JP7141309B2 - 地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システムとその方法とそのプログラム - Google Patents

地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システムとその方法とそのプログラム Download PDF

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Description

本発明は、地盤変位に起因する災害発生・非発生の実績情報を解析し、その発生危険度を定量評価することで、災害に対する危機管理や警戒避難体制の構築を高い精度で実行することに寄与する災害発生危険度定量評価システムとその方法とそのプログラムに関する。
地震や地盤変動等、地盤変位に起因する災害としては、降雨の影響も受ける土石流、がけ崩れ、地すべり等の土砂災害や陥没災害の他、経年劣化の影響も受ける橋梁、トンネル、鉄塔等の土木・建築構造物に関する損傷や崩落まで含まれる。
これら土砂災害等の発生危険箇所や土木・建築構造物については、それぞれ危険度を評価しながら、未然防止を目的とした維持管理がなされているが、その手法についてはこれまで様々な検討がなされている。
例えば、防災事業計画の立案支援等のために実際の災害発生あるいは非発生に関するデータをコンピュータ処理することで精度の高い情報を得る研究に関しては、がけ崩れの発生予測に用いられる発生降雨、非発生降雨の判別境界線であるがけ崩れの発生限界線や、避難基準線、警戒基準線を設定する方法について非特許文献1に示されるように発表している。
非特許文献1では、複雑な自然現象を直線近似せず、高精度の発生限界線等を設定することを目的として、非線形判別に優れた放射状基底関数ネットワーク(以後、RBFNと略す。)を用い、地域毎の非線形がけ崩れ発生限界雨量線を設定する方法を提案している。本非特許文献1に開示される技術では、RBFNを用いて、その学習機能を利用して最適な中間層と出力層の重みを決定することによって非線形がけ崩れ発生限界雨量線を設定している。
その結果、例えば非特許文献1では、横軸に実効雨量、縦軸に時間雨量をとった判別境界面が曲線の集合として描かれる。
この曲線は、いわば等高線を示したもので、これが非線形のがけ崩れ発生限界線を示している。判別境界面は、災害の発生、非発生の実効雨量と時間雨量をプロットしながら、その高さ方向として災害の発生の場合には教師値データを「-1」とし、非発生の場合には教師値データを「+1」とした放射状基底関数を考え、その重ね合わせによって演算されたものである。従って、これらの等高線は、原点に近い方が高いもので、原点の存在する左下の角から対角方向に向かってなだらかに低いものとなっている。
このような災害の発生限界線や避難基準線、警戒基準線(以下、これらを総称してCLという。)を定量的、客観的に描くことによって精度の高い防災事業の立案の判断が可能であり、また、コンピュータ処理によって膨大なデータを短時間に処理できることから、CLの陳腐化を防止して精度の高い情報を提供できるのである。
また、特許文献1においては、非特許文献1に開示される技術を警戒避難システムに応用した発明が開示されている。本特許文献1に開示された発明では、災害に影響を及ぼす地形要因、地質・土質要因、環境要因及び地震要因を踏まえた上で、短期降雨指標として、例えば発生時刻から3時間以内の最大時間雨量を、また、長期降雨指標として、例えばその時刻における半減期を72時間とした実効雨量を用いて、CLを演算するものである。
このようにして得られたCLを用いることで、信頼性の高い警戒避難支援システムを提供することが可能である。
そして、特許文献2では、「健全性劣化評価システム」として、既往の点検データと補修実施の実績データを修正しながら、SVMを用いることにより、点検対象物の危険度を演算し、その演算結果に基づいて補修の要否や対応策の要否を高精度に評価することが可能なシステムが開示されている。SVMは1992 年にVapnikらによって提案されたパターン分類手法である。
この特許文献2に開示される発明では、土木・建築構造物や災害危険箇所等の点検対象物に対する補修の必要度あるいは災害発生に対する危険度の評価を行なう際に、技術者や点検者による先入観や主観を排除しながら、点検された多数の項目のデータに基づいて、これを修正しながら補修工事の必要度や災害危険箇所への災害防止対応策の必要性について客観的で精度の高い定量的評価を可能としている。
倉本和正 他5名:RBFネットワークを用いた非線形がけ崩れ発生限界雨量線の設定に関する研究、土木学会論文集、No.672/VI-50, pp.117-132, 2001.3
特開2003-184098号公報 特開2009-116427号公報
しかしながら、非特許文献1や特許文献1に開示された発明では、災害の危険度を評価する際に、日本全国を網羅して気象庁によって計測され、データの入手がある程度容易な降雨量を指標としており、降雨のないトンネル構造物の直接的な評価には使用できないという課題があった。また、地滑りやがけ崩れ等に対して降雨量は疑う余地のない発生要因であるが、それ以外に徐々に進む非地震性クリープのような現象もあり、降雨量のみを指標としていては必ずしも高い精度で発生危険度の評価を行うことができないという課題があった。
例えば、平成22年7月に鹿児島県南大隅町で発生した連続土石流災害、平成27年7月に鹿児島県垂水市で発生した土石流災害、平成30年4月に大分県中津市耶馬渓町で発生した土砂災害は、いずれも降雨がほぼない状態でのいわゆる無降雨時の斜面崩壊現象に基づくものである。
特許文献2に開示される発明では、土砂災害のみならず土木・建築構造物等の危険度を評価するためのものであるものの、それらの危険度の評価のための指標は点検によって得られるデータであり、人為的な要素が含まれたり、点検員の熟練度によってデータに変動を生じたり、必ずしも客観的ということも担保できず、高精度を維持するためには教育等によって点検員の質を高めて均質化を図る必要があった。
さらに、近年は局所的な豪雨による災害が増加する傾向にあり、ピンポイントでの土砂災害の発生危険度の評価ニーズが高まっており、例えば裏山の傍に立地する住宅の住民にとってはその裏山が崩壊するか否かが最大の関心事であり、自治体が発表する地域に関する避難情報に加えて、個人的なカスタムメイドの危険度評価や避難情報が求められるが、これらの特許文献ではそのニーズを満たすことが難しいという課題があった。
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたものであり、土木・建築構造物や災害危険箇所等の点検対象物に対する補修の必要度あるいは災害発生に対する危険度の評価を行なう際に、技術者や点検者による先入観や主観を排除しながら、降雨量による評価のみに依存しない、地盤変位に関する計測値に基づく客観的で精度の高い定量的な評価を可能とし、しかも局所的な評価をも可能とする地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システムとその方法とそのプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明である災害発生危険度定量評価システムは、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するシステムであって、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを格納する計測実施箇所データベースと、この計測実施箇所データベースから前記短期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標の前記地盤変位データを読み出す解析条件設定部と、前記短期地盤変位指標と前記長期地盤変位指標をそれぞれ縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて応答曲面を生成し、この応答曲面を応答曲面データベースに格納する応答曲面解析部と、前記応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線を設定し、この発生管理基準線に関するデータを前記応答曲面データベースに格納する管理基準線評価部と、前記応答曲面データベースから前記発生管理基準線に関するデータを読み出してその発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとして判定情報データベースに格納する危険度判定部と、前記危険度判定データを出力する出力部と、を有するものである。
