JP7133495B2 - オフセット印刷用インキ組成物、及び枚葉オフセット印刷物の製造方法 - Google Patents

オフセット印刷用インキ組成物、及び枚葉オフセット印刷物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オフセット印刷用インキ組成物、及び枚葉オフセット印刷物に関するものである。
オフセット印刷は、油性であるオフセット印刷用インキ組成物(以下、「インキ組成物」又は「インキ」と適宜省略する。)が水に反発する性質を利用した印刷方式であり、凹凸を備えた印刷版を用いる凸版印刷方式とは異なり、凹凸のない印刷版を用いることを特徴とする。この印刷版は、凹凸の代わりに親油性の画像部と親水性の非画像部とを備える。そして印刷に際しては、まず、湿し水によって印刷版の非画像部が湿潤されてその表面に水膜が形成され、次いでインキ組成物が印刷版に供給される。このとき、供給されたインキ組成物は、水膜の形成された非画像部には反発して付着せず、親油性の画像部のみに付着する。こうして、印刷版の表面にインキ組成物による画像が形成され、次いでそれがブランケット及び紙に順次転移することにより印刷が行われる。
また、上記のように湿し水を用いたオフセット印刷の他に、シリコーン樹脂により非画像部が形成された印刷版を用いた水無しオフセット印刷方式も実用化されている。この印刷方式では、湿し水がインキ組成物と反発して非画像部を形成するのではなく、シリコーン樹脂がインキ組成物と反発して非画像部となる。こうした点を除けば、水無しオフセット印刷もまた、湿し水を用いたオフセット印刷と共通の印刷方式である。そこで、本明細書では、湿し水を用いた印刷方式のみならず、水無し印刷方式をも含めた概念として「オフセット印刷」という用語を用いる。なお、水無しオフセット印刷では、湿し水による印刷インキ組成物の乳化が起こらないので、ドットゲインの小さな高品位印刷を行うことができるとされる。
オフセット印刷は、印刷版の作製が比較的簡単でありながら、高い美粧性を備えた印刷物を得たり、大量の印刷物を短時間で得たりする分野に適するという特性を備える。そこで、オフセット印刷は、パンフレット、ポスター、カレンダー等といった高い美粧性が要求される分野から、新聞、雑誌、電話帳等といった高速かつ大量に印刷されることが要求される分野まで広く利用されている。
これらの中でも、一枚一枚カットされた印刷用紙を用いて印刷を行う枚葉オフセット印刷は、小ロットで高品質な印刷物を得る手段として知られている。枚葉オフセット印刷では、酸化重合タイプのインキ組成物が用いられる。このインキ組成物は、ヨウ素価の高い(すなわち、不飽和結合を多く含む)亜麻仁油や桐油等といった乾性油を豊富に含み、印刷により画像や文字として紙面に転写されると、空気中の酸素により乾性油が酸化重合することでタックフリー、すなわち乾燥状態となる。言い換えると、印刷直後に表面でべとついていたインキ組成物は、空気中の酸素の作用によりその成分が高分子量化してフィルム状に変化することで、べとつきのない乾燥した印刷物へと変化する。
ところで、枚葉オフセット印刷では、印刷機から排出された印刷物が何百枚~何千枚も積み重なった、「棒積み」と呼ばれる状態で裁断や製本などといった後工程に回される。このとき、印刷されたインキ組成物がタックフリーになっていなければ、印刷物の画像が直上にある印刷物の裏面に付着する裏移りを生じたり、印刷物が直上の印刷物に付着して、棒積みされた印刷物全体が固着してしまうブロッキングを生じたりする。しかしながら、上記のように、枚葉オフセット印刷で用いられるインキ組成物の乾燥は、酸化重合に頼るものなので、印刷スピードに比較して遅いのが一般的である。このため、裏移りやブロッキングを抑制するために、印刷直後の印刷物の表面にスターチ等を主成分とするパウダーを吹き付けながら印刷を行う場合がある。ただ、このようにパウダーを吹き付けながら印刷を行うと、印刷環境を汚したり、印刷装置に滞留したパウダーの塊が印刷物の表面に落下したりする等といった問題を生じることもある。
このようなことから、印刷装置を工夫することや(例えば特許文献1を参照)、インキ組成物の組成を工夫すること(例えば特許文献2や3を参照)により、枚葉オフセット印刷においてパウダーを用いずとも裏移りやブロッキングを抑制する取り組みがなされている。また、印刷後に紫外線等の活性エネルギー線を照射することで速やかにタックフリーとなる活性エネルギー線硬化型のインキ組成物も数多く提案されている(例えば特許文献4を参照)。
特開平6-143541号公報 特開2016-56217号公報 特開2016-53143号公報 特許第5477995号公報
活性エネルギー線硬化型インキ組成物を用いた印刷を行うことにより、上記のような、棒積みに伴う問題は解消される。しかしながら、そうした印刷を行うためには印刷機への紫外線照射装置の設置等といった設備の改造を必要とし、その敷居は低いものではない。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、通常のオフセット枚葉印刷機で印刷をすることができ、印刷時にパウダーを用いなくとも印刷物の裏移りやブロッキングを抑制することのできるオフセット印刷用インキ組成物、又はそれを用いた枚葉オフセット印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、従来の枚葉オフセット印刷インキ組成物で酸化重合性を付与していた乾性油の一部をアロマフリー鉱物油に振り替えるとともに、所定値以上のsp値を備えたバインダー樹脂Aと、比較的低分子量のバインダー樹脂Bとを組み合わせて枚葉オフセットインキ組成物を構成することにより、パウダーを使用しなくとも印刷物の裏移りやブロッキングを抑制できるほどのセット性を備えた枚葉オフセットインキ組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、重量平均分子量40000~100000のバインダー樹脂A、重量平均分子量9000~30000のバインダー樹脂B、及び溶剤を含み、上記バインダー樹脂Aのsp値が9.2(cal/cm1/2以上10.0(cal/cm1/2以下であり、組成物全体に対する上記バインダー樹脂Aの含有量が上記バインダー樹脂Bよりも多く、上記溶剤の少なくとも一部として、アロマフリー鉱物油5~40質量%含むことを特徴とするオフセット印刷用インキ組成物である。
