JP7152084B1 - 組織因子経路インヒビターの抗凝固活性の検査試薬、検査試薬セット、および検査方法 - Google Patents

組織因子経路インヒビターの抗凝固活性の検査試薬、検査試薬セット、および検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor、TFPI)活性の検出感度が高い検査方法やその検査方法に用いる検査試薬を提供する。【解決手段】生体試料のTFPIの抗凝固活性を検査するための検査試薬であり、組織因子(TF)、および凝固第VIII因子(FVIII)の阻害物質を含む、第一の混合試薬(TF/FVIII阻害)と、TFPIの阻害物質と、前記TF/FVIII阻害試薬とを含む、第二の混合試薬(TF/FVIII阻害/TFPI阻害)とを、含む、検査試薬。また、前記検査試薬を用いる検査方法。【選択図】図8

Description

本願は、組織因子経路インヒビターの抗凝固活性の検査試薬、検査試薬セット、および検査方法に関する。
血栓形成は、血液が血管内から血管外へ流失するのを防ぐ、いわゆる止血の重要な生体防御機構である。血栓は、血液凝固因子の一つであるトロンビンが、繊維性の血液凝固因子であるフィブリノーゲンをフィブリンに変換するとともに血小板を活性化する事によって形成する。
トロンビンは、血液凝固カスケード反応によって生じる。血液凝固反応は、活性型凝固第VII因子(FVIIa)が組織因子(tissue factor、TF)と複合体を形成して凝固第X因子(FX)を活性化し、活性型のFX(FXa)を作り出すことで開始する。
その後、生成したFXaは活性型の凝固第V因子(FVa)に結合してプロトロンビナーゼ複合体を形成し、最終的にその複合体がプロトロンビンを活性化する事でトロンビンを産生する(非特許文献1)。
しかしながらこのトロンビン産生は、TF-FVIIaに対する特異的なインヒビターである組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor、TFPI)によって抑制される(非特許文献2)。
TFPIは血管内皮細胞、血漿、及び血小板に存在する血液凝固インヒビターであり、そのタンパク質構造の特徴からクニッツ型プロテアーゼインヒビターに分類される。実際に、TFPIは三つのクニッツ(kunitz)ドメインと塩基性アミノ酸に富んだC-末端領域で構成されている。最初のクニッツドメインを介してFVIIaへ、また2番目のクニッツドメインを介してFXaに結合する事で、TFPI-TF-FVIIa-FXaの4量体の複合体を形成し、最終的にTF-FVIIa凝固経路によるトロンビン産生を抑制する(図1)。
3番目のクニッツドメインはプロテアーゼ阻害活性を有していないが、プロテインSと結合することでTFPI活性を増強させる役割を果たす。TFPIはまた、FXaによるFVの活性化を阻害する事でプロトロンビナーゼ複合体の形成を抑制する。
現在、TFPIは、人為的に作成した欠損マウスが、血栓症の一つである汎発性血管内凝固症候群を引き起こして死に至ることから、血栓形成を制御する重要なインヒビターとして位置づけられている(非特許文献3)。
マウスなどのモデル動物を用いた研究において、TFPIの性状や量的な変化が血栓症などの血栓性疾患を引き起こす事が明らかとなった事から、血液あるいは血漿中に存在するTFPIを検査する事で血栓性疾患を診断する試みが行われた。実際、血漿中のTFPI濃度が心筋梗塞などの血栓症患者において有意に上昇することが見出され、血漿TFPIが血栓症の診断マーカーとなりうる可能性が示唆された(非特許文献4)。
特許第6883899号公報
Mann. Thrombin generation in hemorrhage control and vascular occlusion. Circulation. 124: 225-235, 2011 Broze. The rediscovery and isolation of TFPI. J. Thromb. Haemost. 1: 1671-1675, 2003 Dahlback. Novel insights into the regulation of coagulation by factor V isoforms, tissue factor pathway inhibitorα, and protein S. J. Thromb. Haemost. 15: 1241-1250, 2017 Soejima et al. Heightened tissue factor associated with tissue factor pathway inhibitor and prognosis in patients with unstable angina. Circulation. 99: 2908-2913, 1999)
しかし、こうした抗原検査の結果は、TFPIの機能を直接反映しない事から、TFPI検査の臨床的価値を明確にするまでには至らなかった。
TFPIの抗凝固活性を検査する方法に関しては、TFPIがTF-FVIIaによるFXの活性化を阻害するという原理を基に作り出された。この方法においては、TFPIの抗凝固活性は、血漿検体にTF-FVIIa及びFXを添加し一定時間反応させた後、形成するFXa量の低下を指標にして定量する。
一方でこの検査法は、血漿中に存在する妨害成分の影響を消失させる目的で、検体を希釈して検査するという課題を有していた。それは、希釈した検体を用いる場合、その検出感度が低下する事から微量に存在するTFPIの抗凝固活性を正確に測定する事が困難であったからである。従って、TFPIの検査においてより高感度で抗凝固活性を測定できる新たな検査法が求められた。
トロンビン産生試験は、被験検体である血液や血漿にカルシウムを含むトロンビン産生試薬を添加した後、一定時間反応させることで生じるトロンビンを定量する包括的な血液凝固能試験である。この試験はプロトロンビナーゼ複合体がトロンビンを生成させることから、プロトロンビナーゼ複合体の検査法として知られている。
これまでトロンビン産生試験に用いる検査試薬や検査法が数多く検討されてきたが、新世代型の抗血栓治療薬である直接経口抗凝固薬(DOAC)によって引き起こされる出血リスクを評価、判定できる試験は開発されていなかった。本発明者は、トロンビン産生試験に用いる検査試薬と方法を改良することで、DOAC投薬を原因とする止血困難な出血イベントを予測するための高感度トロンビン産生試験を発明した(特許文献1)。この検査はDOAC治療における副作用を低減させたより安全な個別化治療の実現に貢献できると期待されている。
係る状況下、本願は、従来の検査法に比較して、TFPI活性の検出感度が高い検査方法やその検査方法に用いる検査試薬を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
本発明において、高感度トロンビン産生試験の有用性に着目しつつ、血漿中のTFPIの抗凝固活性を検査するための新たな試薬と検査方法の確立を目指して鋭意検討した。その結果、TF試薬、FVIII活性を阻害する物質(例えば抗FVIII抗体)、さらにTFPIの活性を阻害する物質(例えば抗TFPI抗体)を組み合わせた検査試薬と新規のトロンビン産生試験を創出した。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査するための検査試薬セットであり、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む第一の混合試薬と、TFPIの阻害物質、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む第二の混合試薬とを、有する、検査試薬セット。
