JP7111739B2 - 研磨用組成物および研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる研磨用組成物および当該研磨用組成物を用いた研磨方法に関する。
従来、金属、半金属、非金属、およびこれらの酸化物等の材料表面に対して研磨用組成物を用いた精密研磨が行われている。例えば、半導体デバイスの構成要素として用いられるシリコンウェーハの表面は、一般的にラッピング工程やポリシング工程を経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備ポリシング工程(予備研磨工程)とファイナルポリシング工程(最終研磨工程)とを含む。上記予備ポリシング工程は、典型的には粗研磨工程(一次研磨工程)および中間研磨工程(二次研磨工程)を含んでいる。
シリコンウェーハには、識別等の目的で、該シリコンウェーハの表面や裏面にレーザー光を照射することによって、バーコード、数字、記号等のマーク(ハードレーザーマーク)が付されることがある。このようなハードレーザーマークの付与は、一般に、シリコンウェーハのラッピング工程を終えた後、ポリシング工程を開始する前に行われる。
通常、ハードレーザーマークを付すためのレーザー光の照射によって、ハードレーザーマーク周縁には変質層が生じる。変質層が生じた状況で一次研磨等の予備研磨を施すと、変質層が研磨されにくいことによりハードレーザーマークの周縁に***が生じて、シリコンウェーハの平坦性が低下する場合がある。例えば、日本国特許出願公開2015-233031号公報では、砥粒と、弱酸塩と、第四級アンモニウム化合物とを含む研磨用組成物が開示されており、当該研磨用組成物により、pH変動を抑制し研磨能率を維持することができ、ハードレーザーマーク周縁の***を抑制することが記載されている。
しかしながら、上記変質層部分はレーザー光のエネルギーによりポリシリコン等に変質し、硬くなっていることが多い。このため、日本国特許出願公開2015-233031号公報に記載されるような研磨用組成物では、上記***を効果的に抑制することがまだ不十分であったため、さらなる品質向上が求められていた。また同時に、表面粗さの低減および研磨レートの低下の抑制も求められていた。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、シリコンウェーハを粗研磨した際、ハードレーザーマーク周縁の***が抑制され、さらに表面粗さが小さく抑えられ、かつ高い研磨レートを維持する研磨用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、砥粒と、重量平均分子量が異なる2種以上の同一構造体である含窒素水溶性高分子と、塩基性化合物と、水とを含む研磨用組成物により上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の一実施形態は、シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる研磨用組成物であって、砥粒と、含窒素水溶性高分子と、塩基性化合物と、水と、を含み、前記含窒素水溶性高分子は、重量平均分子量が異なる2種以上の同一構造体である。当該研磨用組成物を用いてシリコンウェーハの粗研磨を行うと、ハードレーザーマーク周縁の***が抑制され、かつ表面粗さが小さく抑えられたシリコンウェーハを得ることができる。また、当該研磨用組成物を用いてシリコンウェーハの粗研磨を行うと、高い研磨レートを維持できる。なお、本明細書において、「重量平均分子量が異なる2種以上の同一構造体である」とは、同一の構成単位からなり、重量平均分子量のみが異なる高分子を2種以上含むことを意味する。
通常、シリコンウェーハの粗研磨工程では、ウェーハおよび研磨パッドを相対的に移動(例えば回転移動)させて研磨する方法が用いられる。研磨装置にセットされたウェーハの表面に研磨パッドが押し付けられ、研磨用組成物が連続的に供給される。この際、研磨用組成物は、主にウェーハの外周部から中央部に流れ込むように、ウェーハと研磨パッドとの間に供給される。本発明者らは、当該研磨用組成物に同一の構成単位からなり重量平均分子量のみが異なる2種以上の含窒素水溶性高分子を配合することで、シリコンウェーハを粗研磨した際に、ハードレーザーマーク周縁の***を効果的に抑制でき、表面粗さを小さく抑え、同時に高い研磨レートを維持できることを見出した。
研磨用組成物がウェーハの外周部から中央部に供給される過程で、重量平均分子量が高い含窒素水溶性高分子(以下、「第1の含窒素水溶性高分子」とも称する)は、シリコンウェーハ表面に対し疎に吸着する。これにより、研磨レート低下が抑制され、高い研磨レートを維持することができる。また、第1の含窒素水溶性高分子は、凹形状のような低圧部での吸着維持性が高いことから、粗研磨後のハードレーザーマーク周縁の***を効果的に抑制することができる。一方、第1の含窒素水溶性高分子の構成単位と同一の構成単位からなり、かつ第1の含窒素水溶性高分子に比べて重量平均分子量が低い含窒素水溶性高分子(以下、「第2の含窒素水溶性高分子」とも称する)は、第1の含窒素水溶性高分子と比較して、シリコンウェーハ表面に対し、より密に吸着する。それゆえ、粗研磨後のシリコンウェーハの表面粗さが改善される。これにより、シリコンウェーハを粗研磨した際、ハードレーザーマーク周縁の***を効果的に抑制でき、表面粗さを小さく抑え、同時に高い研磨レートを維持できる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
本明細書において、特記しない限り、操作および物性などの測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
[研磨対象物]
