JP7144665B2 - 防音床構造および床の防音方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数階建ての建築物(多層階建築物)における上階からの重量床衝撃音などを低減できる防音床構造および床の防音方法に関する。
従来から、上階からの衝撃音(特に重量床衝撃音)は、床下地材などの躯体の固有振動数に依存するため、その対策が困難とされている。対策としては、床下地上にグラスウールなどの絶縁材料を施工し、さらにその上にコンクリートなどの重量物を施工する湿式浮床構造が知られている。しかし、湿式浮床構造でも、重量床衝撃音に対する防音性は十分ではない。一方、床衝撃音に対して、自身の振動により振動を吸収して減衰するダイナミックダンパー(動吸振器)を床下地材に取り付ける方法も提案されている。
特開2001-49781号公報(特許文献1)には、対向する床梁に複数の床根太が差し渡されて取り付けられ、この床根太の上に床材が取り付けられた床構造において、前記床根太の側面に取付具が取り付けられ、この取付具にダンパーを介して錘が吊り下げられている床構造が開示されている。この文献には、床根太が振動すると、取付具やダンパーを通って錘が振動するとともに、この錘の振動がダンパーや取付具を通って床根太を振動させることにより、振動が減衰されると記載されている。前記ダンパーとしては、ゴム板及び金属板で形成された密封容器に、シリコーンオイル、潤滑油、植物油などの粘稠な液体を充填したダンパーが記載されている。前記ダイナミックダンパーとしては、円盤状のダンパーが記載されており、この円盤状ダイナミックダンパーは円盤の中心に形成された軸で取付具に装着されている。
しかし、このダンパーは、構造が複雑であり、生産性が低い。さらに、重量が大きく、取扱性が低い上に、低周波域での防音性も十分でない。
特開2016-191298号公報(特許文献2)には、床下地材の表面に、この床下地材の表面と対向させて離間した状態で連結具により拘止された板状防音材を備えた防音床構造が開示されている。前記板状防音材としては、アスファルトを含む軟質層と金属で形成された硬質層との積層体が記載されている。この床構造では、5~50Hz程度の重量床衝撃音を制振するのに適している。
しかし、この防音床構造では、制振性は十分ではなく、特に木造建築物において顕著であった。また、使用されている板状防音材は、床下地材に締結するため、下階からの作業が困難であり、上階での作業でも、質量の大きいアスファルトを含む防振材が床下地材に連結されるため、床構造の施工性が低い。
特開2001-49781号公報(特許請求の範囲、段落[0015][0016][0036][0037]、図7~8、図12) 特開2016-191298号公報(特許請求の範囲、段落[0079])
従って、本発明の目的は、高い施工性で重量床衝撃音を低減できる防音床構造および床の防音方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、長期間に亘り防音性を維持でき、耐久性に優れた防音床構造および床の防音方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、簡便な構造で複数階建ての木造建築物における上階からの重量床衝撃音を低減できる防音床構造および床の防音方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、弾性体を含む高比重の軟質層とこの軟質層の少なくとも一方の面に積層して接合された硬質層とを含む板状防音材を、板面の一部の領域を連結具に装着した状態で前記連結具を介して床梁および/または床根太に拘止することにより、高い施工性で重量床衝撃音を低減できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の防音床構造は、長さ方向を平行にして間隔をおいて対向する1組以上の床梁を含む複数の床梁と、対向する床梁の間に前記床梁に対して交差して架け渡された床根太と、前記床梁および/または前記床根太に連結具を介して拘止され、かつ板面の一部の領域が前記連結具に装着されている板状防音材とを含む防音床構造であって、前記板状防音材が、弾性体を含み、かつ比重が1.5以上である軟質層とこの軟質層の少なくとも一方の面に積層して接合された硬質層とを含む。前記板状防音材は前記床根太に拘止されていてもよい。前記防音床構造は、複数の床根太が、対向する床梁の間に間隔をおいて平行に架け渡されており、板状防音材が、隣接する前記床根太間に配設され、2以上の連結具で前記床根太に固定されていてもよい。前記板状防音材は、長方形状の板面を有しており、かつ前記板面の長さ方向が床根太の長さ方向に対して平行であってもよい。前記板状防音材は、板面の長さ方向の両端部で連結具に固定されていてもよい。前記連結具は、隣接する前記床根太の間に前記床根太に対して交差して架け渡されて固定されており、かつこの連結具の上に板状防音材が載置された状態で固定されていてもよい。前記板状防音材において、連結具が装着されている領域の面積割合は、板面全体に対して50%以下であってもよい。前記板状防音材は、弾性体としてアスファルトを含む軟質層と、この軟質層の片面に積層して接合され、金属で形成された硬質層との積層体であり、5~50Hzの固有振動数を有していてもよい。前記防音床構造は、木造建築物の床構造であってもよい。
本発明には、長さ方向を平行にして間隔をおいて対向する1組以上の床梁を含む複数の床梁と、対向する床梁の間に前記床梁に対して交差して架け渡された床根太とを含む床の防音方法であって、板状防音材の板面の一部の領域を連結具に装着することにより、前記連結具を介して前記板状防音材を前記床梁および/または前記床根太に拘止するとともに、前記板状防音材として、弾性体を含み、かつ比重が1.5以上である軟質層とこの軟質層の少なくとも一方の面に積層して接合された硬質層とを含む防音材を用いる防音方法も含まれる。
