調や透過率などの外観性を維持しつつ、成形時の型離れ性も向上できる。また、耐酸性雨性などの耐酸性に優れ、かつセラミックカラー付きガラスの強度を向上できる。さらに、プレス型にセラミックカラーが付着するのを抑制でき、かつ焼成後のプレス型から容易に分離できる。
図1は、実施例で得られたセラミックカラー付きガラス板の強度を測定する方法を説明するための概略図である。
[セラミックカラーペースト]
本発明のセラミックカラーペースト(またはセラミックカラー組成物)は、成形温度よりも低い軟化点を有するガラスフリット、耐熱性顔料、成形温度よりも高い軟化点を有するガラスフィラーおよびシリコーン系レジンを含む。
(ガラスフリット)
ガラスフリット(溶融性ガラス粉または粒子)は、セラミックカラーの膜を形成するとともにガラス板に定着するために配合され、成形温度で軟化するガラスフリットであればよい。
ガラスフリットとしては、セラミックカラーにおいて利用される慣用のガラスフリットを使用できる。慣用のガラスフリットとしては、例えば、ビスマス系ガラスフリット、シリカ系ガラスフリット、亜鉛系ガラスフリット、ホウケイ酸系ガラスフリット、ホウケイ酸亜鉛系ガラスフリット、鉛系ガラスフリットなどが挙げられる。これらのガラスフリットは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、ビスマス系ガラスフリット、シリカ系ガラスフリット、亜鉛系ガラスフリット、鉛系ガラスフリットなどが汎用され、耐酸性とガラス強度との両立など、本発明の顕著な効果が発現し易い点から、少なくともビスマス系ガラスフリットを含むのが好ましい。
ビスマス系ガラスフリットは酸化ビスマス(Bi)を含んでいればよく、酸化ビスマスに加えて、他の酸化物を含んでいてもよい。他の酸化物としては、例えば、他の金属酸化物(例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどのアルカリ金属酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどのアルカリ土類金属酸化物;酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの周期表第4A族金属酸化物;酸化クロムなどの周期表第6A族金属酸化物;酸化鉄などの周期表第8族金属酸化物;酸化亜鉛などの周期表第2B族金属酸化物;酸化アルミニウムなどの周期表第3B族金属酸化物;酸化スズ、酸化鉛などの周期表第4B族金属酸化物など)、酸化ケイ素、酸化ホウ素などが挙げられる。これら他の酸化物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これら他の酸化物のうち、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化ケイ素、酸化ホウ素などを含有している場合が多い。酸化ビスマスの割合は、ビスマス系ガラスフリット全体に対して、例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上(例えば、15~95質量%)、さらに好ましくは20~90質量%(特に30~80質量%)程度であってもよい。
ガラスフリットがビスマス系ガラスフリットを含む場合、ガラスフリット中のビスマス系ガラスフリットの割合は10質量%以上であってもよく、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上(特に90質量%以上)であり、100質量%であってもよい。
ガラスフリットの軟化点(または融点)は、成形温度(曲げ成形の加熱温度、特にプレス温度)よりも低ければよく、例えば350~700℃程度の範囲から選択でき、プレス成形のプレス温度よりも低いのが好ましく、例えば360~650℃、好ましくは400~600℃、さらに好ましくは450~580℃(特に500~550℃)程度であってもよい。軟化点が低すぎると、ガラス強度が低下する虞があり、逆に高すぎると、溶融流動性が低下するため、ガラス基板との密着性が低下する虞がある。
ガラスフリットの平均粒径は、例えば0.1~10μm、好ましくは0.3~8μm、さらに好ましくは0.5~5μm(特に1~4μm)程度であってもよい。ガラスフリットの粒径が大きすぎると、印刷性や焼成膜の均一性が低下するとともに、スクリーン印刷などにおいて目詰まりが発生し易くなる。一方、粒径が小さすぎると、ガラスフリットの分散性が低下するため、セラミックカラーペーストの印刷性が低下するとともに、経済性も低下する虞がある。
セラミックカラーペースト中のガラスフリットの割合は30~95質量%程度の範囲から選択でき、例えば40~95質量%、好ましくは45~80質量%、さらに好ましくは50~75質量%(特に50~70質量%)程度である。ガラスフリットの割合が多すぎると、セラミックカラーの色調が低下し、少なすぎると、ガラス基板に対する密着性が低下する虞がある。
(耐熱性顔料)
耐熱性顔料は、セラミックカラーに目的の色を付与するために配合される。耐熱性顔料としては、セラミックカラーペーストの焼成温度に耐えることができればよく、慣用の耐熱性顔料を使用できる。
耐熱性顔料としては、例えば、黒色顔料(銅-クロム複合酸化物、鉄-マンガン複合酸化物、銅-クロム-マンガン複合酸化物、コバルト-鉄-クロム複合酸化物、マグネタイトなど)、茶色系顔料(亜鉛-鉄複合酸化物、亜鉛-鉄-クロム複合酸化物)、青色系顔料(コバルトブルーなど)、緑色系顔料(クロムグリーン、コバルト-亜鉛-ニッケル-チタン複合酸化物、コバルト-アルミニウム-クロム複合酸化物など)、赤色系顔料(ベンガラなど)、黄色系(チタンイエロー、チタン-バリウム-ニッケル複合酸化物、チタン-アンチモン-ニッケル複合酸化物、チタン-アンチモン-クロム複合酸化物など)、白色系顔料(チタン白、酸化亜鉛など)などが挙げられる。これらの耐熱性顔料は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの耐熱性顔料は、目的の色に応じて選択されるが、黒色耐熱性顔料(例えば、銅-クロム-マンガン複合酸化物などの複合酸化物ブラックなど)が汎用される。
耐熱性顔料の形状としては、例えば、略球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、分散性や色調などの点から、等方形状(略球状など)が好ましい。
耐熱性顔料の平均粒径は、例えば0.1~10μm、好ましくは0.2~5μm、さらに好ましくは0.3~4μm(特に0.5~3μm)程度である。耐熱性顔料の粒径が小さすぎると、均一な分散が困難となり、発色性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、塗布性が低下したり、発色性が低下する虞がある。
