JP7127484B2 - 金属板の製造方法及び金属板製造設備 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造機にて鋳造された鋳片から金属板を製造する金属板の製造方法及び金属板製造設備に関する。
鋳片には、凝固タイミングの不均一などにより空隙や偏析が発生する。鋳片に空隙や偏析が残存すると、最終製品の品質を損ねるという課題がある。このような内部欠陥(中心偏析や空隙(ポロシティー)等)を改善するためには、鋳片に圧下を加えることが有効であることが知られている。
例えば特許文献1には、鋳造空間の横断面が太鼓状になる連続鋳造鋳型を出た鋳片に対し、該鋳型の出側直近で該鋳片の厚み方向に圧下を加えて、該鋳片の中央厚肉部を該鋳片の端部厚まで減厚する薄肉鋳片の製造方法が開示されている。かかる圧下は、短辺側に座屈を生じることなしに所望厚みの薄鋳片を得ることを目的として行われるが、中心偏析や空隙の発生の回避にも有利であることが記載されている。
また、例えば特許文献2には、特に鋳片幅方向の中央部における厚み方向の中心部で生じる中心偏析や空隙を低減するため、幅方向中央に凸状領域を有する鋳片を、鋳片の厚み方向中心部まで完全に凝固した後、厚み方向に圧下する鋳片の連続鋳造方法が開示されている。
特開平02-197351号公報 特開2015-217392号公報
ここで、鋳片の内部欠陥は、最終凝固部に密集しやすい。最終凝固部は、鋳片の厚さ中心近傍にあるが、スラブのように厚さに対して幅の広い鋳片においては、その幅方向位置は、幅中央部よりもむしろ幅端部近傍に発生しやすい。上記特許文献1、2は幅方向中央部の内部欠陥の低減を目的とする技術であるため、これらの技術では幅端部近傍に発生する鋳片の内部欠陥を低減することが難しい。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋳片の内部欠陥、特に鋳片の幅端部近傍の内部欠陥を低減することが可能な、新規かつ改良された金属板の製造方法及び金属板製造設備を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、連続鋳造機から連続して送り出される、幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を、連続鋳造機の機内または下流側で水平圧延して金属板を製造する、金属板の製造方法が提供される。
金属板の製造方法より製造される金属板の横断面形状は矩形状であってもよい。
幅方向において、鋳片の幅端部から幅端部領域長さLの範囲を幅端部領域とし、幅端部領域以外の領域を幅中央部領域としたとき、幅端部領域長さLと鋳片の平均厚さHaveとの比L/Haveは、0.2以上1.0以下であり、幅端部領域の平均厚さHと幅中央部領域の平均厚さHとの比H/Hは、1.05以上1.25以下としてもよい。
また、鋳片の横断面において、幅中央部領域に向かって傾斜する幅端部領域の稜線の接線のうち、水平線に対する傾きが最大となる接線と水平線とのなす角は60°以下としてもよい。
横断面において鋳片の凝固状態が完全凝固状態となった後に、鋳片の水平圧延を行ってもよい。
あるいは、鋳片の横断面中心部の温度が鋳片の表面の温度よりも高い状態で、鋳片を水平圧延してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を連続鋳造する連続鋳造機と、連続鋳造機の下流側に設けられ、鋳片を水平圧延する水平圧延装置と、を備える、金属板製造設備が提供される。
水平圧延装置は、連続鋳造機により鋳造された鋳片を切断する鋳片切断機よりも上流側に配置してもよい。