本発明では、弾性体を含む高比重の軟質層とこの軟質層の少なくとも一方の面に積層して接合された硬質層とを含む板状防音材が、板面の一部の領域を連結具に装着した状態で前記連結具を介して床梁および/または床根太に拘止されているため、高い施工性で重量床衝撃音を低減できる。さらに、隣接する床根太の間に連結具を架け渡して板状防音材を床根太に拘止すると、取り付けが容易であるだけでなく、長期間に亘り防音性を維持でき、耐久性も向上できる。また、簡便な構造で複数階建ての木造建築物における上階からの重量床衝撃音を低減できる。
図1は、本発明の防音床構造の一例を示す概略平面図である。 図2は、図1の防音床構造の概略側面図である。 図3は、本発明の板状防音材の一例を示す概略側面図である。 図4は、本発明の防音床構造の他の例を示す概略平面図である。 図5は、本発明の防音床構造のさらに他の例を示す概略平面図である。
[防音床構造]
以下、本発明の防音床構造について、必要に応じて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の防音床構造の一例を示す概略平面図であり、図2は、図1の防音床構造の概略側面図である。
この防音床構造では、対向する床梁4の間に、前記床梁4に対して垂直にかつ間隔をおいて床根太3が架け渡された骨格を有しており、板状防音材1は、長方形状の面形状を有し、板面の長さ方向を床根太3の長さ方向に対して平行に配設されており、その長さ方向の両端部が、連結具2で固定されて隣接する2つの床根太3に拘止(拘束されて固定)されている。
詳しくは、前記連結具2は、図1に示されるように、隣接する床根太3の間に間隔をおいて架け渡されており、図1の連結具2を床梁4の側から見た側面図である図2に示されるように、前記連結具2は、長尺の板状部2aと、この板状部2aの長手方向の両端部から板面に対して垂直に延出する側壁部2bとで形成されている。すなわち、前記連結具2は、それぞれ長尺板において、長手方向の両端部が板面に対して垂直に屈曲した側面視U字形状を有しており、両端部の側壁部2bが、それぞれ隣接する床根太3の側面に対してビスなどの慣用の連結具で固定されている(図示せず)。
なお、前記床梁4および床根太3は、図1に示すように、いずれも長尺の板状であり、長手方向を重力に対して垂直方向に配設し、図2の床根太に示すように、板面を重力方向に対して平行に配設している(図示されていないが、床梁4も床根太3と同様に板面を重力方向に対して平行に配設している)。また、床梁4と床根太3とは、慣用の連結具によって固定されている(図示せず)。
前記床根太3に固定された2つの連結具2の板状部2aの中央部の上には、前記板状防音材1の長手方向の両端部を接触させて板状防音材1が載置されており、板状防音材1および連結具2の板状部2aには、板状部2aの長さ方向において間隔をおいて空けた2つの孔を利用してボルト・ナット機構2cによって前記板状防音材1が連結具2の板状部2aに固定されている。
さらに、前記板状防音材1は、軟質層1aと硬質層1bとの積層体であり、軟質層1aを連結具2の板状部2aに接触させて前記連結具2に固定されている。詳しくは、この例では、板状防音材1は、弾性体を含み、かつ比重が1.5以上である軟質層1aとこの軟質層1aの一方の面(上側の面)に積層して接合された硬質層1bとで形成された二層の積層構造を有している。
板状防音材1は、軟質層1aを有するため、所定の可撓性を有している。そのため、板状防音材1は、図1に示すように、前記連結具2で部分的に固定されることにより(板状防音材1の一部の領域が連結具2を介して床根太3に拘止されることにより)、連結具で固定されていない開放領域(非連結部)が伝播された床衝撃音(床梁および/または床根太の振動)により運動(振動)可能な構造を有している。すなわち、本発明では、床梁および/または床根太から連結具を介して板状防音材に伝播された床衝撃音を、板状防音材固有の制振効果により低減できるだけでなく、板状防音材自身が振動して減衰(吸収)することにより床衝撃音を低減できる。
(1)板状防音材
板状防音材は、軟質層と、この軟質層の少なくとも一方の面に積層して接合された硬質層とを有していればよく、軟質層の片面に硬質層が積層された態様に限定されず、軟質層の両面に硬質層が積層された態様であってもよい。図3は、本発明の板状防音材の他の例を示す概略側面図である。この板状防音材11は、弾性体を含み、かつ比重が1.5以上である軟質層11aとこの軟質層11aの両面に積層して接合された第1および第2の硬質層11b1,11b2とで形成された三層の積層構造を有している。これらの積層構造のうち、連結具を介した床根太の振動を直接軟質層に伝播でき、防音性を向上できる点から、二層構造が好ましく、硬質層と軟質層とのずり変形を大きくできる点から、二層構造の軟質層を連結具に接触させて固定する態様が特に好ましい。
板状防音材の形状は、板状であれば特に限定されず、例えば、長方形や正方形などの多角形状、円形状、楕円形状、多葉又は星形状などが挙げられる。これらのうち、連結具での固定により可撓性を付与し易く、目的の固有振動数を調整し易い点から、長方形状、四葉形状(十字形状)が好ましく、床梁および/または床根太(特に隣接する床根太間)に拘止し易い点から、長方形状が特に好ましい。
板状防音材の面形状のサイズ(長方形などの異方形状の場合、長径と短径との平均径)は、100mm以上程度であり、例えば100~2000mm、好ましくは200~1000mm(例えば300~800mm)、さらに好ましくは400~700mm(特に500~600mm)程度である。本発明では、防音材のサイズを変更することにより、固有振動数を容易に調整できる。サイズが小さすぎると、防音性が低下する虞がある。
特に、長方形状の場合、長径と短径とのアスペクト比(長径/短径)は1.5以上であってもよく、例えば1.5~10、好ましくは2~8(例えば3~6)、さらに好ましくは3.5~5(特に3.7~4.5)程度である。アスペクト比が小さすぎると、長方形状に由来する効果が低減する虞がある。
連結具が装着されている領域(連結具と接触または結合する連結領域または連結部)の面積割合は、板状防音材の板面全体(表面積ではなく、表面または裏面の全面)に対して50%以下であってもよく、例えば1~50%、好ましくは2~30%(例えば3~20%)、さらに好ましくは5~15%(特に8~12%)程度である。連結領域の大きさが大きすぎると、板状防音材の可撓性が低下し、床衝撃音の低減効果が小さくなったり、目的の周波域の振動を減衰するのが困難となる虞があり、逆に小さすぎると、床梁および/または床根太に板状防音材を強固に固定(拘止)するのが困難となる虞がある。