本発明において、「地盤」とは、橋脚や建物等の構築物の基礎を支える地面やトンネルの内壁表面や橋脚の基礎等の構築物自体の表面、あるいは構築物の基礎を支えない場合の地殻の表面を意味し、岩盤をも含む概念である。また、「地盤変位」とは、地盤の伸縮による変位、地盤の亀裂による変位、地盤の傾斜による変位を意味する。
本発明でいう「箇所」とは、解析あるいは評価の対象の単位であり、したがって、測定の対象の単位でもある。具体的には、前述の「地盤」全般であり、例えば、災害が発生する可能性のある斜面等の地表面やトンネル内壁面等の構築物の表面を意味している。さらに、本発明でいう「安全領域又は危険領域に関するデータ」とは、安全領域の範囲に関するデータ、危険領域の範囲に関するデータ及び評価対象となっている計測値が安全領域と危険領域のいずれの領域に含まれているかのデータ、あるいは計測値が安全領域と危険領域にどの程度近接しているか、どの程度の期間でそれぞれの領域に含まれるか等のデータを意味する。また、それらの領域の範囲に含まれる場合に発信する警報や勧告等の指令に関するデータをも含む概念である。これらのデータは危険度判定部によって生成されるものである。
本発明で用いる災害の発生管理基準線は、直線近似した線形の災害の発生管理基準線でも良いが、特には、より高精度の設定が可能な、非線形の災害の発生管理基準線が好ましい。その非線形の災害の発生管理基準線を設定する方法としては、非線形判別に優れ、地盤変位に起因する災害が発生していない非発生データのみでも解析が可能な放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて設定する方法が好ましい。
RBFNは、脳や神経回路網のモデルに基づいた計算技術として分類されるニューラルネットワークの一種であり、ニューラルネットワークは、入力層と中間層と出力層との階層構造を備え、計算問題の解法を学習するために内部の重みを外部出力に適用することに特徴づけられる。ニューラルネットワークの中間層を構成する中間素子は、基底関数とも呼ばれ、任意の関数が使用できるが、RBFNは、基底関数として放射状基底関数(RBF)を用いたニューラルネットワークである。ニューラルネットワークの学習に用いる学習データは、要因指標のデータとその要因に基づき予測しようとする教師データとのデータセットであり、地盤変位に起因する災害発生危険度を予測するシステムの学習データとしては、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標を要因データとし、災害の発生・非発生を教師データとしている。
RBFNそのものに関する技術的な説明は、特許文献1や非特許文献1等に詳細が示されているので、その詳細な説明は省略する。
なお、RBFNを用いて解析される応答曲面の等高線を規定する閾値は、解析の対象とする箇所の特性に合わせて設定すべきものであり、通常、RBFNの出力値をパラメータとした発生及び非発生の的中率の変化を考慮して設定される。
次に、解析に用いる短期地盤変位指標と長期地盤変位指標のデータは、例えば、それぞれ1時間当たりの地盤変位量や1日又は1月等の累積地盤変位量として、その計測したデータに基づく測定データを用いることができる。あるいは、その測定データにそれぞれ所定の変換を施し標準化したデータを用い、その解析結果として、標準化した短期地盤変位指標と長期地盤変位指標との二次元平面上に、標準化した災害の発生管理基準線を設定する形態として実施してもよい。
標準化したデータを用いることにより、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標の絶対値の大きさの影響を排除し、また、比較しようとする箇所の特性の影響を排除して、より精度の高い地盤変位に起因する災害発生危険度に関する評価・判定情報を提示することができる。
第2の発明である災害発生危険度定量評価システムは、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するシステムであって、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを格納する計測実施箇所データベースと、この計測実施箇所データベースから前記短期地盤変位指標、前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標の前記地盤変位データを読み出す解析条件設定部と、前記短期地盤変位指標と前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標から2個選択して異なる2組の指標組合せを生成し、共通の縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて2個の応答曲面を生成し、この2個の応答曲面を応答曲面データベースに格納する応答曲面解析部と、前記2個の応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線をそれぞれ設定し、それぞれの発生管理基準線に関するデータを前記応答曲面データベースに格納する管理基準線評価部と、前記応答曲面データベースからそれぞれの前記発生管理基準線に関するデータを読み出してそのそれぞれの前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとして判定情報データベースに格納する危険度判定部と、前記危険度判定データを出力する出力部と、を有するものである。
第2の発明では、第1の発明における短期地盤変位指標と長期地盤変位指標に加えて、その間に中期地盤変位指標を追加して地盤変位に起因する災害発生危険度を評価するものである。
なお、短期地盤変位指標と前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標から2個選択して異なる2組の指標組合せを生成するとは、例えば、1組目として短期地盤変位指標と中期地盤変位指標、2組目として中期地盤変位指標と長期地盤変位指標を組合せるような場合をいう。
第3の発明である災害発生危険度定量評価システムは、第1の発明又は第2の発明において、前記地盤変位データは、地盤伸縮計から得られる地盤変位データであるものである。
第4の発明である災害発生危険度定量評価システムは、第1の発明又は第2の発明において、前記地盤変位データは、亀裂変位計から得られる地盤変位データであるものである。
第5の発明である災害発生危険度定量評価システムは、第1の発明又は第2の発明において、前記地盤変位データは、地盤傾斜計から得られる地盤変位データであるものである。
第6の発明である災害発生危険度定量評価方法は、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価する方法であって、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、前記短期地盤変位指標と前記長期地盤変位指標をそれぞれ縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、前記応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線を設定する管理基準線評価工程と、前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、前記危険度判定データを出力する出力工程と、を有するものである。