以上説明したように本発明によれば、鋳片の内部欠陥、特に鋳片の幅端部近傍の内部欠陥を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る金属板の製造方法を実施するための金属板製造設備の一構成例を示す説明図である。 図1のI-I切断線における鋳片の横断面形状を示す断面図である。 同実施形態に係る金属板製造設備の他の構成例を示す説明図であって、連続鋳造機と熱間圧延設備とを有する構成を示す。 同実施形態に係る金属板製造設備の他の構成例を示す説明図であって、連続鋳造機と厚板圧延設備とを有する構成を示す。 連続鋳造後、及び、水平圧延後の鋳片の横断面形状を示す模式図である。 鋳片の形状の定義を説明するための模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。 同実施形態に係る鋳片の横断面形状の一例を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.設備構成>
本実施形態に係る金属板の製造方法を説明するにあたり、まず、図1~図4に基づいて、当該金属板の製造方法を実施するための設備構成について説明する。図1は、本実施形態に係る金属板の製造方法を実施するための金属板製造設備の一構成例を示す説明図である。図2は、図1のI-I切断線における鋳片5の横断面形状を示す断面図である。図3及び図4は、本実施形態に係る金属板製造設備の他の構成例を示す説明図である。
本実施形態に係る金属板の製造方法では、連続鋳造機により鋳造される幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を水平圧延する。すなわち、幅方向において幅中央部領域に比べて幅端部領域が増厚された横断面が凹形状の鋳片を製造し、かかる鋳片を水平圧延する。これにより、幅中央部よりも幅端部近傍に多く発生する鋳片の内部欠陥を効果的に低減し、高品質の金属板を製造することができる。
ここで、本実施形態に係る金属板の製造方法は、厚さに対して幅の広い鋳片の内部欠陥を低減する際に特に有効である。例えば、厚さに対して幅の広い鋳片であるスラブは、幅端部近傍に内部欠陥が多く発生し、幅と厚さとがほぼ等しいビレットやブルームといった棒線形管向けの鋳片では、内部欠陥はその幅中心部に多く発生する。したがって、本実施形態に係る金属板の製造方法において内部欠陥を低減させる対象とする鋳片は、スラブ等の厚さに対して幅の広い鋳片となる。
本実施形態に係る金属板の製造方法を実施するための金属板製造設備は、幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を鋳造可能な連続鋳造機と、連続鋳造機の下流側に配置され、当該鋳片を水平圧延する水平圧延装置とを有する。金属板製造設備は、例えば図1に示すように水平圧延装置130が連続鋳造機内に設置された連続鋳造設備100として構成してもよい。あるいは、金属板製造設備は、図3に示すように連続鋳造設備100と熱間圧延設備200とを有する設備であってもよく、図4に示すように連続鋳造設備100と厚板圧延設備300とを有する設備であってもよい。以下、金属板製造設備の構成例を具体的に説明する。
(設備構成例1)
本実施形態に係る金属板製造設備の一構成例である図1に示す連続鋳造設備100は、連続鋳造用の鋳型115を用いて溶鋼を連続鋳造し、鋳片5を製造するための設備である。図1に示す連続鋳造設備100は、垂直曲げ型の連続鋳造設備であるが、本発明はかかる例に限定されず、湾曲型、垂直型等の連続鋳造設備であってもよい。連続鋳造設備100は、図1に示すように、取鍋111と、タンディッシュ113と、鋳型115と、二次冷却装置120と、水平圧延装置130と、鋳片切断機140とを備える。
溶鋼を搬送する可動式の容器である取鍋111は、タンディッシュ113の上方から、取鍋111内の溶鋼をタンディッシュ113に供給する。タンディッシュ113に供給された溶鋼は、タンディッシュ113内で溶鋼中の介在物が除去された後、鋳型115内へ連続供給される。本実施形態に係る連続鋳造設備100では、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を鋳造する。このため、鋳型115は、幅方向中央部領域が内部側に凸状に突出した横断面形状を有している。