(2)また本発明は、組成物全体に対する上記バインダー樹脂Aの含有量が5~40質量%であり、組成物全体に対する上記バインダー樹脂Bの含有量が0.5~15質量%であることを特徴とする(1)項記載のオフセット印刷用インキ組成物である。
(3)また本発明は、さらに、重量平均分子量40000~100000、かつsp値が8.5(cal/cm1/2以上9.1(cal/cm1/2以下のバインダー樹脂Cをインキ組成物全体に対して5~40質量%含むことを特徴とする(1)項又は(2)項記載のオフセット印刷用インキ組成物である。
(4)また本発明は、さらに、ワックスを組成物全体に対して0.1~15質量%含むことを特徴とする(1)~(3)項のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物である。
(5)また本発明は、枚葉オフセット印刷用である(1)項~(4)項のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物である。
(6)また本発明は、(1)項~(5)項のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行う工程を備えることを特徴とする枚葉オフセット印刷物の製造方法でもある。
(7)また本発明は、印刷を行う工程の後、印刷物を棒積みしたときに印刷物同士が裏移り又はブロッキングするのを抑制するために印刷物の表面にパウダーを吹き付ける工程を省略することを特徴とする(6)項記載の枚葉オフセット印刷物の製造方法である。
(8)また本発明は、(1)項~(5)項のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする、印刷後の印刷物を棒積みしたときの印刷物同士の裏移り又はブロッキングを抑制する方法でもある。
(9)また本発明は、(1)項~(5)項のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする、枚葉オフセット印刷後の印刷物表面へのパウダーの吹きつけを削減する方法でもある。
本発明によれば、通常のオフセット枚葉印刷機で印刷をすることができ、印刷時にパウダーを用いなくとも印刷物の裏移りやブロッキングを抑制することのできるオフセット印刷用インキ組成物、又はそれを用いた枚葉オフセット印刷物の製造方法が提供される。
以下、本発明のオフセット印刷用インキ組成物の一実施形態、枚葉オフセット印刷物の製造方法の一実施態様、印刷後の印刷物を棒積みしたときの印刷物同士の裏移り又はブロッキングを抑制する方法の一実施態様、及び枚葉オフセット印刷後の印刷物表面へのパウダーの吹きつけを削減する方法の一実施態様について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施態様に何ら限定されるものでなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<オフセット印刷用インキ組成物>
まずは、本発明のオフセット印刷用インキ組成物(以下、「本発明のインキ組成物」等と適宜省略する。)の一実施形態について説明する。本発明のインキ組成物は、オフセット印刷用として使用されるものであり、枚葉印刷において好適に用いられる。本発明のインキ組成物は、従来の枚葉印刷用インキ組成物に比べて印刷されたあとのセットが早く、印刷物の表面へのパウダーの吹きつけを削減しても、棒積みしたときの印刷物の裏移りやブロッキングを抑制する。なお、本発明のインキ組成物は、湿し水を用いた通常の印刷に適用されるばかりでなく、湿し水を用いない水無し印刷にも適用される。
本発明のインキ組成物は、重量平均分子量40000~100000のバインダー樹脂A、重量平均分子量9000~30000のバインダー樹脂B、及び溶剤を含み、上記バインダー樹脂Aのsp値が9.2(cal/cm1/2以上10.0(cal/cm1/2以下であり、組成物全体に対する上記バインダー樹脂Aの含有量が上記バインダー樹脂Bよりも多く、上記溶剤の少なくとも一部として、アロマフリー鉱物油5~40質量%含むことを特徴とする。
これらの各成分の中でも、枚葉印刷用としては比較的多量のアロマフリー鉱物油を含むことと、sp値が9.2(cal/cm1/2以上10.0(cal/cm1/2以下のバインダー樹脂Aを用いることが本発明のインキ組成物のポイントである。既に述べたように、通常の枚葉印刷用のインキ組成物は、乾性油が酸化重合することで高分子量化して印刷後のタックフリー(すなわち乾燥状態)を実現する。これに対して、本発明のインキ組成物は、この乾性油の一部をアロマフリー鉱物油へ振り替えるとともに、高sp値、すなわち極性が高く、インキ組成物に含まれる溶剤や油成分との相溶性の良くないバインダー樹脂Aを用いることで、印刷後のインキ組成物からの溶剤や油成分のリリースを早めるとともに、溶剤や油成分のリリースが生じた後、速やかに相溶性の良くないバインダー樹脂Aが析出することで高いセット性を実現することを念頭に置いて設計されたものである。溶剤や油成分のリリースによりセット性を高めるという考え方は、浸透乾燥や蒸発乾燥によりセットを得るオフセット輪転印刷用のインキ組成物に近いものがあるが、本発明では、相溶性の良くないバインダー樹脂Aを用いることでより一層セット性を高める設計となる。これにより、印刷後の棒積みという過酷な状況において、パウダーの吹きつけを削減しても印刷物の裏移りやブロッキングが抑制される。
