JP7107563B2 - 感応物質自然発生型陰イオン選択性電極 - Google Patents

感応物質自然発生型陰イオン選択性電極 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂またはその類似物の硬化反応において自然発生的に生成する陽イオンを陰イオン選択性感応物質として利用したプラスチック膜型の感応物質自然発生型陰イオン選択性電極に関するものである。
エポキシ樹脂を基材または基材の一部として用いた陰イオン選択性電極としては以下のものが知られている。
※ ここで述べる『基材』とは、形を維持するモノ、を意味する。例えば従来型の液膜電極の場合、測定対象物に応答する感応物質は形状が液体か、または粉末であるため、それ自体では形を維持できない。よって、これを可塑剤に溶かし、樹脂内に拡散させ、電極応答膜として用いている。
(1)少なくとも1種の電気活性成分(感応物質)を含むポリマーマトリックスを有し、そのポリマーマトリックスが硬化剤としてのアミン化合物とともにエポキシ樹脂を含有する塩化物イオン感応性電極膜。(特許文献1)
※ 特許文献1には膜の具体的な作製法が記載されてない。
(2)基材であるポリマーマトリックスがエポキシ樹脂とアミド基を含有するアミンを含み、このアミンが化学量論的に過剰量で存在し、硬化剤及び塩化物選別剤(感応物質)の両方として機能する塩化物選択性電極膜。(特許文献2)
(3) エポキシ樹脂主剤と硬化剤とを、またはエポキシ樹脂主剤と硬化剤と硬化促進剤とを、陰イオン選択性感応物質を添加することなく混合して硬化させて作製した陰イオン選択性電極用応答膜であって、前記電極用応答膜中には、エポキシ樹脂主剤の硬化反応の際に生じた4級アンモニウム陽イオンが陰イオン選択性感応物質として存在し、前記電極用応答膜中に、電位安定剤が配合されることを特徴とする電位安定剤を含有した陰イオン選択性電極用応答膜。(特許文献3)
(1)は塩化物イオンに応答(感応)する物質を電極基材に加えているので、従来型の塩化ビニルと可塑剤を基材とした電極用応答膜と構成的な違いはない。(2)は化学量論的に過剰なアミンを用い、それを感応物質として用いているが、過剰なアミンが感応物質と見做せるので、(1)と大差ない。それに比して(3)は感応物質を添加しておらず、エポキシ樹脂硬化反応の際に生じる4級アンモニウム塩をそのまま感応物質として用いている。
特許第3350728号 特許第4503599号 特許第3970032号 特開昭61-178654 特願昭55-153907 特開2001-124735 特表2007-534949 特許第3975086号
(1)から(3)のいずれの応答膜も、測定したい検体に合わせて応答膜を調製し、妨害物質(例えば、塩化物イオンを測定したいときの臭化物イオンや重炭酸イオン)に対する選択性を高めている。その一例として、測定系に存在しない妨害物質に対する選択性を弱めることにより、測定系に存在する妨害物質に対する選択性を高めるような調製を行う場合もある。
イオン選択性電極用応答膜において、選択性以外に考慮する必要があるのは、大まかにいえば、以下の三点である。
(イ)応答膜の頑健性 (ロ)応答膜の均一性 (ハ)応答膜の非ピンホール性(非導通性)
(イ)は機械的強度のことである。測定系に導入された応答膜が、例えば、水流で破壊されるようでは測定が叶わない。また、(ロ)が達成されないと応答膜の各位置で応答性が異ることになり、正しい測定結果が得られない。(ハ)は(イ)とも関連するが、所謂ピンホールや罅割れがあると原理的に測定ができない(電極の体を為さない)。
なお、他にも応答膜として達成しなければならない必要事項はあるが、常識の範囲内で考慮できるので割愛する(例えば、測定系が水溶液系であれば、原則的に水に溶解する材料は選択できない、等)。
本発明の目的は、前記した(3)型の電極応答膜に関し、主に前記した(ハ)を改善することである。なお、同時に(イ)も改善される。