セラミックカラーペースト中の耐熱性顔料の割合は、例えば5~50質量%、好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは15~30質量%(特に18~25質量%)程度である。耐熱性顔料の割合は、ガラスフリット100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは10~60質量部、さらに好ましくは20~50質量部(特に30~45質量部)程度である。耐熱性顔料の割合が多すぎると、セラミックカラー膜の強度が低下する虞があり、逆に少なすぎると、発色性が低下する虞がある。
(ガラスフィラー)
ガラスフィラー(耐熱性ガラス粉または粒子)は、セラミックカラーの膜を形成するとともに成形時の型離れ性を向上させるために配合され、成形温度で軟化しないガラスフィラーであればよい。本発明では、成形温度(曲げ成形の加熱温度)、特にプレス成形のプレス温度で軟化(溶融)しないガラスフィラーを充填剤として配合することにより、溶融したセラミックカラーの流れを抑制でき、プレスの際にプレス型(成形ダイ)の表面繊維と溶融したセラミックカラーとの接触面積が減少し、型離れ性が向上すると推定できる。
さらに、本発明では、ガラスフィラーの粒径を後述する範囲に調整することにより、さらにプレス成形での型離れ性を向上できる。これに対して、特許文献1では、耐熱性径大粒子を乾燥塗膜の厚みよりも大きくすることにより、成形時の型離れ性を向上させているが、特許文献1における径大粒子は合わせガラスにおいて特に有効である。すなわち、合わせガラスの曲げ成形の場合、セラミックカラーと接触する面は平面(ガラス面)であるため、径大粒子が膜厚よりも大きく膜から突出すると、粒子はスペーサーとして働き、ガラス面とセラミックカラーが触れないことで型離れ性が発現する。膜厚よりも小さい粒子の場合は、重ねたガラスに押されて膜の内部に粒子が入り込み、表面のセラミックカラーとガラスが接触するため型離れ性が低下する。そのため、合わせガラスの曲げ成形では、セラミックカラーを印刷したガラスに対面ガラスを重ねた状態で加熱炉に入れるため、径大粒子は乾燥膜の状態で膜から突出していることが必要となる。
これに対して、本発明では、合わせガラスよりも、プレス成形での型離れ性に特に適している。プレス成形の場合はセラミックカラーを印刷したガラスを加熱保持した後にプレスするため、合わせガラスのように乾燥膜の状態でガラスフィラーが膜から突出する必要性は低い。さらに、プレス成形では、セラミックカラーと接触するプレス面はステンレスクロスなどの耐熱布で覆われており、例えば、ステンレスクロスのニット編みでは、厚み方向にクッション性、織り目に凹凸を有しているため、粒子が中途半端に大きいと、繊維が粒子間の隙間に入り込んでセラミックカラーと密着する。そのため、プレス成形では、粒子とプレス型との接触面が多い方が型離れ性を向上でき、ガラスフィラーが特許文献1の径大粒子よりも小粒径であっても型離れ性を向上できる。その理由は、小粒子のガラスフィラーは膜中に存在する個数が多いため、粒子間の距離は短くなり、全体に均一に存在する充填剤として働き(ガラスフィラーの表面積が多くなり)、繊維とガラスビーズとの接触面が多くなるためであると推定できる。
ガラスフィラーの形状としては、例えば、略球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、繊維状、不定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、等方形状(略球状、正方体状など)の粒状、繊維状が汎用され、プレス型の表面(プレス面)との接触面積が小さい点から、略球状が特に好ましい。ガラスフィラーは、一次粒子(独立した一体型の粒子または単層の粒子)が好ましいが、安定して存在できれば、小粒子が凝集した二次粒子であってもよい。
ガラスフィラーは、前述のように、成形時の型離れ性を向上できる点から、所定のサイズを有するのが好ましい。
ガラスフィラーが粒状(ガラスビーズ)である場合、粒径範囲(最小粒径から最大粒径までの範囲)は1~50μm程度であってもよく、例えば2~30μm、好ましくは2~20μm、さらに好ましくは2~10μm程度である。特に、粒状ガラスフィラーの粒径範囲が30μm以下(特に15μm以下)であると、シリコーンレジンとの組み合わせによって、成形時の型離れ性とセラミックカラー付きガラスの強度とを両立できる。粒状ガラスフィラーの体積平均粒径は、例えば3~20μm、好ましくは3~15μm、さらに好ましくは4~10μm程度である。粒状ガラスフィラーの粒径が小さすぎると、均一な分散が困難となり、成形時の型離れ性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、プレス成形では、繊維が粒子間の隙間に入り込んでセラミックカラーと密着することにより型離れ性が低下する虞がある。
なお、本明細書および特許請求の範囲では、粒子の粒径範囲および体積平均粒径の測定方法は、特に限定されず、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置などを用いた公知の測定方法を使用できる。
ガラスフィラーが繊維状(ガラスファイバー)である場合、繊維径範囲(最小繊維径から最大繊維径の範囲)は5~30μm程度であってもよく、例えば10~30μm、好ましくは10~25μm、さらに好ましくは10~20μm程度である。繊維状ガラスフィラーの平均繊維径は、例えば5~20μm、好ましくは8~18μm、さらに好ましくは10~15μm程度である。繊維状ガラスフィラーの繊維径が小さすぎると、均一な分散が困難となり、成形時の型離れ性が低下する虞があり、逆に大きすぎると、プレス成形では、プレス型の繊維がフィラー間の隙間に入り込んでセラミックカラーと密着することにより型離れ性が低下する虞がある。
繊維状ガラスフィラーの繊維長範囲(最小繊維長から最大繊維長の範囲)は10~100μm程度であってもよく、例えば10~50μm、好ましくは15~45μm、さらに好ましくは20~40μm程度である。繊維状ガラスフィラーの平均繊維長は、例えば10~50μm、好ましくは15~45μm、さらに好ましくは20~40μm程度である。繊維状ガラスフィラーの繊維長がこの範囲にない場合は、均一な分散が困難となり、成形時の型離れ性が低下する虞がある。
