JP7135900B2 - 制振構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、振動を低減できる制振構造体等に関する。
各種の構造体(機器、構造物等)に発生する振動は少ないほど、その信頼性、作動精度、静粛性等の向上を図れて好ましい。構造体自体の形態や、その使用条件・運転条件等の調整による振動の発生自体の抑制がなされる他、積極的な制振対策もなされる。
制振対策として、構造体の共振を抑制する動吸振器の配設、構造体の振動エネルギーを熱エネルギー等に転換させて減少させる制振材の配設等がある。前者に関連する記載が下記の特許文献1~3に、後者に関連する記載が下記の特許文献4にある。
特開2004-239323号公報 特開2011-11276号公報 特開2015-188982号公報 特開2012-82880号公報
特許文献1~3に係る動吸振器は、比較的大きな構造物や特定物(加工工具等)を対象にしており、別途付加されている。また特許文献4に係る制振部材も、制振対象物に後付けされている。
このような制振対策は、適用対象が限定的となり、例えば、軽量化や小型化等が要求される各種の機器への適用が難しい。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、新たな形態の制振構造体等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、本体の少なくとも一部を構成する中空セルに、片持ち梁(支持部)の先端側に設けた質量体(振動部)を揺動させる動吸振器を内蔵させることを着想した。これにより、各種部材(例えば筐体等)の軽量化等を図りつつ、優れた制振性も確保できることを確認した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《制振構造体》
(1)本発明は、柱状および/または壁状の骨格で区画された中空セルを有する本体と、該中空セルに内包された動吸振器とを備え、該動吸振器は、一端側が該骨格から延在する棒状の支持部と、該支持部の他端側に連なり該支持部よりも拡張している振動部と、を有する制振構造体である。
(2)本発明の制振構造体(単に「構造体」ともいう。)は、先ず、その本体(主系)が中空セルを有する。このため本発明の構造体によれば、強度や剛性等の確保と、軽量化や小型化との両立が可能となる。次に、本発明の構造体は、その中空セルに内包された動吸振器(副系/従系)を有する。この動吸振器により、動吸振器が無いときに本体に生じる共振周波数(固有振動数)が分岐等されるようになり、本体(主系)の固有振動数近傍で生じ得る共振レベルが抑制される。
《制振構造体の製造方法》
(1)本発明は、制振構造体の製造方法としても把握できる。上述した制振構造体は種々の方法で製造可能である。例えば、上述した制振構造体を粉末積層法により製造する方法として本発明を把握してもよい。
粉末積層法によれば、例えば、微細な中空セル内にも動吸振器を形成できる。また、粉末積層法によれば、中空セルや動吸振器の寸法を、1mm単位、0.5mm単位、0.1mm単位、0.05mm単位さらには0.01mm単位でも調整可能である。このため、本体や動吸振器の寸法を変えて、それらの固有振動数を5Hz単位、1Hz単位、0.5Hz単位さらには0.1Hz単位で調整することも可能となる。これにより、動吸振器(副系)により本体(主系)の共振周波数を自在に分岐させて、共振ピークを低減することも可能となる。
なお、粉末積層法を用いると、動吸振器は中空セルに非接合な連続体として、つまり、動吸振器の支持部と中空セルの骨格が一体的に連なったものとして形成できる。
(2)粉末積層法を用いた場合、密閉された中空セル(動吸振器の有無を問わない。)や振動部に、粉末が内包(充填)された状態とすることもできる。このような粉末は、振動時に、中空セルや動吸振器の各構成面と接触・衝突したり、粉末同士が接触・衝突したりして、振動エネルギーを効果的に散逸させる流動材として機能する。
振動部に内包された粉末は、動吸振器の減衰材(ダンパー)としても機能し得る。つまり、中空セルに内包させる動吸振器を、非減衰動吸振器のみならず、減衰付動吸振器とすることもできる。
なお、中空セルに設けた粉抜き穴から(原料)粉末の一部または全部を除去すれば、中空セル内の粉末量を調整できる。粉末のない中空セル内の動吸振器は、振動部の振動が抑制(制限)されず、その固有振動数に応じて本体の共振周波数を分岐させる。一方、中空セル内の粉末量を調整すれば、そのような動吸振器の振動特性(共振周波数の調整、振動強度(振幅)に対する低減度合等)を意図的に制御することも可能となる。
