JP7124662B2 - 空調用レジスタ - Google Patents
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Description
図10において破線で示す従来例2は、コアンダ効果の発生する従来の空調用レジスタについての結果を示している。この空調用レジスタにおいて、フィンを水平な状態(振り角:0°)から、フィンの下流側ほど高くなるように、そのフィンを傾動させていくと、振り角が所定値(10°)以下のときには、指向角は振り角の増加に略比例して増加していく。空調用空気は、概ねフィンの向く方向へ吹き出される。しかし、振り角が上記所定値(10°)よりも大きくなると、コアンダ効果が効き過ぎて指向角が急激に増加する。その結果、空調用空気を、頭部等、乗員の上部の任意の箇所に向けて吹き出させることが難しい。
上記の構成によれば、下フィンが下流側ほど高くなる方向へ最大角度又は最大角度近く傾斜したとき、空調用空気のうち底壁部の近くを流れるものの一部は凹部内に入り込み、上流斜面に沿って流れた後、下方へ膨らむように湾曲する湾曲面に沿って流れることで、流れ方向を徐々に変えられながら下流斜面に導かれる。
上記の構成によれば、下流斜面が水平面に対し傾斜する角度(30°±5°)は、下フィンが最大角度傾斜した場合の角度(30°)と同程度である。下流斜面に沿って流れる空調用空気の流れ方向は、下フィンに沿って流れる空調用空気の流れ方向と略同一となる。そのため、下フィンに沿って流れる空調用空気の量が一層多くなる。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
リテーナ21は、空調装置の送風ダクト(図示略)と、上記吹出口14とを繋ぐためのものである。リテーナ21の内部空間は、送風ダクトを通じて空調装置から送られてくる空調用空気A1の流路(以下「通風路22」という)を構成している。ここで、空調用空気A1の流れ方向に関し、空調装置に近い側を「上流」、「上流側」等といい、同空調装置から遠い側を「下流」、「下流側」等というものとする。上流は車両前方と合致し、下流は車両後方と合致する。従って、上記傾斜壁部15は、下流側ほど高くなるように傾斜している。
図3~図5に示すように、下流側のフィンは、吹出口14から吹き出される空調用空気A1の上下方向における向きを変更するためのものであり、上フィン41と、その下方に配置された下フィン42とからなる。上フィン41は、通風路22の上端部分であって、上壁部26(第2シム33)に接近した箇所に配置されている。下フィン42は、上下方向における通風路22の略中央部分に配置されている。上フィン41及び下フィン42が水平状態にされたときの下フィン42と底壁部27との間隔は、上フィン41と上壁部26との間隔よりも広い。
図3~図5に示すように、上流側の各フィン51,52は、吹出口14から吹出す空調用空気A1の左右方向における向きを変更するためのものであり、複数設けられている。フィン51,52は、その主要部を構成するフィン本体53と、フィン本体53毎の一対のフィン軸54とを備えている。
各フィン本体53の上端部において、上記フィン軸54よりも上流へ偏倚した箇所には、連結ピン57が設けられている。フィン51,52毎の連結ピン57は、略左右方向へ延びる横連結ロッド58によって連結されている。上記連結ピン57及び横連結ロッド58により、全てのフィン51,52を機械的に連結し、フィン52をフィン51に連動させて傾動させる第2連動機構M2が構成されている。
操作ノブ61は、吹出口14からの空調用空気A1の吹出し方向を変更する際に乗員P1によって操作される部材である。操作ノブ61は、その主要部を構成するノブ本体62と、ノブ本体62に対し下流側から装着されるノブカバー63と、シム64とを備えている。操作ノブ61は、下フィン42のフィン本体43に対し左右方向へスライド可能に装着されている。操作ノブ61は、下フィン42と一緒に、フィン軸44を支点として傾動可能であり、また、下フィン42上をスライドすることで、左右方向へ変位可能である。シム64は、ノブ本体62に装着されており、下フィン42のフィン本体43に弾性的に接触されている。この接触により、操作ノブ61がスライドされたときにシム64とフィン本体43との間に摺動抵抗が発生し、適度な荷重が付与される。
伝達機構M3は、操作ノブ61のスライド動作をフィン51に伝達するための機構であり、フォーク65を備えている。フォーク65は、軸66によりノブ本体62に支持されている。フォーク65は、上記フィン51の伝達軸部56を左右両側から挟み込んでいる。フォーク65及びフィン51の伝達軸部56により伝達機構M3が構成されている。