鋳型115に供給された溶鋼は、鋳型との接触部分が冷却され、外殻の凝固シェルの内部に未凝固部を含む鋳片5となる。鋳片5は、鋳型115の下方に移動するにつれて内部の未凝固部の凝固が進行し、外殻の凝固シェルの厚さが徐々に厚くなる。かかる凝固シェルと未凝固部を含む鋳片5は、鋳型115の下端から引き抜かれる。鋳型115から引き抜かれた鋳片5は、二次冷却装置120を支持ロール121によって支持されながら、鋳造方向下流側へ移動される。二次冷却装置120の移動中、鋳片5にはスプレーノズル(図示せず。)によって冷却水が噴射されている。
二次冷却装置120を通過した鋳片5は、図2に示すように、幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい、すなわち、幅中央部領域に比べて幅端部領域が増厚された横断面形状を有する。鋳片5は、水平圧延装置130により水平圧延される。水平圧延されることで、鋳片5の横断面形状は略矩形状となる。水平圧延装置130により圧延された鋳片5は、図1に示すように、鋳片切断機140によって所定の長さに切断され、切断された鋳片7は、テーブルロールにより次工程の設備に搬送される。
(設備構成例2)
本実施形態に係る金属板製造設備の他の構成例である図3に示す金属板製造設備は、図1に示したものとほぼ同一構成の連続鋳造設備100と、鋳片7を熱間圧延する熱間圧延設備200とを含んで構成されるものである。図3の連続鋳造設備100は、図1の連続鋳造設備100と同様、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片5を製造する。図3のI-I切断線における鋳片5の横断面形状は、図2と同様である。ただし、図3に示す連続鋳造設備100は、図1に示した水平圧延装置130を備えていない。したがって、鋳片切断機140により切断された鋳片7は、図2に示した横断面形状と同様の横断面形状を有している。
連続鋳造設備100により製造された鋳片7は、次工程の設備の1つである熱間圧延設備200に搬送され、熱間圧延される。鋳片7は、加熱炉210にて加熱された後、粗圧延機220及び仕上圧延機230を通過して所定の厚さに圧延され、冷却装置240により冷却される。冷却装置240により冷却された鋳片7は、巻取機250によってコイル状に巻き取られる。ここで、熱間圧延設備200の粗圧延機220は、図1に示した水平圧延装置130の役割も兼ねている。
なお、図3に示した金属板製造設備の熱間圧延設備200は加熱炉210を備えていたが、加熱炉210は必ずしも備えていなくともよい。
(設備構成例3)
本実施形態に係る金属板製造設備の他の構成例である図4に示す金属板製造設備は、図3に示した金属板製造設備において熱間圧延設備200の代わりに厚板圧延設備300を設けた構成となっている。すなわち、図4に示す金属板製造設備は、図1に示したものとほぼ同一構成の連続鋳造設備100と、鋳片7から所定サイズの厚板を製造する厚板圧延設備300とを含んで構成されるものである。図4の連続鋳造設備100は、図1の連続鋳造設備100と同様、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片5を製造する。図4のI-I切断線における鋳片5の横断面形状は、図2と同様である。ただし、図4に示す連続鋳造設備100は、図1に示した水平圧延装置130を備えていない。したがって、鋳片切断機140により切断された鋳片7は、図2に示した横断面形状と同様の横断面形状を有している。
連続鋳造設備100により製造された鋳片7は、次工程の設備の1つである厚板圧延設備300に搬送される。鋳片7は、加熱炉310にて加熱された後、圧延機320により所定の厚さに圧延される。ここで、厚板圧延設備300の圧延機320は、図1に示した水平圧延装置130の役割も兼ねている。なお、図4に示した金属板製造設備の厚板圧延設備300は加熱炉310を備えていたが、加熱炉310は必ずしも備えていなくともよい。