(3)粉末積層法は、粉末を用いた積層造形法(いわゆる三次元造形法、3Dプリンター法)または付加製造法(AM:Additive Manufacturing)の一種であり、粉末焼結積層造形法でも、粉末固着積層造形法でもよい。粉末焼結積層造形法によれば、各層の原料粉末に加熱源である高エネルギービームを照射して、その原料粉末を順次焼結(溶融凝固を含む。)させていくことにより、造形物が得られる。粉末固着積層造形法によれば、各層の原料粉末に、接着剤(インク)を逐次吹付けて、その原料粉末を順次結着させていくことにより、造形物が得られる。
粉末焼結積層造形法は、粉末床溶融結合法(PBF:powder bed fusion)でも、指向性エネルギー堆積法(DED:directed energydeposition)でもよい。PBFは、原料粉末を薄く1層敷く毎に、所定の経路で高エネルギービーム(レーザ、電子ビーム等)を走査して、原料粉末を溶融凝固させることを繰り返して、所望形状の造形物(バルク体)を得る方法である。DEDは、高エネルギービームの焦点付近に投射した原料粉末を溶融凝固させつつ、その溶融凝固位置を走査(移動)させて所望形状の造形物を得る方法である。このような粉末積層法(特にPBF)によれば、上述したように、未焼結(未溶融)または未結着な原料粉末をそのまま中空セル内または振動部内に残存させることができる。なお、種々の材質(金属、樹脂、化合物等)の粉末を原料粉末とできるが、代表的な原料粉末は金属粉末である。
《その他》
(1)中空セルは、本体を形成する骨格により区画された密閉または解放された空間(部屋)からなる。その形態、大きさ、配置数等は適宜調整され得る。中空セルは、制振構造体の全体に分布して形成されていてもよいし、その一部の領域に形成されているだけでもよい。後者の場合、制振構造体(本体)は、中空部(中空セル)と中実部が混在した状態でもよい。中空セルが複数ある場合、それらの形態(形状、サイズ)は同じでも、異なっていてもよい。或る中空セルを単位体として、多数の同形態の中空セルで本体(構造体)を構成してもよい。
中空セルや動吸振器の最大長(一辺の長さ、直径、幅等の最大値)は、例えば、0.5~1000mm、1~500mm、5~100mmさらには10~50mmの範囲で調整され得る。上述した粉末積層法によれば、複雑な形状の構造体(本体)にも、微細な中空セルや動吸振器を各方向(極座標を含む各座標軸方向)に自在に配設できる。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x~y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a~b」のような範囲を新設し得る。また、特に断らない限り、本明細書でいう「x~ymm」は、xmm~ymmを意味する。他の単位系についても同様である。
動吸振器の有る制振構造体の質点系モデル図である。 動吸振器の無い制振構造体(本体/試料C0)の部分断面を含む正面図と平面図である。 試料11に係る中空セルおよび動吸振器の断面図と、それらを有する制振構造体の部分断面を含む正面図と平面図である。 試料12に係る中空セルおよび動吸振器の断面図と、それらを有する制振構造体の部分断面を含む正面図と平面図である。 試料13に係る中空セルおよび動吸振器の断面図と、それらを有する制振構造体の部分断面を含む正面図と平面図である。 試料21~23に係る中空セルおよび動吸振器を有する制振構造体の部分断面を含む正面図である。 試料21~23に係る中空セルおよび動吸振器の断面図である。 制振性を測定する様子を示す模式図である。 試料C0、11~13に係るアクセレランスの周波数特性を示すグラフである。 試料C0、21~23に係るアクセレランスの周波数特性を示すグラフである。 その縦軸(アクセレランス)を対数表記した周波数特性を示すグラフである。 動吸振器の無い制振構造体(本体/試料30)を示す(部分)断面図である。 試料31に係る動吸振器の断面図と、その動吸振器を有する制振構造体を示す(部分)断面図である。 試料32に係る動吸振器の断面図と、その動吸振器を有する制振構造体を示す(部分)断面図である。 周波数応答解析による変位量の評価位置を示す図である。 1次振動モードに関する周波数特性を示すグラフである。 2次振動モードに関する周波数特性を示すグラフである。 支持部が異方形状である動吸振器の1次共振周波数と2次共振周波数を示す一覧図である。
本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明の制振構造体としてのみならず、その製造方法にも適宜該当する。方法的な構成要素であっても、物に関する構成要素ともなり得る。
《動吸振器》
動吸振器は、本体内に形成された中空セルに内包された支持部と振動部からなる。支持部は、一端側が中空セルの骨格に連なり、他端側が振動部に連なる。振動部は、支持部よりも拡張しており、いわゆる質量体(振動体)を構成する。
