JP7124094B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
半導体素子の微細化のために、露光光源の短波長化及び投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。
このような現状のもと、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として、種々の構成が提案されている
また、本発明は、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する、レジスト膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
活性光線又は放射線の照射により後述する一般式(I)で表される酸を発生する化合物と、樹脂と、を含む、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔2〕
後述する一般式(I)中、Rfが、トリフルオロメチル基を表す、〔1〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔3〕
後述する一般式(I)中、Xが、-COO-を表す、〔1〕又は〔2〕に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔4〕
後述する一般式(I)中、R1が、環状の有機基を有する、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔5〕
後述する一般式(I)中、R1が、脂環基を有する、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔6〕
上記後述する一般式(I)で表される酸のpKaが、-2.0以上である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔7〕
後述する一般式(I)中、R1が、フッ素原子を有さない、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔8〕
後述する一般式(I)中、R2が、フッ素原子を有さない、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔9〕
〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成された、レジスト膜。
〔10〕
〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を有する、パターン形成方法。
〔11〕
〔10〕に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
また、本発明は、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する、レジスト膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供できる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、本発明の趣旨に反しない限り、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光: Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において表記される二価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる一般式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、上記化合物は「X-O-CO-Z」であってもよく「X-CO-O-Z」であってもよい。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、単に「組成物」又は「本発明の組成物」ともいう)について説明する。
本発明の組成物は、いわゆるレジスト組成物であり、ポジ型のレジスト組成物であっても、ネガ型のレジスト組成物であってもよい。また、アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶剤現像用のレジスト組成物であってもよい。
本発明の組成物は、典型的には、化学増幅型のレジスト組成物である。
このような構成で本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推測している。
上記酸は、スルホン酸基のα炭素原子に、フルオロアルキル基と、所定の連結基を有する有機基が置換しているため、酸性度を比較的低くしやすい。また、上記酸は、嵩高い構造になるため、レジスト膜中での拡散を制御しやすい。このような特性が相まって、本発明の組成物を用いて得られるパターンのLWR性能が改善した、と推測している。
本発明の組成物は樹脂を含む。
上記樹脂は、酸分解性樹脂(以下、「樹脂A」とも言う)であるのが好ましい。
酸分解性樹脂は、通常、酸の作用により分解し極性が増大する基(以下、「酸分解性基」とも言う)を有する繰り返し単位を有する。
本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
樹脂Aは、酸分解性基を有する繰り返し単位を有するのが好ましい。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有するのが好ましい。
極性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、並びに、アルコール性水酸基等が挙げられる。
酸の作用により脱離する基(脱離基)としては、例えば、-C(R36)(R37)(R38)、-C(R36)(R37)(OR39)、及び、-C(R01)(R02)(OR39)等が挙げられる。
式中、R36~R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、アルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、アルケニル基を表す。
R36~R39、R01、及び、R02のシクロアルキル基は、単環でも、多環でもよい。単環としては、炭素数3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及び、シクロオクチル基等が挙げられる。多環としては、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及び、アンドロスタニル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の1つ以上の炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36~R39、R01、及び、R02のアリール基は、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基等が挙げられる。
R36~R39、R01、及び、R02のアラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及び、ナフチルメチル基等が挙げられる。
R36~R39、R01、及び、R02のアルケニル基は、炭素数2~8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及び、シクロへキセニル基等が挙げられる。
R36とR37とが互いに結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環又は多環)であるのが好ましい。単環のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、又は、シクロヘキシル基等が好ましく、多環のシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、又は、アダマンチル基等が好ましい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-COO-Rt-、及び-O-Rt-等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-が好ましい。Rtは、炭素数1~5の鎖状アルキレン基が好ましく、-CH2-、-(CH2)2-、又は-(CH2)3-がより好ましい。
Tは、単結合であるのがより好ましい。
Xa1は、水素原子又はアルキル基であるのが好ましい。
Xa1のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基及びハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Xa1のアルキル基は、炭素数1~4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基、及び、トリフルオロメチル基等が挙げられる。Xa1のアルキル基は、メチル基であるのが好ましい。