しかしながら、乾性油の一部をアロマフリー鉱物油に振り替えたり、相溶性の良くないバインダー樹脂Aを採用したりすることで、顔料の分散性が低下したり、印刷物の光沢が低下したりする等という弊害も生じ得る。そこで、本発明のインキ組成物では、バインダー樹脂Aに加えて低分子量のバインダー樹脂Bを用いることでこのような弊害を抑制する。このため、本発明のインキ組成物では、2種のバインダー樹脂に関して、バインダー樹脂Aが主であり、バインダー樹脂Bが従である関係となるので、バインダー樹脂Aの含有量はバインダー樹脂Bの含有量よりも多くなる。
以上が本発明のインキ組成物の概要である。なお、本発明のインキ組成物は、必要に応じて、バインダー樹脂Aよりも溶剤や油成分に対する相溶性の高いバインダー樹脂C、顔料、アロマフリー鉱物油以外の油成分、アルキッド樹脂やワックス等の成分を含んでもよい。以下、各成分について説明する。
[バインダー樹脂A]
バインダー樹脂は、印刷用紙の表面で上記顔料を固定するバインダーとして機能する成分であり、また、後述の顔料をインキ組成物中に分散させるために用いられる成分でもある。バインダー樹脂Aは、重量平均分子量40000~100000、かつsp値が9.2(cal/cm1/2以上10.0(cal/cm1/2以下の樹脂である。既に説明した通り、バインダー樹脂Aは、インキ組成物の印刷後のセット性を高めるのに寄与する成分となる。
バインダー樹脂Aとしては、上記の重量平均分子量及びsp値の条件を満足することを前提として、インキ組成物の分野で通常使用されるものを特に制限なく挙げることができる。このような樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、バインダー樹脂Aとしては、ロジン変性フェノール樹脂が好ましく挙げられる。
上記のように、バインダー樹脂Aのsp値は、9.2(cal/cm1/2以上10.0(cal/cm1/2以下である。このsp値の下限としては、9.3(cal/cm1/2が好ましく挙げられ、9.4(cal/cm1/2がより好ましく挙げられ、9.6(cal/cm1/2がさらに好ましく挙げられる。また、このsp値の上限としては、9.9(cal/cm1/2が好ましく挙げられ、9.7(cal/cm1/2がより好ましく挙げられ、9.5(cal/cm1/2がさらに好ましく挙げられる。
本発明におけるsp値は、濁点滴定法によって算出される。次に、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値の算出について説明する。これは、簡便な実測法である濁点滴定により測定することができ、下記のK.W.SUH,J.M.CORBETTの式に従い算出される値である。なお、この方法によるsp値の算出については、J.Appl.Polym.Sci.1968,12,2359を参考にすることができる。
式 sp値=(Vml 1/2・δH+Vmh 1/2・δD)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
濁点滴定では、試料0.5gを良溶媒であるトルエン10mLに溶解させた中に低sp値貧溶媒であるn-ヘキサンを加えていき、濁点での滴定量H(mL)を読み、同様にトルエン溶液中に高sp値貧溶媒であるエタノールを加えたときの濁点における滴定量D(mL)を読み、これらを下記式に適用し、Vml、Vmh、δH、及びδDを算出し、上記式へ代入すればよい。
なお、上記の濁点滴定で用いた各溶剤の分子容やsp値は次の通りである。
良溶媒の分子容 φ0 トルエン:106.28mL/mol
低sp値貧溶媒の分子容 φl n-ヘキサン:131.61mL/mol
高sp値貧溶媒の分子容 φh エタノール:58.39mL/mol
各溶剤のsp値 トルエン:9.14
n-ヘキサン:7.28、エタノール:12.58
ml=(φ0・φl)/{(1-VH)・φl+VH・φ0}
mh=(φ0・φh)/{(1-VD)・φh+VD・φ0}
VH=H/(M+H)
VD=D/(M+D)
δH=(δ0・M)/(M+H)+(δl・H)/(M+H)
δD=(δ0・M)/(M+D)+(δl・D)/(M+D)

δ0:良溶媒のsp値
δl:低sp値貧溶媒のsp値
δh:高sp値貧溶媒のsp値
H:低sp値貧溶媒の滴定量(mL)
D:高sp値貧溶媒の滴定量(mL)
M:良溶媒の量(mL)
VH:低sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
VD:高sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
インキ組成物全体において、バインダー樹脂Aの含有量は、後述のバインダー樹脂Bの含有量よりも多い。ここで、インキ組成物全体に対するバインダー樹脂Aの含有量としては、5~40質量%が好ましく挙げられ、6~15質量%がより好ましく挙げられる。バインダー樹脂Aの含有量がこのような範囲であることにより、インキ組成物の良好なセット性と、良好な顔料分散性のバランスをとることができるので好ましい。
バインダー樹脂Aの重量平均分子量は、上記の通り40000~100000だが、この重量平均分子量としては、40000~80000が好ましく挙げられ、40000~60000がより好ましく挙げられる。
[バインダー樹脂B]
