JP7125313B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
特許文献1には、ポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分とを有する1種又は2種以上の複合樹脂と結晶性ポリエステルを含有するトナー用結着樹脂組成物であって、少なくとも1種の複合樹脂のポリエステル樹脂部分が、エチレングリコールと芳香族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる、トナー用結着樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、ポリエステル樹脂とビニル樹脂とを含有する複合樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー用結着樹脂組成物であって、前記複合樹脂が、カルボン酸成分及びアルコール成分を含む重縮合性モノマーとポリエチレンテレフタレートとを重縮合させて得られるポリエステル樹脂と、付加重合性モノマーを付加重合させて得られるビニル樹脂が両反応性モノマーを介して化学的に結合した非晶質複合樹脂であり、前記ポリエチレンテレフタレートがIV値が0.40以上0.75以下のポリエチレンテレフタレートを含む、トナー用結着樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂と、スチレン化合物を含有する原料モノマーの付加重合物であるスチレン系樹脂とが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーを介して化学結合された複合樹脂を含有する、トナー用結着樹脂組成物が開示されている。
特開2014-232169号公報 特開2018-13521号公報 特開2017-227724号公報
複合樹脂の製造において、ポリエステル系樹脂セグメントのアルコール成分に脂肪族ジオールが含まれていると複合化が困難であり、ポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントがそれぞれ単独に存在してしまう。従って、樹脂が不均一となり、顔料やワックス等の添加剤もトナー中で分散が悪くなる。その結果、トナーの帯電安定性及び発色性といった性能が低下してしまう。
本発明は、帯電安定性及び発色性に優れた静電荷像現像用トナーに関する。
本発明者らは前記課題に対し、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントを結合する両反応性モノマーとして、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、複合化が可能となることを見出した。
本発明は、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントとが、両反応性モノマーを介して共有結合してなる非晶質複合樹脂を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記両反応性モノマーが水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む、静電荷像現像用トナーに関する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、帯電安定性及び発色性に優れた効果を奏するものである。
本発明の静電荷像現像用トナーは、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントとが、両反応性モノマーを介して共有結合した非晶質複合樹脂を含有し、両反応性モノマーが水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むものである。
帯電安定性と発色性が向上する理由の詳細は不明なるも、以下のように推定される。
両反応性モノマーとして用いる水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとスチレン系化合物との共重合性が高いため、ビニル系樹脂セグメントの組成分布が小さくなり、ポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントがより均一に分散する。これにより、荷電制御剤、着色剤、離型剤等の内添剤がトナー中でより均一に分散できるようになり、その結果、帯電安定性及び発色性が向上する。また、脂肪族ジオールの使用により、ポリエステル系樹脂セグメントの親水性が向上し、着色剤との親和性も高くなり、着色剤の分散性が向上することも、発色性の向上につながっている。
ポリエステル系樹脂セグメントは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
本発明において、ポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分には、2つの態様がある。第一の態様では、グロスが向上し、第二の態様では、耐久性が向上する。
第一の態様は、アルコール成分が脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含む態様である。従来、脂肪族ジオールの含有量が高いほど、ポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントの相溶性が低くなり、分散状態が悪化するため、定着後の画像表面の平滑性が悪化し、グロスが低下する傾向があるが、本発明では、両樹脂セグメントが均一に分散しているため、脂肪族ジオールをアルコール成分として用いても、高いグロスを維持することができる。
第二の態様は、アルコール成分がさらに芳香族ジオールを含む態様である。ソフトな脂肪族ジオールとハードな芳香ジオールを併用することで、硬くて衝撃吸収に優れた樹脂になるため耐久性が向上する。さらに、分子構造的にソフトな水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルがグラフト点になり、樹脂が柔軟性を有することで衝撃吸収の効果が発現し、トナーの耐久性はさらに高くなる。
本発明において、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、耐久性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、グロスの観点から、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
第一の態様では、前記脂肪族ジオールのなかから、発色性の観点から、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールがより好ましい。
炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールとしては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられる。
第一の態様における脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、80モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。
また、前記第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、脂肪族ジオール中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
第二の態様では、前記脂肪族ジオールの中から、耐久性の観点から、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数2以上4以下のα,ω-脂肪族ジオールがより好ましい。
炭素数2以上4以下のα,ω-脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール等が挙げられる。
芳香族ジオールとしては、帯電安定性の観点から、式(I):
Figure 0007125313000001
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
芳香族ジオールと脂肪族ジオールのモル比(芳香族ジオール/脂肪族ジオール)は、耐久性の観点から、10/90以上、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上であり、そして、発色性の観点から、90/10以下、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下である。
芳香族ジオールと脂肪族ジオールの合計含有量は、第二の態様のアルコール成分中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
芳香族ジオール及び脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、水素添加ビスフェノールA、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
