JP7129055B2 - 硬化性組成物およびその硬化物ならびに硬化物の製造方法 - Google Patents

硬化性組成物およびその硬化物ならびに硬化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化塗膜、フォトレジストおよび印刷製版材などに利用できる硬化性組成物およびその硬化物ならびにこの硬化物の製造方法に関する。
近年、有機材料と無機材料とを分子レベルで複合化した有機無機ハイブリッド材料は、有機材料に由来する特性(例えば、軽量性、易加工性、柔軟性など)と、無機材料に由来する特性(耐熱性、耐候性、高弾性率など)とを両立し得る材料として注目されている。
特開2016-20472号公報(特許文献1)には、光カチオン重合性化合物(A)、ポリシラン(B)および可視光線を吸収して酸を発生する光酸発生剤(C)を含む光重合性樹脂組成物が開示されており、この組成物は、ポリシランの分解を抑制するために可視光を照射しても光感度に優れ、硬化物における硬度を向上できるため、光硬化塗膜、フォトレジスト、印刷製版材などに利用できることが記載されている。この文献の実施例では、9,9-ビス[3,4-ジグリシジルオキシ-フェニル]フルオレンと、ポリメチルフェニルシランまたはハイパーブランチドフェニルシランオリゴマーと、所定の光酸発生剤とを含む光重合性樹脂組成物を調製している。
特開2016-20472号公報
特許文献1に開示の光カチオン重合性化合物(A)は、カチオン重合により合成するため、水分の管理など、重合条件の調整が煩雑になりがちである。しかも、低温で硬化速度を向上させるのが困難であり、硬化物に酸が残留し易い。
そこで、本発明の目的は、可視光の照射であっても、ラジカル重合で屈折率の高い硬化物が得られる硬化性組成物およびその硬化物ならびにこの硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、不溶化率が高く、適度なアッベ数を有する硬化物が得られる硬化性組成物およびその硬化物ならびにこの硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高温での加熱が不要であり、かつ硬化物の透明性、耐熱性および撥水性も向上できる硬化性組成物およびその硬化物ならびにこの硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリシランとフルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物とチオール化合物とをラジカル重合開始剤の存在下で可視光線を照射して重合させることにより、可視光の照射であっても、ラジカル重合で屈折率の高い硬化物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、ポリシラン(A)、フルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)、チオール化合物(C)およびラジカル重合開始剤(D)を含む。前記ラジカル重合性化合物(B)は、下記式(1)で表されるラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。
Figure 0007129055000001
(式中、環Zはアレーン環、Aはアルキレン基、Xはアリル基または(メタ)アクリロイル基、RおよびRは置換基、nは0または1以上の数、mは0~4の数、kは0または1以上の数、sは0または1である)。
前記式(1)において、環Zがベンゼン環であり、nが0であり、かつsが1であってもよい。前記チオール化合物(C)は、分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物を含んでいてもよい。前記チオール化合物(C)は、フルオレン骨格を有するジチオール化合物、例えば、下記式(2)で表されるジチオール化合物を含んでいてもよい。
Figure 0007129055000002
(式中、環Zはアレーン環、AおよびAはアルキレン基、RおよびRは置換基、pは0または1以上の数、qは0~4の数、rは0または1以上の数)。
前記ポリシラン(A)は、数平均分子量100~50000のポリC1-3アルキルC6-10アリールシランであってもよい。前記ラジカル重合性化合物(B)の割合は、ポリシラン(A)100重量部に対して100重量部以上であってもよい。前記チオール化合物(C)の割合は、ポリシラン(A)およびラジカル重合性化合物(B)の合計100重量部に対して10重量部以上であってもよい。
なお、本願明細書および特許請求の範囲においては、置換基の炭素原子の数をC、C、C10などで示すことがある。すなわち、例えば、炭素数が1のアルキル基は「Cアルキル」で示し、炭素数が6~10のアリール基は「C6-10アリール」で示す。
本発明には、前記硬化性組成物に可視光線を照射して光硬化物を形成する光硬化工程を含む硬化物の製造方法も含まれる。前記光硬化工程において、80~150℃で加熱しながら前記硬化性組成物に可視光線を照射してもよい。また、本発明には、前記製造方法で得られた硬化物も含まれる。
本発明では、ポリシランとフルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物とチオール化合物とをラジカル重合開始剤の存在下で可視光線を照射して重合させると、可視光の照射であっても、ラジカル重合で屈折率の高い硬化物が得られる。特に、分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物を用いると、硬化物の不溶化率を向上できる。また、得られた硬化物は、適度なアッベ数を有している。さらに、高温での加熱が不要であり、かつ硬化物の透明性、耐熱性および撥水性も向上できる。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、ポリシラン(A)、フルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)、チオール化合物(C)およびラジカル重合開始剤(D)を含む。この硬化性組成物は、可視光線の照射によりラジカル重合して屈折率の高い硬化物を形成できる。可視光線の照射でラジカル重合が進行する詳細なメカニズムは不明であるが、ラジカル重合開始剤(D)の存在下で、可視光線を照射されてエン/チオール反応したラジカル重合性化合物(B)とチオール化合物(C)との重合体が、可視光線の照射により***したポリシラン(A)と反応してネットワークを形成して硬化物が形成されると推定できる。
(A)ポリシラン
本発明では、硬化性組成物がポリシラン(A)を含むため、硬化物を高屈折率化でき、耐熱性および撥水性も向上できる。ポリシラン(A)としては、Si-Si結合を有する直鎖状、環状、分岐鎖状、または網目状の化合物であれば特に限定されないが、通常、下記式(3)および(4)で表される構造単位のうち少なくとも1つの構造単位を有するポリシランで構成されている場合が多い。
Figure 0007129055000003
(式中、R~Rは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシル基、有機基またはシリル基を示す)。
前記式(3)および(4)のR~Rにおいて、有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基と、これらの炭化水素基とのエーテル結合を形成する、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などの基が挙げられる。通常、前記有機基は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基である。また、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびシリル基は、通常、前記有機基が分子の末端である場合に出現する。