なお、本明細書および特許請求の範囲では、繊維の繊維径または繊維長範囲および平均繊維径または繊維長の測定方法は、特に限定されず、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて繊維断面、繊維長を観察する方法などの公知の測定方法を使用できる。
ガラスフィラーの軟化点(または融点)は、成形温度(曲げ成形の加熱温度、特にプレス温度)よりも高ければよく、例えば600℃以上(例えば600~2000℃程度)の範囲から選択でき、プレス成形のプレス温度よりも高いのが好ましく、例えば650~1800℃、好ましくは700~1500℃、さらに好ましくは750~1200℃(特に800~1000℃)程度であってもよい。軟化点が低すぎると、型離れ性が低下する虞がある。
ガラスフィラーを構成するガラスとしては、例えば、ソーダガラス(ソーダ石灰ガラスまたはソーダライムシリカガラス)、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなどが挙げられる。これらのガラスは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなどが好ましい。
ガラスフィラーの割合は、前記ガラスフリットおよび前記耐熱性顔料の総量100質量部に対して、例えば10~30質量部、好ましくは12~26質量部、さらに好ましくは15~25質量部(特に20~24質量部)程度である。特に、ガラスフィラーの割合を前記総量100質量部に対して20~25質量部程度に調整し、サイズを前記範囲に調整すると、各種特性をバランス良く向上できる。ガラスフィラーの割合が少なすぎると、成形時の型離れ性が低下する虞があり、逆に多すぎると、透過率などの外観や焼結性が低下する虞がある。
(シリコーン系レジン)
本発明では、ガラスフリット、耐熱性顔料およびガラスフィラーに対して、シリコーン系レジン(シリコーン系樹脂)を組み合わせることにより、セラミックカラーによるガラス強度の低下を抑制できる。ガラス強度の低下を抑制できるメカニズムの詳細は不明であるが、シリコーンは他の有機化合物に比べて耐熱性があり、熱分解温度が高く、黒セラなどのセラミックカラーの焼付け、ガラスの成形温度付近においても分解途中であるため、セラミックカラーに配合すると、膜中にポーラスが発生して表面圧縮応力が緩和され、ガラス強度が向上すると推定できる。
シリコーン系レジンは、ポリオルガノシロキサン骨格を有する熱可塑性樹脂、硬化性樹脂(未架橋樹脂)または硬化樹脂(架橋樹脂)であればよい。ポリオルガノシロキサン骨格は、Si-O結合(シロキサン結合)を有する直鎖状、分岐鎖状または網目状の化合物であって、式:RSiO(4-a)/2(式中、Rは置換基を示し、係数aは0~3の数である)で表される単位で構成されている。シリコーン系レジンとしては、前記式で表される各単位である単官能性のM単位(一般的にRSiO1/2で表される単位)、二官能性のD単位(一般的にRSiO2/2で表される単位)、三官能性のT単位(一般的にRSiO3/2で表される単位)、四官能性のQ単位(一般的にSiO4/2で表される単位)のうち、通常、T単位を主単位として含むポリオルガノシロキサンが使用される。
前記式において、置換基Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのC1-10アルキル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン化C1-10アルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基などのC2-10アルケニル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのC6-20アリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC3-10シクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基などのC6-12アリール-C1-4アルキル基などが挙げられる。これらの置換基は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、Rとしては、メチル基、プロピル基などのC1-4アルキル基、フェニル基、ナフチル基などのC6-10アリール基が好ましく、C1-3アルキル基、C6-8アリール基がさらに好ましく、メチル基、フェニル基が最も好ましい。さらに、Rとしては、単独で使用するよりも、セラミックカラー付きガラスの強度、色調などの外観性および型離れ性を同時に向上できる点から、二種以上組み合わせて使用する方が好ましく、C1-4アルキル基とC6-10アリール基が好ましく、C1-3アルキル基とC6-8アリール基との組み合わせがさらに好ましく、メチル基とフェニル基との組み合わせが最も好ましい。
1-4アルキル基とC6-10アリール基とを組み合わせる場合、両者のモル比は、C1-4アルキル基/C6-10アリール基=10/1~1/30程度の範囲から選択でき、例えば5/1~1/20、好ましくは1/1~1/10、さらに好ましくは1/1.5~1/5、より好ましくは1/2~1/3程度である。
シリコーン系レジンは、ストレートシリコーン系レジンであってもよく、変性シリコーン系レジンであってもよい。変性シリコーン系レジンとしては、例えば、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの他の樹脂で変性されたシリコーン系レジンなどが挙げられる。
具体的に好ましいシリコーン系レジンとしては、置換基Rがメチル基などのC1-4アルキル基であるC1-4アルキル系シリコーンレジン(例えば、メチル系シリコーンレジンなどのC1-3アルキル系シリコーンレジンなど)、置換基Rがフェニル基などのC6-10アリール基である6-10アリール系シリコーンレジン(例えば、フェニル系シリコーンレジンなどのC6-8アリール系シリコーンレジン)、置換基RがC1-4アルキル基とC6-10アリール基との組み合わせであるC1-4アルキルC6-10アリール系シリコーンレジン(例えば、メチルフェニル系シリコーンレジン、プロピルフェニル系シリコーンレジンなどのC1-3アルキルC6-8アリール系シリコーンレジンなど)などが挙げられる。これらのシリコーン系レジンは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、色調などの外観性を向上できる点から、C1-4アルキルC6-10アリール系シリコーンレジンなどのアルキルアリール系シリコーンレジンが好ましく、前記外観性とガラス強度とを両立できる点から、メチルフェニル系シリコーンレジンなどのC1-2アルキルC6-8アリール系シリコーレジンが特に好ましい。