ポリエステル樹脂セグメントのカルボン酸成分は、帯電安定性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含む。芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びそれらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられるが、これらの中では、テレフタル酸が好ましい。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数が1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
他のカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、これらの酸の無水物及びそれらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、又はそれらの酸無水物等が挙げられる。
アルコール成分が第一の態様の場合、芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、グロスの向上の観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは98モル%以下である。
また、3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、帯電安定性の観点から、0モル%以上、好ましくは2モル%以上であり、そして、グロスの観点から、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
アルコール成分が第二の態様の場合、芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、耐久性の観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、そして、発色性の観点から、100モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。
また、3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、耐久性の観点から、0モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、そして、発色性の観点から、好ましくは25モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは15モル%以下である。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステル樹脂の分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
また、アルコール成分とカルボン酸成分の一部として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。PETは、エチレングリコールとテレフタル酸の等モル重縮合物として、PETを構成するエチレングリコールとテレフタル酸をそれぞれアルコール成分とカルボン酸成分としてみなす。
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.05以下である。
ポリエステル樹脂セグメントは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
ビニル系樹脂セグメントは、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物である。
スチレン系化合物としては、スチレン以外に、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体等が挙げられ、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物の含有量は、帯電安定性の観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
スチレン化合物以外に用いられるビニル系樹脂セグメントの原料モノマーとしては、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられる。
ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、重合禁止剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
両反応性モノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルは、エステル交換に対する反応性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、アルキル基の炭素数は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。なお、アルキル基の炭素数が7以上であっても、分岐鎖を有するアルキルエステルや、アルキルエステルでなくても、環状の炭化水素基を有するエステルのように、アルコール残基が嵩高くエステル交換により脱離しやすい構造を有するエステルであれば、両反応性モノマーとして使用することができる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル等が挙げられ、これらの中では、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましく、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、両反応性モノマー中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の両反応性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、水酸基を有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
スチレン系化合物と水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの質量比(スチレン系化合物/水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル)は、帯電安定性の観点から、好ましくは70/30以上、より好ましくは75/25以上、さらに好ましくは80/20以上であり、そして、発色性の観点から、好ましくは98/2以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下である。
非晶質複合樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)と、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを含む方法により製造することができる。
工程(A)の後に工程(B)を行ってもよいし、工程(B)の後に工程(A)を行ってもよく、工程(A)と工程(B)を同時に行ってもよい。また、工程(A)と工程(B)は、同一容器内で行うことが好ましい。
また、重縮合反応を行う工程(A)の代わりに、予め重合した重縮合系樹脂を用いてもよい。工程(A)と工程(B)を並行して進行する際には、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーを含有した混合物中に、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
両反応性モノマーは、帯電安定性の観点から、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーとともに用いることが好ましい。
非晶質複合樹脂におけるポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/ビニル系樹脂セグメント)は、発色性の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは60/40以上、さらに好ましくは70/30以上であり、そして、帯電安定性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂セグメントの質量は、用いられるポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量を除いた質量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー量に含める。また、ビニル系樹脂セグメントの量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマーと重合開始剤の合計量である。