バインダー樹脂Bは、重量平均分子量9000~30000の樹脂である。既に説明したように、バインダー樹脂Bは、インキ組成物における顔料分散性や印刷物の光沢を維持するのに寄与する成分となる。この重量平均分子量としては、9000~20000がより好ましく挙げられ、9000~15000がより好ましく挙げられる。
バインダー樹脂Bとしては、上記の重量平均分子量を満足することを前提として、インキ組成物の分野で通常使用されるものを特に制限なく挙げることができる。このような樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、バインダー樹脂Bとしては、ロジン変性フェノール樹脂が好ましく挙げられる。
インキ組成物全体において、バインダー樹脂Bの含有量は、バインダー樹脂Aの含有量よりも少ない。ここで、インキ組成物全体に対するバインダー樹脂Bの含有量としては、0.5~15質量%が好ましく挙げられ、2~5質量%がより好ましく挙げられる。バインダー樹脂Bの含有量がこの範囲であることにより、インキ組成物における顔料分散性と、良好なセット性のバランスをとることができるので好ましい。
[バインダー樹脂C]
本発明のインキ組成物は、上記バインダー樹脂A及びBに加えて、重量平均分子量40000~100000、かつsp値が8.5(cal/cm1/2以上9.1(cal/cm1/2以下のバインダー樹脂Cを含むことが好ましい。本発明のインキ組成物は、上記バインダー樹脂A及びBを含むことにより良好なセット性と顔料分散性を両立できるが、極性の高いバインダー樹脂Aと後述のアロマフリー鉱物油とを組み合わせるインキ処方は、インキ組成物としては特殊であり、乳化適性等といった印刷適性を低下させるおそれがある。バインダー樹脂Cは、インキ組成物用のバインダー樹脂として適切な極性を備えており、これを本発明のインキ組成物に添加することで、インキ組成物に良好な印刷適性が付与される。
バインダー樹脂Cとしては、上記の重量平均分子量及びsp値の条件を満足することを前提として、インキ組成物の分野で通常使用されるものを特に制限なく挙げることができる。このような樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、バインダー樹脂Cとしては、ロジン変性フェノール樹脂が好ましく挙げられる。
上記のように、バインダー樹脂Cのsp値は、8.5(cal/cm1/2以上9.1(cal/cm1/2以下である。このsp値の下限としては、8.6(cal/cm1/2が好ましく挙げられ、8.7(cal/cm1/2がより好ましく挙げられ、8.8(cal/cm1/2がさらに好ましく挙げられる。
インキ組成物全体に対するバインダー樹脂Cの含有量としては、5~40質量%が好ましく挙げられ、10~22質量%がより好ましく挙げられる。バインダー樹脂Cの含有量がこのような範囲であることにより、良好な印刷適性と、インキ組成物の良好なセット性のバランスをとることができるので好ましい。
バインダー樹脂Cの重量平均分子量は、上記の通り40000~100000だが、この重量平均分子量としては、40000~80000が好ましく挙げられ、40000~60000がより好ましく挙げられ、40000~50000がさらに好ましく挙げられる。
上記の各バインダー樹脂は、後述する溶剤及び/又は油成分とともに加熱されることにより溶解され、ワニスとされた状態で使用される。ワニスを調製する際、樹脂を溶解させて得られた溶解ワニス中に金属キレート化合物等のゲル化剤を投入し、ゲル化ワニスとしてもよい。樹脂からゲル化ワニスを調製し、これをインキ組成物の調製に用いることにより、インキ組成物に適度な粘弾性を付与することができるので好ましい。
[溶剤]
本発明のインキ組成物は、溶剤を含み、この溶剤の少なくとも一部としてアロマフリー鉱物油を5~40質量%含む。本発明における溶剤は軽質鉱物油に該当するものであり、このような軽質鉱物油としては、沸点160℃以上、好ましくは沸点200℃以上の石油溶剤が例示される。本発明でいうアロマフリー鉱物油は、こうした軽質鉱物油のうち、芳香族成分が1質量%未満のものであり、このようなものとしては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の0号ソルベント、同AFソルベント5号、同AFソルベント6号、同AFソルベント7号等が例示される。
アロマフリー鉱物油は、芳香族化合物を殆ど含まず、溶解性に乏しい溶剤である。本発明では、乾性油の一部をこうした溶解性に乏しい溶剤に振り替えることにより、インキ組成物のセット性を高める。
インキ組成物全体に対するアロマフリー鉱物油の含有量は、上記の通り5~40質量%である。インキ組成物全体に対するアロマフリー鉱物油の含有量として、好ましくは20~40質量%が挙げられ、より好ましくは20~30質量%が挙げられる。
[顔料]
顔料としては、インキ組成物に着色力を付与するための着色顔料と、インキ組成物に主として粘弾性等といった特性を付与するための無色顔料とが挙げられる。
着色顔料は、インキ組成物に着色力を付与するための成分である。着色顔料としては、従来から印刷インキ組成物に使用される有機及び/又は無機顔料を特に制限無く挙げることができる。
このような着色顔料としては、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等のイエロー顔料、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド等のマゼンタ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等のシアン顔料、カーボンブラック等の黒色顔料、蛍光顔料等が例示される。また、インキ組成物に金色や銀色等の金属色を付与するための金属粉顔料も本発明では着色顔料として扱う。このような金属粉顔料としては、金粉、ブロンズパウダー、アルミニウムパウダーをペースト状に加工したアルミニウムペースト、雲母パウダー等を挙げることができる。
