JP7117825B2 - ヘリカルブローチ及びブローチ加工方法 - Google Patents
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Description
このようなヘリカル内歯車の加工に用いられるヘリカルブローチとして、例えば下記特許文献1には、図5に示すように、軸状とされた当該ヘリカルブローチの外周部に、径方向外周側に突出する複数の切刃101が、先端側から後端側に向けて軸線回りに捩れる螺旋状に配列され、複数の切刃のうち先端側の切刃はブローチ本体102と一体に形成された荒刃(外径上がり刃)103とされ、後端側の切刃はブローチ本体102とは別に設けられたシェル104と一体に形成された仕上げ刃(歯厚上がり刃)105とされ、仕上げ刃105のうち先端側の仕上げ刃105Aは、図6に示すように、ヘリカルブローチの先端側を向くすくい面とブローチ本体の周方向のうちいずれか一方側を向く側面との交差稜線部に切削刃105Aaが形成されるとともに、この切削刃105Aaとは反対側の側面と前記すくい面との交差稜線部がガイド刃105Abとされ、仕上げ刃105のうち後端側の仕上げ刃105Bは、ヘリカルブローチの先端側を向くすくい面と前記ブローチ本体の周方向のうち他方側を向く側面との交差稜線部に切削刃105Baが形成されるとともに、この切削刃105Baとは反対側の側面と前記すくい面との交差稜線部がガイド刃105Bbとされたものが提案されている。
すなわち、前者の技術では、仕上げ刃105(105A、105B)によってワークの歯形に対しその歯厚を順次漸増する加工を行なう際に、歯形の一方の側面を切削加工する工程と、歯形の他方の側面を切削加工する工程とを別々に行なっているため、工程が複雑になり、その分加工時間が長くなっていた。これは、仕上げ刃105がブローチ本体102とは別に設けられたシェル104と一体に形成されており、加工時に把持手段によって先端部102Aを把持されて回転位置を拘束されるブローチ本体102に対し、仕上げ刃105がシェル104とともにブローチ本体102への嵌合時の隙間ぶんガタつくことから、加工精度をあげるには、歯形の一方の側面を切削加工する工程と歯形の他方の側面を切削加工する工程を別々にもつ必要があるためである。
加えて、鋭角側に切削刃を有する歯厚上がり刃と鈍角側に切削刃を有する歯厚上がり刃を別々に設ける必要がないため、歯厚上がり刃の配置スペースが小さくなり、その分ブローチ本体の全長が短くなる。
また、歯厚上がり刃がブローチ本体に直接形成された一体形のヘリカルブローチであるため、加工時に把持手段によって位置を拘束されるブローチ本体に対して歯厚上がり刃がガタつくことがないので、高精度の加工が行なえる。
歯厚上がり刃の鋭角側の切削刃の側面逃げ角θa及び鈍角側の切削刃の側面逃げ角θbをそれぞれ前記のように設定することで、当該外径上がり刃の鋭角側と鈍角側の双方の切削刃の切れ味のバランスが良好となる。
そして、この刃溝5Aが捩れる向きは、本実施形態ではブローチ本体1の先端側から後端側に向けて前記切刃5の列が捩れる向きとは反対向きとされており、すなわち図1に示すように側面視における刃溝5Aの前記ブローチ本体1の軸線Oaに対するねじれ角αの方向が、切刃5の列の前記ブローチ本体1の軸線Oaに対するねじれ角βの方向と逆方向とされている。本実施形態では、軸線Oa方向に沿ってブローチ本体1の先端側から見たときに、切刃5の列は後端側に向けて時計回り方向に捩れているのに対し、刃溝5Aは後端側に向けて反時計回り方向に捩れている。なお、側面視において切刃5の列が軸線Oaに対してなすねじれ角βは、刃溝5Aが軸線Oaに対してなすねじれ角αよりも小さく設定されている。
なお、図2において縦軸のスケールは横軸のスケールの10倍程度であり、歯厚上がり刃の形状を容易に把握できるように誇張して表している。
すなわち、歯厚上がり刃7は、左右両側にそれぞれ切削刃7B、7Cを有しており、背景技術で説明したようなガイド刃を有していない。
ここで、鋭角側、鈍角側とは、リードLと刃溝5Aとのなす角度を基準に定めるものであって、図3、図4において切刃5(刃厚上がり刃7)の左側が鋭角側、右側が鈍角側と定める。
ブローチ本体1を先端側からワークWに予め形成した加工穴に挿入し、該ブローチ本体1を、先端側の掴み部2を把持しながら、上記リードLに沿ってワークWに対し相対的に前進させつつ回転させる。これにより、まず外径上がり刃6によって所定の深さまで達する捩れ溝を形成する。
