<半導体集積回路装置(全体構成)>
図1は、半導体集積回路装置の全体構成を示すブロック図である。本実施形態の半導体集積回路装置1は、ECU[electronic control unit]2からの指示に応じて電源電圧VBBの印加端と負荷3との間を導通/遮断する車載用ハイサイドスイッチIC(=車載IPDの一種)である。
なお、半導体集積回路装置1は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1~T4を備えている。外部端子T1は、不図示のバッテリから電源電圧VBB(例えば12V)の供給を受け付けるための電源端子(VBBピン)である。外部端子T2は、負荷3(バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータなど)を外部接続するための負荷接続端子ないしは出力端子(OUTピン)である。外部端子T3は、ECU2から外部制御信号Siの外部入力を受け付けるための信号入力端子(INピン)である。外部端子T4は、ECU2に状態報知信号Soを外部出力するための信号出力端子(SENSEピン)である。なお、外部端子T4と接地端との間には、外部センス抵抗4が外付けされている。
また、半導体集積回路装置1は、NMOSFET10と、出力電流監視部20と、ゲート制御部30と、制御ロジック部40と、信号入力部50と、内部電源部60と、異常保護部70と、出力電流検出部80と、信号出力部90と、を集積化して成る。
NMOSFET10は、ドレインが外部端子T1に接続されてソースが外部端子T2に接続された高耐圧(例えば42V耐圧)のパワートランジスタである。このように接続されたNMOSFET10は、電源電圧VBBの印加端から負荷3を介して接地端に至る電流経路を導通/遮断するためのスイッチ素子(ハイサイドスイッチ)として機能する。なお、NMOSFET10は、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート駆動信号G1がローレベルであるときにオフする。
なお、NMOSFET10は、オン抵抗値が数十mΩとなるように設計すればよい。ただし、NMOSFET10のオン抵抗値が低いほど、外部端子T2の地絡時(=接地端ないしはこれに準ずる低電位端への出力ショート時)に過電流が流れやすくなり、異常発熱を生じやすくなる。従って、NMOSFET10のオン抵抗値を下げるほど、後述する過電流保護回路71や温度保護回路73の重要性が高くなる。
出力電流監視部20は、NMOSFET21及び21’とセンス抵抗22を含み、NMOSFET10に流れる出力電流Ioに応じたセンス電圧Vs(=センス信号に相当)を生成する。
NMOSFET21及び21’は、いずれもNMOSFET10に対して並列接続されたミラートランジスタであり、出力電流Ioに応じたセンス電流Is及びIs’を生成する。NMOSFET10とNMOSFET21及び21’とのサイズ比は、m:1(ただしm>1)である。従って、センス電流Is及びIs’は、出力電流Ioを1/mに減じた大きさとなる。なお、NMOSFET21及び21’は、NMOSFET10と同様、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧G2がローレベルであるときにオフする。
センス抵抗22(抵抗値:Rs)は、NMOSFET21のソースと外部端子T2との間に接続されており、センス電流Isに応じたセンス電圧Vs(=Is×Rs+Vo、ただし、Voは外部端子T2に現れる出力電圧)を生成する電流/電圧変換素子である。
ゲート制御部30は、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成してNMOSFET10及び21それぞれのゲートに出力することにより、NMOSFET10及び21のオン/オフ制御を行う。なお、ゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにNMOSFET10及び21を制御する機能を備えている。
制御ロジック部40は、内部電源電圧Vregの供給を受けてゲート制御信号S1を生成する。例えば、外部制御信号Siがハイレベル(=NMOSFET10をオンさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されるので、制御ロジック部40が動作状態となり、ゲート制御信号S1がハイレベル(=Vreg)となる。一方、外部制御信号Siがローレベル(=NMOSFET10をオフさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されないので、制御ロジック部40が非動作状態となり、ゲート制御信号S1がローレベル(=GND)となる。また、制御ロジック部40は、各種の異常保護信号(過電流保護信号S71、オープン保護信号S72、温度保護信号S73、及び、減電圧保護信号S74)を監視している。なお、制御ロジック部40は、上記した異常保護信号のうち、過電流保護信号S71、オープン保護信号S72、及び、温度保護信号S73の監視結果に応じて出力切替信号S2を生成する機能も備えている。
信号入力部50は、外部端子T3から外部制御信号Siの入力を受け付けて制御ロジック部40や内部電源部60に伝達するシュミットトリガである。なお、外部制御信号Siは、例えば、NMOSFET10をオンさせるときにハイレベルとなり、NMOSFET10をオフさせるときにローレベルとなる。
内部電源部60は、電源電圧VBBから所定の内部電源電圧Vregを生成して半導体集積回路装置1の各部に供給する。なお、内部電源部60の動作可否は、外部制御信号Siに応じて制御される。より具体的に述べると、内部電源部60は、外部制御信号Siがハイレベルであるときに動作状態となり、外部制御信号Siがローレベルであるときに非動作状態となる。
異常保護部70は、半導体集積回路装置1の各種異常を検出する回路ブロックであり、過電流保護回路71と、オープン保護回路72と、温度保護回路73と、減電圧保護回路74と、を含む。
過電流保護回路71は、センス電圧Vsの監視結果(=出力電流Ioの過電流異常が生じているか否か)に応じた過電流保護信号S71を生成する。なお、過電流保護信号S71は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
オープン保護回路72は、出力電圧Voの監視結果(=負荷3のオープン異常が生じているか否か)に応じたオープン保護信号S72を生成する。なお、オープン保護信号S72は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
温度保護回路73は、半導体集積回路装置1(特にNMOSFET10周辺)の異常発熱を検出する温度検出素子(不図示)を含み、その検出結果(=異常発熱が生じているか否か)に応じた温度保護信号S73を生成する。なお、温度保護信号S73は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
減電圧保護回路74は、電源電圧VBBないしは内部電源電圧Vregの監視結果(=減電圧異常が生じているか否か)に応じた減電圧保護信号S74を生成する。なお、減電圧保護信号S74は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
出力電流検出部80は、不図示のバイアス手段を用いてNMOSFET21’のソース電圧と出力電圧Voとを一致させることにより、出力電流Ioに応じたセンス電流Is’(=Io/m)を生成して信号出力部90に出力する。
信号出力部90は、出力選択信号S2に基づいてセンス電流Is’(=出力電流Ioの検出結果に相当)と固定電圧V90(=異常フラグに相当、本図では明示せず)の一方を外部端子T4に選択出力する。なお、センス電流Is’が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、センス電流Is’を外部センス抵抗4(抵抗値:R4)で電流/電圧変換した出力検出電圧V80(=Is’×R4)がECU2に伝達される。なお、出力検出電圧V80は、出力電流Ioが大きいほど高くなり、出力電流Ioが小さいほど低くなる。一方、固定電圧V90が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、固定電圧V90がECU2に伝達される。
<信号出力部>