着色顔料の添加量としては、インキ組成物の全体に対して8~30質量%程度が例示されるが、特に限定されない。なお、イエロー顔料を使用してイエローインキ組成物を、マゼンタ顔料を使用してマゼンタインキ組成物を、シアン顔料を使用してシアンインキ組成物を、黒色顔料を使用してブラックインキ組成物をそれぞれ調製する場合には、補色として、他の色の顔料を併用したり、他の色のインキ組成物を添加したりすることも可能である。
無色顔料は、体質顔料とも呼ばれ、インキ組成物における粘弾性等といった特性を調節するために好ましく使用される。無色顔料としては、クレー、タルク、カオリナイト(カオリン)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、ベントナイト、酸化チタン等が例示される。無色顔料の添加量としては、インキ組成物全体に対して0~33質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
[油成分]
油成分としては、植物油類と鉱物油類とが挙げられる。なお、上述の溶剤も一般には油成分の一種であるが、本発明において溶剤は油成分には含まれないものとする。
植物油類には、植物油そのもの、及び植物油の脂肪酸アルキルエステルが含まれる。
植物油としては、大豆油、綿実油、亜麻仁油、サフラワー油、桐油、トール油、脱水ヒマシ油、カノーラ油等の乾性油や半乾性油等が例示される。また、植物油の脂肪酸アルキルエステルとしては、上記植物油に由来する脂肪酸のモノアルキルエステル等が例示される。この脂肪酸モノアルキルエステルを構成する脂肪酸としては、炭素数16~20の不飽和脂肪酸が好ましく例示され、このような不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等が好ましく例示される。脂肪酸モノアルキルエステル化合物を構成するアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく例示され、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基等が好ましく例示される。植物油類に含まれる不飽和結合部分が、印刷後のインキ組成物中で酸化重合することでインキ組成物の乾燥を助ける。
上記植物油の脂肪酸アルキルエステルとしては、大豆油脂肪酸ブチルエステルや、亜麻仁油脂肪酸ブチルエステルなどが好ましく挙げられる。上記植物油としては、大豆油、亜麻仁油、桐油等が好ましく挙げられる。インキ組成物全体に対する植物油類の含有量としては、5~30質量%程度が好ましく挙げられ、5~20質量%程度がより好ましく挙げられる。
鉱物油類としては、スピンドル油、マシン油、ダイナモ油、シリンダー油等として分類されてきた各種の潤滑油を挙げることができる。これらの中でも、米国におけるOSHA基準やEU基準に適応させるとの観点からは、縮合多環芳香族成分の含有量が抑制されたものであることが好ましい。このような鉱物油類としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製のインクオイルH8、同インクオイルH35(いずれも商品名)、三共油化工業株式会社製のSNH8、同SNH46、同SNH220、同SNH540(いずれも商品名)等が例示される。
インキ組成物における鉱物油類の含有量としては、インキ組成物全体に対して0~30質量%程度を例示することができる。
[ワックス]
本発明のインキ組成物は、ワックスを含んでもよい。既に説明した通り、本発明のインキ組成物は、バインダー樹脂A及びB並びに特定の溶剤を含むことにより印刷物のブロッキングや裏移りを抑制するが、ワックスを含むことによりこれらの効果をより一層発揮することができる。
このようなワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバワックス、みつろう、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、アマイドワックス等のワックス類、ヤシ油脂肪酸や大豆油脂肪酸等のC8~C18程度の範囲にある脂肪酸等を挙げることができる。ワックスの形状としてはパウダー(粒子)状、油状等のものを例示することができ、パウダー状のワックスとしては、平均粒子径D50が1~10μmの範囲にあるものを好ましく挙げられる。
インキ組成物全体に対するワックスの含有量としては、0.1~15質量%程度を挙げることができ、1~5質量部程度をより好ましく挙げることができる。
[その他の成分]
本発明のインキ組成物には、保存安定性を向上させたり、印刷性能を向上させたりする等の観点から、必要に応じて上記の各成分の他に各種成分を添加することができる。このような各種成分としては、アルキッド樹脂、酸化防止剤、リン酸塩等の塩類、アルコール類等が例示される。
アルキッド樹脂は、顔料分散性や乳化適性等のコントロール等のために添加され、インキ組成物全体に対するその含有量としては、0~10質量%が好ましく挙げられる。
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン等のフェノール化合物や、酢酸トコフェロール等を好ましく例示することができ、中でもブチルヒドロキシトルエンをより好ましく例示することができる。インキ組成物にこのような酸化防止剤が添加されることにより、インキ組成物に含まれる成分の酸化が抑制され、保存安定性が向上する。インキ組成物中の酸化防止剤の含有量としては、0.1~2質量%程度を例示することができる。