連結具との結合部(連結部)の形態は、連結方法に応じて適宜選択でき、例えば、ビスやボルトとナットとの組み合わせなどを用いて固定する場合、連結孔部を有していてもよい。連結孔部は1以上であればよく、例えば1~10、好ましくは2~8、さらに好ましくは3~6程度である。
連結部の位置(連結位置)は、板面の形状に応じて適宜選択でき、端部に限定されず、略中央部であってもよく、端部と略中央部との間の途中部であってもよい。また、端部、略中央部、途中部から選択される二種以上の組み合わせであってもよい。特に、板面が長方形状の場合も、両端部に限定されず、略中央部や途中部などであってもよいが、安定して床梁および/または床根太に固定でき、防音材の耐久性を向上できるとともに、板状防音材(特に木造検知物の防音材)に適度な質量を付与し易く、防音性を向上できる点から、両端部が好ましい。
なお、本明細書および特許請求の範囲では、連結位置の両端部は、厳密な両端部だけでなく、板状防音材の振動による制振性に影響を与えない微小な領域であれば、防音材が装着された両端部の外側に連結部が装着されていない領域が存在していてもよい。
図4は、連結位置は両端部であるが、対向する床梁24の間に間隔をおいて架け渡された隣接する床根太23a,23bのうち、一方の床根太23aのみに板状防音材21を拘止した概略平面図である。この例では、連結具22の長さを短くして一方の床根太23aのみに板状防音材を拘止する以外は、図1に示す防音床構造と同一である。一方の床根太のみに板状防音材を拘止しても、両方の床根太に板状防音材を拘止した構造と同程度の防音性を付与できるが、施工性や耐久性などの点から、両方の床根太に板状防音材を拘止した構造が好ましい。
板状防音材は、図1に示す床根太に拘止する態様に加えて、床梁に拘止する態様、床梁および床根太に拘止する態様であってもよいが、床衝撃音による振動の影響を受け易く、防音性を向上できる点から、床根太に拘止する態様が好ましく、隣接する床根太の間に連結具を架け渡して拘止する態様が特に好ましい。
床根太に拘止された板状防音材において、板状防音材が長方形状である場合、板状防音材の配設方向は特に限定されず、床根太の長さ方向に対して垂直な方向や斜め方向に配設してもよいが、板状防音材の長さを大きくでき、防音性を向上できる点から、床根太の長さ方向に対して平行な方向に配設するのが好ましい。
隣接する床根太に拘止された板状防音材において、板状防音材の配設位置は、隣接する床根太の間であればよいが、施工性や耐久性などの点から、隣接する床根太間の中央部に配設するのが好ましい。
板状防音材の床面積に対する配設個数は、1畳(1.62m)当たり1個以上であってもよく、例えば1~3個、好ましくは1.5~2.5個、さらに好ましくは2個であってもよい。図5は、対向する床梁34の間に間隔をおいて架け渡された1本の床根太33に2つの板状防音材31を拘止した概略平面図である。この例では、1本の床根太に拘止する板状防音材の個数が2倍になる以外は、図1に示す防音床構造と同一である。図5に示す態様では、図1に示す態様に比べて、板状防音材の数を倍増でき、防音性を向上できる。
床根太に拘止された板状防音材において、1本の床根太に対して単一の板状防音材を拘止する場合は、防音性を向上できる点から、床根太の長さ方向の略中央部に板状防音材を拘止するのが好ましい。一方、図5に示す態様のように、1本の床根太に対して複数の板状防音材を拘止する場合は、防音性を向上できる点から、床根太の長さ方向において、板状防音材が等間隔で配列するように、板状防音材を拘止してもよい。
板状防音材の厚み(平均厚み)は、例えば1~20mm、好ましくは3~18mm、さらに好ましくは5~15mm(特に8~12mm)程度である。厚みが薄すぎると、防音性が低下する虞があり、厚すぎると、取り扱い性や施工性が低下する虞がある。
(1a)軟質層
軟質層の比重は1.5以上(例えば1.5~4)であり、例えば2~4、好ましくは2.2~3.6、さらに好ましくは2.3~3.5(特に2.5~3.4)程度である。比重が小さすぎると、板状防音材の重量床衝撃音に対する防音性が低下する虞がある。
軟質層は、適度な弾性を有しており、ヤング率が1GPa未満であってもよく、例えば0.01~0.9GPa、好ましくは0.02~0.5GPa、さらに好ましくは0.03~0.3GPa(特に0.05~0.2GPa)程度である。ヤング率が大きすぎると、硬くなり過ぎて、防音性が低下する虞がある。
本明細書および特許請求の範囲では、ヤング率は、JIS K7171「プラスチック―曲げ特性の求め方」に準じて、曲げ弾性率を求め、この値をヤング率とする。
軟質層は、前記ヤング率を有する弾性体を含んでいればよいが、比重を大きくして防音性を向上できる点から、弾性体としてのバインダー成分に加えて、フィラーを含むのが好ましい。
バインダー成分としては、例えば、アスファルトなどの瀝青質物質、合成樹脂、ゴムやエラストマーなどが挙げられる。これらのバインダー成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。バインダー成分が制振効果を発現するためには、通常、単位面積当たりの質量が4kg/m以上であるのが好ましく、このような高比重かつ高密度を有し、重量床衝撃音の低減効果が大きい点から、バインダー成分は、アスファルトを含有するのが好ましい。アスファルトとしては、特に限定されず、一般的なアスファルト、例えば、天然アスファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファルトなどの石油アスファルトなどが使用できる。これらのアスファルトは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