これまでに作製した(3)型応答膜の1種は膜圧が数百マイクロメーターと薄いため、ピンホールの発生頻度が高かった。また応答膜を電極セルや電極スティックに貼り付ける際、両面テープや溶剤を使用していたため、両面テープの場合は貼り付け時の皺により隙間ができ、また溶剤を用いる場合は接着に失敗し、電極外部と電極内部が導通する(所謂、ピンホール発生と同じような状態になる)頻度が高かった。(3)型応答膜の別種は、予め弗素樹脂チューブで検体接触面を塞いだフロースルー型電極セル内面にエポキシ反応後に電極応答膜となる混合物を塗布して作製するが、乾燥後、机に落とす等の衝撃を受けると、電極応答膜が電極セル内面からポロリと剥がれてしまう頻度が高かった。また長時間(二週間以上)放置すると、それだけで剥がれてしまう場合もあった。これは電極セル内面と硬化したエポキシ樹脂との間に作製時から小さな隙間があり、その隙間が時間とともに成長し、やがて剥離に至ったものと考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電極セル通路部または電極スティック外部と、電極セル内部または電極スティック内部の電極用内部液が充填される空間との境界部において、エポキシ樹脂主剤と硬化剤とを、またはエポキシ樹脂主剤と硬化剤と硬化促進剤とを、陰イオン選択性感応物質を添加することなく混ぜ合わせた混合物を、前記境界部に塗布または直接接触硬化させることにより得た感応物質自然発生型陰イオン選択性電極により達成された。なお、電極セル側に前記混合物を反応後に剥離し難くするための表面加工が為されているため、衝撃による剥離が生じ難くなっている。また長期間の放置(二週間以上)による乖離は事実上消滅した。ある程度(1mm以下)の膜圧が得られるのでピンホールが生ぜず、電極(応答膜)と電極セルまたは電極スティックとの接着に両面テープや溶剤を使用しないため、皺や接着ミスによる導通も生ぜず、電極セルに電極が剥離し難い加工が為されているため、衝撃による、または自然発生的な剥離も生じない。
※ 特許文献1~3において電極部分はいずれも『膜』と表現されているが、本発明の場合は前記した作製法を取るため、電極部分を『膜』ではなく、単に『電極』と表記した。勿論、本発明の『電極』を『電極応用膜』と見做しても差し支えない。
本発明で述べるところの『エポキシ樹脂主剤』とは以下に記す化合物である。
化合物名:ビスフェノールA型樹脂主剤、ビスフェノールF型樹脂主剤、多官能型樹脂主剤、可撓型樹脂主剤、臭素化型樹脂主剤、グリシジルエステル型樹脂主剤、高分子型樹脂主剤、ビフェニル型樹脂主剤、及び上記の類似物。
本発明で述べるところの『エポキシ樹脂硬化剤』とは以下に記す化合物である。
化合物名:メルカプタン系化合物(脂肪族チオエーテル、芳香族含有チオエーテル、脂肪族チオエステル等を含む)、脂肪族ポリアミン系化合物、ポリアミノアミド(ポリアミド樹脂)系化合物、芳香族ジアミン系化合物、脂環族ジアミン系化合物、イミダゾール系化合物、3級アミン系化合物(トリスジメチルアミノメチルフェノール等を含む)、フェノール樹脂系化合物、アミノ樹脂系化合物、ジシアンジアミド系化合物、ルイス酸錯化合物系化合物、シラン樹脂系化合物(アミノ化シラン化合物を含む)、及び上記の類似物。
本発明で述べるところの『エポキシ樹脂硬化促進剤』とは以下に記す化合物である。
化合物名:脂肪族ポリアミン系化合物、ポリアミノアミド(ポリアミド樹脂)系化合物、芳香族ジアミン系化合物、脂環族ジアミン系化合物、イミダゾール系化合物(イミダゾール、2-エチル-4(5)-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4(5)-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチルイミダゾールアジン、2-ウンデシルイミダゾールなどを含む)、3級アミン系化合物(トリスジメチルアミノメチルフェノールなどを含む)、フェノール樹脂系化合物、アミノ樹脂系化合物、ジシアンジアミド系化合物、ルイス酸錯化合物系、シラン樹脂系化合物、及び上記の類似物。
