JP7129386B2

JP7129386B2 - エアゾール化粧料

Info

Publication number: JP7129386B2
Application number: JP2019140624A
Authority: JP
Inventors: 広奈岩根
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2018-07-31
Filing date: 2019-07-31
Publication date: 2022-09-01
Anticipated expiration: 2039-07-31
Also published as: WO2020027177A1; CN112469386A; KR102617507B1; EP3831359A1; KR20210021537A; TW202007389A; EP3831359A4; JP2020023487A

Description

本発明は、エアゾール化粧料に関する。

目下のクマ、くすみなどの肌トラブルは、血流低下が原因とされ、これらを改善するため、炭酸ガス効果を利用した化粧料が検討されている。特に、泡状に吐出されたフォームタイプの化粧料は、滑らかに塗り広げ易く、肌に塗布することにより化粧料に含まれる各種成分の浸透を促進させるために有用である。例えば、特許文献１には、アクリル酸アルキルクロスポリマー、ＨＬＢ１２～１８の非イオン界面活性剤、油剤、炭酸ガスを含有するエアゾール型化粧料は、炭酸ガスの粒径が小さい泡を多く発生させることにより経皮吸収性が促進され、べたつきやざらつきがなく使用感に優れることが記載されている。また、特許文献２には、特定の２種の界面活性剤、アクリル酸系ポリマー、ポリオール、炭酸ガスを含有するエアゾール化粧料は、粒径の細かな気泡を多く発生させ、べたつきなどの使用感が改善されたことが記載されている。

特開２０１４－１２９３０６号公報特開２０１６－１７０５２号公報

しかしながら、特許文献１、特許文献２に記載された従来の炭酸ガス含有エアゾール化粧料は、化粧料中に高濃度の炭酸ガスを溶解させ、かつ吐出後の泡の外観や保形性を損なわず、塗布後の肌へのつや（光沢感）や保湿効果を付与する点で、なお改善の余地があった。

本発明者らは、特定のエステル油及びポリオールを組み合わせ、特定の界面活性剤、水溶性増粘剤、炭酸ガスを用いることにより、上記課題を解決したエアゾール化粧料が得られることを見出した。

本発明は、次の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）、（Ｅ）及び（Ｆ）：
（Ａ）炭素数６～２０の脂肪酸と、炭素数３～５のアルコールからなるエステル油、
（Ｂ）ジグリセリン、
（Ｃ）アニオン界面活性剤、
（Ｄ）ＨＬＢ３～２０の非イオン界面活性剤、
（Ｅ）水溶性増粘剤、
（Ｆ）水
を含み、成分（Ｂ）の含有量が０．５～１５質量％であり、２５℃における粘度が１５００～２００００ｍＰａ・ｓである原液、並びに
（Ｇ）炭酸ガス
を含有するエアゾール化粧料に関する。

本発明のエアゾール化粧料は、容器から吐出した泡（フォーム）に含まれる炭酸ガス（二酸化炭素）の濃度が高く、塗布後の肌はつや（光沢感）があり、保湿効果に優れたものである。

実施例において、エアゾール化粧料の炭酸ガス濃度を測定する方法を示す図である。実施例において、角質水分量を測定する方法を示す図である。

本発明で用いる成分（Ａ）は、炭素数６～２０の脂肪酸と、炭素数３～５のアルコールからなるエステル油である。
脂肪酸は、直鎖又は分岐鎖の炭素数８～１８のものが好ましい。
成分（Ａ）のエステル油は、このような、炭素数６～２０の脂肪酸と、炭素数３～５のアルコールからなるモノエステル、ジエステル、トリエステルが含まれる。これらのうち、炭素数８～１６の脂肪酸と炭素数３～５のアルコールからなるモノエステル、炭素数８～１４の脂肪酸と炭素数３～５のアルコールからなるジエステル又はトリエステルが好ましく、炭酸ガスの溶解量、保湿効果、ツヤ感の点から、ジエステル、トリエステルが好ましい。
好ましいエステル油としては、例えば、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ(カプリル酸／カプリン酸）プロパンジオール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等のジエステル油；トリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル、２－エチルヘキサン酸トリグリセリル等のトリエステル油が挙げられる。