第7の発明である災害発生危険度定量評価方法は、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価する方法であって、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、前記短期地盤変位指標と前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標から2個選択して異なる2組の指標組合せを生成し、共通の縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて2個の応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、前記2個の応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線をそれぞれ設定する管理基準線評価工程と、それぞれの前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、前記危険度判定データを出力する出力工程と、を有するものである。
第8の発明である災害発生危険度定量評価プログラムは、コンピュータによって、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するために実行されるプログラムであって、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、前記短期地盤変位指標と前記長期地盤変位指標をそれぞれ縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、前記応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線を設定する管理基準線評価工程と、前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、前記危険度判定データを出力する出力工程と、を実行させるものである。
第9の発明である災害発生危険度定量評価プログラムは、コンピュータによって、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するために実行されるプログラムであって、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、前記短期地盤変位指標と前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標から2個選択して異なる2組の指標組合せを生成し、共通の縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて2個の応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、前記2個の応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線をそれぞれ設定する管理基準線評価工程と、それぞれの前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、前記危険度判定データを出力する出力工程と、を実行させるものである。
本発明の第1の発明である災害発生危険度定量評価システムは、局所的にも評価が可能な地盤変位に関する計測値に着目することで、土木・建築構造物や災害危険箇所等の点検対象物に対する補修の必要度あるいは災害発生に対する危険度の評価を、降雨量のみに頼ることなく、より客観的にかつ高精度に行うことが可能であり、ピンポイントで避難警報や勧告を出すことができる。したがって、より局所的な豪雨にも対応することが可能であり、また、無降雨時に生じる土砂災害やトンネル内壁等の危険度評価を行うことが可能である。
また、第2の発明である災害発生危険度定量評価システムでは、第1の発明における効果に加えて、災害の発生管理基準線を共通の縦軸と横軸からなる2次元座標中に示し、それぞれの発生管理基準線の内側と外側をそれぞれ安全領域と危険領域とすることで、危険度判定のレベルを細分化することができる。例えば、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標では安全領域にあるが、中期地盤変位指標と長期地盤変位指標では危険領域にある等、いずれか一方の危険度評価のみならず、他方の危険度評価を組合せることで危険度の評価を細分化することができる。
第3乃至第5の発明である災害発生危険度定量評価システムでは、第1又は第2の発明において、地盤変位データをそれぞれ具体的な測定器から得られる情報として特定するものであり、その効果は第1又は第2の発明と同様である。
第6の発明と第7の発明である災害発生危険度定量評価方法、第8の発明と第9の発明である災害発生危険度定量評価プログラムは、それぞれ第1の発明と第2の発明である災害発生危険度定量評価システムを方法発明あるいはプログラム発明として捉えた発明であり、その効果はそれぞれ第1の発明の効果あるいは第2の発明の効果と同様である。
本発明の第1の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムの構成を表すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価方法の実行フロー図である。 第1の実施の形態である災害発生危険度定量評価システムの実施例1で使用される地盤変位データを取得する地盤伸縮計の概念図である。 (a)は実施例1においてRBFNを用いて構築した応答曲面を示す3面図であり、(b)は(a)の3面図を等高線で表現した図である。 本発明の第1の実施の形態である災害発生危険度定量評価システムの実施例1においてRBFNによる災害の発生管理基準線の設定例を示すグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムにおいてRBFNによる2個の災害の発生管理基準線の設定例を示すグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムにおいてRBFNによる2個の災害の発生管理基準線を用いて行う危険度判定を説明するための概念図である。 第1乃至第3の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム等の運用概念図である。 第1の実施の形態である災害発生危険度定量評価システムの実施例2で使用される地盤変位データを取得する亀裂変位計の概念図である。 本発明の第1の実施の形態である災害発生危険度定量評価システムの実施例2においてRBFNによる災害の発生管理基準線の設定例を示すグラフである。 (a),(b)共に第1の実施の形態である災害発生危険度定量評価システムの実施例3で使用される地盤変位データを取得する地盤傾斜計の概念図であるが、(a)は傾斜前の状態、(b)は傾斜後の状態を示すものである。 本発明の第1の実施の形態である災害発生危険度定量評価システムの実施例3においてRBFNによる災害の発生管理基準線の設定例を示すグラフである。
本発明の実施の形態及び実施例を説明する前に、本願特許請求の範囲及び明細書に記載される発明、実施の形態及び実施例の理解を容易にするため、本願明細書及び特許請求の範囲の中で使用される語の定義を示す。
まず、本発明でいう「安全領域」と「危険領域」は、「相対的に安全方向にある領域」と「相対的に危険方向にある領域」を意味し、絶対的に安全な領域、絶対的に危険な領域を意味するものではない。従って、安全領域で土砂災害が発生することもあり、また、危険領域では常に土砂災害が発生するというものでもない。本発明でいう「災害の発生管理基準線」は、短期地盤変位指標、長期地盤変位指標との二次元平面、あるいはこれに中期地盤変位指標を加えて、3つの地盤変位指標から2つの地盤変位指標を選択して得られる二次元平面を、その内側を安全領域としその外側を危険領域として区分する境界の線を意味する。
また、本発明でいう「短期地盤変位指標」、「中期地盤変位指標」及び「長期地盤変位指標」は、「短期的な地盤変位指標」、「中期的な地盤変位指標」及び「長期的な地盤変位指標」を意味し、その間に厳密な規定はなく特定するものではないが、短期地盤変位指標としては、例えば、時間地盤変位(変位/1時間)が用いられ、中期地盤変位指標としては、日地盤変位(変位/1日)、長期地盤変位としては、月地盤変位(変位/1月)が用いられる。
本発明では、これらの短期地盤変位指標、中期地盤変位指標と長期地盤変位指標及びこれらの地盤変位指標に対する災害発生・非発生のデータを含むデータセットを「実績データ」と呼ぶ。
