JP7113039B2 - 銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 - Google Patents
銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7113039B2 JP7113039B2 JP2020019213A JP2020019213A JP7113039B2 JP 7113039 B2 JP7113039 B2 JP 7113039B2 JP 2020019213 A JP2020019213 A JP 2020019213A JP 2020019213 A JP2020019213 A JP 2020019213A JP 7113039 B2 JP7113039 B2 JP 7113039B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copper alloy
- alloy sheet
- sheet material
- rolling
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Conductive Materials (AREA)
Description
(1)NiおよびCoの1種以上を合計で1.0~5.0質量%、ならびにSiを0.1~1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有し、導電率が38%IACS以上であり、圧延平行方向、圧延方向に対し45°の方向、および圧延垂直方向の各方向にそれぞれ切り出した3種類の試験片について、引張試験を行なうことによって得られた公称応力-公称歪曲線から求められる値と、電子後方散乱回折(EBSD)法によって得られたCube方位面積率の値を、下記(1)式に代入して、パラメータAx(x:0°、45°、90°)の各方向の値A0°、A45°およびA90°を求め、求めた前記各方向の値A0°、A45°およびA90°を、下記(2)式に代入して算出される算術平均値Aave.が、4.0~13.0GPa・%の範囲であることを特徴とする銅合金板材。
(5)上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材を絞り加工して得られた絞り加工品。
(6)上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材または上記(5)に記載の絞り加工品を用いて作製された電気・電子部品用部材。
(7)上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材または上記(5)に記載の絞り加工品を用いて作製された電磁波シールド材。
(8)上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材または請求項5に記載の絞り加工品を用いて作製された放熱部品。
(9)上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の銅合金板材の製造方法であって、銅合金素材に、鋳造[工程1]、均質化処理[工程2]、熱間圧延[工程3]、面削[工程4]、冷間圧延[工程5]、溶体化熱処理[工程6]、中間熱処理[工程7]、仕上げ冷間圧延[工程8]、矯正[工程9]、および調質焼鈍[工程10]を順次施し、前記仕上げ冷間圧延[工程8]における圧延時の材料の最大温度TRを、75℃以上100℃以下に制御し、前記矯正[工程9]における材料の伸び率δを、0.1~1.0%とし、そして、前記調質焼鈍[工程10]の材料温度TA(℃)を、前記伸び率δとの関係で下記(5)式に示す不等式の関係を満たすように制御することを特徴とする銅合金板材の製造方法。
55×δ+450≧TA≧55×δ+350 ・・・(5)
本発明に従う銅合金板材は、NiおよびCoの1種以上を合計で1.0~5.0質量%、ならびにSiを0.1~1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有し、導電率が38%IACS以上であり、圧延平行方向、圧延方向に対し45°の方向、および圧延垂直方向の各方向にそれぞれ切り出した3種類の試験片について、引張試験を行なうことによって得られた公称応力-公称歪曲線から得られる値と、電子後方散乱回折(EBSD)法によって得られたCube方位面積率の値を、下記(1)式に代入して、パラメータAx(x:0°、45°、90°)の各方向の値A0°、A45°およびA90°を求め、求めた前記各方向の値A0°、A45°およびA90°を、下記(2)式に代入して算出される算術平均値Aave.が、4.0~13.0GPa・%の範囲である。
まず、本発明の銅合金板材の組成を限定した理由について説明する。
本発明の銅合金板材は、NiおよびCoの1種以上を合計で1.0~5.0質量%、ならびにSiを0.1~1.5質量%含有させたものである。
