以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る音響処理装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示す音響処理装置1は、変換先チャンネル分割部11と、変換元チャンネル再生位置決定部12と、チャンネル数変換係数決定部13と、チャンネル数変換係数行列記憶部14と、出力信号生成部15とを備える。
音響処理装置1は、任意のM個のチャンネル数からなる変換元マルチチャンネル音響信号を任意のN個のチャンネル数からなる変換先マルチチャンネル音響信号にチャンネル数とその配置を変換する。
変換先チャンネル分割部11は、変換元チャンネル及び変換先チャンネルのチャンネル数を含む変換元・変換先チャンネル位置情報を取得する。また、変換先チャンネル分割部11は、N個の変換先マルチチャンネル音響信号の再生位置をどのように分割するかを示す変換先チャンネル分割情報を入力する。そして、変換先チャンネル分割部11は、変換先チャンネル分割情報に基づいて、変換先チャンネルの再生位置を分割する。例えば、変換先チャンネルの再生位置を仰角方向(高さ方向、垂直軸方向)に3分割し、3分割した各層について、さらに方位角方向に4範囲に分割する。詳細については後述する。以下、「変換元マルチチャンネル音響信号の再生位置」を「変換元チャンネルの再生位置」といい、「変換先マルチチャンネル音響信号の再生位置」を「変換先チャンネルの再生位置」という。
変換元チャンネル再生位置決定部12は、変換元チャンネルの再生位置を、絶対位置にするのか(絶対位置モード)、ある基準位置に対する相対位置に変更するのか(相対位置モード)を指定する変換位置算出モード選択情報を入力する。そして、変換元チャンネル再生位置決定部12は、変換位置算出モード選択情報に基づいて、変換元チャンネルの再生位置を、変換先チャンネル分割部11により分割された変換先チャンネルの各分割層上に決定する。詳細については後述する。
チャンネル数変換係数決定部13は、分配係数を2個の変換先チャンネルの再生位置と変換元チャンネルの再生位置との位置関係によって規定するのか(位置モード)、2個の変換先チャンネルの再生位置に挟まれる変換元チャンネルの数によって規定するのか(数モード)を指定する分配係数算出モード選択情報を取得する。そして、チャンネル数変換係数決定部13は、分配係数算出モード選択情報に基づいて分配係数を算出した後、チャンネル数変換係数を決定し、チャンネル数変換係数行列記憶部14に記憶する。
チャンネル数変換係数行列記憶部14は、チャンネル数変換に必要なチャンネル数変換係数行列を記憶する。例えば、後述する22.2ch音響から11.1ch音響(7.1+4ch)、9.1ch音響(5.1+4ch)、7.1ch音響(5.1+2ch)に変換するチャンネル数変換係数行列を記憶する。なお、チャンネル数変換係数行列記憶部14は必須の構成ではなく、チャンネル数変換係数行列記憶部14を備えていない場合や、チャンネル数変換係数行列記憶部14にチャンネル数変換係数が記憶されていない場合には、チャンネル数変換係数行列をその都度導出してもよい。
出力信号生成部15は、変換元マルチチャンネル音響信号を入力する。そして、出力信号生成部15は、チャンネル数変換係数決定部13により決定されたチャンネル数変換係数を各要素とするチャンネル数変換係数行列を用いて、変換元マルチチャンネル音響信号のチャンネル数とその配置を変換して変換先マルチチャンネル音響信号を生成し、外部に出力する。
具体的には、出力信号生成部15は、チャンネル数変換係数行列記憶部14からN×M個のチャンネル数変換係数からなるチャンネル数変換行列を読み出し、式(2)に従い、M個の変換元マルチチャンネル音響信号にチャンネル数変換係数を乗じて加算することによって、N個の変換先マルチチャンネル音響信号を生成する。
図2は、音響処理装置1における、変換元チャンネルから変換先チャンネルにチャンネル数変換するときに用いるチャンネル数変換係数を導出する手順を示すフローチャートである。任意のMチャンネルのマルチチャンネル音響信号からNチャンネルのマルチチャンネル音響信号に変換する場合は、まず、変換先チャンネル分割部11により、N個の変換先チャンネルの再生位置を仰角方向の複数層に分割する(ステップS11)。
立方体の試聴室を仮定した音響再生空間に設置されているスピーカ(変換先チャンネルの実際の再生位置)を床面、側壁の下方、中間、上方、天井と分類し、特異点である足元(仰角-90度)、頭上(仰角+90度)を含めて多層構造とすると、足元(仰角-90度)、床面層(仰角-90~-45度)、下層(仰角-45度~0度)、中層(仰角0度:耳の高さ)、上層(仰角0~45度)、天井層(仰角45度~90度)、頭上(仰角90度)の7層に分類できる。変換先チャンネル分割部11は、仰角を少なくともこの7層に分類し、これらの隣り合う層を任意の組合せで統合した複数層に、変換先チャンネルの再生位置を分割する。実際にはスピーカはある限られた範囲にしか設置されていないため、例えば上層と天井層は一つに統合されて上層(仰角0~90度)となる場合がある。22.2chの場合は、下層、中層、上層、頭上の4層、11.1chの場合は、中層、上層の2層となる。もし、より詳細に仰角によって層が規定されている場合には、7層よりも多い層を用いてもよい。
次に、変換先チャンネル分割部11により、変換先チャンネルの各分割層を方位角方向に左右の2範囲に分割するか(ステップS12)、前後左右(横断面、正中面)の4範囲に分割するか(ステップS13)、前中後左右の6範囲に分割する(ステップS14)。ステップS12~14の切り替えは、デフォルト設定であらかじめ決めておいてもよいし、ユーザが決定してもよい。
ステップS12~14において、方位角方向に分割された範囲に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合がある。以下、変換先チャンネルの再生位置が存在しない範囲を再生位置欠落範囲といい、再生位置欠落範囲を含む層を再生位置欠落層という。変換先チャンネル分割部11は、再生位置欠落範囲を含む再生位置欠落層については、隣接する層の再生位置欠落範囲に対応する範囲に存在する変換先チャンネルの再生位置を、仮想的に再生位置欠落範囲の変換先チャンネルの再生位置とする(ステップS15)。ただし、頭上(仰角90度)といった1点のみで構成される層に関しては除外する。
図3に、7.1ch(中層5chと上層に2ch)と11.1ch(中層7chと上層に4ch)の変換先チャンネルの再生位置を2層に分割し、各分割層を前後左右に4分割した例を示す。図3(a)に示した7.1ch音響において、上層は後方の範囲に変換先チャンネルの再生位置が存在しない再生位置欠落層である。そこで、隣接する中層の後方チャンネルを上層の再生にも用いることとする。
ステップS15において、再生位置欠落層に隣接する層として、仰角90度の1点のみで構成される頭上、及び-90度の1点のみで構成される足元は除外される。また、変換先チャンネル分割部11は、再生位置欠落層の上下に、隣接する両方の層の再生位置欠落範囲に対応する範囲に変換先チャンネルの再生位置が存在する場合には、仰角0度から離れた方の層の対応する範囲の変換先チャンネルの再生位置を、仮想的に欠落範囲の変換先チャンネルの再生位置とする。例えば、上層が再生位置欠落層であり、上層の上下に隣接する天井層及び中層の再生位置欠落範囲に対応する範囲に変換先チャンネルの再生位置が存在する場合には、仰角0度から離れた方の天井層の変換先チャンネルの再生位置を再生位置欠落範囲の変換先チャンネルの再生位置とする。これにより、制作時の上下感を保持することができる。