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1-14アルキル基が挙げられ、なかでも好ましくはC1-10アルキル基が挙げられ、さらに好ましくはC1-6アルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシなどのC1-14アルコキシ基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルなどのC2-14アルケニル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどのC5-14シクロアルキル基が挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどのC5-14シクロアルキルオキシ基が挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどのC5-14シクロアルケニル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、メチルフェニル(トリル)、ジメチルフェニル(キシリル)、ナフチルなどのC6-20アリール基が挙げられ、なかでも好ましくはC6-15アリール基、さらに好ましくはC6-12アリール基が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシなどのC6-20アリールオキシ基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなどのC6-20アリール-C1-4アルキル基が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロピルオキシなどのC6-20アリール-C1-4アルキルオキシ基が挙げられる。
シリル基としては、例えば、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1-10シラニル基が挙げられる。Si1-10シラニル基は、好ましくはSi1-6シラニル基である。
また、R~Rが、前記有機基(アルキル基、アリール基など)またはシリル基である場合には、その水素原子の少なくとも1つが、置換基(または官能基)により置換されていてもよい。このような置換基(または官能基)は、例えば、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基などが挙げられ、このうちアルキル基、アリール基及びアルコキシ基の具体例としては、前記と同様の基が挙げられる。
置換基R~Rは、上述した基の中でも特に、アルキル基やアリール基が好ましい。とりわけ、アルキル基は、メチル基などのC1-4アルキル基であるのが特に好ましく、アリール基は、フェニル基などのC6-20アリール基であるのが特に好ましい。
ポリシランが、直鎖状、分岐鎖状または網目状の非環状構造である場合において、末端基(すなわち、分子の末端に置換する基)としては、通常、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子など)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、シリル基などが挙げられる。これらのうち、ヒドロキシル基、メチル基、フェニル基である場合が多く、なかでも、光硬化性を向上できる点から、フェニル基、メチル基が好ましく、末端基はトリメチルシリル基であってもよい。
具体的なポリシランとしては、例えば、前記式(3)で表される構造単位を有する直鎖状または環状ポリシラン、前記式(4)で表される構造単位を有するポリシラン(分岐鎖状または網目状ポリシラン)、前記式(3)および(4)で表される構造単位を組み合わせて有するポリシラン(分岐鎖状または網目状ポリシラン)などが挙げられる。これらのポリシランにおいて、前記式(3)および(4)で表される構造単位は、それぞれ、単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。なお、分岐鎖状または網目状ポリシランは、下記式(5)で表される構造単位をさらに含んでいてもよい。
Figure 0007129055000004
代表的なポリシランとしては、鎖状または環状ポリシラン、例えば、ポリジアルキルシラン、ポリアルキルアリールシラン、ポリジアリールシラン、ジアルキルシラン-アルキルアリールシラン共重合体が挙げられる。ポリジアルキルシランの好適態様としては、例えば、ポリジメチルシラン、ポリメチルプロピルシラン、ポリメチルブチルシラン、ポリメチルペンチルシラン、ポリジブチルシラン、ポリジヘキシルシラン、ジメチルシラン-メチルへキシルシラン共重合体が挙げられる。ポリアルキルアリールシランの好適態様としては、例えば、ポリメチルフェニルシラン、メチルフェニルシラン-フェニルヘキシルシラン共重合体などが挙げられる。ポリジアリールシランの好適態様としては、例えば、ポリジフェニルシランが挙げられる。ジアルキルシラン-アルキルアリールシラン共重合体の好適態様としては、例えば、ジメチルシラン-メチルフェニルシラン共重合体、ジメチルシラン-フェニルヘキシルシラン共重合体、ジメチルシラン-メチルナフチルシラン共重合体が挙げられる。これらのポリシランは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
ポリシランのより具体的な好適態様としては、ラジカル重合を阻害せず、かつ、硬化物の安定性を向上できる点から、構造単位(3)を有するポリシランであるのが好ましく、鎖状または環状ポリシランであるのが特に好ましい。この構造単位(3)については、Rがアリール基であるのが好ましく、C6-20アリール基であるのが特に好ましい。Rはアリール基またはアルキル基であるのが好ましく、C6-20アリール基またはC1-6アルキル基であるのが特に好ましい。このようなポリシランとしては、より具体的には、ポリC1-6アルキルC6-20アリールシラン(特に好ましくは、ポリC1-3アルキルC6-10アリールシラン)、ポリジC6-20アリールシラン(特に好ましくは、ポリジC6-10アリールシラン)が挙げられる。さらに、ラジカル重合性化合物(B)との相溶性などの点から、鎖状ポリアルキルアリールシランや環状ジアリールシランが好ましく、とりわけ鎖状ポリアルキルアリールシランが好ましい。
本発明に用いるポリシランとしては、ポリシランの末端のケイ素原子に少なくとも1つの水酸基が直接結合したポリシラン、すなわち、末端に少なくとも1つのシラノール基(ヒドロキシル基)を有するポリシランであってもよい。ヒドロキシル基の含有割合としては、これに限定されないが、1つのケイ素原子当たり、平均0.005~2.5個が好ましく、平均0.01~2.3個がより好ましく、特に好ましくは平均0.02~2個である。
ポリシラン(A)の平均重合度は、ケイ素原子換算で(すなわち、一分子あたりのケイ素原子の平均数として)、例えば2~200、好ましくは5~150、さらに好ましくは10~130であり、特に好ましくは50~100である。ポリシラン(A)の数平均分子量は、GPC法による測定値(ポリスチレン換算)として、好ましくは100~50000であり、さらに好ましい値としては、以下段階的に500~40000、1000~30000、5000~20000であって、特に好ましくは、10000~15000である。重合度および分子量が小さすぎると、硬化物の高屈折率化や、耐熱性および撥水性が低下する虞があり、重合度および分子量が大きすぎると、硬化物の機械的特性が低下する虞がある。
ポリシラン(A)は、室温(例えば、15~25℃程度)で、固体状、液体状のいずれであってもよく、例えば、取り扱い性などの点から、固体状であってもよく、組成物中に均一に分散し易い点から、液体状のポリシランであってもよい。
本発明の硬化性組成物において、ポリシラン(A)の含有割合は、例えばラジカル重合性化合物(B)に対する含有割合の比率で調整することが好ましい。具体的には、ポリシラン(A)に対するラジカル重合性化合物(B)の含有量の好適範囲として後述する。
(B)フルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物
フルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)は、フルオレン骨格を有しており、ラジカル重合可能であれば、特に限定されないが、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物が好ましく、前記式(1)で表されるラジカル重合性化合物が特に好ましい。
前記式(1)において、環Zで表されるアレーン環としては、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。
環集合アレーン環としては、例えば、ビアレーン環、テルアレーン環が挙げられる。ビアレーン環の好適態様としては、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1-フェニルナフタレン環、2-フェニルナフタレン環など)などのビC6-12アレーン環が挙げられる。テルアレーン環の好適態様としては、例えば、テルフェニレン環などのテルC6-12アレーン環が挙げられる。なかでも好ましい環集合アレーン環は、ビC6-10アレーン環であって、特に好ましくは、ビフェニル環である。
縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン、縮合三環式アレーン、縮合四環式アレーンなどが挙げられる。縮合二環式アレーンの好適態様としては、例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C10-16アレーン環が挙げられる。縮合三環式アレーンの好適態様としては、例えば、アントラセン、フェナントレンなどが挙げられる。縮合四環式アレーン環の好適態様としては、例えばピレンが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ナフタレン環が好ましい。
2つの環Zは、同一の環であってもよく、異なる環であってもよいが、通常、同一の環である。これらのアレーン環のうち、ベンゼン環などの単環式アレーン環、ビフェニル環などのビアレーン環、ナフタレン環などの縮合二環式アレーン環などが汎用され、ベンゼン環が好ましい。
Xはアリル基または(メタ)アクリロイル基であってもよく、好ましいXは(メタ)アクリロイル基である。
オキシアルキレン基を構成する基Aのアルキレン基としては、例えば、エチレン、プロピレン、トリメチレン、1,2-ブタンジイル、テトラメチレンなどのC2-6アルキレン基が挙げられる。両側の基Aは、それぞれ同一のアルキレン基であってもよく、異なるアルキレン基であってもよい。また、nが2以上のポリオキシアルキレン基であるとき、ポリオキシアルキレン基を構成するアルキレン基は異なるアルキレン基であってもよく、通常、同一のアルキレン基であってもよい。基Aとしては、光学特性の点から、C2-4アルキレン基が好ましく、エチレンやプロピレンなどのC2-3アルキレン基が特に好ましくはエチレン基である。
オキシアルキレン基AOの繰り返し数(付加モル数)であるn(各基AOの繰り返し数)は0または1以上の数であればよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0~10、0~5、0~3、0~2、0または1であり、0が最も好ましい。また、後述するsが0の場合、nは1が最も好ましい。繰り返し数が多すぎると、硬化物の屈折率が低下する虞がある。
2-ヒドロキシオキシプロピレン基の有無を示すsは、0であってもよく、1であってもよいが、1が好ましい。s=1の場合、分子中にヒドロキシル基が存在することとなり、このヒドロキシル基によって硬化性樹脂組成物を硬化させたときの基板への密着性を高めることができるため、好ましい。また、ヒドロキシル基を有することで、硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率が高くなる傾向があり、好ましい。
前記式(1)の化合物においては、オキシアルキレン基AOの繰り返し数nが0であり、かつ2-ヒドロキシオキシプロピレン基の有無を示すsが1であるのが特に好ましい。
前記式(1)において、基Xを含むラジカル重合性基の置換位置は、特に限定されず、環Zがベンゼン環である場合、フルオレンの9位に置換したベンゼン環の2~6位のいずれであってもよいが、4位が好ましい。また、環Zがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5~8位である場合が多く、例えば、フルオレンの9位に対して、1,5位、2,6位などの関係(特に2,6位の関係)である場合が多い。
置換基Rとしては、例えば、アルキル基、アリール基などの炭化水素基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子が挙げられる。アルキル基の好適態様としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基が挙げられる。アリール基の好適態様としては、例えば、フェニル基などのC6-10アリール基が挙げられる。
これらの置換基Rは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましく、メチル基、エチル基などのC1-2アルキル基が特に好ましい。
置換基Rの置換数mは、それぞれ0~4の整数から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、0~3、0~2、0~1であり、0が最も好ましい。なお、フルオレン骨格を形成する2つのベンゼン環において、それぞれの置換数mは、互いに同一または異なっていてもよく、それぞれのRの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、mが2以上である場合、同一のベンゼン環に置換する2以上のRの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、Rの置換位置は特に制限されないが、好ましくは、例えば、フルオレン環の2位乃至7位であり、さらに好ましくは、2位、3位および7位である。
置換基Rとしては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基;例えば、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基、ジアルキルカルボニルアミノ基などが挙げられる。
アルキル基の好適態様としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1-6アルキル基が挙げられる。シクロアルキル基の好適態様としては、例えば、シクロへキシル基などのC5-8シクロアルキル基が挙げられる。アリール基の好適態様としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などのC6-10アリール基が挙げられる。アラルキル基の好適態様としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6-10アリール-C1-4アルキル基が挙げられる。
アルコキシ基の好適態様としては、例えば、メトキシ基などのC1-6アルコキシ基が挙げられる。シクロアルコキシ基の好適態様としては、例えば、シクロヘキシルオキシ基などのC5-10シクロアルキルオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基の好適態様としては、例えば、フェノキシ基などのC6-10アリールオキシ基が挙げられる。アラルキルオキシ基の好適態様としては、例えば、ベンジルオキシ基などのC6-10アリール-C1-4アルキル基が挙げられる。アルキルチオ基の好適態様としては、例えば、メチルチオ基などのC1-6アルキルチオ基が挙げられる。アシル基の好適態様としては、例えば、アセチル基などのC1-6アシル基が挙げられる。ハロゲン原子の好適態様としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。ジアルキルアミノ基の好適態様としては、例えば、ジメチルアミノ基などのジC1-4アルキルアミノ基が挙げられる。ジアルキルカルボニルアミノ基の好適態様としては、例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1-4アルキル-カルボニルアミノ基が挙げられる。
これらの置換基Rは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、C1-6アルキル基、C5-8シクロアルキル基、C1-4アルコキシ基が好ましく、メチル基などのC1-4アルキル基が特に好ましく、置換基を有さない(後述する置換数kが0である)のが最も好ましい。
置換基Rの置換数kは、環Zの種類に応じて適宜選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、0~8、0~4、0~2、0~1である。kが1である場合、環Zはベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環であり、かつRはメチル基であってもよい。特に、環Zがベンゼン環の場合、置換基Rの置換数kは、それぞれ例えば0~4の整数から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、0~3、0~2、0~1であってもよく、0が最も好ましい。なお、異なるアレーン環における置換数kは、互いに同一または異なっていてもよい。また、置換数kが2以上である場合、同一のアレーン環に置換する2以上のRの種類は、同一または異なっていてもよい。また、Rの置換位置は特に制限されず、アレーン環と、エーテル結合(-O-)およびフルオレン環の9位との結合位置以外の位置に置換していればよい。