なお『エポキシ樹脂硬化剤』と『エポキシ樹脂硬化促進剤』は一概に分類できない化合物群であり、上記の区分も一部の化合物が被ってる。よって、上記は便宜的な区分けである。
本発明で述べるところの『電位安定剤』とは以下に記す化合物である。
化合物名:4級アンモニウム塩(メチルトリドデシルアンモニウムクロライド、ブチルトリドデシルアンモニウムクロライド、テトラオクタデシルアンモニウムクロライド、 (8S、9R)-(-)-ベンジルシンコジニウムクロライド、1、14-ジステアリルビシクロ[2、2、2]オクター1、14アンモニウムジクロライドなどを含む)、4級アンモニウム陰イオンとポリスチレンスルホン酸陰イオンからなるイオン会合体(((8S、9R)-(-)-ベンジルシンコジニウム陽イオンとポリスチレンスルホン酸陰イオンからなるイオン会合体、1、14-ジステアリルビシクロ[2、2、2]オクター1、14アンモニウム二陽イオンとポリスチレンスルホン酸陰イオンからなるイオン合体などを含む)、及び上記の類似物。
本発明において電位安定剤の添加量を0.8パーセント未満としたのは、電位安定剤そのものは、ある程度の量が存在すれば感応物資に成り得るが、0.8パーセント未満では成り得ないからである。また、そうでなければ本発明を『感応物質自然発生型陰イオン選択性電極』と呼ぶことはできない。
特開昭61-178654『イオン感応膜電極』の特許請求の範囲には以下の記載がある。
『1 可塑化されていない高分子基質と、少なくとも1つの電気的に活性の成分、とからなり、上記高分子基質に含有されている上記の電気的に活性の成分の含有量が50~90重量%である構成のアニオン感受性の膜を備えたイオン感応膜電極。2 前記の高分子基質がポリ塩化ビニルであり、前記の電気的に活性の成分がメチルトリドデジルアンモニウムクロライドであって、この電気的に活性の成分の含有量が60~80重量%である特許請求の範囲第1項に記載のイオン感応膜電極。』
よって、この特許文献によれば、電気的に活性の成分の含有量が50~90重量%なければ感応物質として作用しない。あるいは4級アンモニウム塩であるメチルトリドデジルアンモニウムクロライドが60~80重量%なければ感応物質として作用しない。
特願昭55-153907『陰イオン選択電極』の特許請求の範囲には以下の記載がある。
『1.内部液が収容された容器と、上記内部液に接触された内部電極と、高分子物質を支持物質として含む感応漠を備えたイオン選択電極において、上記感応膜は、炭素数8乃至16個の直鎖の脂肪族アルコールを4.0乃至60重量パーセント、感応物質である第4級アンモニウム塩を20乃至30重量パーセント、および支持物質を10乃至40重量パーセント含む組成であることを特徴とする陰イオン選択電極。』
よって、この特許文献によれば4級アンモニウム塩が20~30重量%なければ感応物質として作用しない。
特開2001-124735『塩化物イオン感応性電極膜』の特許請求の範囲には以下の記載がある。
『「請求項8」膜が可塑剤を含めて約80重量%のエポキシ樹脂、約10±2重量%の硬化剤及び約10±3重量%のメチルトリドデシルアンモニウムクロリドから構成されることを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載の塩化物イオン感応性電極膜。』
よって、この特許文献によれば4級アンモニウム塩であるメチルトリドデシルアンモニウムクロリドが10±3重量%なければ感応物質として作用しない。
特表2007-534949『電位差電極および該電極の製造法』には以下の記載がある。