上記の各成分を用いて本発明のインキ組成物を製造するには、従来公知の方法を適用できる。このような方法としては、上記の各成分を混合した後にビーズミルや三本ロールミル等で練肉して顔料(すなわち着色成分及び体質顔料)を分散させた後、必要に応じて添加剤(重合禁止剤、アルコール類、ワックス類等)を加え、さらに上記溶剤や油成分の添加により粘度調整することが例示される。インキ組成物における粘度としては、ラレー粘度計による25℃での値が10~50Pa・sであることを例示できるが、特に限定されない。
<枚葉オフセット印刷物の製造方法>
上記本発明のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行う工程を備えることを特徴とする枚葉オフセット印刷物の製造方法もまた、本発明の一つである。既に説明したように、本発明のインキ組成物は、セット性が早いので、枚葉オフセット印刷において棒積みされた印刷物同士の裏移りやブロッキングが抑制される。このため、本発明のインキ組成物は、枚葉オフセット印刷において好適に使用され、本発明の枚葉オフセット印刷物の製造方法は、このような本発明のインキ組成物の特徴を利用したものといえる。そして、本発明のインキ組成物を用いて枚葉オフセット印刷を行った場合、上記のように裏移りやブロッキングが抑制されるので、印刷を行う工程の後で、印刷物同士が裏移り又はブロッキングするのを抑制するために印刷物の表面にパウダーを吹き付ける工程を省略、又は当該工程におけるパウダーの使用を削減することができる。
本製造方法における印刷方法については、公知の枚葉オフセット印刷と同様であるのでここでの説明を省略する。
<印刷後の印刷物を棒積みしたときの印刷物同士の裏移り又はブロッキングを抑制する方法>
本発明のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする、印刷後の印刷物を棒積みしたときの印刷物同士の裏移り又はブロッキングを抑制する方法もまた本発明の一つである。これについては既に説明した通りであるので、ここでの説明を省略する。
<枚葉オフセット印刷後の印刷物表面へのパウダーの吹きつけを削減する方法>
本発明のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする、枚葉オフセット印刷後の印刷物表面へのパウダーの吹きつけを削減する方法もまた本発明の一つである。これについては既に説明した通りであるので、ここでの説明を省略する。
以下、実施例を示すことによりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味するものとする。
[ワニス1の調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂A(重量平均分子量48388、sp値9.68(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)9.5質量部、ロジン変性フェノール樹脂B(重量平均分子量9053、sp値9.27(cal/cm1/2、ハリマ化成グループ株式会社製)3.9質量部、ロジン変性フェノール樹脂C(重量平均分子量43080、sp値9.00(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)26.7質量部、大豆油脂肪酸ブチルエステル13.4質量部、桐油3.6質量部及び大豆油12.3質量部を仕込んだ後140℃に昇温し、同温度を50分間維持することにより樹脂を溶解させた後、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)30質量部及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.6質量部仕込み、170℃で加熱保持して、ワニス1を得た。
[ワニス2の調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂A(重量平均分子量48388、sp値9.68(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)28.4質量部、ロジン変性フェノール樹脂B(重量平均分子量9053、sp値9.27(cal/cm1/2、ハリマ化成グループ株式会社製)11.7質量部、大豆油脂肪酸ブチルエステル13.4質量部、桐油3.6質量部及び大豆油12.3質量部を仕込んだ後140℃に昇温し、同温度を50分間維持することにより樹脂を溶解させた後、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)30質量部及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.6質量部仕込み、170℃で加熱保持して、ワニス2を得た。
[ワニス3の調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂A(重量平均分子量48388、sp値9.68(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)10.3質量部、ロジン変性フェノール樹脂B(重量平均分子量9053、sp値9.27(cal/cm1/2、ハリマ化成グループ株式会社製)1.0質量部、ロジン変性フェノール樹脂C(重量平均分子量43080、sp値9.00(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)28.8質量部、大豆油脂肪酸ブチルエステル13.4質量部、桐油3.6質量部及び大豆油12.3質量部を仕込んだ後140℃に昇温し、同温度を50分間維持することにより樹脂を溶解させた後、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)30質量部及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.6質量部仕込み、170℃で加熱保持して、ワニス3を得た。