さらに、バインダー成分は、軟質層に可撓性を付与するために、アスファルトに加えて、軟質樹脂又はエラストマー成分を含んでいてもよい。軟質樹脂又はエラストマー成分としては、例えば、ポリオレフィン、ビニル系重合体(ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体など)、ポリアミド、ポリエステル、合成ゴム(ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共重合体など)、天然ゴム、ロジン系樹脂(天然ロジン、変性ロジンなど)などが挙げられる。これらの軟質樹脂又はエラストマー成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの軟質樹脂又はエラストマー成分のうち、スチレン-ブタジエンブロック共重合体などのスチレン-ジエン系共重合体が好ましい。
軟質層において、軟質樹脂またはエラストマー成分の割合は、アスファルト100質量部に対して、例えば0~100質量部、好ましくは1~80質量部、さらに好ましくは3~50質量部程度である。
フィラーとしては、有機フィラーであってもよいが、高比重である点から、無機フィラーが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、鉄、銅、錫、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼などの金属粒子(粉末)、酸化鉄、三二酸化鉄、四三酸化鉄、フェライト、酸化錫、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化銅、酸化アルミニウムなどの金属酸化物粒子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウムなどの金属塩粒子、製鋼スラグ、マイカ、クレー、タルク、ウォラストナイト、けい藻土、けい砂、軽石粉などの鉱物粒子などが挙げられる。
これらのフィラー(特に無機フィラー)は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機フィラーのうち、鉄粒子、各種酸化鉄粒子、製鋼スラグ粒子、(重)炭酸カルシウム粒子などが好ましい。
フィラー(特に無機フィラー)の形状は、粒子状または粉末状、不定形状、繊維状などが挙げられるが、粒子状又は粉末状が好ましい。無機フィラーの平均粒径は、例えば0.5mm以下(例えば、0.01~0.5mm)、好ましくは0.2mm以下(例えば、0.05~0.2mm)程度である。このように微粉末化されたフィラーを使用すると、制振材を製造する際の成形加工性を改善し、アスファルト基材中に多量のフィラーを均一に分散配合することができるため、制振材の面密度および感熱安定性を向上できる。
フィラー(特に無機フィラー)の割合は、バインダー成分(特にアスファルト)100質量部に対して、例えば100~2000質量部、好ましくは200~1800質量部、さらに好ましくは300~1500質量部程度である。フィラーの量が少なすぎると制振遮音効果が低下し、逆に多すぎると全体が脆くなり成形が困難となり、作業性が低下する。フィラーの量は軟質層の面密度が4kg/m以上(特に8kg/m以上)となるように調整するのが好ましい。
軟質層がアスファルトを含む場合、取り扱い性などの点から、軟質層は、アスファルトを含む粘弾層とこの粘弾層の少なくとも一方の面(特に両面)に積層された繊維層とで形成された積層体であってもよい。
繊維層は、繊維集合体を含んでいればよいが、通常、繊維集合体で形成された布帛である。布帛としては、例えば、織布、編布、ネット、紙、不織布などが挙げられる。これらのうち、生産性や制振層との密着性などの点から不織布が好ましい。
不織布は繊維を含んでいればよく、繊維としては、例えば、天然繊維(綿、麻など)、再生繊維(レーヨンなど)、半合成繊維(セルロースエステル繊維など)、合成繊維[ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、スチレン系繊維、テトラフルオロエチレン系繊維、アクリル系繊維、ビニルアルコール系繊維(エチレンビニルアルコール系繊維など)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2-4アルキレンアリレート系繊維、液晶ポリエステル繊維などの全芳香族ポリエステル系繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系繊維、アラミド繊維などの全芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリウレタン系繊維など]、無機繊維(炭素繊維やガラス繊維など)などが例示できる。
これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの繊維のうち、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリアミド6繊維などのポリアミド繊維などが汎用され、強度などの点から、ポリプロピレン系繊維、ポリエステル系繊維(特にポリエステル系繊維)が好ましい。
繊維の平均繊度は0.1デニール以上程度であり、例えば0.1~5デニール、好ましくは0.2~4デニール、さらに好ましくは0.5~3デニール程度であってもよい。繊度が小さすぎると、強度が低下する虞がある。
繊維の平均繊維長は、例えば10~150mm、好ましくは20~80mm、さらに好ましくは30~60mm程度であってもよく、スパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸法などの直接紡糸法では、無限長であってもよい。強度などの点から、不織布としては、長繊維不織布が好ましい。
不織布の目付は10g/m以上(例えば10~500g/m程度)であってもよく、例えば10~100g/m、好ましくは20~80g/m、さらに好ましくは25~60g/m(特に30~50g/m)程度である。目付が小さすぎると、繊維層を設けても、アスファルトを含む粘弾層の取り扱い性の向上効果が小さくなる虞がある。
