JP7110522B2 - 浸水指向性を有する繊維シート - Google Patents

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Description

本発明は、浸水指向性を有する繊維シートに関する。
なお、本明細書において「浸水指向性」は、水との馴染みが良好で水を浸み込みやすくする特性(以下ではこの特性を「浸み込み性」と言う)を有した部位を、最終的な繊維シートの形体として少なくとも1箇所有し、且つこの浸み込み性を有する部位が特定の方向性(水が浸透する際の指向性)を有していることを言う。ここにおいて「浸水指向性」は、シートを構成する素材自体によって生起するものであるかシート構造(編組織など)によって生起するものであるかの違いを問わないものとする。
また「浸み込み性」とは異なり、一旦、取り込んだ水を滲み出しやすくする特性を「滲み出し性」と言うものとする。但し、「浸み込み性」と「滲み出し性」とは、必ずしも反対語の関係となる場合だけに限らず、例えば両方の特性を有するような場合も含めるものとする。
例えば、「浸み込み性」が重要視される部位において、期待する作用効果が得られることに着目して「浸み込み機能帯」という名称を付しているが、この「浸み込み機能帯」で「滲み出し性」が得られる場合もある。尤も、「浸み込み機能帯」での「滲み出し性」は「浸み込み性」を超えて顕著なものではないものとおく。
同様に、「滲み出し性」が重要視される部位において、期待する作用効果が得られることに着目して「滲み出し機能帯」という名称を付しているが、この「滲み出し機能帯」で「浸み込み性」が得られる場合もある。この場合も、「滲み出し機能帯」での「浸み込み性」は「滲み出し性」を超えて顕著なものではないものとおく。
不織布を製造する方法には、乾式法、湿式法、紡糸直結法など(その他の方法として以下では「溶融直結法」と仮称するものを例示する)がある。
乾式法や湿式法は、一旦、短繊維のかたちを作成し、それを薄い形体に堆積させてウエブ(薄く延ばした綿のようなもの)に形成してゆく方法であり、これに対して紡糸直結法や溶融直結法は、溶融させた原料チップから一旦紡糸するか、又は紡糸せず直接にウエブを形成してゆく方法である。紡糸直結法にはスパンボンド法が知られており、溶融直結法にはメルトブローン法が知られている。
これらの製造方法で形成されたウエブは、バインダー使用法や加熱溶着法、或いは物理的な交絡法によって結合させ、或いは積層させることがある。
ところで、従来、不織布により形成した拭き取り材が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。この拭き取り材は、繊維密度に高低差を生じさせて成る第1交絡部と第2交絡部とを備えさせたもので、低密度とさせた第1交絡部では粒径の大きなダストの取り込みを行わせ、高密度とさせた第2交絡部では粒径の小さなダストの取り込みを行わせようとするものである。
なお、特許文献1では、第2交絡部で毛管現象を起こさせるように使用することにより、液体の吸い上げ性を得ることもできると説明されている。この場合、短繊維の配向性をランダムにした構成の最適実施形態を根拠として、得られた結果であろうことが予測される。
特開2011-117095号公報
従来の提案に係る拭き取り材は、粒状のダストを取り込むことを主眼として構成されたものと言える。そのため、仮に吸水性を得ることができるという例外的な作用を見出していたとしても、吸水した水を保水したり、他所へ導水したりするという特徴的作用については何ら着目されておらず、当然にその技術的思想を実現させるための構成を備えていな
いものであった。
仮に、この拭き取り材の吸水性を利用して、植栽地へ敷設し、そのうえに植栽して灌水などを実施したとすると、拭き取り材に保水性が無いか又は乏しいために頻繁な給水が必要であることが予想される。また給水後の水が面方向で移動し難いために、広い面積、数多い給水点にわたって何度も給水を実施しなければならないことが予想される。