図2は、信号出力部90の一構成例を示すブロック図である。本構成例の信号出力部90はセレクタ91を含む。セレクタ91は、出力選択信号S2が異常未検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに、センス電流Is’を外部端子T4に選択出力し、出力選択信号S2が異常検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに、固定電圧V90を外部端子T4に選択出力する。なお、固定電圧V90は、先述した出力検出電圧V80の上限値よりも高い電圧値に設定されている。
このような信号出力部90によれば、単一の状態報知信号Soを用いて出力電流Ioの検出結果と異常フラグの双方をECU2に伝達することができるので、外部端子数の削減に貢献することが可能となる。なお、状態報知信号Soから出力電流Ioの電流値を読み取る場合には、状態報知信号SoをA/D[analog-to-digital]変換してやればよい。一方、状態報知信号Soから異常フラグを読み取る場合には、固定電圧V90よりもやや低い閾値を用いて状態報知信号Soの論理レベルを判定してやればよい。
<ゲート制御部>
図3は、ゲート制御部30の一構成例を示すブロック図である。本構成例のゲート制御部30は、ゲートドライバ31と、オシレータ32と、チャージポンプ33と、クランパ34と、NMOSFET35と、抵抗36(抵抗値:R36)と、キャパシタ37(容量値:C37)と、ツェナダイオード38と、を含む。
ゲートドライバ31は、チャージポンプ33の出力端(=昇圧電圧VGの印加端)と外部端子T2(=出力電圧Voの印加端)との間に接続されており、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成する。なお、ゲート駆動信号G1は、ゲート制御信号S1がハイレベルであるときにハイレベル(=VG)となり、ゲート制御信号S1がローレベルであるときにローレベル(=Vo)となる。
オシレータ32は、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ33に出力する。なお、オシレータ32の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号Saに応じて制御される。
チャージポンプ33は、クロック信号CLKを用いてフライングキャパシタを駆動することにより、電源電圧VBBよりも高い昇圧電圧VGを生成してゲートドライバ31に供給する昇圧部の一例である。なお、チャージポンプ33の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号Sbに応じて制御される。
クランパ34は、外部端子T1(=電源電圧VBBの印加端)とNMOSFET10のゲートとの間に接続されている。外部端子T2に誘導性の負荷3が接続されるアプリケーションでは、NMOSFET10をオンからオフへ切り替える際、負荷3の逆起電力により、出力電圧Voが負電圧(<GND)となる。そのため、エネルギー吸収用にクランパ34(いわゆるアクティブクランプ回路)が設けられている。
NMOSFET35のドレインは、NMOSFET10のゲートに接続されている。NMOSFET35のソースは、外部端子T2に接続されている。NMOSFET35のゲートは、過電流保護信号S71の印加端に接続されている。また、NMOSFET35のドレイン・ゲート間には、抵抗36とキャパシタ37が直列に接続されている。
ツェナダイオード38のカソードは、NMOSFET10のゲートに接続されている。ツェナダイオード38のアノードは、NMOSFET10のソースに接続されている。このように接続されたツェナダイオード38は、NMOSFET10のゲート・ソース間電圧(=VG-Vo)を所定値以下に制限するクランプ素子として機能する。
本構成例のゲート制御部30において、過電流保護信号S71がハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R36×C37)で引き下げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S71がローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
このように、本構成例のゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する機能を備えている。
<過電流保護回路>
図4は、過電流保護回路71の一構成例を示すブロック図である。本構成例の過電流保護回路71は、第1電流生成部110と、第2電流生成部120と、閾値電圧生成部130と、過電流検出部140と、参照電圧生成部150と、比較部160と、閾値制御部170と、を含む。
第1電流生成部110は、第1電流Irefを生成して閾値電圧生成部130に出力する。第1電流Irefの電流値は、半導体集積回路装置1の内部で固定されている。
第2電流生成部120は、第2電流Isetを生成して閾値電圧生成部130に出力する。第2電流Isetの電流値は、半導体集積回路装置1の外部から任意に調整することが可能である。
閾値電圧生成部130は、閾値制御信号S170に応じて閾値電圧Vth(=過電流検出閾値に相当)を内部設定値VthHとするか外部設定値VthL(ただしVthH>VthL)とするかを切り替える。なお、内部設定値VthHは、第1電流Irefに応じて設定される固定値(=第1設定値に相当)である。一方、外部設定値VthLは、第2電流Isetに応じて設定される可変値(=第2設定値に相当)である。
過電流検出部140は、センス電圧Vsと閾値電圧Vthとを比較して過電流保護信号S71を生成する。
参照電圧生成部150は、第2電流Isetに応じた参照電圧VIset(=参照値に相当)を生成する。
比較部160は、センス電圧Vsと参照電圧VIsetとを比較して比較信号VCMPを生成する。
閾値制御部170は、比較信号VCMPを監視して閾値制御信号S170を生成する。なお、閾値制御信号S170は、例えば、閾値電圧Vthとして内部設定値VthHを選択すべきときにローレベルとなり、閾値電圧Vthとして外部設定値VthLを選択すべきときにハイレベルとなる。
<第1電流生成部>
図5は、第1電流生成部110の一構成例を示す回路図である。本構成例の第1電流生成部110は、オペアンプ111と、NMOSFET112と、抵抗113(抵抗値:R113)と、を含む。
オペアンプ111の電源端は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。オペアンプ111の基準電位端は、接地端GNDに接続されている。オペアンプ111の非反転入力端(+)は、基準電圧Vref(例えば、電源変動や温度変動などの影響を受けにくいバンドギャップ基準電圧)の印加端に接続されている。オペアンプ111の反転入力端(-)とNMOSFET112のソースは、抵抗113の第1端に接続されている。抵抗113の第2端は、接地端GNDに接続されている。オペアンプ111の出力端は、NMOSFET112のゲートに接続されている。NMOSFET112のドレインは、第1電流Irefの出力端に接続されている。
上記のように接続されたオペアンプ111は、非反転入力端(+)と反転入力端(-)がイマジナリショートするように、トランジスタ112のゲート制御を行う。その結果、抵抗113には、固定値の第1電流Iref(=Vref×R113)が流れる。
<第2電流生成部>
図6は、第2電流生成部120の一構成例を示す回路図である。本構成例の第2電流生成部120は、オペアンプ121と、NMOSFET122と、抵抗123(抵抗値:R123)と、外部端子SETと、を含む。
オペアンプ121の電源端は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。オペアンプ121の基準電位端は、接地端GNDに接続されている。オペアンプ121の非反転入力端(+)は、基準電圧Vrefの印加端に接続されている。オペアンプ121の反転入力端(-)とNMOSFET122のソースは、外部端子SETに接続されている。オペアンプ121の出力端は、NMOSFET122のゲートに接続されている。NMOSFET122のドレインは、第2電流Isetの出力端に接続されている。抵抗123は、半導体集積回路装置1の外部において、外部端子SETと接地端GNDとの間に接続されている。