前記式(1)で表されるラジカル重合性化合物のうち、代表的な化合物としては、例えば、9,9-ビス[(メタ)アクリロイルオキシ-(ポリ)エトキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス[(メタ)アクリロイルオキシ-(ポリ)エトキシナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス[(メタ)アクリロイルオキシ-(ポリ)エトキシアリール]フルオレン類;9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)アリール]フルオレン類;9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)(ポリ)エトキシフェニル]フルオレン、9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)(ポリ)エトキシナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)(ポリ)エトキシアリール]フルオレン類などが挙げられる。これらのうち、9,9-ビス[(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)アリール]フルオレン類が好ましく、9,9-ビス[(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物において、ラジカル重合性化合物(B)の割合は、ポリシラン(A)100重量部に対して50重量部以上であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、100重量部以上、120重量部以上、130重量部以上、140重量部以上である。また、ラジカル重合性化合物(B)の割合は、ポリシラン(A)100重量部に対して50~1000重量部であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、100~500重量部、120~300重量部、130~200重量部、140~180重量部、150~170重量部である。ポリシラン(A)に対するラジカル重合性化合物(B)の割合が少なすぎると、硬化物の不溶化率が低下する虞がある。
(C)チオール化合物
チオール化合物(C)は、前記ラジカル重合性化合物(B)とエン/チオール反応するためのチオール基を有していればよいが、重合性が高い点から、分子内に2以上のチオール基を有するポリチオール化合物が好ましい。
ポリチオール化合物は、ネットワークを形成し易く、硬化物の不溶化率を向上できる点から、分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物を含むのが特に好ましい。
分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物において、分子内のチオール基の数としては、例えば3~10程度の範囲から選択でき、諸特性のバランスに優れる点から、好ましい範囲としては、以下段階的に、3~8、3~6、4~5であり、4が最も好ましい。
このようなポリチオール化合物としては、例えば、グリセリントリ(3-メルカプトブチレート)などのグリセリントリ(メルカプトC2-6カルボン酸エステル);トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトブチレート)などのトリメチロールプロパントリ(メルカプトC2-6カルボン酸エステル);トリメチロールエタントリ(3-メルカプトブチレート)などのトリメチロールエタントリ(メルカプトC2-6カルボン酸エステル);ペンタエリスリトールトリ(3-メルカプトブチレート)などのペンタエリスリトールトリ(メルカプトC2-6カルボン酸エステル);ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-メルカプトブチレート)などのジトリメチロールプロパンテトラキス(メルカプトC2-6カルボン酸エステル);ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトイソブチレート)などのペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトC2-6カルボン酸エステル);ジペンタエリスリトールペンタ(3-メルカプトブチレート)などのジペンタエリスリトールペンタ(メルカプトC2-6カルボン酸エステル);ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトブチレート)などのジペンタエリスリトールヘキサ(メルカプトC2-6カルボン酸エステル)などが挙げられる。
これらのポリチオール化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)などのペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトC2-6カルボン酸エステル)が好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトC3-5カルボン酸エステル)が特に好ましい。
ポリチオール化合物は、硬化物が高い屈折率を要求される用途に利用される場合、フルオレン骨格を有するポリオール化合物(例えば、フルオレン骨格を有するジチオール化合物)が好ましく、例えば、前記式(2)で表されるジチオール化合物であってもよい。
前記式(2)において、環Zで表されるアレーン環としては、例えば、前記式(1)のアレーン環として例示されたアレーン環を例示できる。前記アレーン環のうち、ベンゼン環などの単環式アレーン環、ビフェニル環などのビアレーン環、ナフタレン環などの縮合二環式アレーン環などが汎用され、諸特性のバランスに優れる点から、ベンゼン環が特に好ましい。
アルキレン基Aは、好ましい態様も含めて、前記式(1)のアルキレン基Aと同様である。オキシアルキレン基AOの繰り返し数(付加モル数)であるp(各基AOの繰り返し数)は0または1以上の数が好ましく、より好ましい範囲としては、以下段階的に、0~10、0~5、0~3、0~2、0または1であり、1が最も好ましい。AOの繰り返し数が多すぎると、硬化物の屈折率が低下する虞がある。
アルキレン基Aとしては、例えば、メチレン、エチレン、エチリデン、トリメチレン、プロピレン、イソプロピリデン、テトラメチレン基、1,2-ブタンジイル、1,3-ブタンジイル、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルキレン基などが挙げられる。両側の基Aは、それぞれ同一のアルキレン基であってもよく、異なるアルキレン基であってもよい。これらのうち、光学特性などの点から、メチレン、エチリデン、プロピレン、イソプロピリデンなどの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキレン基が好ましく、プロピレンなどのC2-3アルキレン基が特に好ましい。プロピレン基は、2-メチルエタンジイル基(チオール基が結合した炭素原子にメチル基を有するプロピレン基)であってもよい。
置換基Rは、その好ましい態様も含めて、前記式(1)の置換基Rとして例示したものと同様であり、置換基Rの置換数qは、その好ましい態様も含めて、前記式(1)の置換数mとして例示したものと同様である。
置換基Rは、その好ましい態様も含めて、前記式(1)の置換基Rとして例示したものと同様であり、置換基Rの置換数rは、その好ましい態様も含めて、前記式(1)の置換数kとして例示したものと同様である。