不織布は、慣用の方法、例えば、前記繊維を含むウェブの形成工程と、ウェブの接着工程とを経て調製でき、具体的には、スパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸、ケミカルボンド、サーマルボンド、熱エンボス加工、スパンレース、ニードルパンチ、ステッチボンド法などにより調製できる。これらのうち、強度などの点から、スパンボンド法が好ましい。特に、不織布は、ポリエステルスパンボンド不織布であってもよい。
繊維層(両面に積層する場合、各層)の厚み(平均厚み)は0.05mm以上であってもよく、例えば0.1~1mm、好ましくは0.15~0.7mm、さらに好ましくは0.2~0.5mm程度である。繊維層の厚みが薄すぎると、粘弾層の取り扱い性が低下する虞がある。
軟質層は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、充填剤(微粒子など)、増粘剤、発泡剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、分散剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、滑剤、抗菌剤、防虫剤(防蟻剤、防ダニ剤など)、防腐剤(防カビ剤など)、つや消し剤、蓄熱剤、香料、蛍光増白剤、湿潤剤などが例示できる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。添加剤の割合は、軟質層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01~30質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%程度である。
軟質層の製造方法は、特に限定されず、例えば、アスファルトを含む粘弾層は、アスファルトとフィラー(特に無機フィラー)とを加熱混合し、板状に成形する方法などが挙げられる。軟質樹脂又はエラストマー成分を配合する場合は、アスファルトと軟質樹脂またはエラストマー成分を予め混合した混合物にフィラー(特に無機フィラー)を添加してもよい。繊維層を積層する場合は、溶融状態の粘弾層の上に繊維層を積層してもよい。
軟質層の厚み(平均厚み)は、例えば1~15mm、好ましくは2~12mm(例えば3~10mm)、さらに好ましくは5~9mm(特に7~8.5mm)程度である。さらに、軟質層の厚み(平均厚み)は、硬質層(軟質層の両面に硬質層が積層する場合、各層の厚み)の厚み(平均厚み)に対して1~20倍、好ましくは3~15倍、さらに好ましくは5~13倍(特に8~12倍)程度である。軟質層の厚みが薄すぎると、防音性が低下する虞があり、厚すぎると、取り扱い性や施工性が低下する虞がある。
(1b)硬質層
硬質層は、前記軟質層よりも硬質であればよく、ヤング率は1GPa以上であってもよく、例えば1~500GPa、好ましくは50~400GPa、さらに好ましくは100~300GPa(特に150~250GPa)程度である。ヤング率が小さすぎると、強度が低下して軟質層を強固に支持できなくなるため、防音性が低下する虞がある。
硬質層は、前記ヤング率を有する硬質材料で形成されていればよく、通常、金属、石膏、ガラス、セラミック、炭素材などの無機材料、プラスチック、木質材料などの有機材料で形成されている。これらのうち、強度や取り扱い性に優れる点から、金属、プラスチック、木質材料が汎用される。
金属としては、材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、クロムなどが挙げられる。金属は、前記金属単体であってもよく、前記金属の合金(例えば、ステンレス、鋼など)であってもよい。さらに、金属の表面は、防錆処理のために、亜鉛メッキなどのメッキ処理が施されていてもよい。これらのうち、鉄を含む金属が汎用され、メッキ処理された鉄が好ましい。
プラスチックとしては、慣用の硬質プラスチック、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、硬質塩化ビニル系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタールなどが挙げられる。これらのプラスチックのうち、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂などが汎用される。
木質材料としては、例えば、無垢材、合板(積層木質ボード)、木質繊維ボード(MDF、パーティクルボード、配向性ストランドボード、インシュレーションボードなど)などが挙げられる。
これらのうち、強度および質量が大きく、軟質層の支持力および防音性を向上できる点から、鉄などの金属が好ましい。
硬質層の厚み(平均厚み)は0.1~5mm(特に0.2~3mm)程度の範囲から選択できるが、硬質層が金属で形成されている場合、好ましくは0.2~1.2mm、さらに好ましくは0.3~1mm(特に0.5~0.9mm)程度であり、硬質層がプラスチックで形成されている場合、好ましくは0.5~2mm、さらに好ましくは0.7~1.5mm程度である。硬質層の厚みが薄すぎると、防音性が低下し、かつ軟質層を支持する強度が不足する虞があり、厚すぎると、取り扱い性や施工性が低下する虞がある。
硬質層は、軟質層の両面に積層されている態様に限定されず、軟質層の少なくとも一方の面に積層されていてもよい。硬質層を軟質層の一方の面に積層する場合、硬質層はいずれの側に積層してもよいが、軟質層に対して高い張力を作用でき、防音性を向上できる点から、硬質層を上側に配設するのが好ましい。これらのうち、簡便な構造で防音性を向上できる点から、軟質層の片面に硬質層を形成するのが特に好ましい。
硬質層と軟質層とは、板状防音材に床衝撃音が伝播したとき、硬質層と軟質層とが一体となって振動できる程度に接合されている。両層の接合は、両層を一体化できれば、特に限定されず、慣用の方法、例えば、接着剤または粘着剤を用いて接合する方法、釘、ビス、ボルト、クリップなどの係合手段(固定具)を用いて接合する方法などが挙げられる。これらの方法のうち、簡便な方法で接合できる点から、接着剤を用いて硬質層と軟質層との間に接着層を介在するのが好ましい。