図1、図3及び図4に示した本実施形態に係る金属板製造設備は、いずれも、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を連続鋳造設備100により製造する。そして、かかる鋳片を、連続鋳造設備100内部または外部に設けられた水平圧延装置によって水平圧延する。これにより、鋳片の内部欠陥、特に幅中央部よりも幅端部近傍に多く発生する鋳片の空隙等の内部欠陥を効果的に低減することができる。以下、本実施形態に係る金属板製造設備による金属板の製造方法について、より詳細に説明していく。
<2.金属板の製造方法>
[2-1.メカニズム]
まず、図5に基づいて、本実施形態に係る金属板の製造方法により内部欠陥が低減されるメカニズムを説明する。図5は、連続鋳造後、及び、水平圧延後の鋳片5の横断面形状を示す模式図である。
鋳片の内部に発生する中心偏析や空隙等の内部欠陥は、鋳片の厚さ中心近傍の最終凝固部に密集しやすく、厚さに対して幅の広い鋳片では幅方向においては幅中央部よりも幅端部近傍に発生しやすい。鋳片の内部欠陥の改善には、鋳片を圧下することが有効であり、このとき、内部欠陥部分に大きな静水圧を付与した状態で塑性変形させることが効果的である。これより、鋳片の最終凝固部に対し、高い静水圧応力下で大きな塑性変形が生じるような圧延を施すことで、鋳片の内質が改善され、最終製品の品質を向上できる。
そこで、本願発明者は、鋳片において内部欠陥の発生しやすい幅端部近傍に高い静水圧下で大きな塑性変形を付与するために、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を鋳造し、かかる鋳片に対して水平圧延を行うことが有効と考えた。ここで、図5に、本実施形態に係る連続鋳造設備による連続鋳造後の鋳片5と、水平圧延後の鋳片5とについて、横断面形状を示す。
図5上側の連続鋳造直後の鋳片の横断面形状は、図1の連続鋳造設備100の二次冷却装置120を通過した後の鋳片5の横断面形状である。図2に示したような横断面形状を有している。鋳片5の増厚部分に位置する領域5aは、内部欠陥が発生しやすい幅端部の領域を示している。
連続鋳造直後の鋳片5を水平圧延すると、鋳片5は、図5下側に示すように矩形状の横断面形状となる。このとき、水平圧延前の鋳片5の増厚部分である幅端部領域が幅中央部領域よりも強く圧下されるため、領域5aに高い静水圧応力と大きな塑性変形とが効果的に付与される。その結果、鋳片の内部欠陥が低減される。このように、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片5を水平圧延することで、鋳片の内部欠陥を低減させることができる。
なお、鋳片の水平圧延は、鋳片の横断面における凝固状態が完全凝固状態となった後に行ってもよく、未凝固状態で行ってもよい。未凝固状態で水平圧延した場合、完全凝固状態で水平圧延する場合に比べて鋳片の内部欠陥を効果的に低減することができるが、未凝固部の固相率制御は難しい。操業の容易性の観点においては、鋳片の横断面が完全凝固状態となってから水平圧延するのがよい。
また、連続鋳造機により鋳造される鋳片を、幅端部が増厚された横断面が凹形状とすることで、幅端部側の増厚部の凝固は幅中央部の凝固よりも遅くなる。このため、増厚部に内部欠陥が集積しやすくなる。したがって、連続鋳造機により鋳造された横断面が凹形状の鋳片を下流側で水平圧延することにより、効率的に内部欠陥を改善することができる。また、鋳片の凝固時に増厚部に内部欠陥が集積することで、おのずと幅中央部の内部欠陥が低減される。その結果、内部欠陥の少ない高品質な金属板が製造される。
[2-2.鋳片の形状]
上述のように、鋳片を水平圧延する際に幅端部領域に高い静水圧応力と大きな塑性変形とを効果的に付与するために、本実施形態では、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を水平圧延する。そこで、連続鋳造設備100により鋳造される鋳片の横断面形状について検討を行った。
(a.幅端部領域長さLと鋳片の平均厚さHaveとの比(L/Have)及び幅端部領域の平均厚さHと幅中央部領域の平均厚さHとの比(H/H)について)