つまり、歯厚上がり刃7の鋭角側の切削刃7Bと鈍角側の切削刃7Cにより、ワークWの捩れ溝の左右の側面を同時に切削加工する。この結果、背景技術で説明したような、歯の一方の側面を切削加工する工程と、歯の他方の側面を切削加工する工程とを別々に行なう場合に比べて、加工時間を短縮することができる。
これに対して、前記刃溝5Aが捩れる向きを、切刃5の列が捩れる向きと同じ向きとすると、例えば、外径上がり刃6によってワークWを切削する際に、切屑が切刃5に対しほぼ法線方向に延びて形成されるため、該切屑がワークWの鈍角側の側面と干渉することとなり、切屑の排出が良好に行なわれなくなる。
例えば、本実施形態では、本発明をオフノルマルタイプの一体型ヘリカルブローチに適用した例について説明したが、これに限られることなく、本発明は、ノルマルタイプ、あるいは上述した軸直タイプのヘリカルブローチにも適用可能である。
4 切刃部
5 切刃
6 外径上がり刃
7 歯厚上がり刃
7A すくい面
7B 鋭角側の切削刃
7C 鈍角側の切削刃
θa 鋭角側の切削刃7Bの側面逃げ角
θb 鈍角側の切削刃7Cの側面逃げ角
Oa ブローチ本体1の軸線
Ob ブローチ本体1の軸線Oaに直交する基準面
L 切刃5の列のリード
Claims (2)
- 軸状のブローチ本体の外周部に、径方向外周側に突出する複数の切刃が前記ブローチ本体と一体に形成され、しかも、これら切刃が列をなして、ブローチ本体の先端側から後端側に向けて該ブローチ本体の軸線回りに捩れて螺旋状に、かつ、複数の前記切刃の列が周方向に互いに間隔をあけて配列され、これら切刃によりワークの加工穴内周に所定のリードの捩れ溝を形成する一体形のヘリカルブローチであって、
複数の前記切刃のうちブローチ本体先端側の複数の切刃はワークの歯形を歯丈方向に切削する外径上がり刃とされ、かつ、ブローチ本体後端側の複数の切刃はワークの歯形を歯厚方向に切削する歯厚上がり刃とされ、
個々の前記歯厚上がり刃は、ブローチ本体先端側を向くすくい面と前記ブローチ本体の周方向のうち鋭角側の側面との交差稜線部と、前記すくい面と前記ブローチ本体の周方向のうち鈍角側の側面との交差稜線部の両方に切削刃を有しており、
前記列をなす前記切刃の間に形成される刃溝は、前記ブローチ本体の先端側から後端側に向けて前記切刃の列が捩れる向きとは反対側に捩れるように螺旋状に延び、または前記軸線に直交する基準面に沿って延びるように形成されており、
前記歯厚上がり刃の鋭角側の切削刃の側面逃げ角θaが5′≦θa≦45′に設定され、かつ、前記歯厚上がり刃の鈍角側の切削刃の側面逃げ角θbが5′≦θb≦45′に設定されていることを特徴とするヘリカルブローチ。 - 請求項1に記載のヘリカルブローチによりワークの加工穴内周に捩れ溝を形成するブローチ加工方法であって、
前記外径上がり刃によって前記ワークの歯形を歯丈方向に切削して該ワークの歯形の歯丈が所定高さとなるように切削加工し、
次いで、前記歯厚上がり刃の鋭角側の切削刃と鈍角側の切削刃によって前記ワークの歯形の左右の側面を同時に加工して、ワークの歯形の歯厚を所定の厚さとなるように加工することを特徴とするブローチ加工方法。
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JP2017189827A JP2017189827A (ja) | 2017-10-19 |
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Citations (4)
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JP2514519Y2 (ja) | 1990-06-28 | 1996-10-23 | 株式会社不二越 | インターナルヘリカルブローチ |
JP2005144639A (ja) | 2003-11-19 | 2005-06-09 | Nachi Fujikoshi Corp | 高精度歯厚上がり仕上げ刃を有するヘリカルブローチ。 |
JP2012045680A (ja) | 2010-08-27 | 2012-03-08 | Mitsubishi Materials Corp | ヘリカルブローチ |
JP2016034678A (ja) | 2014-08-01 | 2016-03-17 | 三菱マテリアル株式会社 | ブローチおよびブローチ加工方法 |
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2016
- 2016-04-11 JP JP2016079155A patent/JP7117825B2/ja active Active
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