ここで、変換先チャンネルがステレオの場合などであって、再生位置欠落層に隣接する層の再生位置欠落範囲に対応する範囲に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合には、再生位置欠落層内で変換先チャンネルの再生位置を前後に反転させることにより、変換先チャンネルの再生位置を仮想的に創出してもよい。また、上層と天井層がさらに細かく複数層に分割されている場合や、ある層に隣接する層の仰角差が小さい場合などは、隣接する両方の層の変換先チャンネルの再生位置を当該層の再生位置として、両チャンネルに変換元マルチチャンネル音響信号を分配してもよい。
図3では各分割層を4分割する例を示しているが、左前、左横、左後、右前、右横、右後と6分割してもよい。また、0度又は180度に再生位置が存在するチャンネルは、左前、右前、又は左後、右後に再生位置が存在するチャンネルがない場合にのみ、等分に分配して例えば左前、右前(±1度など)又は左後、右後(±179度)に再生位置が存在するチャンネルとみなしてもよい。また、側方±90度に再生位置が存在するチャンネルは、通常、左後、右後の範囲に再生位置が存在するチャンネルとみなすが、左前、右前に再生位置が存在するチャンネルがない場合にのみ、左前、右前の範囲に再生位置が存在するチャンネルとみなしてもよい。
このようにして、変換先チャンネルの再生位置を仰角方向の複数層に分割することにより、上下方向に複数の層を持つ任意のチャンネル配置の音響方式で制作された音響を、制作者の意図を大きく損なうことなく、別のチャンネル配置の音響方式用の再生装置で聴取するためのチャンネル数変換係数行列を生成することが可能となる。
次に、図2に示すように、変換元チャンネル再生位置決定部12により、仰角±90度の1点に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合の、仰角±90度にあった変換元チャンネルの再生位置を規定する(ステップS16)。なお、仰角±90度の1点に変換先チャンネルの再生位置が存在する場合には、該再生位置を変更しない。
仰角±90度の1点に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合、第1の例では、頭上(仰角90度)又は足元(仰角-90度)の変換元チャンネルの再生位置を、仰角±90度に隣接する層の各分割範囲の中央に最も近い変換先チャンネルの再生位置とし、該分割範囲に中央から同程度離れた複数の変換先チャンネルの再生位置が存在する場合には、該複数の変換先チャンネルの再生位置とする。
図4に、仰角±90度の1点に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合の、仰角±90度の変換元チャンネルの再生位置の第1の例を示す。各分割層を4範囲に分割した場合は、隣接する層の前後左右4範囲の変換先チャンネルのうち、それぞれ四隅(方位角45度と135度)付近に再生位置が存在する変換先チャンネルの再生位置各1点を使用する。例えば、図4(a)に示すように、変換先チャンネルが5chの場合、黒丸で示した四隅付近に存在する4chを再生位置と規定し、図4(b)に示すように、変換先チャンネルが7chの場合、黒丸で示した四隅付近に存在する4chを再生位置と規定する。また、方位角30度と60度など四隅から同程度離れた再生位置に変換先チャンネルが2個存在する場合には、両方を使用する。例えば、図4(c)に示すように、変換先チャンネルが10chの場合、方位角30度と60度を共に使用し、黒丸で示した6chを再生位置と規定する。
変換元チャンネルの再生位置を規定すると、規定されたチャンネル数に応じて、音響信号のレベルを規定する。4範囲から各1点を選出した場合、チャンネル数変換係数は√(1/4)=0.500であり、4範囲から各2点を選出した場合、チャンネル数変換係数は√(1/8)=0.354となる。この例では、エネルギーが保存されることを想定したが、上層で再生されるべき音響信号が中層等で再生されるとき、元々中層で再生される音響信号が聞こえにくくなる可能性がある。そこで、全体のエネルギーを-1.5dBするなどの補正係数を乗じてもよい。このとき、4範囲から各1点を選出する場合の各要素は0.421となり、4範囲から各2点を選出する場合の各要素は0.297となる。
第2の例では、頭上(仰角90度)又は足元(仰角-90度)の変換元チャンネルの再生位置を、仰角±90度に隣接する層の後方の左右分割範囲の中央にそれぞれ最も近い変換先チャンネルの再生位置、及び前方中央の変換先チャンネルの再生位置とする。前方中央に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合には、代わりに前方の左右分割範囲の中央にそれぞれ最も近い変換先チャンネルの再生位置を変換元チャンネルの再生位置とする。
図5に、仰角±90度の1点に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合の仰角±90度の変換元チャンネルの再生位置の第2の例を示す。例えば、図5(a)に示すように、変換先チャンネルが5chの場合、黒丸で示した後方二隅付近に存在する2ch及び前方中央の1chを再生位置と規定し、図5(b)に示すように、変換先チャンネルが7chの場合、黒丸で示した後方二隅付近に存在する2ch及び前方中央の1chを再生位置と規定する。また、前方中央に変換先チャンネルが存在しない場合には、前方左右に再生位置が存在する変換先チャンネルの再生位置を使用してもよい。例えば、図5(c)に示すように、変換先チャンネルが4chの場合、黒丸で示した後方二隅付近に存在する2ch及び前方左右の2chを再生位置と規定する。
後方二隅付近及び前方中央を再生位置とした場合、チャンネル数変換係数行列の各要素は√(1/3)=0.577となる。後方二隅付近及び前方左右を再生位置とした場合、前方左右のチャンネル数変換係数行列の各要素は√(1/6)=0.408となる。また、上述したように、上層で再生されるべき音響信号が中層等で再生されることで、元々中層で再生される音響信号が聞こえにくくなることを防止するために、補正係数を乗じて全体のエネルギーを低減させてもよい。
次に、図2に示すように、仰角±90度を除く変換元チャンネルの再生位置を変換先チャンネルの各分割層上に配置する。このとき、変換元チャンネルの再生位置をそのまま配置する絶対位置モード(ステップS17)と、変換元/変換先チャンネルの基準点を指定し、基準点に対する相対関係が一致するように配置する相対位置モード(ステップS18)とで、変換元チャンネルの再生位置の配置先を切り替える。ステップS17~18の切り替えは、デフォルト設定であらかじめ決めておいてもよいし、ユーザが決定してもよい。
絶対位置モード(ステップS17)では、変換元チャンネル(M個)の再生位置を変えないで、そのまま再生位置とする。すなわち、あらかじめ規格で定められている再生位置をそのまま用いる。
図6に、絶対位置モードの場合における、変換元チャンネル及び変換先チャンネルの再生位置を示す。ここで、内側の白丸が変換元チャンネルの再生位置であり、外側の黒丸が変換先チャンネルの再生位置である。図6(a)は10chから5chへの変換であり、図6(b)は10chから7chへの変換であり、図6(c)(d)は8chから4chへの変換である。図6の(c)と(d)では、変換先チャンネルの4chの配置が異なる。絶対位置モードにおいては、変換先チャンネルの配置にかかわらず、変換元チャンネルの再生位置を変更しない。