成分（Ａ）エステル油は、１種又は２種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、炭酸ガスの溶解量、保湿効果、ツヤ感の点から、原液中に０．５質量％以上が好ましく、１質量％以上がより好ましく、２質量％以上がさらに好ましく、保湿効果、ツヤ感、泡の比容積及び乳化安定性点から、２０質量％以下が好ましく、１５質量％以下がより好ましく、１０質量％以下がさらに好ましい。また、成分（Ａ）の含有量は、原液中に０．５～２０質量％が好ましく、１～１５質量％がより好ましく、２～１０質量％がさらに好ましい。

成分（Ｂ）は、ジグリセリンである。
成分（Ｂ）のジグリセリンの含有量は、ツヤ感の点から、原液中に０．５質量％以上であり、１質量％以上が好ましく、１．５質量％以上がより好ましく、２．５質量％以上がさらに好ましく、保湿効果の点から１５質量％以下であり、１０質量％以下が好ましく、８質量％以下がより好ましく、６質量％以下がさらに好ましい。また、ジグリセリンの含有量は、つやと保湿、炭酸ガス濃度の観点から原液中に０．５～１５質量％であり、１～１０質量％が好ましく、１．５～８質量％がより好ましく、２．５～６質量％がさらに好ましい。

本発明のエアゾール化粧料の原液は、成分（Ｂ）以外のポリオールを含むことができる。成分（Ｂ）以外のポリオールとしては、通常の化粧料に用いられる２価又は３価のアルコールが好ましい。
２価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、１，３－ブチレングリコール、１，３－プロパンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ；３価のアルコールとしては、グリセリン等が挙げられる。

成分（Ｂ）のジグリセリンを含む全ポリオールの含有量は、ツヤ感、保湿効果、泡の比容積の点から、原液中に１質量％以上が好ましく、２質量％以上がより好ましく、２．５質量％以上がさらに好ましく、同様の観点から２０質量％以下が好ましく、１８質量％以下がより好ましく、１５質量％以下がさらに好ましい。また、成分（Ｂ）のジグリセリンを含む全ポリオールの含有量は、原液中に１～２０質量％が好ましく、２～１８質量％がより好ましく、２．５～１５質量％がさらに好ましい。
さらに、全ポリオール中のジグリセリンの含有比率（質量％）は、ツヤ感、保湿効果、炭酸ガス濃度、泡の比容積の点から、好ましくは２０～１００質量％、より好ましくは２５～８０質量％、さらに好ましくは２５～４５質量％である。

成分（Ｃ）のアニオン界面活性剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の炭素数１２～２２のアルキル硫酸エステル又はその塩；ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等の炭素数１２～２２のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩；ジ－２－エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等の炭素数１２～２４のジアルキルスルホコハク酸又はその塩；Ｎ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンナトリウム等の炭素数１２～２２のＮ－アルキロイルメチルタウリン又はその塩；ジラウロイルグルタミン酸ナトリウム、Ｎ－ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、Ｎ－ステアロイル－Ｌ－グルタミン酸ナトリウム、Ｎ－ステアロイル－Ｌ－グルタミン酸アルギニン、Ｎ－ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、Ｎ－ミリストイル－Ｌ－グルタミン酸ナトリウム等のＮ－炭素数１２～２２のアシルグルタミン酸又はその塩などが挙げられる。これらのうち、泡質の点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩、アルキロイルメチルタウリン又はその塩が好ましい。

これらの塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属；カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属；アンモニウム；モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の有機アンモニウム；トリスヒドロキシメチルアミノメタン；Ｌ－アルギニン等の塩基性アミノ酸などが挙げられる。

成分（Ｃ）のアニオン界面活性剤は、１種又は２種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、炭酸ガスの溶解量、泡の比容積、成分（Ａ）エステル油の乳化安定性点から、原液中に０．０１質量％以上が好ましく、０．０２質量％以上がより好ましく、０．０５質量％以上がさらに好ましく、２質量％以下が好ましく、１．５質量％以下がより好ましく、１質量％以下がさらに好ましい。また、成分（Ｃ）の含有量は、原液中に０．０１～２質量％が好ましく、０．０２～１．５質量％がより好ましく、０．０５～１質量％がさらに好ましい。

成分（Ｄ）は、ＨＬＢ３～２０の非イオン界面活性剤である。
ここで、ＨＬＢ（親水性－親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉）は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン（Griffin）の式により求められるものである。
２種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のＨＬＢは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のＨＬＢは、各非イオン界面活性剤のＨＬＢ値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。

