JP7111057B2 - プレス成形方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、長手方向の平面外で屈曲部を有する金属製断面ハット型形状部材を成形するに際し、天板部と縦壁部が形成する稜線部に、又は、該稜線部及び縦壁部とフランジ部が形成する角部の両方にフィレット部を形成することで、しわを抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2には、天面部の幅方向端縁が長手方向に沿って湾曲する断面ハット状の湾曲プレス部品をプレス成形するに際し、平板状のブランク材の幅方向の端部にビードや折曲部などの高剛性部を設ける予備成形工程と、該高剛性部を残した状態で天面部と側壁部とを成形する本成形工程により、フランジ部におけるシワを抑制する技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、上下方向に湾曲した湾曲部品に対し、パッドでブランクのパンチ底を板厚方向に加圧しながら該ブランクの端部をダイとホルダとで挟持してドロー成形を行うことで、しわを抑制する技術が開示されている。
図1(a)に一例として示すような、天板部3と、天板部3から連続する縦壁部5と、縦壁部5から連続するフランジ部7とを有する断面ハット形状であり、側面視で天板部3とフランジ部7とが長手方向に沿って高さ方向に凸状に湾曲する凸状湾曲部位9を有するプレス成形品1を、従来技術のように1工程でプレス成形すると、しわがフランジ部7に生じやすく、特に、湾曲の大きい凸状湾曲部位9に生じやすい。
なお、本発明において、長手方向に沿って高さ方向に凸状に湾曲するとは、側面視において凸状に湾曲した円弧の中心がフランジ部7側に位置することをいう。
中間形状成形工程は、図1(b)に示すように、プレス成形品1の目標形状に比べて、長手方向長さLが短くて凸状湾曲部位19が前記目標形状よりも大きく湾曲し、かつ凸状湾曲部位19における天板部13と縦壁部15との開き角度が大きくて縦壁部15の縦壁高さが低い中間形状のプレス成形品11をプレス成形する工程である。
また、中間形状成形工程は、ドロー成形又はフォーム成形のいずれであってもよい。
目標形状成形工程は、中間形状のプレス成形品11をフォーム成形により目標形状のプレス成形品1にプレス成形する工程である。
中間形状成形工程における中間形状は、以下の(a)~(c)に示す方法により決定することができる。
このような成形解析後の中間形状モデルの形状を、中間形状成形工程における中間形状として決定する。
そして、該成形解析後の成形品モデルについてその長手方向の端部側を平坦にする逆解析を行うことにより、天板部(プレス成形品11の天板部13に相当)と縦壁部(プレス成形品11の縦壁部15に相当)との開き角度はさらに大きくなって縦壁部の縦壁高さは低くなった形状の逆解析後の中間形状モデルが得られる。そして、このような逆解析後の中間形状モデルの形状を、中間形状成形工程における中間形状として決定する。
本実施の形態に係るプレス成形方法により、側面視で長手方向に沿って高さ方向に凸状に湾曲するプレス成形品を、しわを抑制してプレス成形することができる理由について説明する(図1参照)。
なお、本発明において成形対象とするプレス成形品の目標形状は、凸状湾曲部位の曲率半径Rが30mm以上5000mm以下であり、縦壁部の縦壁高さHが10mm以上300mm以下のものであることが好ましい。
また、曲率半径Rが5000mmより大きい、又は、縦壁高さHが10mm未満であると、本発明を用いなくても、しわを抑制して目標形状にプレス成形することできる。
なお、長手方向に沿って高さ方向に凹状に湾曲するとは、側面視において凹状に湾曲した円弧の中心が天板部3側に位置することをいう。
もっとも、本発明は、天板部又はフランジ部のいずれか一方が、長手方向に沿って高さ方向に凸状に湾曲するプレス成形品を成形対象とするものであっても、しわを抑制してプレス成形することができる。
なお、実施例1及び実施例2において、プレス成形に供した材料として、以下の表1に示す材料A又はDの鋼板を用いた。
図3に示すように、天板部3と縦壁部5とフランジ部7とを有する断面ハット形状であり、側面視で天板部3とフランジ部7の双方が長手方向に沿って高さ方向に凸状に湾曲する凸状湾曲部位9を有するプレス成形品1を成形対象とした。