動吸振器の無い本体(単に「主系」ともいう。)に、動吸振器(単に「副系」ともいう。)を設けた構造体の質点系振動モデル(バネマスモデル)は、例えば、図1に示すようになる。ここで、動吸振器i(i=1、2、3・・・)について、質量:mi、バネ定数:ki、減衰係数:ciとし、動吸振器の無い本体について、質量:M、バネ定数:K、減衰係数:Cとした。なお、粉末等の流動材が中空セルにないとき、減衰係数として、支持部、振動部または本体を構成する材質自体に基づく減衰の影響を考慮してもよい。
ところで、主系である本体の固有振動数:f、副系である動吸振器の固有振動数:fとすると、fをf付近(f≠fとすることが多いが、f=fとしてもよい)にすることにより、本体の固有振動数を分岐して、構造体の共振現象を抑制できる。例えば、それらの固有振動数差(Δf=|f-f|)を本体の固有振動数(f)の20%以内、15%以内、10%以内さらには5%以内とするとよい。また、その固有振動数差(Δf=|f-f|)を100Hz以内、50Hz以内さらには25Hz以内としてもよい。
固有振動数が異なる複数種の動吸振器を設けると、制振構造体は多重動吸振器を備えることになる。このとき、本体の固有振動数の分岐数が増加して、構造体の共振レベルが低減され易い。また、ある動吸振器を設けることにより生成した分岐後の固有振動数(f)を考慮して、別な動吸振器の固有振動数(f)を、その分岐後の固有振動数近傍に設定してもよい。この場合も、それらの固有振動数差(Δf=|f-f|)を上述した場合と同様に設定するとよい。これにより、本体の固有振動数を確実に分岐でき、構造体の共振レベルを効率的に低減できる。なお、各動吸振器の固有振動数(f)は、基本的に、上述した質量:miとバネ定数:kiにより定まり、支持部と振動部の形態(寸法、材質等)により調整され得る。
固有振動数の異なる複数の動吸振器は、群(グループ)単位で、本体内に配置してもよい。例えば、本発明の構造体は、同じ第1固有振動数の動吸振器の一群を内包する第1領域と、第1固有振動数とは異なる同じ第2固有振動数の動吸振器の一群を内包する第2領域と、を少なくとも備えてもよい。
複数または複数群の動吸振器は、例えば、本体(主系)の振動モード(例えば、振幅の大きい領域)を考慮して、面状、点状に、連続的または離散的に配置されると、高い制振性(共振周波数の分岐や共振レベルの低減等)を効率的または効果的に得ることが可能となる。
複数の中空セルがある場合、全ての中空セルに動吸振器が配設されてもよいし、動吸振器が無い中空セルが含まれてもよい。動吸振器の有る中空セルは、動吸振器の無い中空セル、さらには中実部(中空セルのない部分)を介在させて配置されてもよい。
支持部および/または振動部の少なくとも一つ以上に、流動材(粉末等)が内包されていてもよい。特に、支持部よりも大きい振動部に内包されている粉末等は、動吸振器のダンパー(減衰器)としても作用し得る。さらに、動吸振器の有無とは関係なく、中空セル内にも流動材(粉末等)が内包されていてもよい。
支持部の断面は、等方形状でも異方形状でもよい。支持部の断面が等方形状であると、複数の振動方向(例えば、支持部の延在方向に対する直交方向)に関して、動吸振器の固有振動数をほぼ等しくできる。
一方、支持部の断面が異方形状であると、複数の振動方向に関して、異なる固有振動数を対応させることも可能となる。これにより、一種類(一形態)の動吸振器でも、本体(制振構造体)の複数の振動方向に関して、共振ピークを分岐、低減させ得る。これにより、例えば、制振構造体の簡素化や動吸振器の省スペース化を図れる。
支持部の延在方向(「軸方向」ともいう。)に交差する断面は、必ずしも、支持部の延在方向に対する直交断面でなくてもよい。支持部の断面形状は、本体(制振構造体)の振動方向に応じて定めればよい。但し、特に断らない限り、支持部の延在方向に対する直交断面を、単に「支持部の断面」という。
等方形状とは、動吸振器の複数(少なくとも2以上)の振動方向(振動次数、振動モード)に関する固有振動数が(略)同じ(例えば、各方向の固有振動数差が100Hz以下さらには50Hz以下)になる断面形状である。等方形状の代表例は、円形、円環形等である。
一方、異方形状とは、動吸振器の複数の振動方向に関する固有振動数が乖離(例えば、上述した固有振動数差が100Hz超さらには300Hz以上)する断面形状である。異方形状の代表例として、楕円、長方形、菱形、滴形(ティアドロップ形)、H形等がある。なお、複数の振動方向について固有振動数差が少ない正多角形さらには楕円、長方形等は、実質的に等方形状と考えることもできる。
《中空セル》
中空セルは、柱状の骨格、壁状の骨格またはそれら両方により区画された内部空間を構成する。内部空間は、閉空間、または少なくとも一部が隣接する中空セルや外部に連通する開空間でもよい。