接着剤としては、慣用の接着剤、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、エチレン-酢酸ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤などを利用できる。これらのうち、接着性などの点から、シリコーン系接着剤(例えば、変性シリコーン系接着剤など)が好ましい。なお、接着剤は、軟質層の弾性体を溶解する溶媒を含まない接着剤が好ましい。
接着層の厚み(平均厚み)は、例えば1~2000μm、好ましくは15~1000μm、さらに好ましくは50~500μm(特に100~300μm)程度である。接着層の厚みが薄すぎると、接着力が低下し、振動中に軟質層と硬質層とが剥離する虞がある。
(2)床梁および床根太
床梁および床根太としては、慣用の床梁および床根太を利用でき、一般的な防音床構造では、対向する床梁の間に複数の床根太が間隔をおいて架け渡されている。隣接する床根太の間隔は、建築物の種類に応じて、100~1500mm程度の範囲から選択でき、木造枠組工法(ツーバイフォー工法)では455mm程度の間隔で配置され、軸組工法(在来工法)では910mm程度の間隔で配置されるのが一般的である。
床梁および床根太の材質は、無機系材料、有機系材料のいずれであってもよい。
無機系材料としては、例えば、金属材料(例えば、アルミニウム、鉄、ステンレススチール、鋼など)、金属化合物材料(例えば、石膏、珪酸カルシウム、ガラスなど)などが挙げられる。これらの無機系材料は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの無機系材料のうち、鉄やアルミニウムなどの金属材料が好ましい。
有機系材料としては、例えば、木質材料[例えば、無垢材、合板(積層木質ボード)、集成材、木質繊維ボード(中密度繊維板MDF、パーティクルボード、配向性ストランドボード、インシュレーションボードなど)など]、硬質繊維ボード(熱セットされたニードルフェルト、紙製ボードなど)、合成樹脂材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドなど)などが挙げられる。これらの有機系材料は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機系材料のうち、軽量性と強度とを両立できる点などから、木質材料が好ましい。
これらのうち、無垢材などの木質材料、鉄などの金属材料が汎用され、軽量性と強度とを兼ね備えた木質材料が好ましい。
床梁の形状は、通常、床を形成するための部屋の床下の周囲枠(柱)に架け渡し、平板状の床下地材を支持できる長尺状の形状であればよい。床梁の断面形状(長手方向に垂直な断面形状)としては、例えば、中空または中実の四角形状(正方形状、長方形状、台形状など)、I字状、コ字状などが挙げられる。これらのうち、中実であり、かつ正方形状や長方形状などの四角形状の断面形状(断面矩形状)が好ましい。床根太の断面形状も、好ましい態様も含め、床梁の断面形状と同一である。
床梁および床根太の幅は、それぞれ、例えば10~500mm、好ましくは20~100mm、さらに好ましくは30~50mm(特に35~40mm)程度である。床梁および床根太の厚み(高さ)は、それぞれ、例えば10~500mm、好ましくは50~400mm、さらに好ましくは100~300mm(特に200~250mm)程度である。
(3)連結具
連結具は、床梁および/または床根太と板状防音材との間に介在し、かつ前記床梁および/または前記床根太の一部の領域と前記板状防音材の表面の一部の領域とを結合(連結)することにより、床梁および/または床根太と板状防音材とを拘止(止着または固定)できれば、特に限定されず、床梁、床根太、板状防音材の材質などに応じて、慣用の連結具を利用できる。
連結具の材質は、板状防音材を床下地材に強固に固定でき、かつ床衝撃音(床梁および/または床根太の振動)を板状防音材に伝播できればよく、例えば、前記硬質層の項で例示された硬質材料を利用できるが、合板などの木質材料や金属が汎用され、強度および剛性が大きい点から、鉄を含む金属が好ましい。
連結具を用いた連結方法としては、例えば、板状防音材に連結孔部を形成し、連結孔部を利用して慣用の連結具(ボルト・ナット機構などを備えた連結構造を有する連結具や、ビスなど)で固定する方法であってもよく、板状防音材や床下地材の表面が金属で形成されている場合、金属で形成された連結具(金属柱など)と溶接により固定する方法などであってもよい。
連結具の形状は、床梁および/または床根太の一部の領域と板状防音材の一部の領域とを連結できれば特に限定されないが、隣接する床根太の間に架け渡す場合は、施工性および耐久性を向上できる点から、長尺の板状部と、この板状部の長手方向の両端部から板面に対して垂直に延出する側壁部とで形成された側面視U字形状が好ましい。U字形状において、側壁部は、板面に対して、上方または下方のいずれの方向に延出させてもよいが、板状防音材の厚みの自由度が大きくなる点から、上方に延出させるのが好ましい。板状部の長さは床根太の間隔に応じて選択でき、側壁部の高さは床根太の厚みに応じて適宜選択できる。
(4)床下地材
本発明の防音床構造は、対向する床梁の間に架け渡された床根太の上に、床下地材が配設されていてもよい。床下地材としては、建築物の種類に応じて、各種の床下地材を利用できる。床下地材としては、例えば、鉄筋コンクリートの建築物におけるコンクリートスラブや軽量発泡(気泡)コンクリート(オートクレーブ養生された軽量気泡コンクリートであるALCコンクリートなど)、デッキコンクリート、プレキャストコンクリートなどであってもよく、一般的な木造住宅で使用される木造床などが挙げられる。本発明では、床梁および/または床根太に板状防音材を拘止するため、ALCコンクリートなどの重量の大きい床下地材に重量の大きい板状防音材を拘止する必要がなく、床構造の施工性を低下させることはない。
さらに、床下地材は、コンクリートスラブや木造床の上に、さらに畳床、プラスチック板、合板、木質系ボード、紙、織布または不織布シート、無機質ボード(石膏ボード、珪酸カルシウム板など)、金属板などが積層されていてもよい。耐火性能を考慮した場合、石膏ボードを用いるのが好ましい。