相対位置モード(ステップS18)では、変換元チャンネル再生位置決定部12により、変換元チャンネル(M個)の再生位置を、基準点に対する相対位置を保持するように変更する。具体的には、変換元チャンネルの再生位置の2点の基準点と変換先チャンネルの再生位置の2点の基準点が一致するように変換元チャンネルのサラウンドサークルを回転、及び変倍(拡大・縮小)させ、2点の基準点の間に存在する変換元チャンネルの再生位置を変換先チャンネルのサラウンドサークル上に再配置した再生位置を変換元チャンネルの再生位置とする。
ここで、基準点は画面の両端に相当する左前、右前の2点、各分割層を方位角方向に分割した左前、左後、右前、右後の4範囲の四隅の4点(±45度と±135度)、該4点に左右側方90度を加えた6点のいずれかにそれぞれ最も近くに存在する変換元チャンネルの再生位置でもよい。より音が聞こえてくる方向を指定したい場合は、基準点を8点などに増やすこともできる。基準点が3点以上存在する場合は、隣り合う2点の基準点を選択し、当該2点の基準点が作るサラウンドサークルの弧上に再生位置が含まれる変換元チャンネルの変換先チャンネルの再生位置を規定する。この作業を繰り返し、変換元の隣り合う2点の基準点が作る弧を変換元のサラウンドサークル上で一周させ、全ての変換元チャンネルの変換先での再生位置を決定する。
2点の基準点は、変換元チャンネル及び変換先チャンネルの再生位置に限定されず、任意の位置を指定できる。例えば、聴取者の真横となる±90度を基準点とすることで、90度方向を固定して聴取者の前方と後方で再生位置を変化させる割合を変えることも可能である。この基準点の位置の情報は変換位置算出モード選択情報にメタデータとして含めてもよいし、予め決められていてもよいし、Left・Rightといったチャンネルの名称の類似性から規定されてもよい。すなわち、変換元チャンネル再生位置決定部12は、基準点を、予め定められた位置、ユーザによって指定された位置、メタデータによって指定された位置、又は変換元チャンネル及び変換先チャンネルの名称若しくは位置の類似度に基づいて決定する。
図7に、基準点によって変換元チャンネルの再生位置を変更する例として、前後左右の4点の基準位置の内、左前と左後の2点に挟まれた側方の変換元チャンネルの再生位置を変更する例を示す。この例では、変換先の基準点は30度と110度で、変換元の基準点は60度と135度を想定している。ここで、変換元の60度(θin1)を変換先の30度(θout1)、変換元の135度(θin2)を変換先の110度(θout2)に変換する場合、変換元チャンネルの再生位置θinは、式(3)に示す変換先チャンネルの再生位置θoutに変換される。
また、図8に、左右前方の2点を基準点として、前方と後方の変換元チャンネルの再生位置を変更する例を示す。
図9に、±30度の変換先チャンネルの再生位置と±60度の変換元チャンネルの再生位置とを基準点とする場合(相対位置60度)において、変換元チャンネルの再生位置を変更する例を示す。ここで、内側の白丸が変換元チャンネルの再生位置、外側の黒丸が変換先チャンネルの再生位置であり、星印は基準点を示している。図9(a)(b)は10chから5chへの変換であり、図9(c)は10chから7chへの変換であり、図9(d)(e)(f)は8chから4chへの変換である。図9(b)(c)(e)においては、側方90度にも基準点を追加している。
図9では前方2chに加え、後方と側方にも基準点が存在する。四隅から1点を基準点とした場合、図9(a)に示すように変換先チャンネルの再生位置が5.1chとすると、側方のチャンネルが少し前に移動する。そこで、図9(b)に示すように側方90度には変換先チャンネルは存在しないが、基準点とすることで、後方チャンネルの再生位置によらず、側方チャンネルの再生位置を固定することができる。
また、図10に、±30度の変換先チャンネルの再生位置と±30度の変換元チャンネルの再生位置とを基準点とする場合(相対位置30度)において、変換元チャンネルの再生位置を変更する例を示す。変換元チャンネル及び変換先チャンネルのチャンネル数は図9と同じである。
基準点をもとに再生位置を変更した後、基準点に対応する変換元・変換先チャンネル以外の、対象となる変換先チャンネルの近くに存在する変換元チャンネルの再生位置を変換先チャンネルと同位置に変更する。この際、再生位置を変更する変換元チャンネルの候補が複数ある場合、シンプルに角度差でもってより近い位置の変換元チャンネルを変更する角度差モードか(ステップS19)、角度比でみて最も偏っている変換元チャンネルを変更する角度比モード(ステップS20)を切り替える。ステップS19,20の切り替えは、デフォルト設定であらかじめ決めておいてもよいし、ユーザが決定してもよい。
角度比モード(ステップS20)の場合、具体的には、対象となる変換先チャンネルに最も偏った位置に存在する変換元チャンネルの再生位置を変更する。まず、各変換元チャンネルの再生位置に対して、変換元チャンネルに隣接する2つの変換先チャンネルの再生位置となす角度の比を求める。この比は、対象となる変換元チャンネルが、隣接する2つの変換先チャンネルの間で、片側にどのくらい偏った位置に存在するかを示している。隣接する2つの変換先チャンネルの再生位置の一方への偏りが大きい変換元チャンネルの再生位置を、近接する変換先チャンネルの再生位置に変更する。
図11に、角度比モードの場合の再生位置の変換を行う例を示す。図11(a)に示すように、10chから5chに変換する場合、変換元チャンネルの90度の位置に存在するチャンネルに対しては、変換先チャンネルの30度と110度の位置に存在するチャンネルが隣接する。これらのチャンネルのなす角度の比は20度対60度である。また、変換元チャンネルの135度の位置に存在するチャンネルに対しては、変換先チャンネルの110度と250度の位置に存在するチャンネルが隣接する。これらのチャンネルのなす角度の比は25度対115度である。すなわち、変換元チャンネルの135度の位置に存在するチャンネルのほうが、変換元チャンネルの90度の位置に存在するチャンネルよりも、隣接する2つの変換先チャンネルの間における偏りが大きい。したがって、変換元チャンネルの±135度の位置に存在するチャンネルの再生位置を±110度に変換する。変換元チャンネルの残りのチャンネルについては変更しない。
同様に、図11(b)に示すように8chから4chに変換する場合、変換元チャンネルの±45度の位置に存在するチャンネルの再生位置を±30度に変換し、変換元チャンネルの±135度の位置に存在するチャンネルの再生位置を±110度に変換する。変換元チャンネルの残りのチャンネルについては変更しない。
上記の例では、変換元チャンネルの再生位置と変換先チャンネルの再生位置の差の大小によらず、変換元チャンネルの再生位置を規定したが、ステップS17~18において、変換元チャンネルの再生位置と変換先チャンネルの再生位置の差が閾値以下である場合には、変換元チャンネルの再生位置を当該の変換先チャンネルの再生位置に変更してもよい。なお、この閾値は、前後左右の4範囲において異なる数値を用いてもよい。例えば、前方の閾値が15度で、後方の閾値が25度である場合、22.2ch音響の45度の前方チャンネルは5.1ch音響の30度、90度、135度の後方チャンネルは、ともに5.1ch音響の110度で再生されることになる。