<2> 前記凝固第VIII因子の阻害物質は、凝固第VIII因子活性を特異的に阻害するタンパク質、オリゴヌクレオチド、化学薬品、及びペプチドからなる群から選択されるいずれかの物質である前記<1>に記載の検査試薬セット。
<3> 前記TFPIの阻害物質は、TFPI活性を特異的に阻害するタンパク質、オリゴヌクレオチド、硫酸化多糖類、化学薬品、及びペプチドからなる群から選択されるいずれかの物質である前記<1>または<2>に記載の検査試薬セット。
<4> 生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査する検査方法であり、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む第一の混合試薬を、被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する第一のトロンビン産生試験工程と、TFPIの阻害物質、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む第二の混合試薬を、被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する第二のトロンビン産生試験工程とを有する、検査方法。
<5> 前記第二のトロンビン産生試験工程によるトロンビン産生量を、前記第一のトロンビン産生試験工程によるトロンビン量産生量との相対比で、前記被験検体中のTFPIの抗凝固活性を表す、前記<4>に記載の検査方法。
<6> TFPIの阻害物質、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む、生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査するための検査試薬。
本発明により、トロンビン産生試験を行うことで、TFPIの抗凝固活性を減弱させる作用を持つFVIII凝固経路を遮断して実施して、従来の検査よりも、TFPI活性を高い感度で検出することができる。
TFPIのトロンビン産生の抑制作用を示す図である。 APTT試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生に対するFVIII阻害物質の影響を示す図である。 TFとFXIaの混合試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生に対するFVIII阻害物質の影響を示す図である。 TFPIによるTF-FVIIa活性の阻害を示す図である。 TFPI阻害物質のTFPI活性への影響を示す図である。 TFPIによるFXa活性阻害に対するTFPI阻害物質の影響を示す図である。 トロンビン産生試験によるTFPI抗凝固活性の検出に対するFVIII阻害物質の影響を示す図である。 トロンビン産生阻害をもとに算出したTFPIの抗凝固活性とTFPI濃度との相関を示す図である。 ヒト健常者血漿中のTFPIの抗凝固活性の個人差を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。また、本願において、濃度の表記について、mol/Lを「M」と、mmol/Lを「mM」と、μmol/Lを「μM」、nmol/Lを「nM」と、pmol/Lを「pM」と、fmol/Lを「fM」と略記する場合がある。
[本発明の検査試薬セット]
本発明の検査薬セットは、生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査するための検査試薬セットであり、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む、第一の混合試薬と、TFPIの阻害物質、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む、第二の混合試薬とを、有する。
[本発明の検査方法]
本発明の検査方法は、生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査する検査方法であり、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む、第一の混合試薬を被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する第一のトロンビン産生試験工程と、TFPIの阻害物質、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む、第二の混合試薬を、被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する第二のトロンビン産生試験工程とを有する。
なお、本願において本発明の検査試薬セットは、本発明の検査方法に利用することができ、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。また、本願において本発明の検査試薬セットのそれぞれの混合試薬を、本発明の検査試薬とすることができる。
本発明を用いたトロンビン産生試験は、TFPIの抗凝固活性を減弱させる作用を持つFVIII凝固経路を遮断して実施する事ができるため、従来の検査法に比較して、TFPI活性の検出感度が高い(後述する実施例の図等参照)。加えて、TFPI活性を阻害する物質(例えば、抗TFPI抗体や硫酸化多糖類)の存在下(つまり、TFPIの欠損と同一条件)の産生量を、阻害物質を含まない条件下のトロンビン産生量と比較し、相対比を算出する事によって、TFPIの抗凝固活性が定量化できるという性能を有している。また、本発明による検査はより簡便で、短時間で結果が得られるという利点を持っている事から、自動分析機器及び迅速検査(Point of Care Test)への応用も可能である。
本検査は、組織因子経路インヒビター(TFPI)の有する凝固阻害活性の量及び質的な変化を評価するための体外血液凝固検査である。実際には、TFPI活性の低下によって起こる血栓性疾患(所謂、心筋梗塞などの血栓症)の発症を予測する検査として、あるいは、TFPI活性の増加を原因として発症した止血困難な出血性疾患(所謂、出血症)患者のスクリーニングを目的として実施することができる。さらに、血友病などの出血性疾患の治療に用いられる抗TFPI阻害薬の投薬後のモニタリングに適用される。
本発明の検査技術は組織因子、FVIII阻害物質、及びTFPI阻害物質を主たる成分として含有する凝固検査試薬とその検査試薬を用いて行う体外凝固検査方法に関するものである。
[組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor、TFPI)]
図1は、TFPIのトロンビン産生の抑制作用を示す図である。TFPIは、前述したように、TF-FVIIa及びFXaの活性を阻害する事によってTF-FVIIa凝固経路によるトロンビンの産生を抑制する。