[防音方法]
本発明の防音方法では、長さ方向を平行にして間隔をおいて対向する1組以上の床梁を含む複数の床梁と、対向する床梁の間に前記床梁に対して垂直に交差して架け渡された床根太とを含む床において、板状防音材の板面の一部の領域を連結具に装着することにより、前記連結具を介して前記板状防音材を前記床梁および/または前記床根太に拘止することにより、床梁および/または床根太から連結具を介して板状防音材に伝播された床衝撃音を板状防音材の振動エネルギーに変換して床を防音する。
本発明の防音方法では、板状防音材の固有振動数を調整することにより、幅広い周波域の床衝撃音を低減できる。特に、前記板状防音材は、高比重の軟質層を含むため、重量床衝撃音を制振するのに適した固有振動数を有していてもよい。詳しくは、板状防音材の固有振動数は、例えば1~100Hz、好ましくは5~50Hz、さらに好ましくは8~40Hz(特に10~30Hz)程度であってもよい。
板状防音材の固有振動数は、例えば、板状防音材のサイズや厚み、連結具の結合位置を調整する方法により制御してもよい。例えば、板状防音材のサイズや厚みを調整する方法では、軟質層の厚みを大きくすることにより、固有振動数を大きく調整してもよく、長方形状の板状防音材の長さ方向を大きくすることにより、固有振動数を低く調整してもよい。連結具の結合位置を調整する方法では、例えば、長方形状の板状防音材の連結位置を中央部から長さ方向に偏心させることにより長方形状の長さを変えてもよい。
本発明では、これらの方法を組み合わせることにより、板状防音材を目的の固有振動数に調整できる。これらの方法のうち、防音性(特に木造建築物の防音性)、施工性、耐久性に優れる点から、長方形状の板状防音材における長さ方向の両端部を連結具で拘止し、所定のサイズおよび厚みに調整する方法が好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例の評価は、以下に示す方法により測定した。
[固有振動]
振動発生機((株)振研製「G-5230NS」)上の鉄製テーブル(寸法:1000×1000mm,質量:86kg)に20mm厚パーティクルボードをボルトで固定し、試験体の両端を角材(寸法:38×450×厚み19mm)で挟み込み、パーティクルボード上にビスで固定し、試験体の固有振動数(Hz)を測定した。加振条件は、加速度0.5G、周波数範囲5~200Hzの掃引サイン波、掃引速度は1oct/minとし、FFTアナライザおよび振動ピックアップを用いて、加速度を計測した。振動ピックアップは、試験体中央に取り付け、最大加速度における周波数を固有振動数とした。
[ツーバイフォー工法床での床衝撃音試験]
音響実験室(容積61.6m、床スラブ厚250mm)の開口部(寸法2740×3650mm)にツーバイフォー工法床を施工し、音源はJIS A 1418-2:2000に規定されている標準重量衝撃特性を有するタイヤを用い、衝撃点5点、受音点5点で床衝撃音レベルを測定した。なお、ツーバイフォー工法床において、床は、床根太:210材[455mm間隔]、さね付合板15mm厚で構成し、独立天井は、天井根太:206材、石膏ボード12.5mm厚で構成し、天井裏にはグラスウール50mm[密度24kg/m]を挿入した。
[実施例1]
アスファルト系制振材(七王工業(株)製「アスファルトシート」、比重2.8、縦910mm×横210mm×厚み8mm)の一方の面(上側)に、変性シリコーン樹脂系接着剤(コニシ(株)製「高性能コンクリート用」)を硬化後の厚みが0.3mmとなるようにバーコーターで塗布した。さらに、亜鉛メッキ処理した鉄板(縦900mm×横200mm×厚み0.8mm)を硬化前の接着剤の上に積層した後、接着剤を硬化させて板状防音材を製造した。
[実施例2]
鉄板を両面に積層する以外は実施例1と同様にして板状防音材を製造した。
[実施例3]
アスファルト系制振材(縦710mm×横210mm×厚み8mm)の一方の面(上側)に、変性シリコーン樹脂系接着剤を硬化後の厚みが0.3mmとなるようにバーコーターで塗布した。さらに、亜鉛メッキ処理した鉄板(縦700mm×横200mm×厚み0.8mm)を硬化前の接着剤の上に積層した後、接着剤を硬化させて板状防音材を製造した。
[実施例4]
鉄板を両面に積層する以外は実施例3と同様にして板状防音材を製造した。
[実施例5]
アスファルト系制振材(縦510mm×横210mm×厚み8mm)の一方の面(上側)に、変性シリコーン樹脂系接着剤を硬化後の厚みが0.3mmとなるようにバーコーターで塗布した。さらに、亜鉛メッキ処理した鉄板(縦500mm×横200mm×厚み0.8mm)を硬化前の接着剤の上に積層した後、接着剤を硬化させて板状防音材を製造した。
[実施例6]
鉄板を両面に積層する以外は実施例5と同様にして板状防音材を製造した。
実施例1~6で得られた板状防音材の固有振動数を測定した結果を表1に示す。
Figure 0007144665000001
表1の結果から明らかなように、本発明の板状防音材の固有振動数は、各パラメーターを調整することで床下地材や床根太の固有振動数に対応することができ、建築物に施工した場合、重量床衝撃音対策が可能となる。
[実施例7]
アスファルト系制振材(七王工業(株)製「アスファルトシート」、比重2.8、縦820mm×横190mm×厚み8mm)の両面に、変性シリコーン樹脂系接着剤(コニシ(株)製「高性能コンクリート用」)を硬化後の厚みが0.3mmとなるようにバーコーターで塗布した。さらに、亜鉛メッキ処理した鉄板(縦810mm×横180mm×厚み0.8mm)を硬化前の接着剤の上に積層した後、接着剤を硬化させて板状防音材を製造した。得られた板状防音材に、長さ方向30mmおよび790mm位置において、それぞれ幅方向に延びる線に沿って、両端から65mmの位置に2箇所の孔(65mm-60mm-65mmの間隔)を形成することにより、合計4箇所の孔を形成した。鉄製U型アングル(側面視U字形状の連結具であり、板状部の長さ355mm、板状部の両端から垂直に延出する両側壁部の高さ50mm、幅50mm、厚み3.2mm)の板状部の長さ方向の軸線に沿って両端から147.5mmの位置に2箇所の孔(147.5mm-60mm-147.5mmの間隔)で孔を形成し、前記板状防音材に対して、U型アングルの孔を対応させて、ボルトとナットで板状防音材に2体のU型アングルを固定した。合計12体のU型アングルを固定した板状防音材を作製し、鉄製U型アングルの側壁部をツーバイフォー工法床の床根太にビスを用いて固定することにより、1本の床根太に対して2体の板状防音材を拘止した。