シリコーン系レジンの分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)において、例えば500~5000、好ましくは1000~4000、さらに好ましくは1500~3500(特に2000~3000)、より好ましくは1500~2500程度である。
シリコーン系レジンは、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、空気雰囲気下、昇温速度20℃/分で40℃から750℃まで昇温するという条件で分解温度を測定したときの熱分解終了温度は、例えば450~800℃(特に550~800℃)程度の範囲から選択でき、例えば500~780℃、好ましくは550~760℃(例えば600~750℃)、さらに好ましくは650~740℃(特に700~730℃)程度である。熱分解終了温度が低すぎると、ポーラス効果が低減するためか、ガラス強度が低下する虞があり、熱分解終了温度が高すぎると、シリコーン系レジンが残存してセラミックカラー膜の性能が低下する虞がある。
シリコーン系レジンは、前記条件で分解温度を測定したときの残渣(熱分解終了温度での残渣)は、例えば30~90質量%程度の範囲から選択でき、例えば35~85質量%、好ましくは38~80質量%(例えば40~70質量%)、さらに好ましくは45~60質量%(特に46~55質量%)程度であってもよい。残渣が多すぎると、セラミックカラー膜の性能が低下する虞があり、残渣が少なすぎると、シリコーン系レジンの効果が低くガラス強度が低下する虞がある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、熱分解終了温度および残渣は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、空気雰囲気下、昇温速度20℃/分で40℃から750℃まで昇温するという条件で熱分解することにより測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明では、ガラス強度および外観特性を両立できる点から、シリコーン系レジンが前記熱分解終了温度550℃以上(例えば550~800℃)のシリコーン系レジンを含むのが好ましく、前記分解温度600~775℃(例えば650~750℃)のシリコーン系レジンを含むのがさらに好ましく、前記分解温度675~740℃のシリコーン系レジンを含むのが特に好ましい。また、前記分解温度700~730℃および前記残渣45~55質量%のシリコーン系レジンを含むのが最も好ましい。また、同様の理由から、シリコーン系レジンは、ブチルカルビトールアセテートなどの有機溶媒に溶解可能なシリコーン系レジンを含むのが好ましい。さらに、同様の理由から、シリコーン系レジンは、熱可塑性樹脂または未架橋樹脂(硬化性樹脂)を含むのが好ましい。そのため、熱分解終了温度550℃以上のシリコーン系レジンは、ブチルカルビトールアセテートなどの有機溶媒に溶解可能な熱可塑性樹脂または未架橋樹脂であってもよい。
シリコーン系レジンは、熱分解終了温度550℃以上のシリコーン系レジンと、熱分解終了温度550℃未満(例えば450~530℃)のシリコーン系レジンとを組み合わせてもよい。熱分解終了温度550℃未満のシリコーン系レジンは、ブチルカルビトールアセテートに不溶な架橋樹脂であってもよい。熱分解終了温度550℃未満のシリコーン系レジンの割合は、熱分解終了温度550℃以上のシリコーン系レジン100質量部に対して100質量部以下であってもよく、例えば1~50質量部、好ましくは3~30質量部、さらに好ましくは5~20質量部程度である。
熱分解終了温度550℃以上のシリコーン系レジンの割合は、シリコーン系レジン全体に対して50質量%以上であればよく、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。熱分解終了温度550℃以上のシリコーン系レジンの割合が少なすぎると、ガラス強度および外観特性を両立させるのが困難となる虞がある。
シリコーン系レジンの状態は、特に限定されないが、常温で固体であってもよい。固体状のシリコーン系レジンの形態も、特に限定されず、パウダー状、フレーク状、球状、繊維状、不定形状などであってもよい。
シリコーン系レジンの割合は、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して0.1~50質量部程度の範囲から選択でき、例えば0.5~30質量部、好ましくは1~20質量部(例えば2~15質量部)、さらに好ましくは3~10質量部(特に5~8質量部)程度である。特に、焼結性および色調や透過率などの外観性を維持しつつ、成形時の型離れ性も向上でき、かつガラス強度も向上できる点から、シリコーン系レジンの割合は、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して3.5質量部以上であってもよく、例えば3.5~10質量部、好ましくは4~9質量部、さらに好ましくは4.5~8質量部、より好ましくは5~7質量部(特に5.5~6.5質量部)程度である。シリコーン系レジンの割合が少なすぎると、ガラス強度を向上させる効果が低下し、逆に多すぎると、反りが発生したり、焼結性が低下するなど、セラミックカラーの性能が低下したり、色調などの外観性が低下する虞がある。
(ビヒクル)
本発明のセラミックカラーペーストは、セラミックカラー組成物をペースト化し、スクリーン印刷などの塗布工程に適用し易くするために、ビヒクルをさらに含んでいてもよい。
ビヒクルは、セラミックカラーペーストのビヒクルとして利用される慣用のビヒクル、例えば、分散媒および/またはバインダーであってもよい。ビヒクルは、分散媒およびバインダーの一方でいずれかであってもよいが、シリコーン系レジンが熱可塑性または未架橋シリコーン系レジンを含む場合、予め熱可塑性または未架橋シリコーン系レジンを溶解させてペースト中に均一に分散し易い点から、少なくとも分散媒を含むのが好ましく、通常、分散媒とバインダーとの組み合わせである。