[ワニス4の調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂B(重量平均分子量9053、sp値9.27(cal/cm1/2、ハリマ化成グループ株式会社製)5.1質量部、ロジン変性フェノール樹脂C(重量平均分子量43080、sp値9.00(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)35.0質量部、大豆油脂肪酸ブチルエステル13.4質量部、桐油3.6質量部及び大豆油12.3質量部を仕込んだ後140℃に昇温し、同温度を50分間維持することにより樹脂を溶解させた後、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)30質量部及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.6質量部仕込み、170℃で加熱保持して、ワニス4を得た。
[ワニス5の調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂A(重量平均分子量48388、sp値9.68(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)10.5質量部、ロジン変性フェノール樹脂C(重量平均分子量43080、sp値9.00(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)29.6質量部、大豆油脂肪酸ブチルエステル13.4質量部、桐油3.6質量部及び大豆油12.3質量部を仕込んだ後140℃に昇温し、同温度を50分間維持することにより樹脂を溶解させた後、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)30質量部及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.6質量部仕込み、170℃で加熱保持して、ワニス5を得た。
[ワニス6の調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂A(重量平均分子量48388、sp値9.68(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)5.0質量部、ロジン変性フェノール樹脂B(重量平均分子量9053、sp値9.27(cal/cm1/2、ハリマ化成グループ株式会社製)4.5質量部、ロジン変性フェノール樹脂C(重量平均分子量43080、sp値9.00(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)30.6質量部、大豆油脂肪酸ブチルエステル13.4質量部、桐油3.6質量部及び大豆油12.3質量部を仕込んだ後140℃に昇温し、同温度を50分間維持することにより樹脂を溶解させた後、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)30質量部及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.6質量部仕込み、170℃で加熱保持して、ワニス6を得た。
[ワニス7の調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、ロジン変性フェノール樹脂A(重量平均分子量48388、sp値9.68(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)9.5質量部、ロジン変性フェノール樹脂B(重量平均分子量9053、sp値9.27(cal/cm1/2、ハリマ化成グループ株式会社製)3.9質量部、ロジン変性フェノール樹脂C(重量平均分子量43080、sp値9.00(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製)26.7質量部、大豆油脂肪酸ブチルエステル13.4質量部、桐油3.6質量部及び大豆油12.3質量部を仕込んだ後140℃に昇温し、同温度を50分間維持することにより樹脂を溶解させた後、大豆油14.7質量部及び大豆油脂肪酸ブチルエステル15.3質量部及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.6質量部仕込み、170℃で加熱保持して、ワニス7を得た。
[ワニス8の調製
ロジン変性フェノール樹脂Aとして重量平均分子量64000、sp値9.27(cal/cm1/2、M.P. DYE CHEM INDUSTRIES PVT. LTD製のロジン変性フェノール樹脂を用いたこと以外は、ワニス1と同様の手順でワニス8を得た。
[ワニス9の調製]
ロジン変性フェノール樹脂Bとして重量平均分子量17000、LAWTER社製のロジン変性フェノール樹脂を用いたこと以外は、ワニス1と同様の手順でワニス9を得た。
[ワニス10の調製]
ロジン変性フェノール樹脂Cとして重量平均分子量63000、sp値9.02(cal/cm1/2、荒川化学工業株式会社製のロジン変性フェノール樹脂を用いたこと以外は、ワニス1と同様の手順でワニス10を得た。
[インキ組成物の調製]
