JP7140492B2 - フェノール樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
フェノール樹脂発泡体は通常、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒(硬化剤)等を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させることによって製造される。このようにして製造されたフェノール樹脂発泡体は独立気泡を有し、独立気泡中には発泡剤から発生したガスが含まれる。
フェノール樹脂発泡体の発泡剤として、塩素化脂肪族炭化水素である2-クロロプロパンと、脂肪族炭化水素であるイソペンタンとの混合物を用いることが提案されている。かかる混合物を発泡剤として用いたフェノール樹脂発泡体は、本質的に気泡欠陥が無く、安定かつ低い熱伝導率を示すとされている(特許文献1参照)。
本発明は、切粉が付着しにくいフェノール樹脂発泡体の提供を目的とする。
<1> フェノール樹脂と、ハロゲン化不飽和炭化水素を含み、密度が15~50kg/m3、平均気泡径が200μm以下、独立気泡率が80%以上であり、表面抵抗率が1×1012Ω/□以下である、フェノール樹脂発泡体。
<2> 平衡含水率が3~10質量%である、<1>のフェノール樹脂発泡体。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂と、ハロゲン化不飽和炭化水素を含む発泡剤と、酸触媒とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡及び硬化させることを含む方法により得ることができる。
フェノール樹脂としては、レゾール型のものが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノールおよびこれらの変性物等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。
アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。
ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1~1:3であり、より好ましくは1:1.3~1:2.5である。
発泡剤は、ハロゲン化不飽和炭化水素を含む。ハロゲン化不飽和炭化水素としては、フッ素化不飽和炭化水素、塩素化不飽和炭化水素、塩素化フッ素化不飽和炭化水素、臭素化フッ素化不飽和炭化水素、ヨウ素化フッ素化不飽和炭化水素等が挙げられる。ハロゲン化不飽和炭化水素は、水素原子の全てがハロゲン原子で置換されたものでもよいし、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたものでもよい。
ハロゲン化不飽和炭化水素としては、フッ素化不飽和炭化水素、塩素化フッ素化不飽和炭化水素等、フッ素原子を有するものが好ましい。
これらのハロゲン化不飽和炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
分子内に水素原子と塩素原子とフッ素原子と炭素-炭素2重結合を含むもの(HCFO)がより好ましい。
塩素化飽和炭化水素としては、炭素数が2~5であるものが好ましい。塩素化脂肪族炭化水素がより好ましい。例えばジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、イソペンチルクロライド等が挙げられる。
上記の中でも、オゾン層破壊係数が低く、環境適合性に優れる点で、イソプロピルクロライド(別名:2-クロロプロパン)が好ましい。
発泡剤100質量部のうちハロゲン化不飽和炭化水素の割合は、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、50質量部以上が最も好ましい。100質量部でもよい。
溶媒抽出法:
予めハロゲン化不飽和炭化水素、ハロゲン化飽和炭化水素、または飽和炭化水素の標準ガスを用いて、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)での以下の測定条件における保持時間を求める。次に、上下の面材を剥がしたフェノール樹脂発泡体のサンプル1.6gを粉砕用ガラス容器に分取し、テトラヒドロフラン(THF)80mLを添加する。サンプルが溶媒に浸る程度に押しつぶした後、ホモジナイザーで1分30秒間粉砕抽出し、この抽出液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液をGC/MSに供する。炭化水素の種類は、事前に求めた保持時間とマススペクトルから同定を行う。発泡剤成分の検出感度を各々標準ガスによって測定し、上記GC/MSで得られた各ガス成分の検出エリア面積と検出感度より、組成(質量比)を算出する。
・GC/MS測定条件