『「段落番号0102」(中略)本発明の1つの形態として本明細書に開示の電極または傾斜ポリマーでは、膜領域中のイオノフォアの最高濃度は0.1~20%、0.1~10%、0.1~9%、0.1~8%、0.1~7%、0.1~6%、0.1~5%、0.1~4%、0.1~3%、0.1~2%、0.1~1%であり、好ましくは1%、最も好ましくは1~2%イオノフォアである。有機酸の測定用には、このイオノフォアは図11からのいずれか1つの分子である。これらの表面活性レセプタ分子によって有機酸の検出性能は大きく増大する。0.2%比でMTDDAClを添加すると良好なイオン伝導性が得られる。』
よって、この特許文献によれば、最も好ましいイオノフォアの量は1~2%である。これは電極表面におけるイオノフォアの含有量と考えられる。
ただし上記引用文には『0.1~』という記載がある。該特許文献を見る限り、『0.1~0.9%量のイオノフォア』は本発明でいうところの『電位安定剤』として作用していると思われる。よって『0.1~0.9%量のイオノフォア』のみでは感応物質量として不十分であり、良好な電極応答性が得られないと判断できる。すなわち本発明の電位安定剤が0.8パーセント未満存在しても、それは感応物質とは呼び得ない、ということである。なお、出願者自身が行った多くの試験でも最低1~2%の感応物質を含まないと測定電位が安定しないという結果が得られている。
本発明で述べるところの『電極セルに施された電極が剥離し難い表面加工』とは以下の如きものである。
1)カッターまたはそれに相当する刃物で電極セルを縦横斜めに細かく傷付けた加工(それぞれ0.5mm間隔以内)。
2)1と同程度なブラスト処理加工。
上記の表面加工を行うことにより、前記混合物(主としてエポキシ樹脂)が硬化する際、傷またはブラスト処理で粗く表面加工された電極セル部分に前記混合物が入り込み、硬化反応の際、その部分に引っかかるように固まるので、硬化後、剥離が生じ難くなる。結果として、電極(この場合は電極セルや内部液を含めた複合体の意)が長寿命となる。
本発明に係る陰イオン選択性電極は前記(3)型の従来型電極の欠点であった幾つかの部分を改良したものである。よって従来型電極が有していた特徴(機械的強度に優れ、多彩な化学環境が設定でき、陰イオン選択性感応物質を加える必要がないにも拘らず、優れた直線性及び選択性を有する)に加え、作製時にピンホール(導通)が生ぜず、よって電極内部液と検体とが接触せず、電極セル及び電極スティックから電極(応答膜)が剥離しない、長期間使用可能という追加の特徴を有する電極が得られる。
本発明の一実施形態である電極セル(流路部)の概要(内面加工前) 本発明の一実施形態である電極セル(流路部)の概要(内面加工後) 本発明の一実施形態である電極セル(流路部)の概要(電極(応答膜)接着後) 本発明の一実施形態である電極セル(流路部)の概要(内面加工前)別面から 本発明の一実施形態である電極セル(流路部)の概要(内面加工後)別面から 本発明の一実施形態である電極スティックの概要(電極(応答膜)接着面加工前) 本発明の一実施形態である電極スティックの概要(電極(応答膜)接着面加工後) 本発明の一実施形態である電極スティックの概要(電極(応答膜)接着後) 本発明の一実施形態である測定系の概要(フロースルー型) 本発明の一実施形態である測定系の概要(ディップ型) 本発明の陰イオン選択性電極用応答膜を用いた塩化物イオンの直線性試験結果 本発明の陰イオン選択性電極用応答膜を用いた塩化物イオンの同時再現性試験結果 本発明の陰イオン選択性電極用応答膜を用いた塩化物イオンのイオン選択性試験結果 本発明の陰イオン選択性電極用応答膜を用いた塩化物イオンの日差変動試験結果(1) 本発明の陰イオン選択性電極用応答膜を用いた塩化物イオンの日差変動試験結果(2) 本発明の陰イオン選択性電極用応答膜を用いた塩化物イオンの長期寿命試験結果 本発明の陰イオン選択性電極用応答膜を用いた液肥内の硝酸イオン測定結果