以下、本発明の第1の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムと第2の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価方法について図1-図5を参照しながら説明する。
図を用いて本実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム及び災害発生危険度定量評価方法を説明する前に、まず、本発明の基本的な考え方について説明する。
従来技術では、降雨要因のみを考慮して、全ての要因を総合した結果である土砂災害の発生・非発生の実績データに基づいて、危険度を評価していたが、本発明では、無降雨時における土砂災害等も評価可能なように地盤変位指標を用いることで、ピンポイントで測定データの取得をも可能としつつ、災害の発生・非発生の実績データに基づいて、安全領域と危険領域とを区分する災害の発生管理基準線を設定し、評価の対象となっている計測データが安全領域あるいは危険領域のいずれの領域に含まれているかに基づき、地盤変位による危険度を評価するところに最大の特徴がある。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムのブロック図である。図2は本発明の第2の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価方法によって実行される災害発生危険度定量評価のフロー図であるが、災害発生危険度定量評価システムにおけるデータ処理の流れを説明するための図でもある。
また、本図は、本願発明のコンピュータを用いて実行する災害発生危険度定量評価プログラムに対してはその実行工程を表すものでもあり、この図を参照しながら災害発生危険度定量評価システム1におけるデータ処理の流れを説明することは、災害発生危険度定量評価方法及び災害発生危険度定量評価プログラムの実施の形態について説明することと同義である。なお、図2において、工程に関する記載を覆うようにして破線で示しているのは図1に示される災害発生危険度定量評価システム1の構成要素であり、符号を同一としている。
災害発生危険度定量評価システム1、入力部2と演算部3と出力部4と複数のデータベース9―13から構成される。入力部2は、これらのデータベースに格納されるデータを予め入力したり、あるいは演算部2の作動時に直接データ22aや解析条件22bを入力するために使用されるものである。具体的には、例えば、キーボード、マウス、ペンタブレット、あるいは、計測機器等から通信回線を介してデータを受信する受信装置等複数種類の装置から構成されたり目的に応じた使い分け可能な装置が考えられる。
演算部3は、解析条件設定部5、応答曲面解析部6、管理基準線評価部7、そして、危険度判定部8から構成されるものである。
演算部3は、データベースから読み出されたり入力部1から入力されるデータや解析モデルを用いて応答曲面の解析やその応答曲面の解析結果に基づいて災害の発生管理基準線を設定したり、さらにその災害の発生管理基準線から安全領域の範囲や危険領域の範囲を解析し、評価対象となっている計測値がそれらの領域のいずれに含まれるかを基にした判定情報や評価情報を演算する等の解析を行うものである。具体的には、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等のコンピュータが考えられる。
また、データベースとしては、磁気ディスクや光ディスク等のコンピュータ用の記憶装置にデータを格納したものが考えられ、出力部4としては、CRT、液晶、プラズマあるいは有機EL等によるディスプレイ装置、あるいはプリンタ装置等の表示装置、あるいは外部装置への伝送を行なうためのトランスミッタ等の発信装置等が考えられる。
主として以上のような構成要素を備える本実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム1は、概ね以下のような処理手順によってその処理を行うことができる。即ち、大きくは、入力部2による入力処理と、演算部3による演算処理と、出力部4による出力処理であって、入力処理では、主には、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標との二次元平面上に災害の発生管理基準線を設定するための解析に必要な実績データの収集を行い、演算処理では、主には、その収集された実績データの解析に基づく災害の発生管理基準線の設定と、その設定した災害の発生管理基準線の内側の安全領域の範囲と外側の危険領域の範囲の算出と、評価の対象となっている計測値がそのいずれの領域に含まれるかの判定を行い、出力処理では、主には、その算出され安全領域と危険領域の範囲のいずれに含まれるかの判定に基づいて、災害発生危険度の情報の出力を行う。
入力部2による入力処理では、先ず、データを入力する処理を行うが、その入力データとしては、例えば、地盤変動量等、計測したデータそのものでも良く、また、測定データに所定の変換を施し標準化したものであっても良い。本システムの利用者の負担を軽減する意味では、計測データそのものでの入力も可能とし、必要な編集や標準化等はコンピュータを含む本災害発生危険度定量評価システム1で処理できるように構成し、入力データの形式に合わせ、いずれにも対応可能とする形態で実施するのが好ましい。
即ち、入力処理では先ず、データを入力し、その入力データを、必要に応じそれを編集・標準化し、解析に使用し得る短期地盤変動指標と長期地盤変動指標と災害発生・非発生とを含むデータセットを実績データとしてデータベースに格納させる処理を行う。このような構成については、演算部3を説明する際に具体的に説明する。
なお、解析に用いる実績データとしては、演算処理で解析が可能である限り、非発生データと発生データの両方を用いたものでもよく、あるいは、非発生データのみ又は発生データのみであってもよい。
演算部3による演算処理では、先ず、その収集された実績データを解析し、短期地盤変動指標と長期地盤変動指標との二次元平面上に短期地盤変動指標と長期地盤変動指標とをパラメータとして、応答曲面を解析し、その出力値の等高線を評価した上で、その内側を安全領域とし外側を危険領域として区分する災害の発生管理基準線を設定する。解析された応答曲面に関する情報や設定した災害の発生管理基準線に関する情報は、必要に応じ、これをデータベースに格納する。
次に、演算処理では、その設定した災害の発生管理基準線の内側である安全領域の範囲及び外側である危険領域の範囲の算出を行う。この災害の発生管理基準線内側と外側の範囲の算出は、周知の従来技術を用いることができるので、その具体的な説明は省略する。算出した範囲の情報も、必要に応じ、これをデータベースに格納する。さらに、算出した安全領域の範囲や危険領域の範囲に基づき、評価対象となっている計測値が、いずれの領域の範囲に含まれるかの災害発生危険度の判定を行う。災害発生危険度としては、例えば、算出した安全領域の範囲内かあるいは危険領域の範囲内かの判定をそのまま用いたり、あるいは、安全領域内の場合に危険領域までの距離を解析して安全の尤度として、あるいは逆に危険領域内の場合に安全領域までの距離を解析して危険の程度を提供してもよい。これらの災害発生危険度に関する情報は、必要に応じてこれをデータベースに格納する。
出力部4による出力処理では、その災害発生危険度に関する情報を、前述のようなディスプレイに表示したり、プリンタ等に印字したり、さらには外部装置へ解析結果やデータ等を伝送することも可能である。
なお、本発明は、この災害発生危険度に関する情報を、文字や数字、画像等を地図と結び付けてコンピュータ上でさまざまな情報を検索、結合、分析することができ、その結果を地図に表現する機能を有する公知の地理情報システム(GIS)を用い、例えば、色区分等して、地図上に表示する形態として実施することもできる。かかる形態によれば、周囲の状況、例えば、地形、人家の有無、避難場所の有無等を含み、総合的な判断がし易くなる。即ち、地理情報システムを用いことにより、より効果的な警戒避難情報等を提供できるようになる。
以上のような実施の形態により、本発明は、地盤変位に基づく災害発生危険度をピンポイントで精度高く定量的に評価可能であり、地盤変位に基づく評価を行うことで無降雨時における土砂災害等も評価可能となる。