要するに、この拭き取り材は、実質的には保水性や導水性を備えないか、又は備えたとしても実用には向かない程、微量なものであり、植栽地へ敷設するような用途には使用できないと言うことができる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水との馴染みが良好で水を浸み込みやすくする特性(浸み込み性)を有すると共に、この浸み込み性について特定の方向性を有する構成(浸水指向性)を備えることにより、保水性や導水性を発現できるものとし、これら保水性や導水性を利用して、例えば植栽地の地中に敷設するような用途にも使用できるようにした浸水指向性を有する繊維シートを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る浸水指向性を有する繊維シートは、不織布より成る本体層を有し、前記本体層は相対的に繊維密度が粗である複数の浸み込み機能帯と密である複数の滲み出し機能帯とが互いに帯長手方向を平行させると共に帯幅方向で交互に配置されており、前記本体層を形成する不織布は繊維方向を前記浸み込み機能帯及び前記滲み出し機能帯の帯長手方向に合致させつつ単一方向に揃えられていることを特徴とする。
なお、「浸み込み機能帯」及び「滲み出し機能帯」については定義済みである。
前記本体層の前記浸み込み機能帯は帯長手方向を繊維方向に合致させた凸堤に形成されており、前記本体層の前記滲み出し機能帯は帯長手方向を繊維方向に合致させた凹溝に形成されているものとしてもよい。
前記本体層の片面に裏当て層が積層形成されており、前記裏当て層と前記本体層とは、前記本体層の前記滲み出し機能帯と重なる位置で繊維方向に沿った複数箇所の結合点が設けられたものとしてもよい。
なお、前記本体層の不織布を形成している繊維は連続長繊維とすることができる。
前記結合点は、前記裏当て層を形成する繊維の一部が前記本体層内で交絡していると共に、前記本体層を形成する繊維の一部が前記裏当て層内で交絡していることによって複合交絡構造を形成したものとするのが好適である。
前記裏当て層は、繊維配向方向をランダムにする不織布によって形成することも可能である。
前記裏当て層は前記本体層に比べて撥水性が高いものとしてもよい。
本発明に係る浸水指向性を有する繊維シートであれば、水との馴染みが良好で水を浸み込みやすくする特性(浸み込み性)を有すると共に、この浸み込み性について特定の方向性を有する構成(浸水指向性)を備えているので、保水性や導水性を発現できるものであり、これら保水性や導水性を利用して、例えば植栽地の地中に敷設するような用途にも使用できるようになっている。
本発明に係る繊維シートを示したものであって(a)は平面図であり(b)は側面図である。 図1のA部拡大図である。 本発明に係る繊維シートの外観を示した写真である。 本発明に係る繊維シートの組成を示した写真である。 斜面へ敷設した際の作用を説明した模式図である。 図5のB-B線拡大断面図である。 本発明に係る繊維シートを製造する方法の一例を説明した模式図である。 本発明に係る繊維シートの形成素材とする繊維の一例を説明した模式図である。 本発明に係る繊維シートの浸み込み性能を確認する試験方法を説明した模式図である。 本発明に係る繊維シートを単体としたときの浸み込み性能を示したグラフである。 本発明に係る繊維シートに土を被せたときの浸み込み性能を示したグラフであって(a)は分単位で表しており(b)は時間単位で表している。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図6は、本発明に係る浸水指向性を有する繊維シート(以下、「本発明シート」と言う)1の第1実施形態を示している。
図1から明らかなように、本発明シート1は本体層2を構成の核とする。この本体層2は不織布により形成されている。図例では、本体層2の片面に裏当て層3が積層形成された実施形態としてある。
本体層2は、帯状に形成された複数本の浸み込み機能帯5と、同じく帯状に形成された複数本の滲み出し機能帯6とが互いに帯長手方向(図1(a)の左右方向)を平行させていると共に、これら浸み込み機能帯5と滲み出し機能帯6とが帯幅方向(図1(a)及び(b)の上下方向)で交互配置となるようにして設けられている。
本体層2の大きさ(面積)をはじめ、浸み込み機能帯5や滲み出し機能帯6の配置数、帯幅(相互間比率を含む)、帯長さ、厚さなどは何ら限定されるものではない。
本体層2の不織布を形成している繊維は、繊維方向を浸み込み機能帯5及び滲み出し機能帯6の帯長手方向に合致させつつ単一方向に揃えられている。この繊維には、連続長繊維を用いるのが好適である。より好ましくは、本体層2の不織布を形成している繊維のうち、80wt%以上を連続長繊維とするのがよい。
80wt%に満たない場合は、例えば植栽地の下地材などに使用するうえで浸み込み性や滲み出し性に関する配向性を十分に発揮できない問題(浸透が特定方向だけでなく面方向に散逸する状態となるなど)が生起するおそれがある。