Ni(ニッケル)およびCo(コバルト)は、銅合金板材の強度を高めるために必要な元素であり、NiおよびCoの1種以上を合計で1.0~5.0質量%含有することが必要である。NiおよびCoの1種以上の合計含有量が1.0質量%未満だと、材料強度が低下し、絞り加工によって製造される絞り加工品であるシールドケース等の電子部品に必要な強度が得られない。また、NiおよびCoの1種以上の合計含有量が5.0質量%よりも多いと、後述する溶体化熱処理[工程6]において、NiやCoが固溶しきれずに第二相として金属組織(マトリックス)中に残存するようになり、その後に行なう、後述する中間熱処理[工程7]において、発現するはずの強度向上には寄与しないばかりか、地金コストの上昇を招くことになるからである。このため、NiおよびCoの1種以上の合計含有量は1.0~5.0質量%の範囲とする。
Si(ケイ素)は、NiやCoと化合物を形成し、銅合金板材の強度を高めるために必要な元素であり、Siを0.1~1.5質量%含有させることが必要である。Si含有量が0.1質量%未満だと、NiやCoとともに形成する化合物量が低下し、材料強度が低下するからである。また、Si含有量が1.5質量%よりも多いと、銅合金板材の熱伝導率が低下して放熱性が悪くなるからである。このため、Si含有量は0.1~1.5質量%の範囲とする。
Sn(スズ)は、銅合金を固溶強化する効果が高い元素であり、0.1質量%以上添加することが好ましいが、0.45質量%よりも添加量が多くなると、導電率を低下させる傾向がある。このため、Si添加量は、0.1~0.45質量%の範囲とすることが好ましい。
Mg(マグネシウム)は、銅合金を固溶強化する効果が高い元素であり、0.1質量%以上添加することが好ましいが、0.25質量%よりも添加量が多くなると、導電率を低下させる傾向がある。このため、Mg添加量は、0.1~0.25質量%の範囲とすることが好ましい。
Mn(マンガン)は、銅合金を固溶強化する効果と熱間加工性を向上させる効果を有する元素であり、0.1質量%以上添加することが好ましいが、0.2質量%よりも添加量が多くなると、導電率を低下させる傾向がある。このため、Mn添加量は、0.1~0.2質量%の範囲とすることが好ましい。
Cr(クロム)は、クロムとシリコンを含有する第二相化合物を形成し、その化合物により溶体化熱処理工程における結晶粒径の粗大化を抑制することで、材料を強化する効果があり、0.1質量%以上の添加が望ましいが、0.25質量%よりも添加量が多いと、鋳造時に粗大な晶出物を形成してプレス加工時の破断の起点に成りやすい。このため、Cr添加量は、0.1~0.25質量%の範囲とすることが好ましい。
Zr(ジルコニウム)は、材料中に固溶し、材料の再結晶温度を上昇させることで溶体化熱処理における再結晶粒の成長を抑制する効果を有する元素であり、0.05質量%以上の添加が望ましいが、0.15質量%よりも添加量が多いと、鋳造時に粗大な晶出物を生じてプレス加工時の破断の起点になりやすい。このため、Zr添加量は、0.05~0.15質量%の範囲とすることが好ましい。
Ti(チタン)は、材料中に固溶し、材料の再結晶温度を上昇させることで溶体化熱処理における再結晶粒の成長を抑制する効果を有する元素であり、0.02質量%以上の添加が望ましいが、0.1質量%よりも添加量が多いと、導電率を低下させる傾向がある。このため、Ti添加量は、0.02~0.1質量%の範囲とすることが好ましい。
Fe(鉄)は、銅合金を固溶強化する効果が高い元素であり、0.05質量%以上の添加が望ましいが、0.1質量%よりも添加量が多いと、導電率を低下させる傾向がある。このため、Fe添加量は、0.05~0.1質量%の範囲とすることが好ましい。
Zn(亜鉛)は、、曲げ加工性を改善するとともに、Snめっきやはんだめっきの密着性やマイグレーション特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮させる場合には、Zn含有量を0.2質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Zn含有量が0.6質量%を超えると、導電性の低下により、十分な放熱性が得られなくおそれがある。このため、Zn添加量は、0.2~0.6質量%の範囲とすることが好ましい。
上述した成分以外の残部は、Cu(銅)および不可避不純物である。ここでいう不可避不純物は、製造工程上、不可避的に含まれうる含有レベルの不純物を意味する。不可避不純物は、含有量によっては導電率を低下させる要因にもなりうるため、導電率の低下を考慮して不可避不純物の含有量をある程度抑制することが好ましい。不可避不純物として挙げられる成分としては、例えば、Bi、Se、As、Ag等が挙げられる。なお、これらの成分含有量の上限は、上記成分毎に0.03質量%、上記成分の総量で0.10質量%とすればよい。
本発明の銅合金板材は、導電率が38%IACS以上であることが必要である。熱伝導率は、ウィーデマン・フランツの法則(Wiedemann-Franz law)によって、導電率から算出することができ、温度が一定であれば、金属の種類に依らず、導電率と比例関係にあることが知られている。このため、本発明の銅合金板材は、導電率を38%IACS以上とすることによって、高い熱伝導率を有することができる結果、優れた熱伝導性を有することができる。導電率は、例えば端子間距離を100mmとし、20℃(±0.5℃)に保たれた恒温槽中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出することができる。