混合ＨＬＢ＝Σ（ＨＬＢｘ×Ｗｘ）／ΣＷｘ
ＨＬＢｘは、非イオン界面活性剤ＸのＨＬＢ値を示す。
Ｗｘは、ＨＬＢｘの値を有する非イオン界面活性剤Ｘの質量（ｇ）を示す。

成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤としては、（Ｄ１）ＨＬＢ１２～１８の非イオン界面活性剤から選ばれる１種以上を含むのが好ましい。
（Ｄ１）ＨＬＢ１２～１８の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロースエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、これらから選ばれる１種又は２種以上を用いることができる。
これらのうち、炭酸ガスの吐出時の泡立ち性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。

また、成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤としては、（Ｄ２）ＨＬＢ２～７の非イオン界面活性剤を含むことができる。（Ｄ２）ＨＬＢ２～７の非イオン界面活性剤としては、例えば、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン等の炭素数８～２２のソルビタン脂肪酸エステル；イソステアリルグリセリルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル；ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ（オキシエチレン・オキシプロピレン）・メチルポリシロキサン共重合体等のポリオキシアルキレン変性シリコーンなどが挙げられる。
（Ｄ１）ＨＬＢ１２～１８の非イオン界面活性剤と、（Ｄ２）ＨＬＢ２～７の非イオン界面活性剤を組合わせて用いることもできる。

成分（Ｄ）は、１種又は２種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、炭酸ガスの溶解量、泡の比容積、乳化安定性の点から、原液中に０．０５質量％以上が好ましく、０．１質量％以上がより好ましく、０．２質量％以上がさらに好ましく、また、５質量％以下が好ましく、３質量％以下がより好ましく、２質量％以下がさらに好ましい。また、成分（Ｄ）の含有量は、原液中に０．０５～５質量％が好ましく、０．１～３質量％がより好ましく、０．２～２質量％がさらに好ましい。

また、泡の比容積、きめ細かい泡を得る点から、成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤及び成分（Ｃ）のアニオン界面活性剤の質量割合（Ｄ）／（Ｃ）は、１以上が好ましく、１．５以上がより好ましく、２以上がさらに好ましい。また、１００以下が好ましく、５０以下がより好ましく、１５以下がさらに好ましい。また、成分（Ｄ）及び（Ｃ）の質量割合（Ｄ）／（Ｃ）は、１～１００が好ましく、１．５～５０がより好ましく、２～１５がさらに好ましい。

成分（Ｅ）の水溶性増粘剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば良く、例えば、カラギーナン、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー、（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルキチン、キトサン等が挙げられる。これらのうち、角層水分量を向上させ、吐出時の泡の急激な発生を抑制し、泡の比容積を高めるため、エステル油及びジグリセリンの乳化安定性の点から、アクリル酸系ポリマーが好ましく、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸／アクリル酸アルキルコポリマーがより好ましく、（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマーがより好ましい。
ここで、（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマーとは、Ｃ１０－３０アルキルアクリル酸とアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの低級アルキルエステルとの共重合体であって、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、ペムレンＴＲ－１、ペムレンＴＲ－２、カーボポールＥＴＤ２０２０、カーボポール１３４２、カーボポール１３８２（以上、Lubrizol Advanced Materials 社）等の市販品を用いることができる。

また、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマーなどの酸型の水溶性増粘剤は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を中和剤として用い、水溶性ないし水分散性の塩として用いるのが好ましい。

成分（Ｅ）は、１種又は２種以上を用いることができ、含有量は、保湿及びつや感、泡質、塗布のしやすさの点から、原液中に０．１質量％以上が好ましく、０．１５質量％以上がより好ましく、０．２質量％以上がさらに好ましく、また、１質量％以下が好ましく、０．８質量％以下がより好ましく、０．７質量％以下がさらに好ましい。また、成分（Ｅ）の含有量は、原液中に０．１～１質量％が好ましく、０．１５～０．８質量％がより好ましく、０．２～０．７質量％がさらに好ましい。

本発明で用いる成分（Ｆ）の水は、原液の溶媒として働き、他成分の残部をなす。成分（Ｆ）の水の含有量は、保湿及びつや感、泡質、原液の乳化安定性の点から、原液中に５５質量％以上が好ましく、６５質量％以上がより好ましく、７５質量％以上がさらに好ましく、また、９９質量％以下が好ましく、９５質量％以下がより好ましく、９０質量％以下がさらに好ましい。また、水の含有量は、原液中に５５～９９質量％が好ましく、６５～９５質量％がより好ましく、７５～９０質量％がさらに好ましい。