Rx1~Rx3のいずれか2つが結合して環構造を形成してもよく、形成しなくてもよい。
Rx1、Rx2、及び、Rx3のアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、又は、t-ブチル基等が好ましい。アルキル基の炭素数としては、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。Rx1、Rx2、及び、Rx3のアルキル基は、炭素間結合の一部が二重結合であってもよい。
Rx1、Rx2、及び、Rx3のシクロアルキル基は、単環でも多環でもよい。単環のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等が挙げられる。
また、Rx1、Rx2、及び、Rx3の2つが結合して形成する環としては、下記に示す環も好ましい。
樹脂Aは、酸分解性基を有する繰り返し単位を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。2種以上有する場合は、その合計含有量が上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
樹脂Aは、ラクトン構造、スルトン構造、及び、カーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を有するのが好ましい。
ビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で5~7員環ラクトン環に他の環が縮環しているラクトン構造も好ましい。ビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で5~7員環スルトン環に他の環が縮環しているスルトン構造も好ましい。
中でも、一般式(LC1-1)、一般式(LC1-4)、一般式(LC1-5)、一般式(LC1-8)、一般式(LC1-16)、一般式(LC1-21)、若しくは、一般式(LC1-22)で表されるラクトン構造、又は、一般式(SL1-1)で表されるスルトン構造が好ましい。
Aは、エステル結合(-COO-で表される基)又はアミド結合(-CONH-で表される基)を表す。
R0のアルキレン基又はシクロアルキレン基は置換基を有してもよい。
中でもZは、エーテル結合又はエステル結合が好ましく、エステル結合がより好ましい。
中でも、一般式(LC1-1)~(LC1-22)で表される構造及び、一般式(SL1-1)~(SL1-3)で表される構造のいずれかにおいて、ラクトン構造又はスルトン構造を構成する炭素原子1つから、水素原子を1つ除いてなる基であるのが好ましい。なお、上記水素原子を1つ除かれる炭素原子は、置換基(Rb2)を構成する炭素原子ではないのが好ましい。
下記の例示において、ビニル基に結合するメチル基は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に置き換えられてもよい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(A-1)で表される繰り返し単位が好ましい。
nは0以上の整数を表す。
RA 2は、置換基を表す。nが2以上の場合、複数存在するRA 2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の-O-CO-O-で表される基と共に単環又は多環を形成する原子団を表す。
樹脂Aは、ラクトン構造、スルトン構造、及び、カーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。2種以上有する場合は、その合計含有量が上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
樹脂Aは、上述した繰り返し単位とは別に、極性基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、及び、フッ素化アルコール基等が挙げられる。
極性基を有する繰り返し単位としては、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位が好ましい。また、極性基を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないのが好ましい。極性基で置換された脂環炭化水素構造における、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基又はノルボルナン基が好ましい。
樹脂Aが極性基を有する繰り返し単位を有する場合、極性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂A中の全繰り返し単位に対して、5~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、10~25モル%が更に好ましい。
樹脂Aは、極性基を有する繰り返し単位を、1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。2種以上有する場合は、その合計含有量が上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
樹脂Aは、上述した繰り返し単位とは別に、更に、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を有していてもよい。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位は、脂環基等の脂環炭化水素構造を有するのが好ましい。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位としては、例えば、米国特許出願公開2016/0026083A1号明細書の段落[0236]~[0237]に記載された繰り返し単位が挙げられる。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位に相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
樹脂Aが酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を有する場合、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位の含有量は、樹脂A中の全繰り返し単位に対して、5~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、5~25モル%が更に好ましい。
樹脂Aは、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。2種以上有する場合は、その合計含有量が上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
このような繰り返し構造単位としては、所定の単量体に相当する繰り返し構造単位が挙げられるが、これらに限定されない。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物を用いてもよい。
樹脂Aにおいて、各繰り返し構造単位の含有モル比は、種々の性能を調節するために適宜設定される。
(メタ)アクリル酸エステル系樹脂(又はメタクリル酸エステル系樹脂)は、樹脂Aの全繰り返し単位に対して、(メタ)アクリレート系繰り返し単位(又はメタクリレート系繰り返し単位)の含有量が80モル%以上であり、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上が更に好ましい。
樹脂Aは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されていてもよい。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であってもよく、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であってもよく、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位との組み合わせであってもよい。中でも、アクリレート系繰り返し単位の含有量は、樹脂Aの全繰り返し単位に対して50モル%以下が好ましい。
本発明の組成物がKrF露光用、EB露光用、又は、EUV露光用であるとき、樹脂Aは、フェノール性水酸基の水素原子が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有するのが好ましい。