使用カラム:DB-5ms(アジレントテクノロジー社)60m、内径0.25mm、膜厚1μm
カラム温度:40℃(10分)-10℃/分-200℃
注入口温度:200℃
インターフェイス温度:230℃
キャリアガス:He 1.0mL/分
スプリット比:20:1
測定方法:走査法 m/Z=11~550
(酸触媒)
酸触媒は、フェノール樹脂を硬化させるために発泡性フェノール樹脂組成物に含有させる。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の酸触媒の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、5~30質量部が好ましく、8~25質量部がより好ましく、10~20質量部がさらに好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物に界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤は、気泡径(セル径)の微細化に寄与する。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance、親水親油バランスともいう)が8~18のものを用いることが好ましい。界面活性剤のHLBが上記の範囲内であると、雰囲気湿度が上昇したときの吸水が少ないフェノール樹脂発泡体が得られやすい。界面活性剤のHLBは10~14がより好ましい。界面活性剤を複数種類混合して用いる場合のHLBは各成分のHLBの加重平均となる。
例えば、HLB=17.6のアルキル基C18のポリオキシエチレンステアリルエーテルを測定する場合には、最頻ピークが2010付近に現れ、ピーク間隔が約44で検出される。この検出状態により、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの存在と、ピークの高さ(強さ)で存在量を推定できる。
他の成分としては、フェノール樹脂発泡体の添加剤として公知のものを発泡性フェノール樹脂組成物に加えることができ、例えば尿素、可塑剤、充填剤、難燃剤(例えばリン系難燃剤等)、架橋剤、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤、中和剤等が挙げられる。
発泡性フェノール樹脂組成物は、上記の各成分を混合することにより調製できる。
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えばフェノール樹脂に、必要に応じて界面活性剤や他の成分を加えて全体を混合し、この混合物に発泡剤、酸触媒を添加し、この組成物をミキサーに供給して攪拌することにより発泡性フェノール樹脂組成物を調製できる。
フェノール樹脂発泡体の製造は、公知の方法により実施できる。例えば発泡性フェノール樹脂組成物を加熱炉内で加熱して発泡、硬化させ(発泡・硬化工程)、さらに乾燥器内で硬化、乾燥させる(後硬化・乾燥工程)ことにより、フェノール樹脂発泡体を製造する方法が好ましい。
面材としては、特に制限されず、ガラスペーパー、ガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、ガラス繊維混抄紙、クラフト紙、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の繊維で構成される合成繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔張不織布、アルミニウム箔張クラフト紙、金属板、金属箔、合板、珪酸カルシウム板、石膏ボードおよび木質系セメント板の中から選ばれる少なくとも1種が好適であり、特に、ガラス繊維混抄紙、ガラス繊維不織布、合成繊維不織布が工業的に流通量が多いため入手しやすく好ましい。なかでも合成繊維不織布は、製造上のエンボス加熱ロールにより繊維間の熱融着点パターンを変えることで不織布表層の風合いや毛羽立ちをコントロールすることも可能であり、取り回しがし易い点で好ましい。また、面材が合成繊維不織布であると、発泡性フェノール樹脂組成物中の水分や、フェノール樹脂の縮合の際に生じる水によって、面材が収縮等してシワが発生するのを抑制できる。
面材は、フェノール樹脂発泡体の片面に設けてもよく、両面に設けてもよい。両面に設ける場合、各面材は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
フェノール樹脂発泡体を製造する際に面材を設ける方法としては、例えば、連続走行するコンベアベルト上に面材を配置し、該面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を吐出し、その上に他の面材を積層した後、加熱炉を通過させて発泡成形する方法が挙げられる。これにより、シート状のフェノール樹脂発泡体の両面に面材が積層した面材付きフェノール樹脂発泡体が得られる。
面材は、発泡成形の後、接着剤を用いてフェノール樹脂発泡体に貼り合わせて設けてもよい。