本発明のエアゾール化粧料において、原液は、更に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、成分（Ａ）以外の油剤、成分（Ｃ）及び（Ｄ）以外の界面活性剤、エタノール、防腐剤、酸化防止剤、色素、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、成分（Ｂ）以外の保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、美白剤、抗炎症剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。

本発明のエアゾール化粧料において、原液は、前記成分（Ａ）～（Ｆ）及びその他成分を混合することにより調製される。原液は、原液の乳化安定性、泡の吐出性の点から、２５℃における粘度が、１５００～２００００ｍＰａ・ｓであり、２０００～１００００ｍＰａ・ｓが好ましく、２２００～７０００ｍＰａ・ｓがより好ましい。
ここで、粘度は、ＢＭ粘度計（東機産業社製）を用いて、原液粘度４０００ｍＰａ・s未満に対しては、ローターＮｏ．３、原液粘度４０００ｍＰａ・s以上に対しては、ローターＮｏ．４、１２ｒｐｍ、１分で測定した値である。

また、炭酸ガスを含有するエアゾールは、アルカリ側では二酸化炭素としてではなく炭酸塩となってしまい、血行促進効果を奏さない。本発明において、炭酸ガスを含む噴射剤を充填する前の原液のｐＨは、炭酸ガスを高濃度溶存させる点から、２５℃において、ｐＨ４～７であるのが好ましく、ｐＨ４．５～６．８がより好ましい。
ここで、ｐＨは、ｐＨメーター（堀場製作所社製、Ｆ－５２）を用い、２５℃で測定した値である。

本発明のエアゾール化粧料は、前記のような原液と、（Ｇ）炭酸ガスを、耐圧容器に充填することにより製造することができる。その噴射の形態としては、泡状にして吐出するフォームタイプとするのが好ましい。
原液と炭酸ガスの質量割合は、原液に対する炭酸ガスの溶解性と泡発生の点から、好ましくは９４：６～９９．５：０．５、より好ましくは９５：５～９９：１、さらに好ましくは９６．５：３．５～９８．５：１．５である。

本発明のエアゾール化粧料は、成分（Ｇ）の炭酸ガス以外に、通常のエアゾール化粧料に用いられる噴射剤を含んでもよい。噴射剤としては、液化石油ガス、圧縮ガス等が挙げられる。炭酸ガス以外の噴射剤を含む場合の、炭酸ガスと噴射剤との合計量に対する炭酸ガスの含有量は、好ましくは９０質量％以上、より好ましくは９５質量％以上、さらに好ましくは９８質量％以上である。

本発明のエアゾール化粧料は、化粧料として特に制限なく適用することができるが、炭酸ガスが経皮吸収され、従来のものより高い血行促進する効果が得られることから、肌色（明るさ、くすみなどの）改善、保湿感の改善等のために用いられる皮膚化粧料として好適である。

本発明のエアゾール化粧料は、肌に塗布後、一定時間放置することにより、気泡を含んだ塗布剤が一種の塗膜を形成した状態になるため、血行を促進する効果を高めることができる。さらに、化粧料中の有効成分も合わせて、浸透させることができ、非常に有益と考えられる。
本発明のエアゾール化粧料は、皮膚へ塗布し、一定時間放置、肌になじませる、拭き取る、又は、洗い流すなど、使用場面に応じて使用することができる。

本発明のエアゾール化粧料は、通常の方法により製造することができ、例えば、以下の工程１～工程４により、製造することができる。
工程１：成分（Ｅ）、（Ｆ）及び塩基成分を混合し、均一にする。
（この工程１では、５０℃以上に加熱することが好ましい。）
工程２：工程１で得られた液に、成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）、必要に応じて、その他成分を加え、攪拌して均一にする。
工程３：工程２で得られた液を１５～３０℃に冷却する。
工程４：工程３で得られた液（原液ともいう）を耐圧容器に充填し、密封した後、成分（Ｇ）を加圧することにより充填する。