本発明の銅合金板材は、算術平均値Aave.が、4.0~13.0GPa・%の範囲であることが必要である。算術平均値Aave.は、圧延平行方向、圧延方向に対し45°の方向(単に「45°方向」という場合がある。)、および圧延垂直方向(単に「90°方向」という場合がある。)の各方向にそれぞれ切り出した3種類の試験片について、引張試験を行なうことによって得られた公称応力-公称歪曲線から求められる値と、電子後方散乱回折(EBSD)法によって得られたCube方位面積率の値を、下記(1)式に代入して、パラメータAx(x:0°、45°、90°)の各方向の値A0°、A45°およびA90°を求め、求めた前記各方向の値A0°、A45°およびA90°を、下記(2)式に代入して算出される。
Z2241の13B号の試験片を、JIS Z2241に準じて各9本(n=9)ずつ用意して測定し、最も破断伸びが大きかった場合を1番目とするとき、破断伸びが5番目に大きかった試験片を用いて測定されたときの公称応力-公称歪曲線を用いて求めることとし、式(1)に示される積分値は、前述で得られた公称応力-公称歪曲線のプロットから台形近似により得られる面積から算出することができる。なお、公称応力は、例えば、公称歪が0.001%以上0.300%以下毎に測定すればよい。
本発明の銅合金板材は、前記算術平均値Aave.および前記パラメータAxの値を下記(3)式に代入して算出されるパラメータBx(x:0°、45°、90°)の前記各方向の値が、いずれも10%以下となることが好ましい。
本発明の銅合金板材は、エリクセン試験におけるエリクセン値(Er)の板厚(t)に対する比(Er/t比)と、圧延平行方向に引っ張ったときの破断伸びEL(%)とは、下記(4)式の不等式の関係を満たすことが好ましい。
上述した銅合金板材は、合金組成や製造プロセスを組み合わせて制御することにより、実現できる。以下、本発明の銅合金板材の好適な製造方法について説明する。
鋳造工程は、大気下で高周波溶解炉により表1に示す合金成分を溶解し、これを鋳造することによって所定形状(例えば厚さ30mm、幅100mm、長さ150mm)の鋳塊を製造する。
均質化処理工程は、不活性ガス雰囲気中で所定温度(例えば1000℃)に1時間加熱し均質化熱処理[工程2]を施した。
熱間圧延工程は、均質化熱処理の直後に施し、所定の板厚(例えば10mm)とした直後に冷却した。
面削工程は、熱延板の表面から所定の厚さ(例えば1mmから2mm程度)の面削を行い、酸化層を除去した。
冷間圧延工程で1~0.25mmまで冷間圧延を施した。
溶体化熱処理工程は、所定の昇温速度(例えば、5秒から10秒かけて900℃から990℃)で昇温し、1秒から1時間保持後、250℃/sから500℃/sの速度で冷却した。
中間熱処理工程は、所定の温度(例えば300℃から600℃)で10秒から10時間熱処理を行った。
仕上げ冷間圧延工程は、目的の板厚への加工、材料強度の向上、結晶方位の制御を主な目的に行う工程であって、圧延時の材料の最大温度TRを75℃以上100℃以下に制御することが必要である。圧延時の材料の最大温度TRが75℃以上にすることによって、圧延による結晶回転が促進され、絞り加工性に悪影響を及ぼすCube方位粒の面積率が減少しやすくなる。しかし、圧延時の材料の最大温度TRが100℃よりも温度が高くなると、圧延加工に用いる潤滑油の粘性が低下することで、焼き付きなどの圧延不良により板材の表面粗さが局所的に高くなることで破断の起点となるなど、絞り加工性の劣化を起こす可能性が高くなる。このため、圧延時の材料の最大温度TRは、75℃以上100℃以下とする。
矯正工程は、材料の残留応力を除去・均一化することを目的として行なう工程であって、テンションレベラーによる矯正の際の材料の伸び率δを0.1~1.0%の範囲とすることが必要である。前記伸び率δが0.1%未満だと、残留応力の除去・均一化効果が小さく、絞り加工後の形状均一性が低下する。また、前記伸び率δが1.0%より大きいと、テンションレベラーの繰り返し曲げによる加工歪が大きくなって、絞り加工時に割れの生じないパンチ先端のコーナー半径を小さくすることができず、厳しい絞り加工条件での絞り加工性が低下する。このため、矯正工程における材料の伸び率δは、0.1~1.0%の範囲とする。
調質焼鈍工程は、材料の伸びを回復させること、さらに伸びを含めて機械的特性の異方性を低減するための工程であって、調質焼鈍[工程10]の材料温度TA(℃)を、矯正工程における材料の伸び率δ(%)との関係で、(5)式に示す不等式の関係を満たすように制御することが必要である。
本発明の銅合金材は、特に絞り加工を施して絞り加工品を作製するのに用いるのに好適であり、例えば、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品に用いることができる。例えば、電気・電子部品用のコネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチ、ソケット、シールドケース、シールドキャン、液晶補強板、液晶のシャーシ、有機ELディスプレイの補強板や、自動車車載用のコネクタ、シールドケース、シールドキャンなどを作製することができる。