前記式(2)で表される化合物としては、例えば、9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ-2,1-エタンジイル)2-メルカプトアセテート(または9,9-ビス[4-(2-メルカプトアセトキシエトキシ)フェニル]フルオレン)、9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ-2,1-エタンジイル)3-メルカプトプロピオネート(BPEFMP)、9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ-2,1-エタンジイル)2-メルカプトプロピオネート、9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ-2,1-エタンジイル)3-メルカプトブチレート(BPEFMB)、9H-フルオレン-9-イリデンビス(6,2-ナフチレンオキシ-2,1-エタンジイル)3-メルカプトブチレート(BNEFMB)などの9H-フルオレン-9-イリデンビス(アリーレンオキシ-C2-4アルカンジイル)メルカプトC2-6アシレートなどが挙げられる。これらのうち、BPEFMBなどの9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレン-2,1-エタンジイル)メルカプトC3-5アシレートが好ましい。
これらのチオール化合物は、用途に応じて適宜選択して使用でき、例えば、分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物、フルオレン骨格を有するポリオール化合物(例えば、前記式(2)で表される化合物)をそれぞれ単独で使用してもよく、両者を組み合わせてもよいが、硬化物の不溶化率を向上でき、光学特性と機械的特性とのバランスに優れる点から、分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物を含むのが好ましい。分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物は、チオール化合物全体に対して50重量%以上であればよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、60~100重量%、80~100重量%、90~100重量%であり、100重量%が最も好ましい。
本発明の硬化性組成物において、チオール化合物(C)の割合は、ポリシラン(A)およびラジカル重合性化合物(B)の合計100重量部に対して1重量部以上であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、5重量部以上、10重量部以上、11重量部以上、12重量部以上、12.5重量部以上である。また、チオール化合物(C)の割合は、ポリシラン(A)およびラジカル重合性化合物(B)の合計100重量部に対して1~100重量部)であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、5~80重量部、10~50重量部、11~40重量部、12~30重量部、12.5~20重量部、13~15重量部である。ポリシラン(A)およびラジカル重合性化合物(B)の合計量に対するチオール化合物(C)の割合が少なすぎると、硬化物の屈折率が低下する虞がある。
(D)ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤(D)としては、慣用の光ラジカル重合開始剤、例えば、ケトン系化合物(アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンジル系化合物、アントラキノン系化合物、チオキサントン系化合物、モルフォリン系化合物など)、ホスフィン系化合物、スルフィド系化合物(ジブチルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルスルフィド、デシルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなど)などが例示できる。これらの光ラジカル重合開始剤のうち、ホスフィン系化合物が好ましい。
ホスフィン系化合物としては、例えば、フェニル-ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(BAPO)、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイル-ホスフィンオキシド(MAPO)、フェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイル-エトキシ-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-メチル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-エチル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-n-ブチル-ホスフィンオキシドなどが挙げられる。これらのホスフィン系化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらのホスフィン系化合物のうち、アシルホスフィンオキシド系重合開始剤が好ましく、重合性を向上できる点から、ビスアシルホスフィンオキシド系重合開始剤がさらに好ましく、BAPOなどのフェニル-ビス(トリC1-3アルキルベンゾイル)-ホスフィンオキシドが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物において、ラジカル重合開始剤(D)の含有割合の好適範囲は、例えばラジカル重合性化合物(B)100重量部に対する割合として規定することができる。ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対するラジカル重合開始剤(D)の含有割合は、例えば0.01~10重量部であるのが好ましく、以下段階的に、0.05~5重量部、0.1~3重量部、0.3~2重量部であり、特に好ましくは0.5~1.5重量部である。
(E)他のラジカル重合性化合物
他のラジカル重合性化合物(E)としては、フルオレン骨格を有さない慣用のラジカル重合性化合物を利用でき、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有していればよいが、重合性の点から、多官能エチレン性不飽和化合物が好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物としては、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートなどのアリル基を有する化合物も使用できるが、複数の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート類を使用する場合が多い。多官能(メタ)アクリレート類としては、ジ(メタ)アクリレート類[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのC2-10アルカンジオールジ(メタ)アクリレート類;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの橋架け環式(メタ)アクリレート類など]、3以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート類[例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンなどのアルカンポリオールのC2-4アルキレンオキサイド付加体のトリ(メタ)アクリレート類;トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどのトリアジン環を有するトリ(メタ)アクリレート類など]が例示できる。
多官能エチレン性不飽和化合物は、ビスアリール骨格を有する化合物であってもよい。このような化合物としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、F、Sなどのビスフェノール類)またはそのC2-4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート類[例えば、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなど]などが挙げられる。
これらのうち、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのなどの3以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート類が汎用される。