中空セルは、少なくとも一つが本体にあればよい。通常、複数(さらには多数)の中空セルが本体に配設されている。複数の中空セルは、例えば、少なくとも異なる二方向(さらには三方向)のそれぞれに沿って配設される。配設方向は、例えば、デカルト座標系の他、円筒座標系、球面座標系等の各軸方向でもよい。具体的にいうと、本体が円筒状であるなら、径方向(r方向)と周方向(θ方向)、さらには長手方向(Z方向)の各方向に沿って、少なくとも2つ以上の中空セルが配設されてもよい。本体が球体状であるなら、径方向(r方向)と角度方向(θ方向さらにはφ方向)の各方向に沿って、少なくとも2つ以上の中空セルが配設されてもよい。通常、横方向(X方向)、縦方向(Y方向)さらには深さ(厚さ)方向(Z方向)に沿って、少なくとも2つ以上の中空セルが配設されているとよい。
粉末を内包している中空セル(単に「粉末セル」ともいう。)は、粉末を保持するため、少なくとも最外面が閉じた閉空間であるとよい。粉末セルには、動吸振器が有っても、無くてもよい。粉末の充填率は、例えば、20%~80%さらには30%~70%程度である。充填率が過小でも過大でも、振動エネルギーの吸収・散逸による制振効果やダンパー効果が低くなる。ちなみに、粉末積層法を用いた場合、原料粉末の粒度にも依るが、概ね充填率は40%~60%程度となる。ここで説明した粉末の充填率は、粉末を内包する振動部にも該当し得る。
充填率は次のようにして算出される。
充填率(%)=(Vp/V)×100=(ΣVi/V)×100
V :対象物(中空セルまたは振動部等)内の容積、
Vp:対象物内に充填された粉末の総体積、
vi:粉末粒子一つの実体積
粉末の粒度は、中空セルや振動部のサイズに応じて適宜選択される。粉末積層法を用いる場合なら、造形性、粉末の入手性、取扱性または品質等を考慮して、粉末の粒度は、例えば、5~300μm、10~150μm、15~100μm、20~63μmさらには25~45μmとするとよい。
本明細書でいう粉末の粒度は、特に断らない限り、所定のメッシュサイズの篩いを用いて分級する篩い分け法で規定する。例えば、粒度「x~y」は、篩目開きがx(μm)の篩いを通過せず、篩目開きがy(μm)の篩いを通過する大きさの粒子からなることを意味する。粒度「y未満」または「-y」は、篩目開きがy(μm)の篩いを通過する大きさの粒子からなることを意味する。
粉末の材質は、金属、樹脂、ゴム、セラミックス等のいずれでもよい。本体が磁気に曝される場合は、非磁性材からなる粉末を用いてもよい。PBFやDEDにより構造体を製造する場合、所望組成の金属粉末(アトマイズ粉等)を用いるとよい。
《制振構造体》
制振構造体は、形状、大きさ、用途等を問わない。中空セルや動吸振器の形状、サイズ、配設方向(延在方向)、配置数、配設位置(領域)、特性等は、制振構造体の要求仕様(機械的特性(強度、重量等)、振動特性)等を考慮して適宜選択される。
制振構造体は、汎用品でも、専用品でもよい。汎用品は、例えば、板材、ブロック材、柱材、管材等である。専用品は、例えば、制振対象である特定の機器・装置に応じた形状をした部材である。専用品として、例えば、加振源を包囲する筐体(電動機のハウジング・ケーシング等)がある。
制振構造体は、既述した粉末積層法のような付加加工の他、レーザー加工、切削加工、打ち抜き等の除去加工、さらには塑性加工等により形成されてもよい。例えば、二次元的な制振構造体なら板金加工により製造されてもよい。制振構造体の仕様や用途等に応じて、適切な製造方法が選択されるとよい。
複数の試料を製作し、それらの制振性を評価した。このような具体例を挙げつつ、以下に本発明をさらに詳しく説明する。
[第1実施例]
《試料の製作》
(1)概要
図2、図3A~図3C(これらを併せて「図3」という。)、図4Aと図4B(両図を併せて「図4」という。)に示すような、試料C0、試料11~13、試料21~23(構造体M0~M6)を粉末焼結積層造形法により製造した。
いずれも、外観は直方体(250mm×20mm×6mm)からなる薄板短冊状とした。各内部には、3行×17列×1段(合計51個)の中空セルが、各方向に規則的に形成されている。いずれの中空セルも、両端面が半球面状をしたカプセル状(有底円筒状/φ4.5mm×全長13mm)とした。中空セル内に一体的に設ける動吸振器の有無、形状、配置等は、各試料毎に変更した。中空セルおよび動吸振器の詳細は後述する。
粉末焼結積層造形法は、いわゆる3Dプリンター(SLM Solutions 社製 SLM280HL)を用いて実施した。原料粉末には、市販されているAlSi10Mg粉末(成分組成:Al-10wt%Si-0.35wt%Mg、粒径:20~63μm)を使用した。
なお、密閉された中空セルまたは振動部に内包(充填)される粉末(流動材)には、未凝固の原料粉末(残存粉末)を利用した。原料粉末は、流動性に優れ、流動材としても好適である。
(2)試料C0
動吸振器の無い本体11(主系)のみからなる構造体M0を図2に示した。本体11は、規則的に配列された51個の中空セル112と、各中空セル112を内包するようにその周囲に形成された壁状の骨格111と、中空セル112に残存する原料粉末を取り除く粉抜き穴113とを有する。粉抜き穴113は、各中空セル112毎に2箇所づつ、本体11の両面に設けた(他の構造体の粉抜き穴も同様)。なお、粉抜き穴のサイズ、配置、数等は、粉末の粒径等を考慮して適宜調整され得る。