ここで、演算部3を構成する要素を詳細に説明するが、その前に各々のデータベースと、それらに格納されるデータ等について説明する。
本実施の形態におけるデータベースには、解析条件データベース9、計測実施箇所データベース10、応答曲面データベース11、災害実績データベース12、判定情報データベース13がある。
まず、解析条件データベース9は、解析条件データ14とパラメータデータ15が格納されており、これらのデータは、応答曲面解析部6で解析を行なうために解析条件(解析モデルも含む)やパラメータを設定すべく解析条件設定部5が設けられているが、この解析条件設定部5に対して提供されるものである。
計測実施箇所データベース10は、監視対象箇所データ16及び地盤変位データ17が格納されている。監視対象箇所データ16は監視対象の場所に関する位置データ、設置されている計測機器データ、測定データの種類に関するデータ等から構成されており、地盤変位データ17は地盤変動に関する測定データである。なお、本実施の形態では地盤変位データ17は計測機器からの信号をそのままデータ化しているものであるが、これを用いて、例えば解析条件設定部5によって標準化してもよい。その場合は、地盤変位データ17として標準化されたデータも含むものとする。また、応答曲面解析部6によっても地盤変位データ17に代えて標準化された計測データを用いてもよい。以下の他の実施例においても同様である。
応答曲面データベース11は、応答曲面解析部6によって解析された結果として得られる応答曲面データ18と災害の発生管理基準線データ19を格納するものである。災害の発生管理基準線データ19は、解析によって得られた応答曲面をベースに得られた災害の発生管理基準線に関するデータである。
災害実績データベース12は、監視対象箇所や地点において、災害が発生したかあるいは発生しなかったかの実績を発生・非発生で示す災害実績データ20を含むものである。
判定情報データベース13は、危険度判定部8において解析された結果として得られる危険度判定データ21を格納するものである。この危険度判定データ21の内容については課題を解決するための手段の欄で既に述べたとおりである。
次に、演算部3について説明する。この演算部3について説明しながら、本実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムを方法として捉えた第2の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価方法の実施の形態についても説明するため、図2も参照する。
演算部3は、入力部2と出力部4、さらに複数のデータベースにも接続されており、入力部2を介して入力されるデータ22aや解析条件22bを用いて設定や解析等の演算を行なうことができるし、入力部2を介して予め格納されたデータをデータベースから読みだして用いることも可能である。
演算部3で実行される設定や解析に用いられるデータや解析モデルあるいは演算の結果については、出力部4を介して出力あるいは表示される。
演算部3の解析条件設定部5は、応答曲面解析部6によって実行されるRBFNを用いた応答曲面の解析に先立って、その解析条件及び解析パラータを設定するものである。この解析条件設定部5における機能は、災害発生危険度定量評価方法の実施の形態においては、図2のステップS2に相当するものである。
さらに、解析条件設定部5では解析条件として、解析に用いる実績データの期間、すなわち学習期間を選定する。災害発生危険度の評価では、できるだけ新しい災害の発生管理基準線を用いるのが望ましく、従って、できるだけ新しい学習期間を選定するのが望ましい。学習期間は、入力部2から入力してもよく、予め解析条件データベース9に解析条件データ14の中に学習期間データとして格納しておき、解析条件設定部5を介して読み出してもよい。
この学習期間等の選択は、ステップS2の解析条件の設定の工程に含まれる要素となっている。
なお、解析モデルに必要とされる解析のパラメータについては、入力部2から入力するか、あるいは予め解析条件データベース9にパラメータデータ15として格納しておき、解析モデルを含む解析条件データ14にID等を用いて対応させて読み出されるようにしておくとよい。
次に、応答曲面解析部6について説明する。
応答曲面解析部6では、解析条件設定部5において選択された解析条件及び解析パラメータを用いてRBFNによる応答曲面が解析される。この応答曲面の解析は、図2ではステップS3のRBFNによる応答曲面の構築工程として記載されるものである。解析によって得られた応答曲面は、応答曲面解析部6によって応答曲面データ18として応答曲面データベース11に読み出し可能に格納される。
管理基準線評価部7は、応答曲面解析部6で解析された応答曲面を用いてその出力値の等高線を評価し、その後、さらに災害実績データベース12に格納されている災害実績データ20を読み出し、これを用いて、災害の発生管理基準線を設定するものである。この出力値の等高線の評価や災害の発生管理基準線の設定についてはRBFNを用いた場合の技術として周知の技術を使用することで可能である。この管理基準線評価部7による出力値等高線の評価工程は図2におけるステップS4であり、災害の発生管理基準線の設定工程はステップS5である。
解析で得られた災害の発生管理基準線は、管理基準線評価部7によって災害の発生管理基準線データ19として読み出し可能に応答曲面データベース11に格納される。
解析によって得られた応答曲面や災害の発生管理基準線は、それぞれ応答曲面解析部6や管理基準線評価部7によって、解析条件やパラメータと併せて出力部4に表示又は出力される。その際、解析直後でも出力部4に表示又は出力されるが、応答曲面データベース11にデータとして格納された後でも出力部4に対して表示や出力される。この出力工程が図2におけるステップS7である。
管理基準線評価部7において設定された災害の発生管理基準線から、危険度判定部8は、評価の対象としている計測値のデータが、災害の発生管理基準線を基準として内側の安全領域に含まれているか、あるいは外側の危険領域に含まれているかの評価を行い、その結果にしたがって安全領域に含まれている場合には安全の判定、危険領域に含まれている場合には危険の判定を行い、さらに、その判定を危険度判定データ21として、判定情報データベース13に読み出し可能に格納する。
危険度判定部8における災害の発生管理基準線を用いた計測値の危険度判定工程は、図2のステップS6である。
また、その後、危険度判定データ21を危険度判定部8から直接あるいは判定情報データベース13から読み出して、出力部4を用いて表示あるいは出力する工程がステップS7である。この場合、危険度判定そのものの結果を表示・出力してもよいし、危険の判定の場合にはステップS7に示されるとおり、警戒避難情報として発信してもよい。安全の判定の場合もそのものの結果を表示・出力してもよいし、安全情報としてもよいし、あるいは安全性が高いことから特に情報を出力しなくともよい場合もある。
なお、図2におけるステップS1は入力部2を用いたデータの入力工程であるが、このデータとしては、解析条件データ14やパラメータデータ15のほか、監視対象箇所データ16や災害実績データ20等であるが、特に必要なのは、もちろん評価の対象としている地盤変位データ17の入力である。
また、ステップS3は一旦応答曲線が得られた場合、ステップS3をスキップしてステップS2からステップS4へ進む場合がある。
以上が第1の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム1の構成及び第2の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価方法の工程とそれらの作用の説明である。また、既に述べたとおり、災害発生危険度定量評価方法における各工程は、コンピュータを用いて実行される工程と一致することから、災害発生危険度定量評価プログラムについての工程と作用の説明に相当するものである。