他のラジカル重合性化合物(E)の割合は、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して100重量部以下であればよい。より好ましくは、以下段階的に、50重量部以下、30重量部以下、20重量部以下、10重量部以下、5重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。他のラジカル重合性化合物(E)は、含まないことが最も好ましい。また、他のラジカル重合性化合物(E)の割合が多すぎると、硬化物の屈折率が低下する虞がある。
他のラジカル重合性化合物(E)は、硬化物の不溶化率を向上できるため、屈折率の高いラジカル重合性化合物(B)である前記式(1)において環Zがナフタレン環であるラジカル重合性化合物と組み合わせるのが好ましい。両化合物を組み合わせる場合、他のラジカル重合性化合物(E)の割合は、環Zがナフタレン環であるラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して1~100重量部程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、3~80重量部、5~60重量部、10~50重量部、20~40重量部であり、25~35重量部が最も好ましい。
(F)他の添加剤
本発明の硬化性組成物は、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、慣用の添加剤、例えば、ラジカル重合開始剤と共に使用される光増感剤[例えば、ジアルキルアミノ安息香酸またはそのエステル、アクリジンなど第三級アミン類;3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリンなどのクマリン類;2-(2-(4-ジメチルアミノフェニル)エテニル)キノリンなどのキノリン類;ベンゾキノン、アントラキノンなどキノン類;1-ニトロピレンなどピレン類;アセナフテンなどの芳香族炭化水素類など]着色剤(染顔料)、増粘剤、安定剤(老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤など)、消泡剤、レベリング剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、滑剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これら他の添加剤の割合は、添加剤の種類に応じて適宜選択できるが、例えば、ラジカル重合性化合物(B)100重量部に対して100重量部以下であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0.1~50重量部、0.3~30重量部、0.5~20重量部である。
本発明の硬化性組成物は、取り扱い性や塗工性を向上できる点から、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなど)、アルコール類(エタノール、プロパノールなど)、エーテル類[ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)など]、ケトン類[エチルメチルケトン(2-ブタノン)、シクロヘキサノンなど]、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールなど)、セロソルブ類[メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル(ジメトキシエタン)、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど]、カルビトール類[カルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなど]、セロソルブアセテート類(プロピレングリコールメチルアセテートなど)などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、エーテル類、ケトン類、セロソルブ類、カルビトール類、セロソルブアセテート類などが好ましい。
溶媒は、塗布に適した塗布液粘度が得られるように適量使用してもよい。光重合性樹脂組成物は、これらの溶媒中1~60重量%の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、5~50重量%、10~45重量%、20~40重量%、25~35重量%である。
硬化性組成物は、ポリシラン(A)、ラジカル重合性化合物(B)、チオール化合物(C)およびラジカル重合開始剤(D)および必要に応じて他の添加剤を配合し、必要に応じて溶媒を添加し、溶解、分散および混合などで均一に混合することによって調製できる。
[硬化物およびその製造方法]
本発明では、前記硬化性組成物に可視光線を照射して光硬化物を形成する光硬化工程を含む製造方法により硬化物を製造してもよい。前記硬化物としては、これに限定されないが、例えば三次元的硬化物、硬化膜や硬化パターンなどの一次元または二次元的硬化物、点またはドット状硬化物などが挙げられる。
光硬化工程では、光硬化物(光硬化膜、光硬化パターンなど)は、前記硬化性組成物を基材上に塗布し、塗膜を形成した後、可視光線を照射(露光)することにより形成してもよい。さらに、高度の3次元架橋が起こしてネットワーク化を促進し、硬化物の架橋強度や不溶化率を向上できる点から、加熱しながら、前記硬化性組成物に可視光線を照射するのが好ましい。
硬化性組成物は、例えば、基材上での塗膜(薄膜)の製造などに使用してもよい。また、硬化性組成物を基材に塗布し、塗膜を製造する場合は、硬化性組成物を前記溶媒に溶解または分散させて基材に塗布してもよい。
塗布方法としては、例えば、フローコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法、バーコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法、スリット法などが挙げられる。
塗膜の厚みは、硬化物の用途に応じて、通常、0.01μm~10mm程度の範囲から選択できる。フォトレジストの場合、塗膜の厚みは、通常0.05~10μm程度であり、例えば0.1~5μm程度であってもよい。プリント配線基板の場合、塗膜の厚みは、通常10μm~5mm程度であり、例えば100μm~1mm程度であってもよい。光学薄膜の場合、塗膜の厚みは、通常0.1~100μm程度であり、例えば0.3~50μm程度であってもよい。
硬化性組成物が溶媒を含む場合、溶媒を除去するために乾燥してもよい。乾燥は自然乾燥であってもよいが、生産性の点から、加熱して乾燥するのが好ましい。乾燥のための加熱温度は、例えば40~80℃、好ましくは50~70℃である。
可視光線の波長は、380~780nmの範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、380~600nm、385~500nm、390~450nm、400~410nmであり、高圧水銀ランプやLEDレーザで出射できるh線(405nm)が最も好ましい。
可視光線の照射光量(露光量)は、塗膜の厚みなどに応じて、樹脂組成物の硬化が可能な範囲から選択でき、例えば10mJ/cm以上(例えば100~10000mJ/cm)であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、1000~9000mJ/cm、3000~8500mJ/cm、4000~8000mJ/cm、5000~7000mJ/cmである。露光量が少なすぎると、光硬化性が低下する虞がある。
可視光線の光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、レーザ光(LEDレーザなど)などが挙げられる。
可視光線の照射時間は、照射光量や加熱温度などに応じて適宜選択できるが、本発明では比較的低い照射時間でも硬化でき、例えば10分以下であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、0.1~10分、0.3~8分、0.5~5分、1~4分、1.2~3分であってもよく、1.5~2.5分が最も好ましい。
可視光線の照射と共に加熱する場合、加熱温度は、例えば80~150℃程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、90~130℃、100~120℃、105~115℃である。本発明では、可視光線で照射しているにも拘わらず、高温での加熱が不要であり、低温(例えば120℃以下)の加熱で強固な硬化物を形成できるとともに、硬化物の変形や劣化も抑制できる。