本実施形態に係る連続鋳造設備100により鋳造される鋳片は、幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きいという横断面形状を有する。かかる鋳片の横断面形状も踏まえ、鋳片の内質向上効果を得ることの可能な形状を検討した結果、幅端部領域長さLと鋳片の平均厚さHaveとの比L/Haveが0.2以上1.0以下であり、幅端部領域の平均厚さHと幅中央部領域の平均厚さHとの比H/Hが1.05以上1.25以下であるのが好ましいとの結果を得た。以下、その理由について説明する。なお、以下に示す図(図6~図7J)においては、板幅端部の増厚形状を強調して示している。
まず、図6に基づいて、鋳片の横断面形状に関する定義について説明する。図6は、原点は鋳片の厚さ中央及び幅中央であって、厚さ方向をY方向、幅方向をZ方向で示している。その対称性から、図6では、厚さ方向に1/2、幅方向に1/2の鋳片の範囲を示している。図6の実線で示す部分が実際の鋳片5の横断面を示している。
本実施形態において、幅端部領域は、鋳片5の横断面において、幅端部から、横断面面積及び鋳片幅が等しい仮想矩形断面と実横断面との交点のうち最も幅中央に近い点までの幅方向領域と定義される。すなわち、図6に示すように、鋳片横断面において、横断面面積及び鋳片幅が等しい仮想矩形断面9を考える。仮想矩形断面9の厚さHaveは、鋳片5の厚さの平均値となる。そして、幅方向(Z方向)において、幅端部から、仮想矩形断面9と実際の鋳片5との交点のうち最も幅中央側にある交点までの距離を、幅端部領域長さLとする。図6の例では、幅端部Eから、仮想矩形断面9と実際の鋳片5との交点P、Pのうち幅中央側の交点Pまでの幅方向の距離が、幅端部領域長さLとなる。また、全幅から幅端部領域を除いた領域を、幅中央部領域と定義する。さらに、幅端部領域の厚さの平均値をH、幅中央部領域の厚さの平均値をHとする。
上述の定義に基づき、まず、幅端部領域長さLと鋳片の平均厚さHaveとの比L/Haveを変化させたときの鋳片の内部欠陥の有無について検証した。表1に、その結果を示す。鋳片の内部欠陥の有無については、JIS G 0801に規定された鋳片の超音波探傷試験を実施することにより確認した。表1において○は内部欠陥が少なく合格の品質レベルであることを示し、△は○の品質レベルよりは低下するが許容される品質レベルであることを示している。
Figure 0007127484000001
表1より、幅端部領域長さLと鋳片の平均厚さHaveとの比L/Haveを0.2以上1.0以下の範囲内の値とすることで、高い鋳片の内質向上効果を得られることがわかった。
次に、幅端部領域の平均厚さHと幅中央部領域の平均厚さHとの比H/Hを変化させたときの鋳片の内部欠陥の有無及び鋳片の表面に生じる疵の有無について検証した。表2に、その結果を示す。鋳片の内部欠陥の有無については、上記と同様、JIS G 0801に規定された鋳片の超音波探傷試験を実施することにより確認した。すなわち、表2において○は内部欠陥が少なく合格の品質レベルであることを示し、△は○の品質レベルよりは低下するが許容される品質レベルであることを示している。鋳片の表面疵の有無については、目視確認により、手入れが必要であるか否かを判断した。○は鋳片の表面に疵はない場合を示し、△は鋳片の表面に微小な疵が生じているが手入れは不要なレベルである場合を示している。
Figure 0007127484000002
表2より、幅端部領域の平均厚さHと幅中央部領域の平均厚さHとの比H/Hを1.05以上とすることで、高い鋳片の内質向上効果を得られることがわかった。また、幅端部領域の平均厚さHと幅中央部領域の平均厚さHとの比H/Hが1.25以下であれば鋳片の表面に疵は生じないことが分かった。これより、幅端部領域の平均厚さHと幅中央部領域の平均厚さHとの比H/Hを1.05以上1.25以下とすることで、表面疵も発生せず、高い鋳片の内質向上効果を得られることがわかった。
(b.具体的な鋳片の横断面形状)