上記のように接続されたオペアンプ121は、非反転入力端(+)と反転入力端(-)がイマジナリショートするように、トランジスタ122のゲート制御を行う。その結果、抵抗123には、自身の抵抗値R123に応じた第2電流Iset(=Vref×R123)が流れる。すなわち、第2電流Isetは、抵抗値R123が高いほど大きくなり、逆に、抵抗値R123が低いほど小さくなる。従って、外付けの抵抗123を用いて第2電流Isetを任意に調整することが可能となる。なお、オペアンプ121内部の差動段をカスコード回路とすれば、第2電流Isetの設定精度を高めることが可能となる。
<閾値電圧生成部・過電流検出部>
図7は、閾値電圧生成部130と過電流検出部140の一構成例を示す回路図である。閾値電圧生成部130は、電流源131と、抵抗132と、カレントミラー133と、を含む。一方、過電流検出部140は、コンパレータ141を含む。
電流源131は、カレントミラー部133の電流入力端と定電圧VBBM5の印加端との間に接続されており、閾値制御信号S170に応じて第1電流Irefと第2電流Isetの一方を選択出力する。より具体的に述べると、電流源131は、閾値制御信号S170がローレベルであるときに第1電流Irefを選択出力し、閾値制御信号S170がハイレベルであるときに第2電流Isetを選択出力する。
抵抗132は、カレントミラー部133の電流出力端と出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)との間に接続されており、閾値制御信号S170に応じて、その抵抗値が第1抵抗値Rref1と第2抵抗値Rref2の一方に切り替えられる。より具体的に述べると、抵抗132の抵抗値は、閾値制御信号S170がローレベルであるときに第1抵抗値Rref1となり、閾値制御信号S170がハイレベルであるときに第2抵抗値Rref2となる。
カレントミラー部133は、定電圧VBB_REFと昇圧電圧VGの供給を受けて動作し、電流源131から入力される第1電流Irefまたは第2電流Isetをミラーして抵抗132に出力する。従って、カレントミラー部133の電流出力端(=抵抗132の高電位端)には、閾値制御信号S170に応じてその電圧値が切り替わる閾値電圧Vthが生成される。より具体的に述べると、閾値電圧Vthは、閾値制御信号S170がローレベルであるときに内部設定値VthH(=Iref×Rref1)となり、閾値制御信号S170がハイレベルであるときに外部設定値VthL(=Iset×Rref2)となる。なお、カレントミラー部133は、第1電源系(VBB_REF-VBBM5系)から第2電源系(VG-Vo系)に第1電流Irefまたは第2電流Isetを受け渡すレベルシフタとしても機能する。
なお、定電圧VBB_REF及び定電圧VBBM5は、いずれも、半導体集積回路装置1の内部で生成される基準電圧であり、例えば、VBB_REF≒VBB、VBBM5≒VBB-5Vとなる。
コンパレータ141の電源端は、昇圧電圧VGの印加端に接続されている。コンパレータ141の基準電位端は、出力電圧Voの印加端(外部端子T2)に接続されている。コンパレータ141の非反転入力端(+)は、センス電圧Vsの印加端に接続されている。コンパレータ141の反転入力端(-)は、閾値電圧Vthの印加端に接続されている。このようにして接続されたコンパレータ141は、センス電圧Vsと閾値電圧Vthとを比較して過電流保護信号S71を生成する。過電流保護信号S71は、センス電圧Vsが閾値電圧Vthよりも低いときにローレベル(=過電流未検出時の論理レベル)となり、センス電圧Vsが閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベル(=過電流検出時の論理レベル)となる。
図8は、過電流検出閾値の一例を示す模式図である。先にも述べたように、センス電圧Vsと比較される閾値電圧Vthは、閾値制御信号S170に応じて、内部設定値VthHと外部設定値VthLの一方に切り替えられる。これは、出力電流Ioと比較される過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpHと外部設定値IocpLの一方に切り替えられることと等価である。
なお、内部設定値IocpHは、負荷3のショート異常が生じた場合であっても半導体集積回路装置1が破壊されないように、NMOSFET10のオン抵抗値や素子耐圧に応じた固定値(例えば15A程度)とすることが望ましい。このように、内部設定値IocpHは、あくまで半導体集積回路装置1自体の保護を目的とするものであり、出力電流Ioの定常値から大きく乖離することも多い。
一方、外部設定値IocpLは、負荷3に応じて出力電流Ioの異常値が異なることに鑑み、負荷3に応じた可変値(例えば1A~10A)とすることが望ましい。例えば、バルブランプ駆動時の出力電流Ioは、ソレノイド駆動時の出力電流Ioよりも一般的に大きい。これを鑑みると、バルブランプ駆動時には、ソレノイド駆動時よりも外部設定値IocpLを高めに設定すればよい。逆に、発光ダイオード駆動時の出力電流Ioは、ソレノイド駆動時の出力電流Ioよりも一般的に小さい。これを鑑みると、発光ダイオード駆動時には、ソレノイド駆動時よりも外部設定値IocpLを低めに設定すればよい。
ところで、半導体集積回路装置1の駆動対象となる負荷3には、その正常動作として瞬時的に大きな出力電流Ioを流す必要のあるものも存在する。例えば、バルブランプの起動時には、定常動作時よりも大きな突入電流が瞬時的に流れる。負荷3によっては、起動時の出力電流Ioと定常動作時の出力電流Ioとの間で数十倍の差が生じることもある。
そのため、瞬時電流の確保と負荷3に応じた過電流保護とを両立するためには、出力電流Ioと比較される過電流検出閾値Iocp(延いては、センス電圧Vsと比較される閾値電圧Vth)を適切なタイミングで切り替えてやる必要がある。
以下では、閾値電圧Vthの適切な切替制御を実現するための手段(参照電圧生成部150、比較部160、及び、閾値制御部170)について、詳細な説明を行う。
<参照電圧生成部・比較部>
図9は、参照電圧生成部150と比較部160の一構成例を示す回路図である。参照電圧生成部150は、電流源151と抵抗152(抵抗値:R152)を含む。また、比較部160は、コンパレータ161を含む。
電流源151は、昇圧電圧VGの印加端と抵抗152との間に接続されており、第2電流生成部120で生成される第2電流Iset(より正確には、第2電流Isetと等価の可変電流)を出力する。
抵抗152は、電流源151と出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)との間に接続されており、第2電流Isetに応じた参照電圧VIset(=Iset×R152)を生成する電流/電圧変換素子である。
コンパレータ161の電源端は、昇圧電圧VGの印加端に接続されている。コンパレータ161の基準電位端は、出力電圧Voの印加端(外部端子T2)に接続されている。コンパレータ161の非反転入力端(+)は、センス電圧Vsの印加端に接続されている。コンパレータ161の反転入力端(-)は、参照電圧VIsetの印加端に接続されている。このように接続されたコンパレータ161は、センス電圧Vsと参照電圧VIsetとを比較して比較信号VCMPを生成する。比較信号VCMPは、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも低いときにローレベルとなり、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも高いときにハイレベルとなる。
なお、抵抗152の抵抗値R152は、比較信号VCMPに応じて第1抵抗値Rdet1と第2抵抗値Rdet2(ただしRdet1>Rdet2)の一方に切り替えられる。より具体的に述べると、抵抗152の抵抗値R152は、比較信号VCMPがローレベルであるときに第1抵抗値Rdet1となり、比較信号VCMPがハイレベルであるときに第2抵抗値Rdet2となる。このような抵抗値R152の切替制御により、比較部160にヒステリシス特性を付与することができる。
<閾値制御部>
図10は、閾値制御部170の一構成例を示す回路図である。閾値制御部170は、コンパレータ171と、電流源172と、レベルシフタ173と、RSフリップフロップ174と、放電制御部175と、NMOSFET176と、キャパシタ177と、外部端子DLYと、を含む。