非晶質複合樹脂の軟化点は、耐久性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、そして、グロスの向上の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の樹脂である一方、非晶質樹脂は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最高ピーク温度を融点とする。
非晶質複合樹脂のガラス転移温度は、耐久性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、そして、帯電安定性の観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下である。
非晶質複合樹脂の酸価は、帯電安定性の観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下である。
非晶質複合樹脂の水酸基価は、帯電安定性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
本発明のトナーには、前記の非晶質複合樹脂以外の結着樹脂が含有されていてもよいが、非晶質複合樹脂の含有量は、結着樹脂中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本発明のトナーには、結着樹脂以外に、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K 0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒からテトラヒドロフランに変更する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例
表1~4に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂セグメントの原料を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル開始剤を混合したものを滴下し、重合を行った後、エステル化触媒を添加し、220℃まで7時間かけて昇温を行い、220℃にて4時間反応させた。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃、8.0kPaにて表1~4に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質複合樹脂(樹脂A1~A12、樹脂B1~B13)を得た。
Figure 0007125313000002
Figure 0007125313000003
Figure 0007125313000004
Figure 0007125313000005
実施例A1~A10、比較例A1、A2及び実施例B1~B11、比較例B1、B2
表5、6に示す結着樹脂100質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-81」(オリエント化学工業(株)製)1質量部、着色剤「Pigment blue 15:3」(大日精化工業(株)製)5質量部、及び離型剤「HNP-9」(日本精蝋(株)製、パラフィンワックス、融点:80℃)2質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として疎水性シリカ「AEROSIL NAX 50」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:約30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔帯電安定性〕(実施例Aシリーズ、Bシリーズ共通)
トナー0.6g及びフェライトキャリア(フェライトコア、シリコーンコート、飽和磁化:71Am2/kg)19.4gを50mL容のポリプロピレン製ボトル「PPサンプラボトル広口」(株式会社サンプラテック製)に入れ、ボールミルにて20分間撹拌した。
60秒又は3600秒の混合時間後、Q/Mメーター付属のセルに規定量のトナーとキャリアの混合物を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引した。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、〔90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)とした。混合時間60秒後の帯電量と混合時間3600秒後の帯電量の比率(混合時間3600秒後の帯電量/混合時間60秒後の帯電量)を算出した。結果を表5、6に示す。帯電量の比率が1に近いほど、帯電安定性に優れ、その比率は0.80以上が好ましく、0.90以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましい。
試験例2〔発色性〕(実施例Aシリーズ、Bシリーズ共通)
粉末測定容器(直径2.5cm、高さ5cm)にトナー3.0gを入れ、容器にキャップし、平らな机上に約5mmの高さから10回落下させ、表面を平滑にした後、測定容器を試料台にセットし、色差計(SZ-Σ80、日本電色(株)相当品)でL値を測定した。結果を表5、6に示す。L値が低い方が、色が濃く、発色性に優れ、L値は、42以下が好ましく、39以下がより好ましく、37以下がさらに好ましい。
試験例3〔印刷画像のグロス〕(実施例Aシリーズのみ)
フルカラープリンター「MicroLine 9500PS」((株)沖データ製)にトナーを実装してベタ画像を印刷し、その光沢度を測定した。光沢度は、光沢度計「PG-1」(日本電色工業(株)製)を用い、光源を60°に設定して測定した。以下の評価基準に従って、グロスを評価した。結果を表5に示す。光沢度が高いほど、グロスが良好である。
〔評価基準〕
A:光沢度が20以上である。
B:光沢度が15以上、20未満である。
C:光沢度が10以上、15未満である。
D:光沢度が10未満である。
試験例4〔耐久性〕(実施例Bシリーズのみ)
非磁性一成分現像装置「MicroLine 5400」((株)沖データ製)にトナーを実装し、温度35℃、相対湿度50%の環境下にて、0.3%の印字率で耐刷試験を行った。1時間毎にベタ画像を印字し、ブレードフィルミングに起因する白スジの発生がないかを観察して評価し、耐久性を評価した。試験は、白スジの発生が確認された時点で中止し、最高13時間まで行った。結果を表6に示す。白スジの発生が遅いほど、耐久性に優れ、試験を中止するまでの時間は、6時間以上が好ましく、8時間以上がより好ましく、9時間以上がさらに好ましい。
Figure 0007125313000006
Figure 0007125313000007
以上の結果より、両反応性モノマーとしてアクリル酸を使用した比較例のトナーと対比して、実施例のトナーは、帯電安定性及び発色性に優れていることが分かる。さらに、実施例A1~A10のトナーは、画像のグロスが高く、実施例B1~B11のトナーは、耐久性に、それぞれ優れていることが分かる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるものである。

Claims (5)

  1. 脂肪族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂セグメントと、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であるビニル系樹脂セグメントとが、両反応性モノマーを介して共有結合してなる非晶質複合樹脂を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記両反応性モノマーが水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含み、前記非晶質複合樹脂が前記両反応性モノマーを用いて得られる樹脂である、静電荷像現像用トナー。
  2. スチレン系化合物と水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの質量比(スチレン系化合物/水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル)が70/30以上98/2以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルである、請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. ポリエステル系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントの質量比(ポリエステル系樹脂セグメント/ビニル系樹脂セグメント)が50/50以上95/5以下である、請求項1~3いずれか記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 脂肪族ジオールが炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有する、請求項1~いずれか記載の静電荷像現像用トナー。
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