構造体M0の一次共振周波数(以下、単に「固有振動数」という。)fは545Hzであった。この構造体M0を試料C0とした。
ちなみに、本実施例では、構造解析シミュレーションソフト ANSYS(Ver.18.0)を用いて、構造体の形態や材質等に基づくモーダル解析により、各固有振動数を求めている(以下同様)。この際、構造体の骨格部分は、密度:2.661g/cm、ヤング率:68GPa、ポアソン比:0.3とした。構造体中で粉末を内包する部分は、(見掛)密度:1.59g/cm、ヤング率:1MPa、ポアソン比:0.3とした。ここで、その粉末内包部分の密度は、CAD(computer aided design)上で計算した内包空間の体積と、内包空間に充填されていた粉末分の実測した重量とに基づいて求めた。それらの密度から、本実施例の場合、密閉された空間(中空セルまたは振動部)に内包される粉末の相対密度は、約60%(1.59/2.661)となることがわかる。
なお、上述したように、固有振動数を算出するときの主系モデルは、動吸振器を含まない構造体(図2参照)とした。但し、粉末を内包するときは、そのシェル(中空セルまたは振動部)のばね定数を維持しつつ、シェルの質量を粉末の質量分だけ増加させて計算した。また副系モデルは、支持部と振動部だけ(例えば図3Aに示す支持部211と振動部212からなる動吸振器21)とした。さらに、拘束条件として、主系モデルは拘束なし(フリー状態)、副系モデルは支持部の一端面だけが骨格に固定されているとした。
(3)試料11~13
本体11の中空セル112または本体12の中空セル122、124(詳細は後述)の内部に、種々の動吸振器(副系)を一体的に形成した構造体M1~M3をそれぞれ図3A~図3Cに示した。
構造体M1は、図3Aに示すように、既述した本体11の各中空セル112に、動吸振器21をそれぞれ設けてなる。動吸振器21は、中空セル112の内壁面(骨格111)から一体的に(非接合に連なって)延在する細い円柱状(棒状)の支持部211と、その支持部211の他端側に一体的に(連続的に)連なる振動部212とからなる。振動部212は、支持部211に対して膨張した中実円柱状(紡錘状)であり、その両端面は略半球面状となっている。上述した解析方法で求めた動吸振器21の固有振動数fは544Hzであった。この構造体M1を試料11とした。なお、動吸振器21の固有振動数は、構造体M0の固有振動数を踏まえつつ、図3Aに示す支持部211の寸法(径:d1、長さ:h1)と振動部212の寸法(径:d2、長さ:h2)を種々変化させて繰り返し計算することにより調整した。この点は他の動吸振器の固有振動数についても同様である。
構造体M2は、図3Bに示すように、本体11の2行目(中央行)に配列した各中空セル112内に上述の動吸振器21を設けると共に、本体11の1行目と3行目に配列した各中空セル112内に、動吸振器22と動吸振器23とをそれぞれ設けてなる。
動吸振器22は支持部221と振動部222からなり、動吸振器23は支持部231と振動部232からなる。動吸振器22、23は動吸振器21と基本形状が同じであるが、各部の寸法が動吸振器21と少し異なっている。動吸振器22の固有振動数fは462Hz、動吸振器23の固有振動数fは595Hzであった。この構造体M2を試料12とした。
構造体M3は、図3Cに示すように、本体12の1行目と3行目に配列した各中空セル124内に動吸振器24を設けると共に、本体12の2行目(中央行)に配列した各中空セル122内に動吸振器25を設けてなる。
本体12、中空セル122、124は、それぞれ、本体11、中空セル112と基本形状およびサイズが同じである。但し、中空セル124には粉抜き穴が無く、中空セル124は密閉空間を形成している。中空セル122には、中空セル112の粉抜き穴113と同じ粉抜き穴123が有る。
密閉された中空セル124内には粉末3が充填されている。粉末3は、粉末粒子同士、中空セル124の内壁面、動吸振器24の表面と接触・衝突して、それらから振動エネルギーを吸収し、散逸させる。粉末3の充填率は約60%であり、動吸振器24は振動が可能となっている。
動吸振器24は支持部241と振動部242からなり、動吸振器25は支持部251と振動部252からなる。動吸振器24、25は、動吸振器21と基本形状が同じであるが、各部の寸法が動吸振器21と少し異なっている。粉末3を考慮せずに算出した動吸振器24の固有振動数fは529Hz、動吸振器25の固有振動数fは491Hzであった。この構造体M3を試料13とした。
(4)試料21~23
本体11の中空セル112、または本体13の中空セル134の内部に、種々の動吸振器(副系)を一体的に形成した構造体M4~M6を製造した。これら構造体の詳細は次の通りである。