コンパレータ171の電源端は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。コンパレータ171の基準電位端は、接地端GNDに接続されている。コンパレータ171の非反転入力端(+)は、外部端子DLY(充電電圧Vdの印加端)に接続されている。コンパレータ171の反転入力端(-)は、マスク期間満了電圧Vdrefの印加端に接続されている。このように接続されたコンパレータ171は、充電電圧Vdとマスク期間満了電圧Vdrefとを比較して内部信号Sxを生成する。内部信号Sxは、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも高いときにハイレベルとなり、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも低いときにローレベルとなる。
電流源172は、内部電源電圧Vregの印加端と外部端子DLYとの間に接続されており、所定の充電電流Idを生成する。なお、電流源172の動作可否は、内部信号Sy(=レベルシフト済みの比較信号VCMPに相当)に応じて制御される。より具体的に述べると、電流源172は、内部信号Syがハイレベルであるときに動作状態となり、内部信号Syがローレベルであるときに非動作状態となる。
レベルシフタ173は、昇圧電圧VGと出力電圧Voとの間でパルス駆動される比較信号VCMPをレベルシフトさせることにより、内部電源電圧Vregと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される内部信号Syを生成する。従って、比較信号VCMPがハイレベル(=VG)であるときには、内部信号Syもハイレベル(=Vreg)となり、比較信号VCMPがローレベル(=Vo)であるときには、内部信号Syもローレベル(=GND)となる。
RSフリップフロップ174は、セット端(S)に入力される内部信号Sxとリセット端(R)に入力される内部信号Syに応じて、出力端(Q)から閾値制御信号S170を出力する。具体的に述べると、RSフリップフロップ174は、内部信号Sxの立上りタイミングで閾値制御信号S170をハイレベルにセットする一方、内部信号Syの立下りタイミングで閾値制御信号S170をローレベルにリセットする。なお、RSフリップフロップ174は、リセット優先型であり、内部信号Syがローレベルであるときには、たとえ内部信号Sxがハイレベルに立ち上がっても、閾値制御信号S170がローレベルに維持される。
放電制御部175は、内部信号Sxに応じて、内部信号Szを生成する。より具体的に述べると、放電制御部175は、内部信号Sxの立上りタイミングで内部信号Szを所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとする。
NMOSFET176は、内部信号Szに応じて外部端子DLYと接地端GNDとの間(=キャパシタ177の両端間)を導通/遮断する放電スイッチ素子である。なお、NMOSFET176は、内部信号Szがハイレベルであるときにオンし、内部信号Szがローレベルであるときにオフする。
キャパシタ177は、半導体集積回路装置1の外部において、外部端子DLYと接地端GNDとの間に接続されている。NMOSFET176がオフされているときに、電流源172から充電電流Idが供給されると、キャパシタ177の充電電圧Vdが上昇する。一方、NMOSFET176がオンされているときには、キャパシタ177がNMOSFET176を介して放電されるので、充電電圧Vdが低下する。
<過電流保護動作>
図11は、過電流保護動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、外部制御信号Si、第1電流Iref、第2電流Iset、センス電圧Vs、比較信号VCMP、充電電圧Vd、内部信号Sx~Sz、閾値制御信号S170、閾値電圧Vth、並びに、状態報知信号Soが描写されている。
時刻t11において、外部制御信号Siがハイレベルに立ち上げられると、第1電流Irefの生成動作が遅滞なく開始される。ただし、時刻t11では、半導体集積回路装置1のシャットダウンが解除されておらず、NMOSFET10がオフされたままなので、NMOSFET10には出力電流Ioが流れない。従って、センス電圧Vsは0Vに維持されたままである。
時刻t12において、時刻t11から所定の起動遅延期間Tdly(例えば5μs)が経過すると、半導体集積回路装置1のシャットダウンが解除される。その結果、NMOSFET10がオンされて出力電流Ioが流れ始めるのでセンス電圧Vsが上昇し始める。また、時刻t12では、第2電流Isetとこれに応じた参照電圧VIset(本図ではVIset=VthL)の生成動作も開始される。なお、時刻t12では、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも低いので比較信号VCMPがローレベルとなる。従って、閾値制御信号S170がローレベルとなるので、閾値電圧Vthとして内部設定値VthHが選択された状態となる。
時刻t13において、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを上回ると、比較信号VCMPがハイレベルとなる。その結果、内部信号Syがハイレベルとなるので、充電電圧Vdが上昇し始める。なお、時刻t13では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも低いので、内部信号Sxがローレベルのままとなる。従って、閾値制御信号S170がローレベルに維持されるので、閾値電圧Vthとして内部設定値VthHが選択されたままとなる。そのため、センス電圧Vsが外部設定値VthL(=VIset)を上回っていても過電流保護は掛からない。
時刻t14において、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回ると、内部信号Sxがハイレベルとなる。従って、閾値制御信号S170がハイレベルにセットされるので、閾値電圧Vthが外部設定値VthLに切り替わる。その結果、時刻t14以降は、センス電圧Vsが外部設定値VthLを上回らないように過電流保護が掛かるようになる。また、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がると、内部信号Szも所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとなるので、充電電圧Vdが0Vまで放電される。なお、放電期間Tdchgは、先述の起動遅延期間Tdlyよりも短時間(例えば3μs)であることが望ましい。
このように、閾値電圧Vthが内部設定値VthHとされているときには、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを上回ったまま、所定のマスク期間Tmask(=時刻t13~t14)が経過した時点で、閾値電圧Vthが外部設定値VthLに切り替えられる。従って、負荷3に応じた過電流保護を実現することが可能となる。
一方、本図では明示していないが、センス電圧Vsが瞬時的に参照電圧VIsetを上回ったとしても、マスク期間Tmaskの満了前に再び参照電圧VIsetを下回れば、閾値電圧Vthが内部設定値VthHに維持されたままとなる。従って、意図しない過電流保護が掛からないので、起動時の瞬時電流を確保することが可能となる。
また、当然のことながら、閾値電圧Vthが内部設定値VthHとされているときに、センス電圧Vsが内部設定値VthHを上回ると、その時点で遅滞なく過電流保護が掛かる。従って、負荷3のショート異常などが生じたときには、出力電流Ioを速やかに制限することができるので、半導体集積回路装置1の破壊を未然に防ぐことが可能となる。
なお、上記のマスク期間Tmaskは、外付けのキャパシタ177を用いて任意に調整することのできる可変値である。より具体的に述べると、マスク期間Tmaskは、キャパシタ177の容量値が大きいほど長くなり、キャパシタ177の容量値が小さいほど短くなる。ただし、マスク期間Tmaskが長いほど、外部設定値VthLを用いた過電流保護の開始タイミングが遅れる。従って、マスク期間Tmaskは、起動時における瞬時電流の継続時間を考慮して、必要最小限の長さに設定しておくことが望ましい。