分散媒としては、例えば、脂肪族アルコール(例えば、2-エチル-1-ヘキサノール、オクタノール、デカノールなどの飽和または不飽和C6-30脂肪族アルコールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのC1-4アルキルセロソルブ類など)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのC1-4アルキルセロソルブアセテート類)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトールなどのC1-4アルキルカルビトール類など)、カルビトールアセテート類(エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどのC1-4アルキルセロソルブアセテート類)、脂肪族多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)、脂環族アルコール類[例えば、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類;テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類(例えば、モノテルペンアルコールなど)など]、芳香族カルボン酸エステル類(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどのフタル酸ジC1-10アルキルエステル、ジブチルベンジルフタレートなどのフタル酸ジC1-10アルキルアラルキルエステルなど)などが汎用される。これらの分散媒は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
分散媒は、常温での揮発性が低く、かつガラスフリットを溶融せずに容易に揮発可能であればよく、分散媒の沸点は、例えば50~250℃、好ましくは70~220℃、さらに好ましくは80~200℃程度である。
これらの分散媒のうち、適度な沸点を有し、ペーストの流動性や印刷性も向上できる点から、テルピネオールなどの脂環族アルコール、ブチルカルビトールアセテートなどのC1-4アルキルセロソルブアセテート類、ジブチルフタレートなどのフタル酸ジC1-10アルキルエステルなどが特に好ましい。
バインダーには、有機バインダーおよび無機バインダーが含まれる。
有機バインダーとしては、例えば、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体など)、熱硬化性樹脂(熱硬化性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂など)などが挙げられる。これらの有機バインダーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
無機バインダーとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾルなどが挙げられる。無機バインダーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのバインダーのうち、有機バインダー(例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アルキルセルロース、フェノール樹脂など)が汎用され、熱分解性などの点から、エチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロースが好ましい。
バインダーの熱分解温度は、例えば200~550℃、好ましくは220~500℃、さらに好ましくは250~480℃程度である。
ビヒクルの割合は、目的の粘度が得られ、印刷性(塗布性)を向上させる点から、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して1~100質量部程度の範囲から選択でき、例えば5~80質量部、好ましくは10~50質量部、さらに好ましくは20~40質量部(特に25~35質量部)程度である。ビヒクルの割合が多すぎると、所定の厚みを有する塗膜の調製が困難となり、少なすぎると、ビヒクルによる改善効果が低下する虞がある。
ビヒクルが分散媒とバインダーとの組み合わせで形成されている場合、分散媒の割合は、バインダー100質量部に対して、例えば100~10000質量部、好ましくは200~5000質量部、さらに好ましくは300~2000質量部(特に500~1500質量部)程度である。
(他の添加剤)
セラミックカラーペーストには、用途に応じて、慣用の添加剤、例えば、無機フィラー(グラファイト、炭化ケイ素、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、石英粉末、ハイドロタルサイト、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸塩、各種金属粉や金属箔など)、色相改良剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤または分散剤(リン酸エステル系界面活性剤などのアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤など)、分散安定化剤、増粘剤または粘度調整剤、保湿剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などが含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤の割合は、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して、それぞれ1~100質量部程度の範囲から選択でき、種類に応じて適宜選択できるが、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.3~5質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部程度である。
(セラミックカラーペーストの調製方法)
セラミックカラーペーストの調製方法としては、各成分を均一に分散させるため、慣用の混合機を用いて混合する方法などを利用でき、粉砕機能を有する装置(例えば、3本ロール、乳鉢、ミルなど)を使用してもよい。シリコーン系レジンとして熱可塑性または未架橋シリコーン系レジンを使用する場合、ペースト中での分散性を向上させるために、予めシリコーン系レジンを分散媒に溶解させた後に他の成分と混合してもよい。
[セラミックカラー付きガラスおよびその製造方法]
本発明のセラミックカラー付きガラスは、ガラス基板と、このガラス基板の少なくとも一方の面において、少なくとも一部の領域に積層され、かつ前記セラミックカラーで形成されたセラミックカラー膜とを備えている。
ガラス基板を構成するガラスとしては、例えば、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラス、強化ガラスなどが挙げられる。これらのガラスのうち、ソーダガラスなどのアルカリガラス、強化ガラスが汎用される。