以上説明したとおり、本実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム及び災害発生危険度定量評価方法(災害発生危険度定量評価プログラム)においては、無降雨時における土砂災害等も評価可能なように地盤変位指標を用いることで、ピンポイントで測定データの取得をも可能としつつ、災害の発生・非発生の実績データに基づいて、安全領域と危険領域とを区分する災害の発生管理基準線を設定し、評価の対象となっている計測データが安全領域あるいは危険領域のいずれの領域に含まれているかに基づき、地盤変位による危険度を評価することが可能である。
以下、本実施の形態をベースとして、更に具体的な実例を示しながら、本発明を更に具体的に説明する。
図3乃至図5を参照しながら、災害発生危険度定量評価システムの実施例1について説明する。実施例1は、地盤変位データとして地盤伸縮計によって計測されたデータを用いる場合である。
図3において、亀裂29を挟むようにして、先端部を杭28で固定したインバー線27をインバー線保護管26で覆いながら張り、地盤伸縮計25を設置している。このような地盤伸縮計25から出力される地盤伸縮データを地盤変位データとして利用する。
図4(a)は地盤伸縮計25から出力される地盤伸縮データを地盤変位データとして利用した場合にRBFNを用いて構築した応答曲面を示す3面図であり、(b)は(a)の3面図を等高線で表現した図である。(a)の3面図は災害発生危険度定量評価システム1の応答曲面解析部6によって解析される図であり、(b)の等高線で表現した図は管理基準線評価部7によって解析される図である。
図5は、横軸を地盤伸縮計25の24時間変位(長期地盤変位指標)とし、縦軸を時間変位(短期地盤変位指標)として、災害実績データ20(計測データに対する災害発生・災害非発生に関するデータ)と管理基準線評価部7によって解析された等高線(出力値)に対して、非発生的中数、非発生的中率及び非的中数をまとめた表1から、出力値が0.7のときの等高線が災害の発生管理基準線として設定されたことも含めて示されたグラフである。
Figure 0007141309000001
このようにして得られた災害の発生管理基準線の内側が安全領域であり、外側が危険領域となるが、この図5に示されるグラフを用いて、その時点で評価の対象となっている計測値が、この内側の安全領域に含まれている場合には、危険度判定部8は安全、外側の危険領域に含まれている場合には危険度判定部8は危険という危険度判定を行うものである。
例えば、裏山の傍に自宅がある住民が亀裂が生じるであろう箇所を挟んで図3に示される杭28と地盤伸縮計25の間にインバー線27を張り、地盤伸縮計25から地盤伸縮に関するデータを取得し、災害発生危険度定量評価システム1に入力していく。初期では災害が発生していないが、時間の経過に伴って非発生データの蓄積がなされ、図5に示されるようなグラフが描かれていき、当初その災害の発生管理基準線の内側にあった計測値が、ある時外側に移動してしまった場合には、その時点で危険として危険度判定がなされ、その危険の判定に関する情報が出力部4から出力される。
このような危険度判定に基づいて、警戒避難情報が発信されてもよいし、判定結果そのものが発信されてもよい。
次に、図6、7を参照しながら本発明の第3の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムについて説明する。図6はこの第3の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムにおいてRBFNによる2個の災害の発生管理基準線の設定例を示すグラフであり、図7は図6を基に、2個の災害の発生管理基準線を用いて行う危険度判定を説明するための概念図である。
第3の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システムの構成図は図1に示されるものと同一であるが、計測実施箇所データベース10に格納されている地盤変位データ17として、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標に加えて中期地盤変位指標を備えるものである。
図1に示される解析条件設定部5では、短期地盤変位指標、中期地盤変位指標及び長期地盤変位指標をそれぞれ読み出し、応答曲面解析部6は、これらの指標から、2個選択して異なる2組の指標組合せを生成し、共通の縦軸と横軸として形成される2次元座標上に地盤変位データに対応した災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて2個の応答曲面を生成する。
管理基準線評価部7は、これら2個の応答曲面から災害実績データの分布に基づいて地盤変位に起因する災害の発生管理基準線をそれぞれ設定する。
このようにして得られるのが図6に示されるグラフである。図6においては、図3に示される地盤伸縮計25で得られる計測値を使用し、2個の指標の組合せとして、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標、中期地盤変位指標と長期地盤変位指標を選択している。図中、横軸には互いの中期地盤変位指標である伸縮計の日変位を取り、縦軸には短期地盤変位指標と長期地盤変位指標をそれぞれ取っている。
それぞれの計測値の生データは(1)で示される式によって標準化されているので、目盛りは共通のものを使用することが可能である。式(1)において、xはある計測値、mは計測値の平均値、σは計測値の標準偏差を示している。
50+10×(x-m)/σ (1)
丸印で示されるのが日-時間の計測データを偏差値で表現したものであり、三角印で示されるのが日-月の計測データを偏差値で表現したものである。さらに、実線で示されるのが日-時間の関係で得られる災害の発生管理基準線(以下、単に基準線1という。)であり、破線で示されるのが日―月の関係で得られる災害の発生管理基準線(以下、単に基準線2という。)である。
このようなグラフは出力部4によって表示・出力されるが、これを用いて災害発生の危険度を危険度判定部8が判定するが、その手法について図7を参照しながら説明する。
図7でも図6と同様の災害発生管理基準線(日-時間の関係変位線30(基準線1)及び日-月の関係変位線31(基準線2))が示されているが、ここでは、加えて評価の対象となっている計測値として符号a1,a2、b1,b2、b3,b4及びc1,c2を示している。いずれも白抜きの図形は日-時間の関係を示す計測値であり、黒塗りの図形は日-月の関係を示す計測値である。それぞれの組はいずれも日変位を共通としているので、横軸における値は一致する。
符号a1,a2はそれぞれの基準線1と基準線2の内側に存在するタイプ1の状態を示している。符号b1,b2は基準線1の外側と基準線2の内側に存在するタイプ2の状態を示している。符号b3,b4は逆に基準線1の内側と基準線2の外側に存在するタイプ3の状態を示している。符号c1,c2は基準線1と基準線2の内側に存在するタイプ4の状態を示している。
このように短期地盤変位指標と長期地盤変位指標に加えて中期地盤変位指標を設けることで、基準線1と基準線2という2つの基準線を共通の縦軸、横軸を備えた2次元座標に表示することができる。そして、この座標空間に評価対象となっている計測値をプロットすることで、タイプ1から4までの4段階の危険度として判定することが可能であり、基準線が1つの場合に比較してより詳細で精度の高い評価・判定を行うことが可能である。
例えば、タイプ1では危険度を安全と判定し、タイプ2とタイプ3を要監視として判定し、タイプ4を作業中止や避難として判定する等が考えられる。タイプ2とタイプ3のいずれに重きを置くかというのは地盤の種類や測定箇所の状況によるので、運用に際して蓄積される経験や実績に基づいて決定されるとよい。
さらに、タイプ2の場合では基準線1の外側に位置している状況を基に、あとどの程度の時間がその状態を維持すると内側に存在している基準線2の計測値が基準線2を超えるかというような解析も可能である。この解析を危険度判定部8で実行させて出力部4に表示・出力させてもよい。