上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。

＜１＞次の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）、（Ｅ）及び（Ｆ）：
（Ａ）炭素数６～２０の脂肪酸と、炭素数３～５のアルコールからなるエステル油、
（Ｂ）ジグリセリン、
（Ｃ）アニオン界面活性剤、
（Ｄ）ＨＬＢ３～２０の非イオン界面活性剤、
（Ｅ）水溶性増粘剤、
（Ｆ）水
を含み、成分（Ｂ）の含有量が０．５～１５質量％であり、２５℃における粘度が１５００～２００００ｍＰａ・ｓである原液、並びに
（Ｇ）炭酸ガス
を含有するエアゾール化粧料。

＜２＞成分（Ａ）が、好ましくは、炭素数８～１６の脂肪酸と炭素数３～５のアルコールからなるモノエステル、炭素数８～１４の脂肪酸と炭素数３～５のアルコールからなるジエステル又はトリエステルであって、ジエステル、トリエステルがより好ましい前記＜１＞記載のエアゾール化粧料。
＜３＞成分（Ａ）の含有量が、好ましくは、原液中に０．５質量％以上であって、１質量％以上がより好ましく、２質量％以上がさらに好ましく、２０質量％以下が好ましく、１５質量％以下がより好ましく、１０質量％以下がさらに好ましい前記＜１＞又は＜２＞記載のエアゾール化粧料。

＜４＞成分（Ｂ）のジグリセリンの含有量が、好ましくは、原液中に１質量％以上であって、１．５質量％以上がより好ましく、２．５質量％以上がさらに好ましく、１０質量％以下が好ましく、８質量％以下がより好ましく、６質量％以下がさらに好ましい前記＜１＞～＜３＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜５＞さらに、成分（Ｂ）以外のポリオールを含むことができ、好ましくは、２価又は３価のアルコールを含有する前記＜１＞～＜４＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜６＞成分（Ｂ）のジグリセリンを含む全ポリオールの含有量が、好ましくは、原液中に１質量％以上であって、２質量％以上がより好ましく、２．５質量％以上がさらに好ましく、２０質量％以下が好ましく、１８質量％以下がより好ましく、１５質量％以下がさらに好ましい前記＜１＞～＜５＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。

＜７＞成分（Ｃ）のアニオン界面活性剤が、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩、アルキロイルメチルタウリン又はその塩である前記＜１＞～＜６＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜８＞成分（Ｃ）の含有量が、好ましくは、原液中に０．０１質量％以上であって、０．０２質量％以上がより好ましく、０．０５質量％以上がさらに好ましく、２質量％以下が好ましく、１．５質量％以下がより好ましく、１質量％以下がさらに好ましい前記＜１＞～＜７＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。

＜９＞成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤が、好ましくは、（Ｄ１）ＨＬＢ１２～１８の非イオン界面活性剤から選ばれる１種以上を含み、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい前記＜１＞～＜８＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜１０＞成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤が、好ましくは、（Ｄ２）ＨＬＢ２～７の非イオン界面活性剤を含み、炭素数８～２２のソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンがより好ましい前記＜１＞～＜９＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜１１＞成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤が、好ましくは、（Ｄ１）ＨＬＢ１２～１８の非イオン界面活性剤と、（Ｄ２）ＨＬＢ２～７の非イオン界面活性剤を含む前記＜１＞～＜１０＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。

＜１２＞成分（Ｄ）の含有量は、好ましくは、原液中に０．０５質量％以上であって、０．１質量％以上がより好ましく、０．２質量％以上がさらに好ましく、５質量％以下が好ましく、３質量％以下がより好ましく、２質量％以下がさらに好ましい前記＜１＞～＜１１＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜１３＞成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤及び成分（Ｃ）のアニオン界面活性剤の質量割合（Ｄ）／（Ｃ）が、好ましくは、１以上であって、１．５以上がより好ましく、２以上がさらに好ましく、１００以下が好ましく、５０以下がより好ましく、１５以下がさらに好ましい前記＜１＞～＜１２＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。

＜１４＞成分（Ｅ）の水溶性増粘剤が、好ましくは、アクリル酸系ポリマーであって、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸／アクリル酸アルキルコポリマーがより好ましく、（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマーがより好ましい前記＜１＞～＜１３＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜１５＞成分（Ｅ）の含有量が、好ましくは、原液中に０．１質量％以上であって、０．１５質量％以上がより好ましく、０．２質量％以上がさらに好ましく、１質量％以下が好ましく、０．８質量％以下がより好ましく、０．７質量％以下がさらに好ましい前記＜１＞～＜１４＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜１６＞成分（Ｆ）の水の含有量は、好ましくは、原液中に５５質量％以上であって、６５質量％以上がより好ましく、７５質量％以上がさらに好ましく、９９質量％以下が好ましく、９５質量％以下がより好ましく、９０質量％以下がさらに好ましい前記＜１＞～＜１５＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。

＜１７＞原液の２５℃における粘度が、好ましくは、２０００～１００００ｍＰａ・ｓであって、２２００～７０００ｍＰａ・ｓがより好ましい前記＜１＞～＜１６＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜１８＞炭酸ガスを含む噴射剤を充填する前の原液のｐＨが、好ましくは、２５℃において、ｐＨ４～７であって、ｐＨ４．５～６．８がより好ましい前記＜１＞～＜１７＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜１９＞原液と炭酸ガスの質量割合が、好ましくは９４：６～９９．５：０．５であって、９５：５～９９：１がより好ましく、９６．５：３．５～９８．５：１．５がさらに好ましい前記＜１＞～＜１８＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜２０＞肌色（明るさ、くすみなどの）改善、保湿感の改善等のために用いられる皮膚化粧料である前記＜１＞～＜１９＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜２１＞皮膚へ塗布し、一定時間放置、肌になじませる、拭き取る、又は、洗い流して使用する前記＜１＞～＜２０＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。

＜２２＞全ポリオール中のジグリセリンの含有比率（質量％）が、好ましくは、２０～１００質量％であって、２５～８０質量％がより好ましく、２５～４５質量％がさらに好ましい前記＜１＞～＜２１＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
＜２３＞以下の工程１～工程４により、製造することができる前記＜１＞～＜２２＞のいずれか１記載のエアゾール化粧料。
工程１：成分（Ｅ）、（Ｆ）及び塩基成分を混合し、均一にする。
（この工程１では、５０℃以上に加熱することが好ましい。）
工程２：工程１で得られた液に、成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）、必要に応じて、その他成分を加え、攪拌して均一にする。
工程３：工程２で得られた液を１５～３０℃に冷却する。
工程４：工程３で得られた液（原液ともいう）を耐圧容器に充填し、密封した後、成分（Ｇ）を加圧することにより充填する。

以下の実施例におけるエアゾール化粧料の製造方法及び評価方法は、以下のとおりである。

（製造方法）
工程１：成分（Ｅ）、（Ｆ）、及び塩基成分を混合し、温度６０～７０℃下で均一にする。
工程２：工程１で得られた液に、成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）、（Ｇ）、その他の成分を加え、撹拌して均一にする。
工程３：工程２で得られた液を１５～３０℃に冷却する。
工程４：工程３で得られた液（原液）を耐圧容器に充填し、密封した後、成分（Ｇ）を加圧することにより充填して、エアゾール化粧料を得た。

（評価方法）
（１）原液粘度：
原液を５０mLガラス容器に５０ｇ充填し、ＢＭ粘度計（東機産業社製）（ローターＮｏ.４、１２ｒｐｍ、１分）により測定した。

（２）原液ｐＨ：
原液のｐＨは、製造直後にｐＨメーター（堀場製作所社製、Ｆ－５２）を用い、２５℃で測定した。測定時、原液を希釈せず、直接測定した。

（３）炭酸ガス濃度：
炭酸ガス充填後、１２時間経過したエアゾール化粧料の缶内圧から、以下の手順に従い、各化粧料における炭酸ガス溶解度の算出を行った。
（a）各エアゾール化粧料の缶内圧をひずみゲージ式変換器を用いて測定した。
（b）ヘッドスペース容量(約６０mL、図１)とエアゾール化粧料の缶内圧から、ファンデルワールスの状態方程式を用いて、ヘッドスペース中の炭酸ガス重量を算出した。
（c）充填した炭酸ガス重量から、算出したヘッドスペース中の炭酸ガス重量を差し引き、化粧料中に溶解した炭酸ガス重量を算出した。
（d）さらに、ヘンリーの法則に従い、大気圧下(１atm)の値に換算して、化粧料の炭酸ガス濃度とした。