ガラス基板の表面は、酸化処理[表面酸化処理、例えば、放電処理(コロナ放電処理、グロー放電など)、酸処理(クロム酸処理など)、紫外線照射処理、焔処理など]、表面凹凸処理(溶剤処理、サンドブラスト処理など)などの表面処理がされていてもよい。
ガラス基板の厚みは、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば0.01~50mm、好ましくは0.1~30mm、さらに好ましくは0.5~10mm(特に1~5mm)程度であってもよい。
セラミックカラー中のシリコーン系レジン残渣(シリコーン系レジン由来の成分)の体積割合は50体積%以下であってもよく、例えば0.1~30体積%、好ましくは0.5~20体積%(例えば1~10体積%)、さらに好ましくは2~8体積%(特に3~7体積%)程度である。シリコーン系レジン残渣の割合が少なすぎると、ガラス強度が低下する虞があり、逆に多すぎると、反りが発生したり、色調や焼結性が低下する虞がある。
セラミックカラー膜(焼成膜)の平均厚みは、用途に応じて選択できるが、例えば1~80μm、好ましくは5~40μm、さらに好ましくは8~25μm(特に10~18μm)程度である。
本発明のセラミックカラー付きガラスは、ガラス板の少なくとも一方の面において、少なくとも一部の領域に、前記セラミックカラーペーストを積層する積層工程、得られた積層体を前記ガラス板の軟化点以上の温度で加熱して曲げ成形すると同時に、前記セラミックカラーペーストの焼成を行う曲げ成形工程とを含む製造方法により得られる。
前記積層工程では、セラミックカラーペーストは、ガラス基板の少なくとも一方の面において、全面に亘って積層してもよいが、一部の領域に積層してもよく、例えば、自動車用ガラスでは、通常、周縁部(四周の端部近傍)に積層される。
セラミックカラーペーストの積層方法は、通常、塗布による積層方法が利用される。セラミックカラーペーストの塗布方法(または印刷方法)としては、例えば、フローコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、キャスト法、バーコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、スリット法、フォトリソグラフィ法、インクジェット法などを挙げることができる。これらのうち、スクリーン印刷法が好ましい。また、印刷は、単層印刷であってもよく、多層印刷であってもよい。
前記積層工程では、セラミックカラーペーストが分散媒を含む場合、塗布したセラミックカラーペーストは乾燥されて乾燥塗膜を形成する。乾燥は自然乾燥であってもよいが、加熱して乾燥するのが好ましい。加熱温度は、分散媒の種類に応じて選択でき、例えば50~250℃、好ましくは80~200℃、さらに好ましくは100~180℃(特に120~160℃)程度である。加熱時間は、例えば1分~3時間、好ましくは3分~1時間、さらに好ましくは5~30分程度である。
乾燥塗膜の平均厚み(塗膜表面において、ガラスフィラーで形成された凸部を除く領域での平均厚み)は、用途に応じて選択できるが、例えば1~100μm、好ましくは5~50μm、さらに好ましくは10~30μm(特に12~20μm)程度である。
前記曲げ成形工程では、生産性などの点から、通常、加熱により積層体を曲げ成形すると同時に焼成するが、曲げ成形条件によっては、セラミックカラーペーストの予備焼成を行ってもよい。
積層体の曲げ成形方法としては、慣用の曲げ成形法を利用でき、プレス型を用いた成形方法では、通常、耐熱性繊維(例えば、金属繊維やガラス繊維など)で形成された布帛でプレス面(接触面)が被覆されたプレス型を利用して曲げ成形される。
曲げ成形では、慣用の熱処理を伴う曲げ成形方法を利用して、ガラス基板に対して、所定の曲率を付与する。曲げ成形方法としては、例えば、自重曲げ工法、プレス型(例えば、前記布帛で接触面が被覆された金属製のプレス型)を用いたプレス法などが挙げられる。
焼成工程において、焼成のための加熱温度は、ガラスフリットの軟化点以上の温度であればよいが、焼成工程において、積層体の曲げ成形も同時に行う場合は、ガラス基板の軟化点以上の温度で加熱する必要があり、例えば580~780℃、好ましくは600~750℃、さらに好ましくは620~720℃(特に640~700℃)程度である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1~32、比較例1~7および参考例1~4
[使用材料]
用いた材料の詳細や特性について表1に示す。
Figure 0007157029000001
表1におけるシリコーンレジンの特性である熱分解終了温度および残渣の測定方法は、以下の通りである。
シリコーンレジンの熱分解終了温度および残渣は、熱重量示差熱分析装置(エスアイアイナノテクノロジー(株)製「TG/DTA6200」)を用いて、空気雰囲気下、昇温速度20℃/分で40℃から750℃まで昇温し、熱分解が終了する温度とそのときの残渣量(質量%)を測定した。
[セラミックカラーペーストの調製]
実施例1~32では、ガラスフリット70質量部、耐熱性顔料30質量部、ビヒクル20質量部、シリコーンレジン 3~12質量部、ブチルカルビトールアセテート5質量部を撹拌混合装置によって混合した後、3本ロールによる均質分散を行い、ベースとなるセラミックカラーペースト(参考例1のセラミックカラーペースト)を調製した。なお、シリコーンレジンは、分散し易いように、予め分散媒に溶解した後、撹拌混合装置に添加した。また、比較例2~7では、シリコーンレジンを配合することなく、実施例1~32と同様の成分を均質分散して、ベースとなるセラミックカラーペースト(比較例1のセラミックカラーペースト)を調製した。
得られたセラミックカラーペースト(参考例1または比較例1のセラミックカラーペースト)に、表2~4に示す粒子またはシリカと、リン酸エステル系分散剤2質量部とを添加し、撹拌混合装置により充分混合分散し、粒子およびシリカを含む実施例1~32、参考例2~4および比較例2~7のセラミックカラーペーストを得た。
[セラミックカラーペーストの積層]
得られたセラミックカラーペーストを、ポリエステル製スクリーン版(180メッシュ)を用いて、100mm×100mm×2mm厚のガラス板(ソーダガラス)上の90mm×90mmの部分にベタ状に印刷し、150℃で10分間乾燥した。触針式膜厚計を用いて乾燥膜の平均厚みを測定したところ、20μmであった。
[プレス成形での型離れ性の評価]