本発明は、生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査するための検査試薬やそのセット、検査方法である。
[組織因子(tissue factor, TF)]
本発明の検査試薬セットの第一の混合試薬および第二の混合試薬は、組織因子(TF)を含む。第一の混合試薬および/または第二の混合試薬における、TFの濃度は、0.1pMから10pMであることが好ましい。0.1pM未満の場合、血液凝固試験時に、十分な反応が生じずに、トロンビンの量を測定しようとするとき検出下限以下となり、評価ができない場合がある。検査試薬のTFが、10pMを超えても、試験に必要な量を超えて反応が飽和し、過剰となる場合がある。
[凝固第VIII因子(FVIII)の阻害物質]
血液凝固第VIII因子(FVIII)は抗血友病因子と呼ばれる血栓形成に不可欠な血液凝固因子である。FVIIIは活性型の血液凝固第IX因子(FIXa)の酵素活性を高める補酵素として機能している。
活性型のFVIII(FVIIIa)はFIXaに結合し、形成したFVIIIa-FIXaが血液凝固第X因子(FX)の活性化を促進させる事によって、トロンビンの産生を飛躍的に高める。このFVIIIによるトロンビンの産生の増加が、出血の防止に不可欠な安定な血栓形成に寄与する。
本発明の検査試薬セットの第一の混合試薬および第二の混合試薬は、凝固第VIII因子(FVIII)の阻害物質を含む。本発明において、FVIIIの阻害物質は、こうしたFVIIIの活性及び機能を阻害する作用を有するものを指す。例えば、FVIIIの阻害物質は、被験検体中のFVIII活性を特異的に阻害するタンパク質、オリゴヌクレオチド、化学薬品、及びペプチドからなる群から選択されるいずれかの物質とすることができる。これらは、いずれか1つを含めばその効果を奏するが、複数組み合わせて用いてもよい。
FVIIIの阻害物質には、FVIIIに対する中和抗体、あるいは化学薬品などが含まれる。中和抗体には、ヒトあるいは他の動物種の血液から、あるいは遺伝子組換え技術を用いて調製されるFVIIIを免疫原として、マウス、ヤギ、あるいはウサギなどの動物に免疫して得られるモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体が含まれる。
また、FVIIIを先天的及び後天的に欠損する血友病A患者において頻発する出血を防止する目的で、FVIII製剤を投与する補充療法が行われるが、投薬後、約30%程度の患者にFVIII活性を中和する抗体が出現する。こうした中和抗体も本発明で規定するFVIII阻害物質の対象となる。
FVIIIの凝固活性は、体外血液凝固検査法によって調べる事が可能である。代表的な検査として活性化部分トロンボプラスチン時間法(APTT)による検査が知られている。この検査は、APTT検査試薬を血液(実際は血漿)に添加する事によって、FVIIIの凝固活性に応じて血液が凝固する能力を検査する方法であり、血友病A患者のスクリーニング法として広く用いられている。
その他、特許第6883899号公報に記載した検査試薬を用いたFVIII依存性のトロンビン産生試験によっても凝固活性を検査する事が可能である。従って、FVIII阻害物質は、こうした検査においてFVIIIの凝固活性をほぼ完全に、例えば90%以上阻害する物質として規定される。本発明において用いたFVIII阻害物質の性状の解析例を後述の実施例に示す。
[第一の混合試薬(TF/FVIII阻害)]
第一の混合試薬は、TFと、FVIIIの阻害物質を含む。このため、本願において、第一の混合試薬は、「TF/FVIII阻害」と略記する場合がある。
第一の混合試薬におけるFVIIIの阻害物質の濃度は、その阻害物質の種類に応じて、検査試薬として用いるときにFVIIIの活性を十分に抑制できる濃度であればよい。FVIIIの活性を、その阻害物質を用いないときと比べて、90%以上の活性を抑制することが好ましく、より好ましくは95%以上や、98%以上、99%以上の活性を抑制する濃度とすることが好ましい。
これは後述する、図2,図3に示すところの評価のように、トロンビン産生量を指標にする場合、活性を抑制することはトロンビン産生量を低減するものとなるため、その差を活性を抑制した効果とすることができる。すなわち、コントロールの総トロンビン産生量抑制に対して、FVIIIの阻害物質を所定の濃度で加えたときの総トロンビン産生量を測定し、その低減率を、活性を抑制した程度とすることができる。例えば、コントロールの総トロンビン産生量を100%として、濃度「X」のときの総トロンビン産生量が5%であれば、濃度「X」のときの活性を抑制する程度はそれらの差である95%である。
FVIIIの阻害物質の濃度は、前述のように活性で設定してもよいが、その濃度を1nM~1mMや、5nM~10μM、10nM~1000nMのように設定してもよい。
第一の混合試薬は、TFやFVIII阻害物質以外の成分を含むものとすることができる。検査試薬は、通常、水を主たる成分とする場で反応させる検査に用いられる。このため検査試薬の媒質は水を主たる成分とすることができる。また、タンパク質等の吸着阻害剤や保護剤、pH調整剤、ミネラル調整剤等を含むものとすることができる。例えば、血清アルブミンや、緩衝液、合成リン脂質、塩化カルシウムなどを含むものとすることができる。なお、第一の混合試薬は、第二の混合試薬との比較のために用いることから、TFPIの阻害物質を含まない、またはその影響を十分に抑制できる程度の濃度以下であり、実質的に含まないものとして調製する。
[TFPIの阻害物質]
TFPIは、TFに結合したFVIIa及びFXaの活性部位に直接結合する事によって、TF凝固経路、あるいは外因系凝固経路と呼ばれる凝固反応を介したトロンビン産生及び血栓形成を阻害する。
本発明において、TFPIの阻害物質は、TF-FVIIa活性、もしくはFXa活性のいずれか、あるいは両方を同時に阻害する作用を有している物質を指す。例えば、TFPIの阻害物質は、被験検体中のTFPI活性を特異的に阻害するタンパク質、オリゴヌクレオチド、硫酸化多糖類、化学薬品、及びペプチドからなる群から選択されるいずれかの物質とすることができる。これらは、いずれか1つを含めばその効果を奏するが、複数組み合わせて用いてもよい。
また、TFPIの阻害物質には、TFPIに対する中和抗体(特公表2012-513193号公報、特開2016-028048号公報、特開2018-108089号公報、特開2020-096627号公報)、ペプチド(特開2017-105851号公報)、硫酸化多糖類(特公表2008-500367号公報)、核酸アプタマー(特公表2013-502218号公報)、スルホン酸化合成ポリマー(特公表2015-504925号公報)などが含まれる。
中和抗体には、ヒトあるいは他の動物種の血液から、あるいは遺伝子組換え技術を用いて調製されるTFPIを免疫原として、マウス、ヤギ、あるいはウサギなどの動物に免疫して得られるモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体が含まれる。硫酸化多糖類には、天然由来、あるいは化学的に合成された硫酸化多糖類、例えばフコイダン(特公表2008-500367号公報)など、硫酸基に由来する陰性荷電に富む多糖類が含まれる。
