JP7137495B2 - 蓄熱材の使用方法、蓄熱材容器、及び蓄熱材組成物 - Google Patents
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Description
(1)一種以上の無機塩水和物を含むミョウバン水和物に蓄熱し、蓄えた熱を放出して使用するにあたり、放熱と共に、前記ミョウバン水和物を生成させるための基材を準備する第一工程と、前記基材より前記ミョウバン水和物を生成させる第二工程と、を有し、前記第一工程では、前記ミョウバン水和物を蓄熱時に、室温を超える温度で加熱することにより、前記ミョウバン水和物に含有する12水和水に対し、少なくとも1以上の水和数に相当する水分を脱離して欠落させた状態のミョウバン水分欠落物を、前記基材として生成すること、前記第二工程では、放熱時に、前記ミョウバン水分欠落物への加水を経て、前記ミョウバン水和物を生成すること、前記加水では、前記ミョウバン水分欠落物に直接、水を接触させること、あるいは、潮解性を有する反応助剤と混ぜ合わせた状態にある前記ミョウバン水分欠落物に直接、水蒸気を晒すこと、を特徴とする。
(2)(1)に記載する蓄熱材の使用方法において、前記反応助剤は、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、または塩化マグネシウム(MgCl2)のうち、少なくとも何れかに該当する物質であること、を特徴とする。
(3)(2)に記載する蓄熱材の使用方法において、前記反応助剤は、前記ミョウバン水和物と前記反応助剤とによる蓄熱材組成物全体に占める重量比で、少なくとも10wt%以上を満たす割合で添加されていること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法において、前記ミョウバン水分欠落物の生成にあたり、前記ミョウバン水和物を加熱する温度は、250℃以上であること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法において、前記第一工程で用いる前記基材は、既製品のミョウバン無水物であること、を特徴とする。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法において、前記ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン十二水和物(AlNH4(SO4)2・12H2O)、または、カリウムミョウバン十二水和物(AlK(SO4)2・12H2O)の少なくともいずれか一方であること、を特徴とする。
(7)熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う蓄熱材を、充填して収容するための蓄熱材容器において、前記蓄熱材を収容する内部空間に、水または水蒸気を外部から供給するための取水口として、閉蓋可能に形成された取水手段と、前記内部空間の圧力を制御する圧力調整弁と、を備え、前記圧力調整弁は、前記内部空間から前記蓄熱材の流出を遮断すると共に、前記内部空間の内外で液体の流通を遮断する一方で、前記内部空間から気体の流出を許容する弁体部を有していること、前記蓄熱材は、(1)乃至(6)のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法で用いる前記基材から生成される前記ミョウバン水和物を、少なくとも含むものであること、を特徴とする。
(8)水和反応に伴う反応熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う蓄熱材と、該蓄熱材の物性を調整する添加剤とを配合してなる蓄熱材組成物において、前記添加剤は、潮解性を有する反応助剤であること、前記蓄熱材は、一種以上の無機塩水和物を含むミョウバン水和物であり、当該蓄熱材組成物は、初めて使用する前の状態下で、前記ミョウバン水和物と前記反応助剤との混合物であること、または、前記蓄熱材の構成成分が、一種以上の無機塩無水物を含むミョウバン無水物であり、当該蓄熱材組成物は、初めて使用する前の状態下で、前記ミョウバン無水物と前記反応助剤との混合物であること、を特徴とする。
(9)(8)に記載する蓄熱材組成物において、前記反応助剤は、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、または塩化マグネシウム(MgCl2)のうち、少なくとも何れかに該当する物質であること、を特徴とする。
(10)(9)に記載する蓄熱材組成物において、当該蓄熱材組成物全体の重量に占める前記反応助剤の配合比率は、少なくとも10wt%以上であること、を特徴とする。
(11)(8)乃至(10)のいずれか1つに記載する蓄熱材組成物において、前記ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン十二水和物(AlNH4(SO4)2・12H2O)、またはカリウムミョウバン十二水和物(AlK(SO4)2・12H2O)の少なくともいずれか一方であること、あるいは、前記ミョウバン無水物は、アンモニウムミョウバン無水物(AlNH4(SO4)2)、またはカリウムミョウバン無水物(AlK(SO4)2)の少なくともいずれか一方であること、を特徴とする。