また、半導体集積回路装置1の用途(負荷3の種類)に応じて、マスク期間Tmaskを設けるか否かを任意に使い分けることも可能である。例えば、外部端子DLYをオープンとしておけば、マスク期間Tmaskが実質的にゼロとなるので、外部設定値VthLのみが設けられている場合と等価になる。また、例えば、外部端子DLYを接地端GNDとショートしておけば、マスク期間Tmaskが無限大となるので、内部設定値VthHのみが設けられている場合と等価になる。
時刻t15において、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを下回ると、比較信号VCMPがローレベルとなり、延いては、内部信号Syがローレベルとなる。その結果、閾値制御信号S170がローレベルにリセットされるので、閾値電圧Vthが内部設定値VthHに切り替わる。
このように、閾値電圧Vthが外部設定値VthLとされているときには、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを下回った時点で、閾値電圧Vthが内部設定値VthHに切り替えられる。すなわち、外部設定値VthLを用いた過電流保護動作が解除されると、過電流保護回路71は、起動時の初期状態に戻される。
時刻t16において、外部制御信号Siがローレベルに立ち上げられると、半導体集積回路装置1のシャットダウンされて上記一連の動作が終了する。
なお、状態報知信号Soに着目すると、過電流未検出期間(時刻t14~t15以外)には、出力電流Ioの検出結果に相当する出力検出電圧V80(図中の破線も参照)が選択出力されている。一方、過電流検出期間(時刻t14~t15)には、出力検出電圧V80に代えて、異常フラグに相当する定電圧V90が選択出力されている。
図12は、閾値切替動作の一例を示すフローチャートである。フローが開始されると、まず、ステップS101において、閾値電圧Vthが内部設定値VthH(=Iref×Rref1)に設定される(図11の時刻t12に相当)。
次に、ステップS102では、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも高いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS103に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS102に戻されて本ステップでの判定が繰り返される(図11の時刻t12~t13に相当)。
ステップS103では、ステップS102でのイエス判定を受けて、キャパシタ177の充電が開始される(図11の時刻t13に相当)。
次に、ステップS104では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも高いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS105に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS104に戻されて本ステップでの判定が繰り返される(図11の時刻t13~t14に相当)。
ステップS105では、ステップS104でのイエス判定を受けて、キャパシタ177が放電される。また、ステップS106では、閾値電圧Vthが外部設定値VthL(=Iset×Rref2)に切り替えられる。これらのステップS105及びS106は、図11の時刻t14に相当する。
次に、ステップS107では、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも低いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS101に戻されて、閾値電圧Vthが再び内部設定値VthH(=Iref×Rref1)に切り替えられる(図11の時刻t15に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS107に戻されて本ステップでの判定が繰り返される(図11の時刻t14~t15に相当)。
<使用例>
図13は、過電流保護回路71の第1使用例を示す模式図である。例えば、負荷3がバルブランプである場合には、本図中の実線で示したように、起動時の出力電流Ioとして定常動作時よりも大きい瞬時電流が流れる。ただし、先述のマスク期間Tmaskを適切に設定しておけば、上記の瞬時電流を検出対象から除外することができるので、意図しない過電流保護が掛かることはない。すなわち、過大な瞬時電流が流れる起動時には、出力電流Ioと内部設定値IocpHとが比較されることになり、定常動作時には出力電流Ioと外部設定値IocpLとが比較されることになる。従って、出力電流Ioの駆動エリアは、本図中のハッチングを付した領域として表すことができる。
図14は、過電流保護回路71の第2使用例を示す模式図である。例えば、負荷3がモータである場合には、本図中の実線で示したように、ロック時の出力電流Ioとして定常動作時よりも大きい瞬時電流が流れる。ただし、先述のマスク期間Tmaskを適切に設定しておけば、上記の瞬時電流を検出対象から除外することができるので、意図しない過電流保護が掛かることはない。すなわち、過大な瞬時電流が流れるロック時には、出力電流Ioと内部設定値IocpHとが比較されることになり、定常動作時には出力電流Ioと外部設定値IocpLとが比較されることになる。従って、出力電流Ioの駆動エリアは、本図中のハッチングを付した領域として表すことができる。
<作用・効果>
これまでに説明してきたように、過電流保護回路71では、出力電流Ioと比較される過電流検出閾値Iocpとして、2段階の内部設定値IocpHと外部設定値IocpLが用意されており、かつ、内部設定値IocpHから外部設定値IocpLに切り替えるまでの猶予期間として、所定のマスク期間Tmaskが設けられている。
このような構成を採用することにより、瞬時電流の確保と負荷3に応じた過電流保護とを両立することが可能となる。特に、負荷3の定常動作時には、内部設定値IocpHよりも十分に低い外部設定値IocpLと出力電流Ioとが比較されるので、負荷3の駆動電流からかけ離れた大電流が出力電流Ioとして流れ続けることはない。従って、負荷3に接続されるハーネスを従来よりも細径化することが可能となる。
また、過電流保護回路71であれば、負荷3に応じた過電流保護をECU2で行う必要がなくなるので、ECU2の負担(=出力電流Ioの常時監視など)を軽減することが可能となり、延いては、ECU2のマイコンレス化を実現することが可能となる。
<昇圧制御部>
図15は、昇圧制御部の第1実施例を示す回路図である。本実施例の昇圧制御部100は、チャージポンプ33による昇圧電圧VG(=VBB+β、例えば、VBB+5V)の生成動作を制御するための回路部であり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1~N12と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1~P5と、ダイオードD1~D4と、ツェナダイオードZD1~ZD3と、電流源CS1と、インバータINV1と、減電圧検出部UVLOと、を含む。
トランジスタP1及びP2それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタP1及びP2それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP1のドレインに接続されている。トランジスタP1のドレインは、電流源CS1を介して接地端に接続されている。トランジスタP2のドレインは、定電圧VBB_REF(≒VBB)の印加端に接続されている。
ダイオードD1のアノードは、定電圧VBB_REFの印加端に接続されている。ダイオードD1のカソードは、ダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードは、トランジスタN6のドレインに接続されている。トランジスタN6のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれもダイオードD3のアノードに接続されている。ダイオードD3のカソードは、トランジスタN1のドレインに接続されている。