TFPIの抗凝固活性は、TFに結合したFVIIaの酵素活性、もしくはFXaの酵素活性に対する阻害作用を指標にして評価できる。例えば、TF-FVIIaに対するTFPIの阻害は、TF-FVIIaによってFXが活性化される事から、この活性化に対する阻害作用をもとに定量化できる。また、FXaの酵素活性に対するTFPIの阻害は、FXaによる発色性の低分子ペプチド基質の加水分解に対する抑制作用をもとに調べる事が可能である。TFPI阻害物質は、こうした試験においてTFPIの抗凝固活性をほぼ完全に、例えば90%以上中和する物質として規定される。本発明において用いたTFPI阻害物質の性状の解析例を以下に示す。
[第二の混合試薬(TF/FVIII阻害/TFPI阻害)]
第二の混合試薬は、TFPIの阻害物質と、第一の混合試薬(TF/FVIII阻害)とを含む。このため第二の混合試薬は、「TF/FVIII阻害/TFPI阻害」と略記する場合がある。
[第二の混合試薬の組成]
第二の混合試薬におけるTFPIの阻害物質の濃度は、その阻害物質の種類に応じて、検査試薬として用いるときにTFPIによるFXa形成量への影響を十分に抑制できる濃度であればよい。TFPIの活性を、その阻害物質を用いないときと比べて、TFPIを含まないコントロールと比べて有意差が無い程度に加えることが好ましい。
これは後述する、図5,6に示すところの評価のように、FXa活性を指標にする場合、TFPI活性を抑制することは、TFPIを含まないコントロールと同様にFXa形成量や、活性を維持できるものとなるため、その影響を、TFPIを阻害した効果とすることができる。すなわち、図5を例にすると、コントロールのFXa形成量に対して、TFPIを所定の濃度で加えたときの影響を評価し、さらに、TFPI抗体を添加したときの影響を評価する。そしてTFPI阻害により、FXa形成量がコントロールと比較して有意な差が無く、その結果両者が同等とみなされ、かつコントロールの90%、望ましくは95%以上に達する濃度を、TFPIの阻害物質の濃度の下限とすることができる。
TFPIの阻害物質の濃度は、前述のようにその影響(有意差など)で設定してもよいが、その濃度を2nM~1mMや、5nM~10μM、10nM~1000nMのように設定してもよい。
本発明の検査試薬セットの第二の混合試薬は、その有効成分であるTFや、FVIIIの阻害物質、TFPIの阻害物質以外の成分を含むものとすることができる。検査試薬は、通常、水を主たる成分とする場で反応させる検査に用いられる。このため検査試薬の媒質は水を主たる成分とすることができる。また、タンパク質等の吸着阻害剤や保護剤、pH調整剤、ミネラル調整剤等を含むものとすることができる。例えば、血清アルブミンや、緩衝液、合成リン脂質、塩化カルシウムなどを含むものとすることができる。
[検査試薬]
TFPI阻害物質を添加した血漿のプロトロンビン(PT)凝固時間を、阻害物質を含まない血漿の凝固時間と比較する事によって、TFPI活性を決定する試みが行われた(参考文献:Dahm et al. , A novel anticoagulant activity assay of tissue factor pathway inhibitor 1 (TFPI). J Thromb Haemost. 3: 651-658, 2005 )。
しかし、その検査法は血漿中に存在する微量のTFPIの抗凝固活性を高感度で定量する事は困難であった。そこで、発明者らは、血漿中のTFPIの抗凝固活性を定量する新たな検査試薬と検査方法の構築を目指して検討した結果、低濃度のTF試薬の添加によって産生するトロンビン量が、TFPIの抗凝固活性の検査において優れた指標である事、さらにTF試薬をFVIII阻害物質及びTFPI阻害物質と組み合わせる事によって、血漿中のTFPIの抗凝固活性を高感度で、かつ迅速に定量できる事を見出した。実施例をもとに、今回発明したトロンビン産生試験のための検査試薬とその検査方法を以下に示す。
[被験検体]
この検査は、血液凝固活性がかかわる様々な疾患の指標の検査に用いることができる。被験検体は、血液、血漿、あるいは尿などの生体から採取した生体試料などを対象とすることができる。本発明の検査方法は、被験検体を検査試薬と反応させることによって生じるトロンビンを定量するトロンビン産生試験工程を行う。
[検査方法]
本発明の検査方法は、生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査する検査方法に関する。
[第一のトロンビン産生工程]
本発明の検査方法は、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む第一の混合試薬を、被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する工程である。
[第二のトロンビン産生工程]
本発明の検査方法は、TFPIの阻害物質、組織因子、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む第二の混合試薬を、被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する工程を有する。
本発明の検査方法は、第一のトロンビン産生工程で定量されたトロンビンと、第二のトロンビン産生工程で定量されたトロンビンとを比較して、生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査することができる。
具体的には、第二のトロンビン産生試験工程によるトロンビン産生量を、前記第一のトロンビン産生試験工程によるトロンビン量産生量との相対比で、被験検体中のTFPIの抗凝固活性を表すことができる。
これらの工程は、被験検体と、検査試薬とを混合して、一定時間、静置や振蕩することで、反応させる。また、被験検体には、生体試料や検査試薬のほかにも、検査対象や、反応条件の管理等に用いられる成分や試薬等を含むものを用いてもよい。
反応時の温度は、これらのタンパク質等による反応が生じる25~45℃程度とすることができ、好ましくは30~40℃、さらに好ましくは35~40℃であり、37~38℃とすることが特に好ましい。反応時間は1分~30分程度とすることができ、1~15分や、2~5分程度とすることができる。反応を停止させるときは、各種反応停止薬を混合して停止させることができる。例えば、反応停止薬としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)などがあげられる。
第一のトロンビン産生工程は、たとえば、以下のように行うことができる。被験試料と、コントロール試料を96ウエルなどの別々のウェルに加える。そして、それぞれに、組織因子(TF)、および凝固第VIII因子の阻害物質を含む、第一の混合試薬を添加する。そして、反応に適した体温程度の温度に加熱する。その後、塩化カルシウム溶液などの調製液をさらに添加して37℃で2.5分間インキューベーションする。これにより、トロンビンを産生させる。
次に、生じたトロンビンを定量する。トロンビンの定量は、例えば、EDTAとトロンビン蛍光基質(Pefafluor TH)から成るトロンビン検出試薬を添加して、37℃程度で1分間程度インキューベーションする。そして、測定された蛍光強度は、トロンビン標準物を用いて作成した標準曲線をもとにトロンビン濃度へ変換し、最終的に、トロンビン産生量は正常コントロール血漿中のトロンビン濃度に対する標準化比率(normalized ratio(%):ratio×100)で表示する。