本発明は、特許第3970032号『電位安定剤を含有した陰イオン選択性電極用応答膜』及び特許第3975086号『陰イオン選択性電極用応答膜』を新規及び進歩的に改良したものであるから、上記特許文献記載の実施例に用いたすべての原料に対して応用可能である。また以下に述べる実施例はあくまでも『実施例』であり、それらに限定されるものではない。
前処理として電極セル(流路部)(1)内面に加工を行う手順を以下に示す。
1)流路径よりも僅かに径の大きな弗素樹脂チューブの先端を引き延ばし、電極セル(流路部)(1)の流路(2)内に入れる。これは加工で流路を汚染しないための対策である。
2)カッターナイフで縦横斜めに傷を付ける。それぞれ、0.5mm間隔以下で行う。
ブラスト処理をする場合は、カッターナイフで付けた傷痕と同様の粗さになるように業者に依頼する。
3)筆などで樹脂の屑を除き、弗素樹脂チューブを取り換える。
ついで、電極の作製法を以下に示す。
(4)エピコート807(略記:807)(販売業者:油化シェルエポキシ)(110mg)クイック30(A剤)(略記:30A)(販売業者:コニシ)(20mg)、ボンドEセット(B剤)(略記:EB)(販売業者:コニシ)(20mg)、エポメートQX11(略記:QX11)(販売業者:油化シェルエポキシ)(60mg)、カップキュア3-800LC(略記:3800)(販売業者:油化シェルエポキシ)(16mg)を薬匙を用いて量り取る。
5)瑪瑙またはセラミック乳鉢に、まずEB、QX11、3800を加え、良く練る。ついで807、30Aを加えて均一に練る(この間、60秒程度で作業する)。
6)先に用意した電極セル(流路部)(1)の内面に5で作製した混合物を塗り付ける(混合物量は電極セル3ヶ分。この作業は30秒程度で終わらせる)。
7)ホットプレート(60℃)上で一時間加熱放置する。
8)加熱終了後、ホットプレートから降ろして放冷し、弗素樹脂チューブを引き抜く。
9)シクロヘキサノンを用い、上記電極セル(流路部)(1)を電極セル(端子部)(12)とを接着し、一晩放置し、乾燥させる。
10)完成した電極セル(流路部と端子部を一体化したもの)内に電極内部液(14)を充填し、封印する。
完成した感応物質自然発生型陰イオン選択性電極を塩化物イオン選択性電極として用い、その性能を評価した。評価機器には、常光製電解質分析装置EX-Zを用いた。
同じ電極を3ヶ用意し、校正後、イオン電極用認証実用標準物質(ISE CRS)を補正ナシで5重測定した。その結果を用いて装置を補正し、その補正値をISE CRSの認証値と比較した。その結果を表1に示した。
Figure 0007107563000001
いずれの電極においても、補正後の測定値とISE CRSの認証値との差が±1mol/L以内に収まった。これは多くの電極サーベイでA評価となる『目標値±2mol/L』以内である。
実施例1と同様に処理した電極セル(流路部)(1)に以下の手順で電極を接着した。
1)メチルトリドデシルアンモニウムクロライド(略記:MTDDA-Cl)(販売業者:シグマ-アルドリッチ)(1.44mg)及びエピコート815XA(略記:815)(販売業者:三菱ケミカル)(156.0mg)を薬匙で、2、4、6-トリス(ジアミノメチル)フェノール(略記:DMP-30)(販売業者:東京化成工業)(26.4mg)をパスツールピペットで量り取る。
2)瑪瑙またはセラミック乳鉢にMTDDA-Clを加えて押し潰し、次いで815を加えてよく混ぜ、最後にDMP-30を加えて均一に練る(この間、30秒程度で作業する)。
これ以降の手順は実施例1の6~10と同じである。
完成した感応物質自然発生型陰イオン選択性電極を塩化物イオン選択性電極として用い、その性能を評価した。評価機器には、常光製電解質分析装置EX-Gを用いた。
直線性試験
塩化ナトリウムの水溶液を用いて直線性試験を行った。その結果を図11に示した。水溶液の濃度は以下である。