硬化性組成物は、パターンや画像の形成(プリント配線板の製造など)に使用してもよい。プリント配線板を製造する場合は、基材上に硬化性組成物を塗布して塗膜を形成し、形成した塗膜を光照射(パターン露光)してもよい。パターン露光は、レーザ光の走査により行ってもよく、フォトマスクを介して光照射することにより行ってもよい。パターン露光により生成した非照射領域(未露光部)を、現像剤で現像(または溶解)して除去することによりパターンまたは画像を形成してもよい。現像剤としては、例えば、水、アルカリ水溶液、親水性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類など)や、これらの混合液などが挙げられる。
特に、加熱しながら可視光線を照射した場合、加熱により、塗膜の照射領域(露光部)で、高度に架橋できるため、可視光線であっても、基材上に、精細で高精度のパターンを形成できる。従って、本発明の硬化性組成物は、精密なパターンを必要とする用途、例えば、電子機器のプリント配線基板などの製造に使用してもよい。
光学薄膜を形成する場合には、基材上に、硬化性組成物の層を複数形成してもよい。また、基材上に他の機能層などを形成した後、その機能層の上に、硬化性組成物の層を形成してもよい。本発明の硬化性組成物は、可視光の透過性に優れ、高い屈折率を有し、光学的特性にも優れるため、特に、液晶ディスプレイなどの反射防止膜の高屈折率層、反射板などの光学薄膜に使用してもよい。
基材の材質は、用途に応じて選択され、例えば、プリント配線基板や光学薄膜の場合には、半導体(シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、炭化シリコンなど)、金属(アルミニウム、銅など)、セラミック(酸化ジルコニウム、酸化チタン、PZTなど)、透明無機材料(ガラス、石英、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなど)、透明樹脂(ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリスチレンなど)などであってもよい。
得られた硬化物は、架橋強度に優れており、テトラヒドロフラン(THF)による不溶化率は5%以上であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、10%以上(例えば10~99%)、20%以上(例えば20~98%)、40%以上(例えば40~95%)、50%以上(例えば50~90%)、60%以上(例えば60~85%)であり、70%以上(例えば70~80%)が最も好ましい。本明細書および特許請求の範囲では、不溶化率は、THF中に10分間浸漬した後の浸漬前後の膜厚比から算出できる。
得られた硬化物の屈折率は、高屈折率であり、25℃、589nmにおいて、1.6以上であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、1.6~1.65、1.605~1.64、1.61~1.63である。また、25℃、656nmにおいて、1.59以上であってもよく、好ましい範囲としては、以下段階的に、1.59~1.65、好ましくは1.595~1.63、さらに好ましくは1.6~1.62程度であってもよい。
得られた硬化物のアッベ数は、10~50程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、12~45、15~40、18~30、20~25である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例で用いた材料は以下の通りであり、実施例および比較例で得られた硬化物の特性および評価は次のようにして測定した。
[材料]
(ラジカル重合性化合物)
A-DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業(株)製
PEMB:下記式で表されるペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、昭和電工(株)製
Figure 0007129055000005
BPFGA:下記式で表される9,9-ビス[4-(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、特開2001-354735号公報の実施例1に準拠して合成
Figure 0007129055000006
BNEFA:下記式で表される9,9-ビス[6-(2-アクリロイルオキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、特開2009-173648号公報の実施例1に準拠して合成
Figure 0007129055000007
(チオール化合物)
BPEFMB:下記式で表される9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ-2,1-エタンジイル)3-メルカプトブチレート(または9,9-ビス[4-(2-(3-メルカプトブチロイルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン)、特開2006-151959号公報の合成例1に準拠して合成
Figure 0007129055000008
BPEFMP:下記式で表される9H-フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ-2,1-エタンジイル)3-メルカプトプロピオネート(または9,9-ビス[4-(2-(2-メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン)、特開2006-151959号公報の合成例1に準拠して合成
Figure 0007129055000009
BNEFMB:9H-フルオレン-9-イリデンビス(6,2-ナフチレンオキシ-2,1-エタンジイル)3-メルカプトブチレート(または9,9-ビス[6-(2-(3-メルカプトブチロイルオキシ)エトキシ)-2-ナフチル]フルオレン)、特開2006-151959号公報の合成例1に準拠して合成
Figure 0007129055000010
(ポリシラン)
PMPS:ポリメチルフェニルシラン、大阪ガスケミカル(株)製「PMPS」、数平均分子量Mn=11000。
(ラジカル重合開始剤)
MAPO:フェニル-ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、アルドリッチ社製
BAPO:ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイル-ホスフィンオキシド、アルドリッチ社製。
[膜厚]
実施例および比較例で得られた硬化物の厚みは、非接触型膜厚測定装置(ナノメトリックス・ジャパン(株)製「Nsnospec/AFT M-3000」)を用いて測定した。
[不溶化率]
実施例および比較例で得られた硬化物の厚みを測定した後、硬化物をTHF(テトラヒドロフラン)中に10分間浸漬した後、THF中から取り出し、浸漬後の厚みを測定し、浸漬前後の厚み比を不溶化率として算出した。
[光学特性(屈折率およびアッベ数)]
多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製「DR-M4」)を用い、温度25℃の条件で、F線、D線およびC線での屈折率nF、nDおよびnC(各々波長486nm、589nm、656nmの干渉フィルター使用)を測定した。
実施例1
サンプル管に、PMPSを67重量部、BPFGAを109重量部、PEMBを25重量部、シクロヘキサノン(溶媒)を500重量部、光重合開始剤としてBAPOを1重量部混合し、撹拌して均一に混合させた。この混合液をシリコン基板上で2000rpmにて20秒スピンコートした後に、ホットプレートにて60℃で2minプリベークして溶媒を除去して、膜厚1μm程度の薄膜を得た。この薄膜に、LEDレーザ(ポールセミコンダクター(株)製「BP300」、47.6mW/cm)を用いて405nmの可視光を所定量照射しながら110℃で126sec硬化させた(照射光量:6000mJ/cm)。アッベ屈折率計にて、得られた硬化膜の屈折率を測定したところ、589nmにおける屈折率は1.6128であった。また、硬化膜の不溶化率は74%であった。
実施例2
PMPSを100重量部、BPFGAを82重量部、PEMBを13重量部とした以外は実施例1と同様にして硬化膜を製造し、光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.6503、不溶化率は28%であった。