次に、図2に示すように、変更した変換元チャンネルの再生位置と変換先チャンネルの再生位置に基づいて、変換元チャンネルから再生される変換元マルチチャンネル音響信号の分配係数を規定する。2個の変換先チャンネルの再生位置に挟まれた変換元チャンネルは、該2個の変換先チャンネルに変換元マルチチャンネル音響信号を分配する。その際の係数を分配係数という。このとき、2個の変換先チャンネルの再生位置と変換元チャンネルの再生位置との位置関係(例えば、角度又は距離比)によって分配係数を規定する位置モード(ステップS21)と、2個の変換先チャンネルの再生位置に挟まれる変換元チャンネルの数によって分配係数を規定する数モード(ステップS22)とに動作モードを切り替える。ステップS21,22の切り替えは、デフォルト設定であらかじめ決めておいてもよいし、ユーザが決定してもよい。
図12は、位置モード(ステップS21)の場合の、分配係数の求め方の一例を説明する図である。位置モードでは、例えば、2個の変換先チャンネルのなす角(2θ0)とその中心から変換元チャンネルのなす角(θ1)によって、変換先チャンネルに配分する係数を算出する。係数の算出方法としては、Tan則や非特許文献3に記載されたVBAPなどの方法があるが、その方法は問わない。例えば、式(4)により分配係数wO1,wO2を決定する。
一方、数モード(ステップS22)の場合には、2つの変換先チャンネルの再生位置に挟まれる変換元チャンネルの数がn個である場合、分母をn+1とし、分子を分配先の変換先チャンネルと逆側の変換先チャンネルから数えた変換元チャンネルの順番kとし、この分数の平方根である√(k/(n+1))を分配係数とする。
図13は、数モードの場合の、チャンネル分配係数の求め方の一例を説明する図である。図13(a)に示すように、2つの変換先チャンネルO1,O2の再生位置に挟まれる変換元チャンネルの数が1個である場合、変換元チャンネルI1は変換先チャンネルO1、O2にそれぞれ√(1/2)=0.707の分配係数で割り振られる。
ここで、変換元チャンネルI1が変換先チャンネルO1,O2のいずれか一方に極端に偏っている場合には、変換元チャンネルI1と偏っていないほうの変換先チャンネルとの間に1個以上のダミーチャンネルを追加することで、2個以上の変換元チャンネルがある場合と同等の係数としてもよい。
図13(b)に示すように、2つの変換先チャンネルO1,O2の再生位置に挟まれる変換元チャンネルの数が2個である場合、変換元チャンネルI3は変換先チャンネルO1、O2にそれぞれ√(2/3)=0.816(-1.76dB)、√(1/3)=0.577(-4.77dB)の係数で割り振られる。なお、変換先チャンネルI2の再生位置と変換元チャンネルO1の再生位置のように両者の位置が一致している場合には、分配係数を1.00とし、再生位置が一致している変換先チャンネルに割り振る。
いずれの場合においても、エネルギーを保存させるため、音響信号の分配係数の自乗和が1となるように係数を規定しているが、この係数に対して、変換先マルチチャンネル音響信号同士の再生位置の角度による総エネルギーの補正係数、変換元マルチチャンネル音響信号と変換先マルチチャンネル音響信号のチャンネル再生位置の層が異なることによる総エネルギーの補正係数、変換元マルチチャンネル音響信号と変換先マルチチャンネル音響信号の再生位置の前後が異なることによる総エネルギーの補正係数、変換元マルチチャンネル音響信号同士の類似性による総エネルギーの補正係数のうち、少なくとも一つを乗じるようにしてもよい。本実施例における変換元マルチチャンネル音響信号同士の類似性とは、同じ変換先チャンネルCに分配される変換元チャンネルAの音響信号と変換元チャンネルBの音響信号の相関などであり、変換前のAの音響信号とBの音響信号のエネルギーの和と、変換後のCの音響信号に含まれるAの音響信号とBの音響信号のエネルギーが等しくなるように補正係数を乗じることになる。
例えば、変換先のチャンネル同士の再生位置が近い場合など、変換先チャンネルの再生位置によっては、エネルギーを保存しない方が聞いた印象が保持されることがある。そこで、変換元のチャンネルを等分配する場合には-1.5dB(係数0.841)となり、片側に大きく分配する場合には-0.75dB(係数0.917)となるように、補正係数を乗じてもよい。このとき、等分配するときの分配係数は-4.5dB(係数0.595(0.707×0.841))となり、変換先チャンネルO1に大きく割り振る場合はO1、O2それぞれ-2.5dB(係数0.749(0.816×0.917))、-5.5dB(係数0.530(0.577×0.917))となる。この他、上層や下層の変換元チャンネルを中層の変換先チャンネルで再生する場合において、後方の変換元チャンネルを前方の変換先チャンネルで再生するときに、総エネルギーを-1.5dBや-3.0dBとするなどの補正係数を乗じてもよい。また、LFE(低域効果音チャンネル)など相関が高い信号が含まれる可能性が高い複数の変換元チャンネルを同一の変換先チャンネルに統合する場合に、-3.0dB、-4.5dB、-6.0dBなどの補正係数を乗じてもよい。
最後に、図2に示すように、各チャンネル数変換係数がある範囲に含まれる数値であった場合、代表値に置き換える丸め込みを行う(ステップS23)。出力信号生成部15は、このようにして導出されたチャンネル数変換係数からなるチャンネル数変換係数行列を用いて、チャンネル数変換処理を行う。分配係数に、上述した補正係数の乗算や丸め込みを行ったものをチャンネル数変換係数という。
図14に、音響信号の分配係数をデシベル表記したときにきりのよい数字となるように置き換える例を示す。例えば、√(1/2)=√(3/6)=0.707は0.1dB刻みで丸め込むと-3.0dBに相当し、√(1/4)=0.500は-6.0dBに相当する。このように代表値に置き換えることによって、精確な方向再現は失われるが、計算コストが軽くなると共に、変換先チャンネルの再生位置が少々異なっても同じ数値を使うことで汎用性が高くなる。
以下、22.2ch音響(中層10ch、上層8ch、天井1ch、下層3ch)から、11.1ch(中層7ch、上層4ch)、9.1ch(中層5ch、上層4ch)、7.1ch音響(中層5ch、上層2ch)へのチャンネル数変換係数行列の導出例を示す。22.2ch音響の再生位置の例は、表1に示すとおりであり、変換元チャンネルのチャンネル順は式(5)のとおりになる(M=24)。
変換先チャンネルの再生位置の例を表2,3,4に示す。7.1ch音響の上層後方のチャンネルが存在しないため、中層の後方チャンネルが使用される。また、どの変換先チャンネル配置にも天井チャンネルが存在しないため、上層の四隅のチャンネルが使用される。また、下層チャンネルが存在しないため、下層の再生には中層チャンネルがそのまま使用される。
7.1ch音響の変換先チャンネル順は、式(6)のとおりであり(N=8)、9.1ch音響の変換先チャンネル順は、式(7)のとおりであり(N=10)、11.1ch音響の変換先チャンネル順は、式(8)のとおりである(N=12)。
次に、変換元チャンネルの再生位置の変換を行う。変換元チャンネルの再生位置をそのまま用いる場合は、上記表1のとおりである。ここでは、基準点に合わせて再生位置を変更する例を説明する。ここでは、四方にあるスピーカ位置を一致させる例を考える。
22.2ch音響を7.1ch(5.1+2ch)に変換する例を、表5に示す。変換元の中層60度を変換先30度へ変換する場合と中層30度を変換先30度へ変換する場合がある。また、変換元の上層45度を変換先30度、45度、90度へ変換する場合がある。上層の後方には変換先チャンネルが存在しないため、中層後方の変換先チャンネルの再生位置110度が用いられる。ただし、変換先の上層チャンネルが側方90度だった場合、前方、後方とも90度の再生位置が用いられる。
22.2ch音響を9.1ch(5.1+4ch)に変換する例を、表6に示す。変換元の中層60度を変換先30度へ変換する場合と中層30度を変換先30度へ変換する場合がある。また、変換元の上層45度を変換先30度、45度へ変換する場合、変換元の上層135度を変換先の上層110度と135度に変換する場合がある。
22.2ch音響を11.1ch(7.1+4ch)に変換する例を、表7に示す。変換元の中層60度を変換先30度へ変換する場合と中層30度を変換先30度へ変換する場合がある。また、変換元の上層45度を変換先30度、45度へ変換する場合、変換元の上層135度を変換先の上層110度と135度に変換する場合がある。
また、四方4点の基準点に加え、側方90度を基準点として6点を基準点としたときの、22.2ch音響から7.1ch音響に変換する場合の例を表8に示し、22.2ch音響から9.1ch音響に変換する場合の例を表9に示し、22.2ch音響から11.1ch音響に変換する場合の例を表10に示す。
次に、絶対位置、相対位置に対するチャンネル数変換係数行列の各要素を変換元チャンネル数に基づく場合と、変換先チャンネルの再生位置と変換元チャンネルの再生位置の角度に基づく場合とで導出する。ここで、角度に基づく係数は、Tan則を用いて算出した例である。
22.2ch音響から7.1ch音響へ変換する際のチャンネル数変換係数の例を、表11,12に示す。ここで、各列の上段は変換元である22.2ch音響のチャンネルの番号であり、各行の左端は変換先である7.1ch音響のチャンネルの番号である。
22.2ch音響から7.1ch音響へ変換する際のチャンネル数変換係数の例を表13~16に示す。ここで、Oは絶対位置を意味し、R1は相対位置30度を30度へ,135度を110度へを意味し、R2は相対位置30度を30度へ,90度固定,135度を110度へを意味し、R3は相対位置60度を30度へ,135度を110度へを意味し、R4は相対位置60度を30度へ,90度固定,135度を110度へを意味する。また、上層について、Aは30度と110度を意味し、OAは絶対位置を意味し、RA1は相対位置45度を30度へ,135度を110度へを意味し、RA2は相対位置45度を30度へ,90度固定,135度を110度へを意味し、Bは45度と110度を、OBは絶対位置を、RB1は相対位置45度を45度へ,135度を110度へを意味し、RB2は相対位置45度を45度へ,90度固定,135度を110度へを意味し、Cは90度を意味し、OCは絶対位置を意味し、RC1は相対位置45度を90度へ,135度を90度へを意味し、Nは変換元チャンネル数意味しを、Pは再生位置を意味する。また、例えば「O,N」はチャンネル数変換係数を決めるときに、変換元と変換先の位置を絶対位置で決め、分配係数を変換元のチャンネル数で決めるという条件で算出したことを意味する。
また、22.2ch音響から9.1ch音響へ変換する際のチャンネル数変換係数の例を表17に示す。各列の上段は変換元である22.2ch音響のチャンネルの番号であり、各行の左端は変換先である。
22.2ch音響の中層、下層から9.1ch音響へのチャンネル数変換係数は、7.1chの場合(表13、表16)と同じである。22.2ch音響の上層から9.1ch音響へ変換する際のチャンネル数変換係数の例を表18に示す。ここで、Aは30度と110度を意味し、OAは絶対位置を意味し、RA1は相対位置45度を30度へ,135度を110度へを意味し、RA2は相対位置45度を30度へ,90度固定,135度を110度へを意味し、Bは45度と110度を意味し、OBは絶対位置を意味し、RB1は相対位置45度を45度へ,135度を110度へを意味し、RB2は相対位置45度を45度へ,90度固定,135度を110度へを意味し、Dは45度と135度を意味し、ODは絶対位置=相対位置45度を45度へ,135度を135度へを意味し、Nは変換元チャンネル数を意味し、Pは再生位置を意味する。
22.2ch音響から11.1ch音響へのチャンネル数変換係数の例を表19に示す。ここで、各列の上段は変換元である22.2ch音響のチャンネルの番号であり、各行の左端は変換先である11.1ch音響のチャンネルの番号である。
22.2ch音響の上層から11.1ch音響へのチャンネル数変換係数は、9.1chの場合(表18)と同じである。ここで、Oは絶対位置を意味し、R5は相対位置30度を30度へを意味し、R6は相対位置30度を30度へ,90度固定を意味し、R7は相対位置60度を30度へを意味し、R8は相対位置60度を30度へ,90度固定を意味し、Nは変換元チャンネル数を意味し、Pは再生位置を意味する。また、添え字のBtは、下層(ボトム層)だけを抜き出していることを意味する。
チャンネル数変換を実施するとき、精緻な角度を保存するよりも係数の簡略化が望まれる場合がある。そこで、ある一定範囲の係数を代表値に置き換えることで、チャンネル数変換の簡略化が可能である。そこで、表22に、0.5dB単位で段階的にチャンネル数変換係数を導出する例を示す。0.5dB単位でチャンネル数変換係数を乗じた場合(上段)に、対応するチャンネルにエネルギーを保存するように乗じる必要があるチャンネル数変換係数を示す(下段)。
表23に1.5dBなどのきりのよい数値で代表値を指定した場合のチャンネル数変換係数を示す。この数値はある空間を7分割した場合の中央5段階で代表値を量子化した数値に近い。
1.5dB単位のチャンネル数変換係数の代表値を指定した場合、表13~16,18,20,21で示した各チャンネル数変換係数の値は、それぞれ表24~30のようになる。
ここでは、5段階の代表値の例を示したが、表31に示すように代表値を細分化してもよい。
また、本実施形態では、エネルギーを保存するように信号を分配したが、音響信号を分配した場合に元の信号よりも大きく知覚される場合があるため、エネルギーを減少させてもよい。例えば、等分に分配する場合に-1.5dBし、片側に近づくと元のエネルギーに戻るとする。その場合、表23の代表値は例えば表32のようになる。
(実施例1)
次に、図2において、変換先チャンネルの各分割層を前後左右の4範囲に分割するステップS13を選択し、FL/FR/BL/BRを四隅の基準点として指定した後、各基準点に対する相対関係が一致するように配置するステップS18(相対位置モード)を選択し、さらに2個の変換先チャンネルの再生位置に挟まれる変換元チャンネル数によって係数を規定するステップS22(数モード)を選択した場合を実施例1として、実施例1に係る音響処理装置1の動作について説明する。
図15は、実施例1に係る音響処理装置1によるチャンネル数変換係数を導出する手順を示すフローチャートである。
まず、変換元と変換先のチャンネル数及びスピーカ配置(再生位置)を比較し(ステップS101)、伝送されたチャンネル数変換係数があるか否かを判定する(ステップS102)。伝送されたチャンネル数変換係数がある場合には、このチャンネル数変換係数を用いるため、処理を終了する。次に、音響処理装置1のシステム内部に保存されたチャンネル数変換係数値があるか否かを判定する(ステップS103)。システム内部に保存されたチャンネル数変換係数値がある場合にも、この処理を終了する。
すなわち、チャンネル数変換係数は、他から事前に得られた係数値がない場合に用いられるものであり、変換元マルチチャンネル音響信号と合わせて受信したチャンネル数変換係数や、音響処理装置1の内部に記憶されたチャンネル数変換係数がある場合には、それらの値がチャンネル数の変換に用いられる。
チャンネル数変換係数を導出するには、まず変換先チャンネルの再生位置を仰角方向の複数層に分割する(ステップS104)。例えば、22.2ch音響では下層、中層、上層、頭上(仰角90度)の4層とし、7.1ch音響A(音声モード2/0/0-3/0/2)や9.1ch音響(音声モード2/0/2-3/0/2)、11.1ch音響(音声モード2/0/2-3/2/2)では中層、上層の2層とする。
その後、変換元チャンネルの各分割層を前後左右(横断面、正中面)4つの範囲に分割する(ステップS105)。ここで、4分割した範囲に変換先チャンネルの再生位置が存在しない場合には、隣接する層の変換先チャンネルの再生位置を当該層の再生位置と定める(ステップS106)。ただし、頭上(仰角90度)といった1点のみで構成される層に関しては除外する。例えば、7.1ch音響では、変換先チャンネル配置の上層後方にチャンネルがないため、中層の後方チャンネルが上層の再生にも用いられる。また、7.1ch音響Aや9.1ch音響、11.1ch音響は下層を持たないため、変換元チャンネルが下層のチャンネルを持つ場合には、それらのチャンネルの再生には中層を用いる。
次に、変換元チャンネルの再生位置を変換先チャンネルの各分割層上に配置する(ステップS107)。
頭上(仰角90度)といった1点のみの層に関して、変換先チャンネルに再生位置が存在しない場合には、前後左右4範囲の変換先チャンネルのうち、それぞれ4隅(方位角45度と135度)の基準点となる変換先チャンネルの再生位置各1点を使用する(ステップS108)。例えば、22.2ch音響の頭上(仰角90度)にあるTpCは、変換先である7.1ch音響Aや9.1ch音響、11.1ch音響に再生位置を持たない。よって変換先のそれぞれ4隅(方位角45度と135度)付近にある変換先チャンネルの再生位置を利用することになり、9.1ch音響や11.1ch音響では上層の4チャンネル、7.1ch音響Aでは上層の2チャンネル及び中層後方の2チャンネルに分配する。
基準点の決定方法は、まず、変換元・変換先の同じ位置にチャンネルが存在する場合は、当該チャンネルを基準点と定める(ステップS109)。例えば、22.2ch音響から7.1ch音響A、あるいは9.1ch音響へ変換する場合、変換先である7.1ch音響A、9.1ch音響では、中層の方位角0度及び±30度にあるチャンネルが基準点と定まる。このままでは上層の4範囲、及び中層の後方2範囲に基準点がないので、変換元及び変換先チャンネルの残る基準点を定める。
横断面、正中面のチャンネルを除く各分割層の4範囲それぞれの中で同じ位置にチャンネルが一つも存在しない場合には、前方の2範囲は前面(0<再生位置≦60度)、後方の2範囲は側面(90度<再生位置≦135度)に近いチャンネルを基準点と定める(ステップS109)。例えば、変換元の22.2ch音響では、上層前方は45度の位置、後方は135度の位置のチャンネルが基準点となる。一方、変換先チャンネルでは、上層前方2範囲の基準点(0度<再生位置≦60度のうち45度に最も近い点)としては30度の位置、上層及び中層の後方2範囲の基準点(90度<再生位置≦135度のうち135度に最も近い点)としては110度の位置のチャンネルが該当する。
なお、45度に対して30度と60度など、同じ近さに複数のチャンネルが存在する場合は、元の角度が小さい方(30度)のチャンネルを基準点とする(ステップS109)。なお、この前方は前面、後方は側面という基準点の取り方は、人間の聴覚上の特性、及びそれを考慮してスピーカ配置が決定された5.1ch音響、及び22.2ch音響の考えに基づいている。
基準点を定めるにあたって、前方基準点指定情報がある場合には、これをもとに前方2範囲の基準点にあたるチャンネルをステップS109で求めた基準点から別の基準点に切り替える(ステップS110)。例えば、画面の両端に対応するチャンネルの示す情報を前方基準点指定情報とする場合、位置情報とは関係なく、変換元と変換先の画面の両端に対応するチャンネルをそれぞれ、前方2範囲の基準点と差し替える。変換元が22.2ch音響の場合は、中層の±60度のチャンネルを基準点にとりたいケースが主に考えられる。
基準点が定まったところで、定まった変換元と変換先の基準点の再生位置が一致するよう、変換元基準点の再生位置を変更する(ステップS111)。例えば、22.2ch音響の基準点となるチャンネルの再生位置をそれぞれ、45度を30度に、135度を110度に変更する。前方基準点切り換え情報によって変換元である22.2ch音響の中層前方の基準点を±60度のチャンネルに変更していた場合、60度を30度に変更し、合わせて22.2ch音響の30度にあったチャンネルの再生位置を15度に変更する。
また、横断面、正中面のチャンネルを除く各分割層内4範囲の中で基準点とならなかった変換元チャンネルに関しても、元のスピーカ間の距離比が保たれるよう、基準点が変化した割合に従って同様に再生位置を変更する。変換先の7.1ch音響Aや9.1ch音響、11.1ch音響はすべてのチャンネルが基準点となり、このステップで再生位置が変更されるチャンネルはない。このように、現在提案されている多くのフォーマットではほぼすべてのチャンネルが基準点となり、この段階で再生位置を変更するケースは少ないと考えられる。
次に、横断面、正中面のチャンネルを除く各分割層内4範囲の中で、変換先チャンネルの再生位置それぞれにつき、最も角度差の小さい変換元チャンネルの再生位置を変更(ロック)する(ステップS112)。なお、基準点として定めたチャンネルはすでに再生位置が一致しているので、ここで再生位置が変更されるのは、4範囲の中にあり、かつ基準点とならなかった変換元チャンネルのみとなる。
仮想音源で表現するチャンネルが決定した後、具体的な係数値を規定する。各チャンネルの識別性を上げるため、再生する変換先チャンネル間に存在する変換元チャンネルの数によって係数値を決定し、再生する変換先チャンネルの間に均等に配置し直す(ステップS113)。変換元チャンネルのエネルギーと変換先チャンネルのエネルギーを一致させるよう、音響信号の分配係数の自乗和が1となるように係数を規定すると、下記の表33のようになる。
本手法で得られた真数値を、デシベル表記した際にきりのよい値となるよう丸め込みを行ってもよい(ステップS114)。例えば、MPEG-4 AACで22.2chの音響信号を伝送する場合は1.5dB刻みの値を用いるため、1/√2は-3dB、1/√3は-4.5dB、√(2/3)は-1.5dBに丸め込む。デシベル表記した際の丸め込みの度合いにより、本手法の計算によって得られた真数値、あるいは例示した丸め込み例の値とは完全には一致しなくなることが考えられるが、例えば±0.05程度の範囲のような、ある程度の数値のズレは本式に規定する関係に含まれるものとする。
次に、音声モードがマルチチャンネルステレオ(3/3/3-5/2/3-3/0/0.2)であり、マルチチャンネルステレオ(3/2.1)を超えたマルチチャンネルステレオで出力する場合の、復号後のマルチチャンネルステレオの音響信号に対して乗じるチャンネル数変換係数を、図15に示した手順で導出したときの値を、表35~46に示す。表35~46中の記号a~jに入る値を、表34に示す。dmix_pos_adj_idxは前述の前方基準点指定情報の例であり、表34はこの前方基準点指定情報によって基準点が切り替わったことによるチャンネル数変換係数の変化を表している。dmix_pos_adj_idxが初めて送出されるまではdmix_pos_adj_idx=0と同様の値を用いる。