本発明に係る研磨用組成物は、シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる。研磨用組成物に含まれる、同一の構成単位からなり重量平均分子量のみが異なる2種以上の含窒素水溶性高分子がシリコンウェーハ表面に作用することにより、ハードレーザーマーク周縁の***が抑制され、表面粗さが小さく抑えられたシリコンウェーハを得ることができる。
ここで、シリコンウェーハは、単結晶シリコンや、多結晶シリコンのように単体シリコンからなるものであってもよいし、単体シリコンからなる層とそれ以外の層とで構成されるものであってもよい。また、シリコンウェーハに不純物程度の含有量でシリコン以外の元素が含まれることは許容される。したがって、上記シリコンウェーハは、ホウ素、リン等のドーパントを含んでいてもよい。
次に、本発明の研磨用組成物の構成成分について説明する。
[含窒素水溶性高分子]
本発明に係る研磨用組成物は、同一の構成単位からなり、重量平均分子量のみが異なる含窒素水溶性高分子を2種以上含み、好ましくは2種含む。上述したように、重量平均分子量が高い含窒素水溶性高分子(第1の含窒素水溶性高分子)は、シリコンウェーハ表面に対し疎に吸着し、ゆえに研磨レート低下を抑制し、高い研磨レートを維持することができると考えられる。また、第1の含窒素水溶性高分子は、低圧部での吸着維持性が高いことから段差解消能に優れ、ゆえに凸形状となっているハードレーザーマーク周縁の***を効果的に抑制することができると考えられる。一方、第1の含窒素水溶性高分子の構成単位と同一の構成単位からなり、かつ第1の含窒素水溶性高分子に比べて重量平均分子量が低い含窒素水溶性高分子(第2の含窒素水溶性高分子)は、シリコンウェーハ表面に対しより密に吸着するため、粗研磨後のシリコンウェーハの表面粗さが改善されると考えられる。
(第1および第2の含窒素水溶性高分子)
シリコンウェーハ表面に対する吸着性の観点から、第1および第2の含窒素水溶性高分子としては、単量体単位(構成単位)としてアミド、アゾール、ラクタム、モルホリンまたはアミン構造を有するものが例示できる。第1および第2の含窒素水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピペリジン、ポリアクリロイルモルホリン(PACMO)等が挙げられる。中でも、第1の含窒素水溶性高分子および第2の含窒素水溶性高分子は、ハードレーザーマーク周縁の***をより効果的に抑制する観点から、ラクタム構造を有する構成単位からなる含窒素水溶性高分子であることがより好ましく、ポリビニルピロリドンであることがさらにより好ましい。
本発明の効果のさらなる向上の観点から、第1の含窒素水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは300,000(30万)以上であり、より好ましくは400,000以上であり、さらに好ましくは500,000以上であり、さらにより好ましくは550,000以上であり、特に好ましくは600,000以上である。また、本発明の効果のさらなる向上の観点から、第1の含窒素水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは3,000,000以下であり、より好ましくは2,000,000以下であり、さらに好ましくは1,000,000以下であり、さらにより好ましくは800,000以下であり、特に好ましくは650,000以下である。当該重量平均分子量は、ポリエチレンオキシドを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することが可能である。
本発明の効果のさらなる向上の観点から、第2の含窒素水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上であり、より好ましくは5,000以上であり、さらにより好ましくは10,000以上であり、特に好ましくは15,000以上である。また、本発明の効果のさらなる向上の観点から、第2の含窒素水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは300,000(30万)未満であり、より好ましくは200,000以下である。中でも、粗研磨後のシリコンウェーハの表面粗さをさらに低減する観点から、第2の含窒素水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは100,000未満であり、より好ましくは50,000未満であり、さらにより好ましくは30,000未満であり、特に好ましくは20,000未満である。当該重量平均分子量は、ポリエチレンオキシドを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することが可能である。具体的には、後述の実施例に記載の条件にて測定することが可能である。
本発明の好ましい一実施形態において、第1の含窒素水溶性高分子は、重量平均分子量が30万以上であり、第2の含窒素水溶性高分子は、重量平均分子量が30万未満である。
本発明の研磨用組成物において、第1の含窒素水溶性高分子および第2の含窒素水溶性高分子の重量比(第1の含窒素水溶性高分子の重量:第2の含窒素水溶性高分子の重量)は、好ましくは5:1~1:20であり、より好ましくは3:1~1:10であり、さらにより好ましくは1:1~1:10であり、例えば、1:1~1:5、または1:1~1:2である。かような範囲であれば、第1の含窒素水溶性高分子がハードレーザーマーク周縁に十分に吸着し、第2の含窒素水溶性高分子がウェーハ全面に十分に拡散する。ゆえに、ハードレーザーマーク周縁の***がより抑制され、かつウェーハ全体の表面粗さがより小さく抑えられる。なお、第1の含窒素水溶性高分子として2種以上の含窒素水溶性高分子を使用する場合は、これらの合計重量を第1の含窒素水溶性高分子の重量とする。同様に、第2の含窒素水溶性高分子として2種以上の含窒素水溶性高分子を使用する場合は、これらの合計重量を第2の含窒素水溶性高分子の重量とする。