構造体M4は、図4Aに示すように、本体11の中空セル112内に、図4Bに示す動吸振器26を設けてなる。動吸振器26は支持部261と振動部262からなり、基本形状は既述した動吸振器21とが同じであるが、各部の寸法が動吸振器21と異なる。ここでは、支持部261と振動部262の寸法を変化させることにより、種々の固有振動数を有する動吸振器26を形成した。
具体的にいうと、図4A中の表に示す7種の固有振動数を有する動吸振器26を、本体11の所定領域にある中空セル112内に一体的に形成した。本体11の1列目(一端側)、9列目(中央)および17列目(他端側)にある中空セル112内には、固有振動数が519Hzである動吸振器26を設けた。これら動吸振器26の一群をA群とした。
同様に、本体11の2列目にある中空セル112内には、固有振動数が464Hzである動吸振器26を設けた。これら動吸振器26の一群をB群とした。以下、同様に、C群~G群に属する各動吸振器26を、本体11の所定領域に設けた。なお、本体11の3~6列目と12~15列目にある中空セル112には動吸振器を設けなかった。この構造体M4を試料21とした。
構造体M5は、図4Aに示すように、本体13の中空セル134内に、図4Bに示す動吸振器27を設けてなる。本体13、中空セル134はそれぞれ、本体11、中空セル112と基本形状およびサイズは同じであるが、中空セル134には粉抜き穴が無く、中空セル134は密閉空間を形成している。
動吸振器27は支持部271と振動部272からなる。動吸振器27も動吸振器26と同様に、基本形状は既述した動吸振器21とが同じであるが、各部の寸法が動吸振器21と異なる。ここでも、それらの寸法を変化させて、種々の固有振動数を有する動吸振器27を形成した。密閉された中空セル134内には、中空セル124の場合と同様に、粉末3が充填された状態となっている。
構造体M5でも構造体M4と同様に、固有振動数が異なる動吸振器27を群単位で、本体13の所定領域毎に配設した。また、本体13の3~6列目と12~15列目にある中空セル134には動吸振器を設けなかった。この構造体M5を試料22とした。
構造体M6は、構造体M4と同様に、本体11の中空セル112内に、図4Bに示す動吸振器28を設けてなる。構造体M6は、構造体M4の動吸振器26を動吸振器28に置換したものである。構造体M6でも構造体M4と同様に、固有振動数が異なる動吸振器28を群単位で、本体11の所定領域毎に配設した。
動吸振器28も支持部281と振動部282からなり、基本的な外形は既述した動吸振器26と同じである。但し、振動部282は、外郭(シェル)2821とその内部に充填された粉末2823とからなる。粉末2823は粉末3と同様に原料粉末からなり、その充填率も既述した粉末3と同様である。この構造体M6を試料23とした。
《測定》
図5に示すように、加速度センサー(PCB Piezotronics社 352C23)を付けた試料をワイヤーで懸架し、その試料をインパルスハンマー(株式会社小野測器 GK-2110)で軽く打撃する打撃試験を行った。インパルスハンマーと加速度センサーから得られた打撃波形と応答波形を、FFTアナライザ(株式会社小野測器 CF-7200)で解析して、周波数応答関数を得る。
こうして各試料について、周波数に対する加速度の応答関数(アクセレランス)を求めた。試料C0、試料11~13の測定結果を図6に示した。試料C0、試料21~23の測定結果を図7Aと図7B(両者を併せて単に「図7」という。)に示した。図7Bは図7Aの縦軸(アクセレランス)を対数表記したものである。
《評価》
(1)図6から明らかなように、中空セル内に動吸振器を設けた構造体(試料11~13)は、動吸振器を設けない構造体(試料C0/本体)と比較して、いずれも共振周波数が分岐されて、各周波数におけるアクセレランスは半分以下となった。具体的には次の通りである。
試料11(構造体M1)のように、主系(試料C0/本体11/構造体M0)と固有振動数が異なる一種類の副系(動吸振器21/f=544Hz)を設けた場合、主系の共振周波数(f545Hz)が、fまたはfの前後にある二つの共振周波数(470Hzと606Hz)に分岐され、アクセレランス(共振レベル)は約1/3~1/2にまで低減した。
試料12(構造体M2)のように、主系(試料C0)と固有振動数がそれぞれ異なる三種類の副系(動吸振器21~23/f=462Hz、f=595Hz、)を設けた場合、主系の共振周波数が四つの共振周波数(432Hz、494Hz、546Hz、611Hz)に分岐され、そのアクセレランスは約1/9~1/3にまで低減した。
試料11と試料12の結果から、共振周波数の分岐は次のようになっていることがわかる。先ず、主系の共振周波数(f=545Hz)に近い固有振動数(f=544Hz)を有する動吸振器21により、主系の共振周波数がその前後の共振周波数(470Hzと606Hz)に分岐される。