本実施形態に係る金属板の製造方法において鋳造される鋳片は、横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片であればよく、様々な形状をとり得る。図7A~図7Jに、本実施形態に係る鋳片5の横断面形状の一例を示す。図7A~図7J
も、図6と同様、原点は鋳片の厚さ中央及び幅中央であって、厚さ方向に1/2、幅方向に1/2の鋳片の範囲を示している。
例えば、図7Aに示すように、鋳片5の横断面形状において、幅端部領域の増厚部5cが矩形状であってもよく、図7Bに示すように、増厚部5cの矩形のコーナー部が丸みを帯びるような形状であってもよい。あるいは、図7C~図7Fに示すように、鋳片5の横断面形状において、幅中央部領域側の非増厚部5bの稜線R1と増厚部5cの稜線R2との交点5dにおいて、両者が鋭角の角度αで交差する形状であってもよい。図7C~図7Fに示すように、幅端部E側の稜線形状は特に問わない。
さらに、図7G、図7Hに示すように、幅中央部領域側の非増厚部5bと増厚部5cとの交点5dから幅端部E側に向かう増厚部5cの稜線R2は直線ではなく、曲線であってもよい。また、図7I、図7Jに示すように、幅中央部領域側の非増厚部5bと増厚部5cとの交点5dから幅端部E側に向かう増厚部5cの稜線R2の傾斜は、図7G、図7Hに示したような一様な曲線でなくてもよい。もちろん、非増厚部5bの稜線R1も、必ずしも直線でなくともよい。
ここで、鋳片5の横断面において、幅中央部領域に向かって傾斜する幅端部領域の増厚部5cの稜線R2の接線のうち、水平線に対する傾きが最大となる接線と水平線とのなす角は60°以下であるのが好ましい。ここで、接線は、図7A、図7C~図7Fにおいては幅中央部領域側の非増厚部5bと増厚部5cとの交点5dから幅端部Eに向かって延びる直線と同一である。また、図7B、図7G~図7Jにおいては、水平線(幅方向(Z方向)に平行な線)に対する傾きが最大となる接線となる。このとき、接線は、図7B、図7G及び図7Hでは交点5dを通るが、図7I、図7Jでは交点5dは通らない。
接線と水平線とのなす角である角度αを変化させたときの鋳片の内部欠陥の有無及び鋳片の表面に生じる疵の有無について検証したところ、表3に示すような結果となった。表3では、表2と同様、鋳片の内部欠陥の有無及び鋳片の表面疵の有無を判定した。なお、鋳片の内部欠陥の有無において、×は、内部欠陥が基準とする品質レベルを下回り、許容される品質レベルではないことを示している。
Figure 0007127484000003
表3より、角度αが0°の場合には幅端部領域の増厚部が存在しない(すなわち、鋳片の横断面形状が矩形形状である)ため、内部欠陥が基準とする品質レベルを下回った。一方、角度αを0°よりも大きくすれば、高い鋳片の内質向上効果を得られることがわかった。また、角度αを鋭角にすることで表面疵の発生を抑制できると考えられ、上記表3より角度αが60°以下であれば鋳片の表面に疵は生じないことが分かった。これより、角度αを60°以下とすることで、表面疵も発生せず、高い鋳片の内質向上効果を得られることがわかった。
本実施形態に係る金属板製造設備を用いて金属板の製造方法を実施することによる内部欠陥低減の効果を検証した。本検証では、厚さ250mm、幅1600mmに鋳造された一般低炭素鋼の鋳片に対し、実施例1として、図1に示したように、連続鋳造機(CC)にて横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を鋳造し、その後、連続鋳造機内に設置された水平圧延機により1パスの水平圧延を実施し、厚さ220mmまで圧延した上で熱間圧延を行い、厚さ50mmの厚鋼板を製造した。また、実施例2として、図3に示したように、連続鋳造機(CC)にて鋳造された横断面形状が幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を熱間圧延設備に供給の上、熱間圧延し、厚さ50mmの厚鋼板を製造した。