加熱炉内に載置され、かつその型面がステンレスクロス(ベカルト社製「KN/C1(316L)」)によって被覆されたプレス型の下方に、セラミックカラーを印刷、乾燥したガラス板を載置し、700℃に4分間保持後、プレスし、前記ガラス板を湾曲形状とした。焼成膜(セラミックカラー膜)の平均厚みを触針式膜厚計を用いて測定したところ、15μmであった。この湾曲形状ガラス板のプレス型(前記ステンレスクロスで形成された被覆面)からガラス板が剥れる時の力の具合を下記の4段階の基準で評価し、◎、○を合格とした。
◎:ほんの少しの力でガラスが取れる(良好)
○:少しの力でガラスが取れる(良好)
△:力を要する
×:かなりの力を要する(型離れ性が極めて低い)。
[焼成したガラス板の評価]
1.強度
セラミックカラーを型離れ性の評価と同様に印刷、乾燥し、640℃設定で焼成して得られたセラミックカラー付きガラス板(サンプル)のガラス面側から、オートグラフ((株)島津製作所製「AGX-5kN」)を用いて、リングオンリング曲げ試験を実施し、ガラス破壊時の強度を測定した。詳しくは、図1に示すように、サンプル1の非印刷面(ガラス面)に0.5mm/minの速度で先端が曲率半径R3.2mmの治具2で負荷をかけ、ガラスが破損する際の強度を測定した。負荷をかけるリング(上リング)3は外径φ12mmであり、ガラス素地を支えるリング(下リング)4は内径φ76mmである。評価数は、n=10として、平均値を求めた。なお、強度は、比較例1の強度を1.00としたときの強度比で示した。
2.焼結性
セラミックカラーを型離れ性の評価と同様に印刷、乾燥し、640℃設定で焼成した焼成膜(厚み15μm)の膜上に油性インキ(マジックインキ)で線を引き、ガラス面側(非印刷面)から目視でマジックインキが染込んでいるか否かを確認し、以下の基準で評価した。
○:マジックインキが染込んでいない
×:マジックインキが染込んでいる。
3.色調評価方法
セラミックカラーを型離れ性の評価と同様に印刷、乾燥し、640℃設定で焼成した焼成膜(厚み15μm)を、ガラス面側(非印刷面)から測色色差計(日本電色工業(株)製「ZE-2000」)を用いて、ガラス面側からLabを測定し、L値を比較した。L値が小さいほど黒くて良好な色調を示し、大きくなると灰色になる。
4.透過率評価方法
セラミックカラーを型離れ性の評価と同様に印刷、乾燥し、640℃設定で焼成した焼成膜(厚み15μm)を、ガラス面側(非印刷面)から測色色差計(日本電色工業(株)製「ZE-2000」)で透過率を測定した。
5.乾燥硬度
150℃での乾燥しサンプルの乾燥膜(セラミックカラー膜)について、JIS K5600-5-4に基づいて、引っかき硬度(鉛筆法)を測定した。
評価結果を表2~4に示す。
Figure 0007157029000002
Figure 0007157029000003
Figure 0007157029000004
表2~4の実施例1~20の結果から明らかなように、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の合計100質量部に対して粒子1(粒径範囲2~10μm、ガラスビーズ)を10質量部添加した場合に型離れ性は向上し(実施例3)、15質量部以上添加したとき、特に型離れ性は優れていた。23質量部までの添加ではその他の性能も満たしていたが(実施例4、5)、27質量部以上になると、焼結性、隠蔽性(透過率)が低下した(実施例6)。粒子2(粒径範囲10~20μm、ガラスビーズ)を加えた場合にも同様の結果が得られたが、粒子1の場合よりも透過率が大きくなった。粒子3(粒径範囲20~30μm、ガラスビーズ)を加えた場合、粒子1、2と同様に10質量部以上で型離れ性は向上したが、15質量部の添加では変化はなく、23質量部添加したときにさらに型離れ性は向上した。粒子4(43~53μm、ガラスビーズ)を15質量部加えた場合、型離れ性は向上せず、透過率が高くなった。強度(強度比)については、ガラスビーズの添加量が多くなるにつれて向上したが、粒径が大きくなるほど、強度が低下する傾向が見られた。
膜厚よりもかなり大きい粒子5(粒径範囲53~63μm、ガラスビーズ)を加えたとき(実施例19)、スペーサー効果により7質量部の添加量でも型離れ性効果が現れたと考えられるが、ガラスビーズが透けて見え、外観異常となった。
これらの結果より、強度および型離れ性効果は、ガラスビーズの粒径が小さい方が高く、焼結性や色調、隠蔽性は、ガラスビーズの添加量が多くなると低下した。また、粒径が大きくなると、型離れ効果は得られても、強度は低下して透過率が上昇し、膜厚よりもかなり大きいガラスビーズを加えた場合には目視でガラスビーズの粒の透けや、凝集が確認され、外観不良となった。
実施例21~27で用いた粒子6のガラスファイバーは、繊維径10μmのガラス長繊維を10~50μmの長さに粉砕したミルドファイバーであるが、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の合計100質量部に対して3~15質量部の添加では粒子1と型離れ性は同等であったが、隠蔽性(透過率)、色調はガラスビーズの方が若干優れていた。粒子6を27質量部添加した場合(実施例26)、粒子1よりも焼結性は優れていたが、透過率が上昇した。強度については、ガラスビーズと同様に、ガラスファイバーの添加量の増加に伴って向上した。
ガラスフリットおよび耐熱性顔料の合計100重量部に対して、粒子1を15質量部添加し、シリコーンレジンを変量した実施例4、28~29および比較例2の結果から明らかなように、シリコーンレジンの割合は、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の合計100重量部に対して3~12質量部の範囲で良好であり、実施例4が最も諸特性のバランスに優れていた。詳しくは、シリコーンレジンを含まない場合(比較例2)に比べて、シリコーンレジンを3質量部添加したときは物性に変化はほとんど見られなかったが(実施例28)、シリコーンレジンを6質量部添加すると、型離れ性、強度が向上した(実施例4)。シリコーンレジンを12質量部添加すると、さらに強度は向上したが、焼結性、色調は低下した(実施例29)。
ガラスフリットおよび耐熱性顔料の合計100重量部に対して、粒子1を15質量部添加し、焼成膜中のシリコーン残渣量が実施例4のシリコーンレジン1(メチルフェニル系)と同量になるように、シリコーンレジン2(メチル系)、3(フェニル系)、4(プロピルフェニル系)を加えた実施例30~32の結果から明らかなように、型離れ性、焼結性はシリコーンの種類によって差は見られなかった。但し、メチル系、フェニル系シリコーンレジンを添加した場合は、アルキルフェニル系に比べて色調が低下した。強度比は、メチルフェニル系が優れており、総合的にメチルフェニル系シリコーンレジンが優れていた。