この場合、樹脂Aに含まれる芳香族炭化水素基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂A中の全繰り返し単位に対して、30~100モル%が好ましく、40~100モル%がより好ましく、50~100モル%が更に好ましい。
樹脂Aの組成物中の含有量は、組成物中の全固形分に対し、通常20質量%以上で、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
組成物が樹脂Aを2種以上使用する場合は、その合計含有量が上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
なお、固形分とは、組成物中の溶剤を除いた成分を意図し、溶剤以外の成分であれば液状成分であっても固形分とみなす。
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)であって、発生する酸が後述する一般式(I)で表される酸である光酸発生剤を含む。
一般式(I)で表される酸を発生する光酸発生剤を、以下、特定光酸発生剤ともいう。
特定光酸発生剤から発生する酸のpKaの上限に特に制限はないが、2.00以下が好ましい。
特定光酸発生剤から発生する酸は、下記一般式(I)で表される化合物である。
フルオロアルキル基は、置換基としてフッ素原子を1つ以上有するアルキル基であり、フッ素原子を1つ以上有する限り、上記アルキル基は、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
Rfのフルオロアルキル基は、アルキル基が有する水素原子の30モル%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60モル%以上がフッ素原子で置換されているのがより好ましく、90モル%以上がフッ素原子で置換されているのが更に好ましい。中でも、Rfのフルオロアルキル基は、アルキル基が有する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であるのが特に好ましい。
Rfのフルオロアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を有していてもよい。
Rfのフルオロアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、1が更に好ましい。
Rfのフルオロアルキル基が有するフッ素原子の数は、1~10が好ましい。
中でも、Rfは、トリフルオロメチル基が好ましい。
一般式(I)中、Xは、-COO-、-O-、-CO-、-S(O)n-、-CS-、-NR3-、又は、これらの組み合わせからなる基を表す。
-NR3-におけるR3は、水素原子又は有機基(アルキル基が好ましい。炭素数1~3が好ましい)を表す。
-S(O)n-におけるnは、0~3の整数を表す。例えば、n=0の場合、-S(O)n-は-S-を表し、n=1の場合、-S(O)n-は-SO-を表し、n=2の場合、-S(O)n-は-SO2-を表し、n=3の場合、-S(O)n-は-SO3-を表す。
上記組み合わせからなる基としては、例えば、-NR3-CO-が挙げられる。
また、上記組み合わせからなる基は、-COO-及び-S(O)n-以外の基であるのが好ましい。
中でも、Xは、-COO-が好ましい。なお、-COO-の結合の向きはいずれでもよく、例えば、-COO-中のカルボニル基部分がR2と結合していてもよいし、-COO-中のエーテル基部分がR2と結合していてもよい。
また、tが1である場合、Xは、-S(O)n-又は-NR3-が好ましい。
R1の有機基は、環状の基を有するのが好ましい。R1の有機基が環状の基を有する場合、R1は環状の基を一部分に含んでいてもよいし、R1が環状の基そのものであってもよい。
上記環状の基は、単環でも多環でもよい。上記環状の基の炭素数は、3~20が好ましく、5~15がより好ましく、6~10が更に好ましい。上記環状の基が有してもよい置換基が有する炭素原子の数は、上記環状の基の炭素数に含まない。上記環状の基は、芳香族性を有してもよく有していなくてもよく、有していないのが好ましい。
上記環状の基は、環状の有機基であるのが好ましく、脂環基等であるのがより好ましい。
上記環状の基としては、シクロヘキシル基及びアダマンチル基が好ましい。
また、R1はフッ素原子を有さないのが好ましい。
R4及びR5が複数存在する場合、R4及びR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R4及びR5で表されるアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子以外の置換基)を有していてもよく、炭素数1~4が好ましい。
2価の連結基としては、例えば、-COO-、-CONH-、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)、及び、これらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び、複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環であってもよく、多環であってもよい。単環の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。
複素環基は、単環であってもよく、多環であってもよい。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環基としては、例えば、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾフラン環基、ジベンゾチオフェン環基、及び、ピリジン環基が挙げられる。芳香族性を有していない複素環基としては、例えば、テトラヒドロピラン環基、ラクトン環基、スルトン環基、及び、デカヒドロイソキノリン環基が挙げられる。
なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)は、一つ以上がカルボニル炭素で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
R2の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、脂環基、アリール基、及び、複素環基が挙げられる。
上記有機基としてのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、炭素数としては、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、又は、t-ブチル基が好ましい。
上記有機基としてのアルケニル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、炭素数としては、2~10が好ましく、2~5がより好ましい。アルケニル基としては、例えば、上記アルキル基の例として挙げた基において、1つ以上のエチレン基(又はエチル基)が、ビニレン基(又はビニル基)に置き換わった基が好ましい。
上記有機基としての脂環基、アリール基、及び、複素環基は、例えば、上述のWにおける脂環基、アリール基、及び、複素環基が同様に好ましい。
また、R2はフッ素原子を有さないのが好ましい。
中でも、特定光酸発生剤は、アニオンとカチオンとを有するオニウム塩化合物であるのが好ましい。
特定光酸発生剤は、一般式(ZaI)で表される化合物(化合物(ZaI))又は一般式(ZaII)で表される化合物(化合物(ZaII))が好ましい。
R201、R202、及び、R203は、それぞれ独立に、有機基を表す。
R201、R202、及び、R203としての有機基の炭素数は、通常1~30であり、1~20が好ましい。また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)、及び、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-が挙げられる。
なお、特定光酸発生剤は、一般式(ZaI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZaI)で表される化合物のR201~R203の少なくとも1つと、一般式(ZaI)で表されるもうひとつの化合物のR201~R203の少なくとも1つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
化合物(ZaI-1)は、上記一般式(ZaI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