ここにおいて連続長繊維は、例えば図8に示すように、ポリエステル等より成る長繊維に対し、一旦、撚りをかけて熱セットし(第I段階)、その後に撚りを戻す加工を施す(第II段階)ことにより得た糸10(第III段階:「仮撚り糸」「ウーリー糸」とも言う)である。
このような糸10を用いれば、隣り合う繊維間に適度な空隙が生じやすく保水性が高まり、且つ、繊維間の絡み合いが強くなることで不織布としての保形性や強度(特に幅方向)が強くなる点で好ましい。
このような連続長繊維は、螺旋を引き延ばしたような撚り癖(緩慢な捲縮性)が糸全長にわたって残留しており、また毛羽だった状態となっている。従って、連続長繊維を束(トウ)にしたときには、それ自体でふんわりとした嵩高性や吸水性が得られるようになっている。
具体的には、220dtex/72fのポリエステルウーリー糸を、約1800本/束×11束のトウで約400mm幅にして用いた。
ポリエステル以外には、ナイロン繊維を用いたり、またポリエステル繊維とナイロン繊維とを混用したりすることができる。
図2に示すように、浸み込み機能帯5と滲み出し機能帯6とは、本体層2を形成している不織布の繊維密度に粗密差を生じさせることで互いの組成を異ならせたものである。当然に、浸み込み機能帯5が相対的に「粗」となる部位であり、滲み出し機能帯6が相対的に「密」となる部位である。
なお、図1及び図2は、本発明シート1の構成を理解しやすくするために模式的に描いたものであり、実際の組成(繊維構造)を正確に具現化したものではない。すなわち、実際の外観は図3に示すようなものである。図3は裏当て層3側から見た様子であり、この図3中の右側では本体層2が現れるようにめくり返してある。
また、本体層2における実際の組成は図4に示すようなものである。図4は滲み出し機能帯6に対応する端面を中心にして倍率100倍に拡大したものであり、この図4中で寸法線に書き添えた[1277.76μm]の記載位置周辺で、繊維密度が密になっている様子を確認することができる。すなわち、この密部分が滲み出し機能帯6である。そして、この滲み出し機能帯6の左右両側では繊維密度が粗になっている様子を確認することができ、この粗部分が浸み込み機能帯5である。
また、本第1実施形態では、浸み込み機能帯5が帯長手方向を繊維方向に合致させた「凸堤」の形体として厚肉に形成され、滲み出し機能帯6が帯長手方向を繊維方向に合致させた「凹溝」の形体として薄肉に形成されたものとしてある。
このように、浸み込み機能帯5は滲み出し機能帯6に比べて低密であって、またふんわりとして厚肉(嵩高)であるので、組成中における厚さ方向の水の浸透性が高いと言える。勿論、浸み込み機能帯5は厚さ方向だけでなく帯幅方向や帯長手方向でも水の浸透性が高い。これらのことによって、浸み込み機能帯5は、保水性が高い組成を有していると言うことができる。
ここで例えば図5に示すように、帯長手方向の両端に高低差が生じるように傾斜させ、傾斜上端側から給水を行ったとする。この場合、水は浸み込み機能帯5の内部に素早く浸透し、恰も導水パイプに導かれるようにして帯長手方向に沿って傾斜の下端まで自然流下する(矢符X参照)と同時に、両側の滲み出し機能帯6に水が拡散し、全面が濡れた状態となる。
また反対に、傾斜の下端側から給水を行った場合では、密度の低い浸み込み機能帯5は、毛管現象による吸い上げる力が弱いが、密度の高い滲み出し機能帯6により、毛管現象が作用する限界まで、両側の浸み込み機能帯5に水を供給しながら、ゆっくり時間をかけて遡上する(矢符Y参照)ことで、全面が濡れた状態となる。このように、水の給水方向に応じて浸み込み機能帯5、滲み出し機能帯6がそれぞれ導水効果を発現することで地面の傾斜状態にかかわらず優れた導水性能を示す。
更に、大量の水が上端部から給水される場合は、滲み出し機能帯6は凹状となっているため、その溝上を恰も川の流れのようにして、帯長手方向に沿って傾斜の下端側まで自然流下させることができる。
のみならず、図6に示すように、滲み出し機能帯6の隣には浸み込み機能帯5が寄り添っている配置であるので、滲み出し機能帯6に沿って水が流れる状況が保持される場合には、滲み出し機能帯6上の水が隣接の浸み込み機能帯5に吸水され易い(矢符Z参照)という現象を伴うことになる。すなわち、滲み出し機能帯6は、隣接の浸み込み機能帯5への給水の役割や、浸み込み機能帯5を満水状態に保持する役割をも担っていることになる。
ところで、本体層2において浸み込み機能帯5と滲み出し機能帯6とを作り分けるための形成方法としては、ニードルパンチによる交絡を行うのが好適である。とは言え、ニードルパンチによる交絡が限定されるものではない。例えば、水流交絡やエアー交絡等を採用することができる。また交絡以外では、加圧ローラーやプレス成形、場合によっては縫製などによって繊維密度を密にさせる方法などを採用することも可能である。
