以下、図面を参照して車載シート装置10の構成について説明する。図1は、車載シート装置10を斜め後ろから見た斜視図である。また、図2および図3は、シートバック14の分解斜視図である。なお、以下の説明において、「上下」、「前後」、「左右」は、特に説明が無い限り、車載シート装置10に着座する乗員(以下「着座者」という)から見ての方向を意味する。また、各図において、「Fr」、「Up」、「R」は、それぞれ、前方、上方、右側方を意味する。さらに、以下では、必要に応じて「シートバック」を「SB」と略す。
この車載シート装置10は、車両に搭載されるもので、例えば、運転席や助手席のように、前側シートとして利用される。車載シート装置10は、着座者の臀部を支えるシートクッション12と、着座者の背部を支えるシートバック14と、着座者の頭部を支えるヘッドレスト16と、に大別できる。シートクッション12の構成は、従来の公知技術を利用できるため、ここでの詳説は、省略する。また、図1において、シートクッション12は、おおよその形のみを図示している。車室の床面には、スライドレール18が取り付けられている。スライドレール18は、車室の床面に固定されて前後方向に延びるロアレール18Lと、当該ロアレール18Lに沿ってスライド可能なアッパーレール18Uと、を有している。シートクッション12の四隅は、アッパーレール18Uに連結されており、これにより、車載シート装置10は、前後方向にスライド可能となっている。
ヘッドレスト16は、シートバック14の上側に設けられ、着座者の頭部を支える部材である。シートバック14は、SBメインフレーム22と、SBアッシー24と、に大別される。SBメインフレーム22は、車室内で立脚するフレーム部材で、金属(例えばスチール等)の高剛性材料で構成される。図2に示すように、SBメインフレーム22は、上下左右に位置する四つのフレーム部材を連結して構成されており、正面から見た場合、略ロの字形状となっている。SBメインフレーム22の下端近傍には、左右方向に延びるリクライニング軸20が設定されている。SBメインフレーム22は、このリクライニング軸20を介してシートクッション12に揺動可能に連結されている。そして、SBメインフレーム22がリクライニング軸20を中心として揺動することで、シートバック14全体がシートクッション12に対して揺動(すなわちリクライニング)できる。
図3は、SBアッシー24の分解斜視図である。SBアッシー24は、バックレスト26、SBサブフレーム28、およびSB中間フレーム30を互いに組み合わせることで構成される。SB中間フレーム30は、SBメインフレーム22に固定されるフレーム部材で、SBメインフレーム22に対して位置不変である。バックレスト26は、着座者の背部がもたれかかる薄板材である。このバックレスト26は、SB中間フレーム30から吊り下げ保持されており、SB中間フレーム30、ひいては、SBメインフレーム22に対して揺動可能となっている。また、SBサブフレーム28は、バックレスト26の背後に取り付けられており、バックレスト26とともに、SB中間フレーム30、ひいては、SBメインフレーム22に対して揺動可能となっている。
より具体的に説明すると、SB中間フレーム30は、上下方向に延びる一対のサイドフレーム60と、当該一対のサイドフレーム60から延びるサポートパイプ62と、を有している。各サイドフレーム60は、SBメインフレーム22の外側面に重ねられ、SBメインフレーム22にボルト締結される。このサイドフレーム60の下端近傍および高さ方向中間箇所には、上前側拘束ブラケット66Uおよび下前側拘束ブラケット66L(以下、上下を区別しない場合は「前側拘束ブラケット66」と呼ぶ)が溶接等の固着手段で固着されている。前側拘束ブラケット66は、後述する前後ワイヤ82の前端が固着されるブラケットである。この前側拘束ブラケット66の具体的な構成については、後述する。