(1)一種以上の無機塩水和物を含むミョウバン水和物に蓄熱し、蓄えた熱を放出して使用するにあたり、放熱と共に、ミョウバン水和物を生成させるための基材を準備する第一工程と、基材よりミョウバン水和物を生成させる第二工程と、を有し、第一工程では、ミョウバン水和物を蓄熱時に、室温を超える温度で加熱することにより、ミョウバン水和物に含有する12水和水に対し、少なくとも1以上の水和数に相当する水分を脱離して欠落させた状態のミョウバン水分欠落物を、基材として生成すること、第二工程では、放熱時に、ミョウバン水分欠落物への加水を経て、ミョウバン水和物を生成すること、加水では、ミョウバン水分欠落物に直接、水を接触させること、あるいは、潮解性を有する反応助剤と混ぜ合わせた状態にあるミョウバン水分欠落物に直接、水蒸気を晒すこと、を特徴とする。この特徴により、ミョウバン水和物に熱を加える熱供給源側と、ミョウバン水和物から熱を放出する熱需要先側が遠く離れている場合や、熱需要先側で使用する熱の放熱時と、熱供給源側で加えた熱の蓄熱時との時間差が大きい場合でも、放熱ロスによるエネルギ損失を抑えて、ミョウバン水和物の生成時に、加水により水和反応で生じた水との結合エネルギによる熱が、熱需要先側で有効に使用できるようになる。
(7)熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う蓄熱材を、充填して収容するための蓄熱材容器において、蓄熱材を収容する内部空間に、水または水蒸気を外部から供給するための取水口として、閉蓋可能に形成された取水手段と、内部空間の圧力を制御する圧力調整弁と、を備え、圧力調整弁は、内部空間から蓄熱材の流出を遮断すると共に、内部空間の内外で液体の流通を遮断する一方で、内部空間から気体の流出を許容する弁体部を有していること、蓄熱材は、(1)乃至(6)のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法で用いる基材から生成されるミョウバン水和物を、少なくとも含むものであること、を特徴とする。この特徴により、前述した発明に係る蓄熱材の使用方法は、より簡単な構造で構成される蓄熱材容器を用いて、ミョウバン水和物に蓄えた熱を、その必要時に、放熱ロスを抑えて有効に使用することができるようになる。
(8)水和反応に伴う反応熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う蓄熱材と、該蓄熱材の物性を調整する添加剤とを配合してなる蓄熱材組成物において、添加剤は、潮解性を有する反応助剤であること、蓄熱材は、一種以上の無機塩水和物を含むミョウバン水和物であり、当該蓄熱材組成物は、初めて使用する前の状態下で、ミョウバン水和物と反応助剤との混合物であること、または、蓄熱材の構成成分が、一種以上の無機塩無水物を含むミョウバン無水物であり、当該蓄熱材組成物は、初めて使用する前の状態下で、ミョウバン無水物と反応助剤との混合物であること、を特徴とする。この特徴により、前述した発明に係る蓄熱材の使用方法を、水蒸気による加水を行って実施するにあたり、本発明に係る蓄熱材組成物を用いると、放熱ロスによるエネルギ損失を抑えて、ミョウバン水和物の生成時に、加水により水和反応で生じた水との結合エネルギによる熱が、熱需要先側で有効に使用できるようになる。
はじめに、蓄熱材組成物の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施形態に係る蓄熱材組成物の構成成分を示す模式図である。図2は、実施形態に係る蓄熱材に関し、(a)12個の水分子が全て結合した状態と、(b)12個の水分子が全て脱離した状態を、それぞれ示す模式図である。図1に示すように、蓄熱材組成物1は、水和反応に伴う反応熱の出入りにより、蓄熱または放熱を可能とする蓄熱材10を主成分に、この蓄熱材10の物性を調整する添加剤として、潮解性を有する反応助剤20を配合してなる。
次に、本実施形態に係る蓄熱材の使用方法について、説明する。本実施形態に係る蓄熱材の使用方法は、前述した蓄熱材10であるミョウバン水和物10を主成分に、熱供給源(図示省略)から提供された熱を一時的に蓄えた後、熱需要先(図示省略)で、ミョウバン水和物10に蓄えた熱に基づく熱エネルギを、その時間差をもって活用するための方法である。蓄熱材の使用方法は、一種以上の無機塩水和物を含むミョウバン水和物10(蓄熱材10)に蓄熱し、蓄えた熱を放出して使用するにあたり、放熱と共に、ミョウバン水和物10を生成させるための基材13を準備する第一工程と、基材13よりミョウバン水和物10を生成させる第二工程と、を有する。
次に、本実施形態に係る蓄熱材容器について、図13~図15を用いて説明する。図13は、本実施形態に係る蓄熱材容器を例示した模式図であり、ミョウバン水分欠落物に供給水を直接接触させて加水する場合を示す図であり、図13中、X部の拡大図を、図14に示す。図15は、図13と同様の模式図であり、ミョウバン水分欠落物に水蒸気を直接晒して加水する場合を示す図である。