参考例2では、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の合計100質量部に対して、平均粒径1.4μmのシリカを15質量部添加すると、インクが増粘し、印刷不能となった。なお、シリカは、粉末、球状に拘わらず、型離れ性、強度向上効果は得られなかった(参考例2~4)。
参考例1、比較例1の乾燥硬度から、シリコーンレジンが入ることで乾燥硬度が上がることが分かる。ガラスフィラー入りの膜は、表面のガラスフィラーの凹凸に鉛筆が引っかかり、乾燥硬度は測定不能であるが、ベースとなるセラミックペーストの乾燥硬度が硬い方が、ガラスフィラーが乾燥膜中で強固に固定されるため、ガラスを取り扱う際にガラスフィラーが動いて傷が入り不良品となることを防止できる。そのため、シリコーンレジンを含まない比較例2~7は乾燥膜の強度が不足しているため、不良品が発生し易い。
強度については、比較例の結果から明らかなように、ガラスフィラーを含み、シリコーンレジンを含まない場合、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の合計100質量部に対して粒子1、2、3(粒径30μm以下ガラスビーズ)および粒子6(φ10μmガラスファイバー)を15質量部添加した場合に強度は若干向上したが(比較例2~4、7)、粒子4、5(粒径45μm以上ガラスビーズ)を含む場合は強度が低下した(比較例5、6)。また、実施例1~20と同様に、ガラスビーズの粒径は小さい方が強度は向上した。なお、ガラスフィラーを含まず、シリコーンレジンを含む場合、型離れ性は得られないが、強度、乾燥膜硬さが向上した(参考例1)。
すなわち、ガラスフィラーとシリコーンレジンとを併用した場合(実施例1~32)、比較例のシリコーンレジンを含まない場合と同様に、粒子1、2、3(粒径30μm以下ガラスビーズ)および粒子6(φ10μmガラスファイバー)を添加した場合、強度は向上し、粒子4、5(粒径45μm以上ガラスビーズ)を添加した場合、強度は低下したが、いずれもシリコーンレジンを含まない場合よりも強度は向上していた(実施例4、9、14、18、24と比較例2~5および7との比較)。また、粒子1、2(粒径20μm以下ガラスビーズ)および粒子6(φ10μmガラスファイバー)では型離れ性もシリコーンレジンの添加によって向上した。これらの結果より、粒径30μm以下のガラスビーズまたはガラスファイバーとシリコーンレジンとを併用することで、型離れ性と強度比を同時に向上できることが分かった。
これらの結果を総合すると、ガラスフィラーの添加量は多くなるほど型離れ性、強度が向上する傾向であったが、27質量部を超えると焼結性、色調、隠蔽性が低下する傾向があり、これらの諸特性のバランスに優れる点から、実施例5がベストモードであるといえる。
本発明は、各種のガラス基板のセラミックカラーを形成するためのペーストとして利用でき、曲げ形状を有するセラミックカラー付きガラスにも利用できる。セラミックカラー付きガラスとしては、例えば、列車、車、飛行機、飛行船、船などの車両または輸送機の窓ガラスや、建築物の防犯ガラスなどに利用でき、特に、自動車用窓ガラス(フロントガラス、リアガラス、サイドガラスなど)などに有用である。
1…サンプル
2…治具
3…上リング
4…下リング

Claims (10)

  1. 360~650℃の軟化点を有するガラスフリット、耐熱性顔料、650~1800℃の軟化点を有するガラスフィラーおよびシリコーン系レジンを含むセラミックカラーペーストであって、
    ガラスフィラーの軟化点がガラスフリットの軟化点よりも高く、
    ガラスフィラーが、粒径範囲2~30μmのガラスビーズおよび/または繊維径範囲10~30μm、繊維長範囲10~50μmのガラスファイバーであり、
    ガラスビーズの割合が、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して、10~23質量部であり、ガラスファイバーの割合が、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して、10~27質量部であり、
    シリコーン系レジンの割合が、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して、3~10質量部であるセラミックカラーペースト
  2. シリコーン系レジンが、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、空気雰囲気下、昇温速度20℃/分で40℃から750℃まで昇温するという条件で分解温度を測定したとき、熱分解終了温度が550℃以上のシリコーン系レジンを含む請求項1記載のセラミックカラーペースト。
  3. 熱分解終了温度550℃以上のシリコーン系レジンが、熱分解終了温度での残渣が40~70質量%である請求項記載のセラミックカラーペースト。
  4. シリコーン系レジンが、有機溶媒に溶解可能なシリコーン系レジンを含む請求項1~のいずれかに記載のセラミックカラーペースト。
  5. シリコーン系レジンが、C1-4アルキルC6-10アリール系シリコーンレジンを含む請求項1~のいずれかに記載のセラミックカラーペースト。
  6. シリコーン系レジンの割合が、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して、10質量部である請求項1~のいずれかに記載のセラミックカラーペースト。
  7. ガラスフィラーの割合が、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して1023質量部である請求項1~のいずれかに記載のセラミックカラーペースト。
  8. ガラスフィラーが、粒径範囲2~20μmのガラスビーズであり、かつ前記ガラスフィラーの割合が、ガラスフリットおよび耐熱性顔料の総量100質量部に対して20~23質量部である請求項1~のいずれかに記載のセラミックカラーペースト。
  9. ガラスフリットがビスマス系ガラスフリット、シリカ系ガラスフリット、亜鉛系ガラスフリットおよび鉛系ガラスフリットからなる群より選択された少なくとも1種を含む請求項1~のいずれかに記載のセラミックカラーペースト。
  10. ビヒクルをさらに含む請求項1~のいずれかに記載のセラミックカラーペースト。
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