表35は、マルチチャンネルステレオ(2/0/0-3/0/2-0.1)、ITU-R BS.2051に記載のsound system C、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 14で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表36は、マルチチャンネルステレオ(3/2/2.1)、ITU-R BS.2051に記載のsound system I、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 12で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表37は、マルチチャンネルステレオ(3/3.1)、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 11で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表38は、マルチチャンネルステレオ(5/2.1)、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 7で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表39は、ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system D、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 16で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表40は、ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system Eで出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表41は、ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system F、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 15で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表42は、ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system G 、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 20で出力する場合(ただし、ディスプレイがLRの内側にあるとき)のチャンネル数変換係数である。
表43は、ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system J、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 19で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表44は、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 17で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表45は、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 18で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
表46は、マルチチャンネルステレオ(2/0/0-3/2/2-0.1)で出力する場合のチャンネル数変換係数である。
(実施例2)
次に、図2において、変換先チャンネルの各分割層を前後左右の4範囲に分割するステップS13を選択し、FL/FRを基準点として指定した後、基準点に対応する変換元・変換先チャンネル以外の対象となる変換先チャンネルに最も偏った位置に存在する変換元チャンネルの再生位置を変換先チャンネルと同位置に変更するステップS18(相対位置モード)を選択し、さらに2個の変換先チャンネルの再生位置に挟まれる変換元チャンネル数によって係数を規定するステップS22(数モード)を選択した場合を実施例2として、実施例2に係る音響処理装置1の動作について説明する。
図16は、実施例2に係る音響処理装置1によるチャンネル数変換係数を導出する手順を示すフローチャートである。ステップS201~208,212,213は、それぞれ実施例1で説明したステップS101~108,113,114と同じであるため説明を省略し、ステップS209~211についてのみ説明する。
ステップS209では、前方基準点指定情報がある場合、この情報によって前方両端にあたる基準点を指定する。ステップS210では、変換元と変換先の基準点の再生位置が一致するよう、変換元基準点の再生位置を変更する。つまり、変換先の前方両端となるチャンネルの再生位置に変換元の前方両端のチャンネルの再生位置を変更し、その間に挟まれる変換元チャンネルも、もともとのチャンネル間の距離比を保つよう再生位置を変更する。例えば、22.2ch音響から7.1ch音響に変換する場合、22.2ch音響の前方両端は方位角±60度の位置のFL、FRであり、7.1ch音響は±30度のL、Rである。この場合FL、FRの再生位置を30度に変更し、その間にあったFLc、FRcは距離比を保ったまま再生位置を変更し、15度の位置に置き直す。
ステップS211では、各分割層内の変換先チャンネルの再生位置に角度比で最も偏った変換元チャンネルの再生位置を変更(ロック)する。例えば、22.2ch音響から7.1ch音響(5.1+2ch)、あるいは9.1ch音響(5.1+4ch)へ変換する場合、変換先である7.1ch音響、9.1ch音響では中層後方に、聴取者正面を0度として110度の位置にチャンネルがあり、変換元である22.2ch音響はその近傍では90度と135度の位置にチャンネルを持つ。ここで変換元の90度と135度のどちらのチャンネルを、変換先110度の位置に再生位置を変更するかを求める。90度の位置にある変換元チャンネルに隣接する2つの変換先チャンネルは30度、110度の位置にあり、変換元チャンネルとなす角度はそれぞれ60度と20度である。これは比率でみると3:1となり、90度の変換元チャンネルは、30度と110度の変換先チャンネルの間で、3:1だけ偏っていると言える。同様に135度のチャンネルは、隣接する110度と250度の変換先チャンネルの間で、4.8:1で偏っていると言える。これにより、110度の変換先チャンネルにより偏っており、再生位置を変更すべき変換元チャンネルは、135度のチャンネルと決まる。このとき、物理的に110度により近い位置にあるのは90度のスピーカであるが、仮に90度のチャンネルの位置を変更し135度のチャンネルを仮想音源として表現すると定めると、110度と250度という大きく開いた変換先チャンネルの中で大きく偏った位置にある仮想音源を表現することになり、聴感上135度のチャンネルの音像や定位感が大きく劣化し得る。より偏りの少ないチャンネルを再生位置を変更するチャンネルとして選択しているのは、このように各チャンネルの全体的な印象の劣化を抑えるためである。