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、含窒素水溶性高分子の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.0003重量%以上、特に好ましくは0.0006重量%以上である。かような範囲であれば、ハードレーザーマーク周縁の***をより抑制でき、表面粗さをより小さく抑えることができる。また、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、含窒素水溶性高分子の含有量は、研磨用組成物に対して、0.01重量%以下であり、より好ましくは0.005重量%以下であり、特に好ましくは0.002重量%以下、例えば0.0015重量%以下である。かような範囲であれば、高い研磨レートを維持できるので、粗研磨工程において好適に使用できる。当該含窒素水溶性高分子の含有量は、第1の含窒素水溶性高分子および第2の含窒素水溶性高分子の合計含有量を指す。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、含窒素水溶性高分子の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、1重量%以下であることが好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、含窒素水溶性高分子の含有量は、0.001重量%以上であることが好ましい。
[砥粒]
本発明の研磨用組成物は、砥粒を含む。研磨用組成物中に含まれる砥粒は、シリコンウェーハを機械的に研磨する作用を有する。
使用される砥粒は、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア等の金属酸化物からなる粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子が挙げられる。有機粒子の具体例としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子が挙げられる。該砥粒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、該砥粒は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。なお、本明細書において特にことわりの無い限り、砥粒は表面修飾されていないものを指す。
これら砥粒の中でも、シリカが好ましく、特に好ましいのはコロイダルシリカである。
砥粒の平均一次粒子径の下限は、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、30nm以上であることがさらに好ましく、40nm以上であることがさらにより好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。かような範囲であれば、高い研磨レートを維持できるため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、砥粒の平均一次粒子径の上限は、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、研磨後のシリコンウェーハの表面に欠陥が生じるのをより抑えることができる。なお、砥粒の平均一次粒子径は、例えば、BET法で測定される砥粒の比表面積に基づいて算出される。
砥粒の平均二次粒子径の下限は、15nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、70nm以上が特に好ましい。かような範囲であれば、高い研磨レートを維持できるため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、砥粒の平均二次粒子径の上限は、300nm以下であることが好ましく、260nm以下であることがより好ましく、220nm以下であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、研磨後のシリコンウェーハの表面に欠陥が生じるのをより抑えることができる。砥粒の平均二次粒子径は、例えば動的光散乱法により測定することができる。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、砥粒の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.2重量%以上であり、さらにより好ましくは0.5重量%以上であり、特に好ましくは0.7重量%以上である。砥粒の含有量の増大によって、研磨レートが向上するため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、スクラッチ防止等の観点から、砥粒の含有量は、通常は10重量%以下が適当であり、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下が特に好ましい。砥粒の含有量を少なくすることは、経済性の観点からも好ましい。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、砥粒の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、50重量%以下であることが適当であり、40重量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、砥粒の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。
[塩基性化合物]