実験1は、実施形態に係る蓄熱材であるアンモニウムミョウバン十二水和物(アンモニウムミョウバン)の試料を、室温を超える280℃まで加熱した実験で、試料において、時間と共に変化する温度と蓄熱量との関係について調査した実験である。実験1では、周知の示差走査熱量測定装置(DSC:Differential scanning calorimetry)により、その試料台に載せたアンモニウムミョウバンの試料10mgに窒素100ml/min.の雰囲気ガスを晒し、大気に開放した下で、試料を、30℃から280℃まで加熱して、試料に蓄えた融解潜熱の熱量を測定した。図3は、その実験結果を示すグラフである。
検証実験では、実験3~6を行った。実験3は、蓄熱材であるアンモニウムミョウバン十二水和物に、反応助剤を添加していない条件の比較例1に係る試験である。実験4は、蓄熱材であるアンモニウムミョウバン十二水和物に、反応助剤として臭化リチウムを添加した蓄熱材組成物による実験である。実験4では、反応助剤の配合比率を、30wt%とした条件の実施例1に係る試験と、25wt%とした条件の実施例2に係る試験と、20wt%とした条件の比較例2に係る試験と、15wt%とした条件の比較例3に係る試験と、10wt%とした条件の比較例4に係る試験と、5wt%とした条件の比較例5に係る試験と、1wt%とした条件の比較例6に係る試験を、それぞれ行った。
実験3~6ではそれぞれ、アルミニウム製容器内に秤取した試料10mgを、容器内を大気中に開放した状態で、熱重量測定装置(TG:Thermo Gravimetry)の試料室にセットし、雰囲気ガスとして、流量100ml/min.の窒素ガスを直接試料室内に供給し続けて、試料を加熱した。試料は、加熱速度2℃/min.で30℃から98℃まで加熱され、98℃に到達後、5分間、窒素ガスを供給し続けながら、試料を98℃のまま保持させて、この試料の構成成分をなすアンモニウムミョウバン十二水和物に対し、その12水和水の一部に相当する水分を脱離させた。その後、窒素ガスの供給を継続して、水分が脱離したこの試料を、自然空冷により98℃から30℃に冷却した。試料の温度が30℃に到達した後、流通させる窒素ガスの流路を、熱重量測定装置の試料室から、図15に示すタンク72内の水74中に切替えて経由し、水74中でバブリングさせ、水蒸気(図15に示す水蒸気30S)を含む窒素ガスを、流量100ml/min.のまま、熱重量測定装置の試料室に供給した。窒素ガスの流路の切替えた以降、試料室にある試料に対し、時間の経過と共に変化する重量と放熱量を測定した。試料の重量が一定値となり、試料からの放熱がなくなった時点で、測定を終了した。なお、本実施形態では、試料から放熱した熱量の測定を行なわず、試料から放熱する挙動の有無についてのみ、確認を行った。
実験3は、蓄熱材10(アンモニウムミョウバン十二水和物)に、反応助剤20を添加していない条件の比較例1に係る試験である。
(1)比較例1に係る試験条件
・試料;蓄熱材10単体を10mg
・蓄熱材10;アンモニウムミョウバン十二水和物
・反応助剤20;添加せず
・蓄熱材10と反応助剤20との配合との配合重量比
蓄熱材10:反応助剤20=100:0
実験4は、蓄熱材10(アンモニウムミョウバン十二水和物)に、反応助剤20として臭化リチウム20Aを添加した蓄熱材組成物1A(図1参照)を対象に、実施例1,2及びその比較例2~6に係る試験による7種の条件で行った実験である。
(2)実施例1,2及びその比較例2~6に係る共通の試験条件
・試料;蓄熱材10と反応助剤20Aとの蓄熱材組成物1Aを10mg
・蓄熱材10;アンモニウムミョウバン十二水和物
・反応助剤20A;臭化リチウム
(3)実施例1に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20A=70:30
(4)実施例2に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20A=75:25
(5)比較例2に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20A=80:20
(6)比較例3に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20A=85:15
(7)比較例4に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20A=90:10
(8)比較例5に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20A=95:5
(9)比較例6に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20A=99:1
実験5は、蓄熱材10(アンモニウムミョウバン十二水和物)に、反応助剤20として塩化リチウム無水物20Bを添加した蓄熱材組成物1B(図1参照)を対象に、実施例3,4及びその比較例7~9に係る試験による5種の条件で行った実験である。
(10)実施例3,4及びその比較例7~9に係る共通の試験条件
・試料;蓄熱材10と反応助剤20Bとの蓄熱材組成物1Bを10mg