塩化物イオン濃度(mmol/L):30.0、70.0、100.0、120.0、150.0、200.0、 250.0、300.0
同時再現性試験
血清コントロールであるQAPトロール(販売業者:シスメックス)1、2を用いて同時再現性試験を行った。その結果を図12に示した。
イオン選択性試験
EX-Gの校正液1をベースにイオン選択性試験を行った。その結果を図13に示した。後記する化合物のナトリウム塩を濃度が100mmol/Lとなるように調製し、試験液とした。ただし硫酸ナトリウムについてはイオン濃度を50mmol/Lとした。またトリエタノールアミン及び酪酸はナトリウム塩ではない。
陰イオン種:チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオン、アジ化物イオン、硝酸イオン、臭化物イオン、サリチル酸イオン、ギ酸イオン、硫酸イオン、重炭酸イオン、酢酸イオン、リン酸二水素イオン、トリエタノールアミン、酪酸
血清コントロールであるQAPトロール(販売業者:シスメックス)1、2を用いて日差変動試験を行った。その結果を図14及び図15に示した。
長期寿命試験
計16ヶの電極を用い、長期寿命試験を行った。その結果を図16に示した。それぞれの検査項目と合格基準は以下である。
1)校正連続3回 → エラー無き事
2)スロープ → -34.0~-43.0
3)校正液2の再現性 → エラー無き事、及び、変動係数(c.v.):0.4未満
※ 上記3試験すべてをクリアした場合が合格である。
試験開始後、約三年二ヶ月経過し、上記試験に合格した塩化物電極は11ヶであった。同様の試験をナトリウム電極及びカリウム電極でも行っているが、それらの合格個数は、それぞれ5ヶ及び6ヶであった。よって、本試験に関する限り、塩化物電極の方がナトリウム電極及びカリウム電極よりも相対的に長寿命であるといえる。また電極が剥離するとスロープがゼロとなるが、今回の試験ではスロ-プが不合格の電極はあったが、ゼロのものはなかった。よって、電極(応答膜)の電極セルからの剥離が生じていないことがわかる。
上記以外にも多種の試験を行ったが、傾向は同じなので割愛する。
実施例2で用いたものと同じ『感応物質自然発生型陰イオン選択性電極』を硝酸イオン選択性電極として評価した。対象を液肥(水耕栽培用)とし、評価機器には常光製電解質分析装置EX-Zを用いた。なお、EX-Zは臨床検査用の機器であるため、新たに水耕栽培用の校正液を開発し、参照電極の種類も変えた(これらについては開示しない)。
フルーツの育成には液肥(液体肥料)が用いられる。その用い方には種々あるが、今回試験したのは、貯蔵槽に液肥を蓄え、それをポンプで循環させるというシステムであった。液肥は一定期間毎に新しいものを継ぎ足すが、その前後における硝酸イオン濃度の変化に注目した。また液肥の採取場所による濃度の違いにも注目した。液肥採取の日時と場所は以下である。
日差・液肥入替前後確認
初 日(貯蔵槽内) (1)
二日目(貯蔵槽内) (3)
三日目(貯蔵槽内) (5)
液肥の入れ替え
三日目(貯蔵槽内) (10)
初 日(フルーツから貯蔵槽への送液箇所) (2)
二日目(フルーツから貯蔵槽への送液箇所) (4)
三日目(フルーツから貯蔵槽への送液箇所) (6)
液肥の入れ替え
四日目(フルーツから貯蔵槽への送液箇所) (11)
攪拌前後確認
三日目(対角線となる貯蔵槽内の二ヶ所)攪拌前 (7)、(8)
三日目(対角線となる貯蔵槽内の二ヶ所)攪拌後 (9)
四日目(対角線となる貯蔵槽内の二ヶ所)攪拌前 (12)、(13)
四日目(対角線となる貯蔵槽内の二ヶ所)攪拌後 (14)
Figure 0007107563000002
液肥測定の結果を図17に示した。なお、EX-Zにおいてはカリウムイオン濃度も測定し、追加で常光製電解質分析装置EX-Caを用いて水素イオン指数(pH)及びカルシウムイオン濃度を測定した。結果として以下のことがわかった。