本発明に係る研磨用組成物は、塩基性化合物を含む。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物は、研磨対象となる面を化学的に研磨する働きをし、研磨レートの向上に寄与し得る。また、塩基性化合物は、研磨用組成物の分散安定性の向上に役立ち得る。
塩基性化合物としては、窒素を含む有機または無機の塩基性化合物、アルカリ金属または第2族金属の水酸化物、各種の炭酸塩や炭酸水素塩等を用いることができる。例えば、アルカリ金属の水酸化物、水酸化第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。
研磨レート向上等の観点から、好ましい塩基性化合物として、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。なかでもより好ましいものとして、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムが例示される。さらに好ましいものとして炭酸カリウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。このような塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせて用いる場合、例えば、炭酸カリウムと水酸化テトラメチルアンモニウムの組合せが好ましい。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、塩基性化合物の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.02重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上である。かような範囲であれば、高い研磨レートを維持できるため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、塩基性化合物の含有量の増加によって、安定性も向上し得る。また、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、上記塩基性化合物の含有量の上限は、1重量%以下とすることが適当であり、表面品質等の観点から、好ましくは0.5重量%以下である。また、2種以上を組み合わせて用いる場合は、前記含有量は2種以上の塩基性化合物の合計含有量を指す。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、塩基性化合物の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、10重量%以下であることが適当であり、5重量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、塩基性化合物の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは0.9重量%以上である。
[水]
本発明に係る研磨用組成物は、各成分を分散または溶解するために分散媒として水を含む。水は、シリコンウェーハの汚染や他の成分の作用を阻害するのを防ぐ観点から、不純物をできる限り含有しないことが好ましい。このような水としては、例えば、遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下である水が好ましい。ここで、水の純度は、例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって高めることができる。具体的には、水としては、例えば、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水などを用いることが好ましい。
分散媒は、各成分の分散または溶解のために、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。この場合、用いられる有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒であるアセトン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、これらの有機溶媒を水と混合せずに用いて、各成分を分散または溶解した後に、水と混合してもよい。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[その他の成分]
本発明に係る研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。ここでの研磨用組成物とは、典型的には、シリコンウェーハのポリシング工程に用いられる研磨用組成物を意味する。
(界面活性剤)
本発明の研磨用組成物は、必要に応じてノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用できるノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン重合体;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン付加物;複数種のオキシアルキレンの共重合体(例えば、ジブロック型共重合体、トリブロック型共重合体、ランダム型共重合体、交互共重合体);その他、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