トランジスタN1及びN2それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも出力電圧Voの印加端に接続されている。トランジスタN1及びN2それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN1のドレインに接続されている。
トランジスタP3及びP4それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタP3のゲートは、トランジスタN2のドレインに接続されている。トランジスタP3のドレインは、トランジスタP4及びP5それぞれのゲートに接続されている。トランジスタP4のドレインは、定電圧VBB_REFの印加端に接続されている。
トランジスタN7~N9それぞれのドレインは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタN7のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれもトランジスタN2のドレインに接続されている。トランジスタN8のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれもトランジスタP3のドレインに接続されている。トランジスタN9のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれもトランジスタP5のソースに接続されている。トランジスタP5のバックゲートは、電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタP5のドレインは、トランジスタN4のドレインに接続されている。
ツェナダイオードZD1及びZD2それぞれのカソードは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。ツェナダイオードZD1のアノードは、トランジスタP3のゲートに接続されている。ツェナダイオードZD2のアノードは、トランジスタP4及びP5それぞれのゲートに接続されている。
トランジスタN3のドレインは、トランジスタP4のゲートに接続されている。トランジスタN3のソースは、トランジスタN10のドレインに接続されている。トランジスタN3のゲートは、減電圧検出部UVLOの出力端に接続されている。トランジスタN3のバックゲート、並びに、トランジスタN10のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれも定電圧VBBM5(≒VBB-5V)の印加端に接続されている。
なお、減電圧検出部UVLOは、定電圧VBB_REFと定電圧VBBM5との電位差(=VBB_REF-VBBM5)が所定の減電圧検出閾値Vuvlo(例えば2V)よりも高いか否かを監視してトランジスタN3のオン/オフ制御を行う。より具体的に述べると、減電圧検出部UVLOは、減電圧検出時(VBB_REF-VBBM5<Vuvlo)にはトランジスタN3をオフし、減電圧解除時(VBB_REF-VBBM5>Vuvlo)にはトランジスタN3をオンする。
ツェナダイオードZD3のカソードは、定電圧VBB_REFの印加端に接続されている。一方、ツェナダイオードZD3のアノードは、ダイオードD4のアノードに接続されている。ダイオードD4のカソードは、定電圧VBBM5の印加端に接続されている。
トランジスタN4及びN5それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも定電圧VBBM5の印加端に接続されている。トランジスタN4及びN5それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN4のドレインに接続されている。トランジスタN4のドレインは、先にも述べたように、トランジスタP5のドレインに接続されている。トランジスタN5のドレインは、インバータINV1の入力端に接続されている。インバータINV1の出力端は、イネーブル信号ENの出力端に相当する。
トランジスタN11のドレインは、トランジスタN4のドレインに接続されている。トランジスタN11のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれも定電圧VBBM5の印加端に接続されている。トランジスタN12のドレインは、定電圧VBB_REFの印加端に接続されている。トランジスタN11のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれもトランジスタN5のドレインに接続されている。
なお、上記したトランジスタN1~N12のうち、トランジスタN1~N5は、いずれもエンハンスメント型であり、トランジスタN6~N12は、いずれもデプレッション型である。特に、トランジスタN6、並びに、トランジスタN9及びN10は、電流制限素子として機能する。また、トランジスタN7及びN8、並びに、トランジスタN12は、プルアップ素子として機能し、トランジスタN11は、プルダウン素子として機能する。
インバータINV1、オシレータ32、及び、チャージポンプ33それぞれの上側電源端は、いずれも定電圧VBB_REFの印加端に接続されている。インバータINV1、オシレータ32、及び、チャージポンプ33それぞれの下側電源端は、いずれも定電圧VBBM5の印加端に接続されている。従って、インバータINV1から出力されるイネーブル信号EN、及び、オシレータ32から出力されるクロック信号CLKについて、それぞれのハイレベルは、いずれも定電圧VBB_REFとなり、それぞれのローレベルは、いずれも定電圧VBBM5となる。
なお、イネーブル信号ENがハイレベル(=イネーブル時の論理レベル)であるときには、オシレータ32からクロック信号CLKが出力されるので、チャージポンプ33による昇圧電圧VGの生成動作が行われる。すなわち、ゲート駆動信号G1のハイレベル(=昇圧電圧VG)は、電源電圧VBBよりも高い電圧値に引き上げられる。従って、ハイサイドスイッチとして用いられるNMOSFET10を確実にオンすることが可能となる。
図16は、第1実施例における昇圧制御動作の第1例(基本動作)を示すタイミングチャートであって、上から順に、外部制御信号Siと、各部の電圧及び信号(出力電圧Vo(実線)、昇圧電圧VG(小破線)、及び、ゲート駆動信号G1(一点鎖線))が描写されている。以下では、先出の図15も適宜参照しながら、本図の動作説明を行う。
時刻t21において、外部制御信号Siがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、NMOSFET10がオンするので、出力電圧Voが0Vから上昇し始める。なお、出力電圧Voが所定の閾値電圧(=トランジスタN1のドレイン電圧VBB-α(例えばVBB-4V))よりも低いときには、トランジスタN1及びN2から成るカレントミラーが動作するので、トランジスタN2にドレイン電流I1が流れる。従って、トランジスタP3のゲート電圧Vxがローレベル(≒Vo)に引き下げられるので、トランジスタP3がオンする。その結果、トランジスタP4及びP5共通のゲート電圧Vyがハイレベル(≒VBB)に引き上げられるので、トランジスタP4及びP5がいずれもオフする。
トランジスタP5がオフしているときには、トランジスタN4及びN5から成るカレントミラーへの電流供給が遮断されるので、トランジスタN5にはドレイン電流I2が流れない。従って、インバータINV1への入力信号Vzがハイレベル(≒VBB_REF)となり、インバータINV1の出力信号(=イネーブル信号EN)がローレベル(≒VBBM5)となる。その結果、オシレータ32によるクロック信号CLKの生成動作が停止されるので、チャージポンプ33による昇圧電圧VGの生成動作も停止される。
また、トランジスタP4がオフしているときには、電源電圧VBBの印加端から定電圧VBB_REFの印加端に至る電流供給経路が遮断される。従って、チャージポンプ33への電流供給能力は増強されない。
このように、外部制御信号Siがハイレベルに立ち上がっても、Vo>VBB-αとなるまでは、チャージポンプ33の昇圧動作が開始されない。従って、昇圧電圧VG(延いてはゲート駆動信号G1)は、出力電圧Voと所定の電位差(=NMOSFET10のオンスレッショルド電圧)を維持しつつ、出力電圧Voと共に上昇していく。