次に、分岐後の各共振周波数にそれぞれ近い固有振動数(f=462Hz、f=595Hz)を有する動吸振器22、23により、分岐後の各共振周波数はさらに、それら前後の各共振周波数(470Hz→432Hzと494Hz/606Hz→546Hzと611Hz)に分岐される。このように、適切な範囲内で固有振動数の異なるn種類の動吸振器を設けることにより、動吸振器の無い主系の共振周波数を(n+1)個に分岐でき、それぞれのアクセレランスをほぼnの増加と共に減少させられる。
試料13(構造体M3)のように、主系(試料C0)と固有振動数がそれぞれ異なる二種類の副系(動吸振器24、25/f=529Hz、f=491Hz、)を設けた場合、先ず、主系の共振周波数は動吸振器25により、f前後の共振周波数に分岐された。
しかし、動吸振器24は、その分岐後の共振周波数に近い固有振動数を有するが、その分岐後の共振周波数をさらに分岐させることはなかった。但し、アクセレランスは、約1/9にまで安定的に低減した。これは、中空セル124に充填された粉末3による影響と考えられる。つまり、動吸振器24は、粉末3により振動(振幅)が制限され、ダイナミックダンパーとしてあまり機能せず、振動エネルギーを熱エネルギー等に変換する制振部材として機能したと考えられる。
(2)図7から明らかなように、試料21~23でも、高い制振性が得られた。具体的には次の通りである。
試料21(構造体M4)のように、主系(試料C0)と固有振動数がそれぞれ異なる七種の副系(動吸振器26/f=439~620Hz)を設けた場合、試料11や試料12の場合と同様に、主系の共振周波数が八つに分岐され、そのアクセレランスは約1/3~1/10程度まで低減した。
試料22(構造体M5)のように、粉末3が充填された中空セル134内に七種の動吸振器27を設けた場合、主系の共振周波数は分岐されず、共振周波数がシフトしただけであった。この場合でも、アクセレランスは約1/10程度まで低減した。これは、試料13の動吸振器24を設けた場合と同様に、中空セル134に充填された粉末3による影響と考えられる。つまり、動吸振器27も、粉末3により振動(振幅)が制限され、ダイナミックダンパーとしてあまり機能せず、振動エネルギーを熱エネルギー等に変換する制振部材として機能したと考えられる。
但し、本実施例で行った打撃試験は、軽い打撃を加えただけであり、加振力が大きくなかった。もし、加振力の大きい強い打撃を加えた場合、試料13(構造体M3)や試料22(構造体M5)でも、動吸振器24や動吸振器27が主系の共振周波数を分岐させるように作用し得る。従って、試料13や試料22は、より大きな振動が印加された場合、共振周波数の分散と振動エネルギーの吸収との協働により、高い制振性を発揮し得る。
試料23(構造体M6)のように、粉末3が充填されていない中空セル112内に固有振動数が異なる七種の副系(動吸振器28)を設けると共に、各動吸振器28の振動部282に粉末2823が内包されていると、主系の共振周波数が八つに分岐されると共に、そのアクセレランスが約1/30程度まで大幅に低減した。
このようにアクセレランスの顕著な低減は、振動部282に内包された粉末2823が減衰器(ダンパー)となり、動吸振器28が減衰付動吸振器として機能したことが大きいと考えられる。
これに加えて、動吸振器28の各固有振動数と本体11への配置とを適切に調整したことも、アクセレランスの低減に寄与していると考えられる。つまり、試料21~23では、本体(主系)の変位が大きくなる領域(例えば、一次共振モードの変位が大きい両端部と中央部)に、適切な固有振動数(共振周波数を分岐させる複数種の固有振動数)を有する複数種の動吸振器(副系)を複数配置している。このことがアクセレランスの低減に大きく影響したと推察される。
以上のように、動吸振器を内包した中空セルからなる構造体は、高い制振性を発揮することがわかった。特に、動吸振器(副系)の固有振動数(f)を本体(主系)の固有振動数(f)の近傍(|f-f|がfの20%以内または100Hz以内)に設定することにより、主系の共振周波数が分岐され、そのアクセレランスが大幅に低減されることもわかった。さらに、中空セルまたは動吸振器の振動部に、減衰材(流動材)となる粉末等を内包させると、アクセレランスが顕著に低減されることもわかった。
[第2実施例]
動吸振器の支持部の形状が構造体の振動モード及ぼす影響を、既述した解析ソフト(ANSYS)を用いた周波数応答解析等を行って確認した。
《解析モデル》
解析モデルとして、図8A~図8Cに示す試料30~32を用意した。試料30は、動吸振器の無い本体(主系)のみからなり、既述した構造体M0に相当する。但し、本実施例では、中空セルの配置数を3行×13列×1段(合計39個)とした。
試料31と試料32は、各中空セル内に動吸振器を備えた既述の構造体M1に相当する。但し、本実施例に係る各動吸振器は、動吸振器21とは異なり、振動部に粉末を内包している(既述した動吸振器28の振動部282参照)。また、各試料の動吸振器は、固有振動数を調整するために、寸法が異なっている。そして、試料31の動吸振器の支持部は円柱状(等方形状)であるが、試料32の動吸振器の支持部は楕円柱状(異方形状)となっている。その異方形状である楕円は、構造体(本体)の板厚方向(1次の振動方向)を短軸、その板幅方向(2次の振動方向)を長軸としている。