本発明に使用できるカチオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルアミン塩、アミンオキサイド、第四級アンモニウム塩、三級アミドアミン型界面活性剤、等に分類することができる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明に使用できるアニオン性界面活性剤は、例えば、硫酸系、スルホン酸系、リン酸系、ホスホン酸系、カルボン酸系等に分類することができる。アニオン界面活性剤の具体例には、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、アルキルリン酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、上述したいずれかの化合物の塩、等が含まれる。アルキルスルホン酸の一具体例としてドデシルスルホン酸が挙げられる。アニオン性界面活性剤の他の例として、タウリン系界面活性剤、ザルコシネート系界面活性剤、イセチオネート系界面活性剤、N-アシル酸性アミノ酸系界面活性剤、高級脂肪酸塩、アシル化ポリペプチド等が挙げられる。
本発明に使用できる両性界面活性剤の具体例には、アルキルベタイン系、アルキルアミンオキサイド系等が含まれる。両性界面活性剤の具体例としては、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等が挙げられる。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、界面活性剤の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.00001重量%以上、より好ましくは0.00002重量%以上、さらに好ましくは0.00003重量%以上である。かような範囲であれば、研磨用組成物の分散安定性が向上するため、粗研磨工程において好適に使用できる。研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、界面活性剤の含有量の上限は、0.0002重量%以下とすることが適当であり、高い研磨レートを維持する観点から、好ましくは0.0001重量%以下である。また、2種以上を組み合わせて用いる場合は、前記含有量は2種以上の界面活性剤の合計含有量を指す。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、界面活性剤の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、0.1重量%以下であることが適当であり、0.05重量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、界面活性剤の含有量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.0002重量%以上、さらに好ましくは0.0005重量%以上である。
(キレート剤)
研磨用組成物に含まれうるキレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸およびα-メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましい。なかでも好ましいものとして、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミン五酢酸が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。キレート剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
研磨用組成物に含まれうる防腐剤および防カビ剤としては、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、およびフェノキシエタノール等が挙げられる。これら防腐剤および防カビ剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
[研磨用組成物の特性]
本発明に係る研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で上記のシリコンウェーハに供給され、そのシリコンウェーハの粗研磨に用いられる。本発明に係る研磨用組成物は、例えば、希釈して研磨液として使用されるものであってもよく、そのまま研磨液として使用されるものであってもよい。ここで希釈とは、典型的には、水による希釈である。本発明に係る技術における研磨用組成物の概念には、シリコンウェーハに供給されて研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨に用いられる濃縮液(ワーキングスラリーの原液)との双方が包含される。上記濃縮液の濃縮倍率は、例えば、体積基準で2倍~100倍程度とすることができ、通常は5倍~50倍程度が適当である。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、研磨用組成物のpHは、好ましくは9.0以上であり、より好ましくは9.5以上であり、さらにより好ましくは10.0以上であり、特に好ましくは10.5以上である。研磨用組成物のpHが高くなると研磨レートが上昇する。一方、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、研磨用組成物のpHは、好ましくは12.0以下であり、より好ましくは11.5以下、さらにより好ましくは11.0以下である。研磨用組成物のpHが12.0以下であれば、砥粒の溶解を抑制し、該砥粒による機械的な研磨作用の低下を防ぐことができる。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、研磨用組成物のpHは、好ましくは9.0以上であり、より好ましくは9.5以上であり、さらにより好ましくは10.0以上である。また、研磨用組成物のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.5以下であることが好ましい。