音声モードがマルチチャンネルステレオ(3/3/3-5/2/3-3/0/0.2)であり、マルチチャンネルステレオ(3/2.1)を超えたマルチチャンネルステレオで出力する場合の、復号後のマルチチャンネルステレオの音響信号に対して乗じるチャンネル数変換係数を、図16に示した手順で導出したときの値は、実施例1の図15に示した手順で導出したときの値と同一となる場合ことも多い。
マルチチャンネルステレオ(2/0/0-3/0/2-0.1)、ITU-R BS.2051に記載のsound system C、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 14で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表35に示したとおりである。マルチチャンネルステレオ(3/2/2.1)、ITU-R BS.2051に記載のsound system I、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 12で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表36に示したとおりである。マルチチャンネルステレオ(5/2.1)、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 7で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表38に示したとおりである。ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system D、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 16で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表39に示したとおりである。ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system Eで出力する場合のチャンネル数変換係数は、表40に示したとおりである。ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system F、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 15で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表41に示したとおりである。ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system G 、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 20で出力する場合(ただし、ディスプレイがLRの内側にあるとき)のチャンネル数変換係数は、表42に示したとおりである。ITU-R勧告BS.2051に記載のsound system J、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 19で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表43に示したとおりである。ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 17で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表44に示したとおりである。マルチチャンネルステレオ(2/0/0-3/2/2-0.1)で出力する場合のチャンネル数変換係数は、表46に示したとおりである。
マルチチャンネルステレオ(3/3.1)、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 11で出力する場合のチャンネル数変換係数は、実施例1と異なるため、表47に示す。なお、表47の記号に入る値は、表34に示したとおりである。
また、ISO/IEC 23008-3に記載のChannel configuration 18で出力する場合のチャンネル数変換係数も、実施例1と異なるため、表48に示す。なお、表48の記号に入る値は、表34に示したとおりである。
なお、上述した音響処理装置1として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、音響処理装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
本発明のチャンネル数変換係数の導出手法によれば、以下の効果を有する。第1に、任意のチャンネル数、チャンネル配置に対応することができる。すなわち、本導出手法は、変換元チャンネルの再生位置を適切に変更することで、変換元チャンネルの左右前方・左右後方の特徴的なチャンネルの聞こえる方向を規定した上で、仮想音源を用いることによる音色や音像の劣化を抑え、全体としての印象の変化を小さくすることができる。
第2に、変換元フォーマットとの印象(音色)の劣化を抑えることができる。すなわち、前方左右・後方左右以外の位置に、再生位置が一致する変換元チャンネルを持たない変換先チャンネルがある場合、最も近傍にある変換先のチャンネルの再生位置に、変換元チャンネルの再生位置を変更することにより、仮想音源の数の増加による全体的な印象の劣化を抑えることができる。
第3に、相対位置モードを採用し、四隅の基準点を指定した場合には、基準となる前方左右・後方左右のチャンネルの組み合わせを保つことができる。すなわち、各フォーマットの主要なチャンネルである前方左右・後方左右にあるチャンネルの組み合わせが、変換元及び変換先フォーマットのスピーカ密度の差によって変化しないよう、変換元及び変換先チャンネルの前方左右・後方左右を揃える基準点を定め、この基準点をもとに変換元チャンネルの再生位置を変更することができる。また、前方2範囲の基準点にあたるチャンネルを切り替え可能としてもよい。これにより、多くのフォーマットで主要なチャンネルとなる聴取者前方のチャンネルに関して、その視聴環境に応じて再生位置を選択できるようになる。
第4に、相対位置モードを採用し、基準点に対応する変換元・変換先チャンネル以外の対象となる変換先チャンネルに最も偏った位置に存在する変換元チャンネルの再生位置を変換先チャンネルと同位置に変更した場合には、大きく開いたスピーカ間において、どちらかに偏った位置で仮想音源を配置することで生じ得る音像のぼけや、それに伴う方向感の劣化を抑えることができる。
第5に、変換元フォーマットの表現・演出を大きく損なわないでチャンネル数変換を実現することができる。すなわち、同じ高さ(層)にあった変換元チャンネルのうち、各変換先チャンネルの再生位置に変更するのは1チャンネルのみとし、残りのチャンネルは仮想音源で表現することにより、3次元マルチチャンネル音響ならではの表現・演出を大きく損なわないようにすることが可能となる。また、仮想音源で表現する変換元チャンネルを、その再生位置を挟む2つの変換先チャンネルの間に均等に配置しなおすことにより、各変換元チャンネルの方向を識別することが容易となる。
第6に、チャンネル数変換係数に利用しやすい数値を用いることができる。すなわち、本手法によって計算されたチャンネル数変換係数を実際に用いるにあたっては、その簡便さから導かれた分配係数をデシベル表記した際にきりのよい値となるようあらかじめ置き換えることができる。
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。