比較例として、連続鋳造機にて鋳造された横断面形状が矩形状の一般低炭素鋼の鋳片を熱間圧延設備に供給の上、熱間圧延し、厚さ50mmの厚鋼板を製造した。
製造されたこれらの厚鋼板について、幅中央部において幅端部から200~300mmの領域、かつ、厚さ中心±10mmの領域から試片を切り出し、顕微鏡にて空隙の大きさと個数を観察して調べた。その結果を表4に示す。
Figure 0007127484000004
実施例1及び実施例2では、厚鋼板内部に空隙は確認されず、幅端部領域が増厚された鋳片を水平圧延することで、内部欠陥が低減された厚鋼板が得られた。これは、幅端部領域が増厚された鋳片を水平圧延したことにより、鋳片に存在した内部欠陥の発生領域に高い静水圧応力と大きな塑性変形とを付与することができ、内質の良好な鋳片を熱間圧延に供することができたためと考えられる。
これに対し、矩形断面形状の鋳片を熱間圧延した比較例では、鋳片の幅端部が増厚されていない状態で水平圧延を行うため、鋳片の厚み中心かつ幅端部近傍に十分な静水圧応力ならびに塑性変形を付与できず空隙が残存した。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100 連続鋳造設備
111 取鍋
113 タンディッシュ
115 鋳型
120 二次冷却装置
121 支持ロール
130 水平圧延装置
140 鋳片切断機
200 熱間圧延設備
210 加熱炉
220 粗圧延機
230 仕上圧延機
240 冷却装置
250 巻取機
300 厚板圧延設備
310 加熱炉
320 圧延機

Claims (7)

  1. 連続鋳造機から連続して送り出される、幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片であって、
    幅方向において、前記鋳片の幅端部から幅端部領域長さL の範囲を幅端部領域とし、前記幅端部領域以外の領域を幅中央部領域としたとき、
    前記幅端部領域長さL と前記鋳片の平均厚さH ave との比L /H ave が0.2以上1.0以下であり、
    前記幅端部領域の平均厚さH と前記幅中央部領域の平均厚さH との比H /H が1.05以上1.25以下である鋳片を、
    前記連続鋳造機の機内または下流側で水平圧延して金属板を製造する、金属板の製造方法。
  2. 製造される前記金属板の横断面形状は矩形状である、請求項1に記載の金属板の製造方法。
  3. 前記鋳片の横断面において、前記幅中央部領域に向かって傾斜する前記幅端部領域の稜線の接線のうち、水平線に対する傾きが最大となる接線と前記水平線とのなす角は60°以下である、請求項1または2に記載の金属板の製造方法。
  4. 横断面において前記鋳片の凝固状態が完全凝固状態となった後に、前記鋳片の水平圧延を行う、請求項1~のいずれか1項に記載の金属板の製造方法。
  5. 前記鋳片の横断面中心部の温度が前記鋳片の表面の温度よりも高い状態で、前記鋳片を水平圧延する、請求項1~のいずれか1項に記載の金属板の製造方法。
  6. 幅中央部領域が内部側に凸状に突出した横断面形状を有する鋳型を備え、幅中央部領域の厚さよりも幅端部領域の厚さが大きい鋳片を連続鋳造する連続鋳造機と、
    前記連続鋳造機の下流側に設けられ、前記鋳片を水平圧延する水平圧延装置と、
    を備え
    前記連続鋳造機は、
    幅方向において、前記鋳片の幅端部から幅端部領域長さL の範囲を幅端部領域とし、前記幅端部領域以外の領域を幅中央部領域としたとき、
    前記幅端部領域長さL と前記鋳片の平均厚さH ave との比L /H ave が0.2以上1.0以下であり、
    前記幅端部領域の平均厚さH と前記幅中央部領域の平均厚さH との比H /H が1.05以上1.25以下である鋳片を製造する、金属板製造設備。
  7. 前記水平圧延装置は、前記連続鋳造機により鋳造された前記鋳片を切断する鋳片切断機よりも上流側に配置される、請求項に記載の金属板製造設備。
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