ガラス繊維混抄紙を用いる場合には、目付は30g/m2以上300g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以上250g/m2以下であることがより好ましく、60g/m2以上200g/m2以下であることがさらに好ましく、70g/m2以上150g/m2以下であることが特に好ましい。
ガラス繊維不織布を用いる場合には、目付は15g/m2以上300g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましく、30g/m2以上150g/m2以下であることがさらに好ましい。
目付が上記下限値以上であれば、発泡性フェノール樹脂組成物が面材の表面にしみ出しにくい。目付が上記上限値以下であれば、発泡体と面材との接着性を高められる。これにより、面材が発泡体から剥がれにくくなり表面をより美麗にできる。加えて、コンベア等の搬送機器に追従させやすくなり、フェノール樹脂発泡体の生産性を高めやすい。特に、発泡剤がハロゲン化飽和炭化水素、フッ素化不飽和炭化水素(HFO)、塩素化フッ素化不飽和炭化水素およびシクロペンタンを含む場合、発泡剤を含有することで発泡性フェノール樹脂組成物の粘度が低くなる。前記組成物の粘度が低くなると、面材に対して前記組成物が滲み込みやすくなり、面材の表面に前記組成物が滲み出しやすくなるため、面材の目付は上記下限値以上とすることで前記組成物が滲み出すのを防ぐことができる。
なお、ガラス繊維混抄紙の残りの主成分はセルロース繊維であり、そのほかに結合剤、無機充填剤、着色剤などを含んでいてもよい。
エンボスのパターン(柄)としては、特に限定されないが、例えば、マイナス柄、ポイント柄、織り目柄等が挙げられる。エンボスによる凹凸形状が大きく、発泡層との接着性をより高められる点から織り目柄またはマイナス柄が好ましい。
合成繊維不織布にエンボス加工を施すには、例えば、公知のスパンボンド法で、紡口直下の冷却条件により発現させた捲縮長繊維ウェブを熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより、または潜在捲縮長繊維ウェブを熱処理により捲縮させて熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより製造される。
なお、熱圧着固定部分は一般的に目視又は光学顕微鏡等により簡単に見つけることができる。個々の熱圧着固定部分の面積は、以下の方法により測定することができる。
不織布の表面を光学顕微鏡で10倍に拡大した画像を得た。画像処理ソフトウェア(商品名「Photoshop(登録商標)」、アドビシステムズインコーポレーテッド社製)を用いて、不織布表面の縦100mm、横100mmの正方形(単位面積)に含まれる、熱圧着固定部分の合計面積を測定した。
熱圧着固定部分密度(個/cm2)=[熱圧着固定部分の数(個)]/」[面材の表面積(cm2)]・・・(s)
熱圧着固定部分密度が上記下限値以上であれば、発泡性樹脂組成物の滲み出しを良好に抑制できる。熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、発泡樹脂層と面材との接着性をより向上させることができ、吸水量を低くすることができる。また、熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、後述するフラジール通気度を高くでき、養生時間を短縮できる。また、より長期にわたって低い熱伝導率を維持できる。
面材のフラジール通気度が60cm3/cm2・sec未満であると、養生工程における養生時間が長くなったり、硬化工程で生成した水分が発泡層中に残留し、残留した水分が養生工程で除去されるときに孔となって独立気泡率が低下するおそれがある。
面材のフラジール通気度が900cm3/cm2・secを超えるような面材は目付が著しく小さいか、熱圧着固定部分密度が著しく小さい。このため、面材上に吐出されたフェノール樹脂組成物が発泡、硬化する過程において面材から滲み出してしまい、製造設備を汚してしまう。また、外部からの水分が発泡層に到達しやすくなり吸水量が増大する。
なお、フラジール通気度は、JIS L 1096に準じてフラジール形試験機を用いて面材を通過する空気量を測定して算出した値であり、発泡層に積層される前の面材について測定される。
[密度]
本発明のフェノール樹脂発泡体の密度は、15~50kg/m3であり、20~40kg/m3が好ましく、25~35kg/m3がより好ましい。上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡体の圧縮強度のさらなる向上を図りやすく、上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡体の断熱性のさらなる向上を図りやすい。
該密度は、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等により調整される。
該密度の測定方法は後述する。
本発明のフェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、200μm以下であり、50μm以上200μm以下が好ましく、50μm以上150μm以下がより好ましく、50μm以上120μm以下がさらに好ましく、50μm以上100μm以下が最も好ましい。平均気泡径が上記範囲内であれば、フェノール樹脂発泡体の断熱性をより高められる。
該平均気泡径は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
該平均気泡径の測定方法は後述する。
本発明のフェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、80%以上であり、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、100%でもよい。独立気泡率が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡体の断熱性をより高められる。
該独立気泡率は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
該独立気泡率の測定方法は後述する。
本発明のフェノール樹脂発泡体の表面抵抗率は1×1012Ω/□以下であり、1×1011Ω/□以下が好ましく、1×1010Ω/□以下がより好ましい。表面抵抗率が上記範囲の上限値以下であると、切粉が付着し難く、表面抵抗率が低いほど切粉の付着が抑制される。該表面抵抗率の下限値は特に限定されないが、他の物性との良好なバランスを実現するうえで、1×104Ω/□以上が好ましく、1×105Ω/□以上がより好ましい。
該表面抵抗率は、発泡剤中のハロゲン化不飽和炭化水素の含有量が多いほど低下しやすい。ハロゲン化不飽和炭化水素が極性を有することが、表面抵抗率の低下に寄与すると考えられる。
該表面抵抗率の測定方法は後述する。
本発明のフェノール樹脂発泡体の平衡含水率は3~10質量%が好ましく、3~8質量%がより好ましく、4~7質量%がさらに好ましい。平衡含水率が上記範囲の下限値以上であると、低い表面抵抗率が得られやすく、上限値以下であると断熱性をより高められる。該平衡含水率の測定方法は後述する。
後硬化・乾燥工程は、硬化炉中の温度と時間を調整して行う。加熱温度が80℃以上90℃以下の範囲では、4.5時間以上12時間以下行うことが好ましい。また、加熱温度が91℃以上120℃以下の範囲では1時間以上4.5時間未満行うことが好ましい。
上記下限値未満では未乾燥状態であり(乾燥が十分でなく)、後硬化が完了せずに気泡の粗大化や独立気泡率が低下するだけでなく、平衡含水率が高くなるため熱伝導率が悪化する。一方、上記上限値を超えると加熱乾燥が進み過ぎ、気泡が破裂して独立気泡率が低下するだけでなく、平衡含水率が低くなりすぎるためフェノール樹脂発泡体をカットした際に切粉が出やすい。
この際、熱風硬化炉の構造としては特に制限はなく、単一構造でも複合構造でもよい。また、硬化炉として熱風硬化炉を使用してもよい。この場合、熱風の風速に特に制限はないが、通常0.5m/秒以上、好ましくは1m/秒以上である。この風速が0.5m/秒未満では後硬化処理に時間が長くかかりすぎ、生産性が悪い上、所定の物性を有するフェノール樹脂発泡体が得られにくい。
<測定方法>
フェノール樹脂発泡体の物性の測定方法は以下の通りである。
[密度]
密度は、JIS A 9511:2009に従い、フェノール樹脂発泡体の密度を測定する。
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出す。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影する。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引く。この際、ボイド(2mm2以上の空隙)を避けるように直線を引く。各直線が横切った気泡の
数(JIS K6400-1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求める。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とする。
[独立気泡率]
JIS K7138-2006に従い、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率を測定する。
[熱伝導率]
熱伝導率は、JIS A 1412-2に従い測定する。
フェノール樹脂発泡体を厚さ方向に平行に切断する。切断位置は、フェノール樹脂発泡体の厚さ方向に平行な端面から5cm以上内側とする。切断直後の切断面の表面抵抗率を、表面抵抗率計( 三菱化学社製、製品名:ハイレスタUP MCP-HT450)を用い、印加電圧100Vにて測定する。ただし、表面抵抗率が1×1012Ω/□以上の場合は印加電圧を1000Vにて測定する。
得られた面材付きフェノール樹脂発泡体を、幅方向200mm、長さ方向200mmにカットした後、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中で14日間放置したフェノール樹脂発泡体の質量を初期質量m0とする。該フェノール樹脂発泡体を104℃のオーブンに投入し、48時間後の質量をm1とし、下式(1)で平衡含水率(単位:質量%)を求める。
平衡含水率=(m0-m1)/m0×100 …(1)
実施例4、5は参考例である。
表1、2に示す発泡剤を用い、以下の方法でフェノール樹脂発泡体を製造した。各例で使用した発泡剤の、フェノール樹脂100質量部に対する添加量を表1、2に示す。
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF-339)100質量部に、界面活性剤としてひまし油EO付加物(付加モル数30、HLB=11)4.5質量部、ホルムアルデヒドキャッチャー剤として尿素4質量部を加えて混合し、20℃で8時間放置した。
このようにして得られた混合物108.5質量部に対し、表1、2に示す発泡剤を加え、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸との混合物16質量部を加え、攪拌、混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製した。
この発泡性フェノール樹脂組成物を、連続的に走行する第一の面材(材質:ポリエステル不織布、目付:30g/m2、熱圧着固定部分密度:8個/cm2、フラジール通気度:300cm3/cm2・sec)上に、該第一の面材の走行方向(以下、長さ方向ともいう。)に対して垂直方向(以下、幅方向ともいう。)に等間隔に18本配置されているノズルから吐出した。その上に第二の面材(材質:ポリエステル不織布)を重ねた。第一の面材の上面と第二の面材の下面とで発泡性フェノール樹脂組成物層が挟持された状態の未硬化物を形成した。
該未硬化物を70℃で300秒間熱して発泡成形し(発泡・硬化工程)、表1、2に示した加熱温度と時間で後硬化・乾燥させた(後硬化、乾燥工程)。その後、幅方向1820mm、長さ方向910mmに切断し、厚さ45mmの面材付きフェノール樹脂発泡体を製造した。
上記の方法で、密度、平均気泡径、独立気泡率、熱伝導率、平衡含水率および表面抵抗率位をそれぞれ測定した。結果を表1、2に示す(以下、同様)。
界面活性剤としてアルキルエーテル系界面活性剤(日光ケミカルズ社製、製品名「NIKKOL BB-20」、HLB=16.5)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で面材付きフェノール樹脂発泡体を製造した。
Claims (2)
- フェノール樹脂と、飽和炭化水素およびハロゲン化不飽和炭化水素を含む発泡剤と、界面活性剤とを含むフェノール樹脂発泡体であって、
ポリエステル不織布からなり熱圧着固定部分を5~150個/cm 2 有する面材を両面に有し、前記発泡剤におけるハロゲン化不飽和炭化水素の割合が30~70質量%であり、前記界面活性剤のHLBが8~18であり、密度が15~50kg/m3、平均気泡径が50~150μm、独立気泡率が80%以上、熱伝導率が0.0186以下であり、下記の測定方法(I)で測定される表面抵抗率が1×1012Ω/□以下であり、平衡含水率が3~10質量%である、フェノール樹脂発泡体。
測定方法(I):フェノール樹脂発泡体を厚さ方向に平行に切断する。切断位置は、フェノール樹脂発泡体の厚さ方向に平行な端面から5cm以上内側とする。切断直後の切断面の表面抵抗率を印加電圧100Vにて測定する。ただし、表面抵抗率が1×1012Ω/□以上の場合は印加電圧を1000Vにて測定する。 - 請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法であって、
フェノール樹脂と、飽和炭化水素およびハロゲン化不飽和炭化水素を含む発泡剤と、HLBが8~18である界面活性剤と、酸触媒とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を、熱圧着固定部分を5~150個/cm 2 有するポリエステル不織布上に吐出後、加熱して、発泡し、硬化させる発泡硬化工程、及び
前記発泡硬化工程の後、前記発泡性フェノール樹脂組成物を乾燥し、さらに硬化させる後硬化・乾燥工程を有し、
前記発泡剤におけるハロゲン化不飽和炭化水素の割合が30~70質量%であり、
前記後硬化・乾燥工程を、91℃以上120℃以下で、1時間以上4.5時間以下行うことを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法。
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