・蓄熱材10;アンモニウムミョウバン十二水和物
・反応助剤20B;塩化リチウム無水物
(11)実施例3に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20B=70:30
(12)実施例4に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20B=85:15
(13)比較例7に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20B=90:10
(14)比較例8係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20B=95:5
(15)比較例9に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20B=99:1
実験6は、蓄熱材10(アンモニウムミョウバン十二水和物)に、反応助剤20として塩化マグネシウム無水物20Cを添加した蓄熱材組成物1C(図1参照)を対象に、実施例5,6及びその比較例10~12に係る試験による5種の条件で行った実験である。
(16)実施例5,6及びその比較例10~12に係る共通の試験条件
・試料;蓄熱材10と反応助剤20Cとの蓄熱材組成物1Cを10mg
・蓄熱材10;アンモニウムミョウバン十二水和物
・反応助剤20C;塩化マグネシウム無水物
(17)実施例5に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20C=70:30
(18)実施例6に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20C=90:10
(19)比較例10に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20C=92:8
(20)比較例11係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20C=95:5
(21)比較例12に係る試験条件
蓄熱材10:反応助剤20C=99:1
実験3~6において、実施例1~6及びその比較例1~12では、何れの試験条件とも、水蒸気30Sを含んだ窒素ガスの供給を試料に開始すると同時に、試料において、重量増加と放熱が生じていることから、試料と水蒸気30Sとの間で、水和反応が起こっているものと推察される。特に、蓄熱材10からミョウバン水分欠落物14の状態になった試料に、反応助剤20を添加していない比較例1と、反応助剤20をある程度添加した実施例1~6とを比較すると、比較例1では、測定開始時からの試料の重量変化は、24%増に留まっている。これに対し、実施例1~6では、何れの試験条件とも、測定開始時からの試料の重量は、概ね40%から80%近く増えている。このように、試料の重量変化分が大幅に増えた理由として、ミョウバン水分欠落物14の状態にある試料に、潮解性を有する反応助剤20を添加して混ぜ合せているために、反応助剤20により、供給した水蒸気30Sや窒素ガス中に含まれる水分(水30)が、試料に吸収され易くなる。その結果、参照する図2に示すように、水30と、試料であるミョウバン水分欠落物14(図2中、アンモニウムミョウバン無水物11に相当)との間で生じる水和反応が、促進されていることから、試料の重量変化分が大幅に増えたものと考えられる。
(2)また、実施形態では、実験4~6において、測定終了時の試料重量比率が90%超えとなった実施例1~6に基づき、反応助剤20の配合比率の下限を設定したが、実用上、特に大きな問題とならなければ、略ミョウバン水和物の重量を、例えば、完全なミョウバン水和物の重量の80%以上としても良い。この場合には、反応助剤20の配合比率の下限は、以下の通りである。つまり、反応助剤20が臭化リチウムの場合、反応助剤20Aは、少なくとも10wt%以上としても良い。反応助剤20が塩化リチウムの場合、反応助剤20Bは、少なくとも10wt%以上としても良い。反応助剤20が塩化マグネシウムの場合、反応助剤20Cは、少なくとも5wt%以上としても良い。
10 蓄熱材(ミョウバン水和物)
11 ミョウバン無水物
12 水分(ミョウバン水和物に含む12水和水に相当)
13 基材
14 ミョウバン水分欠落物
20,20A,20B,20C 反応助剤(添加剤)
30 水
30S 水蒸気(加水)
30W 供給水(加水,水)
50 蓄熱材容器
51 内部空間
52 取水口(取水手段)
55 圧力調整弁
56 弁体部
GS 気体
LQ 液体
Claims (11)
- 一種以上の無機塩水和物を含むミョウバン水和物に蓄熱し、蓄えた熱を放出して使用するにあたり、
放熱と共に、前記ミョウバン水和物を生成させるための基材を準備する第一工程と、前記基材より前記ミョウバン水和物を生成させる第二工程と、を有し、
前記第一工程では、前記ミョウバン水和物を蓄熱時に、室温を超える温度で加熱することにより、前記ミョウバン水和物に含有する12水和水に対し、少なくとも1以上の水和数に相当する水分を系外に脱離して欠落させ、前記水分の量に相当する重量が減少した状態のミョウバン水分欠落物を、前記基材として生成すること、