実施例3
PMPSを67重量部、BPFGAを88重量部、BPEFMBを49重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造した後、レーザ照射量を12,000mJ/cmに変更して、120℃で252sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.6141、不溶化率は24%であった。
実施例4
PMPSを67重量部、BPFGAを84重量部、BNEFMBを49重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造した後、レーザ照射量を12,000mJ/cmに変更し、100℃で252sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.6122、不溶化率は6%であった。
比較例1
PMPSを67重量部、BPFGAを78重量部、PEMBを55重量部とした以外は実施例1と同様にして硬化膜を製造し、光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.5501、不溶化率は77%であった。
実施例5
PMPSを67重量部、A-DPHを23重量部、BNEFAを78重量部、PEMBを33重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造した後、レーザ照射量を18,000mJ/cmに変更し、110℃で378sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.6147、不溶化率は44%であった。
比較例2
PMPSを使用せず、BPFGAを132重量部、BPEFMPを68重量部、BAPOに代わりTPOを1重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造した後、LEDレーザ(ポールセミコンダクター(株)製「BP300」、300mW)の代わりにキセノンランプ(朝日分光(株)製「MAX301」、300W)を用い、405nm用干渉フィルターを通して光強度2.7mW/cm、光照射量を3,000mJ/cmに変更し、120℃で1107sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.6050、不溶化率は61%であった。
比較例3
PMPSを使用せず、BPFGAを132重量部、BPEFMPを68重量部、BAPOに代わりTPOを1重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造し、LEDレーザ(ポールセミコンダクター(株)製「BP300」、300mW)の代わりにキセノンランプ(朝日分光(株)製「MAX301」、300W)を用い、365nm用干渉フィルターを通して光強度1.3mW/cm、光照射量を1,000mJ/cmに変更し、120℃で763sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.6050、不溶化率は68%であった。
比較例4
PMPSを使用せず、BPFGAを134重量部、BPEFMBを66重量部、BAPOに代わりTPOを1重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造した後、レーザ照射量を3,000mJ/cmに変更し、120℃で1107sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.5953、不溶化率は6%であった。
比較例5
PMPSを使用せず、BPFGAを134重量部、BPEFMBを66重量部、BAPOに代わりTPOを1重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造した後、LEDレーザ(ポールセミコンダクター(株)製「BP300」、300mW)の代わりにキセノンランプ(朝日分光(株)製「MAX301」、300W)を用い、365nm用干渉フィルターを通して光強度1.3mW/cm、光照射量を2,000mJ/cmに変更し、120℃で1527sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.5953、不溶化率は15%であった。
比較例6
PMPSを使用せず、BPFGAを163重量部、PEMBを37重量部とした以外は実施例1と同様にして硬化膜を製造し、光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.5818、不溶化率は84%であった。
比較例7
PMPSを使用せず、A-DHPを77重量部、BPEFMBを123重量部とした以外は実施例1と同様にして薄膜を製造した後、110℃で126sec硬化させて硬化膜を製造した。硬化膜の光学特性および不溶化率を測定したところ、屈折率は1.5690、不溶化率は86%であった。
実施例および比較例で得られた硬化物の評価結果を表1に示す。
Figure 0007129055000011
表1の結果から、実施例で得られた硬化物は、比較例で得られた硬化物に比べて、不溶化率と光学特性とのバランスに優れており、なかでも実施例1および5(特に実施例1)で得られた硬化物はバランスに優れている。
本発明の硬化性組成物およびその硬化物は、塗料、電線被覆材、電子機器の封止材および絶縁材、プリント配線基板、保護膜、フォトレジスト、印刷製版材、インキ、接着剤、粘着材、光学薄膜(液晶ディスプレイなどの反射防止膜の高屈折率層、反射板など)などの用途に好適に利用できる。

Claims (12)

  1. ポリシラン(A)
    下記式(1)で表される、フルオレン骨格を有するラジカル重合性化合物(B)
    分子内に2以上のチオール基を有するチオール化合物(C)と、
    ラジカル重合開始剤(D)と、を含む硬化性組成物。
    Figure 0007129055000012
    (式中、環Z はアレーン環、A はアルキレン基、Xはアリル基または(メタ)アクリロイル基、R およびR は置換基、nは0または1以上の数、mは0~4の数、kは0または1以上の数、sは0または1である)
  2. 式(1)において、環Zがベンゼン環であり、nが0であり、かつsが1である請求項記載の硬化性組成物。
  3. 式(1)において、環Z がナフタレン環であり、nが1であり、かつsが0である請求項1記載の硬化性組成物。
  4. チオール化合物(C)が、分子内に3以上のチオール基を有するポリチオール化合物を含む請求項1~3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. チオール化合物(C)が、フルオレン骨格を有するジチオール化合物を含む請求項1~4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. フルオレン骨格を有するジチオール化合物が、下記式(2)で表されるジチオール化合物である請求項5記載の硬化性組成物。
    Figure 0007129055000013
    (式中、環Zはアレーン環、AおよびAはアルキレン基、RおよびRは置換基、pは0または1以上の数、qは0~4の数、rは0または1以上の数)
  7. ポリシラン(A)が、数平均分子量100~50000のポリC1-3アルキルC6-10アリールシランである請求項1~6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. ラジカル重合性化合物(B)の割合が、ポリシラン(A)100重量部に対して100重量部以上である請求項1~7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. チオール化合物(C)の割合が、ポリシラン(A)およびラジカル重合性化合物(B)の合計100重量部に対して10重量部以上である請求項1~8のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の硬化性組成物に可視光線を照射して光硬化物を形成する光硬化工程を含む硬化物の製造方法。
  11. 光硬化工程において、80~150℃で加熱しながら硬化性組成物に可視光線を照射する請求項10記載の製造方法。
  12. 請求項1~9のいずれかに記載の硬化性組成物を可視光線で硬化した硬化物。
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