ここで、しわが無い場合は「○」、微小なしわがある場合は「△」、明らかなしわがある場合は「×」と評価した。
表2に、中間形状のプレス成形品の押し込み割合(長手方向長さの変化割合)、目標形状の凸状湾曲部位9の湾曲の曲率半径Rと縦壁部の縦壁高さHの比R/H、及びしわの評価結果を示す。
さらに、目標形状の凸状湾曲部位9の湾曲の曲率半径Rと縦壁部5の縦壁高さHの比R/Hが好適範囲である0.1以上500以下の場合においては、しわの発生が一切見られず、良好な結果であった。なお、発明例4では、発明例3の中間形状のプレス成形品に対して長手方向の端部を逆解析によりさらに平坦とした中間形状を用いた。
図5に示すように、天板部23と縦壁部25とフランジ部27とを有する断面ハット形状であり、側面視で天板部23とフランジ部27の双方が長手方向に沿って高さ方向に凸状に湾曲する凸状湾曲部位29と、長手方向に沿って高さ方向に凹状に湾曲する凹状湾曲部位31を有するプレス成形品21を成形対象とした。
ここで、しわが無い場合は「○」、微小なしわがある場合は「△」、明らかなしわがある場合は「×」と評価した。
表3に、中間形状のプレス成形品41の凸状湾曲部位における長手方向長さの変化割合、目標形状の凸状湾曲部位29の湾曲の曲率半径R1と縦壁部25の縦壁高さHの比R1/H、及びしわの評価結果を示す。
さらに、目標形状の凸状湾曲部位29の湾曲の曲率半径R1と縦壁部5の縦壁高さHの比R1/Hが好適範囲である0.1以上500以下の場合、しわの発生が一切見られず、良好な結果であった。
3 天板部
5 縦壁部
7 フランジ部
9 凸状湾曲部位
11 中間形状のプレス成形品
13 天板部
15 縦壁部
17 フランジ部
19 凸状湾曲部位
21 目標形状のプレス成形品
23 天板部
25 縦壁部
27 フランジ部
29 凸状湾曲部位
31 凹状湾曲部位
41 目標形状のプレス成形品
43 天板部
45 縦壁部
47 フランジ部
49 凸状湾曲部位
51 凹状湾曲部位
Claims (4)
- 天板部と、該天板部から連続する縦壁部と、該縦壁部から連続するフランジ部とを有する断面ハット形状であり、前記天板部及び/又は前記フランジ部が側面視で長手方向に沿って高さ方向に凸状に湾曲する凸状湾曲部位を有するプレス成形品をプレス成形するプレス成形方法であって、
前記プレス成形品の目標形状に比べて、長手方向長さが短くて前記凸状湾曲部位が前記目標形状よりも大きく湾曲し、かつ該凸状湾曲部位における前記天板部と前記縦壁部との開き角度が大きくて前記縦壁部の縦壁高さが低く、長手方向の中央に比べて端部側の方が前記天板部と前記縦壁部との開き角度が大きく縦壁高さが低く、前記天板部と前記縦壁部との間の曲げ稜線部長さ及び前記縦壁部と前記フランジ部との間の曲げ稜線長さがそれぞれ前記プレス成形品の目標形状と同じである中間形状のプレス成形品をプレス成形する中間形状成形工程と、
該中間形状のプレス成形品をフォーム成形により、前記中間形状のプレス成形品における前記天板部と前記縦壁部との間の曲げ稜線部と、前記縦壁部と前記フランジ部との間の曲げ稜線部を曲げ成形し、前記縦壁部からフランジ部への材料流れを抑制して目標形状にプレス成形する目標形状成形工程と、を備えたことを特徴とするプレス成形方法。 - 前記中間形状成形工程における前記中間形状は、前記目標形状と同一形状の成形品モデルを設定し、該成形品モデルの長手方向の両端面に中央に向かう荷重又は変位を与えて成形解析を行うことにより決定することを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
- 前記中間形状成形工程における前記中間形状は、前記成形解析後の中間形状モデルについて、その長手方向の端部側をさらに平坦にする逆解析を行うことにより決定することを特徴とする請求項2記載のプレス成形方法。
- 前記中間形状成形工程における前記中間形状は、前記目標形状と同一形状の成形品モデルを設定し、該成形品モデルについてその長手方向の端部側を平坦にする逆解析を行い、該逆解析した後の中間形状モデルの長手方向の両端面に中央に向かう荷重又は変位を与えて成形解析を行うことにより決定することを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
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