なお、研磨用組成物のpHは、pHメーターを使用して測定することができる。標準緩衝液を用いてpHメーターを3点校正した後に、ガラス電極を研磨用組成物に入れる。そして、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより研磨用組成物のpHを把握することができる。例えば、pHメーターは、株式会社堀場製作所製のpHガラス電極式水素イオン濃度指示計(型番F-23)を使用することができる。標準緩衝液は、(1)フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、(2)中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、(3)炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃)を用いることができる。
本発明に係る研磨用組成物は一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。多液型は、研磨用組成物の一部または全部を任意の混合比率で混合した液の組み合わせである。また、研磨用組成物の供給経路を複数有する研磨装置を用いた場合、研磨装置上で研磨用組成物が混合されるように、予め調整された2つ以上の研磨用組成物を用いてもよい。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明の研磨用組成物は、例えば、各成分を水中で攪拌混合することにより得ることができる。ただしこの方法に制限されない。また、各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。
[研磨方法]
本発明に係る研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、シリコンウェーハの粗研磨工程(一次研磨工程)に使用することができる。すなわち、本発明は、上記の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを粗研磨する研磨方法についても提供する。
すなわち、本発明に係る研磨用組成物を含むワーキングスラリーを用意する。次いで、その研磨用組成物をシリコンウェーハに供給し、常法により粗研磨を行う。例えば、一般的な研磨装置にシリコンウェーハをセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて該シリコンウェーハの表面(研磨対象面)に研磨用組成物を供給する。典型的には、上記研磨用組成物を連続的に供給しつつ、シリコンウェーハの表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経てシリコンウェーハの粗研磨が完了する。
上記工程で使用される研磨パッドは特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないもの等のいずれを用いてもよい。また、上記研磨装置としては、シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨装置を用いてもよく、シリコンウェーハの片面のみを研磨する片面研磨装置を用いてもよい。
研磨条件も特に制限されないが、例えば、研磨定盤の回転速度は、10rpm以上500rpm以下が好ましく、シリコンウェーハにかける圧力(研磨圧力)は、3kPa以上70kPa以下、例えば3.45kPa以上69kPa以下が好ましい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明の研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
上記研磨用組成物は、いわゆる「かけ流し」で使用されてもよいし、循環して繰り返し使用されてもよい。ここでかけ流しとは、いったん研磨に使用したら使い捨てにする態様をいう。研磨用組成物を循環使用する方法として以下の例が挙げられる。研磨装置から排出される使用済みの研磨用組成物をタンク内に回収し、回収した研磨用組成物を再度研磨装置に供給する方法である。研磨用組成物を循環使用する場合には、環境負荷を低減できる。かけ流しで研磨用組成物を使用する場合に比べて、廃液として処理される使用済みの研磨用組成物の量が減るためである。また、研磨用組成物の使用量が減ることによりコストを抑えることができる。ここに開示される研磨用組成物を循環使用する場合、その使用中の研磨用組成物に、任意のタイミングで新たな成分、使用により減少した成分または増加させることが望ましい成分を添加してもよい。
[用途]
上述のように、本発明の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハの粗研磨を行うと、ハードレーザーマーク周縁の***が抑制され、かつ表面粗さが小さく抑えられたシリコンウェーハを得ることができる。また、本発明の研磨用組成物は、高い研磨レートを維持することができる。かかる特長を活かして、本発明の研磨用組成物は、シリコンウェーハの粗研磨工程、すなわちポリシング工程における最初の研磨工程(一次研磨工程)において好適に使用される。粗研磨工程は、典型的には、ウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨工程として実施される。本発明に係る研磨用組成物は、このような両面研磨工程においても好ましく使用されうる。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[研磨用組成物の調製]
(実施例1)
砥粒としてコロイダルシリカ(BET法による平均一次粒子径55nm)0.7重量%、第1の含窒素水溶性高分子としてポリビニルピロリドン(PVP)(重量平均分子量64万)0.00009重量%、第2の含窒素水溶性高分子としてポリビニルピロリドン(PVP)(重量平均分子量1.7万)0.0009重量%、塩基性化合物として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.04重量%および炭酸カリウム0.026重量%の最終濃度となるよう、前記成分およびイオン交換水を室温(25℃)で30分撹拌混合した後、1日以上静置した。pHは約10(9.5以上10.5未満)であった。