本実施の形態においては、短期と中期、中期と長期という地盤変位指標の組合せを行ったが、このように限定するものではなく、その他の組合せであってもよく、横軸をいずれの組合せにも存在する地盤変位指標を選択するとよい。また、図6や7に示されるとおり、縦軸に短期と長期の両方の計測値がプロットされることから標準化することが望ましいが、生の計測値を表示してもグラフが成立するのであれば、必ずしも標準化する必要はない。なお、標準化は解析条件設定部5等で実行され、計測実施箇所データベース10に地盤変位データ17として読み出し可能に格納される。また、応答曲面解析部6によって解析された応答曲面は応答曲面データ18として応答曲面データベース11に読み出し可能に格納され、管理基準線評価部7によって解析された災害の発生管理基準線は、災害の発生管理基準線データ19として応答曲面データベース11に読み出し可能に格納される。
次に、図8を参照しながら本発明の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム等の運用について説明する。図8においては、土砂災害の発生現場で斜面に亀裂29が生じ、インバー線27を用いた地盤伸縮計25で亀裂29の地盤変位を測定しながら、復旧作業が実施されている状態を示している。
地盤伸縮計25からは監視対象箇所データ16と地盤変位データ17が災害発生危険度定量評価システム1の入力部2に対してリアルタイムで転送される。災害発生危険度定量評価システム1でこの斜面に発生した亀裂29の変位に基づく危険度を判定し、危険と判定された場合には、災害復旧工事の現場に設置されているパトランプ36やサイレン35を発動し、復旧作業員に注意を喚起したり、警告したりする。また、加えて、電子メール32によって自治体33や土砂災害に影響を受け得る現地の住民34に対して避難警報等を発信する。
図8は災害が発生して災害復旧作業を実施している場合を想定したが、例えば、亀裂を生じていない斜面において発生が予想される箇所に地盤伸縮計25を設置するような場合も想定される。この場合、その斜面の下流側に住宅を所有する住民のみに電子メール32を送信するようにすれば、住戸単位でカスタムメイドの避難勧告システムを構築することも可能である。個人的に裏山の崩壊による生命の危険を感じて暮らしている住民にとっては高いニーズがあるものと考えられる。
なお、図8では計測機器として地盤伸縮計25を用いているが、その他実施例2における亀裂変位計40や実施例3における地盤傾斜計50を用いた場合も同様である。
次に、第1の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム1の実施例2について図9及び図10を参照しながら説明する。実施例2は、地盤変位データとして亀裂変位計によって計測されたデータを用いる場合である。
図9において、コンクリート表面44に発生した亀裂43を挟むようにして、歪ゲージ内包シリンダー41を備えた亀裂変位計40を固定金具42,42によってコンクリート表面44に固定している。このような亀裂変位計40から出力される亀裂変位データを地盤変位データとして利用する。
図10は、横軸を亀裂変位計40の24時間変位(長期地盤変位指標)とし、縦軸を時間変位(短期地盤変位指標)として、災害実績データ20(計測データに対する災害発生・災害非発生に関するデータ)と管理基準線評価部7によって解析された等高線(出力値)に対して、非発生的中数、非発生的中率及び非的中数をまとめた表2から、出力値が0.2のときの等高線が災害の発生管理基準線として設定されたことも含めて示されたグラフである。
Figure 0007141309000002
実施例1と同様に、このようにして得られた災害の発生管理基準線の内側が安全領域であり、外側が危険領域となるが、この図10に示されるグラフを用いて、その時点で評価の対象となっている計測値が、この内側の安全領域に含まれている場合には、危険度判定部8は安全、外側の危険領域に含まれている場合には危険度判定部8は危険という危険度判定を行うものである。
このような亀裂変位計40を用いることでトンネルやコンクリート製の構造物に発生した亀裂の変位によって災害の発生危険度を評価することも可能であり、特に、トンネルの内壁のように降雨の影響を直接受けないような箇所においても高い精度で危険度を評価・判定することが可能である。
次に、第1の実施の形態に係る災害発生危険度定量評価システム1の実施例3について図11及び図12を参照しながら説明する。実施例3は、地盤変位データとして地盤傾斜計によって計測されたデータを用いる場合である。
図11(a),(b)において、地盤傾斜計50は、地面57の傾斜を測定するためのセンサーモジュール51を目印と支持のための杭55と一緒に地中に埋め、センサーモジュール51から延設される信号ケーブル54に接続された無線モジュール52を支持杭56に固定するようにして設置される。無線モジュール52からはアンテナ53を介して、傾斜変位データが災害発生危険度定量評価システム1に対して送信される。この地盤傾斜計50から出力される傾斜変位データを地盤変位データとして利用する。
図12は、横軸を地盤傾斜計50の5時間変位(長期地盤変位指標)とし、縦軸を時間変位(短期地盤変位指標)として、災害実績データ20(計測データに対する災害発生・災害非発生に関するデータ)と管理基準線評価部7によって解析された等高線(出力値)に対して、非発生的中数、非発生的中率及び非的中数をまとめた表3から、出力値が0.4のときの等高線が災害の発生管理基準線として設定されたことも含めて示されたグラフである。
Figure 0007141309000003
実施例1や2と同様に、このようにして得られた災害の発生管理基準線の内側が安全領域であり、外側が危険領域となるが、この図12に示されるグラフを用いて、その時点で評価の対象となっている計測値が、この内側の安全領域に含まれている場合には、危険度判定部8は安全、外側の危険領域に含まれている場合には危険度判定部8は危険という危険度判定を行うものである。
以上、本発明の実施例を説明したが、特許請求の範囲で規定された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、その形態や細部に種々の変更がなされても良いことは言うまでもない。
3つの実施例で説明したとおり、様々な地盤変位を計測可能な機器を用いて、災害発生危険度定量評価システム1を使用することが可能であるので、災害が発生する可能性のある箇所毎に適切な計測機器を選択することが可能であり、箇所によってカスタムメイドのシステムを構築することが可能である。また、降雨量計と異なり、地盤変位計は亀裂等の事象が発生する箇所にピンポイントで設置することが可能であり、その意味でもカスタムメイドのシステムを構築することが可能である。
自治体や防災センター等公的な機関における避難勧告や避難警報の発令業務をはじめ、個別の事業所や施設等、企業や個人が危険度を判定したいと考える箇所に導入が可能である。
1…災害発生危険度定量評価システム 2…入力部 3…演算部 4…出力部 5…解析条件設定部 6…応答曲面解析部 7…管理基準線評価部 8…危険度判定部 9…解析条件データベース 10…計測実施箇所データベース 11…応答曲面データベース 12…災害実績データベース 13…判定情報データベース 14…解析条件データ 15…パラメータデータ 16…監視対象箇所データ 17…地盤変位データ 18…応答曲面データ 19…災害の発生管理基準線データ 20…災害実績データ 21…危険度判定データ 22a…データ 22b…解析条件 25…地盤伸縮計 26…インバー線保護管 27…インバー線 28…杭 29…亀裂 30…日-時間の関係変位線 31…日-月の関係変位線 32…電子メール 33…自治体 34…現地の住民 35…サイレン 36…パトランプ 40…亀裂変位計 41…歪ゲージ内包シリンダー 42…固定金具 43…亀裂 44…コンクリート表面 50…地盤傾斜計 51…センサーモジュール 52…無線モジュール 53…アンテナ 54…信号ケーブル 55…杭 56…支持杭 57…地面

Claims (9)

  1. 地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するシステムであって、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを格納する計測実施箇所データベースと、
    この計測実施箇所データベースから前記短期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標の前記地盤変位データを読み出す解析条件設定部と、