第二のトロンビン産生工程も、第一のトロンビン産生工程に準じて行うことができる。組織因子、凝固第VIII因子の阻害物質、及びTFPI阻害物質を含む、第二の混合試薬を、被験試料及びコントロール試料に添加する。そして、トロンビン産生量を求める。
その後、第二のトロンビン産生工程で得られたトロンビン産生量を、第一のトロンビン産生工程で得られたトロンビン産生量によって除して相対比を算出する。その相対比が被験血漿中のTFPIの抗凝固活性に相当する。
混合試薬を血漿と反応させるときの各試薬濃度は、例えば、TF(1pM、あるいは2.5pM)、リン脂質(20μM)、塩化カルシウム(16mM)とすることができる。トロンビン検出試薬の濃度は、EDTA(10mM)、トロンビン蛍光基質(50μM)となる。凝固第VIII因子の阻害物質及びTFPI阻害物質の使用濃度は、被験試料中に存在する第VIII(0.7nM)及びTFPI(2nM)の濃度を超え、それらを完全に中和するための高い濃度が必要となる。例えば、凝固第VIII因子の阻害物質(4nM)、TFPI阻害物質(250nM)を用いる。
[相対比]
検体中のTFPIの抗凝固活性は、次の「トロンビン産生量(2)/トロンビン産生量(1)」の相対比(任意単位、arbitrary unit)で求めることができる。すなわちこの相対比は、TFPIの阻害物質の有無によるトロンビン産生量の差を求めるものとなる。
トロンビン産生量(1):「本発明の第一の混合試薬(TFPI阻害物質を含まないTF/FVIII阻害検査試薬)との反応によって生じたトロンビン産生量」
トロンビン産生量(2):「本発明の第二の混合試薬(TF/FVIII阻害/TFPI阻害検査試薬)との反応によって生じたトロンビン産生量」
TFPIは、血栓が係る様々な病気と関連している事から、今回発明した高感度のTFPIの抗凝固活性の検査法は、従来不可能であった心筋梗塞や脳梗塞などの血栓性疾患だけでなく、出血性の疾患のリスク判定、さらに予測において大いに役立つと考える。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]本検査に用いるFVIII阻害物質
(方法)
(1)FVIII阻害物質
FVIII阻害物質として、血友病A患者から調製したFVIIIに対するモノクローナル抗体BOIIB2(Life Sciences Research Partnersから購入)の性状を解析した。
(2)性状解析方法
FVIII阻害物質は二つの異なる検査試薬と方法を用いたトロンビン産生試験によって解析した。
・1APTT検査試薬を用いたトロンビン産生試験
APTT検査試薬(アクチン:シスメックス社)は、0.5%ウシ血清アルブミン(富士フィルム和光純薬)と0.15M塩化ナトリウム(富士フィルム和光純薬)を含む50mMトリス緩衝液(BSA/TBS、pH7.4)によって16倍希釈した。
最初に、15μLの希釈したAPTT検査試薬溶液、及び53μLの正常コントロール血漿(Simens血液凝固試験用コントロール血漿N:シスメックス社)を、96ウエルのマイクロタイタープレート添加し、37℃で10分間インキューベーションした。
インキューベーション後、15μLの塩化カルシウム溶液(100mM)とトロンビン検出用蛍光基質(グリシル-グリシル-アルギニル-アミノメチルクマリン、406μM)の混合溶液をAPTT検査試薬を含むコントロール血漿に添加し、産生するトロンビン活性を40分間連続してモニターした(参考:Yuichi Kamikubo,Selective factor VIII activation by the tissue factor-factor VIIa-fac tor Xa complex,BLOOD,2017年10月 5日,Vol.130 No.14,Page.1661-1670)。
トロンビン量は、産生したトロンビンが蛍光基質を分解する事で蛍光が発せられるので、その強度を蛍光プレートリーダー(励起波長:355nm、蛍光波長:460nm)を用いて測定し、最終的にその蛍光強度をトロンビン標準物(Technothrombin TGA calibrator、コスモバイオ社)による標準曲線をもとに、トロンビン濃度へ変換した。
2)組織因子(TF)と活性型血液凝固第XI(FXIa)の混合試薬を用いたトロンビン産生試験(参考:特許第6883899号公報に記載した方法)
混合試薬は、BSA/TBSで希釈したTF(Dade Innovin:シスメックス社)溶液、FXIa(Haematologic Technologies社)溶液、さらに合成リン脂質(Haematex社)溶液を混合して調製した。
実際の試験は、先ず、35μLのコントロール血漿(Simens血液凝固試験用コントロール血漿N)及び10μLの検査混合試薬(終濃度:150fMTF、25pMFXIa、20μMリン脂質)を96ウエルのマイクロタイタープレートに加え37℃で2分間加温した。その後、10μLの塩化カルシウム溶液(88mM)を血漿検体に添加して37℃で2.5分間インキューベーションする事によってトロンビンを産生させた。
最後に、生じたトロンビンを定量するために、50μLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA、東京化成、10mM)及びトロンビン蛍光基質(Pefafluor TH:D-シクロへキシルアラニル-アラニル-アルギニル-アミノメチルクマリン、DSM Nutritional Products社、50μM)から成るトロンビン検出試薬を血漿に添加して、37℃で1分間インキューベーションした。
インキューベーションの間にトロンビンが、トロンビン蛍光基質を加水分解することによって蛍光が発せられるので、蛍光プレートリーダー(励起波長:355nm、蛍光波長:460nm)を用いてその蛍光の強度を測定した。測定された蛍光強度は、トロンビン標準物を用いて作成した標準曲線をもとに、トロンビン濃度へ変換した。
(結果)
1)APTT試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生に対するFVIII阻害物質の影響
コントロール血漿に抗FVIIIモノクローナル抗体BOIIB2を0.6μg/mL、もしくは2.4μg/mLの濃度で加えた後、APTT試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生量への影響を調べた。その結果トロンビン産生は前記抗体によってほぼ完全に抑制された(図2のパネルAとB)。
図2は、APTT試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生に対するFVIII阻害物質の影響を示す図である。
FVIII依存性のトロンビン産生は、正常コントロール血漿にFVIII阻害物質の抗FVIIIモノクローナル抗体BOIIB2(0.6μg/mL、もしくは2.4μg/mL)を加えた後、希釈したAPTT試薬(アクチン)及び塩化カルシウムを添加し、37℃で反応させる事によって生じさせ、トロンビン検出用の蛍光試薬を用いて40分間連続してモニターした。
・パネルA.トロンビン産生図。トロンビン産生の経時変化と抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体による阻害を示している。
・パネルB.総トロンビン産生量。総トロンビン産生量はトロンビン産生図中の曲線のArea under the curveを計算する事で算出した。各バーは平均値と標準偏差値は示す(n=2-3)。
2)TFとFXIaの混合試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生に対するFVIII阻害物質の影響
コントロール血漿に抗FVIIIモノクローナル抗体BOIIB2を0.3μg/mL、1.3μg/mL、あるいは5μg/mLの濃度で加えた後、TFとFXIaの混合試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生量に対する阻害効果を調べた。その結果、トロンビン産生は前記抗体によって濃度依存的に抑制され、1.3μg/mL以上の濃度で95%以上のトロンビン産生が抑制された(図3)。
図3は、TFとFXIaの混合試薬添加によって生じるFVIII依存性のトロンビン産生に対するFVIII阻害物質の影響を示す図である。FVIII依存性に生じるトロンビンは、TFとFXIaの混合試薬(150fMヒトTF、25pMヒトFXIa、20μMリン脂質)及び塩化カルシウムを、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体BOIIB2(0.3μg/mL、1.3μg/mL、あるいは5μg/mL)を含む正常コントール血漿に添加し、37℃で2.5分間インキューベーションする事によって産生させた後、トロンビン蛍光基質を用いて定量した。各バーは平均値と標準偏差値は示す(n=3)。
[実施例2]本検査に用いるTFPI阻害物質
(方法)
(1)TFPI阻害物質
TFPI阻害物質として、抗ヒトTFPIポリクローナル抗体の性状を解析した。抗体は精製したヒトTFPIをウサギに免疫する事で作成した抗ヒトTFPI抗血清からprotein Gカラム(Cytiva社)を用いて精製した。
(2)解析方法
TFPIはTFに結合したFVIIa(TF-FVIIa)の活性及びFXaの活性を阻害する。本発明においては、これらのTFPIの阻害作用に対する抑制効果を指標にしてTFPI阻害物質の活性を解析した。
1)TFPIによるTF-FVIIa活性阻害の解析方法
先ずTF-FVIIaの活性は、10μLのヒトFX(100nM)を96ウエルのマイクロタイタープレートに加えた後、45μLのTF-FVIIaの混合試薬(50pMのヒトTF、200pMのヒトFVIIa、2.5mMの塩化カルシウム溶液を含む)を添加し、37℃での2分間の反応によって形成する活性型FX(FXa)の量を定量する事によって算出した。
実際には、2分間の反応後、35μLのEDTA溶液(10mM)の添加によりFXaの形成を停止させ、さらに形成したFXa量を定量するために、FXaを含む反応液に25μLの発色性のFXa基質(CS-11:Biophen社、190μM)を添加し、37℃で反応させる事で生じる発色強度をプレートリーダー(405nmにおいて)によって3分間連続して測定し、時間あたりの発色強度(mOD/分)を求める事で定量した。
なお、分析に用いるヒトTF試薬はシスメックス社、ヒトFX及びヒトFVIIaはHaematologic Technologies社から購入し、反応はBSA/TBS(pH7.4)中で行った。TFPIによるTF-FVIIa活性阻害は、0.2nMから2nMの濃度範囲の遺伝子組換え型ヒトTFPI(R&D systems社から購入)の存在下におけるTF-FVIIaによるFXの活性化率の低下を指標にして調べた。
2)TFPIによるFXa活性阻害の解析方法
FXa活性は、90μLのヒトFXa(1.25nM)を25μLのFXa基質(CS-11、190μM)と37℃で反応させる事で生じる発色強度をプレートリーダー(405nmにおいて)によって3分間連続して測定し、時間あたりの発色強度(mOD/分)を求める事で定量化した。TFPIによるFXa阻害活性は、FXaを2.5nMの遺伝子組換え型ヒトTFPIと37℃で10分間反応させた後、残存のFXa活性を測定する事で求めた。
(結果)
1)TFPIによるTF-FVIIa活性阻害に対するTFPI阻害物質の影響
先ず、TFPIはTF-FVIIaによるFXの活性化を濃度依存的に阻害した(図4)。そして、一定濃度のTFPI(0.5nM)に抗TFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)を添加すると、TFPIによる阻害が全く見られなくなり、TFPI非存在下のコントロールと同様なレベルまでFXの活性化、つまりFXaの形成量が回復した(図4のパネルB)。この事は、抗TFPIポリクローナル抗体がTFPIのTF-FVIIa阻害活性を完全に中和した事を示していた。
図4は、TFPIによるTF-FVIIa活性に対する影響を示す図である。TF-FVIIaの活性は、TF-FVIIaの混合試薬(50pMのヒトTF、200pMのヒトFVIIa、2.5mMの塩化カルシウム溶液を含む)をヒトFX(100nM)に添加し、37℃での2分間の反応によって形成する活性型FX(FXa)の量を定量する事によって算出した。TFPIはTF-FVIIaによるFXの活性化を濃度依存的に抑制した。各ポイントは、平均値と標準偏差値は示している(n=3)。
図5は、TFPI阻害物質のTFPI活性への影響を示す図である。TFPI(0.5nM)にTFPI阻害物質として抗TFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)を添加すると、TFPIによる阻害が全く見られなくなり、TFPI非存在下のコントロールと同じレベルまでFXaの形成量が回復した。各バーは平均値と標準偏差値は示す(n=3-7)。3群間の有意差は、One-way ANOVAによって検定した。
2)TFPIによるFXa活性阻害に対するTFPI阻害物質の影響
TFPIをFXaと反応させるとFXaによる基質の加水分解が低下した。しかし、この低下は抗TFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)の存在下で完全に抑制され、FXaの活性はTFPI非存在下のコントロールと同様なレベルまで回復した(図6)。
図6は、TFPIによるFXa活性阻害に対するTFPI阻害物質の影響を示す図である。FXa活性はヒトFXa(1.25nM)による発色性のFXa基質(CS-11、190μM)の加水分解能を指標にして定量化した。TFPI(2.5nM)はFXaによる基質の分解を阻害したが、この阻害は抗TFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)の存在下で完全に抑制され、FXaの活性はTFPI非存在下のコントロールと同様なレベルまで回復した。各バーは平均値と標準偏差値は示す(n=3-4)。3群間の有意差はOne-way ANOVAによって検定した。
以上の結果から、今回用いた抗ヒトTFPIポリクローナル抗体はTFPIによるTF-FVIIa及びFXa活性の阻害を完全に中和できる事が明らかとなった。
[実施例3]血漿中のTFPIの抗凝固活性の検査のための検査試薬と検査方法
(方法)
(1)トロンビン産生試験に用いるTF検査試薬と検出試薬の調製方法
1)TFを含む検査試薬の調製法
TFを含む検査試薬は、BSA/TBS緩衝液(pH7.4)によって希釈したヒトTF試薬(1pM、あるいは2.5pM)を合成リン脂質溶液(20μM)と混合して調製した。
2)FVIII阻害物質のみを含む第一のTF検査試薬の調製法
1)で作成した検査試薬に抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体BOIIB2(0.63μg/mL)を添加する事で調製した。
3)TFPI阻害物質とFVIII阻害物質を組み合わせた第二のTF検査試薬の調製法
この試薬は、2)で作成した検査試薬に抗ヒトTFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)をさらに添加、混合して調製した。
4)トロンビン検出試薬の調製法
トロンビン検出試薬は、50μMのトロンビン蛍光基質(Pefafluor TH)と10mMのEDTA溶液を混合して調製した。
(2)血漿中のTFPIの抗凝固活性を定量するためのトロンビン産生試験の方法
先ず、35μLの血漿検体、あるいは正常コントロール血漿(Simens血液凝固試験用コントロール血漿N)、10μLのTF検査試薬(1pM、もしくは2.5pM TFと20μMリン脂質を含む)を96ウエルのマイクロタイタープレートに加え37℃で2分間加温した。その後、10μLの塩化カルシウム溶液(88mM)を血漿検体に添加して37℃で2.5分間インキューベーションする事によってトロンビンを産生させた。
最後に、生じたトロンビンを定量するために、50μLのトロンビン検出試薬(10mM EDTAと50μMトロンビン蛍光基質Pefafluor THから成る)を血漿に添加して、37℃で1分間インキューベーションした。インキューベーションの間にトロンビンが蛍光基質を加水分解することによって蛍光が発せられるので、蛍光プレートリーダー(励起波長:355nm、蛍光波長:460nm)を用いてその蛍光の強度を測定した。
測定された蛍光強度は、トロンビン標準物を用いて作成した標準曲線をもとにトロンビン濃度へ変換した。なお、血漿検体中のトロンビン産生量は正常コントロール血漿(Simens血液凝固試験用コントロール血漿N)中のトロンビン濃度に対する標準化比率(normalized ratio(%):ratio×100)で表示した。
血漿中のTFPIの抗凝固活性は、TFPI阻害物質の存在下においてTF検査試薬によって産生したトロンビン産生量を、阻害物質非存在下でのトロンビン産生量を比較することで決定した。前者の検査値は、TFPIが影響していない、あるいは欠損した状態でのトロンビン産生量を示しており、一方後者はTFPIの抗凝固活性の強さや濃度を反映して低下したトロンビン産生量を表す。さらに今回の検査において最も重要な点は、両トロンビン産生試験をFVIII阻害物質の存在下で実施することであった。FVIII阻害物質の存在は、TFPIによる凝固阻害作用を高め、その結果TFPI活性を検出する検査の感度が高くなった。この発見が、新規性及び進歩性を有する新たなTFPI検査法を生み出す事につながった。
最終的に、TFPIの抗凝固活性は、TFPI阻害物質存在下で得られたトロンビン産生量を非存在下の産生量で除した相対比をTFPIの抗凝固活性(arbitrary units)と定義した。例えば、TFPI阻害物質存在下のトロンビン産生量が90%、一方非存在下でのトロンビン産生量が100%となった場合には、相対比が90%÷100%の式によって0.9となる事から、血漿中のTFPIの抗凝固活性は0.9 arbitrary unitsと算出される。以下に、今回発明した検査試薬と検査方法の特長について解説する。
(3)統計解析
対象群間の有意差検定は統計解析ソフトのGraphpad Prism 8(GraphPad Software)を用いて行った。なお、危険率5%以下を有意差ありと判定した。
(結果)
(1)TFPI抗凝固活性の検出感度に対するFVIII阻害物質の影響
近年、FVIIIを欠損した血友病患者で頻発する出血症状をTFPI阻害薬の投与によって予防、あるいは治療する試みが行われてきた(参考文献:Peterson et al. Targeting TFPI for hemophilia treatment. Thromb. Res. 141 Suppl 2: S28-30, 2016)。この事はトロンビン産生においてTFPIの抗凝固作用がFVIIIを介した凝固反応と競合している可能性を示唆していた。発明者らはこの点に着目し、トロンビン産生試験を用いたTFPI活性の検出へのFVIII阻害物質の影響を調べた。
トロンビン産生は、TF(2.5pM)を含む検査試薬を正常コントロール血漿へ添加し、反応させる事で試験した。反応後、約4,000pMのトロンビンが産生されたが、その濃度はTFPI 阻害物質である抗ヒトTFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)を添加しても全く変化しなかった(図7のパネルA)。この事から、高濃度のTFを用いたトロンビン産生試験によってTFPIの凝固阻害活性を決定する事は困難であると考えられた。
しかし一方で、FVIII阻害物質である抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体(0.63μg/mL)の添加はトロンビン産生を低下させただけでなく、抗ヒトTFPIポリクローナル抗体と組み合わせる事によって、トロンビン産生を有意に増加させた(図7のパネルA)。
TFによるトロンビン産生は、FVIII凝固経路による促進とTFPIによる抑制の二つの相反する作用のバランスによって決定されると考えられる。今回の結果は、TFPI抗凝固活性の検出感度を高めるためにはFVIII凝固経路を遮断する事が有用である事を明確に示した。
同様な結果は、低濃度のTF試薬(1pM)を用いたトロンビン産生試験においても得られた。1pMのTFによるトロンビン産生量は、2.5pMのTFを使用した結果と異なり、抗ヒトTFPIポリクローナル抗体の添加によって増加した(図7のパネルB)。
この抗ヒトTFPIポリクローナル抗体によるトロンビン産生の増加率を、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体の有無で比較した結果、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体の添加がトロンビン産生をより増加させる事が明らかとなった(図7のパネルC)。
この結果も、TFPI抗凝固活性の検出感度を高めるためには、FVIII阻害物質によってFVIII凝固経路を遮断する事が有用である事を示した。
図7は、トロンビン産生試験によるTFPI抗凝固活性の検出に対するFVIII阻害物質の影響を示す図である。トロンビン産生は、血漿検体をTF試薬(1pM、もしくは2.5pM TFと20μMリン脂質を含む)及び塩化カルシウムを37℃で2.5分間インキューベーションした後、トロンビン検出試薬を用いて定量した。
・パネルA.TF(2.5pM)によるトロンビン産生は、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体(0.63μg/mL)を抗ヒトTFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)と組み合わせて反応させる事によって、産生するトロンビン濃度を有意に高めた。
・パネルB.TF(1pM)を用いたトロンビン産生試験の結果。トロンビン濃度(n=4-6)はbox/whiskerを用いて中央値、最大値、最小値を示し、3群間の有意差はOne-way ANOVAによって検定した。
・パネルC.抗ヒトTFPIポリクローナル抗体によるトロンビン産生の増加率(n=4)を、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体の有無で比較した。増加率はbox/whiskerを用いて中央値、最大値、最小値を示し、2群間の有意差はt-testによって検定した。
(2)TFPIの抗凝固活性とトロンビン産生阻害との相関
TFPIの抗凝固活性とトロンビン産生阻害との相関を調べる目的で、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体を含む正常コントロール血漿に全長型のTFPI(Full-length TFPI, FL-TFPI、参考特許:特開平07-079774)を添加し、TF試薬(1pM)によるトロンビン産生に対するFL-TFPIの影響を検討した。FL-TFPIは濃度依存的にトロンビン産生を阻害し、2nMのTFPIはトロンビン産生をほぼ完全に抑制した(図8のパネルA)。
一方で抗ヒトTFPIポリクローナル抗体の添加は、TFPIの阻害活性を完全に中和した。抗ヒトTFPIポリクローナル抗体存在下で得られたトロンビン産生量を非存在下の産生量で除した相対比から算出したTFPIの抗凝固活性(arbitrary units)は、0.125nMから2nMの濃度範囲のTFPIと良好な直線関係を与え、正相関を示した(図8のパネルB)。
図8は、トロンビン産生阻害をもとに算出したTFPIの抗凝固活性とTFPI濃度との相関を示す図である。抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体(0.63μg/mL)を含むコントロール血漿に全長型のTFPIを添加し、TF試薬(1pM)によるトロンビン産生に対するTFPIの阻害効果を検討した。
・パネルA.TFPIは濃度依存的にトロンビン産生を阻害したが、抗ヒトTFPIポリクローナル抗体(40μg/mL)によって完全にその阻害は中和された。各ポイントは平均値と標準偏差値は示す(n=2)。
・パネルB.パネルAで示したトロンビン産生阻害をもとに算出したTFPIの抗凝固活性(arbitrary units)は、TFPI濃度と良好な正相関を示した。
(3)ヒト健常者血漿中のTFPIの抗凝固活性の決定
ヒト健常者血漿検体は、国立大学法人金沢大学の倫理審査委員会の承認を得た後、健常者のドナーから採取した血液から調製した。血液検体を採取する際には、担当医から患者に口頭及び文書による説明を行い、その上で同意書への署名を得て採取した。試験に用いる血漿検体は、抗凝固剤であるクエン酸を用いて採血した血液を室温で遠心分離(2,000gで10分間)する事によって調製した。なお血漿検体は試験開始まで-80℃において凍結保存し、試験直前に37℃で解凍して使用した。
TF試薬(1pM)によるトロンビン産生は、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体及び抗ヒトTFPIポリクローナル抗体を被験血漿に添加して試験した。トロンビン産生濃度には明らかな個人差が見られたが、全ての健常者において、抗ヒトTFPIポリクローナル抗体の添加はトロンビン産生を増加させた(図9のパネルA)。
そして、各ドナーのトロンビン産生量の増加の程度をもとに、健常者のTFPIの抗凝固活性を求めた結果、健常者血漿中のTFPIの抗凝固活性は、1.58±0.46 arbitrary units(平均値±標準偏差値、n=15)と算出された。健常者血漿中のTFPIの抗凝固活性には、顕著な個人差が確認された(図9のパネルB)。
図9は、ヒト健常者血漿中のTFPIの抗凝固活性の個人差を示す図である。15名の健常者から調製した血漿中のTFPIの抗凝固活性をTF試薬(1pM)を用いたトロンビン産生試験によって決定した。試験に際し、抗ヒトFVIIIモノクローナル抗体(0.63μg/mL)及び抗ヒトTFPIポリクローナル抗(40μg/mL)を添加した。
・パネルA.全ての健常者において抗ヒトTFPIポリクローナル抗体の添加はトロンビン産生を増加させた。
・パネルB.抗ヒトTFPIポリクローナル抗体による増加率をもとに算出されたTFPIの抗凝固活性値は1.58±0.46 arbitrary units(平均値±標準偏差値)であったが、顕著な個人差が確認された。図は活性値の平均値と95%の信頼区間を示す。
本発明検査試薬は、組織因子経路インヒビターの抗凝固活性の検査に利用することができる物であり、産業上の利用可能性を有する。また、本発明の検査方法は、人間から採取したものを分析して各種データを収集する方法であり、医師が人間に対して行う医療行為ではなく、人間を手術、治療又は診断する方法に該当せず、産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査するための検査試薬セットであり、
    組織因子と、凝固第VIII因子の阻害物質と、を含む第一の混合試薬と、
    TFPIの阻害物質、組織因子と、凝固第VIII因子の阻害物質と、を含む第二の混合試薬とを有する、検査試薬セット。
  2. 前記凝固第VIII因子の阻害物質は、凝固第VIII因子活性を特異的に阻害するタンパク質、オリゴヌクレオチド、化学薬品、及びペプチドからなる群から選択されるいずれかの物質である請求項1に記載の検査試薬セット。
  3. 前記TFPIの阻害物質は、TFPI活性を特異的に阻害するタンパク質、オリゴヌクレオチド、硫酸化多糖類、化学薬品、及びペプチドからなる群から選択されるいずれかの物質である請求項1または2に記載の検査試薬セット。
  4. 生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査する検査方法であり、
    組織因子と、凝固第VIII因子の阻害物質と、を含む第一の混合試薬を、被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する第一のトロンビン産生試験工程と、
    TFPIの阻害物質、組織因子と、凝固第VIII因子の阻害物質と、を含む第二の混合試薬を、被験検体と反応させることによって生じるトロンビンを定量する第二のトロンビン産生試験工程とを有する、検査方法。
  5. 前記第二のトロンビン産生試験工程によるトロンビン産生量を、前記第一のトロンビン産生試験工程によるトロンビン量産生量との相対比で、
    前記被験検体中のTFPIの抗凝固活性を表す、請求項4に記載の検査方法。
  6. TFPIの阻害物質、組織因子と、凝固第VIII因子の阻害物質と、を含む、生体試料の組織因子経路インヒビター(TFPI)の抗凝固活性を検査するための検査試薬。
JP2022025763A 2022-02-22 2022-02-22 組織因子経路インヒビターの抗凝固活性の検査試薬、検査試薬セット、および検査方法 Active JP7152084B1 (ja)

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