(実施例2、比較例1~3)
含窒素水溶性高分子の種類および含有量を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2および比較例1~3に係る研磨用組成物を調製した。
[含窒素水溶性高分子の分子量計測]
各含窒素水溶性高分子の分子量は、以下に記載の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行うことにより、ポリエチレンオキシド換算による重量平均分子量(Mw)として求めた。
(測定条件)
装置:東ソー製HLC-8320GPC
カラム:東ソー製TSKgel PGWPWxL×2本
溶媒:100mM硝酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル(8/2)
温度:40℃
検出器:RI
流速:1mL/min。
[研磨性能]
上記の研磨用組成物を用いて、4インチのシリコンウェーハ(Bare Si P- <100>)を以下に示す研磨条件で研磨した。
(研磨条件)
研磨機:日本エンギス株式会社製片面研磨機 EJ-380IN
研磨パッド:ニッタ・ハース株式会社製 SUBA
研磨圧力:12kPa
スラリー流量:100ml/min
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:40rpm
研磨時間:20min。
(***抑制能評価)
研磨後のシリコンウェーハについて、触針式表面粗さ形状測定機(SURFCOM 1500DX、株式会社東京精密製)を使用してハードレーザーマークを含むサイトの表面形状を測定し、ハードレーザーマーク周辺の基準面から***の最高点までの高さを計測した。***高さが小さいほど、***抑制能が高いとの評価結果になる。得られた結果を表1の「***高さ」の欄に示す。***高さが1.0μm未満の場合を合格とし、1.0μm以上の場合を不合格とした。
(表面粗さRa)
研磨後のシリコンウェーハについて、非接触表面形状測定機(商品名「NewView 5032」、Zygo社製、キヤノン社より入手可能)を使用して表面粗さRa(算術平均表面粗さ)を計測した。得られた結果を、表1の「表面粗さRa」の欄に示す。Raが0.5nm未満の場合を合格とし、0.5nm以上の場合を不合格とした。
(研磨レート)
上記研磨に要した時間に基づいて、各実施例および比較例における研磨レート[nm/分]を算出した。得られた結果を、比較例1の研磨レートを100%とする相対値(相対研磨レート)に換算し、その値に基づいて研磨レートを評価した。得られた結果を表1の「研磨レート」の欄に示す。研磨レートが60%以上の場合を合格とし、60%未満の場合を不合格とした。
Figure 0007111739000001
表1に示されるように、実施例1および2に係る研磨用組成物を用いて研磨したシリコンウェーハは、研磨後のハードレーザーマーク周縁の***が抑制され、研磨後のシリコンウェーハの表面粗さRaも小さく抑えられ、研磨レートも良好であった。
一方、比較例1および2に示されるように、第2の含窒素水溶性高分子を含むが第1の含窒素水溶性高分子を含まない場合(すなわち、含窒素水溶性高分子が1種のみの場合)、ハードレーザーマーク周縁の***の抑制能に劣る結果であった。第1の含窒素水溶性高分子が存在しないため、ハードレーザーマーク周縁の***よりも相対的に凹形状となる部分の保護能が足りず、***は抑制されなかったことが示唆される。また、比較例3に示されるように、第1の含窒素水溶性高分子を含むが、第2の含窒素水溶性高分子を含まない場合(すなわち、含窒素水溶性高分子が1種のみの場合)、ハードレーザーマーク周縁の***の抑制能は高いものの、表面粗さRaが大きい結果であった。シリコン表面に対し密に吸着する含窒素水溶性高分子が足りないことにより、表面粗さRaが大きい結果になったものと考えられる。
なお、本出願は、2017年12月15日に出願された日本国特許出願第2017-240375号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

Claims (6)

  1. シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる研磨用組成物であって、
    砥粒と、含窒素水溶性高分子と、塩基性化合物と、水と、を含み、
    前記含窒素水溶性高分子は、重量平均分子量が異なる2種以上の同一構造体であり、
    前記含窒素水溶性高分子は、第1の含窒素水溶性高分子および第2の含窒素水溶性高分子を含み、
    前記第1の含窒素水溶性高分子は、重量平均分子量が30万以上3,000,000以下であり、前記第2の含窒素水溶性高分子は、重量平均分子量が3,000以上30万未満である、研磨用組成物。
  2. 前記第1の含窒素水溶性高分子および前記第2の含窒素水溶性高分子の重量比は、5:1~1:20である、請求項に記載の研磨用組成物。
  3. 前記第1の含窒素水溶性高分子および前記第2の含窒素水溶性高分子がポリビニルピロリドンである、請求項またはに記載の研磨用組成物。
  4. 前記含窒素水溶性高分子の含有量は、0.005重量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. 前記塩基性化合物の含有量は、0.01重量%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを粗研磨する研磨方法。
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