バックレスト26は、着座者の背部を支える部材で、人の背中の形状に合わせて滑らかに湾曲している。バックレスト26の背面かつ左右中心となる箇所には、中継ディスク32が固定されている。この中継ディスク32は、バックレスト26の高さ方向中心よりも上側で、着座者の肩甲骨と同程度の高さ位置に設けられている。中継ディスク32は、その直径寸法が、その軸方向寸法よりも十分に大きくなるような扁平な円板状部材である。中継ディスク32の表面には、後述する放射ワイヤ74を引っかけるための溝や孔が、形成されている。バックレスト26の背面かつ中継ディスク32の下側には、複数のワイヤガイド36が上下方向に間隔を開けて配置されている。このワイヤガイド36は、後述する横ワイヤ58の配置位置をガイドするもので、バックレスト26の背面から立脚するリブで構成されている。
SBサブフレーム28は、バックレスト26の背面に取り付けられるフレーム部材である。このSBサブフレーム28は、一対の縦フレーム42と、上横フレーム43Uおよび下横フレーム43L(以下、上下を区別しない場合は「横フレーム43」という)と、複数の横ワイヤ58と、を有している。縦フレーム42は、上下方向に延びるフレーム部材で、バックレスト26の左右両端に取り付けられる。横フレーム43は、この一対の縦フレーム42を連結する。
横フレーム43は、上面視で、略コ字状になるように、縦フレーム42よりも後方、すなわち、SB中間フレーム30側に張り出している。上横フレーム43Uには、一対の上後側拘束ブラケット52Uと、一対のワイヤ係止端44と、が固着されている。下横フレーム43Lには、一対の下後側拘束ブラケット52L(以下、上下を区別しない場合は「後側拘束ブラケット52」という)と、一対のワイヤ係止端44と、が固着されている。
ワイヤ係止端44は、後述する下ワイヤ80(放射ワイヤ74)が係止される部位である。また、後側拘束ブラケット52は、後述する前後ワイヤ82の後端が固定される部位である。横ワイヤ58は、一対の縦フレーム42の間に架け渡されるワイヤである。この横ワイヤ58が、バックレスト26を後方から支え、着座者からの荷重を受けている。
次に、バックレスト26を支持あるいはバックレスト26の位置を規制する各種ワイヤの架け渡し形態について図4、図5を参照して説明する。図4は、ワイヤの架け渡しの様子を示す図である。また、図5は、前後位置規制機構50周辺の斜視図である。なお、図4では、バックレスト26および横ワイヤ58の図示は、省略している。
図4から明らかな通り、中継ディスク32からは、複数のワイヤが放射状に延びている。以下では、この放射状に延びる複数のワイヤを纏めて放射ワイヤ74と呼ぶ。放射ワイヤ74は、バックレスト26を吊り下げ保持する吊り具として機能する。放射ワイヤ74は、一つの上ワイヤ76と、左右一対の左右ワイヤ78と、二つの下ワイヤ80と、を含む。上ワイヤ76は、中継ディスク32の孔を通って滑車64に架けられる環状のワイヤである。この上ワイヤ76により、中継ディスク32、ひいては、バックレスト26が、吊り下げ保持される。ここで、滑車64が取り付けられているサポートパイプ62は、SB中間フレーム30の一部であり、SBメインフレーム22に対して位置不変の部材である。かかる滑車から吊り下げ保持されることで、バックレスト26が、SBメインフレーム22に対して揺動可能となる。下ワイヤ80は、その両端が中継ディスク32の下方に向かうように、中継ディスク32でUターンするワイヤである。各下ワイヤ80の両端は、横フレーム43に設けられた一対のワイヤ係止端44に固定される。
二つの左右ワイヤ78は、左右対称に架け渡されている。各左右ワイヤ78は、環状のワイヤであり、中継ディスク32、縦フレーム42の上端、および、サポートパイプ62のうち中継ディスク32の左右斜め前方箇所を通るように、略三角形状に架け渡されている。二つの左右ワイヤ78が、左右対称に架け渡されることで、バックレスト26は当該二つの左右ワイヤ78の張力が吊りあう中立位置に自然と位置決めされる。
以上の通り、中継ディスク32および中継ディスク32が固着されたバックレスト26は、複数の放射ワイヤ74により、SB中間フレーム30(ひいてはSBメインフレーム22)に対する位置が、拘束されている。ただし、この拘束は、強固なものではなく、放射ワイヤ74が、適度に撓んだり、傾いたりすることで、バックレスト26およびバックレスト26に取り付けられたSBサブフレーム28は、中継ディスク32を中心として、SBメインフレーム22に対して揺動できる。