また、R201~R203のうちの1つがアリール基であり、R201~R203のうちの残りの2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、1つ以上のメチレン基が酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、及び/又は、カルボニル基で置換されていてもよいアルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基、又は、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-)が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及び、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は、炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及び、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記置換基は可能な場合さらに置換基を有していてもよく、例えば、上記アルキル基が置換基としてハロゲン原子を有して、トリフルオロメチル基などのハロゲン化アルキル基となっていてもよい。
化合物(ZaI-2)は、式(ZaI)におけるR201~R203が、それぞれ独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
R201~R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1~30であり、炭素数1~20が好ましい。
R201~R203は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又は、ビニル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又は、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基が更に好ましい。
R201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又は、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(ZaI-3b)は、下記一般式(ZaI-3b)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
R1c~R5cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基、又は、アリールチオ基を表す。
R6c及びR7cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(t-ブチル基等)、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アリール基を表す。
Rx及びRyは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又は、ビニル基を表す。
上記環としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族のヘテロ環、及び、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環としては、3~10員環が挙げられ、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
R5cとR6c、及び、R5cとRxが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基及びエチレン基等が挙げられる。
Zac-は、一般式(ZaI)中の「R2-X-(CH2)t-C(Rf)(R1)-SO3 -」と同義である。
化合物(ZaI-4b)は、下記一般式(ZaI-4b)で表される化合物である。
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、シクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R14は、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又は、シクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14は、複数存在する場合はそれぞれ独立して、水酸基等の上記基を表す。
R15は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又は、ナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成するのが好ましい。
Za-は、一般式(ZaI)中の「R2-X-(CH2)t-C(Rf)(R1)-SO3 -」と同義である。
一般式(ZaII)中、R204及びR205は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204及びR205のアリール基としてはフェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204及びR205のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は、硫黄原子等を有するヘテロ環を有するアリール基であってもよい。ヘテロ環を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及び、ベンゾチオフェン等が挙げられる。
R204及びR205のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又は、ペンチル基)、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、又は、ノルボルニル基)が好ましい。
一般式(ZaII)中の「R2-X-(CH2)t-C(Rf)(R1)-SO3 -」はアニオンであり、一般式(ZaI)中の「R2-X-(CH2)t-C(Rf)(R1)-SO3 -」と同義である。
特定光酸発生剤は、低分子化合物の形態であるのが好ましい。
特定光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
特定光酸発生剤の含有量は、組成物の固形分1gに対して、0.01~1.00mmolが好ましく、0.05~0.70mmolがより好ましく、0.10~0.40mmolが更に好ましい。
特定光酸発生剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
本発明の組成物は、酸拡散制御剤を含むのが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤(特定光酸発生剤を含む)等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用する。
酸拡散制御剤としては、例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、及び、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)が挙げられる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]~[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]~[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]~[0423]、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]~[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤として好適に使用できる。
塩基性化合物(DA)としては、好ましくは、下記式(A)~(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
R200、R201、及び、R202は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又は、アリール基(炭素数6~20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205、及び、R206は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、炭素数1~20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)(以下、「化合物(DB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
R-B-X-A-W1-N--W2-Rf [C+] (c-1)
W1及びW2は、それぞれ独立に、-SO2-又は-CO-を表す。
Rfは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、単結合、-SO2-、又は、-CO-を表す。
Bは、単結合、酸素原子、又は、-N(Rx)Ry-を表す。
Rxは、水素原子又は有機基を表す。
Ryは、単結合又は2価の有機基を表す。
Rは、プロトンアクセプター性官能基を有する1価の有機基を表す。
Rxは、Ryと結合して環を形成していてもよく、Rと結合して環を形成していてもよい。
[C+]は、カウンターカチオンを表す。
Rxにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1~20の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、及び/又は、窒素原子を有していてもよい。
なお、置換基を有するアルキル基として、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基にシクロアルキル基が置換した基(例えば、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、及び、カンファー残基等)が挙げられる。
Rxにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、炭素数3~20のシクロアルキル基が好ましい。また、シクロアルキル基の環内に酸素原子を有していてもよい。
Rxにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6~14のアリール基である。
Rxにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7~20のアラルキル基が挙げられる。
Rxにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、Rxとして挙げたアルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
なお、プロトンアクセプター性官能基としては、窒素原子を有する官能基が好ましく、1~3級アミノ基を有する基、又は、含窒素ヘテロ環基がより好ましい。これら構造においては、構造中に含まれる窒素原子に隣接する原子の全てが、炭素原子又は水素原子であるのが好ましい。また、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及び、ハロゲン原子等)が直結していないのが好ましい。
このようなプロトンアクセプター性官能基を含む1価の有機基(基R)における一価の有機基としては、好ましい炭素数は2~30であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等を挙げられ、各基は置換基を有していてもよい。
本発明の組成物では、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)(以下、「化合物(DC)」ともいう。)を酸拡散制御剤として使用できる。
光酸発生剤と、酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合に、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活するため酸拡散の制御できる。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C-1)~(C-3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
R1、R2、及びR3は、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
L1は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
-X-は、-COO-、-SO3 -、-SO2 -、及び、-N--R4からなる群から選択されるアニオン部位を表す。R4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(-CO-)、スルホニル基(-SO2-)、及びスルフィニル基(-SO-)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、及び、L1は、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C-3)において、R1~R3のうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であるのが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又は、ヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100~1000が好ましく、100~700がより好ましく、100~500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d-1)で表すことができる。
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又は、アルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、それぞれ独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素環、芳香族炭化水素環、複素環式炭化水素環、及び、その誘導体等が挙げられる。
一般式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造を挙げることができるが、これに限定されない。
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、それぞれ独立に、Rbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体的な構造としては、例えば、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられる。
カチオンに窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)(以下、「化合物(DE)」ともいう。)は、カチオンに窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であるのが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であるのが好ましく、脂肪族アミノ基であるのがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であるのが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及び、ハロゲン原子など)が直結していないのが好ましい。
化合物(DE)の好ましい具体的な化合物としては、例えば、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物を挙げられる。
組成物が酸拡散制御剤を含む場合、酸拡散制御剤の含有量は、組成物の固形分1gに対して、0.01~1.00mmolが好ましく、0.02~0.30mmolがより好ましく、0.03~0.20mmolが更に好ましい。
本発明の組成物は、疎水性樹脂を含んでいてもよい。なお、疎水性樹脂は、樹脂Aとは異なる樹脂であるのが好ましい。
本発明の組成物が、疎水性樹脂を含む場合、レジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)の表面における静的、及び/又は、動的な接触角を制御しやすい。これにより、現像特性の改善、アウトガスの抑制、液浸露光における液浸液追随性の向上、及び、液浸欠陥の低減等が可能となる。
疎水性樹脂は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されるのが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性物質及び非極性物質を均一に混合するのに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解する基
酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、又は、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位としては、例えば、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。又は、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂Aの項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様の繰り返し単位が挙げられる。
疎水性樹脂は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂を混合して使用するのも、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
疎水性樹脂の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01~10質量%が好ましく、0.03~8.0質量%がより好ましく、0.10~1.0質量%が更に好ましい。2種以上の疎水性樹脂を使用する場合は、その合計含有量が上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
本発明の組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]~[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]~[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]~[0426]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]~[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
水酸基を有する溶剤、及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は、乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は、酢酸アルキル等が好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は、酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、又は、2-ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)は、1/99~99/1が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~60/40が更に好ましい。水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むのが好ましい。この場合、溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤でもよい。
組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性又は製膜性を向上させて、本発明の組成物からなるレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)の膜厚を調整できる。
本発明の組成物は、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1質量%がより好ましい。
界面活性剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。界面活性剤を2種以上使用する場合は、その合計含有量が上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
一方、界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10質量ppm以上とすれば、疎水性樹脂の表面偏在性が上がる。それにより、レジスト膜の表面をより疎水的にでき、液浸露光時の水追随性が向上する。
本発明の組成物は、更に、上述した以外の樹脂、架橋剤、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤、又は、溶解促進剤等を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤(好ましくは上記混合溶剤)に溶解し、これをフィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いるのが好ましい。
フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。また、組成物の固形分濃度が高い場合(例えば、25質量%以上)は、フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは3μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又は、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルター濾過においては、例えば日本国特許出願公開第2002-62667号明細書(特開2002-62667)に開示されるように、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は、平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及び、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
本発明は上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法にも関する。以下、本発明のパターン形成方法について説明する。また、パターン形成方法の説明と併せて、本発明のレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)についても説明する。
(i)上述した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)を支持体上に形成する工程(レジスト膜形成工程(成膜工程))、
(ii)上記レジスト膜を露光する(活性光線又は放射線を照射する)工程(露光工程)、及び、
(iii)上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)、
を有する。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むのが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むのが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
また、必要に応じて、レジスト膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、及び、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜を構成する材料としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜使用できる。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用できる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むのが好ましい。
上述した疎水性樹脂を含むレジスト膜の上層に保護膜を形成してもよい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行え、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
更に、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は、界面活性剤を適当量含んでいてもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10~15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10~300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整できる。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明した溶剤と同様の溶剤が挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含むリンス液がより好ましい。
1価アルコールは炭素数5以上であるのも好ましく、このような例としては、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、及び、メチルイソブチルカルビノール等が挙げられる。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすれば、良好な現像特性が得られる。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス液は、界面活性剤を適当量含んでいてもよい。