    前記短期地盤変位指標と前記長期地盤変位指標をそれぞれ縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて応答曲面を生成し、この応答曲面を応答曲面データベースに格納する応答曲面解析部と、
    前記応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線を設定し、この発生管理基準線に関するデータを前記応答曲面データベースに格納する管理基準線評価部と、
    前記応答曲面データベースから前記発生管理基準線に関するデータを読み出してその発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとして判定情報データベースに格納する危険度判定部と、
    前記危険度判定データを出力する出力部と、を有することを特徴とする地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システム。
  2. 地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するシステムであって、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを格納する計測実施箇所データベースと、
    この計測実施箇所データベースから前記短期地盤変位指標、前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標の前記地盤変位データを読み出す解析条件設定部と、
    前記短期地盤変位指標と前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標から2個選択して異なる2組の指標組合せを生成し、共通の縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて2個の応答曲面を生成し、この2個の応答曲面を応答曲面データベースに格納する応答曲面解析部と、
    前記2個の応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線をそれぞれ設定し、それぞれの発生管理基準線に関するデータを前記応答曲面データベースに格納する管理基準線評価部と、
    前記応答曲面データベースからそれぞれの前記発生管理基準線に関するデータを読み出してそのそれぞれの前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとして判定情報データベースに格納する危険度判定部と、
    前記危険度判定データを出力する出力部と、を有することを特徴とする地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システム。
  3. 前記地盤変位データは、地盤伸縮計から得られる地盤変位データであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システム。
  4. 前記地盤変位データは、亀裂変位計から得られる地盤変位データであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システム。
  5. 前記地盤変位データは、地盤傾斜計から得られる地盤変位データであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価システム。
  6. 地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価する方法であって、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、
    前記短期地盤変位指標と前記長期地盤変位指標をそれぞれ縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、
    前記応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線を設定する管理基準線評価工程と、
    前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、
    前記危険度判定データを出力する出力工程と、を有することを特徴とする地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価方法。
  7. 地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価する方法であって、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、
    前記短期地盤変位指標と前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標から2個選択して異なる2組の指標組合せを生成し、共通の縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて2個の応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、
    前記2個の応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線をそれぞれ設定する管理基準線評価工程と、
    それぞれの前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、
    前記危険度判定データを出力する出力工程と、を有することを特徴とする地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価方法。
  8. コンピュータによって、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するために実行されるプログラムであって、短期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、
    前記短期地盤変位指標と前記長期地盤変位指標をそれぞれ縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、
    前記応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線を設定する管理基準線評価工程と、
    前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、
    前記危険度判定データを出力する出力工程と、を実行させることを特徴とする地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価プログラム。
  9. コンピュータによって、地盤変位に起因する災害の発生に対する危険度を定量的に評価するために実行されるプログラムであって、短期地盤変位指標と中期地盤変位指標と長期地盤変位指標とを有する地盤変位データと前記地盤変位に起因する災害の実績を発生・非発生で示す災害実績データを含むデータセットからなる複数の実績データを用いて、
    前記短期地盤変位指標と前記中期地盤変位指標及び前記長期地盤変位指標から2個選択して異なる2組の指標組合せを生成し、共通の縦軸と横軸として形成される2次元座標上に前記地盤変位データに対応した前記災害実績データから、放射状基底関数ネットワーク(RBFN)を用いて2個の応答曲面を生成する応答曲面解析工程と、
    前記2個の応答曲面から前記災害実績データの分布に基づいて前記地盤変位に起因する災害の発生管理基準線をそれぞれ設定する管理基準線評価工程と、
    それぞれの前記発生管理基準線の内側を安全領域とし外側を危険領域として区分し、この安全領域又は危険領域に関するデータを危険度判定データとする危険度判定工程と、
    前記危険度判定データを出力する出力工程と、を実行させることを特徴とする地盤変位に起因する災害発生危険度定量評価プログラム。
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