[実施例8]
アスファルト系制振材(縦870mm×幅210mm×厚み8mm)の片面(上側)に、変性シリコーン樹脂系接着剤を硬化後の厚みが0.3mmとなるようにバーコーダーで塗布した。さらに、亜鉛メッキ処理した鉄板(縦860mm×横200mm×厚み0.8mm)を硬化前の接着剤の上に積層した後、接着剤を硬化させて板状防音材を製造した。得られた板状防音材を使用する以外は実施例7と同様にして床根太に拘止した。
[実施例9]
板状防音材を合計6体使用する以外は実施例8と同様にして板状防音材を床根太に拘止した。
[比較例1]
板状防音材は使用せず、鉄製U型アングルのみを実施例7と同様にして床根太に拘止した。
[比較例2]
鉄製Z型アングル(縦30mm-30mm-50mm×幅190mm×厚み3.2mm)の縦50mm部位の幅方向の軸線に沿って、両端から65mmの位置に2箇所の孔(65mm-60mm-65mmの間隔)を形成した。実施例7で得られた4箇所の孔を有する板状防音材に対して、鉄製Z型アングルの孔を対応させて、ボルトとナットで板状防音材に2体の鉄製Z型アングルを固定した。合計12体のZ型アングルを固定した板状防音材を作製し、鉄製Z型アングルの縦30mm部位をツーバイフォー工法床のさね付合板にビスを用いて等間隔で拘止した。
実施例7~9及び比較例1~2での床衝撃音レベルを測定した結果を表2に示す。なお、63Hz帯域におけるブランク(板状防音材およびアングルを使用しない例)での床衝撃音レベルからの低減量で評価した結果も表2に示す。
Figure 0007144665000002
表2の結果からあきらかなように、ツーバイフォー工法床では、板状防音材を合板より床根太に拘止した方が大きな低減効果が認められた。また、同じ構成であるが寸法を変更することで低減量が大きく変わることが認められた。さらに、床根太間の鉄製U型アングルだけでは大きな低減効果が認められず、板状防音材が低減効果に大きく寄与していることが確認できた。
とくに、実施例8では、5.2dBの低減量が認められた。63Hz帯域における5dB以上の重量床衝撃音レベル低減量は、床材の床衝撃音に対する低減性能を等級表記する方法として広く使われている「ΔLH等級」において最高等級のΔLH-4となり、顕著な防音性能が確認できた。
本発明の防音床構造は、マンション、ビル、一般住宅などの建築物の床構造に利用でき、特に、マンション、ビル、一般住宅などの複数階建ての建築物(多層階建築物)における2階以上のフロアにおける床構造として利用でき、施工性、耐久性、防音性を顕著に向上できる点から、木造枠組工法(ツーバイフォー工法)や木造軸組工法などで形成される木造建築物(多層階建築物)における2階以上のフロア(特にツーバイフォー工法床)における床構造として特に有用である。
1,11,21,31…板状防音材
1a,11a…軟質層
1b,11b1,11b2…硬質層
2,22…連結具
2a…板状部
2b…側壁部
2c…ボルトナット機構
3,23a,23b,33…床根太
4…床梁

Claims (7)

  1. 長さ方向を平行にして間隔をおいて対向する1組以上の床梁を含む複数の床梁と、
    対向する床梁の間に前記床梁に対して交差して架け渡された床根太と
    記床根太に連結具を介して拘止され、かつ板面の一部の領域が前記連結具に装着されている板状防音材とを含む防音床構造であって、
    前記連結具が、隣接する前記床根太の間に前記床根太に対して交差して架け渡されて固定され、かつ前記連結具の上に前記板状防音材が載置された状態で固定されており、
    前記板状防音材において、前記連結具が装着されている領域の面積割合が、板面全体に対して50%以下であり、
    前記板状防音材が、弾性体を含み、かつ比重が1.5以上である軟質層とこの軟質層の少なくとも一方の面に積層して接合された硬質層とを含む防音床構造。
  2. 複数の床根太が、対向する床梁の間に間隔をおいて平行に架け渡されており、板状防音材が、隣接する前記床根太間に配設され、2以上の連結具で前記床根太に固定されている請求項1記載の防音床構造。
  3. 板状防音材が、長方形状の板面を有しており、かつ前記板面の長さ方向が床根太の長さ方向に対して平行である請求項記載の防音床構造。
  4. 板状防音材が、板面の長さ方向の両端部で連結具に固定されている請求項記載の防音床構造。
  5. 板状防音材が、弾性体としてアスファルトを含む軟質層と、この軟質層の片面に積層して接合され、金属で形成された硬質層との積層体であり、5~50Hzの固有振動数を有する請求項1~のいずれかに記載の防音床構造。
  6. 木造建築物の床構造である請求項1~のいずれかに記載の防音床構造。
  7. 長さ方向を平行にして間隔をおいて対向する1組以上の床梁を含む複数の床梁と、
    対向する床梁の間に前記床梁に対して交差して架け渡された床根太と
    前記床根太に連結具を介して拘止され、かつ板面の一部の領域が前記連結具に装着されている板状防音材とを含む床の防音方法であって、
    前記連結具を、隣接する前記床根太の間に前記床根太に対して交差して架け渡して固定し、かつ前記連結具の上に前記板状防音材を載置された状態で固定し、
    前記板状防音材において、前記連結具が装着されている領域の面積割合を、板面全体に対して50%以下に調整するとともに、
    前記板状防音材として、弾性体を含み、かつ比重が1.5以上である軟質層とこの軟質層の少なくとも一方の面に積層して接合された硬質層とを含む防音材を用いる防音方法。
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