フィルター濾過のほか、吸着材を用いて不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を使用でき、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は、活性炭等の有機系吸着材を使用できる。金属吸着材としては、例えば、日本国特許出願公開第2016-206500号明細書(特開2016-206500)に開示される材料が挙げられる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。レジスト成分の各種材料(バインダー、PAG等)を合成する製造設備の全工程にグラスライニングの処理を施すのも、pptオーダーまでメタルを低減するために好ましい。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991-270227号明細書(特開平3-270227)、及び、米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び、通信機器等)に、好適に搭載される。
以下に、実施例又は比較例で用いた感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下「組成物」ともいう)が含む成分を示す。
組成物の製造に使用した酸分解性樹脂(樹脂A)を以下に示す。
各樹脂の繰り返し単位に付された数字は、各繰り返し単位のモル分率を示す。また、各樹脂の重量平均分子量(Mw)、及び、分散度(Mw/Mn)についても示す。
(PAG-1)
PAG-1は、下記スキームに従って合成した。
得られた化合物(2)全量を、水(60mL)及びクロロホルム(60mL)の混合液に懸濁させて反応溶液とした。この反応溶液に、更に、トリフェニルスルホニウムブロミド(4.9g)を加え、室温で1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートに移し、有機相を水(20mL)で3回洗浄した。有機相をエバポレーターで濃縮し、化合物(3)(6.0g)を得た。
得られた化合物(3)全量を、クロロホルム(60mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(1.1g)を加えて、反応溶液とした。この反応溶液に、更に、シクロヘキサンカルボニルクロリド(2.2g)を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液に水(60mL)を加えた後、分液ロートに移し、有機相を水(20mL)で3回洗浄した。有機相をエバポレーターで濃縮し、PAG-1(4.7g)を得た。
PAG-1の合成方法を参照にPAG-2~PAG-20を合成した。
下記光酸発生剤のうち、PAG-1~PAG-20が特定光酸発生剤に該当する。
組成物の調製に使用した酸拡散制御剤を以下に示す。
組成物の調製に使用した疎水性樹脂を以下に示す。
各疎水性樹脂の繰り返し単位に付された数字は、各繰り返し単位のモル分率を示す。また、各樹脂の重量平均分子量(Mw)、及び、分散度(Mw/Mn)についても示す。
組成物の調製に使用した溶剤を以下に示す。
SL-1: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)
SL-2: プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:1-メトキシ-2-プロパノール)
SL-3: γ-ブチロラクトン
後段の表2に記載の配合を満たし、かつ、固形分濃度3.8質量%となるように、後段の表に示す各成分を溶剤に溶解させ、溶液を調製した。
次いで、得られた溶液を0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して、組成物(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物)を調製した。
<パターンの形成>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜形成用組成物ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚95nmの反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜上に組成物を塗布し、100℃で60秒間にベーク(PB:Prebake)を行い、膜厚85nmのレジスト膜を形成した。得られたウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C-Quad、アウターシグマ0.900、インナーシグマ0.812、XY偏向)を用い、線幅44nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を用いた。その後、105℃で60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、有機系現像液(酢酸ブチル)で30秒間パドルして現像し、リンス液(メチルイソブチルカルビノール(MIBC))で30秒間パドルしてリンスした。続いて、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させて、線幅44nmの1:1ラインアンドスペースのパターンを形成した。
得られた線幅44nmの1:1ラインアンドスペースパターンについて、測長走査型電子顕微鏡(SEM((株)日立製作所S-8840))にてパターン上部から観察した。
ラインパターンの長手方向のエッジ2μmの範囲について、線幅を50ポイント測定し、その測定ばらつきについて標準偏差を求め、3σ(nm)を算出し、この値をLWR(nm)とした。得られたLWR(nm)を下記基準に当てはめて区分し、LWR性能を評価した。
LWR(nm)の値が小さいほど良好なLWR性能であることを示す。
「3」:3.3nm≦LWR<3.5nm
「2」:3.5nm≦LWR<3.7nm
「1」:3.7nm≦LWR
組成物の配合、及び、それらの組成物を用いて行った評価の結果を下記表に示す。
「固形分」の欄中における、各成分名の下に記載された数字は、各成分の添加量(「g」又は「mmol」)を示す。なお、各組成物において、樹脂は10g、光酸発生剤は3mmol、酸拡散制御剤は1mmol、疎水性樹脂は0.05g添加した。溶剤は、各溶剤を表中に示す質量比で添加した。
表中「Rf」の欄は、各組成物における特定光酸発生剤が発生する酸を、一般式(I)に当てはめた場合において、Rfに相当する基の構造を示す。
表中「X」の欄は、各組成物における特定光酸発生剤が発生する酸を、一般式(I)に当てはめた場合において、Xに相当する基が「-COO-」であるか否かを示す。上記要件を満たす場合はAと記載し、要件を満たさない場合はBと記載した。
また、特定光酸発生剤が発生する酸のRfに相当する基が、トリフルオロメチル基である場合、得られるパターンのLWRがより優れることが確認された(実施例15と16との比較等)。
また、特定光酸発生剤が発生する酸のXに相当する基が、-COO-である場合、得られるパターンのLWRがより優れることが確認された(実施例2と7との比較等)。
Claims (9)
- Rfが、トリフルオロメチル基を表す、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- R1が、脂環基を有する、請求項1または2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 前記一般式(I)で表される酸のpKaが、-2.00以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- R1が、フッ素原子を有さない、請求項1~4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- R2が、フッ素原子を有さない、請求項1~5のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成された、レジスト膜。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
前記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程と、を有する、パターン形成方法。 - 請求項8に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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