解析モデルの各形状を図8A~図8Cに併せて示した。各寸法は、上述した解析ソフトを用いたモーダル解析により、試料30の本体と試料31、32の動吸振器とについて、各共振周波数が次のようになるように定めた。
試料30の本体 :1次共振周波数:554Hz、2次共振周波数:1630Hz
試料31の動吸振器:1次共振周波数:554Hz、
試料32の動吸振器:1次共振周波数:554Hz、2次共振周波数:1630Hz
なお、本実施例でいう「1次」は構造体の板厚方向の振動モードを意味し、「2次」は構造体の板幅方向の振動モードを意味する(図9参照)。
《周波数応答解析》
図9に示すように、1次の振動モード(板厚方向)は、各構造体の一端側P10に繰返し負荷(1N)をかけたときに生じる他端側P11の変位量で評価した。これにより得られた各試料の解析結果を図10Aに示した。
また2次の振動モード(板幅方向)は、各構造体の一端側P20に繰返し負荷(1N)をかけたときに生じる他端側P21の変位量で評価した。これにより得られた各試料の解析結果を図10Bに示した。なお、いずれの解析も、基本的に、第1実施例と同様な設定条件下で行った。
《評価》
図10Aから明らかなように、動吸振器の有る試料31と試料32では、動吸振器の無い試料30に対して、1次振動モードに関する共振周波数の分岐と共振ピーク(変位量)の低減が確認された。
図10Bから明らかなように、動吸振器があっても、支持部が等方形状である試料31の場合、2次振動モードに関する共振周波数の分岐と共振ピーク(変位量)の低減は確認できなかった。一方、動吸振器の支持部が異方形状である試料32では、2次振動モードに関する共振周波数の分岐と共振ピーク(変位量)の低減が確認された。
こうして動吸振器の支持部の断面を、振動方向に応じた異方形状とすることにより、一種類の動吸振器で、複数方向の制振が可能であることがわかった。
[第3実施例]
支持部の断面を異方形状とした他の動吸振器についても、既述したモーダル解析により、1次共振周波数と2次共振周波数を算出した。それらを図11にまとめて例示した。図11から明らかなように、支持部の断面形状を調整すれば、一つの動吸振器でも、振動方向毎に共振周波数を種々変化させ得ることが確認された。
M 構造体
11 本体
111 骨格
112 中空セル
113 粉抜き穴
21 動吸振器
211 支持部
212 振動部
3 粉末

Claims (12)

  1. 柱状および/または壁状の骨格で区画された中空セルを有する本体と、
    該中空セルに内包された動吸振器とを備え、
    該動吸振器は、一端側が該骨格から延在する棒状の支持部と、
    該支持部の他端側に連なり該支持部よりも拡張している振動部とし、
    該中空セルは複数あり、
    該動吸振器は固有振動数が異なる複数種ある制振構造体。
  2. 前記動吸振器の固有振動数(f)は、前記本体の固有振動数(f)と異なり、該本体の固有振動数との固有振動数差(Δf=|f-f|)が該本体の固有振動数の20%以内である請求項1に記載の制振構造体。
  3. 前記動吸振器の固有振動数(f)は、前記本体の固有振動数(f)と異なり、該本体の固有振動数との固有振動数差(Δf=|f-f|)が100Hz以内である請求項1に記載の制振構造体。
  4. 第1固有振動数の動吸振器の一群を内包する第1領域と、
    該第1固有振動数とは異なる第2固有振動数の動吸振器の一群を内包する第2領域と、
    を少なくとも備える請求項1~3のいずれかに記載の制振構造体。
  5. 前記中空セルは、少なくとも異なる二方向のそれぞれに沿って複数配設されている請求項1~のいずれかに記載の制振構造体。
  6. さらに、前記動吸振器の無い中空セルを有する請求項1~のいずれかに記載の制振構造体。
  7. 前記中空セルの少なくとも一つは、粉末を内包している請求項1~のいずれかに記載の制振構造体。
  8. 前記支持部は、前記中空セルの骨格から一体的に連なっている請求項1~のいずれかに記載の制振構造体。
  9. 前記支持部は、延在方向に直交する断面が異方形状である請求項1~のいずれかに記載の制振構造体。
  10. 前記異方形状は、楕円、長方形、菱形、滴形またはH形のいずれかである請求項に記載の制振構造体。
  11. 前記振動部の少なくとも一つは、粉末を内包している請求項1~10のいずれかに記載の制振構造体。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の制振構造体を、粉末積層法により製造する制振構造体の製造方法。
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