（４）角質水分量：
炭酸ガス充填後、１２時間が経過したエアゾール化粧料を皮膚に適用し、以下の手順に従い、角質水分量を評価した。
（a）エアゾール化粧料を５０mLサンプル瓶に吐出して１０分間静置した製剤を、１mLシリンジを用いて、図２に示す前腕内側部の被験部位（直径３cmの円）の中央部に０．０５mLずつ適用した。
（b）吐出した試料を、円内全体に指先で肌になじませた。
（c）肌に馴染ませてから１５分後に、コルネオメーター（Corneometer CM825 Courage+Khazaka（ドイツ）社製）を用いて、角層水分量（arbitrary unit; au）を測定し、未塗布時をコントロールとして差分（Δ値）とした。

（５）皮膚光沢値とつや：
（４）と同様の方法で、エアゾール化粧料を被験部位に適用する。肌になじませてから５分後にグロッシーメーター（Glossymeter GL200 Courage+Khazaka（ドイツ）社製）を用いて皮膚光沢値（arbitrary unit; au）を測定し、未塗布時をコントロールとして差分（Δ値）を以下の基準でつや評価とした。
×：２．０未満。
△：２．０以上２．５未満。
〇：２．５以上２．７５未満。
◎：２．７５以上。

（６）泡の比容積：
１０mLのシャーレに泡を吐出して、すりきり一杯の重量を測定し、泡の比容積（cm³／ｇ）を算出した。

実施例１～１０及び比較例１～５
表１に示す組成のエアゾール化粧料を製造し、２５℃における原液粘度及び原液ｐＨを測定するとともに、角層水分量、皮膚光沢値とつや感を評価した。結果を表１に併せて示す。

表１の結果より、本発明品はいずれも、塗布後の肌はつや（光沢感）があり、保湿効果も良好である。成分（Ａ）のエステル油を含まない比較例１～３、成分（Ｂ）のジグリセリンを含まない比較例４～５はつや（光沢感）が劣った。

実施例２、１１～１２及び比較例６～７
表２に示す組成のエアゾール化粧料を製造し、２５℃における原液粘度及び原液ｐＨを測定するとともに、泡の比容積を測定した。結果を表２に併せて示す。

表２の結果より、成分（Ｃ）のアニオン界面活性剤を含まない比較例６、成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤を含まない比較例７は、十分な泡が得られなかった。

実施例１～１０及び比較例１～２のエアゾール化粧料について、炭酸ガス濃度、泡の比容積を測定した。結果を表３に示す。
本発明品はいずれも、泡質が良好で、炭酸ガスを高濃度溶存させているのに対して、比較例１～２では炭酸ガスの濃度が十分ではなかった。

処方例
実施例と同様にして、下記処方の原液を調製した。この原液と炭酸ガスを、９７．６：２．４の比率で耐圧容器に充填して、エアゾール化粧料を得た。
得られたエアゾール化粧料は、泡質が良好で、炭酸ガスを高濃度溶存させていて、塗布後の肌はつや（光沢感）があり、保湿効果に優れたものである。

Claims

次の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）、（Ｅ）及び（Ｆ）：
（Ａ）炭素数８～１４の脂肪酸と、炭素数３～５のアルコールからなるジエステル又はトリエステル０．５～２０質量％、
（Ｂ）ジグリセリン０．５～１５質量％、
（Ｃ）アニオン界面活性剤０．０１～２質量％、
（Ｄ）ＨＬＢ３～２０の非イオン界面活性剤０．０５～５質量％、
（Ｅ）水溶性増粘剤０．１～１質量％、
（Ｆ）水
を含み、２５℃における粘度が１５００～２００００ｍＰａ・ｓである原液、並びに
（Ｇ）炭酸ガス
を含有するエアゾール化粧料。
成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤が、（Ｄ１）ＨＬＢ１２－１８の非イオン界面活性剤を含む請求項１記載のエアゾール化粧料。
成分（Ｄ）の非イオン界面活性剤及び成分（Ｃ）のアニオン界面活性剤の質量割合（Ｄ）／（Ｃ）が、１以上１００以下である請求項１又は２記載のエアゾール化粧料。
全ポリオール中のジグリセリンの含有比率（質量％）が、２０～１００質量％である請求項１～３のいずれかに記載のエアゾール化粧料。
成分（Ｆ）の含有量が、原液中に５５質量％以上９９質量％以下である請求項１～４のいずれかに記載のエアゾール化粧料。