その後、時刻t22において、Vo>VBB-αになると、トランジスタN1及びN2から成るカレントミラーが動作できなくなるので、トランジスタN2のドレイン電流I1が流れなくなる。従って、トランジスタP3のゲート電圧Vxがハイレベル(≒VBB)に引き上げられるので、トランジスタP3がオフする。その結果、トランジスタP4及びP5共通のゲート電圧Vyがローレベル(≒VBBM5)に引き下げられるので、トランジスタP4及びP5がいずれもオンする。
トランジスタP5がオンすると、トランジスタN4及びN5から成るカレントミラーへの電流供給が行われるので、トランジスタN5にドレイン電流I2が流れる。従って、インバータINV1への入力信号Vzがローレベル(≒VBBM5)となり、インバータINV1の出力信号(=イネーブル信号EN)がハイレベル(≒VBB_REF)となる。その結果、オシレータ32によるクロック信号CLKの生成動作が開始されるので、チャージポンプ33による昇圧電圧VGの生成動作も開始される。
また、トランジスタP4がオンすると、電源電圧VBBの印加端から定電圧VBB_REFの印加端に至る電流供給経路が導通される。従って、チャージポンプ33への電流供給能力が増強される。
このように、Vo>VBB-αになると、チャージポンプ33の昇圧動作が開始されるので、昇圧電圧VGが電源電圧VBBよりも引き上げられる。ただし、昇圧電圧VGは、図3のツェナダイオード38により、所定の目標値VBB+βにクランプされる。
その後、時刻t23において、外部制御信号Siがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、NMOSFET10がオフするので、出力電圧Voが0Vに向けて低下し始める。ただし、Vo>VBB-αである間は、チャージポンプ33の昇圧動作が継続される。従って、昇圧電圧VGは、目標値VBB+βに維持される。
一方、時刻t24において、Vo<VBB-αになると、チャージポンプ33の昇圧動作が停止される。従って、これ以降、昇圧電圧VG(延いてはゲート駆動信号G1)は、出力電圧Voと所定の電位差(=NMOSFET10のオンスレッショルド電圧)を維持しつつ、出力電圧Voと共に低下していく。
上記一連の動作から分かるように、本実施例の昇圧制御部100は、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αよりも低いときにチャージポンプ33の昇圧動作を停止する。言い換えれば、昇圧制御部100は、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αよりも高い電圧値まで立ち上がってから、チャージポンプ33の昇圧動作を開始させる。
このような昇圧制御動作によれば、半導体集積回路装置1の起動時(=NMOSFET10のオン直後)における消費電流を低減するとともに、ノイズによるゲート駆動信号G1の歪みを抑制することができる。従って、半導体集積回路装置1の安定起動を実現することが可能となる。
また、異常保護部70をオンしてからチャージポンプ33をオンする、といった起動シーケンス(順番起動)を容易に設定することができるので、安全なオン/オフ設計を実現することも可能となる。
ただし、上記の昇圧制御(=出力電圧Voに応じたチャージポンプ制御)と、これまでに説明してきた過電流検出閾値Iocpの切替制御とを組み合わせて実施する場合には、留意すべき点がある。以下、その留意点について詳細に検討する。
図17は、第1実施例における昇圧制御動作の第2例(=過電流検出閾値Iocpの切替制御を伴う場合)を示すタイミングチャートであり、上から順に、外部制御信号Si、出力電流Io、各部の電圧及び信号(出力電圧Vo(実線)、昇圧電圧VG(小破線)、及び、ゲート駆動信号G1(一点鎖線))、閾値制御信号S170、並びに、イネーブル信号ENが描写されている。
時刻t31において、外部制御信号Siがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、NMOSFET10がオンするので、出力電流Ioが増大し始める。
その後、時刻t32において、Io>IocpLになると、マスク期間Tmaskの計時(=キャパシタ177の充電)が開始される。なお、この時点では、出力電圧Voも上昇し始めているが、Vo>VBB-αとなるまでは、イネーブル信号ENがローレベルに維持されるので、チャージポンプ33の昇圧動作が開始されない。従って、昇圧電圧VG(延いてはゲート駆動信号G1)は、出力電圧Voと所定の電位差(=NMOSFET10のオンスレッショルド電圧)を維持しつつ、出力電圧Voと共に上昇していく。この点については、先出の図16でも説明した通りである。
その後、時刻t33において、Vo>VBB-αになると、イネーブル信号ENがハイレベルに立ち上がり、チャージポンプ33の昇圧動作が開始されるので、昇圧電圧VGが所定の目標値VBB+β(>VBB)まで引き上げられる。また、チャージポンプ33の昇圧動作を始めるに当たり、チャージポンプ33への電流供給能力も増強される。これらの点についても、先出の図16で説明した通りである。
なお、この時点では、未だマスク期間Tmaskが経過していないので、閾値制御信号S170がローレベルのままであり、過電流検出閾値Iocpは、2段階の内部設定値IocpHと外部設定値IocpLのうち、より高い内部設定値IocpHに維持されている。従って、例えば、負荷3として容量性負荷が接続されており、起動時の出力電流Ioとして定常動作時よりも大きい瞬時電流が流れても、過電流保護が掛かることはない。
その後、時刻t34において、Io>IocpLに維持されたままマスク期間Tmaskが経過すると、閾値制御信号S170がハイレベルに立ち上がる。その結果、過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpHから外部設定値IocpLに切り替わるので、出力電流Ioが外部設定値IocpLに制限される。
このとき、出力電圧Vo(=IocpL×RL、ただし、RLは負荷3の抵抗値)は、過電流検出閾値Iocpの引き下げ(IocpH→IocpL)に伴い低下する。また、出力電圧Voは、負荷3の抵抗値RLが小さいほど低下する。そのため、負荷3が低抵抗(RL=1Ω程度)である場合には、過電流検出閾値Iocpの引き下げ後、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αを下回るおそれがある。
本図の例では、過電流検出閾値Iocpの引き下げによって出力電圧Voが低下し、時刻t35において、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αを下回った結果、チャージポンプ33の昇圧動作が停止されている。従って、時刻t35以降、昇圧電圧VGは、出力電圧Voと所定の電位差(=NMOSFET10のオンスレッショルド電圧)を維持しつつ、出力電圧Voと共に低下していく。
このとき、昇圧電圧VGと出力電圧Voとの電位差(=VG-Vo)は、ΔV1(=ツェナダイオード38の降伏電圧に相当)から、ΔV2(=NMOSFET10のオンスレッショルド電圧に相当、Δ2<Δ1)まで低下する。このような状況に陥ると、閾値電圧生成部130や過電流検出部140(先出の図7を参照)の動作レンジが狭くなるので、過電流検出動作に支障を来すおそれがある。
図18は、第1実施例における昇圧制御動作の第3例(=過電流検出閾値Iocpの切替後にVo≒VBB-αとなる場合)を示すタイミングチャートであって、先の図17と同じく、上から順に、外部制御信号Si、出力電流Io、各部の電圧及び信号(出力電圧Vo(実線)、昇圧電圧VG(小破線)、及び、ゲート駆動信号G1(一点鎖線))、閾値制御信号S170、並びに、イネーブル信号ENが描写されている。
本図の昇圧制御動作は、図17のそれと基本的に同様であるが、時刻t34における過電流検出閾値Iocpの引き下げ後、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αの近傍値となっている。このような場合には、時刻t35以降、イネーブル信号ENのチャタリング(=ハイレベルとローレベルを繰り返す状態)が生じるので、チャージポンプ33による昇圧動作が断続的に行われる。その結果、過電流検出動作が不安定となり、出力電流Ioを本来の外部設定値IocpLに正しく制限することができなくなる。
なお、上記したイネーブル信号ENのチャタリングは、閾値電圧VBB-αにヒステリシスを付けても解決することができない。そこで、以下では、上記の課題を解決することのできる昇圧制御部100の第2実施例を提案する。