大気下で高周波溶解炉により、表1に示す組成を有する銅合金素材を溶解し、これを鋳造して厚さ30mm、幅100mm、長さ150mmの鋳塊を得た。次に、不活性ガス雰囲気中にて1000℃で1時間加熱・保持する均質化熱処理を施した直後に、熱間圧延を施して、板厚10mmの熱延板とした直後に冷却した。次いで、面削、冷間圧延を順次施し、板厚を0.25~1.0mmとした。その後、800~990℃で溶体化熱処理を1分間施した直後に冷却し、300℃~600℃で1時間の中間熱処理、。次いで、表3に示す材料の最大温度TRで仕上げ冷間圧延を0.1%から60%施した後、表3に示す伸び率δで矯正し、その後、表3に示す材料温度TAで調質焼鈍を施し、板厚が0.25~0.3mmの銅合金板材を得た。なお、比較例11については、仕上げ冷間圧延時の材料の最大温度TRが高かったため、焼き付きにより板材表面の不良が生じたため、種々のパラメータの算出ができず、性能評価もできなかった。
上記実施例および比較例に係る銅合金板材を用いて、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りである。
合金組成は、蛍光X線分析により測定した。
導電率は、例えば端子間距離を100mmとし、20℃(±0.5℃)に保たれた恒温槽中で四端子法により比抵抗を計測することによって算出した。
(1)式中の積分値は、圧延平行方向、45°方向および90°方向の各方向にそれぞれ切り出した3種類のJIS Z2241の13B号の試験片を、JIS Z2241に準じて各9本(n=9)ずつ用意して測定し、最も破断伸びが大きかった場合を1番目とするとき、破断伸びが5番目に大きかった試験片を用いて測定されたときの公称応力-公称歪曲線を用いて求めることとし、式(1)に示される積分値は、前述で得られた公称応力-公称歪曲線のプロットから台形近似により得られる面積から算出した。なお、公称応力は、公称歪が0.01%ごとに測定した。
Cube方位面積率は、高分解能走査型分析電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM-7001FA)に付属するEBSD検出器を用いて連続して測定された結晶方位データから解析ソフト(TSL社製、商品名:OIM-Analysis)を用いて算出した。
パラメータBxは、上記[3]で算出した積分値と、上記[4]で算出したCube方位面積率を式(1)に代入することによって求められるパラメータAxの各方向の値A0°、A45°およびA90°と、これらの値A0°、A45°およびA90°を(2)式に代入して求められる算術平均値Aave.とを、式(3)に代入することによって算出することができる。
エリクセン値Erは、エリクセン試験機により、図4に示すように、試験板材Wの縁部を、ダイ12としわ押さえ部材16の間で締め付けた後に、試験板材Wの中央部をパンチ14Aで押し込んでいき、、貫通割れが発生するまでのパンチの移動距離(くぼみの深さ)の値を測定し、その測定した値とした。
放熱性は、上記[2]で測定した導電率によって評価した。放熱性の評価基準を以下に示す。なお、本実施例では、下記に示す放熱性の評価基準における、「1」および「2」を合格レベルにあるとした。表2に、放熱性の評価結果を示す。
1(優):導電率が50%IACS以上の場合
2(良):導電率が30%IACS以上50%IACS未満の場合
3(不可):導電率が30%IACS未満である場合
絞り加工性は、深絞り試験機(例えばエリクセン社製薄板成形試験機)10により、図3に示すように、試験板材Wの縁部を、ダイ12としわ押さえ部材16の間で締め付けた後に、試験板材Wの中央部を、先端部が円柱状でかつコーナー部の曲率半径Rが小さいパンチ14で押し込んでいき、円筒型カップを成形し、割れの生じないパンチの先端のコーナー部の曲率半径Rの最小値と、成形後のカップ縁のうねりの最大山高さと最大谷深さの差の最大値から総合的に評価した。絞り加工性の評価基準を以下に示す。表2に、絞り加工性の評価結果を示す。なお、上記試験は、パンチとダイのクリアランスは2.3mmとし、試験板材Wの表面に塗布される潤滑油としては、R-303Pを用い、パンチ直径のブランク直径に対する比(パンチ直径/ブランク直径)は0.64の試験条件で行なった。
◎(優):曲率半径Rの最小値が0.5mm以下の場合
○(良):曲率半径Rの最小値が0.5mm超え1.0mm未満の場合
×(不可):曲率半径Rの最小値が1.0mm以上の場合
◎(優):前記差の最大値が0.5mm以下の場合
○(良):前記差の最大値が0.5mm超え1.0mm未満の場合
×(不可):前記差の最大値が1.0mm以上の場合
1(優):前記(a)および(b)の評価のいずれもが「◎」である場合
2(良):前記(a)および(b)の評価のいずれもが「○」以上である場合
3(不可):前記(a)および(b)の評価の少なくとも一方が「×」である場合
12 ダイ
14、14A パンチ(ポンチ)
16 しわ押さえ部材
W 試験板材
R パンチのコーナー部の曲率半径
Claims (7)
- NiおよびCoの1種以上を合計で1.0~5.0質量%、ならびにSiを0.1~1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有し、
導電率が38%IACS以上であり、