バックレスト26の前後方向位置を規制するために、車載シート装置10には、1以上(本例では四つ)の前後位置規制機構50が設けられている。各前後位置規制機構50は、図5に示すように、SBサブフレーム28に設けられた前側拘束ブラケット66と、SB中間フレーム30に設けられた後側拘束ブラケット52と、前後ワイヤ82と、を有している。前側拘束ブラケット66は、SB中間フレーム30のサイドフレーム60の前端に取り付けられたブラケットである。この前側拘束ブラケット66の一部には、後方に向かって延びる略円筒形の前固定部68が取り付けられている。前後ワイヤ82の前端は、この前固定部68に固定される。
後側拘束ブラケット52は、SBサブフレーム28の横フレーム43に取り付けられるブラケットである。この後側拘束ブラケット52は、前後ワイヤ82の後端が固定される後固定部55と、後固定部55から上方に迂回したうえで前方に進んで横フレーム43に固定されるアーム部56と、に大別される。後固定部55は、前固定部68の後方に位置しており、前固定部68に対して、ほぼ正対している。アーム部56は、途中で屈曲する略L字状の部材である。このアーム部56の屈曲箇所には、他の箇所よりも応力集中しやすい脆弱部が設けられているが、これについては、後述する。
前後ワイヤ82は、その前端が前固定部68に、その後端が後固定部55に、それぞれ固定されるワイヤである。かかる前後ワイヤ82を架け渡すことで、バックレスト26およびSBサブフレーム28の後方移動が規制される。すなわち、この前後ワイヤ82は、SBサブフレーム28のSBメインフレーム22に対する後方移動を規制する拘束部材として機能する。
以上のような構成の車載シート装置10によれば、バックレスト26が、SBメインフレーム22に対して、前後方向軸周りに揺動できる。この場合、車両の走行に伴い生じる左右方向の揺れを、頭部ではなく、胴体の動きで吸収できるため、着座者の頭部の姿勢が安定する。また、背部がもたれかかるバックレスト26が、複数のワイヤによって支持されているため、肉厚のクッション部材(例えばウレタンシート等)がなくても、適度なクッション性を確保でき、車載シート装置10の軽量化が可能となる。
ところで、車載シート装置10の構成によっては、車両が後面衝突した際に、着座者に頚椎捻挫、いわゆる、むち打ち症が発症することがある。かかるむち打ち症は、後面衝突した際に、胴体は、シートバック14によって前方に押されるのに対して、頭部は、その場に留まろうとする結果、頭部が胴体に対して後方に大きく揺れ、頭部を支える頚椎が損傷する障害である。特に、バックレスト26をワイヤで支持する構成の場合、胴体は、ワイヤの張力の範囲内でしか、後方に沈み込まない。その結果、肉厚のクッション部材を有する構成に比べて、バックレスト26をワイヤで支持する構成の場合、胴体に対する頭部の揺れが大きくなりやすかった。
そこで、本明細書では、むち打ち症を防止または軽減するために、後面衝突した際に、バックレスト26を後方に大きく沈み込ませている。以下、これについて、詳説していく。上述した通り、前後位置規制機構50は、SBサブフレーム28に対して固定される後側拘束ブラケット52と、SBメインフレーム22に対して固定される前側拘束ブラケット66と、両拘束ブラケット52,66の間に架け渡される前後ワイヤ82と、を有している。図6は、後側拘束ブラケット52の斜視図である。これまで説明した通り、また、図6に示すように、後側拘束ブラケット52は、略L字状のアーム部56と、アーム部56の先端に設けられた後固定部55と、を有している。さらに、アーム部56は、薄板状の本体部56aと、当該本体部の両側から立脚する欄干部56bと、を有している。欄干部56bを設けることで、アーム部56の強度が向上する。後固定部55は、アーム部56の末端に取り付けられる略円筒部材である。ただし、こうした円筒部材を設けることなく、前後ワイヤ82の後端を、アーム部56の末端に直接取り付けてもよい。この場合、アーム部56の末端が、後固定部55として機能する。