図4において、操作ノブ61がフィン本体43における左右方向の中央部に位置するときには、フィン51,52が両縦壁部25に対し平行な状態(中立状態)になる。この中立状態から操作ノブ61が下フィン42に沿って左方又は右方へスライド操作されると、その操作ノブ61の動きが伝達機構M3におけるフォーク65及び伝達軸部56を通じてフィン51に伝達される。フィン51が両フィン軸54を支点として操作ノブ61のスライド方向と同方向へ傾動させられる。フィン51の傾動は、第2連動機構M2を介して他の全てのフィン52に伝達される。その結果、フィン51に連動して、他の全てのフィン52が両フィン軸54を支点としてフィン51と同方向へ傾動させられる。空調用空気A1は、フィン51,52に沿って流れる。
従って、空調用空気A1は、凹部36に入り込み、凹部36内を流れ、凹部36から出るまでの期間において、急激に流れ方向を変えられることがなくスムーズに流れる。
上記下流斜面38が水平面HSに対し傾斜する角度β(30°±5°)は、下フィン42が最大角度傾斜した場合の角度(30°)と同程度である。下流斜面38に沿って流れる空調用空気A1の流れ方向は、下フィン42に沿って流れる空調用空気A1の流れ方向と略同一となる。そのため、下フィン42に沿って流れる空調用空気A1の量が一層多くなる。
一方で、傾斜壁部15が鉛直面VSに対し30°~40°傾斜している本実施形態の空調用レジスタ20にあって、振り角が25°よりも大きく30°以下となるように、下フィン42が下側へ傾動されると、コアンダ効果が発生する。そのため、上記のように下流側ほど高くなるように傾斜する方向へ流れる空調用空気A1は、吹出口14を通過した後に、その上側の傾斜壁部15を通過する際に、同傾斜壁部15に引き寄せられる。空調用空気A1は、傾斜壁部15に沿った方向、すなわち、下流側ほど高くなる方向へ向けて流れる。
・底壁部27において下流斜面38よりも上流側の部分が、同下流斜面38の上流端と同じ高さまで下げられてもよい。この場合には、上流斜面37が省略される。
・下流斜面38は、平面によって構成されてもよいが、全体として下流側ほど高くなるように傾斜することを条件に、上方又は下方へ膨らむ湾曲面によって構成されてもよい。同様に、上流斜面37は、平面によって構成されてもよいが、全体として下流側ほど低くなるように傾斜することを条件に、上方又は下方へ膨らむ湾曲面によって構成されてもよい。
Claims (5)
- 空調用空気の通風路を有するとともに、空調用空気の流れ方向における前記通風路の下流端が、インストルメントパネルの後壁部における吹出口に連通するリテーナを備え、
前記後壁部のうち、前記吹出口の上側に隣接する箇所には、下流側ほど高くなり、かつ鉛直面に対しなす角度が30°~40°の傾斜壁部が形成され、
前記リテーナ内であって、前記吹出口の上流側には、車幅方向に延びる下フィンと、前記下フィンの上側で車幅方向に延びる上フィンとが、それぞれフィン軸により上下方向へ傾動可能に支持され、
前記リテーナの上壁部、前記上フィン、前記下フィン及び前記リテーナの底壁部の各下流端は、下方に位置するものほど上流側に位置しており、
前記下フィンは、下流側ほど高くなる方向へは、水平面に対し最大で30°傾動可能であり、
前記下フィンが水平面に対し下流側ほど高くなる方向へ最大角度傾動されたときには、前記上フィンの前記下フィンに対しなす角度が、水平状態のときよりも大きくなるように、前記上フィンを前記下フィンに連動させて傾動させる連動機構がさらに設けられ、
前記傾動機構は、前記下フィンが最大角度傾動されたときには、前記上フィンの水平面に対しなす角度が、前記下フィンの水平面に対しなす角度より大きくなるように傾動させ、
前記底壁部のうち、前記下フィンの上流端の下方には、下流側ほど高くなるように傾斜する斜面が形成されている空調用レジスタ。 - 前記下フィンが水平面に対し前記最大角度傾動されたときには、前記上フィンの前記下フィンに対しなす角度が、前記連動機構により、水平状態のときよりも最大で5°大きくされる請求項1に記載の空調用レジスタ。
- 前記斜面を下流斜面とした場合において、
前記底壁部は、下方へ凹む凹部を備えており、
前記下流斜面は、前記凹部の内底面の下流部分に形成されており、
前記凹部の内底面の前記下流斜面よりも上流には、下流側ほど低くなるように傾斜する上流斜面が形成されている請求項1又は2に記載の空調用レジスタ。 - 前記上流斜面及び前記下流斜面は、下側へ膨らむように湾曲する湾曲面により繋がれている請求項3に記載の空調用レジスタ。
- 前記下流斜面は、水平面に対し30°±5°傾斜している請求項3又は4に記載の空調用レジスタ。
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