圧延平行方向、圧延方向に対し45°の方向、および圧延垂直方向の各方向にそれぞれ切り出した3種類の試験片について、引張試験を行なうことによって得られた公称応力-公称歪曲線から求められる値と、電子後方散乱回折(EBSD)法によって得られたCube方位面積率の値を、下記(1)式に代入して、パラメータAx(x:0°、45°、90°)の各方向の値A0°、A45°およびA90°を求め、求めた前記各方向の値A0°、A45°およびA90°を、下記(2)式に代入して算出される算術平均値Aave.が、4.0~13.0GPa・%の範囲であり、かつ、前記算術平均値Aave.および前記パラメータAxの値を下記(3)式に代入して算出されるパラメータBx(x:0°、45°、90°)の前記各方向の値B 0° 、B 45° およびB 90° が、いずれも10%以下となることを特徴とする銅合金板材。
但し、Sc:Cube方位面積率(%)、σnは公称応力(GPa)、εnは公称歪(%)、そして、ELは破断伸び(%)を表す。
- 前記組成は、さらに、Sn、Mg、Mn、Cr、Zr、Ti、FeおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を、合計で0.2~1.2質量%以下含有する請求項1に記載の銅合金板材。
- 請求項1または2に記載の銅合金板材を絞り加工して得られた絞り加工品。
- 請求項1または2に記載の銅合金板材または請求項3に記載の絞り加工品を用いて作製された電気・電子部品用部材。
- 請求項1または2に記載の銅合金板材または請求項3に記載の絞り加工品を用いて作製された電磁波シールド材。
- 請求項1または2に記載の銅合金板材または請求項3に記載の絞り加工品を用いて作製された放熱部品。
- 請求項1または2に記載の銅合金板材の製造方法であって、
銅合金素材に、鋳造[工程1]、均質化処理[工程2]、熱間圧延[工程3]、面削[工程4]、冷間圧延[工程5]、溶体化熱処理[工程6]、中間熱処理[工程7]、仕上げ冷間圧延[工程8]、矯正[工程9]、および調質焼鈍[工程10]を順次施し、
前記仕上げ冷間圧延[工程8]における圧延時の材料の最大温度TRを、75℃以上100℃以下に制御し、
前記矯正[工程9]における材料の伸び率δを、0.1~1.0%とし、そして、
前記調質焼鈍[工程10]の材料温度TA(℃)を、前記伸び率δとの関係で下記(5)式に示す不等式の関係を満たすように制御することを特徴とする銅合金板材の製造方法。
55×δ+450≧TA≧55×δ+350 ・・・(5)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020019213A JP7113039B2 (ja) | 2020-02-06 | 2020-02-06 | 銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020019213A JP7113039B2 (ja) | 2020-02-06 | 2020-02-06 | 銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018233487A Division JP6928597B2 (ja) | 2018-12-13 | 2018-12-13 | 銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020097793A JP2020097793A (ja) | 2020-06-25 |
JP2020097793A5 JP2020097793A5 (ja) | 2021-09-09 |
JP7113039B2 true JP7113039B2 (ja) | 2022-08-04 |
Family
ID=71106449
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020019213A Active JP7113039B2 (ja) | 2020-02-06 | 2020-02-06 | 銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7113039B2 (ja) |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007314850A (ja) | 2006-05-26 | 2007-12-06 | Nikko Kinzoku Kk | めっき密着性に優れるCu−Ni−Si系合金条 |
JP2008095186A (ja) | 2006-09-13 | 2008-04-24 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 接点材用銅基析出型合金板材およびその製造方法 |
WO2009148101A1 (ja) | 2008-06-03 | 2009-12-10 | 古河電気工業株式会社 | 銅合金板材およびその製造方法 |
JP2011231393A (ja) | 2010-04-05 | 2011-11-17 | Dowa Metaltech Kk | 銅合金板材および銅合金板材の製造方法、電気・電子部品 |
WO2016006053A1 (ja) | 2014-07-09 | 2016-01-14 | 古河電気工業株式会社 | 銅合金板材、コネクタ、及び銅合金板材の製造方法 |
JP2017089003A (ja) | 2015-11-03 | 2017-05-25 | 株式会社神戸製鋼所 | 放熱部品用銅合金板 |