本例のアーム部56は、バックレスト26またはSBサブフレーム28に車両前方から後方に向く力が作用した場合に、応力が集中しやすい脆弱部102を設けている。本例では、図6に示すように、屈曲箇所の欄干部56bに、切り欠きを形成することで、脆弱部102を構成している。ただし、脆弱部102は、他の構成でもよい。例えば、屈曲箇所の本体部56aの肉厚を他の箇所より薄くしたり、屈曲箇所の本体部56aに切り欠きを形成したりして、脆弱部102を構成してもよい。
以上のような構成の前後位置規制機構50の動きについて図7を参照して説明する。図7は、前後位置規制機構50の概略側面図であり、図7の上段は、平常状態を、図7の下段は、後面衝突時を示している。図7の上段に示すように、平常時において、前固定部68および後固定部55は、正対しており、前後ワイヤ82は、両固定部68,55の間に架け渡されている。横フレーム43を含むSBサブフレーム28は、この前後ワイヤ82により、一定以上、後方に移動しないように規制されている。
後面衝突時、SBメインフレーム22は、車体とともに前方に移動する。一方、着座者は、その場に留まろうとする。換言すれば、着座者は、SBメインフレーム22に対して、相対的に後方移動しようとする。着座者を支えるバックレスト26およびSBサブフレーム28も、SBメインフレーム22に対して、後方に相対移動しようとする。ただし、後側拘束ブラケット52が、充分に強固な場合、このSBサブフレーム28の後方への相対移動は、前後ワイヤ82により規制されてしまい、着座者の胴体は、充分に沈み込まなくなる。この場合、頭部のみが、胴体に対して後方に相対移動してしまい、むち打ち症が、生じやすくなる。
本例では、上述した通り、後側拘束ブラケット52のアーム部56に、脆弱部102を設けている。その結果、SBサブフレーム28が、SBメインフレーム22に対して後方に相対移動しようとし、アーム部56に荷重がかかると、脆弱部102に応力が集中する。そして、これにより、当該脆弱部102が、図7の下段に示すように、座屈し、アーム部56が、V字状に折れ、アーム部56の前端が、後固定部55に対して後方に変位する。この場合、このアーム部56の前端の後方変位量分だけ、SBサブフレーム28のSBメインフレーム22に対する後方移動が許容されることになる。結果として、後面衝突時に、着座者の胴体の沈み込み量が増加する。そして、着座者の胴体の沈み込み量が増加し、胴体が頭部とともに動きやすくなれば、その分、むち打ち症の発症が効果的に防止または軽減される。なお、この脆弱部102の座屈荷重は、前後ワイヤ82の引っ張り耐荷重よりも小さい。そのため、前後ワイヤ82が、引っ張り破断される前に、脆弱部102が座屈変形するため、後面衝突時であっても、着座者の胴体が無制限に後方に移動することはない。
なお、本例では、アーム部56に、脆弱部102を設けることで、当該アーム部56の変形を誘発している。しかし、アーム部56は、一定以上の後向き荷重が入力されることで、当該アーム部56の前端が後固定部55に対して後方に移動するように変形できるのであれば、他の構成でもよい。例えば、図8に示すように、アーム部56を、SBサブフレーム28に対して固定された基準部104と、基準部104の後端から後方に延びる延長部106と、で構成してもよい。この場合、基準部104は、延長部106に対してスライド可能となっている。
図9は、図8におけるA-A線での概略断面図である。図9に示すように、基準部104および延長部106は、いずれも上方に開口した略コ字状である。また、延長部106は、基準部104に対して一回り小さく、基準部104の内側に配置されている。延長部106の側面からは、ガイド軸108が延びている。図8に示すように、基準部104の側面には、このガイド軸108が挿通され、前後方向に延びるガイドスリット110が形成されている。ガイドスリット110は、その前後両端のみ大きく、中間部分は、ガイド軸108の外径よりも僅かに小さい。そのため、大きな荷重がかからない状態では、ガイド軸108は、図8の上段に示すように、ガイドスリット110の後端に留まる。