ニードルパンチによる交絡では、本体層2を形成する不織布の特定部位(滲み出し機能帯6の形成予定箇所)のみに交絡を施工する方法と、本体層2を形成する不織布の特定部位をその他の部位(浸み込み機能帯5の形成予定箇所)よりもパンチ密度を細かくさせる(集中させる)方法とがある。いずれにしても、このようにして形成した滲み出し機能帯6では、浸み込み機能帯5に比べて繊維の交絡箇所が多く、且つ交絡強度も高くなるので、滲み出し機能帯6自体が高強度となり、好適と言える。
なお、このような製造事情に伴い、本第1実施形態において本発明シート1は、浸み込み機能帯5(凸堤)や滲み出し機能帯6(凹溝)の帯長手方向(浸み込み機能帯5や滲み出し機能帯6における繊維方向に同じ)に沿って製造するのが最も効率がよい。そのために、本体層2における浸み込み機能帯5や滲み出し機能帯6の帯長手方向は、いわゆる「機械方向(製造方向)」と同じ方向となっている。ただ、前記したように滲み出し機能帯
6の形成にニードルパンチによる交絡を採用することは限定されるものではないので、この帯長手方向と機械方向との関連性についても限定されるものではない。
前記したように、滲み出し機能帯6の部位でニードルパンチによる交絡が行われることで、この部位での交絡は本体層2と裏当て層3との積層固定に利用される。すなわち、滲み出し機能帯6は、本体層2と裏当て層3とを積層固定するうえでの層間固定部を兼ねたものとなるので、滲み出し機能帯6がニードルパンチによる交絡によって高強度になることは本体層2の全体としても高強度になることに繋がり、この点でも好適と言える。
図3において、裏当て層3上の黒っぽく映し出された縞柄部分は、本体層2を形成する繊維の一部(滲み出し機能帯6)が裏当て層3を突き抜けて現出した交絡部分である。
このようなことを換言すれば、滲み出し機能帯6にはその帯長手方向に沿った複数箇所に、本体層2と裏当て層3とを積層固定するための結合点が配置されていると言うことができる。
しかしながら、このような結合点は交絡によって形成することが限定されるものではない。すなわち、滲み出し機能帯6を形成するための交絡と、本体層2と裏当て層3とを積層固定するための結合点とは、それぞれ別の手法を採用することができる。
例えば、結合点を形成する他の方法には、接着剤による接着、本体層2や裏当て層3の形成素材に含ませた溶融糸やバインダーを加熱溶融させる加熱接着、ステープラーや結束材による締結、縫着など、種々様々な方法などを採用することができる。
また、結合点を交絡によって行う場合、前記した水流交絡やエアー交絡等を採用することもできる。ただし、水流交絡やエアー交絡等は、一般的に、水やエアーを噴き付ける側からの往き一方向となるので、交絡を起こす繊維が本体層2から裏当て層3(又はその逆)へ侵出するだけとなる。
これに対し、交絡のなかでニードルパンチによる場合は、針の抜き刺しを行うことに伴って、図2に模式的に示したように往復両方向で交絡を行うことによる特徴的な相互交絡構造が得られることになる。すなわち、裏当て層3を形成する繊維の一部が本体層2内で交絡していると共に、本体層2を形成する繊維の一部が裏当て層3内で交絡していることになる。
そのため、ニードルパンチによる交絡には、本体層2と裏当て層3との層間がしっかりと固定されるという利点がある。
裏当て層3は、特にその形成材料や層構造、水に対する特性(作用)等が限定されるものではない。
例えば、繊維配向方向をランダムにする不織布によって形成することができる。このようにすることで、幅方向の強度が高くなる。
具体的には、スパンボンド不織布(例えば、東洋紡社製の商品名:エクーレ3151A等)やメルトブローン不織布のようなランダム配向不織布とするのがよい。
なお、ポリプロピレン(PP)やポリエステル製の不織布は非親水性を示す素材である点で好適と言える。また、元来は親水性を示す不織布(ナイロンやセルロース系)の表面を疎水化処理(シリコーンやフッ素系の撥水剤を付着)させたようなものとしてもよい。
なおまた、裏当て層3について、本体層2に比べて撥水性を高くしてもよい。このようにすることで、浸み込み機能帯5に浸透した水が裏当て層3側を介してその裏側へと浸透することが積極的に防止されることになる。そのため、浸み込み機能帯5の浸み込み性や保水性、帯長手方向に沿った導水性などを一層効率よく発揮できるものとなる。また滲み出し機能帯6に対しても滲み出し性などを一層効率よく発揮できるものとなる。