図19は、昇圧制御部100の第2実施例を示す回路図である。本実施例の昇圧制御部100は、先出の第1実施例(図15)をベースとしつつ、インバータINV1(本図では明示せず)よりも後段に、論理和演算器OR1を含む。
論理和演算器OR1は、イネーブル信号ENと閾値制御信号S170との論理和信号EN2を生成し、これをイネーブル信号ENに代えてオシレータ32に出力する。なお、S170=Lであるときには、EN2=ENとなる。一方、S170=Hであるときには、EN2=H固定となる。
すなわち、本実施例の昇圧制御部100であれば、過電流検出閾値Iocpが外部設定値IocpLとされている間(S170=H)、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αを下回っても、チャージポンプ33の昇圧動作を停止しなくなる。言い換えれば、過電流検出閾値Iocpの切替後には、チャージポンプ33の昇圧動作が強制的に継続される。従って、昇圧電圧VG(延いてはゲート駆動信号G1)の低下を抑制することが可能となる。
ただし、本実施例の昇圧制御部100では、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αを下回ると、トランジスタP4(図15を参照)がオフするので、チャージポンプ33への電流供給能力が増強されなくなる。そのため、チャージポンプ33による昇圧動作に支障を来す懸念がある。そこで、以下では、上記の懸念を払拭することのできる昇圧制御部100の第3実施例を提案する。
図20は、昇圧制御部100の第3実施例を示す回路図である。本実施例の昇圧制御部100は、先出の第1実施形態(図15)をベースとしつつ、さらに、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP6~P9と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN13~N17と、バッファBUF1と、を含む。
トランジスタP7~P9それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタP7~P9それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP9のドレインに接続されている。トランジスタP8のドレインは、閾値電圧生成部130への電流供給端に相当する。トランジスタP9のドレインは、トランジスタN14のドレインに接続されている。トランジスタN14のゲートには、閾値制御信号S170が入力されている。トランジスタN14のソース及びバックゲートは、いずれもトランジスタN17のドレインに接続されている。トランジスタN14のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。
トランジスタP7のドレインは、トランジスタN13のゲートとトランジスタN16のドレインに接続されている。トランジスタN13のソース及びバックゲートと、トランジスタN16のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれも定電圧PREREG(=VBB-5V)の印加端に接続されている。トランジスタN15のドレインは、電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタN13のドレインと、トランジスタN15のソース、ゲート及びバックゲートは、いずれもバッファBUF1の入力端に接続されている。バッファBUF1の出力端は、トランジスタP6のゲートに接続されている。トランジスタP6のソース及びバックゲートは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタP6のドレインは、トランジスタP3のゲートに接続されている。
なお、上記のトランジスタN13~N17のうち、トランジスタN13及びN14は、いずれもエンハンスメント型であり、トランジスタN15~N17は、いずれもデプレッション型である。特に、トランジスタN15は、プルアップ素子として機能し、トランジスタN16は、プルダウン素子として機能する。また、トランジスタN17は、電流制限素子として機能する。
バッファBUF1の上側電源端は、電源電圧VBBの印加端に接続されている。バッファBUF1の下側電源端は、定電圧PREREGの印加端に接続されている。従って、バッファBUF1から出力されるゲート信号SGは、ハイレベルが電源電圧VBBとなり、ローレベルが定電圧PREREGとなる。
次に、本実施例で新規に追加された構成要素の動作を中心に、本実施形態における昇圧制御動作の説明を行う。
図21は、第3実施例における昇圧制御動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、電源電圧VBB及び定電圧PREREG、外部制御信号Si、出力電流Io、各部の電圧及び信号(出力電圧Vo(実線)、昇圧電圧VG(小破線)、及び、ゲート駆動信号G1(一点鎖線))、閾値制御信号S170、ゲート信号SG、並びに、イネーブル信号ENが描写されている。以下では、先出の図20も適宜参照しながら、本図の動作説明を行う。
本図の昇圧制御動作は、図17や図18のそれと基本的に同様であるが、時刻t34における過電流検出閾値Iocpの切替時には、閾値制御信号S170の立上りに伴い、ゲート信号SGがローレベルに立ち下がる。従って、トランジスタP6がオンし、トランジスタP3のゲート電圧Vxがハイレベル(≒VBB)に引き上げられるので、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αを下回っていても、トランジスタP3が強制的にオフされる。その結果、トランジスタP4及びP5共通のゲート電圧Vyがローレベル(≒VBBM5)に引き下げられるので、トランジスタP4及びP5がいずれも強制的にオンされる。
このように、本実施例の昇圧制御部100であれば、過電流検出閾値Iocpの切替時(S170=H)において、トランジスタP5が強制的にオンされる。従って、イネーブル信号ENは、チャタリングを生じることなく、ハイレベル(≒VBB_REF)に固定される。その結果、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αを下回っても、オシレータ32によるクロック信号CLKの生成動作が継続され、延いては、チャージポンプ33による昇圧電圧VGの生成動作が継続される。
従って、過電流検出閾値Iocpの切替前後で、昇圧電圧VGと出力電圧Voとの電位差(=VG-Vo)を、常にΔV1(=ツェナダイオード38の降伏電圧に相当)に維持することができる。その結果、閾値電圧生成部130や過電流検出部140(先出の図7を参照)の動作レンジが狭くならないので、過電流検出動作に支障を来さずに済む。
また、本実施例の昇圧制御部100であれば、過電流検出閾値Iocpの切替時(S170=H)において、トランジスタP4も強制的にオンされる。従って、出力電圧Voが閾値電圧VBB-αを下回っても、チャージポンプ33に対する電流供給能力の増強が継続される。その結果、チャージポンプ33による昇圧動作に支障を来す懸念もなくなる。
<車両への適用>
図22は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(本図では不図示)と、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器X11~X18とを搭載している。なお、本図における電子機器X11~X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
なお、先に説明した半導体集積回路装置1、ECU2、及び、負荷3は、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。
<その他の変形例>
また、上記の実施形態では、車載用ハイサイドスイッチICを例に挙げて説明を行ったが、本明細書中に開示されている発明の適用対象は、これに限定されるものではなく、例えば、その他の車載用IPD(車載用ローサイドスイッチICや車載用電源ICなど)はもちろん、車載用途以外の半導体集積回路装置にも広く適用することが可能である。
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。