一方、後面衝突に伴い、アーム部56に後ろ向きの一定以上の力が入力されると、図8の下段に示すように、ガイド軸108は、ガイドスリット110の絞り部分を乗り越えて、ガイドスリット110の前端へと移動する。このとき、ガイド軸108と接続された、延長部106も、基準部104に対して前方移動、換言すれば、基準部104が延長部106に対して後方にスライド移動する。結果として、アーム部56の前端が後固定部に対して後方に移動する。そして、これにより、バックレスト26の沈み込み量が増加し、むち打ち症の発症が防止または軽減される。
ところで、本例では、前後位置規制機構50を、胸部高さ付近に二つ、腰部高さ付近に二つ、合計四つ設けている。この四つの前後位置規制機構50は、全て同じ構成でもよいし、互いに異なる構成でもよい。例えば、腰部高さ付近に設けられる前後位置規制機構50を、胸部高さ付近に設けられる前後位置規制機構50よりも、早期に、かつ、多量に変形するように、それぞれの構成を異ならせてもよい。これについて、図10を参照して説明する。
図10は、バックレスト26およびSBサブフレーム28の概略側面図である。後面衝突の際、腰部付近の沈み込み量を多くとることで、衝突の衝撃が吸収でき、むち打ち症の発症をより確実に防止できる。また、腰部を胸部に比べて後退させ、着座者の胴体をより立ち上がらせることで、シートベルトやエアバッグの性能を最大限に発揮できる。そこで、腰部付近の沈み込み量を増加させるために、上後側拘束ブラケット52Uおよび下後側拘束ブラケット52Lの構成を互いに異ならせてもよい。
具体的には、下後側拘束ブラケット52Lのアーム部56(以下「下アーム部56L」という)は、上後側拘束ブラケット52Uのアーム部56(以下「上アーム部56U」という)に比べて、その変形開始する際の入力荷重を小さくしてもよい。これは、各アーム部56が図7に示すような構成の場合、下アーム部56Lの脆弱部102の切り欠きを、上アーム部56Uの脆弱部102の切り欠きより、大きくすることで実現できる。また、別の形態として、下アーム部56Lを上アーム部56Uに比べて、強度の低い素材で構成してもよい。さらに、各アーム部56が図8に示すような構成の場合、ガイドスリット110の中間部の絞り量を調整することで、下アーム部56Lが、上アーム部56Uに比べて、早期に変形するようにしてもよい。
また、後面衝突時における下アーム部56Lの変形量を、上アーム部56Uの変形量より大きくしてもよい。これは、各アーム部56が図7に示すような構成の場合、下アーム部56Lの高さ寸法h1を、上アーム部56Uの高さ寸法h2より大きくすることで実現できる。また、各アーム部56が図8に示すような構成の場合、下アーム部56Lのガイドスリット110を、上アーム部56Uのガイドスリット110より長くしてもよい。
このように、アーム部56の設置高さに応じて、変形量および変形開始する荷重値を異ならせることで、むち打ち症の発症をより確実に防止できる。また、後面衝突時において、着座者の胴体を立ち上がらせることができるため、シートベルトやエアバッグの効果をより向上でき、着座者をより適切に保護できる。
なお、ここまで説明した構成は、一例であり、後面衝突時に、沈み込み量を増加させる方向に変形可能な後側拘束ブラケット52を有するのであれば、その他の構成は、変更されてもよい。例えば、上記説明では、揺動可能なヘッドレスト16を設けているが、かかるヘッドレスト16は無くてもよい。また、上記説明では、バックレスト26を、SB中間フレーム30を介してSBメインフレーム22に吊り下げ保持しているが、SB中間フレーム30を省略し、バックレスト26をSBメインフレーム22に直接吊り下げるようにしてもよい。さらに、上記説明では、SBサブフレーム28の前後方向位置を規制する拘束部材として、ワイヤを用いているが、拘束部材は、ワイヤに限らず、他の線状体、例えば、ロープや紐、ザイル等でもよい。