裏当て層3の撥水性を本体層2よりも高くさせる方法としては、本体層2の形成繊維だけを親水化処理(親水剤加工、表面改質等)する方法や、裏当て層3側を撥水化処理(撥水剤加工等)する方法、又はこれら両方を行う方法、裏当て層3と本体層2とで使用する糸種を異ならせる方法などがある。
図7及び図8は本発明シート1を製造する方法の一例を示している。
本発明シート1を製造するには、連続長繊維10(図8参照)を巻回したボビン11から、連続長繊維10を一旦、巻取機12のリール13へと巻き取ってトウ14の状態に巻
き直しし、そのうえでベルトコンベア15上へトウ14を巻き出す。
このとき、リール13とベルトコンベア15との間ではトウ14をパイプ16内へ挿通して幅方向の通糸位置を規制させるのがよい。これにより、ベルトコンベア15上で幅方向の目付バラツキが発生するのを防止する。
また、ベルトコンベア15上に乗り移らせる際にはガイドローラ17による挟持状態を生じさせて、ベルトコンベア15上での送り方向の目付を均一化させるのがよい。
前記の第1実施形態で説明したような裏当て層3を設ける場合は、裏当て層供給装置21から巻き出した形成素材22を、直接、ニードルパンチ装置20へ送り出し(ベルトコンベア15の搬入端へ供給することを除外するものではない)、トウ14の片面側に重ね合わせるようにすればよい。
ベルトコンベア15上で幅方向及び送り方向を安定させたトウ14に対して、次にニードルパンチ装置20により交絡処理を施すようにする。交絡処理は、本体層2の滲み出し機能帯6を形成させる位置を主な交絡位置とさせる。ただ、本体層2の浸み込み機能帯5を形成させる位置でも数か所程度(本体層2と裏当て層3との層間を積層固定する結合点をまばらに生じさせる程度)の交絡を行ってもよい。
なお、本発明シート1を広幅に形成するに際しては、ニードルパンチ装置20の一次側に、広幅のベルトコンベア15を設置して、このベルトコンベア15へ複数のトウ14を同時に供給するようにすればよい(図示略)。
図9乃至図11は、本発明シート1について行った浸み込み性能を確認する試験について示している。
試験は、図9に示すように、傾斜台30上に本発明シート1の実施例又は比較例を載せ、傾斜台30における傾斜の上側となる位置から水を供給し、傾斜の下側となる位置での透水量と時間の関係を調べることにより行った。
傾斜台30に付する傾斜の勾配は、2%とした。図10は本発明シート1の実施例及び比較例の双方を単体で行った(植栽地などでシート上面を露出状態にして敷設することを想定した)試験の結果であり、図11は本発明シート1の実施例及び比較例の双方に対して厚さ3cmの土を被せて行った(植栽地などでシートを土中に埋設状態にすることを想定した)試験の結果である。
本発明シート1の実施例には、ポリエステル繊維の連続長繊維を形成素材とし、ニードルパンチによる交絡で本体層2における浸み込み機能帯5と滲み出し機能帯6との作り分けを行い、且つ本体層2と裏当て層3とを積層固定したものとした。目付は250g/m2とした。
これに対し、比較例には、ポリエステル繊維の異型糸を形成素材とし、トリコット編で製編した生地を用いた。
試料サイズは、いずれも幅10cm、長さ(傾斜の長手方向寸法)110cmとした。但し、測定距離は100cmとした。
試験結果は、図10及び図11(a)から明らかなように、比較例では給水後における給水側の水量低下に伴い、時間の経過とともに透水量が大きく低下する傾向となっているのに対し、本発明シート1の実施例では、30分を超える所定時間にわたり、経時による透水量の低下がよく抑制される傾向であることが明らかとなった。また本発明シート1は、40分を超えても多量の保水状態が維持されていることを理解することができる。
これら実施例と比較例との考察に、土を被せずに行ったか(図10)、或いは土を被せて行ったか(図11(a))の違いは認められなかった。
更に具体的に言えば、水を運ぶ量(水拡散速度)の観点で考察すると、土を被せずに行った短時間の試験結果(図10)では、本発明シート1の実施例が比較例よりも2倍以上の好成績を上げており、土を被せて行った短時間~長時間にわたる試験結果(図11(a)及び(b))では、本発明シート1の実施例が比較例よりも、初期(水位3cm)で約3倍、180分後(水位1cm)で約5倍の好成績を上げていることが判る。
また、土を被せて行った場合に限定して言えば、図11(a)に分単位で示すように、本発明シート1の実施例では、比較例に比べて給水後、すぐに好結果として現れることが
確認された。また図11(b)に時間単位で示すように、本発明シート1の実施例では、比較例に比べて給水後、長時間にわたって好結果が維持されるものであることが確認された。
なお、同一の試験装置を用いて、土を被せた設定下での傾斜の下側から傾斜の上側へ向けて、土に水が吸い上げられる様子(土への水拡散性能)を観察した。傾斜の下側から95cm地点での180分後の吸い上げ高さ(本発明シート1の上面を基準にして土層が濡れていた厚さの測定値)は、実施例では26mmにも及んでいた(即ち、土層の表面から4mm掘り下げた位置で濡れが確認できた)のに対し、比較例は僅か17mm(掘り下げ量は13mm)に留まっていた。
更に、同一試験装置を用いて、土を被せた設定下で、土に傾斜方向に沿って10cm間隔で穴を開けておき、傾斜の下側から傾斜の上側へ向けて、土に水が吸い上げられる様子(土への水拡散性能)を目視にて観察した。
試験開始後30分で、実施例が傾斜の下側から30cmの地点まで充分な濡れを確認できたのに対し、比較例では10cmまでしか濡れを確認できなかった。同様に、70分では実施例が70cmに対して比較例が30cm、90分では実施例が80cmに対して比較例が40cmであった。
なお、20時間にわたる放置後に土表層の水拡散状態を観察したところ、実施例は40cm地点まで濡れが拡散していたのに対し、比較例では15cmの地点までしか濡れが拡散していないことが確認された。
ところで、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、浸み込み機能帯5を凸堤の形体にすることや滲み出し機能帯6を凹溝の形体にすることは限定されるものではない。従って、浸み込み機能帯5と滲み出し機能帯6とが同じ厚さを有して本体層2が一定厚(偏平)となるようにしてもよい。
浸み込み機能帯5と滲み出し機能帯6との繊維密度に差を生じさせる方法として、繊維の充填量に差を生じさせる方法を単独、又は圧縮度に差を生じさせる方法との複合で採用することも可能である。
本体層2の不織布を形成している繊維には、短繊維を使用することが除外されるものではなく、長繊維に対して短繊維を混合させたり短繊維のみを使用したりすることも可能である。
1 浸水指向性を有する繊維シート(本発明シート)
2 本体層
3 裏当て層
5 浸み込み機能帯
6 滲み出し機能帯
10 連続長繊維
11 ボビン
12 巻取機
13 リール
14 トウ
15 ベルトコンベア
16 パイプ
17 ガイドローラ
20 ニードルパンチ装置
21 層供給装置
22 形成素材
30 傾斜台

Claims (4)

  1. 不織布より成る本体層を有し、
    前記本体層は相対的に繊維密度が粗である複数の浸み込み機能帯と密である複数の滲み出し機能帯とが互いに帯長手方向を平行させると共に帯幅方向で交互に配置されており、
    前記本体層を形成する不織布は繊維方向を前記浸み込み機能帯及び前記滲み出し機能帯の帯長手方向に合致させつつ単一方向に揃えられ、
    前記本体層の片面に裏当て層が積層形成されており、
    前記裏当て層と前記本体層とは、前記本体層の前記滲み出し機能帯と重なる位置で繊維方向に沿った複数箇所の結合点が設けられ
    前記本体層の前記浸み込み機能帯は帯長手方向を繊維方向に合致させた凸堤に形成されており、
    前記本体層の前記滲み出し機能帯は帯長手方向を繊維方向に合致させた凹溝に形成され、
    前記本体層の不織布を形成している繊維は連続長繊維を含むことを特徴とする浸水指向性を有する繊維シート。
  2. 前記結合点は、
    前記裏当て層を形成する繊維の一部が前記本体層内で交絡していると共に、
    前記本体層を形成する繊維の一部が前記裏当て層内で交絡していることによって複合交絡構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の浸水指向性を有する繊維シート。
  3. 前記裏当て層は、繊維配向方向をランダムにする不織布によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浸水指向性を有する繊維シート。
  4. 前記裏当て層は前記本体層に比べて撥水性が高いことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の浸水指向性を有する繊維シート。
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