前記第二工程では、放熱時に、前記ミョウバン水分欠落物への加水を経て、前記ミョウバン水和物を生成すること、
前記加水では、潮解性を有する反応助剤と混ぜ合わせた状態にある前記ミョウバン水分欠落物に直接、水蒸気を晒すこと、
前記反応助剤により、前記水蒸気を、前記ミョウバン水分欠落物に吸収させて水和反応を促進することにより、前記ミョウバン水和物は生成されること、
を特徴とする蓄熱材の使用方法。 - 請求項1に記載する蓄熱材の使用方法において、
前記反応助剤は、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、または塩化マグネシウム(MgCl2)のうち、少なくとも何れかに該当する物質であること、
を特徴とする蓄熱材の使用方法。 - 請求項2に記載する蓄熱材の使用方法において、
前記反応助剤は、前記ミョウバン水和物と前記反応助剤とによる蓄熱材組成物全体に占める重量比で、少なくとも10wt%以上を満たす割合で添加されていること、
を特徴とする蓄熱材の使用方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法において、
前記ミョウバン水分欠落物の生成にあたり、前記ミョウバン水和物を加熱する温度は、250℃以上であること、
を特徴とする蓄熱材の使用方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法において、
前記第一工程で用いる前記基材は、既製品のミョウバン無水物であること、
を特徴とする蓄熱材の使用方法。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法において、
前記ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン十二水和物(AlNH4(SO4)2・12H2O)、または、カリウムミョウバン十二水和物(AlK(SO4)2・12H2O)の少なくともいずれか一方であること、
を特徴とする蓄熱材の使用方法。 - 熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う蓄熱材を、充填して収容するための蓄熱材容器において、
前記蓄熱材を収容する内部空間に、水または水蒸気を外部から供給するための取水口として、閉蓋可能に形成された取水手段と、
前記内部空間の圧力を制御する圧力調整弁と、を備え、
前記圧力調整弁は、前記内部空間から前記蓄熱材の流出を遮断すると共に、前記内部空間の内外で液体の流通を遮断する一方で、前記内部空間から気体の流出を許容する弁体部を有していること、
前記蓄熱材は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載する蓄熱材の使用方法で用いる前記基材から生成される前記ミョウバン水和物を、少なくとも含むものであること、
を特徴とする蓄熱材容器。 - 水和反応に伴う反応熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う蓄熱材と、該蓄熱材の物性を調整する添加剤とを配合してなる蓄熱材組成物において、
前記添加剤は、潮解性を有する反応助剤であること、
前記蓄熱材は、その蓄熱状態において、一種以上の無機塩水和物を含むミョウバン水和物に含有する12水和水のうち、少なくとも1以上の水和数に相当する水分に対し、系外への脱離により欠落していることに伴い、前記水分の量に相当する重量が減少した状態にあるミョウバン水分欠落物、または一種以上の無機塩無水物を含むミョウバン無水物のいずれかとする基材からなり、水蒸気との水和反応により、反応熱を放熱する機能を持つ物質であり、
前記反応助剤は、前記蓄熱材である前記ミョウバン水和物の生成にあたり、前記水蒸気を前記基材に吸収させて、前記基材と前記水蒸気との水和反応を促進させる役割りを担う物質であること、
を特徴とする蓄熱材組成物。 - 請求項8に記載する蓄熱材組成物において、
前記反応助剤は、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、または塩化マグネシウム(MgCl2)のうち、少なくとも何れかに該当する物質であること、
を特徴とする蓄熱材組成物。 - 請求項9に記載する蓄熱材組成物において、
当該蓄熱材組成物全体の重量に占める前記反応助剤の配合比率は、少なくとも10wt%以上であること、
を特徴とする蓄熱材組成物。 - 請求項8乃至請求項10のいずれか1つに記載する蓄熱材組成物において、
前記ミョウバン水和物は、アンモニウムミョウバン十二水和物(AlNH4(SO4)2・12H2O)、またはカリウムミョウバン十二水和物(AlK(SO4)2・12H2O)の少なくともいずれか一方であること、あるいは、
前記ミョウバン無水物は、アンモニウムミョウバン無水物(AlNH4(SO4)2)、またはカリウムミョウバン無水物(AlK(SO4)2)の少なくともいずれか一方であること、
を特徴とする蓄熱材組成物。
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