JP2018062705A (ja) | 2016-10-12 | 2018-04-19 | Jx金属株式会社 | 電子材料用銅合金 |
-
2020
- 2020-02-06 JP JP2020019213A patent/JP7113039B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007314850A (ja) | 2006-05-26 | 2007-12-06 | Nikko Kinzoku Kk | めっき密着性に優れるCu−Ni−Si系合金条 |
JP2008095186A (ja) | 2006-09-13 | 2008-04-24 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 接点材用銅基析出型合金板材およびその製造方法 |
WO2009148101A1 (ja) | 2008-06-03 | 2009-12-10 | 古河電気工業株式会社 | 銅合金板材およびその製造方法 |
JP2011231393A (ja) | 2010-04-05 | 2011-11-17 | Dowa Metaltech Kk | 銅合金板材および銅合金板材の製造方法、電気・電子部品 |
WO2016006053A1 (ja) | 2014-07-09 | 2016-01-14 | 古河電気工業株式会社 | 銅合金板材、コネクタ、及び銅合金板材の製造方法 |
JP2017089003A (ja) | 2015-11-03 | 2017-05-25 | 株式会社神戸製鋼所 | 放熱部品用銅合金板 |
JP2018062705A (ja) | 2016-10-12 | 2018-04-19 | Jx金属株式会社 | 電子材料用銅合金 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020097793A (ja) | 2020-06-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2184371B1 (en) | Copper alloy sheet | |
JP5972484B2 (ja) | 銅合金板材、銅合金板材からなるコネクタ、および銅合金板材の製造方法 | |
JP4857395B1 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
JP4296344B2 (ja) | 銅合金材 | |
JP5117604B1 (ja) | Cu−Ni−Si系合金及びその製造方法 | |
WO2020121775A1 (ja) | 銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 | |
TW201502294A (zh) | 電子與電氣機器用銅合金、電子與電氣機器用銅合金薄板、電子與電氣機器用零件及端子 | |
US20100316879A1 (en) | Copper alloy material for electric/electronic components | |
JP6581755B2 (ja) | 銅合金板材およびその製造方法 | |
CN111971406B (zh) | 铜合金板材和铜合金板材的制造方法以及使用铜合金板材的连接器 | |
JP7113039B2 (ja) | 銅合金板材およびその製造方法ならびに絞り加工品、電気・電子部品用部材、電磁波シールド材および放熱部品 | |
JP7178454B2 (ja) | 銅合金板材およびその製造方法、ならびに電気・電子部品用部材 | |
JP4798943B2 (ja) | 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
JP2013104078A (ja) | Cu−Co−Si系合金及びその製造方法 | |
JP7328471B1 (ja) | 銅合金板材およびその製造方法、ならびに電子部品および絞り加工品 | |
JP7328472B1 (ja) | 銅合金板材、および銅合金板材を用いて作製された絞り加工部品 | |
JP6845884B2 (ja) | 金型摩耗性に優れたCu−Ni−Si系銅合金条 | |
JP6879971B2 (ja) | 銅合金材料、電子部品、電子機器及び銅合金材料の製造方法 | |
JP6811199B2 (ja) | 耐金型摩耗性およびプレス打ち抜き性に優れたCu−Ni−Si系銅合金条 | |
TW202403787A (zh) | 銅合金板材及鍛敲加工零件 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210729 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210729 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220719 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220725 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7113039 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |