JP7145660B2 - 緑茶飲料の製造方法 - Google Patents
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Description
鋭意研究の結果、本発明者は、70℃以上110℃以下の加熱温度で抽出液を30秒以下の時間で加熱し、併せて孔径0.22μm以下のフィルタを用いての濾過処理を行うことにより、微生物の増殖を抑えつつ、従来と比較してグリーン香および香りの広がりをより感じられるようにすることができることを見出し、本発明を完成させた。
また、香りの広がりとは、香りが口の中に広がって鼻に抜け、上記のグリーン香が持続することをいう。
[1] 緑茶抽出液を70~110℃で30秒以下の時間で加熱する加熱処理をすること、および前記加熱処理の前または後に、緑茶抽出液を孔径0.22μm以下のフィルタを用いての濾過処理に供することを含む、緑茶飲料の製造方法。
[2] 前記緑茶飲料にカテキン類を100~500ppmの含有量で含有させることをさらに含む、[1]に記載の緑茶飲料の製造方法。
[3] 前記加熱処理における加熱温度をX(℃)、加熱時間をY(秒)とするときに、以下の(a)、(b)として示す少なくともいずれか一方の関係を満足するようにして緑茶抽出液を加熱する、[1]または[2]に記載の緑茶飲料の製造方法。
(a)75≦X≦110、0<Y≦-0.74286X+85.71429
(b)70≦X≦85、0<Y≦30
[4] 緑茶抽出液を70~110℃で30秒以下の時間で加熱する加熱処理をすること、および前記加熱処理の前または後に、緑茶抽出液を孔径0.22μm以下のフィルタを用いての濾過処理に供することを含む、微生物の増殖が抑えられた緑茶飲料におけるグリーン香および香りの広がりの改善方法。
本実施形態は、緑茶飲料の製造方法に関し、緑茶抽出液を70~110℃で30秒以下の時間で加熱する加熱処理をすること、および加熱処理の前または後に、緑茶抽出液を孔径0.22μm以下のフィルタを用いての濾過処理に供することを含む。
緑茶抽出液は特に限定されず、緑茶を抽出して得られた抽出液のみからなる液体、当該抽出液を濃縮または希釈した液体等を例示することができ、これら液体を濃縮乾燥して得られる抽出物を再度水等に溶解または分散させたものであってもよい。
また、異なる種類に由来する緑茶葉から抽出された抽出液等を混合したものでもよく、緑茶葉と玄米等の穀物類、ジャスミン花、その他のハーブ等のフレーバー類等との混合物を抽出して得られた抽出液であってもよい。
抽出工程では、一般的な抽出方法を採用可能であり、例えば、水蒸気蒸留、液化炭酸ガス抽出、アルコール抽出、熱水抽出等の従来公知の抽出方法を用いることができる。また、抽出に用いる抽出溶媒の種類は、特に限定されないが、水を抽出溶媒とする場合は、脱イオン交換処理精製したもの又は蒸留水を用いることが好ましい。これらは、安価、手軽であり、且つ安全に調製し抽出設備に供することができる。水以外の抽出溶媒としては、エタノールやその他の親水性有機溶媒が挙げられる。また、抽出溶媒に対して、抽出効率化の目的で、食品添加物のいわゆる炭酸塩(炭酸水素ナトリウム(重曹)等)、リン酸塩、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸等を適宜添加してもよい。
抽出温度は、特に限定されないが、例えば35℃以上100℃以下とすることが挙げられ、上限温度は65~75℃程度であることが好ましい。上記温度範囲で抽出を行えば、抽出効率が高い。抽出時間も特に限定されないが、5分以上60分以下の範囲内で行うことが好ましい。上記抽出時間で抽出物を得れば、熱による風味変化や香気成分の散逸を抑えつつ、甘味、香ばしさの各成分を抽出しやすい傾向にある。これにより、嗜好性に優れた茶飲料が得やすくなる。
なお、静菌効果や風味(おいしさ)の観点から、本実施形態に係る緑茶飲料の製造においては、カテキン類を100~500ppm(より好ましくは200~500ppm、さらにより好ましくは300~500ppm)の含有量で飲料中に含有させることが好ましい。
本明細書において、カテキン類とは、重合していない単量体のカテキン類((+)-カテキン、(-)-エピカテキン、(+)-ガロカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-カテキンガレート、(-)-エピカテキンガレート、(-)-ガロカテキンガレート、および(-)-エピガロカテキンガレート)をいい、カテキン類の含有量とはこれらの総量を意味する。
また、緑茶飲料におけるカテキン類の含有量は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法によって、測定・定量することができる。
加熱する方法、装置については特に限定されず、当業者が適宜設定することができ、例えば、超高温瞬間殺菌(UHT殺菌)を挙げることができる。
(a)75≦X≦110、0<Y≦-0.74286X+85.71429
(b)70≦X≦85、0<Y≦30
該濾過処理は、上記の加熱処理の前または後のいずれに行われるようにしてもよく、また、濾過処理と加熱処理との間に1または2以上の他の処理が行われるようにしてもよい。
また、濾過処理に供する際の緑茶抽出液の温度なども特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
孔径0.22μm以下のフィルタとしては例えば、AstroPore PSEカートリッジW(商品名)(富士フイルム社製)、LifeASSURE(TM)フィルターBNAシリーズ(商品名)(スリーエムジャパン社製)、サートンポアフィルターカートリッジCESタイプ(商品名)(ロキテクノ社製)、フロロダインII(商品名)(日本ポール社製)などが例示でき、特に限定されない。
まず、茶葉について抽出処理を行い、続いて濾過を行うことにより緑茶葉等の固形分を除去し、緑茶抽出液を得る。
次に、得られた緑茶抽出液について、必要に応じて希釈、pH調整等の処理を行った後、70~110℃で30秒以下の時間の加熱処理に供し、加熱殺菌する。
続いて、加熱殺菌された緑茶抽出液を孔径0.22μm以下のフィルタを用いての濾過処理に供する。濾過された緑茶抽出液について、容器に充填し、容器詰めの緑茶飲料を得る。
そのため、より商品価値の高い緑茶飲料を提供することが可能である。
以下に示す処方となる量の茶葉とその30倍量の湯を用い、湯中で茶葉について一定時間の撹拌と停止を繰り返した。当該処理を行ったのは計6~8分であった。また、抽出温度は40℃とした。得られた緑茶抽出液に、ビタミンC(アスコルビン酸、Vc)、ビタミンCNa(アスコルビン酸ナトリウム、VcNa)、重曹を以下に示す含有量となるように添加した。
茶原料(g/L):10.0g/L
VcNa(g/L):0.40g/L
Vc(g/L):0.30g/L
重層(g/L):0.27g/L
使用茶葉:一番茶かぶせ茶
測定対象の緑茶抽出液を精製水で2倍に希釈し、これを0.45μmのシリンジフィルターでろ過したものを測定用のサンプルとして、以下の条件で高速液体クロマトグラフによって測定した。
装置:Waters UPLC装置一式(検出器:PDA グラジエント法)
移動相:0.5%ギ酸(A液)、0.5%ギ酸/メタノール(B液)
カラム:Waters Acquity UPLC BEH C18、1.7μm
2.1×100mm
流量:0.3ml/分
グラジエント:A/B=90/10で2分間通液後、65/35で11分間通液
以上のようにして調製された茶葉抽出液について、UHT殺菌により75℃、4秒間の加熱処理を行った。続いて、茶葉抽出液を冷却した後、孔径0.20μmであるフィルタ(サートンポアフィルターカートリッジCESタイプ(商品名)(ロキテクノ社製))に供して濾過処理を行い、実施例の緑茶飲料を得た。
表1に示す微生物の芽胞液を1000cfu/350mlとなるように接種後、35℃で2週間または4週間培養した。2週間および4週間のそれぞれについて、3サンプルずつ試験を行った。また、対照(Control)には、芽胞液を接種しなかった(2サンプル)。
培養後、1mlをサンプルとして標準寒天培地にて培養後の菌数を測定し、生育を確認した。
使用茶葉を一番茶かぶせ茶(茎茶や茶葉をブレンドしたもの)とし、また、ビタミンC、ビタミンCNa、重曹の添加を行っていない以外は(1)の場合と同様に緑茶抽出液を調製した。
得られた緑茶抽出液について、表2に示す各加熱条件で加熱処理を行った。続いて、緑茶抽出液を冷却した後、孔径0.20μmであるフィルタ(サートンポアフィルターカートリッジCESタイプ(商品名)(ロキテクノ社製))に供して濾過処理を行い、実施例および比較例の緑茶飲料を得た。
専門パネル5名にて外観、グリーン香、香りの広がりについて官能評価を実施した。
官能評価は加熱処理および濾過処理に供していない未処理の緑茶抽出液を対照の緑茶飲料(Control)とし、該対照との差を以下に示す5段階の評価基準で評価した。
5:まったく変化がない、4:わずかに異なるがほぼ同じ、3:差がある、2:大きな差がある、1:著しく異なる
結果を表2に示す。
また、図1に示す上記(a)、(b)いずれかの関係を満足することで、グリーン香、香りの広がりについてさらに改善されることが理解できる。
Claims (4)
- 緑茶抽出液を70~110℃で4秒以上30秒以下の時間で加熱する加熱処理をすること、および前記加熱処理の前または後に、緑茶抽出液を孔径0.22μm以下のフィルタを用いての濾過処理に供することを含む、容器詰め緑茶飲料の製造方法。
- 前記緑茶飲料にカテキン類を100~500ppmの含有量で含有させることをさらに含む、請求項1に記載の緑茶飲料の製造方法。
- 前記加熱処理における加熱温度をX(℃)、加熱時間をY(秒)とするときに、70≦X≦85、4≦Y≦30を満足するようにして緑茶抽出液を加熱する、請求項1または2に記載の緑茶飲料の製造方法。
- 緑茶抽出液を70~110℃で4秒以上30秒以下の時間で加熱する加熱処理をすること、および前記加熱処理の前または後に、緑茶抽出液を孔径0.22μm以下のフィルタを用いての濾過処理に供することを含む、微生物の増殖が抑えられた容器詰め緑茶飲料におけるグリーン香および香りの広がりの改善方法。
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