表1~3に示す処方にて各種の材料を混合し、三本ロールを用いて練肉することで実施例1~8、及び比較例1~4のインキ組成物をそれぞれ調製した。表1~3に示した各成分の配合量は質量部である。また、「合計」欄よりも下の欄には、インキ組成物中におけるロジン変性フェノール樹脂A、B及びC(それぞれバインダーA、B及びCで表す。)、並びにAFソルベントのそれぞれの含有量(質量%)を記載した。表1~3において、「カーボンブラック」は中性カーボンブラックであり、「AF-6」はAFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)であり、「ドライヤー」はマンガン系の金属ドライヤーであり、「ワックス」はポリエチレンワックスである。
[ブロッキングの評価]
実施例及び比較例のインキ組成物のそれぞれについて印刷機を使用した実印刷を行い、10000枚を棒積みして室温で24時間放置したときのブロッキングの度合いを次の基準に基づいて目視で評価した。なお、印刷条件は、印刷機をLITHRONE LS426、湿し水をPRESSMAX S-Z1(富士フイルム株式会社製)、印刷用紙を三菱特アート紙(菊版)とし、印刷後の印刷紙面へのパウダーの吹きつけは行わなかった。評価結果を表4の「ブロッキング」欄に示す。
○:ブロッキングが観察されない
△:僅かにブロッキングが観察されたが、容易に剥離でき実用の範囲内
×:ブロッキングが観察され不良
[光沢の評価]
実施例及び比較例のインキ組成物のそれぞれについて、インキ組成物0.1ccを、RI展色機(2分割ロール、株式会社明製作所製)を用いて塗工紙(日本製紙株式会社製、オーロラコート)に展色した。その後、室温25℃、湿度50%環境下にて保管し、24時間後に光沢計(日本電色工業製)を用いて展色面の60°反射光沢値を求めた。評価基準は下記の通りとし、その結果を表4の光沢欄に示す。
○:光沢値は、40以上であり良好
△:光沢値は、30以上40未満であり、実用の範囲内
×:光沢値は、30未満であり不良
[印刷紙面汚れ(乳化適性)の評価]
実施例及び比較例のインキ組成物のそれぞれについて印刷機を使用した実印刷を行い、その際の印刷紙面汚れを評価した。印刷に際しては、印刷機をLITHRONE LS426、湿し水をPRESSMAX S-Z1(富士フイルム株式会社製)、印刷用紙を三菱特アート紙(菊版)として、標準水量から水ダイヤルを5ポイント下げた場合の印刷紙面における汚れ度合いを評価した。評価基準は下記の通りであり、その結果を表2及び3の「印刷紙面汚れ」欄に示す。なお、印刷紙面汚れは、乳化適性が不良の場合に顕著に観察される現象であり、これを評価することは間接的に乳化適性を評価することでもある。
○:印刷紙面の汚れが認められなかった
△:印刷紙面の汚れがごく僅かに認められたが、実用の範囲内
×:印刷紙面の汚れが認められた
Figure 0007133495000001
Figure 0007133495000002
Figure 0007133495000003
Figure 0007133495000004
表4から理解されるように、本発明のインキ組成物を用いて印刷を行うことにより、パウダーを用いなくとも棒積み時のブロッキングが抑制された。なお、これらブロッキングが抑制された印刷物において、裏移りも生じなかった。また、本発明のインキ組成物は、ロジンフェノール樹脂Cを含有することにより、乳化適性が良好になることもわかる。また、実施例4及び5を対比すると、本発明のインキ組成物がワックスを含有することにより、印刷物のブロッキングをより一層抑制することがわかる。

Claims (9)

  1. 重量平均分子量40000~100000のバインダー樹脂A、重量平均分子量9000~30000のバインダー樹脂B、及び溶剤を含み、前記バインダー樹脂Aのsp値が9.2(cal/cm1/2以上10.0(cal/cm1/2以下であり、組成物全体に対する前記バインダー樹脂Aの含有量が前記バインダー樹脂Bよりも多く、前記溶剤の少なくとも一部として、アロマフリー鉱物油5~40質量%含むことを特徴とするオフセット印刷用インキ組成物。
  2. 組成物全体に対する前記バインダー樹脂Aの含有量が5~40質量%であり、組成物全体に対する前記バインダー樹脂Bの含有量が0.5~15質量%であることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用インキ組成物。
  3. さらに、重量平均分子量40000~100000、かつsp値が8.5(cal/cm1/2以上9.1(cal/cm1/2以下のバインダー樹脂Cをインキ組成物全体に対して5~40質量%含むことを特徴とする請求項1又は2記載のオフセット印刷用インキ組成物。
  4. さらに、ワックスを組成物全体に対して0.1~15質量%含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物。
  5. 枚葉オフセット印刷用である請求項1~4のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行う工程を備えることを特徴とする枚葉オフセット印刷物の製造方法。
  7. 印刷を行う工程の後、印刷物を棒積みしたときに印刷物同士が裏移り又はブロッキングするのを抑制するために印刷物の表面にパウダーを吹き付ける工程を省略することを特徴とする請求項6記載の枚葉オフセット印刷物の製造方法。
  8. 請求項1~5のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする、印刷後の印刷物を棒積みしたときの印刷物同士の裏移り又はブロッキングを抑制する方法。
  9. 請求項1~5のいずれか1項記載のオフセット印刷用インキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする、枚葉オフセット印刷後の印刷物表面へのパウダーの吹きつけを削減する方法。
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