1)液肥の入替前後で大きな濃度変化が見られた。
2)(1)(2)、また(3)(4)、(5)(6)より、液肥槽内とフルーツから液肥槽への送液箇所において各イオン濃度に差があることがわかった。
3)(7)(8)、また(12)(13)より、対角線となる液肥槽内2か所において各イオン濃度に大きな変化がないので、液肥槽内の液肥濃度がほぼ一定であることがわかった。
4)(7)(8)と(9)、また(12)(13)と(14)より、液肥槽の攪拌前後で各イオン濃度に大きな変化がないので、液肥の循環作用により、ある程度の攪拌が自然に行われていると推測できた。
5)各イオン濃度の変動と比較し、pH の変動が少なく、7弱を維持することがわかった。
以上のように本発明に係る『感応物質自然発生型陰イオン選択性電極』を用いれば、少なくとも塩化物イオン及び硝酸イオンが長期安定的に測定可能である。なお、その他の特徴として、機械的強度に優れる、多彩な化学環境が設定できる、陰イオン選択性感応物質を加える必要がないにも拘らず、優れた直線性及び選択性を有する、が挙げられる。
1 電極セル(流路部)
2 流路
3 流路孔
4 加工前の電極セル内面
5 電極セル(端子部)との接着面
6 加工後の電極セル内面
7 電極(応答膜)
8 電極スティック(流路部)
9 電極(応答膜)接着面(加工前)
10 電極(応答膜)接着面(加工後)
11 弗素樹脂テープ
12 電極セル(端子部)
13 内極
14 電極内部液
15 参照電極
16 液絡部
17 参照電極内極
18 参照電極内部液
19 電位差計
20 検体

Claims (5)

  1. 電極セル通路部または電極スティック外部と、電極セル内部または電極スティック内部
    の電極用内部液が充填される空間との境界部において、
    エポキシ樹脂主剤と硬化剤とを、またはエポキシ樹脂主剤と硬化剤と硬化促進剤とを、陰イオン選択性感応物質を添加することなく混ぜ合わせた混合物(溶剤を含むものを除く)であって、
    前記混合物中には、エポキシ樹脂主剤の硬化反応の際に生じた4級アンモニウム陽イオンが陰イオン選択性感応物質として存在し、
    前記境界部には前記混合物がエポキシ反応後に剥離し難くするための表面加工が為されており、
    前記混合物を、溶剤を使用せずに、前記境界部に塗布または直接接触硬化させて応答膜を作製したことを特徴とする感応物質自然発生型陰イオン選択性電極。
  2. 前記陰イオン選択性感応物質が塩化物イオン選択性感応物質として作用することを特徴とする請求項1に記載の感応物質自然発生型陰イオン選択性電極。
  3. 前記陰イオン選択性感応物質が硝酸イオン選択性感応物質として作用することを特徴とする請求項1に記載の感応物質自然発生型陰イオン選択性電極。
  4. 感応物質自然発生型陰イオン選択性電極の製造方法であって、
    エポキシ樹脂主剤と硬化剤とを、またはエポキシ樹脂主剤と硬化剤と硬化促進剤とを、陰イオン選択性感応物質を添加することなく混ぜ合わせて混合物(溶剤を含むものを除く)を調製する工程と、
    電極セル通路部または電極スティック外部と、電極セル内部または電極スティック内部の電極用内部液が充填される空間との境界部に前記混合物がエポキシ反応後に剥離し難くするための表面加工を行う工程と、
    前記混合物を、溶媒を使用せずに前記境界部に塗布または直接接触硬化させて応答膜を作製することを特徴とする感応物質自然発生型陰イオン選択性電極の製造方法。
  5. エポキシ樹脂主剤と硬化剤とを、またはエポキシ樹脂主剤と硬化剤と硬化促進剤とを混ぜ合わせて混合物を調製する工程における、電位安定剤の添加量が0.8パーセント未満であることを特徴とする、請求項4に記載の感応物質自然発生型陰イオン選択性電極の製造方法。
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